社会福祉学専攻修士課程演習科目 [基礎分野] 科目名 社会福祉研究方法論演習Ⅰ 担当者 永岡 正己 目 この演習は、社会福祉研究の進め方と方法について基礎的な理解を行い、受講者のこれからの研究の 基盤づくりを行うことを目的とする。そのため、第1に研究のもつ意味、社会福祉研究の目的や役割を理解 し、自らの研究の意義を確かなものとすること、第2に、社会福祉における研究の共通のルールや倫理、必 要とされるさまざまな研究方法について理解すること、第3に、各自の具体的な研究目標や課題を明らか にし、2年間の研究計画を進める基盤を確立すること、を柱として取り組む。また、各自の研究計画に必要 な研究の手順や基本的作業、共通に必要とされる論文執筆の手続きや研究発表等の方法についても、 他科目および演習Ⅱと連携して理解を行いたい。 的 2単位 上記の目的にそって、まず社会福祉における研究のもつ役割、研究のための基礎と必要なルール、研 究のさまざまな側面や方法について、文献によって共通に理解する。その上で、各自の研究テーマ、関心 にもとづいて、実際にどのように研究を進めてゆくのかを事例にもとづいて具体的に考え、各自の研究計画 の報告・検討も含めて基礎理解を行う。研究計画の検討は、①研究目的や関心、これまでの蓄積、②研 究テーマ、課題・仮説・方法、必要とされる文献・史資料・調査、③研究における目的から結論に至る論理 構成、のおよそ三つの段階を追って行いたい。また、研究論文や学会報告の事例を取り上げて研究発表、 論文執筆の基本についても理解したい。以上のような取り組みによって、修士論文の作成に向けて、今後 の研究の基礎を身につける。 授業の 進め方 1 2 3-4 5-6 研究の目的と研究の基礎、文献紹介 研究の進め方と方法(これからの各自の研究について) 社会福祉における研究方法のさまざま(研究計画報告、討議) 研究領域・テーマごとの研究方法と必要とされる技術・手順 (理論研究、実践研究、調査研究、歴史研究など) 7- 8 研究テーマ、研究方法、研究の進め方(研究計画報告、討議) 9-10 研究における目的、課題、仮説、検証、結論(研究事例の検討) 11 研究論文の書き方とルール、倫理 12-14 各自の研究に関する文献レビュー・討議 15 まとめ-これからの研究・修論作成に向けて テキスト 岩田正美・小林良二他編(2006)『社会福祉研究法』有斐閣 (他に文献コピーを用います。) 参考文献 日本科学者会議編(1998)『GUIDEBOOK 研究の世界』、(2004)『〃研究の方法』リベルタ出版 久山則夫編(2003)『社会福祉の研究入門』中央法規出版 二木立(2006)『医療経済・政策学の視点と研究方法』勁草書房 ウヴェ・フリック、小田博志他訳(2002)『質的研究入門』春秋社 今田高俊編(2000)『社会学研究法-リアリティの捉え方』有斐閣 日本社会福祉学会「社会福祉学」各号および執筆要項、その他。 成績評価 平常点とレポートによる。 科目名 社会福祉研究方法論演習Ⅱ 担当者 児玉善郎 2単位 この演習は、社会福祉研究方法論演習Ⅰで学んだ、社会福祉研究の進め方と方法についての基礎的 な理解に基づき、受講者が各自の修士論文の研究テーマをもとに実際に研究を進めていく上での、研究 目的 に取り組む姿勢や研究方法についてさらに理解を深めることをねらいとする。 とくに、社会福祉の分野において取り組まれている既存の研究内容や方法について、幅広い視点から 検討することにより、受講生各自が取り組む研究の位置づけやスタイルを明確にする。 以下の内容について授業を進める。 ① 究に取り組む姿勢や研究方法について、既存文献や資料をもとに概説する。 ②受講生各自が、既存の研究論文を題材として選び、研究テーマ、目的に沿った研究方法の特長に ついて紹介し、ディスカッションを行う。 [演習の進め方] 1.演習の進め方について 授業の 2.研究の取り組み姿勢について 進め方 3~5.修士論文中間報告会前後の指導 6~8.研究方法論の概説 9~14.各自の研究テーマと研究方法についての発表とディスカッション 15.まとめ 本演習は1年生の全員履修科目である。この演習授業に毎週参加することにより、受講生相互の連 携、協力関係をつくることもねらいとしている。 テキスト テキストは特に指定しない。 岩田正美他編(2006)『社会福祉研究法』有斐閣 参考文献 久田則夫編(2003)『社会福祉の研究入門』中央法規 ヘンリー・ブレイデイ他編(2008)『社会科学の方法論争』勁草書房 早川和男(2007)『権力に迎合する学者たち』三五館 成績評価 演習における発表や討論への参加状況とレポート試験を総合して判定する。 科目名 社会福祉理論・発達史演習 担当者 永岡 正己 4単位 この演習では、社会福祉の政策と実践、思想と理論について、歴史的視点にもとづいて重要な文献や事 例を取り上げて総合的に検討を行う。社会福祉研究には、どのような分野・領域を中心とするにしても歴史 的把握を欠かすことができない。また今日の社会福祉を捉えるためには、その原理や体系をどう理解する かという理論的把握が必要とされる。社会福祉には政策・計画から実践・援助技術、市民活動まで幅広い 領域が含まれており、急激な改革とシステム転換の中で、社会福祉とは何かを明らかにし、その課題を解 目 的 決するために、歴史的認識と理論の追求は一層重要となっている。 演習では、社会福祉の歴史的把握と理論・思想形成の問題を中心に置いて、以下の四点を課題とす る。①社会福祉の歴史と理論研究の現状と方法を理解すること。②近現代日本の社会福祉の歴史を、各 分野、各領域にわたって検討すること。