山口大学工学部への人材育成等支援経費に対する活用

山口大学工学部への人材育成等支援経費に対する活用状況の報告
<平成27年度 工学部への支援>
グローバルな人材をはぐくむ環境づくりのために
工学部学務課長 渡邉 早苗 工学部は平成 24 年度に文部科学省グロー
業会のご支援により集会室の整備を行ったと
バル人材育成推進事業(平成 26 年度に「経
ころですが、今年度は2階の談話室に勾玉形
済社会の発展を牽引するグローバル人材育成
テーブル3台と椅子 12 脚を、3階談話室に
支援」に名称変更)に採択され、附属グロー
はとり外しや変形可能な畳マットを購入し、
バル技術者養成センター(以下センター)を
さらに共用施設の充実を図りました。
中心に、英語教育や海外研修など、海外で活
常盤寮C棟は、日本人学生と留学生の混住
躍できる技術者を養成するための様々な取り
型学生寮で、生活体験を通じての多文化理解
組みを行っています。採択から3年が経過し、
及び国際感覚の醸成をめざしています。日本
多くの学生が海外での研修を経験し、国際的
を感じることのできる畳スペースと、汎用的
な意識の高い学生が増えています。そうした
なミーティングルームという異なった空間を
学生を中心に、日本人学生の意識高揚を促す
提供することにより、寮内での多様で国際色
情報発信を行い、日本人学生と外国人留学生
豊かな活動を促進することが可能となりまし
が共同で企画し交流イベントを行えるよう、
た。
センターに学生活動室を設けています。今年
センター学生活動室や常盤寮C棟は、学生
度は常盤工業会からご支援いただきました工
がコミュニケーション能力を備え、国際的視
学部運営寄附金により、日本的な生活様式を
点や異文化に対する寛容な精神を培う場所と
体験できるよう、こたつとしても使用可能な
して重要な役割を担っています。こうした施
ワークショップ用テーブルセットを購入し、
設の充実のために、常盤工業会からのご協力
活動室の整備を行いました。
とご支援を賜りましたことを厚く御礼申し上
また、平成 27 年4月に新営されました常盤
げますとともに、常盤工業会のますますのご
寮C棟(MUSUBI)は、昨年度、常盤工
繁栄を祈念いたします。
グローバル技術者養成センター学生活動室
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<平成27年度 電気電子工学科への支援>
学生実験テーマの拡充による教育効果の改善
電気電子工学科講師 山田 洋明 電気電子工学科では、学生実験テーマの拡
られておりました。
充のために、新たな実験室の立ち上げに必要
そこで、今年度、工学部より新たに2つの
なワークテーブル、プロジェクタおよびスク
部屋を借り入れて、学生実験テーマの拡充の
リーンなどの購入費用として人材育成等支援
ための新たな実験室の整備を行いました。新
経費を使用させていただきました。
しく立ち上げた実験室では、エレベータや製
造ラインなどの制御に用いられている“シー
学生実験の充実
ケンス制御”や新幹線や電気自動車の電力変
電気電子工学科では、教育・研究を通じて、
換制御に応用されている“パワーエレクトロ
電気電子工学の基礎となる知識をしっかりと
ニクス”のテーマを実施することができます。
身につけ、急激な技術変化にも対応できる優
人材育成等支援経費により実験室の設備備品
秀な電気電子工学技術者を社会に送り出すこ
等を購入させていただきましたことにより、
とを目的としています。特に学部生に対して
早期に実験室を立ち上げることができただけ
は、基礎理論教育と実験・演習による実践的
ではなく、ホワイトボードやプロジェクタを
教育を重視しています。また、当学科の卒業
利用して効果的に教育できる環境を整備する
生で在学中に所定の単位を修得した者は、実
ことができました。
務経験年数に応じて電気主任技術者の資格を
最後に、常盤工業会のご支援をいただき、
得ることができます。
新規に学生実験室を整備することにより、学
電気電子工学科では、2、3年時に「もの
生実験テーマの早急な拡充を行うことができ
づくり創成実習Ⅰ」
「
、ものづくり創成実習Ⅱ」、
ました。電気電子工学科教職員一同、厚く御
「応用実験Ⅰ」
、
「応用実験Ⅱ」の4つの実験科
礼申し上げるとともに、今後とも当学科へのご
