●MMCの事業活動紹介/1 ●コラム随想/4 ●海外動向/5 ●賛助会員の活動紹介/6 ●研究室紹介/8 MMCの事業活動 第10回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムいよいよ開催 第10回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムは、 11月11日(木)、東京・北の丸公園の科学技術館、サイ エンスホールにおいて、マイクロマシンセンターの主催 で開催致します。 このシンポジウムは、マイクロマシン技術の確立と普 及・啓蒙を目的として、経済産業省及びNEDOの後援 のもとに、1995年に第1回国際マイクロマシンシンポジ ウムを開催し、2002年の第8回からは、ナノ技術の分 野にも視野を広げ、サブタイトルを「マイクロマシン技 術−ナノ技術を支える次代の産業技術基盤」として国 際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムを開催しており、 今回で10回目を迎えることになります。 今回のシンポジウムは、組織委員会(委員長:下山 勲東京大学教授)で企画立案し、プログラム委員会 (委員長:藤田博之東京大学教授)においてプログラム 構成と招待講演者を決定しました。さらに、今年、フ ランスのグルノーブルで開催された第10回国際マイクロマ シンサミットに参加した米国、イギリス、ドイツ、フラン ス、イタリア、オランダ、オーストラリア、カナダ、中国の 主席代表9名の方々にアドバイサリーボードをお願いし、 海外からも講演者を招待するなど、国際的な視点から も内容を充実するようにしています。 マイクロマシン技術は今や安心・安全な高度情報化 社会を支えるキー技術へと成長しています。さらに、 近年の技術革新が著しいナノテク、バイオ技術、IT等 の先端的技術分野の動向を踏まえた次世代マイクロマ シン、NEMS等のフロンティア技術分野への果敢な挑 戦が行われています。マイクロマシン技術を次代の産 業技術基盤として確固たる地位を築き、新産業創出の 礎となるように色々な政策が試みられています。今回 のシンポジウムではこうしたマイクロマシン技術の現 状と新しい進展について国内外の第一線の方々に講演 して頂く予定であり、プログラムは5つのセッション から構成され、海外4名、国内11名の招待者による講 演を企画しています。 開会冒頭のセッション1「オープニング」では、経 済産業省製造産業局産業機械課長の来賓挨拶に続き、 立命館大学理工学部教授同マイクロシステム技術研究 センター長杉山進先生の「MEMSにおける集積および融 合の新しい進展−新産業創出への期待−」と題する特別 講演を予定しています。この講演は今回のシンポジウ wwwホームページ:http://www.mmc.or.jp/ ムの基調講演であり、MEMSについての技術的な方策 や今後の動向について興味深いお話しを伺えるものと 期待しています。 次のセッション2「マイクロマシン技術と安心・安 全な高度情報化社会」では、我々の生活に非常に密接 な自動車、情報機器、医療機器分野のトップ企業の 方 々 に よ る 「 自 動 車 と M E M S 」、「 デ ィ ス プ レ イ と MEMS」、「最新の内視鏡」の3件の講演を予定してい ます。これらの講演では、マイクロマシン技術の力強 いお話しを伺えるものと期待しています。 セッション3「新しいMEMS・システム・テクノロジー」 では、革新研究に関する7件の講演を予定しています。 MEMSにより実現可能な未来志向ネットワークシステム に関する講演はユビキタス環境の研究開発に最適なワイ ヤレスセンサを開発したCrossbow社やRF−MEMSおよび これを用いた革新的ネットワークシステムの研究に注 力しているIMECの講演を含め3件の講演を予定してい ます。マイクロマシン技術を駆使した乱流制御スマート スキン、バイオデバイス、イメージセンサに関する講演、 さらにマイクロ・ナノマシニングに革新をもたらすナノイ ンプリント技術など盛り沢山の講演を予定しています。 セッション4「MEMS研究開発のための政策動向」で は、研究開発を進展させる政策について、内外の4件の 講演を予定しています。