Moody`s Global Corporate Finance

www.moodys.co.jp
Moody's Global
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Corporate Finance
2010 ౫ 9 ሰ 30 ᅠ
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1
概要
格付け対象について
2
業界の概観
3
本格付け手法について
7
9
格付け要因の検討
20
関連リサーチ
21
付録
22
谷本 伸介
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本格付け手法は、旅客鉄道会社の信用 リ ス ク 評価において ムーデ ィ ーズが
用い る グ ロ ーバルな アプ ロ ーチについて説明 し てい る。 本格付け手法は、
旅客鉄道業界の信用プ ロ フ ァ イ ルの評価に用い る こ と ので き る ツール を
提供 し 、 発行体、 投資家、 他の市場参加者が、 主要な定量 ・ 定性 リ ス ク 要
因が個々の格付けに ど の よ う な影響を与え る 可能性が あ る か を理解す る
ための一助 と な る こ と を目的 と し てい る。 本格付け手法は、 ムーデ ィ ーズ
に よ る 格付 け に反映 さ れ る 全 て の要因 を 網羅 し た も の で は な く 、 ム ー
デ ィ ーズが最終的な格付け を決定す る 上で考慮す る 主要な検討項目 と 財
務指標を読者が理解で き る よ う にす る も のであ る。
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結論 : 格付け表に基づく格付け結果の要約
Global Passenger Railway Companies
03-5408-4100
03.5408.4027
SVP- チーム リ ーダー
[email protected]
本格付け手法で扱 う 旅客鉄道会社は、 旅客お よ び (ま たは) 貨物に鉄道運
輸サービ ス を提供 し 、旅客向けサービ ス の売上高が鉄道運輸サービ ス の売
上高の大半を占め る鉄道会社であ る。非鉄道事業の売上高が鉄道事業 と 密
接に関連 し てい る場合 (た と えば、 駅の スペース を店舗 と し て利用する こ
と で、 大規模な リ テール事業を展開 し てい る な ど) 、 非鉄道事業の売上高
を旅客事業の売上高に含め る こ と も あ る。
本格付け手法は、 連結売上高の 50% 以上が鉄道運輸サービ ス か ら 生み出
さ れ る鉄道会社を対象 と す る。
本稿は、 詳細な格付け表 と 、 格付け表の中で格付け対象各社が ど こ に位置
付け ら れ る か を格付け要因ご と に例示す る 。 格付け表は、 旅客鉄道セ ク
タ ーの中で各社の信用プ ロ フ ァ イ ルが ど の位置に あ る か を大 ま かに示す
ための参照ツールを提供す る こ と を目的 と し てい る。 格付け表は、 旅客鉄
道会社の格付けにおいて、一般に最 も 重要 と さ れ る 要因についてのガ イ ダ
ン ス の要約を提示す る も のであ る。 格付け表は、 格付け要因を集約 し た も
のであ る が、 格付けで考慮 さ れ る 全ての要因を含んでい る わけではな く 、
ムーデ ィ ーズが将来の見通 し も 格付けに織 り 込むのに対 し 、 こ こ に例示す
る格付け表への位置付けでは、 過去の業績を用いてい る 。 そのため、 各社
の格付け表に基づ く 格付けは、実際の格付け と 一致 し ない こ と が予想 さ れ
る。 格付け表は、 ムーデ ィ ーズが信用 リ ス ク を分析 し 、 旅客鉄道会社に格
付け を付与す る際に検討す る 5 つの主要要因か ら 構成 さ れ る。
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Moody’s Global Corporate Finance
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1. 規模 と 分散性
2. 市場地位
3. コ ス ト 基盤 と 収益性
4. 財務方針、 流動性、 資本構造
5.
財務力
こ れ ら の要因は、 い く つかのサブ要因ま たは指標か ら 構成 さ れ る。 それ ら の詳細は後述す る。 すべて
の要因におけ る 評価が、 各社の総合的な格付け と 一致す る水準にな る と は限 ら ないため、 特定の要因
において格付け表に基づ く 格付けが実際の格付けか ら 大幅に乖離 し てい る 発行体、「ア ウ ト ラ イ ヤー」
に関 し て も 議論す る 。
ま た、 経営陣の質や投資戦略な ど、 鉄道会社に付与 し た格付けに大 き な影響を与え得る 一般的な要因
について も 、 本レ ポー ト で別途議論する 。
鉄道業界が直面す る 課題の概要
„
格付け手法 と 格付けの質を左右する 主要な要因の説明
„
格付け手法の適用を示 し た表
„
格付け手法の適用結果の概要
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„
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本稿の主要な内容は次の通 り であ る 。
本稿の付録に、 主要格付け要因 と サブ要因ご と の格付け を示 し た格付け表 と 、 各要因の組み合わせに
よ る 総合的な推定格付けであ る 数字付加記号付き 格付け を掲載する 。 ただ し 、 発行体の実際の格付け
が、 格付け表に基づ く 推定格付け と 正確に一致 し ない こ と が予想 さ れ る 。
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ムーデ ィ ーズは現在、 世界の旅客鉄道会社 15 社に格付け を付与 し てお り 、 格付け対象債務の総額は
約 360 億 ド ルであ る。 こ れ ら の鉄道会社の大半が投資適格等級に格付け さ れてい る が、 格付けは広い
幅 (Aaa か ら Baa2) に ま たが る 。 業界の平均格付けは A カ テ ゴ リ ーであ る 。
日本の鉄道会社を こ のポー ト フ ォ リ オに含めた理由は、鉄道事業以外の事業が鉄道の乗客の活動 と 密
接に結びついてい る ため、非鉄道事業の売上高の大半が広い意味での鉄道運輸サービ ス の売上高に含
まれ る と 考え ら れ る ためであ る 。
ムーデ ィ ーズが政府系発行体に分類 し た発行体、 すなわち政府に よ る 保有 ま たは関与が発行体のデ
フ ォ ル ト 確率や損失規模に と っ て重要性を持つ発行体については、政府系発行体に対する 格付け手法
に基づいて格付け を付与す る 1。 発行体が政府系発行体であ る 場合、 本格付け手法は、 ムーデ ィ ーズ
が政府系発行体の格付け手法に基づいてベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 (BCA)2 を行 う 際に補完的に利
用 さ れ る 。 現在格付けが付与 さ れてい る 旅客鉄道会社の内、 7 社が政府系発行体であ る。 図表 1 に、
すべての格付け対象の旅客鉄道会社 と 公表格付け (政府系発行体の場合はベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評
価 も )、 所在地、 格付け対象債務を示す。
1. 2005 年 4 月発行の ムーデ ィ ーズの格付け手法、 "The Application of Joint Default Analysis to Government Related Issuers" (日本語
版 「政府系発行体への複合デフ ォ ル ト 分析の適用」 2005 年 5 月) 参照。
2. ベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価は 21 段階の格付け ス ケールで表 さ れ、1 が最 も リ ス ク が低 く 21 が最 も リ ス ク が高い。こ の ス ケー
ルはムーデ ィ ーズのグ ロ ーバル格付け ス ケール (同様に 21 段階) に対応 し てお り 、 ベース ラ イ ン信用 リ ス ク 評価 「1」 は 「Aaa」
格付けに、 「21」 は 「C」 格付けに相当す る 。
2
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Moody’s Global Corporate Finance
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4
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11,106
SNCB Holding(SNCB)
5
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47,672
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*BCA は、 政府系発行体に対する格付け手法における ベース ラ イ ン信用 リ ス ク評価 (上記参照) ;BCA 「4」 は Aa 格付け、 「5」 は
A1 格付け、 「6」 は A2 格付け、 「14」 は B1 格付けに相当。
本稿で言及す る 公表格付けは、 投資適格等級発行体の場合は発行体格付け、 投機的等級発行体の場合
は コ ーポ レー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レーテ ィ ン グであ る 。 全社の格付け見通 し は安定的であ る 。
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西欧
過去数十年にわた り 西欧の鉄道運輸会社の市場シ ェ アは、 貨物 ・ 旅客サービ
ス両分野で一貫 し て縮小
欧州の貨物 ・ 旅客輸送市場におけ る 鉄道のシ ェ アは、 約 30 年にわた り 大幅に低下 し て き た。 他の輸
送手段の能力ボ ト ルネ ッ ク が増大 し てい る に も かかわ ら ず、 欧州の旅客 ・ 貨物輸送の大半を道路輸送
が占めてお り 、 そのシ ェ アは継続的に上昇 し てい る。 し か し 、 鉄道輸送は車、 格安航空会社の成長に
伴いシ ェ ア を大 き く 伸ば し て き た航空輸送に続き 、 3 番目に重要な輸送手段であ る。
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10 ҽᅌૃ km
1995 ౫
3,855
2000 ౫
4,283
2006 ౫
4,602
'95-'06 ౫ǽΖȂ᤹
19.40%
౫౪ࢍΖȂ᤹
1.60%
⧘⣔
348
368
384
10.40%
0.90%
ⅸ᳧
335
456
547
63.30%
4.60%
⅋̘ؔ⠛⟥
123
136
154
24.60%
2.00%
71
77
84
17.90%
1.50%
501
514
523
4.30%
0.40%
5,277
5,876
6,333
20.10%
1.70%
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լཀ :Eurostat
旅客市場 : 2 つの主要 ト レ ン ド
既存の鉄道会社の鉄道旅客サービ ス に現在影響を与え てい る ト レ ン ド が 2 つあ る 。 まず、 長距離旅客
輸送におけ る 他の鉄道会社 と の競争は限定的であ る が、 近年、 航空会社 (大半が格安航空会社) と の
競争が激化 し てい る 。 次に、 地域鉄道旅客サービ ス の分野では、 地域輸送ネ ッ ト ワ ー ク の入札方式に
よ る 契約の増加を背景に、 鉄道業界内の競争が激化 し てい る 。
3
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長距離旅客輸送は格安航空会社に対抗 し てい く 必要がある
