平成26年度 岬 町 水 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 参考 質 検 査 計 基本方針 水道事業の概要 原水及び水道水の水質の状況及び水 質管理上の留意点 水質検査項目及び頻度 水質検査方法 臨時の水質検査 水質検査計画及び検査結果の公表 水質検査結果の評価と信頼性保証 関係者との連携 水質基準項目等の説明 大 阪 府 泉 南 郡 岬 町 画 書 平成26年度 岬町水道事業水質検査計画 1.基本方針 住民の皆様が安心して飲用していただける水道水を供給するため、適切な水質管理を 実施するとともに、安全な水道水を供給していることをご理解願うため、水道法で定め られた「水質検査計画」を下記の方針により作成し、その結果を公表するものです。 (1) 検査拠点 浄水場の原水及び浄水に加え、配水系統を考慮した給水栓で検査を行います。 (2) 検査項目 検査項目は、水道法で義務付けられた水質基準項目と、水質管理上留意すべきとさ れている水質管理目標設定項目のうち必要と判断される項目及び独自の項目とします。 (3) 検査頻度 水質検査の頻度は、住民の安全性を考慮し、水道法令に基づく検査回数を実施しま す。 2.水道事業の概要 本町の水道事業は、昭和29年10月の創設以来、数次の拡張事業を実施し、安定給 水に努めてきましたが、第5次拡張事業において西畑、東畑地区への給水が開始された ことにより未給水区域の解消が図られ、上水道普及率は100%を達成し、現在に至っ ています。 本町の水道の原水は、逢帰ダムを原水とし、孝子浄水場において浄水処理を行った浄 水(以下「自己水」という。 )が全体の約25.4%で、この水源のみでは必要な水量を 確保できないため、大阪広域水道企業団から受水し町内に水道水を供給しています。 (1) 水源及び給水区域(平成24年度) ○ 水 源 大阪広域水道企業団水(淀川、村野浄水場) 約74.6% 自己水(孝子浄水場) ○ 給水区域 岬町全域 (2) 給水の状況(平成24年度) 口 : 17,290 人 率 : 100% 数 : 8,124 戸 年間総配水量 : 2,209,863 ㎥ 1 日 最 大配 水 量 : 7,342 ㎥ 1 日 平 均配 水 量 : 6,054 ㎥ 給 水 普 給 人 及 水 戸 約25.4% (3) 浄水場の名称・浄水方法 名 称 : 孝子浄水場 所在地 : 岬町孝子 636 番地 水 源 : 逢帰ダム(地表水) 処理能力 : 4,200 ㎥/日 浄水方法 : 逢帰ダム → 着水井(原水) → 凝集沈澱処理 → 急速ろ過処理 → 塩素消毒処理 → 浄水 → 配水 3.原水及び水道水の水質状況及び水質管理上の留意点 (1) 原水の状況 原水となる逢帰ダムは、山間部に位置し、ほとんどが雨水による貯水のため、これ まで変化も少なく、良好な状態を保っています。しかし、突発性の事故や化学物質な ど、次に掲げるような課題があります。 ① 地下水由来の無機物(鉄・マンガン)による水質の変化 ② 渇水時の水位低下による水質の変化 ③ 人為的汚染による水質の変化 ④ クリプトスポリジウムなどの病原性微生物の存在 また、大阪広域企業団の水道水は、淀川を水源とした村野浄水場でオゾン・粒状活 性炭処理による高度浄水処理を行っています。 (2) 水道水の状況 浄水場で浄水処理した水及び給水栓での水道水は、水質基準をすべて満たしており、 安全で良質な水となっています。 4.水質検査項目及び頻度 (1) 水質検査地点(別図1参照) ① 毎日検査地点 毎日検査が義務付けられている項目を検査するために、各配水池を考慮した末端 給水地点に検査地点を設け、11ヶ所選定しました。 ② 水質基準項目検査地点 ・ 浄水場等 浄水処理が適正に行われていることを確認するために、浄水処理前(原水)、 浄水処理後の水(浄水)の水を検査します。 ・ 給水栓 水質管理に万全を期すため、配水系統(自己水、企業団水、混合水)を代表す る配水池の末端給水栓3ヶ所を選定し、必要な項目について検査を行います。 (2) 検査項目及び検査頻度 ① 毎日検査 色、濁り及び消毒の残留効果の検査は、1日1回の検査を行います。 ② 水質基準項目の検査 水質基準項目の検査は、別表1のとおり行います。 ③ 水質管理目標設定項目の検査 水質管理目標設定項目の検査は、別表2のとおり行います。 ④ 独自の項目の検査 ○ クリプトスポリジウムの検査 クリプトスポリジウムの検査は、原水を大阪府立公衆衛生研究所に委託して年 2回行います。 ○ ダイオキシン類の検査 ダイオキシン類の検査は、原水を大阪府立公衆衛生研究所に委託して年1回行 います。 ⑤ 連続自動測定器による測定 主要な配水池等や浄水場では残留塩素の連続測定を行っています。また、孝子浄水場 では、施設の重要性を考慮し、残留塩素、pHに加え、新たに濁度、色度についても 連続自動測定を行うとともに、魚を原水で飼育し、有害物質の監視を行っています。 ・ 残留塩素、pH、色度、濁度 孝子浄水場(浄水) ・ 残留塩素 大阪広域水道淡輪受水場・淡輪高区配水池・ 望海坂配水池・多奈川ポンプ室・池谷配水 池・東畑配水池 5.水質検査方法 水質検査については、泉佐野保健所、大阪広域企業団水質管理センター及び大阪府立 公衆衛生研究所と委託契約を締結し実施します。検査方法については、国が定めた検査 方法「水質基準に関する法令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」等により行い ます。 6.臨時の水質検査 水道水が水質基準に適合しないおそれがある以下のような場合には、臨時の水質検査 を行います。 (1) 水源の水質が著しく悪化したとき。 (2) 水源に異常があったとき。 (3) 水源付近、給水区域及びその周辺において消化器系感染症が流行しているとき。 (4) 浄水過程に異常があったとき。 (5) 配管等の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染された恐れがあるとき。 (6) その他特に必要があると認められるとき。 7.水質検査計画及び検査結果の公表 水質検査計画は毎事業年度の開始前に、検査結果については検査終了後早い時期に作 成し、下記において閲覧できます。 閲覧場所 : 岬町都市整備部水道課 8.水質検査結果の評価と信頼性保証 (1) 水質検査結果の評価 水質検査結果を水質基準等と比較して、法令に適合した水質であることを確認しま す。 (2) 水質検査の精度と信頼性保証 水質検査の精度と信頼性を確保するため、検査機器の整備・点検あるいは、分析技 術の向上に努めます。 9.関係者との連携 水道水で水質事故が発生した場合及び水源で水質汚染事故が発生した場合は、大阪府 と連携し水質検査を行い、被害の拡大を防止するとともに早期回復に努めます。 また、大阪広域水道企業団水の水源や浄水処理で水質事故が生じた場合は、アクアネ ット大阪を通じて水質情報を大阪広域企業団及び受水市町村と共有するとともに、受水 地点の水質検査を行い、被害の拡大を防止し、安全な水道水の供給に努めます。 別図 1 配 水 系 統 図 及 び 水 質 検 査 地 点 別図1 自己水系 孝 子 浄 水 場 逢帰ダム(表流水) 孝 子 ・ 深 日 地 区 の 一 部 *原水及び浄水 水質検査地点 毎日検査地点 水 質 検 査 地 点 深日南海橋給水栓 毎 日 検 査 地 点 孝子浄水場給水栓 自己水+企業団 深 日 ・ 多 奈 川 地 区 の 一 部 深 日 配 水 池 東畑配水池 水 質 検 査 地 点 多奈川小島給水栓 毎 日 検 査 地 点 多奈川小島給水栓・多奈川西給水栓 多 奈 川 西 畑 地 区 池谷配水池 寺山配水池 毎 日 検 査 地 点 多奈川佐瀬川給水栓・横手給水栓 深 日 地 区 の 一 部 毎 日 検 査 地 点 深日北出給水栓 東配水池 多 奈 川 地 区 の一 部 毎 日 検 査 地 点 多奈川朝日給水栓 企業団水系 淡 輪 ・ 深 日 地 区 の 一 部 日 証 配 水 池 毎 日 検 査 地 点 淡輪青葉台給水栓 岬受水池(1系) 淡 輪 地 区 の 一 部 岬 配 水 池 毎 日 検 査 地 点 淡輪長松給水栓 大阪広域水道企業団水 淡 輪 地 区 の 一 部 岬受水池(2系) 高 区 配 水 池 水 質 検 査 地 点 淡輪13区給水栓 毎 日 検 査 地 点 淡輪13区給水栓・淡輪漁港給水栓 望海坂配水池 淡 輪 望 海 坂 地 区 毎 日 検 査 地 点 淡輪望海坂給水栓 別表1 法令で定める水質基準項目の基準値と検査頻度(水質基準項目) 水 質 基 準 検 査 地 点 水 質 基 準 項 目 法 令 で 定 め る 検 査 頻 度(浄水) 番号 項 目 分類 緩 和 規 定 100集落以下/ 1ml 1 一般細菌 