投資信託振替制度における実務上の留意点

投資信託振替制度における実務上の留意点(改訂2版)
平成19年9月12日
(一部改訂)平成22年1月29日
(一部改訂)平成25年12月2日
株式会社証券保管振替機構
社債投信業務部
1.銘柄情報
(1)
銘柄情報における当初1口当たり元本について
投資信託振替制度に係る手数料(新規記録手数料(総発行残高管理手数料)及び口座残高
手数料)や加入者保護信託の負担金の算出にあたっては、銘柄情報における「当初1口当た
り元本」の項目を使用しますが、発行者が、当該項目を誤登録する事例(当初設定時の元本
が、1口1円なのにもかかわらず、1口1万円と入力する。)が発生しています。
つきましては、発行者におかれましては、新規銘柄に係る銘柄情報の登録の際は、当該項
目の取扱いに十分留意するようお願いします。
万一、誤登録された銘柄がある場合には、すみやかに機構に連絡してください。
(2)
銘柄情報登録銘柄の設定見送り等の対応について
発行者が、銘柄情報を登録した銘柄が、設定見送りとなったような場合には、すみやかに
機構にその旨を連絡するとともに、当該銘柄を削除していただきます。
具体的には、発行者は、設定見送りとなった銘柄の銘柄情報における「償還日」の項目を
当日に変更することにより、便宜的に銘柄を償還させることとします。
当該処理を行った場合には、発行者、機構加入者(私募投信を除く。)、受託会社に対し
「銘柄情報変更通知」が通知されますので、発行者は、関係者(指定販売会社を含む。)に
対し、事前にその旨を連絡してください。
なお、銘柄が設定見送りとなった場合でも、銘柄情報の登録の際に、証券コード協議会殿
が、ISINコードの付番を行うため、ISINコード付番手数料は課金されます。
このような対応が必要となるため、発行者におかれましては、設定見送りとなる可能性が
ある段階では、銘柄情報の登録を行わないようにお願いします。
2.新規記録、抹消、振替
(1)
抹消(解約・DVP決済・先日付申請)の「承認未了」について
抹消(解約・DVD決済・先日付申請)の場合、機構加入者は、抹消(解約・DVP決済)
の決済日にかかわらず、申請日当日に照合通知を入力する必要があります。
現状、日々決算ファンドを除くほぼ全ての銘柄に係る抹消(解約)が、先日付申請とされ
ているため、抹消(解約・DVD決済・先日付申請)の決済日が申請日の翌営業日以降であ
ったとしても、機構加入者におかれましては、必ず申請日当日の16時20分までに、照合
通知の入力を行ってください。
16時20分を過ぎると、当該申請は、「承認未了」として取消処理されます(業務終了
1
後(原則17時)に「承認未了」として取消通知が通知されます。)ので、機構加入者及び
発行者は、統合Web端末「申請進捗管理」画面で進捗状況を確認してください。
○承認未了により申請取消となった場合の対応
万一、承認未了により申請が取り消された場合には、機構加入者は、販売会社・発行者・受
託会社と協議し、原則として、発行者は翌営業日に同一内容1による再申請を行うとともに、機
構加入者は照合通知を入力してください(以降の処理は、通常の処理と同様です。)。
(2)
新規記録(非DVP決済)・抹消(解約・非DVP決済)における「決済未了」について
新規記録(非DVP決済)や抹消(解約・非DVP決済)の場合、受託会社や機構加入者
が、決済日の17時の時限までに決済(信託設定済通知/資金振替済通知)の入力ができな
い場合には、当該申請は、「決済未了」として取消処理されます。機構加入者及び発行者は、
統合Web端末「申請進捗管理」画面で進捗状況を確認してください。
○決済未了により申請取消となった場合の対応
万一、決済未了により申請が取り消された場合には、機構加入者は、販売会社・発行者・受
託会社と協議し、原則として、発行者が以下の点に留意し、翌営業日に再申請を行ってくださ
い。
・「決済日」は、再申請する当日に変更します。
・「基準価額適用日」は、必ず当初の申請(取り消しとなった申請)と同じ設定とします。
その後、発行者による再申請に対して、受託会社又は機構加入者は決済(信託設定済通知
/資金振替済通知)の入力を行い、すみやかに決済を完了してください。
1 抹消(解約・DVP決済・先日付申請)が承認未了で取り消された場合の再申請データは、取り消されたものと同一データとします。