長距離旅客サービ ス の分野では、 500km 超の長距離輸送を中心に、 過去 10 年で参入 し て き た格安航
空会社か ら の脅威が増大 し てい る 。 多数の鉄道会社が航空会社 と 同様の運賃体系を提供 し た り 、 高速
ネ ッ ト ワ ー ク を増強 し た り す る こ と で、 航空会社に対抗 し て き た。 こ の よ う な戦略が支え と な っ て、
旅客輸送市場の需要は 2005 年以降、若干上向いて き た。高速サービ ス の改善に よ っ て、 こ のポジテ ィ
ブな ト レ ン ド は今後 も 維持 さ れ、 強ま る と ムーデ ィ ーズは予想 し てい る 。
地域輸送は依然 と し て政府支援に大き く 依存、競争入札の増加が既存事業者
の売上高に打撃を与え る
地域旅客鉄道会社 (バス事業 も 補完的に行っ てい る と こ ろが多い) は近年、 あ る 程度安定 し た売上高
を計上 し て き たが、 基本的には公共輸送に対す る補助金に依存 し てい る ( こ れがなければ獲得 し た契
約か ら 利益を上げ る こ と はで き ない) 。 実際に こ れ ら の補助金に よ っ て、 大半の地域旅客サービ ス会
社は安定的な収益を確保で き る 。 ただ し 、 入札プ ロ セ ス におけ る旅客収入の算定が現実的であ り 、 目
標 と す る 運行時間の正確 さ と 運行本数を達成 し てい る こ と が条件 と な る 。
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地域輸送の分野では、 公的な補助金だけでな く 、 長距離ネ ッ ト ワー ク に比べて必要な投資額が小 さ い
こ と が、 事業計画の安定性を支えてい る 。 こ れが、 既に海外競合会社に開放 さ れてい る 地域輸送市場
での競争を比較的激 し い も のに し てい る 一因であ る 。地域鉄道旅客市場の海外企業への開放が進んで
い る ド イ ツ では、 過去 10 年間の競争入札の約 50% を Deutsche Bahn が獲得 し 、 その他の入札を国内
企業 (例 :Ostdeutsche Eisenbahn) と 国際企業 (例 :Veolia Transport、 Schweizerische Bundesbahnen (SBB)
3 ) が獲得 し てい る。
地域鉄道事業は安定的な収入源 と し ての役割を維持する と ムーデ ィ ーズは予想 し てい る が、 今後、 輸
送サービ ス契約におけ る 競争入札の割合が高ま る と み ら れ、 こ れが既存事業者の売上高 と 収益性に打
撃を与え る 可能性があ る 。
貨物輸送市場 : 既存事業者は中核の鉄道貨物事業の収益性確保 と い う 課題に
直面
ࡖ⒙ 3:EU27 ȳ࡛ - ⠡⢌ཆᔲ֌ǽ⛨ᢼ⠡⢌⦖
⣔➇
10 ҽɐɻ km
1995 ౫
1,289
2000 ౫
1,519
2006 ౫
1,888
'95-'06 ౫ǽΖȂ᤹
46.5%
౫౪ࢍΖȂ᤹
3.5%
ᘬˀ
1,150
1,348
1,543
34.3%
2.7%
⧘⣔
386
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12.6%
1.1%
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2
2.7
3
50.0%
3.8%
3,032
3,529
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35.3%
2.8%
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出所 :Eurostat
西欧の貨物輸送事業は依然 と し て経済情勢に大き く 影響 さ れやす く 、 景気は低迷を続けてい る。 貨物
輸送量は 2 年間減少 し た後、 2002 年末に増加に転 じ た。 EU 拡大に よ る プ ラ ス の影響を主な背景 と し
て、 西欧の鉄道貨物輸送量は今後数年間、 緩やかではあ る が安定 し たペース で増加する と ムーデ ィ ー
ズは予想 し てい る 4。 輸送量の増加を収益の増加に結びつけ る こ と が望ま れ る が、 道路輸送業者か ら
の価格圧力が弱ま る こ と はないため、 こ の点が困難な課題 と し て残る と 見 ら れ る 。
道路輸送が今後 も 鉄道貨物輸送に と っ て脅威 と な る 理由は次の通 り であ る 。
„
鉄道シ ス テ ムの効率が低い主な理由は、 欧州各国間の技術的な調和性 と 互換性の欠如であ る。 こ
れが、 海外事業者に と っ て地域鉄道輸送市場への事実上の参入障壁 と な っ てい る (上述の通 り 、
欧州の規制当局は完全な自由競争を可能にす る ため、 こ の障壁を除去 し よ う と し てい る)。
3. Swiss Federal Railway (Schweizerische Bundesbahen ま たは SBB)
4. 欧州委員会、 ス イ ス の運輸 コ ン サル タ ン ト 会社 ProgTrans、 ド イ ツ の国際調査政策機関、 Zentrum
Wirtschaftsforschung(ZEW) の予想に基づ く 。
4
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fuer
Europaeische
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„
道路輸送の強みは、 欧州域内では国内で も 国境で も 輸送ルー ト に障壁がな く 、 欧州全体で道路 イ
ン フ ラ に多額の投資が行われてい る こ と であ る 。 輸送能力は限界に達 し つつあ る も のの、 こ の よ
う な強みが生産性 と サービ ス の質の大幅な向上を実現 し て き た。
„
鉄道貨物輸送サービ ス が最 も 高い効率性を発揮す る のは、 流通セ ン タ ー間の距離が長い と い う 地
理的条件下であ る 。 た と えば、 北米、 ロ シ ア、 カザフ ス タ ン な ど では、 鉄道貨物輸送の ス ピー ド
と 量 と い う 強みが、 柔軟性の不足を補っ てい る 。 一方、 柔軟性の高い道路輸送は、 欧州に よ く 見
ら れ る よ う な流通セ ン タ ー間の距離が短い場合の輸送に適 し てい る 5。
„
欧州市場では、 優先度の高い旅客輸送 と 路線を共有す る こ と か ら 生 じ る 能力のボ ト ルネ ッ ク も 、
鉄道貨物輸送事業を制約 し てい る 6。
と はいえ、 道路輸送の能力が限界に達 し つつあ る こ と や、 能力のボ ト ルネ ッ ク 、 鉄道輸送に比べ高い
コ ス ト (例 : ド イ ツ の道路通行料徴収制度の導入) を要因 と し て、 鉄道貨物業者の競争力は改善する
と ムーデ ィ ーズは見てい る 。
他の輸送手段 と の競争に対応す る ための戦略であ る連結輸送が業界統合を
促進するが、 鉄道輸送事業の地位低下につながる可能性がある
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市場シ ェ アの継続的な低下に対する 戦略的対応 と し て、一部の欧州の鉄道会社は複合輸送を拡大 し て
い る 。 こ のサービ スは集荷 と 地域配送におけ る道路輸送の柔軟性 と 、 大量の貨物を一括 し て長距離輸
送す る と い う 鉄道の強みを 1 つのパ ッ ケージに ま と め、 他の輸送手段 と 比肩 し 得 る価格、 品質、 速 さ
で提供す る も のであ る 。 鉄道貨物の減少傾向 と は対照的に、 鉄道 / 道路を組み合わせた方式での輸送
量は近年、 大幅に増加 し てい る が、 複合輸送の売上高への寄与度は輸送量ほ ど増加 し ていない。
複合輸送サービ ス の提供は、 鉄道会社が よ り 広い範囲で競争に晒 さ れ る こ と を意味す る。 鉄道会社は
貨物輸送会社だけでな く 、 多数のグ ロ ーバル企業を含む他の貨物 ・ 物流サービ ス会社 と 競争する こ と
にな る か ら であ る 。 一部の欧州鉄道会社は、 自社の複合輸送ネ ッ ト ワー ク に欠けてい る 輸送手段を補
完 し 、 自社の営業基盤に組み込むために、 買収戦略を採用 し てい る (例 :Deutsche Bahn に よ る Stinnes
の買収、 SNCF に よ る Geodis の買収、 Trenitalia の TX Logistics への資本参加)。
自社か ら 見て最 も 効率的で収益力の あ る 輸送手段を組み合わせ る こ と がで き る よ う にな っ た こ れ ら
の事業者は、 全体に焦点を定めた輸送手段を得た こ と にな り 、 こ れが戦略的なシ フ ト につなが る可能
性があ る 。 い く つかの事業者は最近、 収益性の強化を重視す る のであれば、 鉄道貨物事業への追加投
資を抑制す る べ き か も し れない と 示唆 し てい る 。
他の輸送手段を鉄道輸送 と 一体 と し て提供す る 際の メ リ ッ ト を鉄道輸送に取 り 込んでい く 方向での
政治的な努力がなければ、総合貨物輸送事業者が運輸手段の柔軟性を一層高め る こ と に よ っ て鉄道貨
物事業の地位が低下 し 、それが規制当局ま たは政府に よ る さ ら な る措置につながっ てい く 可能性があ
る。
一般に、 規制緩和 と 競争の拡大は、 制約のない競争を実現す る ために必要な条件であ る と ムーデ ィ ー
ズは考え てい る 。 し か し 、 それだけでは鉄道輸送の市場シ ェ アの低下傾向を反転 さ せ、 鉄道輸送会社
の収益性を大幅に改善 さ せ る ためには充分でない。鉄道貨物輸送会社は他の輸送手段 と 競争 し てい く
上で も 、 課題に直面 し てい る か ら であ る 。
鉄道会社が道路輸送会社 と の競争力の差を縮め る ためには、 事業効率を さ ら に改善 し 、 ス ピー ド 、 信
頼性、 柔軟性を高め る 必要があ る 。 貨物輸送事業に対する 公的な補助金については、 EU が厳 し い目
を向け る よ う にな っ てお り 、既存の鉄道貨物会社の多 く は持続可能な収益性を確保する と い う 課題に
直面 し てい る 。 こ の よ う に見通 し が不透明であ る ため、 総合輸送会社は貨物事業への関与を疑問視す
る よ う にな っ てお り 、 こ れが欧州全域で事業を行 う 貨物 ・ 流通サービ ス会社の統合を促進 し 、 小規模
な事業者への圧力が高ま る 結果、小規模事業者は事業の焦点を再び旅客事業に絞 ら ざ る を得な く な る
と ムーデ ィ ーズは見てい る 。
5. 北米の貨物輸送市場に占め る 鉄道輸送のシ ェ アは約 40% であ る 。 鉄道は、 高い相互運用性、 輸送距離の長 さ 、 異な る 貨物輸送
ネ ッ ト ワー ク で長い貨車を運行で き る こ と か ら 恩恵を受け てい る 。
6. 欧州の イ ン フ ラ 拡大の状況の詳細な評価 と 、 2010 年ま での イ ン フ ラ 投資の見通 し については、 2003 年発行の レ ポー ト 、 "TransEuropean Transport Networks INVEST Report" (http://europa.eu.it/comm/ten/whatsnew/index_en.htm) 参照。
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日本
鉄道事業は安定的
鉄道事業の収益性は引 き 続 き 安定 し てお り 、各社の輸送量にかかわ り な く 今後 も 安定 し た収益性が維
持 さ れ る と 見 ら れ る 。 若年人口 も し く は就労人口の減少に伴い、 定期券利用乗客数は減少傾向に あ
る 。 一方、 マ ク ロ 経済の改善や、 ダ イ ヤ グ ラ ムの改正 ・ 地下鉄への乗 り 入れの推進な ど の各種のサー
ビ ス の向上に よ り 、 一般乗客の輸送人員数は改善 し てい る。 ま た、 過去 1 年で各社は人員 と 維持費の
