病期分類演習(胃) (解答、解説) 《 胃 》 <症例 1> 上部消化管内視鏡により胃体部に 0-IIcを疑う病変あり。生検にて、管状腺癌、壁深達度:SM と 考えられた。体幹部CTにて所属リンパ節転移なし、遠隔転移なし。胃亜全摘出術施行。 【病理報告】中分化型管状腺癌。腫瘍は粘膜下層に浸潤している(壁深達度:SM)。 リンパ節郭清結果:#1(0/2)、#3(0/3)、#4(0/3)、#7(0/2)、#9(0/3)、#11(0/3)。断端(-)。 cTNM T 1b N 0 M 0 Stage IA pTNM T 1b N 0 M 0 Stage IA c 進展度 1:限局 p 進展度 1:限局 解説:胃亜全摘出術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・壁深達度:SM。 cN・・・術前検査(体幹部 CT)にて所属リンパ節転移なし。 cM・・・術前検査(体幹部 CT)にて遠隔転移なし。 pT・・・胃亜全摘出術の病理組織診断報告より「粘膜下層に浸潤(壁深達度:SM)」。 pN・・・郭清リンパ節に転移なし。 pM・・・特に記載がないので、cM の情報を用いる。 c 進展度・・・T1bN0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T1bN0M0 なので、「1:限局」。 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症例 2> 内視鏡にて胃体部大彎の 0-IIa 型胃癌を認める(M 癌)。生検の結果、腺癌の診断。 体幹部CTではリンパ節転移なし、遠隔転移なし。EMR(内視鏡的粘膜切除術)施行。 【病理報告】中分化型管状腺癌。壁深達度:M。HM(-)、VM(-) cTNM T 1a N 0 M 0 Stage IA pTNM T 1a N 0 M 0 Stage IA c 進展度 1:限局 p 進展度 1:限局 解説:EMR 施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・壁深達度:M。 0-IIa 型早期胃癌なので、壁深達度の記載なくても cT1a cN・・・術前検査(体幹部 CT)で、リンパ節転移なし。 cM・・・術前検査(体幹部 CT)で、遠隔転移なし。 pT・・・EMR の病理組織診断より「壁深達度:M」。 pN・・・特に記載がないので、cN の情報を用いる。 pM・・・特に記載がないので、cM の情報を用いる。 c 進展度・・・T1aN0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T1aN0M0 なので、「1:限局」。 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症例 3> 上部消化管内視鏡検査で、胃前庭部に Borrmann3 型の病変を認め、生検施行(高分化型管状 腺癌)。超音波内視鏡にて壁深達度 MP。術前検査で、リンパ節転移なし、遠隔転移なし。 胃亜全摘出術施行。 【病理報告】中分化型管状腺癌。壁深達度:SS。郭清リンパ節結果:#3(3/8)、 #4(0/5)、#5(0/6)、#6(2/8)、#8(3/9)、#9(0/7)、#11(0/2)、#14v(0/5)、#16(2/5) cTNM T 2 N 0 M 0 Stage IB pTNM T 3 N 3a M 1 Stage IV c 進展度 1:限局 p 進展度 4:遠隔転移 解説:胃亜全摘出術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・壁深達度:MP。 cN・・・術前検査でリンパ節転移なし。 cM・・・術前検査で遠隔転移なし。 pT・・・胃亜全摘出術の病理組織診断より「壁深達度:SS」。 pN・・・所属リンパ節である#3、#6、#8 に計 8 個の転移あり。 pM・・・所属外リンパ節である#16 に転移あり。 c 進展度・・・T2N0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T3N3aM1 なので、「4:遠隔転移」。 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症例 4> 胃体部大彎の胃癌。内視鏡下生検施行。病理報告:中分化型管状腺癌、壁深達度:MP。 画像検査で、胃周囲リンパ節(#4)への転移が認められる。術前検査で遠隔転移なし。 胃全摘出術施行。 【病理報告】中~低分化型管状腺癌、膵臓に直接浸潤(+)、壁深達度:SI。 郭清リンパ節結果:#1(0/5)、#2(0/3)、#3(0/5)、#4(3/6)、#6(0/5)、#7(0/3)、 #9(0/3)、#10(2/5)、#11(2/6)、#16(0/5)。術後化学療法施行。 cTNM T 2 pTNM T 4b N N 1 M 0 Stage IIA 3a M 0 Stage IIIC c 進展度 2:所属リンパ節転移 p 進展度 3:隣接臓器浸潤 解説:胃全摘出術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・壁深達度:MP。 cN・・・胃周囲リンパ節(#4)に転移あり。個数の記載がないので一番低い分類をとる。 