生物医学応用MEMS研究のア メリカの戦略について元DARPA研究員で現在California 大IrvinのProf. William C. Tangによる講演や当センター が産学連携研究コンソーシアムを結成して検討してき ました経済産業省/NEDOの「MEMS用設計・解析支 援システム開発プロジェクト」(MEMS-ONEプロジェ クト)について京都大学教授小寺秀俊先生の講演など を予定しています。 なお、第15回マイクロマシン展が、同じ科学技術館 において11月10日(水)∼12日(金)の3日間併催さ れます。マイクロマシンに関連する企業・大学・団体 等の作品が多数展示されます。マイクロマシン技術を 理解する絶好の機会として、このシンポジウムと併せ て実物のマイクロマシンを見学することをお勧めしま す。本シンポジウム参加者は、参加証を提示すること で、マイクロマシン展に自由に入・出場できます。シ ンポジウム参加登録申し込み期限は、10月29日ですが、 席に余裕がある限り、当日でも受け付けます。 第10回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム マイクロマシン技術 − ナノテクを支える次代の産業技術基盤 2004年11月11日(木) 科学技術館サイエンスホール 8:45 ∼ 受付開始 セッション1 オープニング 司会:(財)マイクロマシンセンター専務理事 青柳桂一 9:15 ∼ 9:20 開催挨拶 (財)マイクロマシンセンター理事長 野間口 有 9:20 ∼ 9:25 来賓挨拶 経済産業省 製造産業局 産業機械課長 小宮義則 9:25 ∼ 9:55 MEMSにおける集積および融合の新しい進展 −新産業創出への期待− 特別講演 セッション2 9:55 ∼ 10:25 マイクロマシン技術と安心・安全な高度情報化社会 司会:東北大学 教授 桑野博喜 トヨタ自動車(株) 車両技術本部 第3電子技術部 部長 藤川東馬 ソニー(株) マイクロシステムズネットワークカンパニー レコーディングメディアカンパニー 開発部門 部門長 竹井 裕 オリンパス(株) 取締役常務執行役員 医療システムカンパニー 医療研究開発本部長 降籏廣行 自動車とMEMS 10:25 ∼ 10:55 ディスプレイとMEMS 10:55 ∼ 11:25 最新の内視鏡 セッション3 新しいMEMS・システム・テクノロジー 11:25 ∼ 11:55 何時でも何処でもワイヤレスセンサネットワーク − Smart Dust − 11:55 ∼ 12:25 健康と快適さのモニタリングに適用する自律型 マイクロシステム 12:25 ∼ 13:10 立命館大学 マイクロシステム技術研究センター長 杉山 進 司会:東京大学 教授 藤田博之 Crossbow Technology, Inc.(米国), Vice president, John CRAWFORD Interuniversity MicroElectronics Center (IMEC) (ベルギー) Prof. Dr. Chris Van HOOF 昼 食 司会:東京大学 教授 下山 勲 13:10 ∼ 13:40 MEMSネットワークシステム 東北大学 大学院工学研究科 機械電子工学専攻 教授 桑野博喜 13:40 ∼ 14:10 MEMS技術による乱流制御スマートスキンの開発 東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 教授 笠木伸英 14:10 ∼ 14:40 ナノマテリアルおよびマイクロチップテクノロジーを 用いたバイオデバイス開発と生物医学応用 北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 教授 民谷栄一 14:40 ∼ 15:10 マイクロ・ナノマシニングに革新をもたらすナノイン プリント技術 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 マイクロ実装研究グループ 研究グループ長 前田龍太郎 15:10 ∼ 15:40 アレイ集積化MEMS − 非冷却赤外線イメージセンサを中心に− 