削減な ど コ ス ト 管理を大幅に強化 し て き た。 その結果、 輸送人員数が増加 し てい る 会社は も ち ろんの
こ と 、 減少 し てい る 会社で も 、 近年は コ ス ト 削減等の施策に よ り 、 収益性が改善 し てい る 。
非鉄道事業の再構築
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日本の大半の鉄道会社では、 鉄道事業が売上高に占め る割合は低い。 JR 東日本 と JR 東海は、 売上高
お よ び資産に占め る 運輸業の比率が半分を大き く 超え てい る が、民鉄各社のそれは総 じ て半分に満た
ない。 従っ て、 鉄道以外の各事業の構成が、 各社の生み出す全体 と し てのキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの質お よ
び量に と っ て重要な意味を持つ こ と にな る 。 最近の数年間において、 鉄道各社は低採算事業の再構築
と 再編成を本格的に進めて き た。 その対象 と な っ た典型的な事業分野は、 ホ テル ・ レ ジ ャ ー部門、 不
動産開発部門、 百貨店部門、 バ ス部門等であ る。 こ れ ら の事業再編成の結果、 各社の非鉄道事業全体
の収益性は改善 し 、 ま た経済情勢の変化の影響を以前 よ り 受けに く く な っ て来てい る。 従っ て、 各社
の事業全体の業績の予測可能性 も 、 以前に比較 し て高ま っ てい る。 ま た、 鉄道各社の事業ポー ト フ ォ
リ オ再構築の方向性は、 鉄道事業の営業基盤への集中を再び強めてい く こ と であ り 、 中核 と な る 営業
基盤 と の関連性が低い事業は、 縮小ない し は撤退する 方針を打ち出す例が多い。
注力す る 事業 と し ては、 鉄道事業の乗客へのサービ ス に も 貢献す る、 駅をベース と し た小売事業が挙
げ ら れ る 。 鉄道事業の持つ既存の施設を有効に利用すれば、 こ の よ う な事業は多額の投資を必要 と し
ない。 従っ て、 こ の種の事業は比較的 リ ス ク が小 さ く 、 投資 リ タ ーンが期待で き る。 一方で、 鉄道各
社の手掛け る 不動産事業の中で、 住宅開発事業は、 従来の沿線の保有土地におけ る 戸建て住宅用の大
規模宅地開発か ら 、 土地の取得を含むマ ン シ ョ ン開発に力点がシ フ ト し つつあ る。 従来は簿価の低い
保有土地の開発事業は高い利益を生み出 し ていたが、 すでに保有土地の在庫が少な く な っ てい る 。 土
地取得に よ る マ ン シ ョ ン開発事業は、 基本的に他のデベ ロ ッ パー と 同様の事業 リ ス ク を持ち、 その収
益性 と 安定性に留意が必要であ る 。
6
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ቊ጗͛ǠཆᗕǺdzǓǵ
本稿では、 鉄道会社の格付け手法を次に要約 し た 6 つのセ ク シ ョ ンに分けて説明する 。
1) 主要格付け要因の特定
本格付け手法では、 鉄道会社の信用分析において重視 さ れ る 5 つの格付け要因に焦点を絞 る 。
1. 規模 と 分散性
2. 市場地位
3. コ ス ト 基盤 と 収益性
4. 財務方針、 流動性、 資本構造
5. 財務力
5 要因それぞれの評価方法を説明す る ために、 1 つ以上のサブ要因ま たは信用指標を挙げ る。 格付け
表は合計 15 のサブ要因か ら 構成 さ れ る。
2) 主要格付け要因の評価方法
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
こ こ では、 主要要因を構成す る サブ要因を ど の よ う に算出 し 、 ウ ェ イ ト 付けす る か を説明す る。 ま
た、 特定の格付け指標を用い る 理由 と 、 それ ら の指標を格付けプ ロ セ ス に適用す る 方法 も 説明す る。
15 のサブ要因の内、 5 つがムーデ ィ ーズのアナ リ ス ト の観察に基づいてお り 、 10 のサブ要因は財務
諸表に基づ く 指標であ る 。
ムーデ ィ ーズの格付けは将来の見通 し を反映 し た も のであ る が、格付けプ ロ セ ス では過去の財務デー
タ を幅広 く 分析す る 。 過去の業績は企業業績のパ タ ーン と 傾向を理解す る一助 と な り 、 競合他社 と の
比較を行 う ために用い ら れ る 。 格付けプ ロ セ ス では過去の業績 と 見通 し の両方を考慮す る が、 本稿で
は説明目的のために過去デー タ のみを用い る 。本格付け手法で検討す る 主要要因 と サブ要因はすべて
直近の 4 四半期の公表財務デー タ を用いて測定する 。ただ し 、サブ要因の EBITA は直近 3 年間のデー
タ に基づいて算出す る 。 定量的な指標はすべてオ フバ ラ ン ス項目、 売掛債権証券化プ ロ グ ラ ム、 年金
基金の積立不足、 経常的なオペレーテ ィ ン グ ・ リ ース な ど について、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー
計算書、 お よ び賃借対照表にムーデ ィ ーズの標準的調整を織 り 込んでい る 7。
3) 格付け カ テ ゴ リ ーへのマ ッ ピ ング
各要因の評価基準を特定 し た後、11 のサブ要因の評価結果を ムーデ ィ ーズの格付け カ テ ゴ リ ー (Aaa、
Aa、 A、 Baa、 Ba、 B、 C) にマ ッ ピ ン グす る。
4) 発行体の格付け表へのマ ッ ピ ング と アウ ト ラ イヤーの検討
発行体は、 サブ要因 と 主要要因の評価結果に対応す る格付け レ ン ジにマ ッ ピ ン グ さ れ る。 特定の主要
格付け要因あ る いはサブ要因において、 あ る発行体に対す る評価が実際の格付けが示唆する 水準を上
回 る 、 ま たは下回 る 場合があ る 。 こ の よ う な発行体を、 当該主要要因ま たはサブ要因におけ る ア ウ ト
ラ イ ヤー と す る 。 特定のサブ要因の評価が実際の格付け レ ン ジ を 2 つ以上上回 る発行体を、 そのサブ
要因におけ る ポ ジ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー、 2 レ ン ジ以上下回 る 発行体を ネガ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ
ヤー と す る 。 こ のセ ク シ ョ ンでは、 主要格付け要因お よ びサブ要因ご と にア ウ ト ラ イ ヤーについての
一般的な議論を提示す る 。
7. 米国 ・ カナダの発行体については 2005 年 4 月発行の "Moody's Approach to Global Standard Adjustments in the Analysis of Financial
Statements for Non-Financial Corporations "-Part I (日本語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的調整アプ
ロ ーチ第一部」 2005 年 8 月発行)、 国際財務報告基準に基づいて財務報告を行 う 発行体については、 2005 年 7 月発行の同 Part
II (日本語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第二部」 2006 年 5 月発行)、 日本の発行体
については 2006 年 9 月発行の同 Part III (日本語版 「事業会社の財務諸表分析におけ る ムーデ ィ ーズの標準的アプ ロ ーチ第三
部」 2006 年 10 月発行) を参照 さ れたい。 ま た、 2006 年 2 月発行の スペシ ャ ル ・ コ メ ン ト "Guideline Rent Expense Multiples for
Use with Moody's Global Standard Adjustment to Capitalise Operating Leases" も 参照 さ れたい。
7
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5) 想定、 限界、 格付けに関する他の検討事項についての議論
こ のセ ク シ ョ ンでは、 格付け表を用いた格付けの限界を実際の格付け と の対照において議論 し 、 全体
的な格付け手法に関連す る 主要な想定の限界について検討する 。
6) 格付け表に基づ く 総合的な格付けの決定
格付け表に基づ く 総合的な格付け を決定す る ために、 15 のサブ要因に基づ く 格付け を次の ス ケール
に従っ て数値に変換す る 。
Aaa
Aa
A
Baa
Ba
B
Caa
1
3
6
9
12
15
18
各サブ要因の数値に ウ ェ イ ト を付加 し た後、 サブ要因の数値の加重平均を算出 し 、 それを主要格付け
要因の ス コ ア と す る 。 次に、 各主要格付け要因の ス コ ア を主要格付け要因の表にマ ッ ピ ン グ し 、 ス コ
アに対応す る 格付け レ ン ジに基づいて主要格付け要因におけ る 格付け を付与する 。格付け要因 と サブ
要因を次の表に ま と めた。
጗͛Ǡ┶ࡍ
╄ᑡǷոᄃම
ȮȯȬɐ
20%
Ƚɞ┶ࡍ
ॹˀⶲ
Ƚɞ┶ࡍǽȮȯȬɐ
10%
10%
̗Ꮱᦹऴǽય઻ම
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
లईǽᣀම
Y
̗Ꮱǽոᄃම
34%
లईࢄΡ
ȻɁɐ࣠ᬬǷ‫ہ‬ᬖම
⛥‫ؘ‬ᅀ⦠ƸᘓؔමƸ✇ቊᐦ⢧
16%
15%
15%
⛥‫מؘ‬
7%
͙ǽ⠡⢌ཆᔲǷǽᴽ̕
7%
EBITA ɦʀɀɻ
6%
(PT ⾺ PK)/ ἕ൝Ꮱ‫ݲ‬ᄋ
5%
EBIT/ ἕ✇᧳
5%
ሱ֐੿⛤҆ / ȵɫɜɇɲɄʀȿɯɻ
5%
ሱ֐੿⛤҆ /EBITDA
5%
ᘓؔම
5%
FCF/ ሱ֐੿⛤҆
5%
RCF/ ẗሱ֐੿⛤҆
5%
FFO ȬɻɇɴɁɐɿȳɘɴɋɀ
5%
ဝ઻጗͛Ǡ
Aaa
Ӵ┶ࡍǽ‫⦔ף‬ɁȻȪǽ۰╹
x < 1.50
Aa1
1.50 ļ x < 2.50
Aa2
2.50 ļ x < 3.50
Aa3
3.50 ļ x < 4.50
A1
4.50 ļ x < 5.50
A2
5.50 ļ x < 6.50
A3
6.50 ļ x < 7.50
Baa1
7.50 ļ x < 8.50
Baa2
8.50 ļ x < 9.50
Baa3
9.50 ļ x < 10.50
Ba1
10.50 ļ x < 11.50
Ba2
11.50 ļ x < 12.50
Ba3
12.50 ļ x < 13.50
B1
13.50 ļ x < 14.50
B2
14.50 ļ x < 15.50
B3
15.50 ļ x < 16.50
Caa1
16.50 ļ x < 17.50
Caa2
17.50 ļ x
鉄道会社別の全ス コ ア と マ ッ ピ ン グ結果を付録に示す。
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
10%
۴Ჷǽ⠡⢌ཆᔲǺǙǠȚᴽ̕
次に、 合計ス コ ア を次の表にマ ッ ピ ン グ し 、 格付け手法に基づ く 格付け を決定する 。
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10%
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጗͛Ǡ┶ࡍǽᎰ╿
要因 1- 規模 と 分散性 (ウ ェ イ ト 20%)
こ の要因を重視する理由
規模 と 安定性は、 格付け上の重要な検討要因であ る。 こ れ ら のサブ要因は正の相関性 (規模の大き な
企業ほ ど豊富な経営資源を持つため、 事業内容の分散性が高い) を持つが、 鉄道会社の信用プ ロ フ ァ
イ ルに与え る 影響は、 サブ要因に よ っ て異な る 。
規模 : 規模は鉄道会社の市場での競争力や価格決定力を決定する 主要な要因であ る 。 ま た、 規模が大
