600V CVT 600V CET 構成材料 導体 軟銅線(JIS C 3102) 軟銅線

1.既 存 デ ー タ ベ ー ス の 整 備
既存データベースの整備においては一般的に使用されている低圧架橋ポリエチレン絶縁
ケーブル、制御用ケーブルおよびこれ等ケーブルの使用材料をエコマテリアル化したケーブ
ル、および光ファイバケーブルの各種既存データベースを体系的に整理した。一部は各製造
メーカより「電線技術資料」や 「電 線 要 覧 」と言 っ た 名 称 で 発 行 さ れ て い る 資 料 に 記 載 さ れ て
いるが、多くは各種技術資料、発表論文等を調査して収集したデータベースとなっている。
ここで EM 電 線 ・ケーブルとはハロゲン、鉛等を含まず、燃焼・廃 棄 時 に お い て も ハ ロ ゲ ン
系ガス等の発生がない、もしくは 非 常 に 少 な い 材 料 を 使 用 し た 電 線 ・ケーブルをさす。具体的
には軟質ポリ塩化ビニル混和物(以下、塩化ビニル混和物と略称する)に替えて耐燃ポリエチ
レン混和物のようなポリオレフィン樹脂を主体とした混和物を被覆材料として用いている。ま
た 、 本 報 告 書 に お い て は 電 線 ・ケ ー ブ ル ( EM 電 線 ・ケーブルを含む)および光ファイバケーブ
ルを総称して「電 線 ・ケーブル」と呼称している。
1.(1)基 本 特 性
本 項 で は 代 表 的 な 電 線 ・ケーブルを構成する材料、サイズ、構 成 材 料 の 基 本 的 特 性 に つ い
てまとめた。
ここで対象とした線種は低圧架橋ポリエチレン絶縁ビニルシーストリプレックス型ケーブル
( 600V
CVT )とそのシース材料に耐燃ポリエチレン混和物を使用した低圧架橋ポリエチレン
絶縁耐燃性ポリエチレンシーストリプレックス型ケーブル( 600V
EM-CET )、制 御 用 ビ ニ ル 絶
縁ビニルシースケーブル( CVV )とその絶縁材料にポリエチレン、シース材料に耐燃ポリエチ
レン混和物を使用した制御用ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル
(EM-CEE )である。また、光ファイバケーブルに関しては SM 防水型光ファイバケーブルおよ
び SM 防水型難燃光ファイバケーブルをとり上げた。
1.(1)− 1. 構 成 材 料
① 600VCVT および 600VEM-CET の 構 成 材 料
CVT は 送 電 用 の ケ ー ブ ル と し て 使 用 さ れ る 。許 容 電 流 の ア ッ プ や 端 末 、 接 続 等 の 作
業性改善などの為に、各線心は導体に架橋ポリエチレン絶縁を施し、シースを被覆した
単 心 ケ ー ブ ル を 3 条撚り合わせた構造を採っている。
表1.(1)− 1 に そ れ ぞ れ の ケ ー ブ ル の 構 成 材 料 を 示 す 。 導 体 に は 一 般 に は 軟 銅 線
を 使 用 す る が 酸 素 含 有 量 0.01 % 以 下 の 無 酸 素 銅 や 銀 や 錫 と の 銅 合 金 、メッキ線、アル
ミ導体なども使われることがある。シース材料には EM-CET ではポリオレフィン系の樹
脂 に 金 属 水 酸 化 物 を 高 充 填 し た 耐 燃 ポ リ エ チ レ ン 混 和 物 が CV-T で は 塩 化 ビ ニ ル 混 和
物が用いられる。
表 1.(1)− 1 600V CVT および 600V EM-CET の 構 成 材 料
構成材料
導体
絶縁体
シース
600V CVT
軟銅線(JIS C 3102)
架橋ポリエチレン
塩化ビニル混和物
-1-
600V CET
軟銅線(JIS C 3102)
架橋ポリエチレン
耐燃ポリエチレン混和物
② CVV および EM-CEE の 構 成 材 料
制御用ケーブルは、発電所および工場などにおいて主に制御回路に使用されるケ
ー ブ ル で 、小 電 力 の 場 合 に は 低 圧 電 力 ケ ー ブ ル と し て 使 用 さ れ る こ と も あ る 。制 御 用
ケーブルには使用環境、条件により、様 々 な 絶 縁 、 シ ー ス 材 料 の 組 み 合 わ せ が あ る 。
ま た 、 そ の 使 用 場 所 、 雰 囲 気 の 関 係 で 電 力 線 か ら の 誘 導 防 止 、 耐 熱 性 、耐 薬 品 性 等
を要求される場合があり、その場合には電力ケーブルの場合と同様に適当な絶縁、シ
ー ス 材 料 、構 造 の 選 択 が 必 要 で あ る 。表1.(1)−2に一般的な構成材料を示す。
導 体 に は 一 般 に は 軟 銅 線 を 使 用 す る が CVT 、 EM-CET と 同 様 に 酸 素 含 有 量 0.01 %
以 下 の 無 酸 素 銅 、銀 や 錫 と の 銅 合 金 、メッキ線、アルミ導体なども使われることがあ