一方、抹消(解約・DVP決済・当日申請)が承認未了で取り消しされた場合の再申請データは、決済日を再申請日に変更する必要が
あります。
2
(3)
残高不足による申請取消と残高確認(リコンサイル)について
振替や抹消(解約)に係る先日付申請においては、決済日前営業日の夜間バッチ処理で振
替処理や解約口記録を行うことになりますが、その際、その口座が残高不足になっていると
申請の取消処理2が行われます。
残高確認データ(機構加入者用)においては、申請ベースの口数(口座残高〔A〕からす
でに申請済の解約口数〔B〕、申請済の振替口数(渡方)〔C〕及び申請済の振替口数(受
方)〔D〕を加減算した口数)を「口数(A-B-C+D)」として提供しておりますが、
当該項目がマイナスとなる場合には、各申請の決済日前営業日の夜間バッチ処理において、
取消処理される可能性があります。
このため、機構加入者におかれましては、発行者による抹消(解約)の申請が取り消され
ないよう、日々の残高確認(リコンサイル)で必ず「口数(A-B-C+D)」の残高を確
認していただき、マイナスとなっている場合には、その要因について確認するようお願いし
ます。
<参考事例>
1/4
抹消(解約)申請①
(買取を伴う解約)
申請日:1/4
振替申請①
(買取に伴う振替)
申請日:1/4
自己口 ▲100口
1/10
1/11
決済
申請
顧客口⇒自己口 +100口
決済
決済日:1/9
申請日:1/5
決済日:1/10
振替申請②
(買取に伴う振替)
決済日:1/10
抹消(解約)申請③
(買取を伴う解約)
決済日:1/11
残高確認データ
申請
1/9
決済日:1/9
抹消(解約)申請②
(買取を伴う解約)
振替申請③
(買取に伴う振替)
1/5
申請
申請日:1/4
申請
自己口 ▲200口
決済
顧客口⇒自己口 +200口
申請日:1/9
申請
申請日:1/9
決済
残高不足によ
る取消処理
自己口 ▲300口
×
申請漏れ
決済日:1/11
口座残高
0口
0口
0口
0口
申請ベース残高
(A-B-C+D)
0口
0口
▲300口
▲300口
なお、残高確認データがマイナスとなる主な要因は、以下のとおりです。
①口座ファイル伝送方式による振替申請
機構加入者が、口座ファイル伝送方式により振替申請を行う場合は、決済日前営業日の2
0時まで申請が可能であることから、決済日前営業日の残高確認データ(機構加入者用)に
おいてもマイナスとなる可能性があります。
(→対応)
夜間バッチ処理においては、当該申請分が反映されるので、特段の対応は不要です。
2 夜間バッチ処理による取消処理の結果は、決済日の8時30分(口座ファイル伝送による取得は3時)より「取消通知」として取得
することができます。
3
②機構加入者による振替申請の失念または誤入力
買取を伴う抹消(解約)において、機構加入者は顧客口から自己口への振替申請を行うと
ともに、発行者は自己口での抹消(解約)申請を行うことが想定されます。
機構加入者が、顧客口から自己口への振替申請の入力を失念した場合や区分口座を誤って
入力し、自己口に抹消(解約)申請の口数を上回る口座残高がない場合、残高確認データ(機
構加入者用)はマイナスとなります。
(→対応)
機構加入者は、振替申請を決済日前営業日までに入力(誤入力の場合には、誤入力した振
替申請を取り消した後に、正しい申請を再入力する。)する必要があります。
③発行者による抹消(解約)申請の誤入力
買取を伴う抹消(解約)において、発行者が抹消(解約)申請を入力する際、口座区分を
誤って入力し、当該口座区分に抹消(解約)申請の口数を上回る口座残高がない場合、残高
確認データ(機構加入者用)はマイナスとなります。
(→対応)
発行者は、決済日前営業日までに誤入力した抹消(解約)申請を取り消したうえで、正し
い申請を再入力する必要があります。
○残高不足により申請取消となった場合の対応
万一、残高不足により決済日前営業日の夜間バッチ処理で抹消(解約)申請が取消処理さ
れた場合には、当該取引の関係者間で協議のうえ、上記②③またはその他の適切な対処の後
に、発行者は決済日の当日中に再申請を行い、決済を完了してください。
(4)
資金決済金額がゼロとなる場合の申請入力について
投信振替システムにおける新規記録申請や抹消(解約)申請に係る「資金決済金額」につ
いては、以下の仕様3となっています。