き ければ、 規模の経済性 と 範囲の経済性に よ っ て事業 コ ス ト を引 き下げ、 コ ス ト 効率を高め る こ と が
で き る と い う 意味で も 重要であ る 。 さ ら に、 大規模な企業は よ り 効率的な技術、 生産、 調達に投資で
き る 。 こ の よ う な投資に よ っ て、 広範な運輸市場でシ ェ ア を維持す る ためのカ ギ と な る サービ ス の質
と 顧客サービ ス の水準を改善する こ と がで き る 。 加えて、 規模が大 き ければ、 海外で採算性の高い事
業機会を得 る こ と が容易にな る 。
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
分散性 : 鉄道セ ク タ ーにおけ る 事業の分散性は、 よ り 高い成長の可能性を も た ら すため、 プ ラ ス要因
と 考え ら れ る 。 一般に、 分散性は、 (1) 事業セグ メ ン ト 、 (2) 事業地域、 (3) 顧客基盤、 の 3 つの面か
ら 見 る こ と がで き る 。 本格付け手法では、 事業セグ メ ン ト の分散性のみを検討す る。 発行体の大半は
主に国内市場に的を絞っ てお り 、 短期的に海外市場への事業拡張が行われ る と は予想 し ていないた
め、 事業地域の分散性については考慮 し ない。 し か し 、 格付け手法には織 り 込んでいない も のの、 事
業の地理的分散化に成功 し てい る 発行体については、事業地域の分散性が格付け評価にプ ラ ス の影響
を与え る と 考え ら れ る 。 顧客の分散性は、 貨物輸送のみに関連す る要因であ る。 格付け対象の発行体
は非常に広範な顧客基盤を有する ため、 こ の面での分散性は考慮 し ていない。 し か し 、 格付け手法に
は織 り 込んでいない も のの、 少数の顧客のみにエ ク ス ポージ ャ ーを有す る発行体の場合、 こ の要因は
格付け評価にマ イ ナス の影響を与え る と 考え ら れ る 。
評価基準
売上高 : 公表 さ れた連結売上高に よ っ て測定する 。
分散性 : 売上高の大ま かな分類に よ っ て測定する 。 次に挙げ る 事業セグ メ ン ト の内、 総売上高の 10%
超を占め る セグ メ ン ト の数で評価する 。 (1) 地域旅客輸送、 (2) 長距離旅客輸送、 (3) 貨物輸送、 (4) イ
ン フ ラ ( ネ ッ ト ワー ク や駅) 運営、 (5) 物流事業、 (6) 牽引サービ ス。 多数のセグ メ ン ト で事業を展開
す る 企業ほ ど高い格付けにマ ッ ピ ン グ さ れ、事業内容が 1 セグ メ ン ト のみの企業は最 も 低い ス コ ア と
な る。
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要因 1 のマ ッ ピ ング基準 : 規模 と 分散性
┶ࡍ 1: ╄ᑡǷոᄃම
጗͛Ǡ
ȳɎȼɲʀ
ॹˀⶲǽ╄ᑡ
⾷10 ҽɑɳ⾸
Ƀȸɩɻɐǽոᄃ
ම⾷ॹˀⶲǽ 10%
❞ȡᐦ༔ǨȚɃȸ
ɩɻɐǽᄋ⾸
Ƚɞ┶ࡍǽ
ȮȯȬɐ
Aaa
10%
Ľ 20
10%
Aa
A
Baa
Ba
15 ļ x < 20 10 ļ x < 15 5 ļ x < 10
4
4 ͨˀ
2:2 ᨯᬶǺॹ
ˀⶲǽⶲǓ
Ƀȸɩɻɐ
ǛॹˀⶲǺ
‫ڀ‬ȐȚׂ۰
Ǜ 30% ͨˀ
3
B
Caa
3ļx<5
0.5 ļ x < 3
< 0.5.
2:2 ᨯᬶǺॹ
ˀⶲǽⶲǓ
Ƀȸɩɻɐ
ǛॹˀⶲǺ
‫ڀ‬ȐȚׂ۰
Ǜ 30% ቈᛙ
1:2 ᨯᬶǺॹ
ˀⶲǽⶲǓ
Ƀȸɩɻɐ
ǛॹˀⶲǺ
‫ڀ‬ȐȚׂ۰
Ǜ 10% ቈᛙ
1
要因 1 に基づ く マ ッ ピ ングの結果 : 規模 と 分散性
Ή᰷֌ɦɋɜɻȸ - ┶ࡍ 1: ╄ᑡǷոᄃම
┶ࡍ 1 Ǻ࣠ǴǞ
BCA
╄ᑡ
10%
ոᄃම
10%
Aaa
Aa
4 (Aa3)
጗͛Ǡ 20%
Aa
MAV
Baa2
14 (B1)
Ba
B
A
Norges Statsbaner
Aa1
4 (Aa3)
Baa
B
Aa
SNCB Holding
Aa1
5 (A1)
Baa
Ba
A
SNCF
Aaa
5 (A1)
Aa
Aaa
Aa
Y
ᥰࢀǽ጗͛Ǡ
Aa1
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
┶ࡍǽȮȯȬɐ
Deutsche Bahn
ኇᅠቊᅌૃ⧘⣔⾷JR ኇᅠቊ⾸
Aa1
A
Aaa
Ba
ኇᘬᅌૃ⧘⣔⾷JR ኇᘬ⾸
Aa2
Baa
Aa
Ba
⬄┴ⶲ⢦⧘⣔
Aa2
B
Caa
B
̸᤽⯍⧘⾷̸᤽⾸
A2
B
Ba
B
̸ᘛබ⒅⯍⧘⾷̸බ⾸
A3
B
Ba
B
⬰බ⬰᱌ɣʀɳɏȫɻȸɁ⾷⬰බ⬰᱌⾸
Baa1
Ba
Baa
B
⡨ᨾᅠቊ⧘⣔⾷⡨⧘⾸
Baa2
Ba
Baa
B
ኇ̸බ⒅⯍⧘⾷ኇබ⾸
Korail
Baa2
Ba
A
B
A2
6 (A2)
B
B
Ba
MTR
Aa2
6 (A2)
Ba
B
Baa
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
欧州 ・ 中東 ・ ア フ リ カ (EMEA) の鉄道会社で規模 と 分散性におけ る ネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と
な っ たのは、 Norges Statsbaner の 1 社であ る。 同社の評価は、 比較的規模が小 さ い こ と と 、 限定的な
分散性か ら 制約を受けてい る 。 こ の要因でア ウ ト ラ イ ヤー と な ら なかっ たア ジ アの鉄道会社は 4 社の
みであ る (東急、 阪急阪神、 近鉄、 JR 東日本)。 こ れは、 EMEA の鉄道会社が比較的小規模の市場で
分散性の低い鉄道事業を行っ てい る のに対 し 、 ア ジ アの鉄道会社は EMEA の鉄道会社 と は異な る 事
業モデル を採用す る 傾向が あ る ためで あ る 。 ま た、 日本の鉄道会社は鉄道以外の分野 (小売、 不動
産、 ホ テルな ど) で大規模な事業を展開 し てい る と こ ろが多い。 こ れ ら の鉄道以外の事業は自社の鉄
道顧客を対象 と し てお り 、 鉄道事業の資産の有効活用 と 、 資産価値の一層の向上に貢献 し てい る 。 本
格付け手法では、 こ の タ イ プの分散性は捕捉で き ない。
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要因 2- 市場地位 (ウ ェ イ ト 34%)
こ の要因を重視する理由
旅客鉄道会社の市場地位は、 会社に よ っ て大 き く 異な る。 こ の要因は、 会社の事業モデル と 将来の成
長性を測定す る も のであ る ため、 重要な信用指標であ る。 こ の要因を評価す る にあ た り 、 (1) 事業に
対す る 規制の枠組みの安定性、 (2) 関連市場の主要な特性、 (3) 同種の輸送手段におけ る競争、 (4) 他
の輸送手段 と の競争、 の 4 つのサブ要因に焦点を絞る 。
事業環境の安定性 : 鉄道会社は規制 さ れた自由市場で事業を行 う 。 矛盾 し た言い方に聞 こ え る か も し
れないが、 旅客鉄道事業は重要な社会的役割を担っ てい る ため、 規制の枠組みに深 く 組み込まれてお
り 、 それが事業のい く つかの重要な特性を規定 し てい る と い う 意味であ る。 まず、 格付け対象の鉄道
会社の大半が公共サービ ス の提供に対す る 補助金だけでな く 、 他の理由で補助金を受け取っ てい る。
その代表的な も のが従業員の給料 と 年金拠出金であ る (一部の国の鉄道会社の従業員は最近ま で公務
員 と し て雇用 さ れていたため、 産業労働者の平均 よ り も 充実 し た年金を受け取 り 、 退職年齢 も 早かっ
た と い う 事情が背景にあ る )。
O
M UT
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O ED
DO
LO
G
Y
次に、 公共セ ク タ ーは鉄道会社の事業内容を戦略面で左右す る (例 : ネ ッ ト ワー ク の利用料金、 新路
線への投資、 安全基準な ど)。 第三に、 EU 規制に よ る 制約があ っ て も 、 国に よ っ ては公的支援の水準
が他国 よ り 高 く 、 こ れが各社の業績に重要な影響を与え る。 格付け対象の鉄道会社を と り ま く 状況に
は、 こ れ ら の要因が全て含まれてい る 。 た と えば、 公共輸送サービ ス を地域サービ ス に限定 し てい る
国が相当数に上 る 一方、 公共サービ ス輸送を長距離輸送に も 提供 し てい る国 も あ る。 契約期間は 1 年
か ら 15 年ま での幅があ る。 鉄道会社は長期的な視点か ら 将来の収益計画を立て る 必要があ る。 ムー
デ ィ ーズは、 鉄道会社の事業を と り ま く 規制の枠組みの予測可能性 と 、 ど の程度の支援が提供 さ れ る
か を、 業績を左右す る 重要な要因 と 考え てい る 。
市場の特性 : 旅客鉄道事業は依然 と し て国内中心の事業であ る 。 こ れは、 国際輸送 よ り も 国内輸送を
中心 と す る 国内ネ ッ ト ワ ー ク と し て開発 さ れた と い う 経緯が、鉄道シ ス テ ムに根本的な影響を与え て
い る ためであ る 。 従っ て、 鉄道会社が事業を行 う 主要市場の経済的 ・ 社会的ダ イ ナ ミ ク ス は、 現在の
事業組織 と 業績のみな ら ず、 将来の成長性を も 左右する 。 今後、 EU 諸国の鉄道会社間の連携が一層
進み、 ロ シ ア と 独立国家共同体の鉄道 と 欧州の鉄道シ ス テ ム と の連結が促進 さ れ る 可能性が高い。
従っ て、 鉄道会社の自国市場 と の結びつき は、 ゆ っ く り と し たペース ではあ る が、 徐々に弱ま る と 見
られる。
同種の輸送手段における競争 : こ のサブ要因は、 鉄道輸送におけ る鉄道会社の市場シ ェ アの変化を測
定す る も のであ る 。 鉄道会社の大半は既存事業者であ り 、 国内市場で高いシ ェ ア を握 る が、 競争が激
化 し てい る こ と は明 ら かであ る ( ド イ ツ の旅客輸送な ど) 。 市場シ ェ アが高いほ ど、 こ の要因の評価
が高 く な る 。
他の輸送手段との競争 : こ のサブ要因は、 鉄道会社が事業を行 う 輸送市場におけ る シ ェ アの変化を モ
ニ タ ーす る も のであ る 。 た と えば、 1970 年代か ら 1990 年代末にかけて西欧では旅客 ・ 貨物輸送にお
け る 鉄道のシ ェ アが大 き く 低下 し た。 2000 年代初めか ら こ の傾向は反転 し てい る。 旅客市場は全域
にわた っ て回復 し たが、 国に よ っ てその程度は大き く 異な る。 一方、 貨物輸送は、 ド イ ツ を除き、 安
定的で低い成長率を維持 し て き た。 ド イ ツ ではユニ ッ ト 化が導入 さ れた こ と で、 2003 年以降、 貨物
輸送が大 き く 成長 し た。 市場シ ェ アが高いほ ど、 こ の要因の評価が高 く な る 。
評価基準
事業環境の安定性 : ムーデ ィ ーズは鉄道会社に対する 事業上の規制の枠組みを検討する 。 主要な要因
と し て、 公共サービ ス契約の タ イ プ (公共サービ ス の要件の定義、 報酬水準の適切性、 一般的な支払
い条件、 報酬水準の算出に適用 さ れ る 手法、 契約期間な ど) 、 国の輸送政策 (ネ ッ ト ワ ー ク の利用料
金、 将来の鉄道サービ ス開発計画、 相互扶助の有無、 鉄道貨物輸送の重点化な ど)、 レ ガシーコ ス ト 、
人件費、 年金債務に関す る 鉄道会社への明示的支援、 鉄道会社に認め ら れた法的地位が挙げ ら れ る 。
市場の特性 : こ の要因では、 経済基盤の集中度 と 推定 さ れ る安定性について幾つかの水準を設定 し 、
それを個々の格付け カ テ ゴ リ ーに当てはめた。 ま た、 ほ と ん ど の格付けカ テ ゴ リ ーについて、 ど の よ
11
