紫匂う西府野No,9 12月1日号

紫匂う西府野
学校だより
No.9 平成27(2015).12.1
府中市立府中第十中学校校長 鷲尾 仁
「拾った人だけがわかるんじゃよ」
この言葉は、実話をベースとした日本初の「そうじ小説」である
『なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?』(志賀内泰弘さん著)の中で、主人公が掃除をするきっか
けとなった老人から言われる言葉です。
「そうじ小説」である『なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?』を紹介します。
主人公圭介は、とあるサラリーマン。公園で「ゴミ拾いをする老人」と出会い、「どうしてゴミ
を拾っているのか、拾うと何かよいことがあるんですか?」と尋ね、 「拾った人だけ
がわかるんじゃよ」 と言われることから、物語ははじまります。
その後、あることをきっかけに、主人公も始業前に、「事務所前のそうじ」をはじめることにな
ります。しばらくすると、その影響を受けた同僚や部下の人たちなど会社の人全員が、主人公に協
力して、そうじをはじめるようになります。
そして、そうじをみんなでやるようになったことを境に、いろいろな変化が表れるようになりま
す。営業活動ができなかった部下が注文をとれるようになったり、職場の雰囲気や売り上げがどん
どん良くなっていくのです。
主人公も最初、
「そうじをすると売上が上がるのか? お金が手に入るのか? 得をするのか?」
ということを考えて、そうじを始めました。
しかし、その頃には、別にそんなことはどうでもよくなっています。そうじをするのが気持ちよ
くなってしまった今、得とか損とか関係なく、そうじをやめようとは、まったく思わなくなってし
まっているのです。そして、主人公は気づきます。
「そうじはみんなでやっているけど、やり方はそれぞれバラバラだ。窓を一生懸命に拭く人。隅
っこを徹底的にキレイにする人。同じ場所を何回も掃く人。でも、みんなそれぞれが、どうしたら
早くキレイになるか考えながらそうじしているはずなんだ。誰でも時間をムダにしたくはないから
な。その中で、打ち合わせなんてしないからわからないけど、一人ひとりが何か変った気がするん
だよ」
最初は「ただ、そうじをしていただけ」だったが、何かが変わりはじめていると考えます。
その後、公園でそうじをしていた老人から、次のような話を聞きます。
「ワシは昔な、ホテルのレストランでウエイターをやっておったことがあった」
老人は遠くの空を仰ぎ見ながら話し始めた。
「ある夏の暑い日のことじゃった。1 人の紳士が汗を拭き拭き入ってきた。それを見たワシはす
かさず、エアコンの風が当たる席に案内した。えらく喜んでくれてな。チップまでくれたんじゃ、
それもかなり多く」
「はい…」
圭介は、一瞬で、老人の昔話に引き込まれた。
「それから数日後にまた、その紳士はやってきた。前のことが頭にあって、迷わずエアコンの前の
席へと案内をしたんじゃ。するとな、『バカモン!』と怒られた。なぜじゃと思うかな」
「……」
「その日も確かに暑い日じゃったが、紳士は汗 1 つかいておらなんだ。なぜなら、ホテルの玄関
までハイヤーで乗りつけたからじゃった。叱りつけられた後で、その紳士はまだ若造だったワシに
教えてくれた……。『仕事とは気づき』じゃとな。『気づきをたくさんするためには、そうじをしな
さい』と言われたのじゃ。それでワシはそうじを始めた。早く出勤して開店前のレストランを嘗め
るようにそうじした」
「そのうち、何だかわからんがな…、今まで見えなかったものが見えてくるようになったんじゃ。
お前さんの好きな理屈で言うとこういうことじゃ。そうじというのは、汚い所をキレイにするとい
うことじゃ。まず、汚い所を探すことが習慣になる。ウエイターの仕事をしていても、四六時中、
フロアに何かゴミが落ちていないか気遣うようになったんだな。そのおかげで、お客様の忘れ物や
落し物を何度見つけたことか。お客様が店を出る寸前に声をかけて渡すと、非常に感謝された。そ
して、もちろん、さっきのような過ちはせんようになった。お客様が何を欲しておられるか、何を
望んでおられるか、声をかけられる前に 『考えて気づく』というクセが身についた んじゃ。もちろ
ん、何年も、何年もかかったな、これには…」
そうじをする。そうじをすると、汚い所に気づくようになる。その「気づき」は、日頃の仕事の
気づきにも生かされる。すると、お客様が自分のファンになってくれる。仕事が増える。これが会
社全体で行われれば、会社の売上が上がることになる。「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわ
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ざと同じである。
おぉ、そうだ。1 つ言い忘れておった。忠告しておくがな、実は、そういうわけで、そうじをす
ると売上が上がるんじゃよ。だがな、問題はそこにある。『売上が上がるから拾おうとか、お金が
手に入るから拾おう』と思ったとたん、売上が上がらなくなる。これがまた不思議でな。このカラ
クリは、ワシもいまだにわからん。ワッハハハ」
「拾った人だけがわかるんじゃよ」
なぜ「そうじ」をすると人生が変わってしまうのか?
