PES−Eβの臨床使用報告 -アルブミンを中心に- 両国東口クリニック 宮城 知徳、松山 良信、深瀬征樹、西連地 康 大山 恵子、諸見里 仁、大山 博司 1 2009/9/8 はじめに NIPRO社製PES−Eβ(以下Eβ)はそのアル ブミン(以下Alb)漏出の少なさから血中Alb濃 度値(以下血中Alb)の改善が期待できると思 われた。 (カタログスペックAlbふるい係数0.01以下、推 定Alb漏出量0.3g) z また、β2ーMicrogrobrin(以下β2)高値の 患者などハイパフォーマンス膜を使用したい患 者などへの使用が期待された。 z 血中Albとβ2についてその推移を調べた。 z 2 2009/9/8 方法 z z z 当院でダイアライザーをEβに変更した患者の血中Albを月1 回ならびにβ2を2ヶ月に一回測 定した。 透析液排液から求めたAlb漏出量を、NIPRO社製PES−D (以下PES−D)、旭メディカル社製APS−SA(以下APS− SA)と比較した。 比較に際しては菅野有造(東京医科歯科大学)らによる持続 採取法(*1)によって透析液排液からAlb漏出量を算出した。 (QD=400ml/minより500ml/h持続採取) *1:第47回日本透析医学会学術集会・総会抄録0-1530「ロー ラーポンプを用いた溶質除去算出について」 3 2009/9/8 症例報告 63才女性(原疾患:多発性嚢胞腎、透析歴6 年、週3回4h透析)透析導入5年のFB−150 Pを使用していたが、2005年8月の検査でβ2 の上昇を認めたので下記のように変更した。 2006年1月までAPS−15S 同年2月∼APS−18Sへ変更 同年6月∼18Sの供給停止⇒PES−170D 同年10月∼FB−150Pを週2回隔日、PES −170Dを中日に使用 同年12月∼PES−150Eβ 4 2009/9/8 ダイアライザーと血中β2−MG、Alb濃度グラフ ※1 FB-150P APS15S APS18S PES- PES150Eβ170Eβ PES170D 5 2009/9/8 ※1 隔日FFB−150P、中日PES−170D 血中β2−MG濃度推移 変更前ダイアライザー素材別血中β2値グラフ 50 血中β2値(mg/dl) 45 40 35 30 25 20 PES−Dからの変更群 n=3 FB−Pからの変更群 n=3 15 2 4 Eβ変更からの期間(月) 6 6 2009/9/8 ダイアライザー別血中アルブミン濃度推移 ダイアライザー別血中Alb値推移グラフ 4.5 血中Alb値(mg/dl) 4 3.5 3 2.5 PES−Dからの変更群 n=9 FB−Pからの変更群 n=3 2 変更月 1 2 Eβへ変更からの期間(月) 3 4 7 2009/9/8 アルブミン漏出比較棒グラフ ダイアライザー別アルブミン経時漏出量グラフ アルブミン漏出量 (g) 4 3.30±0.44 PES−Eβ n=5 APS−SA n=3 PES−D n=3 3.5 3 2.48±0.33 MEAN±S.D. 2.5 0.015±0.011 2 1.5 1.88±0.22 0.18±0.03 1.39±0.18 0.18±0.03 1 0.028 ±0.09 0.024± 0.009 0.5 0.18± 0.025 0.19± 0.019 0.053± 0.03 0 1h 2h 3h 透析時間 (h) 終了時 8 2009/9/8 結果・考察 z z z z Eβのアルブミン漏出量は計測した他の2つの 膜素材よりも少なかった。 Eβ使用群は比較したどの膜素材からでもβ2 を上昇させることはなかった。 Eβの使用は臨床的にも低アルブミン症例に有 効であると思われた。今後もより対象者数を増 やし、調べることが望まれる。 Eβの使用によってアルブミン、及びβ2の改善 に効果が考えられるものと思われ、アルブミン 値が改善することは生命予後の向上ならびに グリコアルブミン測定精度の向上にも効果があ るものと思われる。 9 2009/9/8 当院のPES−Eβ使用患者の割合 当院ダイアライザー割合 当院ダイアライザー割合 患者数 FB 47 PES 14 APS 30 % 平均年齢 49 62.4 16 62.5 34 53.5 33% FB PES APS 52% 15% 10 2009/9/8 アルブミン漏出時差分比較 アルブミン漏出時差分 1.6 1.4 アルブミン漏出量 (mg/dl) 1.2 1 0.8 A社PS PES−Eβ PES−D 0.6 0.4 0.2 0 1 2 3 4 -0.2 透析時間 (h) 11 2009/9/8 アルブミン漏出積算比較 各素材のアルブミン漏出積算量 3.5 3 ア ル ブミン漏 出 量 2.5 2 A社PS PES−D PES−Eβ 1.5 1 0.5 0 1 2 3 4 透析時間 12 2009/9/8
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