③それらを前提として、日本における社会福祉理論・思想の展開 過程を、戦前・戦後を通して検討すること。④最近の社会福祉の理論動向と論点を把握すること。以上の 取り組みを通して社会福祉の課題と展望を考える。今年度は、理論と歴史の両面から、文献を丁寧に読み たい。進め方は受講者と相談の上決める。 前期:1.社会福祉の理論と歴史研究の意義と方法 2.社会福祉の理論と歴史の研究動向 3.慈善救済、社会事業、社会福祉、福祉の概念とその変遷 4.明治国家と救貧・救済制度論 5.産業革命の進展と慈善事業論 6.日本における社会事業思想・理論の成立(1)(2) 7.世界恐慌期の問題状況と社会事業論争 8.戦時下における思想・理論の変容 9-10.戦後社会福祉理論の形成過程と論争(1)~(3) 授業の 11.戦後社会福祉本質論争と論点 進め方 12-13.高度成長期と社会福祉理論の展開(1)(2) 14-15.福祉改革の展開と社会福祉理論(1)(2) 後期:1.今日の社会福祉理論と社会福祉の歴史的位置 2-4.近代日本の慈善救済事業の近代化 5-6.戦間期における社会事業の成立と展開 7.戦争の時代と戦時厚生事業の論理 8-10.戦後改革と社会事業の再建・整備過程 11-12.高度経済成長期と社会福祉成立の評価 13-14.1970 年代半ば以降の福祉改革 15.今日の福祉状況と理論・歴史研究の課題 テキスト 吉田久一 (1995) 『日本社会福祉理論史』勁草書房。 その他資料を用います。(授業中に指示します。) 科目名 社会福祉方法論演習 担当者 牧野 忠康 4単位 ソーシャルワークの理論を耕し実践力を鍛える ―生活問題や課題の発見と解決のための仮説力と行動力を磨くー 演習の目的は、3つある。 ① 着眼点と仮説力を磨く:社会福祉の対象である生活問題や課題の発見力や社会生活問題アセスメ ント力の強化と、社会生活問題の発生プロセスとメカニズムを科学的かつ構造的に把握し解明する視 座・視角・視点と方法(社会福祉的センス)を身につけ、問題解決能力を高める。 目 的 ② 行動力を鍛える:日常的に起きている事例で社会生活問題の解決方法を検討できる実践力(ケース カンファレンス力など)をトレーニングし、生存権・健康権・生活権・社会権および基本的人権に視座を 据え、視角・視点をミクロ・メゾ・マクロとスライドさせて暮しの安心・安全そして幸せを複眼的に保障し サポートする社会システムの企画立案・政策提案力や相談・援助を実践できる能力を鍛える。 ③ スーパービジョン:高等教育機関や社会福祉実践の現場で人材養成、エンパワーメント、サポートがで きる共育力とスーパービジョン力を磨く。 演習は、2本の柱で進める。 (1)演習室では課題をプレゼンテーション(院生、実務家教員など)し、創造的なディスカッションで学び・ 検討する。 授業の 進め方 (2)社会福祉実践現場でのフィールドワーク(社会福祉実践現場調査)もしくはインターンシップ(社会福 祉実践実習)によって実務能力を高め、社会福祉現場を検証する。 演習は、おおよその目安として、90分を「プレゼンテーション・セッション」「ディスカッション・セッション」 「カンファレンス・セッション」に3分割して展開する。リポートを概ね20分程度でプレゼンテーションし、40 分程度ディスカッションする。残りの30分程度でスーパービジョンと次回以降の相談や確認などを行なう。 ※2010年度は、1演習日2コマ(180 分)連続とし、4 月9日(金)を第 1 回とし隔週通年開講する。 ◆ 朝日・毎日・読売・中日・日本経済の 5 新聞の報道および社説等の記事を使用する テキスト 参考文献 成績評価 ◆ 受講生と相談の上でテキストを定める ◆ 随時、演習の中で紹介および指定をする 演習でのリポート作成およびそのプレゼンテーションとディスカッション、社会福祉援助技術現場実習や フィールドワークへの参加状況によって評価する 科目名 社会福祉調査・計画論演習 担当者 野口 定久 4単位 この演習は、社会福祉調査論及び社会福祉計画論を通年で野口が担当する。社会福祉調査論演習で は、社会福祉研究に不可欠な調査研究の方法論と調査の技法を身につけることを目指す。特にこの演習 では、質的研究法(量的調査の方法は、主として社会福祉統計分析法で行う)に焦点化し、仮説の作り方、 分析の方法、またはデータの分析、研究の設計と戦略などを考察する。また受講生各自の研究計画に必 目 的 要な調査研究方法を選択する。 後期の社会福祉計画論では、地域社会や地域住民が抱える諸課題に対応する、これからの地方自治 体の分権化と地方自治のあり様を、とくに福祉国家の視点からみた分権化の必要性、分権化と計画化、福 祉コミュニティの形成と住民自治の確立といった地域福祉の視点から主として政策と計画について考察す る。 前期の社会福祉調査論演習の進め方は、院生の研究テーマや課題に即して適切な調査研究の方法や 技法の選択を行うために、先行調査の文献や報告書にあたりながら、その調査の企画、研究の枠組み、作 授業の 進め方 業仮説の設定、用いる調査の種類、データの収集・記録・表の作成、事例分析法、報告書の作成までの手 順を習得していく。夏期休暇中にプレ調査が実施できるまで指導する. 後期の計画論演習の進め方は、いくつかの自治体と社会福祉協議会による地域福祉計画の策定事例 をとりあげ、必要な資源のデータ収集や分析、地域福祉計画の立案からワークショップの手法等を学び、地 域福祉計画策定の企画力を習得する。 テキスト 福武直『補訂版 社会調査』岩波全書,1991 『99%は仮説である』 野口定久『地域福祉論-政策・実践・技術の体系』ミネルヴァ書房,2008 参考文献 随時紹介する. 