病原 2 大腸菌 生物 3 カドミウム及びその化合物 4 水銀及びその化合物 0.0005以下 5 セレン及びその化合物 金属 自己水+府 水系 淡輪13区給 深日南海橋 多奈川小島 浄水場出口 水栓 給水栓 給水栓 浄 水 場 基 準 値 原 水 府水系 自己水系 12回 12回 12回 12回 12回 検出せず 12回 12回 12回 12回 12回 0.003以下 1回 1回 4回 4回 4回 水道法施行規則第15条第1項第3号ハ 1回 1回 4回 4回 4回 過去3年間の検査結果が基準値の1/5以下の場合 1回/年 1回 1回 4回 4回 4回 月1回以 上 0.01以下 3ヶ月に 1回以上 過去3年間の検査結果が基準値の1/10以下の場合 1回/3年 6 鉛及びその化合物 0.01以下 1回 1回 4回 4回 4回 7 ヒ素及びその化合物 0.01以下 1回 1回 4回 4回 4回 8 六価クロム化合物 0.05以下 1回 1回 4回 4回 4回 9 亜硝酸態窒素 0.04以下 4回 4回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 シアン化合物イオン及び塩化シア 10 ン 11 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 無機 物質 0.01以下 3ヶ月に1 回以上 10以下 12回 12回 12回 12回 12回 0.8以下 1回 1回 4回 4回 4回 金属 1.0以下 1回 4回 4回 4回 4回 14 四塩化炭素 一 0.002以下 水道法施行規則第15条第1項第3号ハ 1回 1回 4回 4回 4回 15 1,4-ジオキサン 般 0.05以下 過去3年間の検査結果が基準値の1/5以下の場合 1回/年 1回 4回 4回 4回 4回 シス-1,2-ジクロロエチレン及び 16 トランス-1,2-ジクロロエチレン 機 0.04以下 過去3年間の検査結果が基準値の1/10以下の場合 1回/3年 1回 1回 4回 4回 4回 17 ジクロロメタン 化 0.02以下 1回 1回 4回 4回 4回 18 テトラクロロチエレン 学 0.01以下 1回 1回 4回 4回 4回 19 トリクロロエチレン 物 0.01以下 1回 1回 4回 4回 4回 20 ベンゼン 質 0.01以下 1回 1回 4回 4回 4回 21 塩素酸 消 毒 副 生 成 物 0.6以下 1回 4回 4回 4回 4回 0.02以下 1回 4回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 12 フッ素及びその化合物 13 ホウ素及びその化合物 22 クロロ酢酸 23 クロロホルム 24 ジクロロ酢酸 0.06以下 0.04以下 3ヶ月に1 回以上 3ヶ月に1 回以上 水 質 基 準 検 査 地 点 水 質 基 準 項 目 法 令 で 定 め る 検 査 頻 度(浄水) 番号 項 目 分類 25 ジブロモクロロメタン 自己水+府 水系 淡輪13区給 深日南海橋 多奈川小島 浄水場出口 水栓 給水栓 給水栓 浄 水 場 基 準 値 緩 和 規 定 原 水 府水系 自己水系 0.1以下 1回 4回 4回 4回 4回 0.01以下 1回 4回 4回 4回 4回 0.1以下 1回 4回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 0.03以下 1回 4回 4回 4回 4回 30 ブロモホルム 0.09以下 1回 4回 4回 4回 4回 31 ホルムアルデヒド 0.08以下 1回 4回 4回 4回 4回 32 亜鉛及びその化合物 1.0以下 1回 1回 4回 4回 4回 33 アルミニウム及びその化合物 0.2以下 1回 4回 4回 4回 4回 12回 12回 12回 12回 12回 1回 1回 4回 4回 4回 1回 1回 4回 4回 4回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 1回 1回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 過去3年間の検査結果が基準値の1/10以下の場合 1回/3年 1回 1回 4回 4回 4回 水道法施行規則第15条第1項第4号 月1回以 過去の検査結果が基準値の1/2を超えたことがなく、かつ、 