立命館大学 理工学部 マイクロ機械システム工学科 教授 木股雅章 15:40 ∼ 15:55 休 憩 セッション4 MEMS研究開発のための政策動向 15:55 ∼ 16:25 生物医学応用MEMS研究のアメリカの現状と 将来動向 University of California, Irvine (米国), Prof. William C. TANG 16:25 ∼ 16:55 MEMSの市場動向 東京大学 大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 教授 下山 勲 16:55 ∼ 17:25 大学間でのマルチ材料製造研究に関するEUプログラム Cardiff University (英国). Manufacturing Engineering Center, Dr. Stefarn DIMOV 17:25 ∼ 17:55 MEMS設計解析システムの必要性と開発 京都大学 大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 小谷秀俊 司会:産業技術総合研究所 前田龍太郎 2 沖電気工業のMEMSファンドリーサービス 沖電気工業株式会社 シリコンマニュファクチャリングカンパニー WPビジネス本部 MEMS事業推進チーム 課長 小澤 信男 1.概要 2.ファンドリーサービスの特徴 沖電気工業のMEMSファンドリーサービスは、その 始まりをシリコンLSIファンドリ−サービスにおいてい ます。このLSIファンドリ−サービスは1980年代のウェ ーハプロセスに限定したサ−ビスからスタートし、現 在では、マスク作製、ウェーハプロセス、テスト、組 立、LSI試験までサービスを拡大しています。当社はこ れら半導体デバイスの開発、製造で蓄積したプロセス 技術や生産技術を基に、1990年代からシリコンファン ドリーサービスの一環として、シリコン加工による MEMS製造技術をファンドリーサービスとしてお客様 に提供しています。MEMSファンドリー用プロセスは、 1990年代から一部ユーザーの専用プロセスとして開発 し、当初はシリコンLSI製造ラインで対応可能なプロセ スに限定したものでした。その後、1990年代後半から 対応可能工程を徐々に拡大してきています。 パッケージ用のサービスメニューに関しては現在 準備していません。しかし、当社はウェハレベルCSP (Chip Size Package)、MCP (Multi-Chip Package)など のMEMSパッケージングへ応用可能な技術を保有して おり、将来的にはパッケージングを含めたファンド リーサービスを展開しうるポテンシャルを持ってい ます。 MEMS開発では、シリコン半導体加工技術にMEMS 特有の加工技術を加え、単体素子レベルのMEMSを開 発しています。さらに信号処理や通信機能などを含 めたデバイスのシステム化を目指して、LSIとMEMS を組合せた集積化MEMSの研究開発を進めています。 これらのMEMS開発から得られた加工・製造技術を MEMSファンドリ−に活かし、より高品質のサービス を提供していきたいと考えています。 当社では20年に及ぶシリコンファンドリーの経験 と、LSIの開発から量産までの経験をMEMSファンド リーサービスに展開し、開発試作から大量生産まで 幅広いファンドリ−サービスへの取組みを進めてい ます。 開発試作は主に量産ラインを有する宮崎沖電気(宮 崎県清武町)で行っているため、試作段階から量産へ の移行が非常にスムーズに行われます。また、製造設 備も選任の管理部門を置いて管理しているため、再現 性の良い試作・量産結果を提供可能です。 MEMSファンドリー試作・量産実績としては、アラ イアンス品の部分加工受託品を含めて、容量型圧力セ ンサ、ピエゾ抵抗型圧力センサ、加速度センサ、シリ コンマイクロレンズ、などがあります。 3.まとめ 当社のMEMSファンドリーサービスは、長年にわた るLSIの開発・製造で培ったシリコン加工技術や解析 技術、及び工程管理・品質管理技術をベースして、ユ ーザーの製品コンセプト・デバイス設計に沿った最適 なプロセスを開発し、お客様と密接に連携しながら MEMS製品を作り上げていきます。 