成績評価 出席とレポートの総合点で評価する。 [政策・計画論分野] 科目名 社会保障論演習 (2011年度開講予定) 担当者 長沼 建一郎(2009 年度担当) 4単位 最近の社会保障政策の動向を把握し、批判的に検討する。 目 的 いわゆる社会保障改革論議は、たとえば年金財政や高齢者医療、介護保険見直しなどの領域別の問 題から、消費税を含めた財源問題や公私の役割分担論、出生率対策等々まで、非常に多岐にわたって いる。本演習ではそれらの重要なテーマを、なるべく幅広く取り上げていきたい。 (内容・進め方) 具体的な内容・進め方は参加者と相談して決めたいが、基本書・理論書等の文献の会読、専門誌等 を題材とした最新の政策動向の把握、いわゆるプロブレム・メソッド――社会保障の重要な論点に関する 授業の 進め方 参加者の意見交換、 などを考えている。 希望者がいれば、海外研究、判例研究なども行う。 (履修上の注意) 特段の予備知識は求めないが、基礎知識を有しない参加者は、並行して自習すること。 また報告者以外も積極的に議論に参画すること。 参加者と相談の上、決定したい。 テキスト なお前回開講時(2005 年度)には、郡司篤晃編著『医療と福祉における市場の役割と限界』、モシアロ ス編『医療財源論』、ギデンズ『第三の道』、塩野谷祐一他編『福祉の公共哲学』、堤修三『社会保障の 構造転換』、アティヤ『法の迷走・損害賠償』、フュックス『保健医療の経済学』などを会読した。 参考文献 椋野・田中『はじめての社会保障』有斐閣。同書レベルの基礎知識は、演習の前提としたい。 成績評価 平常点と、レポート提出による予定。 科目名 社会福祉法制演習 担当者 笛木 俊一 4単位 テーマ 社会福祉の権利を実現するための社会福祉実践の構造 (1)最近の社会福祉政策の動向をみると、21 世紀における少子・高齢社会(人口減少社会)への対応を 目的とする改革が推し進められ、社会福祉法制度の内容が大きく変化してきている(介護保険法、社 目 的 会福祉法、障害者自立支援法などの制定と、社会福祉士及び介護福祉士法の改正および生活保護 法の改革の動き)。 (2)この演習では、そうした改革の動向を総合的に捉えるための分析枠組み(スパイラル・システム・モデ ル)を検討するとともに、社会福祉法制度の運用を担うソーシャルワーカーの社会的役割について、受 講生とともに考えてみたい。 演習の最初の進め方としては、以下のような内容を考えている。 1 はじめに-新・社会福祉士制度と社会福祉実践の課題 (1)社会福祉基礎構造改革の〈最終局面〉か? ①最終的セイフティネットとしての公的扶助制度改革の動き ②社会福祉士及び介護福祉士法の改正と日本社会福祉教育学校連盟の動き (2)社会福祉士(ソーシャルワーカー)の専門性の捉え方の変化 (3)今後の方向性と新たな課題-ソーシャルワーカーの自律・自立した専門性とは ①国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のソーシャルワークの定義(2000 年) 授業の 進め方 ②国家資格としての社会福祉士制度(ソーシャルワーカー資格)と、精神的に自律したソーシャルワー カーによる、社会的に自立した〈職能集団〉の形成の課題 2 職員研修事業の取り組み (1)職員研修事業の4つのモデルと効果測定方法 ①事例研究(ケース・メソッド) ②経過観察(モニタリング) ③効果確認(アウトカム) (2)四次元モデル-スパイラル・システム・モデルの開発 3 実習教育の取り組み-地域活用型実習の開発 4 社会福祉の権利の実現を担うソーシャルワーカーの社会的役割とは テキスト 加藤ほか「相談援助実習」(2010年 中央法規出版) 参考文献 テキスト以外の文献は、講義の中で指示する 成績評価 演習における報告の内容とレポートの内容によって評価する。 科目名 医療福祉計画論演習 担当者 二木 立 目 本演習は、院生の皆さんが、①日本の医療・介護政策の特徴と最新動向について学ぶとともに、 ②「研究のための研究」ではなく「世のため人のため」になる研究テーマの見つけ方、研究の「眼と 構え」、実証研究のコツ等のヒントを得ること、を目的としています。 的 4単位 私の3冊の著書等をテキストとして、ゼミ形式で学びます。 まず導入として、『医療経済・政策学の視点と研究方法』を用いて、医療経済・政策学を中心とし た、研究の視点と方法・技法を学びます。次に、『医療改革と財源選択』と私の最新論文を用い て、日本の最新の医療政策・改革の動向と論争を学びます(以上、前期)。後期には、『介護保険 授業の 制度の総合的研究』を用いて、介護保険政策の長期的動向と論争を学びます。 進め方 毎回、院生がテキスト要旨+αをレポートし、それに基づいて自由討論を行います。このレポート は、毎回、私が事前に添削します。毎回、本題(テキストの学習)に入る前に、私が、「今日の話題 提供」として、医療・介護政策に限らず、院生が研究を進める上で参考になる最新情報(図書・論 文・新聞記事等)を紹介します。 なお、「医療・福祉経済論」(後期開講)を併せて履修すると、相乗効果が期待できます。 二木立『医療経済・政策学の視点と研究方法』勁草書房,2006. 二木立『医療改革と財源選択』勁草書房,2009. テキスト 二木立『介護保険制度の総合的研究』勁草書房,2007. 「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」各号(いのちとくらし非営利・協同研究所のホー ムページに転載). 二木立『「世界一」の医療費抑制政策を見直す時期』勁草書房,1994. 