る。さらに銅編組などで遮へいしたタイプやシースの上に鋼線などでがい装を施したも
のもある。
表1.(1)−2 CVV および EM-CEE の 構 成 材 料
600V CVV
構成材料
導体
軟銅線(JIS C 3102)
絶縁体
塩化ビニル混和物
介在
PP、ジュート、紙類
押さえテープ PET、ポリエステル不織布
シース
塩化ビニル混和物
600V EM−CEE
軟銅線(JIS C 3102)
低密度ポリエチレン
PP、ジュート、紙類
PET、ポリエステル不織布
耐燃ポリエチレン混和物
注 ) PP : Polypropylene
PET :Polyethylene Terephthalate
③ SM 防水型光ファイバケーブルおよび SM 防 水 型 難 燃 光 フ ァ イ バ ケ ー ブ ル の 構 成 材 料
防水型光ファイバケーブルは、主 に 光 通 信 に お け る 地 下 幹 線 用 ケ ー ブ ル と し て 使 用
され、光ファイバ数十心∼数千心の各種光ケーブルが製造されている。また、構内、
所 内 に 引 き 込 ま れ る 部 分 で は 難 燃 性 が 要 求 さ れ 、100心 程 度 以 下 の タ イ プ で は 架 空
用にも使用される。表1.(1)− 3に一般的な構成材料を示す。
光ファイバ心線は外径 125 μ m のガラスファイバにUV樹脂を被覆し外径 250 μ m
にしたものを通常 4 本または 8 本 並 べ 、さらに UV 樹脂被覆を施しテープ化したものを
使用する。これをポリエチレンからなるスペーサ内に積層し多心光ファイバケーブルと
する。
表1.(1)−3. SM 防水型光ファイバケーブルおよび SM 防水型難燃光ファイバケーブルの
構成材料
構成材料
光ファイバ心線
スペーサ
テンションメンバ
副資材
シース
SM防水型光ファイバケーブル
SM型光ファイバテープ心線
高密度ポリエチレン
鋼線
SM防水型難燃光ファイバケーブル
SM型光ファイバテープ心線
高密度ポリエチレン
鋼線
止水材不織布、PETテープ、アラミド繊維
止水材不織布、PETテープ、アラミド繊維
低密度ポリエチレン
難燃ポリエチレン混和物
1.(1)− 2.構 造 お よ び 寸 法
① 600VCVT と 600VEM-CET の 構 造 お よ び 寸 法
600V CVT と 600V EM-CET の構造図を図1.(1)−1に示す。また代表的なケーブル
寸法および概算質量等を表1.(1)−4、5に示す。
-2-
導体
絶縁体
シース
図1.(1)−1.600VCVT と 600VEM-CET の 構 造
表 1.(1)−4. 600V CVT の 寸 法 お よ び 概 算 質 量
導体
公称
断面積
(mm2 )
8
14
22
38
60
100
150
200
250
325
構成
又は形状
(mm)
7/1.2
円形圧縮
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
外径
絶縁体
厚さ
外径
シース
厚さ
(mm)
(mm)
(mm)
(mm)
仕上
外径
(約)
(mm)
3.6
4.4
5.5
7.3
9.3
12.0
14.7
17.0
19.0
21.7
1.0
1.0
1.2
1.2
1.5
2.0
2.0
2.5
2.5
2.5
5.6
6.4
7.9
9.7
12.3
16.0
18.7
22.0
24.0
26.7
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.7
1.8
1.9
19
21
24
28
34
42
47
55
60
66
概算質量
(kg/km)
440
630
920
1430
2160
3470
4970
6650
8180
10440
表 1.(1)−5. 600V EM-CET の 寸 法 お よ び 概 算 質 量
導体
公称
断面積
(mm2 )
8
14
22
38
60
100
150
200
250
325
構成
又は形状
(mm)
7/1.2
円形圧縮
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
外径
絶縁体
厚さ
外径
シース
厚さ
(mm)
(mm)
(mm)
(mm)
仕上
外径
(約)
(mm)
3.6
4.4
5.5
7.3
9.3
12.0
14.7
17.0
19.0
21.7
1.0
1.0
1.2
1.2
1.5
2.0
2.0
2.5
2.5
2.5
5.6
6.4
7.9
9.7
12.3
16.0
18.7
22.0
24.0
26.7
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.7
1.8
1.9
19
21
24
28
33
41
47
55
60
66
概算質量
(kg/km)
410
610