当社はMEMS製造技術、ノウハウを単に当社の個別 製品に適用するだけでなく、広くファンドリー事業に 適用することにより、MEMS製品開発・生産が活性化 する環境を提供することを目指します。 ■お問合せ E-mail:[email protected] 沖電気工業 MEMS ファンドリーサービスの概要 ステップ ステップ1 部分加工 ステップ2 単体素子 ステップ3 集積化MEMS ・SIP技術 ・SOC技術 トランジスタ サービス対象範囲 少量試作から量産まで クリーン度 クラス10∼1000 ウェハ径 4,6インチ ISOなどの認証 ISO9001,ISO14000 プロセス技術 シリコンウェハプロセス −バルクマイクロマシニング −SOIマイクロマシニング 集積化MEMS MEMS 加工技術 Cuインダクタ MEMS + LSI Cuポスト /WCSP Siレンズ 量産・試作実績 (自社製品を含む) Gセンサ 3 加速度センサ、圧力センサ、 マイクロレンズ、各種成膜、 エッチング加工、他 コラム随想 マイクロマシン雑感 東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻 教授 羽根 一博 な加工技術の向上とともに、多くのセンサ、マイ クロシステムが提案され、試作されています。試 作を完成するには、数々の加工上の問題点を解決 しなければならないので、試作案が決まると、狭 い問題に集中して取り組むことになります。研究 者はどうしても細かな問題に集中しますが、マイ クロマシンの今後の展開には、広い視野や大局的 な観点も重要になると思います。 近い将来の日本や世界の直面する問題は、環境 問題であったり、人口問題であったり、食料問題 です。日本の食料自給率は40%です。また全食糧 の約1/4が廃棄されています。無駄のない資源利用 システムや流通システムを構築する必要がありま す。20年後はどのような社会となっているでしょ うか。産業で利益を追求することは人間の宿命で す。少しでも性能のよい製品を世に出すことも重 要ですが、目的の1、2割でも、20年後に日本全 体の問題に貢献できる「何か」を目指すことが必 要ではないでしょうか。環境問題は広域の問題で あるので、個々の人々にとっては、当面は自分の 問題とならず、希薄なテーマです。このような広 域の問題を私たちが理解できるようにするために は、広域でのセンシングや流動の研究が必要と思 います。ネットワーク技術は、町中に、また世界 中に広がりつつあるので、大域を理解する手段と して欠かせないと思います。ネットワークとマイ クロセンサを組み合わせば、流通や環境など広域 の問題を私たちが理解できる作業台の上に乗せる ことができるのではないでしょうか。科学におい てミクロの問題は分析的に取り組めば問題は解決 できるように思われますが、マクロの問題を解決 するには新しい手法を見出す必要があるように思 います。 「24時間働けますか」とのキャッチフレーズが ありましたが、現在の慌しさを延長すると、20年 後に、あながち、ありえないことでもないかもし れないと思います。物に溢れた、慌しい社会とは 異なる豊かさへの転換が必要ではないかと思いま す。種々のセンサやコンピュータネットワークへ の入出力に欠かせないMEMS技術が、これらの問 題の解決にも貢献できることを期待しています。 私が博士課程を修了して、新しい学科に採用さ れたのは20年ほど前です。産業界がメカトロニク スへ発展したことに応じて新設された電子機械工 学科でした。新しい学科では若い教官への期待も 高く、また学生共々、新分野への憧れで、活気に 満ちていました。マイクロマシン(MEMS)も期 待の一分野と思われましたが、より広い概念で講 座は設置され、集積機械工学講座となりました。 半導体微細加工の機械分野への展開も一つの目標 となっていました。米国からはシリコンウエハ上 にクロマトグラフィシステムを製作する試みなど のニュースが伝わり、大いに関心を引き付けてい る状況でした。このような状況でマイクロマシン への夢と希望は膨らんで行きました。 半導体集積回路が日本において急速に展開する のもこの時期で、集積度は毎年何割も増加し、コ ンピュータの能力は急増しました。