二木立『日本の医療費』医学書院,1995. 二木立『保健・医療・福祉複合体』医学書院,1998. 参考文献 二木立『介護保険と医療保険改革』勁草書房,2000. 二木立『21 世紀初頭の医療と介護』勁草書房,2001. 二木立『医療改革と病院-「抜本改革」から部分改革へ』勁草書房,2004 二木立『医療改革-危機から希望へ』勁草書房,2007. 成績評価 ① 習への出席回数と発言回数・内容、②各自が前期・後期に分担して数回発表するするテキストの 要旨+αのレポート、③全員が前期・後期の終わりに提出するレポート(別途指示)の3者を総合 的に判断して、評価します。 科目名 保健福祉計画論演習(2011年度開講予定) 担当者 牧野 忠康 目 保健・医療・介護・社会福祉を包括し地域の保健福祉文化を紡ぐ“地域づくり”に関わる実践と実証 研究の方法を学ぶ 演習の目的は、3つある。 (1)「生命・生活・生産を衛(まもる)」ことを視座におき、地域生活実態と自治体および国の政策・行 政に視点を据え、現在・過去・未来の視角で、実践事例に学び、問題意識・仮説・実証および実 践の方法を身につける。 (2)「保健・医療・介護・社会福祉」を連携・統合させた地域住民主体の生活支援システムのあり方 や構築の方法、内発的かつ創造的な「地域づくり」に関わるフィールド・ワークの理論や質的調査 研究の方法を学問する (3)社会疫学、地域診断、アクション・リサーチを含む社会(福祉)調査によるソーシャル・アセスメント とソーシャル・プランおよびソーシャル・サービス・マネジメントなどの実践ができる能力を身につけ る。 的 4単位 ◆この演習は隔年開講なので、2009 年度の開講で次年度は開講しない。計画的な履修を希望する。 授業の 進め方 テキスト (1)演習室での演習:(1)を実現させるための基本文献・先行研究の検討。 演習は、おおよその目 安として 90 分を「プレゼンテーション・セッション」「ディスカッション・セッション」「カンファレンス・セ ッション」に3分割して展開する。リポートを概ね20分程度でプレゼンテーションし、40分程度ディ スカッションする。残りの30分程度でスーパービジョンと次回以降の相談や確認を行なう。 (2)フィールド・ワークによる演習: “地域保健医療福祉の実態調査”などに参加し保健福祉調査研 究や政策提言の実際を学ぶ。このフィールド・ワークを修士論文の研究テーマにすることも歓迎す る。 若月俊一(2007)『若月俊一の遺言-農村医療の原点』、家の光協会 横石知二(2007)『そうだ、葉っぱを売ろう!過疎の町、どん底からの再生』、ソフトバンク クリエイティブ 参考文献 (1)山崎喜比古・朝倉隆司(2007)『生き方としての健康科学 第4版』、有信堂高文社 (2)笠松和市・中嶋信(2007)『山村の未来に挑む-上勝町が考える域の活かしかた 山里をどうやって 元気にしよう?』、自治体研究社 (3)その他、演習の中でも指定する 成績評価 演習でのリポート作成およびそのプレゼンテーションとディスカッション、フィールド・ワークへの参加状況 によって評価する [実践・援助論分野] 科目名 障害者福祉論演習 担当者 大泉 溥 4単位 戦後の日本は民主的な福祉国家めざし、社会福祉も公的責任を基本とする措置制度による整備拡充 で出発し、1960 年代高度経済成長期の能力主義の導入で政策的序列化が進行し、1980 年代末から は新自由主義の「小さな政府」改革路線(民営化・規制緩和・個別契約の市場競争原理の導入)に切り 換えられ、2005 年の障害者自立支援法に具体化されたが、先般の政権交代で同法の廃止と新法制定 に向けた準備が進みつつある。他方、国連は ICIDH の障害概念を深化させた ICF を 2001 年に採択し、 障害者権利条約の 2006 年採択は加盟各国に国内法見直しによる批准を求めている。このように錯綜し 複雑な状況は障害者福祉論のあり方を抜本的に問うている。 そもそも、障害者福祉とは環境との関係で生起し深刻化せざるをえない障害者の生活困難を緩和・解 目 的 授業の 進め方 決し、人間の尊厳にふさわしい生活を保障するための社会的制度的営為である。したがって、戦後日本 は単に福祉制度の多様化や利用者の量的増大だけでなく、その処遇の質的な変化が実践のあり方と関 係で問題となる。そうした質的転換が、現場の条件をどのように変化させ、職員たちなりにいかに対応しよ うとしていたのかを追体験して未発の契機を含めて学びとることが、本演習の目的である。 具体的には、障害者問題の質的転換期として 1960 年代に注目し、近江学園の糸賀一雄の福祉思想 (「この子らを世の光に」)と田中昌人らによる発達保障論の形成過程を検討する。それは福祉業務のマ ニュアル化ではなく、現場職員(集団)の実践的な主体性の獲得、対象理解の問題(発達観の変革)、 「(生活)実践の理論的再構成」という志向の吟味である。典型的事例の分析によって「個別の中に普遍 を」「特殊の中に一般を」明らかにする実践研究のあり方を歴史的に学ぶという課題となる。 まず「実践研究の方法」について、私の課題提起(わが国における実践現場ならではの、世界屈指の 独創的科学を再評価する必要)を検討する(具体的には、大泉溥「人生に意味を」『障害者福祉実践論』 1989 の序章)。 つぎに、近江学園を生み出し運営と実践を思想的にリードした糸賀一雄の福祉思想を『愛と共感の教 育(増補版)』柏樹社 1972 によって検討する。 