課題名 第 8 回プラズマ計測に関する日豪ワーク

課題名
第 8 回プラズマ計測に関する日豪ワークショップ
研究代表者
川端一男・核融合科学研究所
研究協力者
間瀬淳・九州大学
長崎百伸・京都大学
江尻晶・東京大学
出原敏孝・福井大学
小川勇・福井大学
波多江仰紀・日本原子力開発機構
岡島茂樹・中部大学
北條仁士・筑波大学
秋山毅志・核融合科学研究所
徳沢季彦・核融合科学研究所
田中謙治・核融合科学研究所
B. Blackwell・Australian National University
・オーストラリア
R. Dewar・Australian National University・オーストラリア
J. Howard・Australian National University・オーストラリア
A. James・University of Sydney・オーストラリア
B. Samarian・University of Sydney・オーストラリア
I. Falconer・University of Sydney・オーストラリア
C. Michael・UAKEA Fusion・英国
W. Solomon・Princeton Plasma Physics Laboratory・米国
R. Boivin・General Atomics・米国
H. Park・浦項工科大学・韓国
A. Costley・ITER・フランス
1.はじめに
今回で第 8 回目を迎えるプラズマ計測に関する日豪ワークショップは、日本
とオーストラリアの間の 2 国間科学技術協力協定を契機として、1989 年以来 2
年または 3 年ごとに日本とオーストラリアで交互に開催されてきている。当初
は日豪の高温プラズマの研究者によるワークショップが主であったが、その後
プロセスプラズマやミリ波テクノロジーの開発研究も包含する会合となってき
ている。また、今回は日豪以外にも、日豪の研究者とこの分野で活躍している
米国、韓国、英国、フランスの研究者も参加した。本ワークショップの運営は、
日本側では核融合科学研究所と原子力研究開発機構が、オーストラリア側では
オーストラリア国立大学とシドニー大学が担当し、それぞれの研究機関、大学
が交互に運営を担当してきた。今回はオーストラリア国立大学が運営を担当し、
平成 21 年 2 月 2 日から 2 月 6 日まで開催された。2 月 2 日はオーストラリア国
立大学で各国の主要な高温プラズマ装置の実験結果および計測システムについ
てのレビュー講演を行った(会場での参加者の集合写真を下に示す)。その後、
オーストラリア国立大学の H-1 ヘリアック装置およびスペースプラズマ実験装
置等の見学を行った。2 月 3 日から 2 月 5 日までは会議開催地を Murramarang
Resort に移し、個々の計測手法の開発状況、およびプロセスプラズマ、基礎プ
ラズマ実験についての研究報告を行った(添付した本ワークショップのプログ
ラムを参照してください)。2 月 6 日にはシドニー大学を訪問しプラズマ関連の
研究施設を見学し研究内容についての議論を行った。
オーストラリア国立大学プラズマ研究センターでの集合写真
2.狙いと期待される効果について
1)固有の成果
プラズマ計測のためのハードウエアの開発としては日本側の研究成果(九大
間瀬らによるミリ波コンポーネントの開発、福井大 出原、小川らによる高出
力ミリ波光源、中部大学 岡島等による高出力遠赤外線レーザーの開発)が注
目を浴び高く評価された。LHD、DIII-D、JT-60U などの大型装置における計測の
報告も行われ、いずれの装置においても斬新な計測が試みられていることがわ
かった。オーストラリア国立大学のグループは外国との共同研究に力を入れて
おり、そのいくつかは本ワークショップが契機となり共同研究が開始されたも
のであった。現在、ANU と JAEA の間で開発が進められている“トムソン散乱計
測のための偏光干渉計の開発研究”は本ワークッショップが契機となって始ま
ったものである。シドニー大学では現在基礎プラズマ、プロセスプラズマの研
究に集中しているがそこで行われているダスト計測などは高温プラズマ装置に
おいて課題となっている真空容器内のダスト処理に大きく貢献できることがわ
かった。
2)分野間連携、国際ネットワーク、拠点形成という観点から
今回のワークショップでは、日豪の他に米国、韓国、ITER(フランス)、英国
の高温プラズマ計測の指導者が参加していた。今後の核融合研究において ITER
は主要な地位を占めることになることが予想される。今回参加した研究者は
ITER の計測においても指導的な立場にあり、ITER においての計測を想定した研
究開発について国際的なネットワークの拠点形成を行うことができた。また、
オーストラリア国立大学、シドニー大学からは博士課程の学生が本ワークショ
ップに参加しており、そのうち数人は学位取得後に日本でポストドク研究を行
うことを希望しており、若い世代にも日豪間のプラズマ計測における連携が広
がる可能性がある。
3.海外からの招聘および海外への派遣について
日豪ワークショップへ本課題より下記の 5 名を派遣した。いずれもオースト
ラリアとの共通する研究発表であり、本ワークショップの実施に有効であった。
間瀬 淳・九州大学
発表タイトル:Progress in microwave diagnostics related to LHD
collaboration research
長崎百伸・京都大学
発表タイトル:Initial Results from a Comparative study of
Configuration Effects and Alfven Range activity in
H-1 and Heliotron-J
江尻 晶・東京大学
発表タイトル:Equilibrium analysis of the start-up plasma in the
TST-2 spherical tokamak
小川 勇・福井大学
発表タイトル:Continuously frequency tunable Gyrotron, Gyrotron
FU CWIV
田中謙治・核融合科学研究所
発表タイトル:Microwave Collective Thomson Scattering in LHD
発表タイトル:CO2 Laser Diagnostics in LHD
4.来年度事業継続への期待と注意
1)固有の計画
日豪間の学術交流は、1980 年に政府間で締結された日豪科学技術協力協定に
始まる。本協定を実質的ならしめるため、1995 年に豪国オーストラリア国立大
学と核融合科学研究所の間で大学間学術交流協定を締結し、オーストラリア国
立大学と当研究所の間で学術研究における緊密な連携を促すことを目的として、
人物交流、研究交流およびワークショップの開催をおこなってきている。今後
もワークショップの開催「プラズマ理論および計算機シミュレーションに関す
る日豪ワークショップ」および「プラズマ計測に関する日豪ワークショップ」
をそれぞれほぼ 2 年に 1 度の頻度で開催していく予定である。また、人物交流
についても、日本側から豪側へ、また豪側から日本側へそれぞれ短期(1~2 週
間)、中期(1~3 ヶ月)の派遣により年数名程度の研究交流をおこなっていくこ
とを計画している。本国際的研究拠点形成事業は、日豪間の科学技術交流、国
際ネットワークの形成に有効であり、次年度以降もご支援をお願い申し上げま
す。なお、次年度は、理論・シミュレーション関係を中心とした研究交流を計
画している。
2)全体としての進め方など
オーストラリアは、その地理的条件等から諸外国との研究協力の推進に対す
る障害を内在している。そのため、オーストラリアの研究者は幅広い国際協力
への願望を強く持っている。今回のワークショップを含めて、これまでのWS
では、日豪以外の国からの研究者の参加を積極的に受け入れてきた。今後のワ
ークショップ等の企画においては、幅広い国際ネットワークの形成の観点から
の取り組みが必要と考える。
参考資料:日豪ワークッショップのプログラム
8th Japan-Australia Plasma Diagnostics Workshop