現在のように 1Gメモリが2Gになっても、一般ユーザには十分 なゆとりがさらに増えるだけですが、少ないメモ リを駆使した時代は1Mが2Mになると極めて効 果が大きかった。めざましい半導体産業の発展で ありました。もう一方で日本の産業として着実に 展開したのはメカトロニクスでした。機械と電子 システムの融合した分野は、自動車や自動生産機 械に代表されるように日本人の優れた「ものつく り」が発揮された分野です。装置技術が確立すれ ば量産の容易な半導体集積回路に比較して、多く のバリエーションや融合技術の必要なメカトロニ クスは日本の「ものつくり」能力に適しているよ うに思えました。さて、メカトロニクスでも小型 化はさらに日本が得意とする技術ですので、コン パクトなレコーダや時計、カメラシステムなどに おいて日本は世界に対して優位を誇りました。マ イクロマシンもメカトロニクスの延長上と考えら れるので、もっと日本は力を注ぐべきと思います。 この20年の間に、マイクロマシンの加工技術も 随分発展しました。DeepRIEの発展でシリコンの 立体加工の自由度は結晶異方性エッチングに比べ てかなり向上しました。それでもまだ、マクロな 機械加工に比べると自由な3次元加工ではなく、 2.5次元くらいです。今後さらに自由度の高い立体 加工技術が発展することを期待します。このよう 4 海外動向 COMS2004(カナダ) 8月30日∼9月2日 MEMS産業界の活性化を狙いにしてその課題を討 議する『COMS2004』(9th International Conference on the Commercialization of Micro and Nano Systems) が MANCEF主催で、カナダ アルバータ州 エドモン トン市において8月30日から9月2日まで開催され た。このコンファレンスでは、① 産業界全体動向、 ② 事業化、④ ナノテクノロジー への投資戦略、⑤ マーケット戦略、⑥ 装置ベンダー 、⑦ 技術動向・ トピックス、⑧ 技術移転、⑨ 特定分野への応用、⑩ 特定領域の技術、⑪ 信頼性、⑫ ファンドリー、⑬ Micro/Nano 技術設計ツール、⑭ NSF教育プログラム、 ⑮ 連携、⑯ 普及・広報等、多様な課題について連日 真剣な討議がなされた。 今回マイクロマシンセンターからこのコンファレ ンスに出席し、わが国のMEMS/マイクロマシンの 産業化を促す方策のヒントを得るべく調査しました。 調査の結果、概要として以下の成果・感想を得まし た。 1)MANCEFメンバー400社・機関の中から今回プレ ゼンテーションしたのは延べ約100件で、その構 成は、行政3件、大学・研究機関32件、公的機 関15件、企業46件であった。特に企業からの発 表では大手企業では7件であり、他は中小のVB という特徴を呈していた。併行して開催された 展示会では出展社・機関は41件、そのうち公的 機関13件、MEMS企業15件、ソフトベンダー3 件、他報道機関・特許等という構成であった。 2)出席者は300∼400人、日本からは10人程度と見 受けられた。 3)視聴した中で特に印象に残った発表は、 ① カナダ政府の国家科学アドバイザーの発表で は、2010年の国家目標としてナノテクノロジ ーではトップ10ヶ国の一角に入るべく、資金 投下し5箇所に研究施設を設立。 ② DARPAのMEMSプログラム責任者の発表で は、MEMSの市場規模、ロットサイズ等の特 徴から、半導体とは異なったアプローチが必 要で、具体的にはチップ毎のプロセスを可能 ならしめる設備・プロセス技術の必要性をア ッピールした。 ③ Philips社の上級副社長からは、総合電気メー カらしく、system in package(chip level package) ⇒LED光源、open collaboration⇒NOKIAと RFMEMS Capacitor開発、Mi plaza共同利用施 設活用でbending display 開発等の展開を発表。 ④ アルバカーキーTVIカレッジでは、MEMSの 成長性から2005年には米国で7万人の技能者 が必要と推定され、その育成をNASA、Sandia national Labo.