905
1380
2080
3390
4860
6570
8090
10300
② CVV と EM-CEE の構造およびサイズ
4 心 の CVV と EM-CEE の構造図を図1.(1)−2に示す。また代表的なケーブル寸法
および概算質量等を表1.(1)− 6、7に示 す 。
-3-
表 1.(1)−6. CVV 寸 法 お よ び 概 算 質 量
芯数 導体
サイズ
2
3
4
5
6
7
8
10
12
15
20
30
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
導体構成
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
外径
(mm)
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
絶縁体
厚さ
(mm)
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
-4-
シース
厚さ
(mm)
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.7
1.5
1.5
1.7
1.9
1.6
1.7
1.8
仕上外径 概算質量
(約)
(mm)
(kg/km)
9.4
105
10.5
135
11.5
185
13.5
250
9.9
130
11.0
170
12.5
230
14.5
330
11.0
155
12.0
205
13.5
290
16.0
415
11.5
180
13.0
245
14.5
345
17.0
505
12.5
210
14.0
285
15.5
405
18.5
595
12.5
225
14.0
310
15.5
445
18.5
655
13.5
255
15.0
350
17.0
510
21.0
755
15.5
320
17.5
445
19.5
645
24
970
16
360
18
505
21
740
25
1130
17
420
19
595
22
880
27
1360
19
535
22
760
25
1170
31
1780
23
800
26
1150
30
1740
表1.(1)−7. EM-CEE 寸 法 お よ び 概 算 質 量
芯数 導体
サイズ 導体構成
2
3
4
5
6
7
8
10
12
15
20
30
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
5.5
1.25
2
3.5
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
7/1.0
7/0.45
7/0.6
7/0.8
外径
(mm)
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
3.0
1.35
1.8
2.4
絶縁体
厚さ
(mm)
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
1.0
0.8
0.8
0.8
-5-
シース
厚さ
(mm)
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.5
1.6
1.5
1.5
1.5
1.7
1.5
1.5
1.5
1.7
1.5
1.5
1.7
1.9
1.6
1.7
1.8
仕上外径 概算質量
(約)
(mm)
(kg/km)
9.4
80
10.5
105
11.5
145
13.5
210
9.9
95
11.0
130
12.5
185
14.5
275
11.0
115
12.0
160
13.5
235
16.0
345
11.5
135
13.0
190
14.5
285
17.0
420
12.5
160
14.0
225
15.5
335
18.5
500
12.5
170
14.0
245
15.5
370
18.5
555
13.5
195
15.0
280
17.0
425
21.0
640
15.5
250
17.5
360
19.5
545
24
830
16
280
18
410
21
625
25
960
17
335
19
490
22
755
27
1170
19
425
22
630
25
1000
31
1540
23
630
26
945
30
1490
導体
絶縁体
介在
シース
図 1.(1)−2. CVV および EM-CEE の 構 造
③ SM 防水型光ファイバケーブルおよび SM 防水型難燃光ファイバケーブルの構造とサ
イズ
100 心 の SM 防水型光ファイバケーブルと SM 防水型難燃光ファイバケーブルの構
造図を図1.(1)− 3 に 示 す 。 ま た 代 表 的 な ケ ー ブ ル 寸 法 お よ び 概 算 質 量 等 を 表1.