それは…、
「ゴミを1つ拾う者は、大切な何かを1つ拾っている」からなのです。
…続く
11月24日から12月4日まで、落ち葉掃きボランティアが行われています。十中では、毎年こ
の時期に生徒会主催で実施しています。今年は、毎日50人以上の生徒が、朝7:40から参加して
います。最初は、校庭の一面が落ち葉で覆われていたのが、日に日に、きれいになっていきます。
参加した人たちは、どんなことに気がつき、どんなことを経験することができたのでしょうか。
今、企業では、始業前に全員で自主的に掃除をするところが増えているそうです。十中でも、生徒
会や環境美化委員会を中心に、「明るいあいさつ、きれいな学校」をスローガンに生徒一丸で活動し
ています。それは、十中の良さのベースとなっています。明るいあいさつをお互いにすることが良い
雰囲気、人間関係を作り、きれいな学校の思いが生徒全員の意識を高め、細かな異変や間違いも見落
とさない生活につながっているのだと思います。
表彰や活動のおしらせ
○第7回中学生「東京駅伝」大会 府中市代表選手候補
長江君(2-1)、中武君(2-3)、鈴木(美)さん(2-2)
2月7日に味の素スタジアムで行われる中学生東京駅伝大会の府中市代表候補に十中から3名の
2年生が選ばれました。今後、他校の選手と一緒に練習会に参加して、府中市の代表として活躍し
てくれることを 期待しています。
○平成27年度 薬物乱用防止標語 東京都選考
優良賞 横山君(2-1) 標語「一度だけ その一度だけが
二度三度」
◎薬物乱用防止活動率先校として、府中第十中学校(ポスター、標語の両方の部門で)が選ば
れました。
○府中市小・中学生人権作文 優良賞
高橋さん(1-2)、佐藤(湧)君(3-1)、竹谷さん(3-1)、田邉さん(3-1)、田中さん(3-3)
○府中市 税の作文コンクール 府中市教育委員会優秀賞 瀬川さん(3-2)
○武蔵府中間税会「税の標語」優秀賞市川(晏)さん(3-2)特別賞松本(彩)さん(3-1)
○東京都中学校学年別相撲大会 3年生の部 優勝 松村(将)君(3-3)
○女子バレーボール部
東京都中学校新人大会 十中 0-2 志村一中 (17-25, 21-25)
○女子バスケットボール部 東京都中学校新人大会 十中 62-61 長房中
十中 55-81 東京成徳中
12月の予定
日
12/4
6
7
9
11
14
15
曜
金
日
月
水
金
月
火
〔スクールカウンセラー勤務日 12月3日、10日、17日〕
行事
日
曜
行事
教育相談期間・作品展示会 終
21 月 学年朝礼
府中市人権作文発表会(ふるさとホール)13:30 ~
24 木 給食終 ⑤大掃除
朝礼(安全指導)
25 金 終業式 スクールコミュニティ協議会
⑤全校音楽集会 一斉委員会
26 土 冬季休業始(1/7 まで)
体育館(LED・耐震)工事(2/14 まで)
1/8(金) 始業式、3年生模擬面接練習
朝礼(生徒会)
1/12(火) 宿題テスト、給食始
私立入試相談 始
1/22(金) 小中連携の日(五小)
※9日の音楽集会は 五小の6年生が参観します。
※P連スポーツ大会(卓球)12/13(日)府中市総合体育館
※11/21のP連バレーボール大会の予選(1勝1敗)では、選手の皆さんの活躍とたくさんの方
の応援、ありがとうございました。
養護教諭の交代のお知らせ
養護教諭の村田先生がご出産で休業されるため、12月17日から工藤先生が養護教諭と
して勤務されます。他校での勤務経験も長いので、けがや病気の対応や健康のことなど、気
軽に相談してください。
学校評価アンケートのご協力のお願い
十中をよりよい学校にしていくために保護者対象のアンケートを実施します。7日(月)に配布、
17日(木)締め切りです。どうぞ、よろしくお願いいたします。
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