の協力を得て2002年から開始し た事例が報告され注目された。 4)全体を通して得た印象は、本コンファレンスが MEMS/ナノテク産業活性化に向け、技術・資 金・教育面での連携や諸制度等ソフトの仕組み づくりの議論の場であり、これはハノーバメッ セのMST/ナノテク技術見本市での個別企業・ 技術のアッピールの場とは大きく狙いが異なる ということである。また、MEMSに取り組んで いる企業の中でTI,INTEL,HP等の大企業はこ の場には発表に出てこないでいることである。 市場、資金にしても自社製品・自社調達できる 大企業はVBが連携せざるを得ない状況とは大き く異なることを示しているようである。 5)翻って、わが国のマイクロマシン展の狙い、位 置づけを再度考がえてみる良い機会となった。 即ち、上記2つのコンファレンス、見本市がと もに実現できていないのがユーザとのコミニュ ケーション、接点の場づくりである。同業者や 知識・技術シーズ提供者の集まりに陥っている ようにも感じられた。この点、日本には多様な 産業が存在し、システム商品を生み出している 企業群があり、これらはMEMS/マイクロマシ ンのユーザであるから、メーカとユーザとの連 携を取り持つ展示会が提案できればその存在価 値は大いに評価されることとなる。 ロシア アイスランド グリーンランド (デンマーク) アラスカ (アメリカ合衆国) ビクトリア島 バフィン島 ハドソン湾 バフィン島 エドモントン バンクーバー ビクトリア ニュー ファンドランド島 サスカトゥーン カルガリー レジャイナ ウィニペグ サドベリー トロント ケベック プリンス エドワード島 モントリオール オタワ アメリカ合衆国 River Valleyの岸壁に掘り込まれて作られたConference Center:入り口から下へ下へと降り着いたところが会場 5 賛助会員の活動紹介 キヤノン株式会社 1.マイクロマシン技術への取り組み 当社は、パーソナルカメラから放送・業務用に至る映 像機器、プリンタ・複写機・スキャナ等の事務機器、マス クアライナ・エッチャに代表される半導体やFPDの製造 装置および精密計測機器、またX線デジタルカメラや眼 底カメラ等の医療機器など、幅広い分野で信頼性の高い 製品をお客様に提供しています。これらの製品を内側か ら支えるキーコンポーネントには、マイクロマシン技術 を利用したキヤノンのオリジナル技術が数多く存在しま す。 当社の研究開発部門では、このマイクロマシン技術を 製品に応用するため、デバイス開発・生産技術開発にお いて、材料開発、シミュレーション解析、物理・化学分 析など、いろいろの分野の技術者が連携し合い多面的な 取り組みを行っています。 インクジェット技術開発センター 部長 柴田 誠 次世代マスクレス露光装置の高スループット実現に不可 欠な収差補正するレンズであり、多品種少量生産のソリ ューションに繋がります。また、マイクロミラーはレー ザーを走査する次世代ディスプレイ、あるいは光スイッ チの応用が期待されています。 1st Electrode 2.マイクロマシン技術の開発 精密加工技術を得意とする当社では、センサー、光学 素子などマイクロマシン技術を応用したデバイス開発に 早くから取り組んできましたが、その中で、1970年代か らオリジナル技術として開発してきたMEMSの代表的な デバイスがインクジェットプリンタに搭載されるプリン トヘッドです(Fig.1)。このヘッドで最も重要な部分は、 微小なインク滴を正確に吐出するノズルですが、このす べての製造工程にマイクロマシン技術を導入することに より、部材の貼合せを排除した一体形成による製造方法 を開発し、飛躍的に高精度なヘッドを実現しました。 また、次世代製品に搭載するMEMS加工技術開発にも 精力的に取り組んでいます。この代表的なものがアイン ツェルレンズアレイ (Fig.2) とマイクロミラー (Fig.3) です。 