cM・・・術前検査にて遠隔転移なし。 pT・・・胃全摘出術の病理組織診断より、「膵臓に直接浸潤あり、壁深達度:SI」。 pN・・・所属リンパ節である#4、#10、#11 に計 7 個転移あり。 pM・・・特に記載がないので、cM の情報を用いる。 c 進展度・・・T2N1M0 なので、「2:所属リンパ節転移」。 p 進展度・・・T4bN3aM0 なので、「3:隣接臓器浸潤」。 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症例 5> 腹部痛にて受診。内視鏡にて胃体部~前庭部に拡がる潰瘍性病変あり。生検の結果、低分化 型腺癌。造影検査:壁深達度 SS。術前検査にて所属リンパ節転移なし、遠隔転移なし。胃全摘 出術施行。 【病理報告】低分化型腺癌。壁深達度 SE 。郭清リンパ節結果:#1(0/5)、#2(0/3)、#3(0/ 5)、 #4(5/8)、#5(0/5)、#6(0/5)、#7(0/3)、#8(0/3)、#9(0/3)、#10(2/5)、#11(2/6)、 #14v(2/5)、#16(0/5) cTNM T 3 N 0 M 0 Stage IIA pTNM T 4a N 3a M 0 Stage IIIC c 進展度 1:限局 p 進展度 3:隣接臓器浸潤 解説: 胃全摘出術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・壁深達度:SS。 cN・・・術前検査にて所属リンパ節転移なし。 cM・・・術前検査にて遠隔転移なし。 pT・・・壁深達度 SE。 pN・・・所属リンパ節である#4、#10、#11、#14vに計 11 個の転移あり。 pM・・・特に記載がないので、cM の情報を用いる。 c 進展度・・・T3N0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T4aN3aM0 なので、「3:隣接臓器浸潤」。 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症 例 6> 56 歳 女性 <現病歴> 昨年 11 月頃から胃重感が出現するも、経過をみていた。2015 年 1 月中旬から胸のつかえ感も 出現し、徐々に増悪傾向を示すため、2015 年 2 月 20 日Cクリニックを受診。 2015 年 2 月 24 日、同クリニックで上部消化器内視鏡を施行され、胃角の幽門寄りに潰瘍性病変 を認めたため、同部で生検施行。 2015 年 3 月 2 日、再診時に、生検の結果が signet-ring cell carcinoma と判明。当院外科へ紹介。 <経 過> 2015 年 3 月 3 日 2015 年 3 月 9 日 当院外科を初診。 上部消化管内視鏡および生検を施行。 内視鏡所見:Antrum LC Type 2, 25mm 径。 EUS で一部に筋層への浸潤を認めた。 2015 年 3 月 13 日 2015 年 3 月 17 日 2015 年 3 月 18 日 2015 年 3 月 28 日 腹部超音波検査でリンパ節、他臓器への転移所見なし。 手術目的で入院。 腹腔鏡補助下幽門側亜全摘術(LADG)施行(D1+β郭清)。 退院。 ≪手術病理報告≫ 胃幽門前庭部小彎に比較的深い粘膜の陥凹性病変を認めます。周堤は比較的明瞭で、 陥凹病変に一致して、一部に印環細胞癌を伴う低分化癌が増殖しており、腫瘍の最深部は 固有筋層を越えて浸潤しています。 切除断端は PM0、DM0 ですが、漿膜下のリンパ管、静脈への中等度侵襲を認めます (ly2、v2) n:#1 0/3, #3 0/4, #4d 2/6, #4sb 0/2, #5 0/3, #6 2/4, #7 0/1, #8a 0/3, #9 0/3 cTNM T 2 N 0 M 0 Stage IB pTNM T 3 N 2 M 0 Stage IIIA c 進展度 1:限局 p 進展度 2:所属リンパ節転移 病期分類演習(胃) (解答、解説) 解説: 腹腔鏡補助下幽門側亜全摘術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・筋層への浸潤を認めた。 cN・・・腹部超音波検査で、リンパ節転移の所見なし。 cM・・・腹部超音波検査で、他臓器への転移所見なし。 pT・・・「最深部は固有筋層を越えて浸潤」と記載あり。 pN・・・所属リンパ節である#4d、#6 に計 4 個転移あり。 pM・・・特に記載がないので、cM の情報を用いる。 c 進展度・・・T2N0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T3N2M0 なので、「2:所属リンパ節転移」。 *LC: Lesser curvature 小彎 *LADG: laparoscopy-assisted distal gastrectomy *D1+β郭清: 腫瘍近傍(胃癌取扱い規約第 13 版の第 1 群)リンパ節の郭清に加えて、 #7、#8a、#9 を郭清する 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症 例 7> 73 歳 男性 <現病歴> 昨年末から、食後のもたれ、むかつき感があったため、2015 年 1 月 6 日 D クリニック受診。 