サーベイメーターの補正係数の見直しに関するコメント

サーベイメーター(空間放射線量測定器)の補正係数の見直しについて
福島第一原子力発電所事故後より、毎月公開してきました保育所、小中学校、公園、支所等の
測定には、入荷日数、コスト、簡便性や可搬性を考慮して、簡易型の放射線量測定器(以下
「PA-1000」と呼ぶ)を使用してきましたが、PA-1000 はエネルギー補償回路*1 を保持していない
ため、平成 23 年のようにセシウムが多く分布している環境下で放射線測定を行うとやや高めの
値が表示されることが分かっています。その点を改善するため、昨年はエネルギー分析が可能な
シンチレーションスペクトロメータ*2 で補正された線量計との比較実験によって PA-1000 の補
正係数を決定し、それを測定値に乗じることで簡易補正を行いました。
しかし、時間の経過とともにセシウムは減衰あるいは拡散し、それにともない空間線量率も大
幅に下がってきたため、これまでの補正係数では対応できなくなりました。そこで新たに、エネ
ルギー補償回路を備えた放射線測定器(TCS-172B)を用いて、PA-1000 の補正係数を見直しました。
したがいまして、測定結果が今までよりも約 0.01~0.02μSv/h 程度数値が高く評価されていま
すが、国の除染基準 0.23μSv/h に達する地点はなく、異常値もまったく見られません。
今後も PA-1000 の経年劣化が懸念されることから1年に1度、補正を実施し品質管理に努めま
すが、放射線測定には常に「不確かさ*3」というものがつきまとうため測定データは必ずばらつ
きます。このことは、エネルギー補償回路をもつ高性能な測定器であっても例外ではありません。
PA-1000 の測定値は、絶対値ではなく参考値であることをご承知おきください。
<注
釈>
*1 エネルギー補償回路:放射線の量が同じであっても、放射線のエネルギーが異なると
測定値に影響が出ます。エネルギー補償回路を持った測定器は、放射線のエネルギー
の違いによる測定値への影響を自動的に補正してくれます。
*2 シンチレーションスペクトロメータ:放射線測定器の一つで、放射線のエネルギーと
測定器に入射した放射線の数との関係が分かる。
*3 不確かさ:測定によって必ず生じるデータのばらつき
株式会社堀場製作所(HORIBA)
PA-1000 Radi
※31 台所有
日立アロカメディカル株式会社
TCS-172B
※1 台所有