・D V P 決 済:設定必須、数字15桁(ゼロでないこと)
・非DVP決済:設定必須、数字15桁(ゼロを許容)
したがって、設定・解約の申込において、口数が設定されているものの、資金決済金額が
ゼロとなるような場合には、発行者は、新規記録申請又は抹消(解約)申請を、必ず非DV
P決済として申請し、「資金決済金額」をゼロと設定してください。
3 非DVP決済に係る従前の仕様は、設定任意、数字15桁(ゼロでないこと)でしたが、平成19年6月11日から、当仕様に変更
しています。
4
(5)
日々決算ファンドに係る基準価額適用日の取扱いについて
投資信託振替制度における日々決算ファンドに係る販売会社と発行者間の設定・解約連絡、
及び機構に対する新規記録申請・抹消予定申請については、一律、「基準価額適用日」を信
託設定日(申請日)の前日に設定してください。
<参考事例>
当日設定分
翌日設定分
ケース
基準価額適用日
12/12(火)の午前申込、当日午後に信託設定する 12/11(月)
ケース
12/12(火)の午後申込、翌営業日(12/13(水)) 12/12(火)
に信託設定するケース
翌日設定分(休 12/15(金)の午後申込、翌営業日(12/18(月)) 12/17(日)
日を跨ぐ場合) に信託設定するケース
再投資分
月末11/30(木)の再投資にともない信託設定する 11/29(水)
ケース
(6)
繰上償還銘柄に係る銘柄情報の変更について
発行者が、取扱銘柄の繰上償還を決定した場合には、すみやかに銘柄情報における「償還
日」の項目を変更する取扱いとしていますが、最近、当該処理を失念する事例が発生してい
ます。
銘柄情報における「償還日」の項目が、繰上償還日に変更されないと、償還日が到来し、
償還金が支払われたにもかかわらず、振替口座簿上の残高が抹消されません。
つきましては、発行者におかれましては、繰上償還を決定した際には、直ちに銘柄情報の
「償還日」の項目を繰上償還日に変更するようお願いします。
また、償還銘柄については、償還日の5営業日前に「振替停止日程通知(償還)
」が、統合
Web端末に配信されるので、変更処理は、原則として償還日の6営業日前までに行ってく
ださい。なお、銘柄情報に「振替停止期間」((7)参照)が設定されている場合には、「振替
停止日程通知(償還)」は、振替停止開始日の5営業日前に配信されますので、その6営業
日前までに変更処理を行ってください。
(7)
償還に係る振替停止開始日について
発行者は、銘柄情報登録・変更時において、銘柄情報における「振替停止期間」の項目を
設定することにより、償還時に振替処理の停止が開始される日(以下、「振替停止開始日」
という。)を設定することが可能です。
当該項目は、任意設定項目であり、当該設定を行わなかった場合には、投信振替システム
において、振替停止開始日を償還日と自動的に設定しますので、留意ください。
この場合、償還に係る振替停止の処理パターンは、以下のとおりとなります(当該機能に
ついては、「投信振替システム接続仕様書(Web接続(CSV編))9.各種機能(3)振替
停止」参照)。
5
「振替停止期間」が未設定の場合の償還に係る振替停止の処理パターン
償還日
償還日
償還日
前営業日
当日
翌営業日
当日申請
○
×
×
先日付申請
○
×
×
当日申請
○
○
×
先日付申請
○
○
○
当日申請
×
×
×
先日付申請
○
×
×
当日申請
×
×
×
先日付申請
○
×
×
申請パターン
異なる機構加入者間
通常の振替
同一機構加入者間
異なる機構加入者間
販社外の振替
同一機構加入者間
○:振替可能、×:振替停止により振替不可
(8)
償還日が休日となる銘柄の取扱いについて
投資信託振替制度の開始以降、償還日が休日となる銘柄(営業日にシフトする旨を定めて
いる場合を除く。)に係る受託会社から販売会社への償還代金の支払いは、償還日翌々営業
日の支払いとなります。このため、発行者におかれましては、償還日が休日となる銘柄の場
合、銘柄情報項目「償還金支払日区分(償還日休日)」を一律、「2」に設定してください。
※
償還日が休日となる銘柄の留意点について
償還日が休日となる銘柄に係る詳細な留意点については、平成18年12月4日付「償還
日が休日となる銘柄の取扱いについて」に取りまとめていますので、確認ください