アインツェルレンズアレイは、マルチ電子ビームによる 1 st electrode 200µm 0 20 µm Shield membrane 80 φ 100µm 2 nd separate electrode 2nd Separate Electrode 160 φ Shield membrane 50µm 3 rd electrode 100µm unit: µm Einzel Lens e-beam 3rd Electrode 1st 2nd 3rd Fig.2 アインツェル レンズ アレイ Torsional Beam Mirror Fixed End Vertical Mode Horizontal Mode Torsional Mode Microscopic image of the fabiricated torsional mirror Torsional Beam Fixed End Cross-sectional image of the torsional beam 50µm Print head Fig.3 Microscopic image of nozzle array マイクロ ミラー orifice 3.今後の取り組み heater nozzle ink inlet Silicon wafer Schematic cross-sectional image of nozzle Fig.1 今後、マイクロマシン技術は、製品の差別化技術とし て、さらに重要度が増してきます。当社ではマイクロマ シン技術を更に深耕し、 新たな可能性を追求するとともに、 お客様に喜ばれる信頼性の高い製品開発につなげていき ます。 10µm Cross-sectional SEM image of nozzle インクジェット ヘッド 6 セイコーインスツル株式会社 弊社は、2004年9月1日に商号変更を実施し、社名を 「セイコーインスツルメンツ株式会社」から「セイコ ーインスツル株式会社」に改称することといたしまし た。インスツルは、インスツルメンツの語源になった ラテン語の「instruere」から創作した造語で、Prepare, Provide, Buildの意味を持っています。時代を先取り した商品・サービスを創出(Prepare)し、提供 (Provide)することで、新しい価値を社会に創造 (Build)したいという意志が盛り込まれています。ま た、社名をユニークな名称に変えることで皆様から覚 えやすく、親しみのもたれる企業に育てていきたいと 考えています。旧来に変わらずお引き立てを賜ります ようお願い申し上げます。 以下に、当社で取り組んでいるマイクロテクノロジ ーについて紹介します。 技術本部担当 執行役員 平田 喜信 己検知型のカンチレバーの顕微鏡写真です。 近年、注目されているナノテクノロジーにかかわる 取組みとしては、原子や分子を観察することができる 分解能をもつ走査型プローブ顕微鏡や、数nmの分解 能で計測や加工が可能な集束イオンビーム装置(FIB) を開発・販売しています。これらの装置は、おもに、 最先端のナノテクノロジー研究の場で用いられていま すが、半導体製造の場でも使用されています。 1 マイクロテクノロジーとナノテクノロジー 当社は、1937年に腕時計の製造会社として設立さ れました。実用化された最初のマイクロマシンともい うべき「機械式腕時計の製造」では、多くの独自技術 によって従来にない高い精度を実現した機械式時計を 作り上げました。その後、さらに高い精度の時計へと 進化するクォーツ式腕時計を開発する過程で、半導体、 水晶振動子、電池、液晶などの構成部品を手がけるよ うになりました。それらの時計製造で培った技術をさ まざまな分野に応用して、特に、「小」「省」にこだわ った腕時計以外の製品を提供してきました。 マイクロマシンへの取組みとしては、先の「マイク ロマシンの研究」のプロジェクトで、製造設備の省エ ネルギー化、省スペース化、省資源化の可能性を追求 した「マイクロファクトリ技術開発」に参画し、「マ イクロ加工・組立用試作システム」を7社共同で作り 上げながら、製造設備の小型化に関する諸課題とその 利点について多くの知見を見出しました。その試作シ ステムではマイクロ電解加工でミクロンオーダーの加 工を実現しました。 MEMSの応用製品としては、走査型原子間力顕微鏡 (AFM)用のプローブの研究開発を行っています。 AFMでは、カンチレバー変位を検出するのに、高い検 出感度を持つ光てこ方式を用いるのが一般的です。