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う な タ イ プの国がそのカ テ ゴ リ ーに該当する か を示すガ イ ダ ン ス を策定 し た。 た と えば、 こ のサブ要
因で Aaa に格付け さ れ る 発行体は、 高度に分散 さ れた経済基盤を有す る G7 諸国で事業を行 う 鉄道会
社でな く てはな ら ない。 一方、 B に格付け さ れ る のは、 経済基盤が悪化 し てお り 、 経済の分散性が極
めて低い国で事業を行 う 発行体であ る 。
同種の輸送手段における競争 : こ の指標は、 国内鉄道輸送におけ る市場シ ェ アの変動性を測定する も
のであ る 。 変動性は、 過去 2 年間の市場シ ェ アの平均変化率で測定す る。 こ れを測定する ために、 次
の フ ォー ミ ュ ラ に よ っ て算出 し た指標を用い る 。
ª§ PTix PKix · § PTi x 1) PKi ( x 1) ·º
¸¸»
¸ ¨¨
Ǭ
¬© PTmx PKmx ¹ © PTm ( x 1) PKm ( x 1) ¹¼
市場シ ェ ア ・ フ ォー ミ ュ ラ の分子は、 発行体 (i) の x 年におけ る鉄道旅客 ・ 貨物の輸送量の合計 (貨
物輸送量は百万 ト ン km(PT)、 旅客輸送量は百万旅客 km(PK) で表す) であ る 。
フ ォー ミ ュ ラ の分母は、 発行体の主要参照市場 (m) の x 年におけ る 旅客 ・ 貨物輸送量 (百万 PT、 百
万 PK) の合計であ る 。
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
他の輸送手段との競争 : こ の指標は、 国内運輸市場 (すなわち、 四輪車、 二輪車等の他の輸送手段)
におけ る 市場シ ェ アの変動性を測定する も のであ る 。変動性は過去 2 年の市場シ ェ アの平均変化率で
測定す る 。 こ れを測定す る ために、 次のフ ォー ミ ュ ラ に よ っ て算出 し た指標を用い る 。
ª§ PTix PKix · § PTi ( x 1) PKi ( x 1) ·º
¸¸»
¸ ¨¨
Ǭ
¬© PTMx PKMx ¹ © PTM ( x 1) PKM ( x 1) ¹¼
市場シ ェ ア ・ フ ォー ミ ュ ラ の分子は、 発行体 (i) の x 年におけ る鉄道旅客 ・ 貨物輸送量 (百万 PT ・ 百
万 PK) の合計であ る 。
フ ォー ミ ュ ラ の分母は、 発行体の主要参照市場の陸上輸送市場 (M) におけ る x 年の旅客 ・ 貨物輸送量
(百万 PT、 百万 PK) の合計であ る 。
12
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
要因 2 のマ ッ ピ ング基準 : 市場地位
┶ࡍ 2: లईࢄΡ
጗͛Ǡ
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(2-5%)
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(5-10%)
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(20-30%)
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(10-20%)
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(30-40%)
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(40% ❞ )
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要因 2 に基づ く マ ッ ピ ングの結果 : 市場地位
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ᥰࢀǽ
጗͛Ǡ
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Deutsche Bahn
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4 (Aa3)
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Aaa
Aaa
MAV
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14 (B1)
Baa
Baa
Ba
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Ba
Norges Statsbaner
Aa1
4 (Aa3)
Aa
Aaa
Aa
Aaa
Aaa
SNCB Holding
Aa1
5 (A1)
Aa
Aaa
Aa
Aaa
Aaa
SNCF
Aaa
5 (A1)
Aaa
Aaa
Aaa
Aaa
Aa
ኇᅠቊᅌૃ⧘⣔⾷JR ኇᅠቊ⾸
Aa1
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Aa2
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Baa2
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Baa2
Aa
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10%
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ཆᔲǺǙǠ ᔲǷǽᴽ̕
7%
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7%
Aaa
Korail
A2
6 (A2)
Aa
Aaa
A
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Aa
MTR
Aa2
6 (A2)
Aa
Aaa
Baa
Aaa
Aa
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
市場地位の評価においてポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 SNCF、 MAV、 阪急阪神、 東急、
近鉄であ る 。 こ れは、 市場地位の 4 つのサブ要因の全てで、 各社が強固な地位を有 し てい る こ と を反
映 し てい る 。 各社の資本構造 と 事業環境は こ こ 数年で大幅に改善 し た も のの、 依然 と し て総合的な格
付け を制約す る要因 と な っ てい る。 MAV がポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たのは、 国内市場で
のほぼ独占的な地位を反映 し た結果であ る 。
13
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Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
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要因 3: コ ス ト 基盤 と 収益性 (ウ ェ イ ト 16%)
こ の要因を重視する理由
欧州市場の歴史を概観すれば、 なぜ こ の要因が格付けに と っ て重要であ る かがわか る であ ろ う 。 欧州
では第二次世界大戦の終結以降、 大半の鉄道が国有化 さ れた。 国有化後、 鉄道会社は運輸サービ ス を
提供す る 国の機関に過ぎ ない と 見な さ れて き た。 1970 年か ら 、 悪循環に よ っ て鉄道会社の事業環境
は非常に厳 し い も のにな っ た。 こ の悪循環は (1) 効率性や コ ス ト の面だけでな く 、 市場の要請に応え
る と い う 面で も 、 サービ ス を提供 し よ う と す る イ ン セ ン テ ィ ブが欠如 し ていた こ と 、 (2) 政治的な介
入の増加に よ っ て、経営資源の合理的な配分に向けた取 り 組みが困難にな っ た こ と 、(3) オ イ ルシ ョ ッ
ク に よ っ て鉄道事業のための資源を入手 し に く く な っ た こ と に起因する 複雑な経済シナ リ オ、に よ っ
て生み出 さ れた。
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
こ の よ う な状況下で、 鉄道会社は市場シ ェ ア を大幅に失っ た (特に貨物輸送市場) だけでな く 、 巨額
かつ維持不可能な規模の赤字が積み上がっ た。 赤字の GDP 比は 1990 年代前半に EU 諸国の半数以上
で約 2% に達 し た。 ド イ ツ では 1.8%、 フ ラ ン ス では 2.0%、 イ タ リ アでは 5% に も 上っ た。 累積赤字
があ ま り に も 巨額に達 し たため (1994 年で約 1,500 億ユー ロ )、 暗黙の政府支援に対する 市場の信任
も 低下 し た。 鉄道市場を活性化 さ せる ため、 欧州共同体は 1991 年、 同セ ク タ ーに対する 政策の変更
を決定 し 、 段階的に鉄道輸送に競争原理を導入 し 、 鉄道会社 と 公共セ ク タ ー と の結びつき を弱め る 方
向に転換 し た。 新 し い方針は EC 指令 91/440/ECC に よ っ て公式の も の と な り 、 (1) サービ ス部門の分
離 ( イ ン フ ラ 事業 と 旅客サービ ス事業 と の会計上の分離) 、 (2) 競争導入のための路線利用権の導入
(貨物分野か ら 導入開始)、 (3) 鉄道会社の財務を維持可能にする ための赤字削減、 な ど が要請 さ れた。
続いて、 69/1191/ECC お よ び 91/193/ECC の規定に よ っ て、 欧州共同体は、 (1) 鉄道旅客サービ ス に対
し 拠出が認め ら れ る 公的予算、 (2) 公共サービ ス提供義務に対す る報酬は充分な水準かつ契約で定め
ら れた も のでな く てはな ら ない と す る 原則、 (3) 公共サービ ス と 商業サービ ス の会計の分離な ど、 規
定の厳格化を行っ た。
EU 指令に よ り 財務規律が正式に規定 さ れた こ と は一定の効果を挙げた。欧州の大手鉄道会社は現在、
営業黒字を計上 し てお り 、 他社の業績 も 改善 し つつあ る。 ま た、 貨物市場での競争 も 促進 さ れ る 一方
で、 旅客市場の開放で進展が見 ら れたのは ド イ ツ のみであ る (Deutsche Bahn の業績はマ イ ナ ス の影
響を受けず、 改善を続けてい る ) 。 ロ シ ア等の欧州以外の市場で も 同様の傾向が認め ら れ る (他の輸
送手段 と の競争激化 と 効率重視の強ま り )。
こ の よ う なポジテ ィ ブなサ イ ク ルを維持する ためには、高い コ ス ト 効率 と 収益性の維持が不可欠であ
る 。 従っ て、 こ の要因を主要な信用指標 と 考え る 。
評価基準
„
EBITAマージン: こ の主要要因は、長期にわた る企業の収益性を測定す る 重要な指標であ る。EBITA
マージ ンは、 年間の原価償却費で表 さ れ る 資本財の交換費用控除後の営業利益を生成す る 能力を
示す重要な指標であ る。 営業権の償却は、 将来にわた り 同一の取引量を生成す る ために取 り 替え
る 必要のない資産であ る ため、 適切 と 考え ら れ る場合は足 し 戻 さ れ る。 EBITA は関連企業 と 投資
か ら の利益な ら びにグ ロ ス金利収入を含む。 EBITA は経常的な 「他の」 利益 と 費用を含み、 非経
常的な 「他の」 利益 と 一過性の費用は含ま ない。
„
従業員 1 人あたりの PT・PK: こ の指標は、鉄道会社の全体的な効率性に と っ て極めて重要な要因で
あ る 労働生産性を表す。
PTxc + PKxc
平均従業員数
上式の分子は、 発行体の X 年におけ る 鉄道旅客お よ び貨物の輸送量 (百万 PK お よ び百万 PT) の合