(http://www.jasdec.com/download/fund/hofuritoushin18dai44gou.pdf)。
(9)
償還日直前の抹消(解約)申請の取扱いについて
投資信託振替制度の開始以降、償還日直前に解約申込があった場合の解約代金の資金決済
は、償還代金とともに償還日翌営業日に行われますので、発行者におかれましては、抹消(解
約)申請に設定する決済日を、償還日翌営業日までの日としていただく必要があります4。
なお、償還日が休日となる銘柄については、償還代金は、償還日の翌営業日でなく、償還日
の翌々営業日に支払われることになります((8)「償還日が休日となる銘柄の取扱いについて」
参照)。この場合、抹消(解約)データに設定可能な決済日は、非DVP決済・DVP決済
ともに、償還日翌々営業日までとなります。
(10) 振替申請データについて
投信振替システムの処理容量のオーバーを防止するため、振替申請データは、銘柄毎・口
座区分毎に集約して作成したうえで、振替申請を行ってください。
4 抹消(解約)申請データの仕様では、非DVP決済、DVP決済ともに、抹消(解約)の決済日を償還日翌営業日まで設定すること
が可能となっています。DVP決済に係る従前の仕様は、抹消(解約)の決済日を償還日翌営業日に設定することができませんでした
が、平成19年6月11日から、当仕様に変更しています。
6
3.その他
(1)
送信完了報告データに係る運用ルールについて
発行者は、投信振替システムにおける受託会社への設定・解約連絡のデータ送信が完了し
た際には、送信完了報告データを併せて送信する必要があります。
この送信完了報告データに係る、発行者と受託会社との間の運用ルールは、以下のとおり
とします。
○送信完了報告データに関する運用ルール
発行者は、CPU接続又は統合Web端末を利用して、送信完了報告データを送信します。
データ送信は、データ項目「送信区分」の「TRD1:通常・午前」及び「TRD2:午後
設定ファンド」をそれぞれ1日1回送信します(「TRD1」は通常ファンドのデータ送信
後、「TRD2」は午後設定ファンドのデータ送信後にそれぞれ1日1回送信するものとし
ます。CPU接続及びWeb接続を併用し、銘柄に応じて設定・解約連絡をインタフェース
ごとに分けて行う発行者は、最終的にデータ送信を行うインタフェースのみ送信完了報告を
送信するものとします。)。
また、データ項目「送信区分」の「TRD3:追加・取消分」の送信は、CPU接続での
対応は原則不要とし、必要な時には委託会社が受託会社に電話連絡を行い、Web端末によ
り行うこととします。
(2)
残高確認データの更新が遅延する場合の対応について
発行者および機構加入者には、日々の取扱時間終了後に残高確認(リコンサイル)を行っ
ていただいております。当日分の残高確認データの取得可能時間は、17時30分以降とし
ていますが、機構または制度参加者の業務処理の状況によっては、17時30分直後には、
当該データが更新されないケースも想定されます。このため、17時30分の時点で当該デ
ータが更新されないケースにおける対応は、以下のとおりとします。
○制度参加者へのアナウンス
・データ更新が18時までに完了すると見込まれる場合
特に、機構から通知を行いません。制度参加者への通知の配信とデータ更新のタイミン
グが相前後し、制度参加者の混乱・負担要因となることが危惧されることから、17時3
0分から18時までの30分間を弾力的な運用時間帯とみなして、特段の通知は行いませ
ん。
・データ更新が18時以降となる可能性が高いと判断される場合
判明時点で、機構は、制度参加者に対し、その旨をメールおよび Target 保振サイト接続
により通知します。
7
○残高確認データが更新されていない場合の留意点
当日分の残高確認データが更新されていない場合に、制度参加者が残高確認データの取得
を行おうとした場合の事象は、以下のとおりです(接続インタフェース毎に異なります。)
。
事
象
統合 Web 端末(CSV)
口座ファイル伝送
前営業日データが取得されます。
照合ファイル伝送
データは取得できません。
このため、統合Web端末(CSV)や口座ファイル伝送で取得した残高確認データのフ
ァイル作成日付が前営業日となっている場合や、照合ファイル伝送で当日データ取得ができ
ない場合には、一定時間経過後に、再度、残高確認データの取得を行ってください。
以
8
上