1 月 8 日に行った内視鏡で胃体部の早期胃癌(Ⅱa)と診断された。手術目的に当院へ紹介。 <経 過> 2015 年 1 月 16 日 2015 年 1 月 18 日 紹介初診。 上部消化管内視鏡および生検を施行。 Middle Body, GC PW Type 0-Ⅱa 潰瘍を伴わず《UL(-)》、 15mm 大 EUS で第 3 層への軽度浸潤を認めるのみであったため、sm 浅層浸潤と判 断。 2015 年 1 月 22 日 胸腹部 CT:大動脈周囲のリンパ節の軽度腫大を認めるも、転移とは確定 できず。 2015 年 1 月 24 日 18 日の生検結果は tub1 とのことで、EMR の適応と判断され、病理の結果 次第では外科的切除を行う旨の説明がされた。 EMR 施行。 VM1 のため、外科的治療を追加することとなった。 胃全摘術施行。術後、経過良好にて 3 月 3 日退院。 2015 年 2 月 4 日 2015 年 2 月 9 日 2015 年 2 月 14 日 ≪EMR・病理報告≫ 0-Ⅱa, 15×12mm, 深達度不明, す。 tub1, UL(-), ly(+), v(-), HM0, VM1 で垂直断端陽性で ≪胃全摘術・病理報告≫ 胃体中部大彎後壁に高分化型管状腺癌が、先進部では筋層に浸潤しています。 断端陰性です。P0, H0, CY0, PM0, DM0 n 8/40 (#1 0/6, #2 0/2, #3 0/3, #4sb 2/4, #4d 2/4, #5 0/2, #6 1/3, #7 0/1, #8 0/2, #9 0/1, #11 0/1, #12 0/2, #14v 2/3, #15 0/1, #16a 1/2, #16b 0/3) cTNM T 1b N 0 M 0 Stage IA pTNM T 2 N 3a M 1 Stage IV c 進展度 1:限局 p 進展度 4:遠隔転移 病期分類演習(胃) (解答、解説) 解説: 胃全摘出術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・EUS で壁深達度 SM cN・・・胸腹部 CT で所属リンパ節に関する記載なし。 cM・・・胸腹部 CT で転移に関する記載なし。 pT・・・「先進部では筋層に浸潤」と記載あり。 pN・・・所属リンパ節である#4sb、#4d、#6、#14v に計 7 個転移あり。 pM・・・所属外リンパ節である#16a に転移あり。 c 進展度・・・T1bN0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T2N3aM1 なので、「4:遠隔転移」。 *GC: Greater curvature *PW: Posterior wall *UL: ulcer 潰瘍 大彎 後壁 病期分類演習(胃) (解答、解説) <症 例 8> 56 歳 女性 <現病歴> 2014 年 12 月頃から心窩部痛が出現し、2014 年 12 月 20 日、近医 A 胃腸科クリニックを受診。翌 日、同クリニックで上部消化器内視鏡を施行され、胃底部前壁に潰瘍病変を認め、同部で生検を 施行された。2014 年 12 月 26 日、再診時に、生検の結果が Adenocarcinoma と判明したため、当 院外科へ紹介。 <経 過> 2015 年 1 月 7 日 当院外科を初診。 2015 年 1 月 9 日 上部消化管内視鏡および生検を施行。 内視鏡所見: 穹隆部前壁に Type 3 40×30mm 大 EUS で第 4 層までの浸潤所見を認め、壁深達度 MP と診断。 2015 年 1 月 10 日 腹部超音波検査。リンパ節や肝など他臓器への転移所見なし。 2015 年 1 月 17 日 手術目的で入院。 2015 年 1 月 18 日 噴門側胃切除術(D2 廓清)施行。 2015 年 2 月 15 日 退院。 ≪手術病理報告≫ 胃底部前壁に潰瘍性病変を認め、病変に一致して、低分化癌が漿膜下層に浸潤しています。 切除断端は陰性ですが、漿膜下のリンパ管、静脈への高度な侵襲を認めます。 type 3, 40×35mm, por1 >> tub2, int, INFc, ly3, v2, P0, CY0, H0, PM0, DM0 n:#1 2/3, #2 1/2, #3 0/4, #4sa 2/6, #4d 0/2, #5 0/3, #6 0/4, #7 1/2, #8a 0/0, #9 0/3 cTNM T 2 N 0 M 0 Stage IB pTNM T 3 N 2 M 0 Stage IIIA c 進展度 1:限局 p 進展度 2:所属リンパ節転移 病期分類演習(胃) (解答、解説) 解説: 噴門側胃切除術施行前までを「治療前」の情報として抽出します。 cT・・・EUS で壁深達度 MP cN・・・腹部超音波より所属リンパ節転移なし。 cM・・・腹部超音波より他臓器への転移所見なし。 pT・・・「漿膜下層に浸潤」と記載あり。 pN・・・所属リンパ節である#1、#2、#4sa、#7 に計 6 個転移あり。 pM・・・特に記載がないので、cM を用いる。 c 進展度・・・T2N0M0 なので、「1:限局」。 p 進展度・・・T3N2M0 なので、「2:所属リンパ節転移」。
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