(1)− 8、9に示す。
テープ心線
止水テープ
鋼線
シース:ポリエチレンまたは耐燃ポリエチレン
図1.(1)−3. SM 防水型光ファイバケーブルと SM 防 水 型 難 燃 光 フ ァ イ バ ケ ー ブ ル の 構 造
表1.(1)−8.SM 防水型光ファイバケーブル寸法および概算質量
光ファイバ 光ファイバ 標準外径 概算質量
心数
テープ数
(mm)
(kg/km)
40
10
10.5
100
100
25
12.5
150
200
50
16.0
230
300
75
20.0
330
400
50
24.0
570
1000
125
30.0
850
表 1.(1)− 9. SM 防水型難燃光ファイバケーブル
光ファイバ 光ファイバ 標準外径 概算質量
心数
テープ数
(mm)
(kg/km)
40
10
11.5
140
100
25
13.5
200
200
50
17.0
290
300
75
21.0
410
400
50
25.0
650
1000
125
31.0
1020
-6-
1.(1)−3.基本物性
構 成 材 料 の 基 本 物 性 を 以 下 に 記 す 。ここに掲げる特性は代表的なデータ例であること
を付記しておく。
電 線 ・ケ ー ブ ル の 構 成 材 料 の う ち 金 属 材 料 に 関 す る も の を 表 1 .(1)− 10に示す。こ
のうち導体として用いられるのは銅線およびアルミニウム線である。硬銅線の場合は軟
銅線と比較して比抵抗が 3 %ほど大きくなる。
ま た 軟 ア ル ミニウムは軟銅線と比較して引っ張り強さが 40 % ほ ど に な る た め 通 常 は
電線用として硬アルミニウム線がもちいられる。
表1.(1)−10.金属材料の基本物性
材料
出典
軟銅線
硬アルミニウム線
鋼線
元素記号
Cu
Al
Fe
原子量
1
63.55
26.98
55.85
3
密度(g/cm )
1
8.93
2.70
7.87
融点(℃)
1
1085
660
1535
線膨張係数(1/℃ , 20℃)
2
1.68×10-5
2.36×10 -5
1.17×10 -5
比熱 (Cal/℃/g , 20℃) 2
0.092
0.225
0.11
熱伝導率 (Cal/℃/cm/s)
2
0.934
0.55
0.178
2
引張強さ(kgf/mm ) 硬
3
35∼47
15∼18
33
軟
20∼28
7∼14
伸び(%)
2
38.5
6
42.5
2
3
3
弾性係数(kg/mm )
2
11.9×10
6.3×10
18×10 3
比抵抗(μΩ/cm)
2
1.71
2.83
18
導電率(%)
2
101
61
9.5
比透磁率(%)
2
0.9999905
1.0000208
1 理科年表(1999)
2 新版・電力ケーブル技術ハンドブック(1989) 電気書院
3 電線要覧
②有機材料の基本物性
電 線 ・ケ ー ブ ル の 構 成 材 料 の う ち 有 機 物 材 料 に つ い て の 基 本 的 な 物 性 を 表 1 .(1)
−11に示す。絶縁材料として用いられる架橋ポリエチレンの電気的特性はポリエチレ
ンの優れた特性を有したまま耐熱性、機械的性能が高いという特長をもっている。 EM
電 線 ・ケ ー ブ ル の シ ー ス 材 料 と し て 用 い ら れ る 耐 燃 性 ポ リ エ チ レ ン 混 和 物 は ハ ロ ゲ ン
系の難燃剤や鉛等の金属を含まないため廃棄時、燃焼時に一般に有害と言われる物
質を環境に放出することがない。ただし、通常、樹脂 100 に対して 50 ∼ 100 重 量 部 の
無機系難燃剤を配合しており機械的、電気的特性は純粋なポリエチレンと比較すると
低下す る 。
-7-
表1.(1)−11 有機材料の基本物性
材料
架橋ポリエチレン
(低密度ポリエチレン)
電線絶縁材
用途
密度
熱伝導率 (cal/℃/cm/s)
熱膨張係数(℃−1)
比熱 (cal/℃/g)
硬度(ショアD)
熱変形温度 (℃)
電気的特性
引張強度
加熱劣化
体積抵抗率(Ω・cm)
誘電率
誘電損率(%)
破壊電圧(kV/mm)
規格
抗張力(MPa)
伸び(%)
規格
条件
強度残率(%)
伸び残率(%)
熱応力亀裂
低温特性
試験方法
脆化温度(℃)
低温伸び(%) 0.92
8×10-4
10∼20×10 -5