目を受講し、座学の講義で学習した基礎から
支援を賜ります様宜しくお願い申し上げます。
専門科目の応用までの内容を習得します。
特に「応用実験Ⅱ」では、卒業研究配
属前の3年生が受講しており、各研究室
の研究に繋がるような実験テーマや電気
主任技術者の関連知識として重要な電動
機の制御などのテーマを実施していま
す。しかしながら、時代の変化に伴う実
験テーマの充実や電気主任技術者として
習得すべき関連テーマの拡充が求められ
ていました。一方で、現行の実験室では
実験テーマを拡充するためのスペースが
新規に整備した実験室
十分になく、新しい実験室の整備が求め
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<平成27年度 感性デザイン工学科への支援>
LCEM ツールの導入による建築環境・設備系実践教育の充実
感性デザイン工学科教授 小金井 真 感性デザイン工学科では、人の感性の多面
レーションできるソフトウェアで国土交通省
性や多様性への理解に立脚した、安全・快適
のホームページで公開されています。LCEM
で環境に優しい建築を創造する技術や基礎デ
ツールを活用することにより、設計段階の空
ザインの技術を習得し、これらの技術を活か
調システムの検討、施工段階・運用段階のエ
した分野で活躍できる人材を育成するための
ネルギー性能評価及び運用改善の検討が可能
さまざまな教育活動に取り組んでいます。感
となり、建築設備システムの省エネルギー・
性デザイン工学科は、①構造系(建築構造学、
省 CO2 化を図ることができるため、設備設計
建築材料・施工学)、②計画系(建築計画学、
に関わる技術者、研究者の間で広く活用され
都市計画学)
、③環境系(人間環境工学、建
るようになっています。
築環境・設備工学)
、④デザイン系(建築デ
感性デザイン工学科では、建築設備・環境
ザイン学、感性工学)の4つの分野で構成さ
系の講義・演習において建築のライフサイクル
れています。
におけるエネルギー管理について学習するた
環境系分野の一つである「建築環境・設備
めのグループ演習を実施するに際して必要な
工学分野」では、快適で生産性の高い環境を
LCEM を搭載したパソコン7台をこのたびの
小さい環境負荷で作るための理論と技術を習
人材育成支援経費によって購入いたしました。
得するための教育を行っています。
建築設備の基礎理論や設計法を学ぶだけで
この分野では近年、民生部門のエネルギー
はなく、課題となる空調システムについて
消費量の3∼4割を占める空調・給湯用途の
時々刻々と変化する消費エネルギー量を把握
エネルギーを効率的に使用することが求めら
し、システム改善点の発見などを学生自らが
れており、そのためには、機器の定格能力や
行える実践的な講義・演習が実施できるよう
ピーク負荷に基づいた設計だけではなく、オ
になりました。
フピーク時やメンテナンス・更新・解体まで
当学科の講義・演習の充実に対して、常盤
含めた、より包括的なエネルギー管理が必要
工業会のご支援をいただきましたことに対し
となってきています。建物のライフサイクル
まして厚く御礼を申し上げます。
(企画、設計、施工、維持管理、改修、解体)
を通じてマネジメントを行う視点が求められ
るようになっています。
LCEM(エルセム)とは Life Cycle Energy
Management の略で、建築物の消費エネル
ギーを「ライフサイクル全体で」管理するこ
とを意味しています。LCEM ツールは個々
の建物毎に、様々な条件下で、空調システ
ムの年間エネルギー消費量を簡易にシミュ
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<平成27年度 社会建設工学科への支援>
社会建設工学科学生・院生の国際化とプロフェッショナル意識向上プロジェクト(2)
社会建設工学科教授 朝位 孝二 ・ 准教授 榊原 弘之 社会建設工学科では、平成 27 年度に常盤工
海外で働くための心構えについてご講演い
業会よりご支援いただいた人材育成支援経費
ただきました。
を、学外の実務家の皆様を学生対象講演の講
*伊藤文雄氏(大成建設㈱国際支店原子力プ
師として招聘するための旅費として使用させ
ロジェクト部部長):平成 28 年1月 19 日に