計であ る 。
上式の分母は、 発行体の X 年におけ る平均従業員数であ る。 通年の従業員数が公表 さ れてい る 場合、
ムーデ ィ ーズはそれを用いて平均従業員数を推定する 。
14
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጗͛ཆᗕ
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„
総資産利益率 : こ の比率は、 資産をいかに効率的に使用 し てい る かを別の面か ら 示す指標であ る。
鉄道業界の資本集約的な性質 と 、 高い稼働率を維持す る 必要性を考慮す る と 、 こ の比率は資産に
対 し 充分な利益を生成す る 能力を測定す る指標 と 言え る。
要因 3 のマ ッ ピ ング基準 : コ ス ト 基盤 と 収益性
┶ࡍ 3: ȻɁɐ࣠ᬬǷ‫ہ‬ᬖම
Aa
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Ba
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5% ļ x<7%
3% ļ x<5%
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0.3 ļ x<0.5
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5% ļ x<7%
3% ļ x<5%
1% ļ x<3%
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጗͛ǠȳɎȼɲʀ
要因 3 に基づ く マ ッ ピ ングの結果 : コ ス ト 基盤 と 収益性
Ή᰷֌ɦɋɜɻȸ - ┶ࡍ 3: ȻɁɐ࣠ᬬǷ‫ہ‬ᬖම
ᥰࢀǽ጗͛Ǡ
BCA
Deutsche Bahn
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Caa
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(PT+PK)/ EBITA/ ✇᧳
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Korail
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6(A2)
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ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
ネガテ ィ ブ・ア ウ ト ラ イ ヤーは、EMEA の 1 社 (Deutsche Bahn) と ア ジ アの 2 社(関西高速鉄道、Korail)
の合計 3 社であ っ た。 Deutsche Bahn の効率性 と 収益性は改善傾向にあ る が、 次の 2 つの要因が依然
と し て同社の業績を制約 し てい る 。 (1) 地域事業 と 貨物事業を中心 と す る低い利益率、 (2) 主に費用を
公的補助金でカバーす る 一方で、労働生産性を最大化で き ない と い う 性質を持つ公共サービ ス に関連
し た責務を主な要因 と す る 低い労働生産性。 関西高速鉄道がネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たの
は、 西日本旅客鉄道株式会社 (JR 西日本、 ムーデ ィ ーズの格付けな し ) に鉄道施設を貸 し 付け る と い
う 役割か ら 資産が大 き い こ と と 、 (PT+PK)/ 総従業員数を測定で き ない こ と を理由 と し てい る 。 Korail
の こ の要因におけ る 評価は、韓国政府の料金政策を要因 と す る利益水準の低 さ に よ っ て制約 さ れてい
る。
15
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要因 4: 財務方針 と 資本構造 ( ウ ェ イ ト 15%)
こ の要因を重視する理由
バ ラ ン ス シー ト 管理に関す る 鉄道会社の財務方針をみれば、経営陣が ど の よ う な資本構造 と 財務 リ ス
ク の下で事業を行お う と し てい る かがわか る ため、 格付けに と っ て重要な意味を持つ。 企業の金融 リ
ス ク の選好度は、 要因 1 ~ 3 で分析 し た事業の特性 と 事業モデルに照 ら し て検討 さ れ る 。
財務レバレッジは、将来のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーに対 し どれだけ借 り 入れを行っ てい る かを測定する も の
で、 信用 リ ス ク を示す重要な指標であ る 。 特に、 実際の資本構造 と 目標 と する 資本構造を中心に分析
す る 。 た と えば、 負債水準が低いほ ど、 財務バ ラ ン ス を悪化 さ せずに投資計画に対応 し てい く ための
財務の柔軟性は高 く な る 。 ま た、 負債の種類、 た と えば政府に よ る直接あ る いは暗黙的な保証が付 さ
れてい る か ど う か、 を詳細に分析する 。 本格付け手法では、 2 つの レバレ ッ ジ指標を使用す る。
有利子負債 / キャピタリゼーション比率 : 有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率は同一業界で事業
を行 う 企業の資本構造を比較する ための単純な方法であ る 。 ま た、 ど の程度ま で負債を許容す る か と
い う 点を含む企業の財務方針 と 株主戦略を知る こ と がで き る 。
有利子負債 /EBITDA: こ れは有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率 と 、 EBITDA で示 さ れ る 利益を
生成す る 企業の能力を負債がど の程度上回る か を測定する 指標 と のバ ラ ン ス を と る も のであ る 。
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
流動性は財務の柔軟性を示す指標であ る 。 従っ て、 負債の満期の到来や補助金 と 支払いの時期のずれ
に よ っ て生 じ る 資金需要に迅速に対応す る ための財務 ク ッ シ ョ ン を測定す る も ので あ る。 現金や コ
ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ン な ど の他の信頼で き る 調達源を維持する と い う 経営陣の判断は、計画的に流動性
管理が行われ、 予期 し ない流動性需要に対す る準備がで き てい る こ と を示 し てお り 、 格付け を支え る
要因 と な る 。 流動性は、 流動性需要を管理する 能力に対する 定性的な評価に基づいて測定 さ れ る 。
評価基準 :
有利子負債 / キャピタリゼーション比率 : 有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率は直近の会計年度
のデー タ を用い、 総有利子負債を キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ンで除 し て算出する 。
有利子負債 /EBITDA 比率 : 直近の会計年度のデー タ を用いて算出する 。
流動性評価 : 次の 3 つのサブ要因に基づき、 鉄道会社が流動性需要に対応する 能力を定性的に評価す
る。
„
再調達リスク : 負債の満期構造、 集中度、 通貨の ミ ス マ ッ チを中心に分析する 。
„
流動性方針 : 内部流動性 (使途に制約のない手元現金、内部生成キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー、有価証券)、外
部調達源 ( コ ミ ッ ト メ ン ト ラ イ ン)、 代替流動性 (自己の裁量に基づ く 資産売却に よ っ て現金を調
達す る 能力) を含む利用可能な流動性源を中心に分析す る。
„
資本市場からの調達 : 鉄道会社が資本市場か ら 調達を行 う 能力 と 、鉄道会社の流動性に資す る 政府
か ら の支援の利用可能性を測定する 。 公的な資金調達は次の 3 つの方法で行われ る。 (1) 政府に よ
る 債務保証、 (2) 鉄道会社の設備投資を支援する ための一定額の投資補助金、 (3)(1) と (2) の組み
合わせ。
16
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጗͛ཆᗕ
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要因 4 のマ ッ ピ ング基準 : 財務戦略、 流動性、 資本構造
┶ࡍ 4: ⛥‫ؘ‬༦ᨪƸᘓؔමƸ✇ቊᐦ⢧
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Ľ 100% orƷ
negative
<1.5
1.5 ļ x<2.5
2.5 ļ x<3.5
3.5 ļ x<5
5 ļ x<7
7 ļ x<9
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要因 4 に基づ く マ ッ ピ ングの結果 : 財務戦略、 流動性、 資本構造
Ή᰷֌ɦɋɜɻȸ - ┶ࡍ 4: ⛥‫ؘ‬༦ᨪƸᘓؔමƸ✇ቊᐦ⢧
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Deutsche Bahn
MAV
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SNCB Holding
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BCA
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጗͛Ǡ
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EBITDA
5%
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4(Aa3)
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Baa
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Korail
A2
6(A2)
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MTR
Aa2
6(A2)
Aa
Aaa
A
A
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
ネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーは JR 東海 と 関西高速鉄道の 2 社であ る。 有利子負債 /EBITDA 比率が平均を上回っ た こ と
が、 こ の要因におけ る 評価を制約 し てい る 。
17
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
要因 5: 財務力 (ウ ェ イ ト 15%)
こ の要因を重視する理由
財務力 と は、 支払い利息、 債務の履行、 運転資金の需要、 設備投資あ る いは投資、 配当支払い を カ
バーす る ために充分な利益を生成する 能力であ る 。 ムーデ ィ ーズは、 鉄道会社の財務力を (1) フ リ ー
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (FCF)/ 純有利子負債、 (2) リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (RCF)/ 純有利子負債、 (3)