そして、後半には 1960 年代の近江学園が遭遇していた歴史的試練とその実践的意味、そこで研究部 (とくに田中昌人らの発達研究)が果たした役割について、『近江学園年報』第9号(1961)、同第 10 号 (1963)、同第 11 号(1965)、田中昌人監修『近江学園の実践記録 要求で育ち合う子ら』大月書店 (2007)などを教材として使用し検討する。 その検討のポイントは、以下の5点である。 (1)戦後日本の再建から高度経済成長期に到る知的障害児の進路=社会適応問題の質的変化 (2) 処遇現場を上から規定する類型的アプローチの克服(「知能指数(IQ)」による対象者処遇を脱却し て、「発達年齢」による処遇への展開) (3)発達の質的転換を可逆操作特性としてとらえることで可能となった施設実践の理論的再構成 (4)「発達・差別・歴史」という実践関係的視点のもつ意義、 (5)福祉の思想や理念・実践や方法技術などを研究する際に否応なく問われざるをえない資料の集め 方、関係文献との突き合わせなどを含めて、研究の動機と問題設定との違い(研究課題の焦点化)、 研究における分析方法論の問題と研究対象の選定との関係(典型分析とは何か)、研究結果をまとめ る際の論理構成とはどういうことか、などの諸点についての受講生諸君の自覚化 演習では、レポート担当者の報告をもとに論議を行い、まとめていく。 テキスト 1) 大泉溥「人生に意味を」『障害者福祉実践論』1989 の序章 2) 糸賀一雄の福祉思想を『愛と共感の教育(増補版)』柏樹社 1972 3) 大泉溥編『田中昌人初期著作選集』日本福祉大学大泉研究室(2010) 4) 田中昌人監修『近江学園の実践記録 要求で育ち合う子ら』大月書店(2007) 参考文献 進行に応じて、随時、呈示する。 成績評価 授業の参加状況(テキスト分担報告を含む)とレポートによる 科目名 老人福祉論演習 担当者 近藤克則、鄭丞媛 4 単位 高齢者の保健・医療を含む,広義の well-being(福祉、幸福・健康)について学びます。 内容的には、臨床から制度・政策まで取り上げます。また、国内外における保健・医療・福祉の「統合」 に向けた取り組みも学びます。それらの到達点や基礎的な(共通言語となる)概念・知識、そして今後の 目的 課題を考えます。 また、研究者や高度専門職業人に必要とされる以下のような能力を、毎回のレジュメ作成・報告・討 論などを通じて、獲得することをめざします。文献検索能力、文献の抄読力、研究デザイン・統計学的な 研究結果の読み方など研究方法論、レジュメの作成の仕方、口頭発表、討論・ディベートにおける論理 的な考え方や話し方、コメント力などです。 最初の 3 週間は、高齢者福祉に関わる全般的な内容を概観・整理します。 その後、毎回、担当する院生を決め、テキストや関連する文献を要約して報告してもらいます。その上 で、小グループでの討論と発表を軸に進めます。 年間を通じて、演習テーマと各自の研究テーマに重なる文献(できれば英語)を抄読してもらいます。 また、前期と後期 1 回ずつゲスト講師を招き、高齢者福祉の現場の話等をききます。 授業の 取り上げるテーマは、臨床面では、保健・医療・福祉の「統合」に必要な「共通言語」として、障害者・ 進め方 高齢者を社会・心理面も含め総合的に評価する国際生活機能分類(ICF)や bio-psycho-social model に基づく well-being などについて学びます。その上で、介護者の介護負担感や多面的な視点に基づくケ アマネジメントなどについて学びます。 制度・政策面では,保健・医療・福祉の「統合」をめざす(プログラムレベルを含む)ものとして、①イギリ スのコミュニティケアや医療・福祉政策、②New Public Management(新しい公共部門経営)や政策評 価、③ケアの質マネジメント、④終末期ケアを巡る動きなどの中から、希望の多いものについて学びます。 テキスト 近藤克則 「医療・福祉マネジメント」ミネルヴァ書房、2007 参考文献 近藤克則 「脳卒中リハビリテーション-早期リハからケアマネジメントまで(第 2 版)」 医歯薬出版、2006 近藤克則 「健康格差社会-何が心と社会を蝕むのか」医学書院、2005 近藤克則「検証『健康格差社会』-介護予防に向けた社会疫学的大規模調査」医学書院,2007 近藤克則「『健康格差社会』を生き抜く」朝日新聞出版社,2010 成績評価 出席状況、毎回の演習の中での報告や発言、前期、後期の終わりに提出してもらうレポートで評価しま す。 科目名 地域福祉論演習 担当者 平野 隆之 4単位 これまでの地域福祉研究がややもすると「地域福祉論研究」となっていたことからの反省に立ち、地域 福祉論演習としては、「地域福祉推進研究」に力点を置く「講義」と「演習」を行う。「講義」の内容として 目 的 は、①これまでの地域福祉論の解説を進めながら、新たに提起する地域福祉推進の理論を解説すること によって、地域福祉推進における実践・計画・プログラム・政策の体系性を理解することができる。②地域 福祉推進の方法として、体系的に示された実践・計画・プログラム・政策の4領域について、具体的な内 容を取り上げながら領域別の研究方法とともに、相互の関連性を学ぶことになる。 授業は後期に2コマ連続で提供し、「講義」と「演習」の2つの循環のなかで進められる。前半のコマのな かで講義形式による解説を、後半のコマで講義のなかで触れた教材・内容について討論を行う。テキスト である『地域福祉推進の理論と方法』の抽象度が高いので、映像教材や実践事例を活用して、テキストを 授業の 進め方 補強する。4領域を進める順番としては、マクロからメゾ、ミクロへと降りて行くように設定し、政策・プログラ ムを最初に扱い、次に計画、最後に実践を取り上げる。