ていただきました。このことについては昨年
大学院生を対象に、「国際建設プロジェク
度の「常盤」にて既にご報告しておりますが、
トの魅力と実際∼アルジェリア高速道路建
今回は、前回の原稿締切以降に実施した講演
設に携わって」
と題して、
国際大型プロジェ
を含め、あらためてご報告いたします。
クトの「アルジェリア高速道路建設」に関
以下、招聘した皆様のお名前と、ご講演の
し、プロジェクトの概要と8年間現地で建
概要を記します。
設工事に携われてきた経験についてお話い
*荒木田勝氏(アジア防災センター主任研究
ただきました。
員)
:平成 27 年7月 16 日に「国際防災協力
*藤井克己氏(八千代エンジニヤリング㈱国
の潮流と実務の課題−国連防災世界会議と
際事業本部都市環境部部長):平成 28 年2
ネパール大地震−」という題目で大学院生・
月3日に大学院生及び3年生を対象に、エ
4年生を対象にご講演いただきました。
ジプトの浄水場及び地方水道局の能力改
* Elizabeth Ann Maly 氏(東北大学災害科
善、アフガニスタンの首都圏開発計画など
学国際研究所助教)
:平成27年10月20日に、
実際に携わった途上国のプロジェクトの実
まず本学科1年生対象に「Why global ?」と
例を用いて、開発コンサルタントの業務内
題して、国際化の必要性、面白さについて
容、位置づけについて講演をしていただき
講演いただきました。さらに、大学院生及び
ました。
留学生対象に、
「People Centered Housing
*吉川直孝氏(
(独)労働安全衛生総合研究所
Recovery…. and Relocation ?」と題して、
建設安全研究グループ/国際情報・研究振
東日本大震災後の復興にまつわる問題につ
興センター(併任)主任研究員)
:平成 28
いてお話しいただきました。
年2月3日に3年生を対象に、大学院進学
*木村克尚氏(東亜建設工業㈱国際事業部 の必要性についてお話しいただき、特に自
土木部長)
:平成 27 年 11 月 11日に、3年生
身の経験の中で外国留学や英語力強化の重
を対象に、
「建設産業の国際展開」と題して、
要性についてご講演いただきました。
ご自身の海外勤務経験も交えつつお話しい
*山田 卓氏(大阪市立大学工学研究科都市
系専攻講師):平成 28 年2月3日に3年生
ただきました。
*石渡幹夫氏(国際協力機構 国際協力専門
を対象に、本学在学中から博士号を取得し
員):平成 28 年1月 13 日に、3年生を対象
現職になるまでに経験したことをもとに数
に、日本の国際協力に関わる海外プロジェ
学や物理学などの勉強が大事であること、
クトについて紹介していただくとともに、
専門家になるには大学院進学が必須である
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ことなどご講演いただきました。
生のそのような情報ギャップを埋めることに
*打田郁恵氏(㈱オリナス・パートナーズ
もなり、厚く感謝申し上げる次第です。
共同代表)
:平成 28 年2月5日に大学院生
を対象に、日本企業と海外の現場をつなぐ
仕事についてご紹介いただき、国際協力を
担う人材が満たすべき条件について講演い
ただきました。
以上のように、民・官・学の多様な講師の
皆様を招聘することができました。ウェブで
どのような情報も入手できるかに思われる現
代ですが、本学学生は、キャリア意識を培う
に当たって必要な、社会の生の情報に触れる
機会が、大都市圏の大学生と比較して少ない
東北大学の Maly 氏の講演風景
ように思われます。今回のご支援は、本学学
宇部にお越しの際は
常盤工業会会館宿泊施設 をご利用ください!
宿泊施設(洋室シングルルーム)
冷暖房・バス・トイレ・テレビ完備
宿泊料金
会費納入者 1 泊 3,000 円
その他 1 泊 4,000 円
チェックイン 15 時
チェックアウト 10 時
食事 昼食、夕食は館内のテナントを利用でき
ますが、朝食は各自で準備ください。
宿泊の申込は、常盤工業会事務局にお電話ください。
TEL(0836)32-7599 IP電話(050)5551-2147
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