0.55
40以上
ASTM D648
(4.6kgf/cm2)
40∼74
18
10 以上
2.3
0.05以下
35∼50
JIS C 3605
10以上
200以上
JIS C 3605
120℃×96時間
80以上
80以上
ASTM D1693
良好
JIS C 3005
-50±3
2
1
2
低密度ポリエチレン
高密度ポリエチレン
電線絶縁材
光ファイバ被覆材
光ファイバスペーサ
0.910-0.925
8×10 -4
10∼20×10 -5
0.55
41-46
ASTM D648
(4.6kgf/cm2)
41∼49
18
10 以上
2.3
0.05以下
35∼50
JIS C 3605
10以上
350以上
JIS C 3605
90℃×96時間
80以上
65以上
JIS C 3005
-50±3
1
1
4
2
0.941-0.965
11∼12.5×10 -4
10∼20×10 -5
0.45
60-70
ASTM D648
(6.4kgf/cm2)
60∼82
15
16
10 -10
2.30-2.35(60Hz)
18-20
-
-
-
-
表中の右欄の数字は出典の番号を示す。
-8-
耐燃性ポリエチレン
混和物
電線シース材
光ファイバシース材
1
1
4
4∼6×10 -4
10∼25×10 -5
0.4∼0.5
40以上
-
13
15
10 ∼10
2.5以上
0.5以上
JCS 418
10以上
350以上
JCS 418
90℃×96時間
85以上
80以上
ASTM D1693
良好
JS C 3005
-15±0.5
塩化ビニル混和物
PP
PET
電線絶縁・シース材
電線介在
電線押さえテープ
光ファイバ用テープ
1.2-1.5
3∼7×10 -4
7∼25×10-5
0.3∼0.5
ASTM D648
(18.5kgf/cm2)
54∼74
13
14
10 ∼10
6∼8
0.5以上
20∼35
JIS K 6723
11.8以上
180以上
JIS K 6723
100℃×120時間
90以上
70以上
-
2
2
0.902-0.910
2.8×10-4
6∼11×10 -5
0.46
85-110
ASTM D648
(18.5kgf/cm2)
52∼60
16
10 以上
2.3
0.05以下
-
1
1.38-1.39
6.5∼9×10 -4
1.5∼5×10 -5
0.5
ASTM D648
(18.5kgf/cm2)
120
17
10
3∼4
0.05以下
-
33
700
JIS C 3005
100℃×48時間
85以上
80以上
-
5
5
55
55
150℃×168時間
80以上
80以上
-
JIS C 3005
-15℃以下
20%以上(-15℃) *一例
出典 :1 新版高分子辞典(1989) 高分子学会
2 電線要覧
3 東レデュポン カタログ
4 わかりやすいプラスチックの試験法 寺田商太郎 工業調査会
5 プラスチックの機械的性質 シグマ出版
③無機材料の基本物性
電 線 ・ケ ー ブ ル に 使 わ れ る 無 機 材 料 の 密 度 ・融点を表1.(1)−12に示す。
表1.(1)−12.無機材料の基本物性
材料
用途
密度
融点(℃)
ガラス
SiO2
光ファイバ
水酸化マグネシウム
Mg(OH)2
電線・光ファイバ
(耐燃ポリエチレン)
2.22
1,610
2.36
−
カーボンブラック
C
電線・光ファイバ
(塩化ビニル混和物)
(耐燃ポリエチレン)
2.25
>3,500
理科年表
岩波理化学事典
炭酸カルシウム
CaCO3
電線・光ファイバ
(塩化ビニル混和物)
2.7
1,339
④樹脂材料の耐候性
電 線 ・ケ ー ブ ル に 使 わ れ る ポ リ エ チ レ ン 系 樹 脂 お よ び 塩 化 ビ ニ ル 混 和 物 の 屋 外 暴
露 (宇 都 宮 市 明 保 野 町 1-7
南向
45 度 )データを図1.(1)−9、10に示す。それぞ
れ黒色に着色したもので、ポリエチレン系の樹脂にはカーボン 2.6 % を 配 合 し た 結 果
である。
120
伸び残率 /%
100
80
60
40
20
0
0
1
2
3
暴露期間 /年
-9-
4
5
6
図1.(1)−9.塩化ビニル混和物の屋外暴露試験
120
伸び残率 /%
100
80
60
40
20
0
0
2
4
6
8
10
12