演習では、講義内容に関連して、3つ程度の論点 を設定し、参加者との討論を積極的に進めたい。そのための事前学習は不可欠である。 それぞれの領域での研究の方法についても取り上げ、参加者が取り組む研究課題や方法へと反映さ せることを考慮する。また、名古屋キャンパスで開催される地域福祉の各種研究会への参加を可能にす るので、自らの判断で積極的に参加してほしい。 テキスト 参考文献 成績評価 平野隆之『地域福祉推進の理論と方法』(有斐閣) 平野隆之・原田正樹『地域福祉の展開』(日本放送出版協会)2010年4月出版予定 平野隆之・榊原美樹編『地域福祉プログラム』(ミネルヴァ書房) 授業への参加度に対する評価と最終リポートの内容による評価。 科目名 児童福祉論演習(2011年度開講予定) 担当者 渡辺 顕一郎 4単位 連日のように報道される少年犯罪や児童虐待事例に象徴されるように、子どもをめぐる問題はますます 複雑化する傾向にある。また、少子化の進行に歯止めがかからない背景には、子育て家庭の孤立化や保 守的な性別役割分担意識などが見え隠れする。 先行きの見えにくい不安定な時代にあって、社会に潜む病理やストレスの影響を真っ先に被るのは、社 会システムの中でもっとも弱い立場におかれている「子どもたち」ではないか。そのような意味で、少子化の 目 的 進行や児童問題の激化という現象は、私たちの社会の不健全さを映し出す鏡のようなものであると言え る。 子育て・子育ちを考えるとき、私たち一人ひとりが今の社会のありようを見つめ直し、これから何に価値を 置き、自ら何ができるのかが問われよう。そこでこの授業では、次世代を担うすべての子どもたちを大切に 育んでいくために、子どもと家庭を地域社会全体で支えることに主眼を置いて、これからの児童・家庭福祉 のあり方について考える。また、受講生各自の関心に基づきつつ討論を行い、児童・家庭福祉をめぐる各 論的な課題についても探究していきたい。 1)前期は、児童福祉における要保護児童対策、保育対策、一般家庭対策等を概観し、制度的な動向 や実践について理解を深め、現状における課題を考察する。 授業の 進め方 2)前期の後半から後期は、受講生の研究発表と討論を通して、それぞれの研究課題に基づく考察を深 める。 3)併せて後期には、児童・家庭福祉に関わる修士論文を執筆する予定のある受講生の助力になるよう な演習を行う。 テキスト レジュメ、資料等を適宜配布する。 1)柏女霊峰 「子ども家庭福祉サービス提供体制―切れめのない支援を目指して」中央法規(2008) 2)桐野由美子・家庭訪問支援プロジェクトチーム(編著) 参考文献 「子ども家庭支援員マニュアル―地域の子育て支援と児童虐待防止のために」明石書店(2003) 3)渡辺顕一郎 「障害児の自立を見すえた家族支援―家族生活教育を中心に」中央法規(2006) 4)渡辺顕一郎(編著) 「地域で子育て―地域全体で子育て家庭を支えるために」川島書店(2006) 以下の点を重視して評価を行う。 成績評価 ◆ 出席状況 ◆ 研究発表 ◆ 授業における討論への参加 科目名 保育論演習 担当者 勅使千鶴 4単位 テーマ:福 祉 、保 育 、教 育 で課 題 とされる「子 どもの問 題 」を考 察 する。 目 的 近 年 、子 どもと社 会 をめぐる状 態 は大 きく変 容 し、この問 題 を学 際 的 に共 同 研 究 する こと が課 題 のひとつとされている。 子 どもをめぐる問 題 を広 い視 野 で捉 えると、「子 どもの生 命 と健 康 をめぐる問 題 」、虐 待 や親 子 関 係 などの変 貌 にみる「子 どもと家 庭 の問 題 」、児 童 養 護 施 設 の養 護 、障 害 を持 つ子 ども の 保 育 ・教 育 や学 童 保 育 な どにみ る「子 どもと福 祉 ・教 育 の 問 題 」、子 どもの保 育 や教 育 の 質 を問 う「保 育 園 ・幼 稚 園 や小 学 校 の問 題 」、子 育 て支 援 、子 育 てネットワーク、塾 、お けい こごとなど「子 どもと地 域 の問 題 」、テレビ番 組 、児 童 雑 誌 、児 童 映 画 ・文 学 作 品 など「子 ども と文 化 の問 題 」、教 育 政 策 、学 校 づくり、不 登 校 、ひきこもり、い わゆる「小 1 プロブレム」、学 級 崩 壊 など「子 どもと教 育 問 題 」などである。これらの「問 題 」は、福 祉 、保 育 、教 育 分 野 の実 践 と理 論 の重 要 な研 究 課 題 である。 本演習は、履修者の皆さんが、①福祉、保育、教育の分野の基礎および最新の動向を学際 的に学ぶこと、②研究をする視野を拡げること、③文献や資料の読み方、リポートの書き方・報告 のしかたの工夫を習得すること、を目的とする。 授業の 進め方 具 体 的 には、前 半 で、以 下 の2冊 のテキストを使 用 してゼミ形 式 で学 ぶ。 ま ず、①牧 陽 子 『産 め る 国 フランスの 子 育 て事 情 出 生 率 はな ぜ高 い の か』(明 石 書 店 、2008年 )をテキストに、広 い視 野 から子 育 て支 援 を考 える。つぎに②網 野 武 博 『児 童 福 祉 学 -子 ども主 体 への学 際 的 アプローチ』(中 央 法 規 、2002年 )を通 して、子 どもの戦 後 50 年 の歴 史 的 展 開 過 程 につい て学 ぶ。それとともに、③史 資 料 の 読 み方 、論 文 の書 き方 な ど の基 礎 的 な力 を身 につける。 後 半 は、履 修 者 の問 題 関 心 にそ って地 球 的 な視 野 で、福 祉 、保 育 、教 育 な ど学 際 的 な 視 座 を持 ち、乳 児 から青 年 期 までを見 通 した子 どもの問 題 を追 究 する。