総カバレ ッ ジ レ シオの 3 つの指標を用いて測定する 。
フリーキャッシュフロー / 純有利子負債 : こ の指標は、 運転資金 と 設備投資 ( こ の業界では、 自社の
裁量に よ っ て可否を決め る こ と がで き ない例が多い) 控除後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを表 し 、 迅速に債務
を履行す る 能力を主に評価す る 。
リテインドキャシュフロー / 純有利子負債 : こ の指標は、 配当支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成能力
を測定す る も のであ る 。 比率が高いほ ど事業か ら キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを生み出す能力が高 く 、 株主への
利益の支払い後に債務の返済ま たは設備投資を確実に行 う ために利用で き る 現金が多 く な る 。鉄道セ
ク タ ーでは、配当支払いが全面的な自己裁量で行え ない と い う 業界の性質を捕捉する ためのバ ラ ン ス
の と れたアプ ロ ーチ と し て、 配当支払い前 と 支払い後のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを分析する 。
O
M UT
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評価基準
Y
総カバレッジレシオ : こ のカバレ ッ ジ レ シオは、 利息お よ び事業に関連 し た賃借料等の他の固定費を
支払 う 能力を測定す る ために用い ら れ る 。
RCF/ 純有利子負債 : リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー - 配当) / 純有利子負債
FCF/ 有利子負債 : フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー(配当支払い・設備投資額控除後の営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー)
/ 総有利子負債
FFO インタレスト・カバレッジ : (運転資本項目前の営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー
- 運転資金調整額) + ネ ッ ト 金利費用) / ネ ッ ト 金利費用 (ネ ッ ト 金利費用 と は支払い金利 - 受取金利)
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2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
要因 5 のマ ッ ピ ング基準 : 財務力
┶ࡍ 5: ⛥‫מؘ‬
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1.5 ļ x<3
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0.5 ļ x<1.5
0 ļ x<0.5
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要因 5 に基づ く マ ッ ピ ングの結果 : 財務力
Ή᰷֌ɦɋɜɻȸ - ┶ࡍ 5: ⛥‫מؘ‬
BCA
FFO
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Deutsche Bahn
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4 (Aa3)
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14 (B1)
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Caa
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Norges Statsbaner
Aa1
4 (Aa3)
A
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SNCB Holding
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ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
ネガ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーは、 Korail のみで あ る 。 同社の評価はキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー水準の低 さ に
よ っ て制約 さ れてい る 。
格付けに関する他の検討事項
本格付け手法で示 し た指標は、鉄道会社の信用力に対す る ムーデ ィ ーズの分析の多 く を カバー し てい
る 。 し か し 、 ムーデ ィ ーズは上述 し た以外の要因 も 考慮す る。 それ ら の要因には、 将来の業績が過去
の業績の ト レ ン ド か ら 乖離す る 可能性、 経営陣の質、 コーポ レー ト ガバナン ス、 車両の平均使用年数
な ど があ る 。 こ れ ら の要因の分析 も 格付けプ ロ セ ス に不可欠な も のであ る 。
経営陣の質
経営陣の質は企業の信用力を支え る 重要な要因で あ る 。 ムーデ ィ ーズは経営陣上層部の方々 と 面会
し 、 事業戦略、 事業方針、 経営哲学を分析する 。
投資 ・ 買収戦略
ムーデ ィ ーズは信用力の評価にあ た り 、 鉄道会社の保有車両の平均使用年数 と 投資戦略を検討す る。
投資戦略は格付け対象の他の会社 と の比較に よ っ て評価 し 、 その一貫性を検証す る。 買収は事業の強
化につなが り 得 る 。 ムーデ ィ ーズは企業があ る格付け を維持 し なが ら ど の程度ま で買収のための財務
負担に耐え得 る か を評価す る 際に、 中期的に新た な買収を行 う 可能性を含む経営陣の リ ス ク 選好度、
一定の レバレ ッ ジ目標に対す る 会社の コ ミ ッ ト メ ン ト 、既存事業お よ び買収事業の変動性を考慮に入
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Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
れ る 。 一般に、 買収に よ っ て レバレ ッ ジが通常許容可能な範囲を一時的に上回っ て も 、 (1) 戦略上の
適合性、 (2) 買収後のプ ロ フ ォーマ ・ ベース のキ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン と レバレ ッ ジ、 (3) 比較的短期間
で信用指標が元の水準に戻 る と のムーデ ィ ーズの見方次第で、鉄道会社は買収を行っ た後 も 格付け を
維持す る こ と がで き る 。
格付け手法の想定 と 限界、 格付けに関する他の検討項目
格付け手法の表は、 透明性を高め る ための単純 さ と 、 格付け表に よ る マ ッ ピ ン グの結果 と 実際の格付
け を近づけ る ために必要な複雑性 と の ト レー ド オ フ の関係を織 り 込んでい る 。格付け表の 5 つの格付
け要因は、 旅客鉄道会社の格付けに重要な検討項目のすべて を網羅 し た も のではない。
本格付け手法の格付け表の指標を選択する にあ た り 、 ムーデ ィ ーズは経営陣の質 と 経験、 コ ーポ レー
ト ガバナン ス の評価、 財務報告 と 情報開示の質 と いっ た、 ど の業界で も 全ての企業に共通する 重要な
要因を含めなか っ た。 こ れ ら の要因の評価は き わめて主観的な も のにな る 可能性が あ る。 格付け表
は、 定量化が困難な要因や、 一部のケース のみで信用力を識別す る ために有意な効果を持つ指標は含
んでいない。
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ま た、 特定の要因の ウ ェ イ ト が格付け表にあ る ウ ェ イ ト と 異な る 状況 も 格付けに織 り 込ま れてい る。
た と えば、 要因 4 は流動性を評価す る も のだが、 格付けの決定にあ た っ て実際に付加 さ れ る ウ ェ イ ト
は、 格付け表にあ る 5% と は異な る場合があ る。 仮に完全に同質の 2 つの会社があ り 、 唯一の相違が
1 社は潤沢な流動性を有 し 、 も う 1 社は極めて潤沢な流動性を有す る こ と であ る よ う な場合、 両社に
は同 じ 格付けが付与 さ れ る だろ う 。 一方、 極端な流動性の不足が直ちにデフ ォ ル ト 事由につなが る と
見 ら れ る 場合、 信用力を評価する 上で流動性の重要性は大幅に高ま る こ と にな る 。
ま た、 ムーデ ィ ーズの格付けは将来の業績見通 し を織 り 込んでい る が、 格付け表のマ ッ ピ ン グ を説明
す る 目的で使用 し た財務情報は主に過去のデー タ で あ る。 将来の業績に関す る ムーデ ィ ーズの予想
は、 公表す る こ と ので き ない部外秘の情報に基づいてい る場合があ る。 ま た、 将来の業績予想を立て
る 上で、 過去の業績、 業界の傾向、 競合他社の動向、 その他の要因を基礎 と する 場合 も あ る 。 いずれ
のケース で も 、 将来の業績を予想する こ と は、 本質的にかな り の不正確 さ を伴 う 可能性があ り 、 旅客
鉄道会社を格付けす る 上で、 大き な制約 と な っ てい る 。
ệ☟ : ጗͛Ǡ⒙Ǻ࣠ǴǞ጗͛Ǡệእǽ┶ẇ
付録 2 は、 各要因のマ ッ ピ ン グ と 指標、 な ら びに付録に示 し た ウ ェ イ ト を付加 し た各社の格付け表に
基づ く 総合格付け を示 し てい る 。格付け表に基づ く 格付けが実際の格付け ま たはベース ラ イ ン信用 リ
ス ク 評価 (政府系発行体の場合) か ら 文字格付け カ テ ゴ リ ーで 2 カ テ ゴ リ ー以上乖離 し てい る ポジ
テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と ネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーを要因別に示 し た。
本格付け手法で分析 し た旅客鉄道会社について、 次の点が観察 さ れた。
„
15 社中 11 社 (74%) の格付け表に基づ く 格付けが、現在の格付け /BCA と 一致する、あ る いは現在の
格付け /BCA と の差が 1 ノ ッ チであ る。
20
„
2 社 (13%) の格付け表に基づ く 格付けが、 現在の格付け /BCA よ り 2 あ る いは 3 ノ ッ チ低い。
„
2 社 (13%) の格付け表に基づ く 格付けが、 現在の格付け /BCA か ら 4 ノ ッ チ以上乖離 し てい る。
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Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
⬄⢪ɲȽʀɉ
„
Deutsche Bahn, November 2008
„
SNCF, July 2008
„
Railroad Sector in Japan, December 2007 (日本語版 「日本の鉄道業界」 2007 年 12 月)
MAV, December 2007
„
SNCB Holding, September 2007
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
„
21
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Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