暴露期間 /年
図1.(1)−10.ポリエチレン系共重合樹脂屋外暴露試験
⑤耐薬品性データ
電 線 ・ケーブルにおいて使用される材料の耐薬品性のデータである。表1.(1)− 1
3に金属材料を表1.(1)− 14には有機材料のデータを示す。
- 10-
表1.(1)−13.金属材料の耐薬品性
中項目
耐水・耐薬品性
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
*
1
銅
*
1
鋼
・
鉄
*
1
水酸化ナトリウム
塩酸
硫酸(濃)
硫酸(薄)
石油
アセトン
アニリン(液体)
エタノール
メチルエチルケトン
エチレングリコール
グリセリン
クレゾール
クロロホルム
酢酸(濃)
酢酸(薄)
四塩化炭素
シクロヘキサン
ジクロルジフルオルメタン
トリクロルエチレン
トルエン
二硫化炭素
フタル酸ジオクチル
フルフラール
ヘキサン
ヘプタン
ベンゼン
メチルエチルケトン60%/トルエン40%
×
×
×
×
○
○
×
○
△
△
△
×
○
○
△
○
○
×
△
×
○
○
△
×
△
△
△
△
△
△
△
○
○
○
○
○
○
○
海水
水蒸気
大気
*1アルミニウムハンドブック、p.1261(1963)
○:良、△:可、×:不可
○
○
○
○
○
○
○
小項目
耐アルカリ性
耐酸性
耐油性
耐有機溶剤性
耐水性
- 11-
○
○
JECTEC
表1.(1)−14.有機材料の耐薬品性
中項目
帯油・
耐水・
耐薬品性
小項目
耐アルカリ性
耐酸性
10%NaOH
10%HCl
浸
漬
温
度
体
積
変
化
重
量
変
化
[℃]
50
50
[%]
[%]
+2
+6
[%]
102
93
伸
び
残
率
[%]
71
200
参
考
文
献
体
積
変
化
[%]
ポリエチレン混和物
重
引
伸
量
張
び
変
強
残
化
さ
率
残
率
[%]
[%]
[%]
1
1,2
参
考
文
献
体
積
変
化
[%]
ポリプロピレン
重
引
伸
量
張
び
変
強
残
化
さ
率
*
残
1
率
[%]
◎
[%]
溶
解
性
*
2
[%]
○
10%H2SO4
耐油性
耐有機溶剤性
ASTM No.2
アセトン
アニリン
エタノール
メチルエチルケトン
エチレングリコール
グリセリン
クレゾール
クロロホルム
酢酸(conc)
酢酸(3%)
四塩化炭素
シクロヘキサン
ジクロルジフルオルメタン
トリクロルエチレン
トルエン
二硫化炭素
フタル酸ジオクチル
フルフラール
ヘキサン
ヘプタン
ベンゼン
耐水性
1
2
3
4
PVC混和物
引
張
強
さ
残
率
水
50
100
50
室温
50
室温
室温
50
室温
室温
50
室温
室温
50
室温
50
50
室温
50
室温
室温
室温
室温
室温
室温
室温
室温
50
80
室温
50
70
±0
94
103
1,2
97
83
11
121
83
(膨潤破壊)
101
88
107
3
2,4
3
2
2
3
4
2
3
2
2
3
2
1,2
1
2
3
2
2
4
2
2
2
2
◎
-5
+74
+400
+16
±0
+3
±0
+1
±0
±0
+56
+56
-10
+17
67
118
127
90
測定不能
87
83
44
118
11
132
±0
+26
±0
±0
+9
-16
-13
+41 +124
-11
+13 -21
+105
+32
+10
+2
+2
+1
桑田、大北編:『新しい工業材料の科学、A-9、電気絶縁材料』金原出版(1968)
渡辺、川和田:日立評論、[別31]、50(1959)
藤井、柳瀬:日本電線技報、No.4、p.107(1963)
茂原:大日電線時報、No.19、p.12(1961)
100
90
27
78
103
90
92
5
6
*1
*2
×
◎
◎
×
×
△
×
△
△
2,4
1,3
4
2,4
1
4
<0.01
伊藤編:『プラスチックデータハンドブック』、p.11、p.231(1980)
高分子学会編:『高分子材料便覧』、p.1289(1973)
◎優:<±2%、○良:2∼+14%、−2∼−3%、△可:+14∼+18%、−3∼−4%、×不可:使用不可
○溶解する、△僅かに溶解する、×溶解しない
ポリエチレン混和物に関しては有効なデータが見つからなかった。今後収集して行く必要がある。
- 12萩原 壽夫