履修者の問 題 関 心 により、①と②の順 を入 れ替 える ことがあ るが、どち らにし ても履 修 者 が分 担 し てリポート(テ キ ストの要 旨 +討 論 課 題 の提 起 +報 告 者 の意 見 )をまとめ、それをもとにゼミ参 加 者 全 員 で討 論 を深 める、ゼミ方 式 にする。 テキスト 牧 陽 子 『産 める国 フランスの子 育 て事 情 』明 石 書 店 、2008年 。 網 野 武 博 『児 童 福 祉 学 -子 ども主 体 への学 際 的 アプローチ』中 央 法 規 、2002年 。 その他 、ゼミで適 宜 提 起 する。 参考文献 横 田 增 生 『フランスの子 育 てが、日 本 よりも10倍 楽 な理 由 』洋 泉 社 、2009年 。 赤 川 学 『子 どもが減 って何 が悪 いか』ちくま新 書 、2004年 。 汐 見 稔 幸 編 著 『世 界 に学 ぼう! 子 育 て支 援 』フレーベル館 、2003年 。 山 野 良 一 『子 どもの最 貧 国 ・日 本 学 力 ・心 身 ・社 会 にお よぶ諸 影 響 』光 文 社 新 書 、2008 年。 阿 部 彩 『子 どもの貧 困 -日 本 の不 公 平 を考 える』岩 波 新 書 、2008年 。 児 童 福 祉 法 制 定 60周 年 記 念 全 国 子 ども家 庭 福 祉 会 議 実 行 委 員 会 編 『日 本 の子 ども家 庭 福 祉 -児 童 福 祉 法 制 定 60年 の歩 み』明 石 書 店 、2007年 。 高 橋 勝 『子 どもの<暮 らし>の社 会 史 』川 島 書 店 、1970年 。 成績評価 ① 習で討論のため提出するリポート、②演習での発言、③前期、後期の課題リポート、によって行う。 履修に 保育や児童福祉を研究対象にする人は勿論のこと、視野を広げるために、保育や児童福祉に関心の ある人の受講を歓迎します。 ついて 科目名 司法福祉論演習 (2011年度開講予定) 4単位 担当者 湯原 悦子 目 司法福祉は現代司法の理念であるとともに、実践的には「広義の司法」の場で、適正な法手続きによる問題の「規範的解 決システム」と協働して、心理・社会的事実の把握に立つ適正な科学的方法による「実体的解決・緩和」を達成することを課 題としている。 これは、具体的には何を意味するのだろうか。子どもの虐待死を例に考えてみよう。子どもが親に虐待され、死に至った。加 害者である親は「規範的解決システム」にのっとり逮捕・起訴され、裁判が行われ、罪の内容に応じ、刑の執行が言い渡され る。しかし、これら一連の法手続きが終了しても、事件の背景となった社会的な問題の解決がなされていなければ(実体的解 決・緩和)、 再び似たような事件が別の場所で生じ続ける可能性は高い。 本演習では、はじめに日本における司法福祉の今日的課題を概観し、それに関連する理論を学ぶ。そのうえで、法的アプ ローチと福祉臨床的アプローチそれぞれの考え方と方法を理解し、犯罪や非行、権利擁護などについて 「実体的解決・緩 和」を追求する力を得ることを演習の到達目標とする。 的 テーマ 社会問題の「規範的解決」と「実体的解決・緩和」 授業の 進め方 第 1 講:オリエンテーション・司法福祉の意義と課題 第 2 講:犯罪・非行の基礎理論1 第 3 講:犯罪・非行の基礎理論 2 第 4、5 講:受講生各人の発表 (個別事件をとりあげ、理論を用いて説明を試みる) 第 6、7 講:犯罪者・非行の処遇システム 逮捕~裁判まで テーマ:非行と児童相談所 長崎 or 佐世保事件+服部論文 論点に基づきディスカッション 第 8、9 講:犯罪者・非行の処遇システム 施設内処遇① 湯原より講義(60 分)児童自立支援施設、少年院の概略 学生より報告(60 分)愛知学園事件 テーマ:なぜ生じたのか、何が悪かったのか。再発防止に向けて何をすべきか。 ゲスト講師による特別講義(60 分) 第 10、11 講:犯罪者・非行の処遇システム 施設内処遇② 湯原より講義(60 分)刑務所の概略、ビデオなど 学生より報告 名古屋刑務所事件、PFI 刑務所に関する対談報告(30 分) テーマ:名古屋刑務所事件はなぜ生じたか。PFI 刑務所はその解決の一つの策足りえるか。 第 12、13 講:犯罪者・非行の処遇システム 施設内処遇③ 学生より報告、犯罪・非行の治療教育、矯正プログラムに関する論文(薬物 or 性犯罪) ビデオ鑑賞 瀬戸少年院(60 分) テーマに基づきディスカッション 第 14、15 講:社会内処遇①(保護観察) 学生より報告 保護観察に関する説明、 保護観察が問題になった事件 ビデオ鑑賞(保護観察の問題点)or ゲスト講師(保護司) テーマに基づきディスカッション 第 16 講:社会内処遇②(海外の処遇制度) 学生より報告 テーマに基づきディスカッション 第 17 講:非行と家族関係 学生より報告、橋本和明著『虐待と非行臨床』、児童虐待が問題となる家庭事件の実証的研究第 4 章「虐待は非行にどう 影響するのか」 テーマに基づきディスカッション 第 18 講:犯罪・非行と家族、職場、地域 学生より報告、環境犯罪学、ゲーテッド・タウン テーマに基づきディスカッション 第 19 講:犯罪被害者 学生より報告、池田小学校事件、犯罪被害者基本法 テーマに基づきディスカッション 第 20 講:修復的司法 学生より報告、海外での実践から明らかになった課題、日本の実践 テーマに基づきディスカッション 第 21 講:累犯障害者1 学生より報告、最新の日本の取り組み 第 22 講:累犯障害者2 学生より報告、海外の取り組み(オーストラリア、justice client) 第 23 講:子ども虐待と司法 第 24 講:介護殺人と裁判「事例」分析 第 25 講:ドメスティックバイオレンスと国際親権 第 26~第 29 講:時事テーマ 第 30 講:講義のまとめ 注意事項 (1)その週の読書課題を終え、討論テーマについて自分なりの意見を持っておくこと。 (2)新聞を読み、社会で話題になっている事件の概要について理解しておくこと。 テキスト 藤岡淳子『犯罪・非行の心理学』有斐閣ブックス 2007. 山本譲司『累犯障害者 獄のなかの不条理』新潮社 2006. その他、必要な論文を講義期間中に配付する。 参考文献 山口幸男『司法福祉論 増補版』ミネルヴァ書房 2005. 加藤幸雄『非行臨床と司法福祉』ミネルヴァ書房 2003. 矢島正見、丸秀康、山本功『よくわかる犯罪社会学入門』学陽書房 2005. 藤本哲也『犯罪学原論』日本加除出版 2003. 酒井肇・酒井智恵・池埜聡・倉石哲也『犯罪被害者支援とは何か』ミネルヴァ書房 2004. 津崎哲郎、橋本和明編『児童虐待は、いま 連携システムの構築に向けて』ミネルヴァ書房 2008. 加藤悦子『介護殺人-司法福祉の視点から』クレス出版 2005 成績評価 ・第 4、5 講で行う各人の発表 ・演習での報告、討論の内容 ・前期・学期末の課題レポート(各々2000 字を予定) 科目名 福祉住環境論演習 担当者 児玉善郎 4単位 テーマ:人間の生活を支える福祉住環境の課題と展望 わたしたち人間の生活にとって、住環境は不可欠な存在である。住環境のあり様によって、生活の質が 大きく左右されることになる。生活上の問題や困難を抱える人たちを社会的に援助する仕組みが社会福 祉、社会保障と考えられるが、その援助のあり様は、対象者の住環境と切り離して考えることはできない。 目的 本演習では、このような問題認識にもとづき、さまざまな状態にある対象者にとっての、住環境の現状と 課題を認識し、今後の展望について探求することをねらいとする。本演習においては、住環境を住居にお ける生活環境として狭く捉えるのではなく、入所施設や長期療養病院などの環境を含めて幅広く捉えて 検討する。さらに、建物としての住環境だけでなく、道路、公園、公共交通機関など地域空間についても、 居住に関わる生活環境として検討の対象とする。 本演習では、以下のような様々な視点から、住環境の現状課題と展望について検討する。演習の進 め方としては、院生が以下の住環境に関するテーマを分担し、発表レポートを作成する。毎回の演習で は、担当院生が分担したテーマについてレポートにもとづき発表し、その内容について全員で討論する。 前期と後期の最初に、各自が取り上げるテーマの設定、演習の進め方について、履修した院生の意向 授業の を考慮して決める。 進め方 (演習で取り組むテーマの例示) 1. 国内の住居や施設の住環境の現状と課題 2. 海外の福祉先進国における住居や施設の住環境の現状と課題 3. 国内の居住を取り巻く施策、制度の動向と課題 4. バリアフリー、ユニバーサルデザインの現状と課題 テキスト など テキストは特に指定しない。 井上由起子『いえとまちの中で老い衰える』中央法規出版、2006 松岡洋子『デンマークの高齢者福祉と地域居住』新評論、2005 参考文献 外山義『自宅でない在宅』医学書院、2003 川内義彦『ユニバーサルデザイン・バリアフリーへの問いかけ』学芸出版社、2001 成績評価 ① 席、②演習で討論のために提出するレポートと発表内容、③演習での討論への参加状況を総合して 評価する。 [特別演習科目] 科目名 福祉社会開発特別演習 (国際社会開発専攻合併開講) 担当者 平野 隆之 ・ 穂坂 光彦 2単位 COEプログラムで研究を深めてきた「福祉社会開発」の考え方と方法について、実際のフィールドを素材 としながら学習を深める。「福祉社会開発」の考え方については、3つの段階を経て発展してきた。①新た 目 的 な概念の形成・構築のプロセス、②概念としての定義づけ、③福祉社会開発という概念の応用。現在は、 その応用の段階にあり、これまでの概念形成のプロセスを紹介するとともに、応用段階における研究仮説と その実際を可能な範囲で紹介する。これらを通じて、博士課程の名称ともなっている「福祉社会開発」につ いてのより深い理解がなされるとともに、フィールドワークを含む研究の展開過程を学ぶことができる。 2回に分けた集中講義の形式をとる。 第 1 回の講義において、1)福祉社会開発に関して、①新たな概念の形成・構築のプロセス、②概念とし ての定義づけ、③概念の応用の3つのレベルでの基本的な講義を行うとともに、2)福祉社会開発を用いた 授業の フィールドワーク研究の方法について解説する。演習のための教材としては、①印刷の教材に加えて、②フ 進め方 ィールドに関する映像教材、③フィールドでの実践者からの報告を用いる。 第 2 回の講義は、「アジア福祉社会開発研究センター」が実施している研究内容、中山間地での福祉 社会開発の実践的研究を取り上げ、そこで用いている研究方法について学ぶ。共同研究に参加する実践 者による報告を含め、フィールドワークの方法の習得を目指す。 テキスト アジア福祉社会開発研究センター『福祉社会開発事例集(仮称)』(発行予定) 参考文献 『福祉社会開発の構築』、『福祉社会開発学』(ミネルヴァ書房) 成績評価 集中講義による演習なので、出席点とそこでの発言を重視する。 リポートによる評価方法をとる。
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