し かし、光てこ方式は光路長を確保するため、変位検出 システムが大きくなってしまうことや、液中で使用し にくいという欠点があります。そこで、変位検出機能 をカンチレバーの中に組み込んだ「自己検知型のカン チレバー」を開発しました。図1.に示したのは、自 2.今後の取組み セイコーインスツル株式会社は、今まで同様「小」 と「省」を追及することで、世にないユニークで有用 な製品を創り出していきます。また、腕時計製造で培 った微細な部品を作る機械加工技術とMEMSを組み合 わせた製品、MEMSとナノテクノロジーの融合で実現 されるデバイスの創出をめざしていきます。 さらに、製造設備の小型化を推進し、生産・製造技 術の革新をもたらす活動を行っていきます。 50 120 100nm 4.9mm (左)カンチバレー (右)温度補償素子 探針部分拡大写真 図1 AFM用カンチレバー顕微鏡写真 7 研究室紹介 バイオナノインターフェースの設計 東京理科大学基礎工学部材料工学科 長崎研究室 教授 長崎 幸夫 E-mail : [email protected] 当研究室は生体環境下で機能するバイオマテリ アルの設計を目指す研究室です。現在、長崎の他 に勝山助手、大石博士研究員、3名の博士課程学 生、10名の修士課程学生、9名の学部4年生の総 勢25名が在籍しています。 本研究室では基本的に生体環境下で機能する材 量のPEG鎖を固定することによりほぼ完璧に非特 異吸着の抑制が可能であることを見いだしました (図1)。このような材料表面において、PEG鎖自 由末端に特定の機能団(抗体や酵素、糖など)を 固定化することにより高感度でバイオセンサー等 を作ることができます。 スキーム1 料、「バイオマテリアルズ」の作製を目指してい ます。特に生体環境下では血液や組織と材料との 接触界面の設計が極めて重要であり、「バイオナ ノインターフェース」の設計が本研究室の最重要 課題となっています。このような界面を設計する 上で、生体になじみの深いポリエチレングリコー ル(PEGと略記します)に着目して研究を進めまし た。特に両末端に定量的に異なる官能基を定量的 に導入したヘテロ2官能性PEGは様々な表面設計 に有用な材料として用いることができます(図式 1参照)。 このようにして合成したヘテロ2官能性PEGを 様々な機材表面に固定化すると、生態成分である タンパク質や脂質、細胞が吸着しない界面の設計 が可能になります。特に本研究室では異なる分子 さらにはミクロやナノサイズの粒子表面を同様 のPEG化することにより、表面の非特異吸着だけ でなく、分散安定性も飛躍的に向上することがわ かってきました。これはナトリウムやカリウムな どのようなイオン濃度が高い生体液中ではこれま で分散することが極めて困難であったこのような 粒子を簡単に利用することができる画期的な技術 です。これらのPEG化ナノ粒子は金や半導体、シ リカやフラーレンなど様々なナノ粒子をバイオ環 境下で利用することを可能にしました。 現在このようなバイオナノマテリアルの実用化 を目指して学生達とともに日夜研究を進めていま す。 当研究室は平成16年10月1日より筑波大学学際 物質研究センターに異動する予定です。 PEG リガンド導入 部位 非特異吸着抑制 SH PEG HS チオール ナノ粒子 ブラシ密度の増加 図1 高機能バイオナノインターフェースの構築 リガンド 図2 生体環境下で機能するPEG化ナノ粒子の調製 発 行 財団法人マイクロマシンセンター 発行人 青柳 桂一 〒101- 0026 東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル6階 TEL.03 - 5835-1870 FAX.03 - 5835-1873 wwwホームページ:http://www.mmc.or.jp/ 無断転載を禁じます。 平 成 十 六 年 十 月 二 十 一 日 発 行 平 成 十 六 年 十 月 十 八 日 印 刷 印 刷 所 タ カ ラ 印 刷 紙 工 株 式 会 社 マ イ ク ロ マ シ ン 第 四 十 九 号
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