͛⩜
付録 1: モデルに基づ く 格付け
BCA
4 (Aa3)
MAV
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14 (B1)
Ba3
1
Norges Statsbaner
Aa1
4 (Aa3)
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-1
SNCB Holding
Aa1
5 (A1)
A2
-1
SNCF
Aaa
5 (A1)
Aa3
1
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Aa1
-
Aa3
-2
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Aa3
-1
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Aa2
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Baa1
-5
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A2
-
A2
0
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A3
-
A3
0
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Baa1
-
A3
1
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Baa2
-
Baa1
1
ኇ̸බ⒅⯍⧘⾷ኇබ⾸
Baa2
-
A2
3
MTR
Aa2
6 (A2)
A2
0
Korail
A2
6 (A2)
Baa3
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0
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Aa1
Deutsche Bahn
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
評価結果 と アウ ト ラ イ ヤー
ムーデ ィ ーズのア ウ ト ラ イ ヤーの定義に従えば、 関西高速鉄道 と Korail の 2 社がネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト
ラ イ ヤー と な る 。関西高速鉄道の格付け表に基づ く 格付け と 実際の格付け と の間に 5 ノ ッ チの差があ
る のは、 関西高速鉄道が自 ら 旅客鉄道事業を運営す る のではな く 、 JR 西日本への鉄道施設の リ ース
を主要な事業 と し てい る こ と が主な要因であ る 。 Korail の格付け表に基づ く 格付け と 実際の格付け と
の間に 4 ノ ッ チの差があ る のは、 Korail の BCA が平均を上回 る水準の継続的な政府支援を反映 し て
い る こ と が主な要因であ る 。
22
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷
┶ࡍ 1⿉╄ᑡǷոᄃම
ᥰࢀǽ጗͛Ǡ
BCA
ཆᗕǺ࣠ǴǞ
጗͛Ǡ
Deutsche Bahn
Aa1
4 (Aa3)
Aa3
MAV
Baa2
14 (B1)
Ba3
Norges Statsbaner
Aa1
4 (Aa3)
SNCB Holding
Aa1
5 (A1)
SNCF
Aaa
5 (A1)
ኇᅠቊᅌૃ⧘⣔⾷JR ኇᅠቊ⾸
Aa1
ኇᘬᅌૃ⧘⣔⾷JR ኇᘬ⾸
Aa2
⬄┴ⶲ⢦⧘⣔
Aa2
̸᤽⯍⧘⾷̸᤽⾸
A2
̸ᘛබ⒅⯍⧘⾷̸බ⾸
A3
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Baa1
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Baa3
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A2
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Moody’s Global Corporate Finance
Korail
┶ࡍ 2⿉లईࢄΡ
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23
付録 2: モデル格付けの概要
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Moody’s Global Corporate Finance
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Moody’s Global Corporate Finance
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付録 3: 事業補助金 と 投資補助金
公的主体 ( 中央政府お よ び準政府) は通常、 現在必要な支出を補助す る収入 / 事業補助金 と 、 資本財
への投資に用い ら れ る 投資補助金 と を、 政府支出会計の上で明確に区別 し てい る 。
特に、 EU の様々な予算か ら 拠出 さ れ、 適格なプ ロ ジ ェ ク ト のみに適用 さ れ る EU 基金の場合、 両者
は厳密に区別 さ れてい る 。
ムーデ ィ ーズは事業補助金を FFO( 運転資本項目前の営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー) と し て扱 う のに対 し 、
投資補助金は投資キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と し て扱い、 設備投資関連指標を分析す る際には、 こ れを設備投
資か ら 差 し 引 く 。 こ れ ら の補助金は特定の投資のために提供 さ れ、 使途はその目的に限 ら れ る か ら で
あ る 。 従っ て、 金利支払いや他の事業費用に充当で き ない補助金を FFO( お よ び / ま たは CFO) に含
め る と 、 FFO/ 支払い金利な ど の比率を検討す る 際に誤っ た印象を与え る おそれがあ る 。 補助金の会
計上の取 り 扱い も 、 こ の よ う な ムーデ ィ ーズの見方の根拠 と な っ てい る。 IAS の規則では、 事業補助
金は収益補助金 と みな さ れ (IAS 20.29)、 (1) その他利益 と し て計上 さ れ る か、 (2) 関連費用か ら 差 し 引
かれ る 。 一方、 投資補助金 (IAS 20.24) は (1) 繰 り 延べ利益 と し て計上す る と と も に、 年度内に使用 さ
れた当期分の補助金を その他利益 と し て計上する 、 あ る いは (2) 資産の簿価か ら 直接差 し 引 く 。
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図表 1 は、 異な る 2 つの会計上の取 り 扱いを示 し た も のであ る。 あ る鉄道会社が繰 り 延べ利益 と し て
計上す る 方法を採用 し てい る 場合、 ムーデ ィ ーズは当期に計上 さ れた減価償却費の過大評価を避け る
ため、 繰 り 延べ費用を減額す る こ と に よ っ て減価償却費を調整 し 、 投資補助金の会計上の取 り 扱い手
法の違いにかかわ ら ず、 同種の企業間の比較がで き る よ う にす る 。
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Moody’s Global Corporate Finance
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図表 1: 投資補助金の会計上の取 り 扱い
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lj 105-6220
ኇ̸⤹ᚯٚ๧શ 2 ʷᬶ 5-1
๧શȸɲʀɻɚɳɂMORIɇɷʀƷ20F
Report Number: 15-SC724
Copyright 2010 Moodyæs Investors Service, Inc. ‫ڽ‬Ȃ / ‫ڻ‬Ǿ۴᰷ǽɱȬɃɻȽʀ‫ڽ‬Ȃ⬄⢪Ή᰷⾷ͨˁǃɨʀɏȫʀɂDŽǷἕᲠǦȍǨƹ⾸All rights reserved.
Ј᧸጗͛ǾƸ̗ᏡΧƸ˄ЈযẇƸ҆‫ڻؘ‬Ǿ҆‫Ⲳؘ‬Κ▩֟ǽଛቻǽᭀଓ᫢Ј᧸ɲɁȷǺdzǓǵǽƸɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋ೙Ή᰷⾷ͨˁǃMJKKDŽǷ
ǓǓȍǨƹ⾸ǽᥰᆣ᠊ǽ๟╀ǶǨƹMJKK ǾƸЈ᧸ɲɁȷȡƸ̗ᏡΧǛযẇˀɿ⛥‫ؘ‬ˀǽῲ‫ؘ‬ȡቃᅠǺ୨⒅ǶǜǹǓɲɁȷ‫ڽ‬Ȃɏɝȱɳɐ̗ᨁǛ᫘᧯
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MJKK ǾƸMJKK Ǜ጗͛ȡ⒅DzǵǓȚ҆֟⾷᰷҆Ƹࢄᅀ҆Ƹ҆֟ƸཆബƸCP ȡ‫܅‬ȎȍǨƹ⾸‫ڽ‬ȂӋӞጋ೙ǽ᫘⒅‫‮‬ǽগ⤴ոǛƸMJKK Ǜ⒅Ǖ△Ϣɿ጗
͛ȽʀɛɁǺଓǦǵƸMJKK ǺȗȚ጗͛ǽ͛˄ǺӞᴗǰƸ20 ʽԒǚȘẇ 3 ҽ 5,000 ʽԒǽཆᄋᄦȡ MJKK ǺნཌǕǢǷǺ۴๟ǦǵǓȚǢǷȡƸǢǢ
Ǻ⫳ᰳǦȍǨƹȍǮƸMCO ‫ڽ‬Ȃ MJKK ǾƸMJKK ǽ጗͛‫ڽ‬Ȃ጗͛⣏Ღǽ᣻ᴗමȡ᯺ЄǨȚǮȐǽᅀ⦠ǷཆỮǜȡᄏѿǦǵǓȍǨƹMCO ǽ‫ۄ‬ἦൃǷ
጗͛ଓ⛅Ή᰷Ƿǽ⫻ǽΩȘǚǽ֐્⬄ϭǽઇࢀƸ‫ڽ‬Ȃ MJKK ǚȘ጗͛ȡ͛˄ǤțƸǚdz MCO ǽጋ೙ǽ 5% ͨˀȡЄሱǦǵǓȚǢǷȡ SEC ǺӸ೙Ǻ
अ‫ܝ‬ǦǵǓȚΉ᰷⫻ǽΩȘǚǽ֐્⬄ϭǽઇࢀǺ⬄ǨȚษअǾƸɨʀɏȫʀɂǽȮȯɞȽȬɐ www.moodys.com ˀǺ "Shareholder Relations-Corporate
Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" ǷǓǕ⒙ⲤǶᕃ౫Ƹဢ⠅ǤțȍǨƹ
ቊሤǽȲʀɁɐɱɲȪǶǽӸ⫳ǾƸȲʀɁɐɱɲȪ⦘␯ȽʀɛɁ◜‫۝‬ᨯ‫ ۥ‬336969 ȡሱǨȚɨʀɏȫʀɂǽ⬄⢪Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Investors Service
Pty Limited ABN 61 003 399 657 ǺȗDzǵ⒅ȞțȍǨƹቊᄙሤǾ⾷2001 ౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǽȎȇǽံϜ
ȡ๟ࡖǦǮȑǽǶǨƹȲʀɁɐɱɲȪ࡛ԑǚȘቊᄙሤǺửỮ᫢ǺȪȷɃɁǦǮई۰ƸɨʀɏȫʀɂǺଓǦǵƸ
ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǶǑȚǚ‫ڻ‬Ǿǃɣʀ
ɳɃʀɳⲵૃDŽǽͦ⒙‫‮‬ǷǦǵቊᄙሤǺȪȷɃɁǦǵǓȚǢǷƸ‫ڽ‬ȂƸ⛴ᔼ‫ڻ‬Ǿ⛴ᔼǛͦ⒙ǨȚᗕ͆ǛƸᬼယ‫ڻ‬Ǿ⫻ယǺƸቊሤ‫ڻ‬ǾǬǽԑ૓ȡ⾷2001
౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɲɎʀɳⲵૃDŽǺ⥎ళǦǹǓǢǷȡ⒙ᅽǦǮǢǷǺǹșȍǨƹ
ቊЈ᧸጗͛ǾƸ᫘⒅‫‮‬ǽЈ᧸‫ڻמ‬Ǿ҆‫ؘ‬ǺdzǓǵǽ๟╀ǶǑșƸ᫘⒅‫‮‬ǽȰȷȬɎȫ▩֟‫ڻ‬ǾɲɎʀɳཱུ✇ૐǛ‫ۄ‬ൡ‫⃆۝‬ǹǬǽ͙ǽബ೙ǽ▩֟Ǻdz
Ǔǵ๟╀ȡ⡻ȈȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹɲɎʀɳཱུ✇ૐǛƸቊЈ᧸጗͛Ǻ࣠ǴǓǵཱུ✇֋ᄺȡǨȚǽǾ‫⭨ڈ‬ǶǨƹȑǦƸᩐުǛǑȚई۰ǺǾƸɝȫ
ɒɻȿɫɳɿȪɑɘȬȾʀǬǽ͙ǽଗ⫨ૐǺᭀ☐ǨȚǢǷȡဝ৆ǦȍǨƹ
27
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽᅌૃ⧘⣔Ή᰷