上 原水並びに水源及びその周辺の状況を勘案した結果により、 省略可 水道法施行規則第15条第1項第3号ハ 3ヶ月に 過去3年間の検査結果が基準値の1/5以下の場合 1回/年 1回以上 1回 1回 12回 12回 12回 1回 1回 12回 12回 12回 1回 4回 4回 4回 4回 1回 4回 4回 4回 4回 3以下 12回 12回 12回 12回 12回 5.8~8.6 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 12回 26 臭素酸 27 総トリハロメタン 28 トリクロロ酢酸 29 ブロモジクロロメタン 消 毒 副 生 成 物 金属 0.2以下 34 鉄及びその化合物 0.3以下 35 銅及びその化合物 1.0以下 36 ナトリウム及びその化合物 37 マンガン及びその化合物 味覚 200以下 色 0.05以下 38 塩化物イオン 39 カルシウム、マグネシウム等(硬 度) 200以下 味覚 40 蒸発残留物 41 陰イオン界面活性剤 42 ジェオスミン 43 2-メチルイソボルネオール かび 臭 3ヶ月に 水道法施行規則第15条第1項第3号ハ 1回以上 過去3年間の検査結果が基準値の1/5以下の場合 1回/年 過去3年間の検査結果が基準値の1/10以下の場合 1回/3年 月1回以上 300以下 500以下 発泡 3ヶ月に1 回以上 水道法施行規則第15条第1項第3号ハ 3ヶ月に 1回以上 過去3年間の検査結果が基準値の1/5以下の場合 1回/年 0.2以下 0.00001以下 0.00001以下 44 非イオン界面活性剤 発泡 0.02以下 フェノール類 臭い 0.005以下 45 46 過去3年間の検査結果が基準値の1/10以下の場合 1回/3年 有機物(全有機炭素〔TOC〕の 量) 味覚 47 pH値 48 味 49 臭気 異常でないこと 基礎 性状 月1回以上 異常でないこと 12回 12回 12回 12回 12回 50 色度 5度以下 12回 12回 12回 12回 12回 51 濁度 2度以下 12回 12回 12回 12回 12回 別表2 水質管理目標設定項目の目標値と検査頻度(水質基準項目) 水 質 基 準 検 査 地 点 目 標 値 浄 水 場 水質管理目標設定項目 (㎎/I) 原 水 浄水場出口 0.02以下 1回 1回 1 アンチモン及びその化合物 2 ウラン及びその化合物 0.002以下(暫定) 1回 1回 3 ニッケル及びその化合物 0.02以下(暫定) 1回 1回 削除 削除 削除 0.004以下 1回 1回 4 5 削除 1,2-ジクロロエタン 6 削除 削除 削除 削除 7 削除 削除 削除 削除 8 トルエン 0.4以下 1回 1回 9 フタル酸ジ(2・エチルへキシル) 0.1以下 1回 1回 10 亜塩素酸 11 0.6以下 削除 12 二酸化塩素 削除 0.6以下 13 ジクロロアセト二トリル 0.01以下(暫定) 14 抱水クロラール 0.02以下(暫定) 15 農薬類 16 残留塩素 17 カルシウム・マグネシウム等(硬 度) 18 マンガン及びその化合物 1以下★ これらの2物質は、消毒剤として二酸 化塩素を使用した場合に問題となる物 質で、本町では、消毒剤として二酸化 塩素を使用していないため、検査は 行っていません。 1回 1回 1回 1回 水源周辺での農薬の使用は考えられな いため、検査は行っていません。 1以下 10~100 水質基準項目で検査を行っています。 0.01以下 おいしい水の条件の検査であるため、 検査は行っています。 19 遊離炭素 20以下 20 1,1,1-トリクロロエタン 0.3以下 1回 1回 21 メチル-t-ブチルエーテル(MTBE) 0.02以下 1回 1回 22 過マンガン酸カリウム消費量 3以下 23 臭気強度(TON) 3以下 24 蒸発残留物 30~200 25 濁度 1度以下 26 pH値 7.5程度 27 腐食性(ランゲリア指数) 28 従属栄養細菌 -1~0 おいしい水の条件の検査であるため、 検査は行っていません。 水質基準項目で検査を行っています。 水質基準項目のpH値で検査を行って います。 2000集落数以下/ml 浄水処理工程を行っているため、検査 を行っていません。 (暫定) 29 1,1-ジクロロエチレン 0.1以下 30 アルミニウム及びその化合物 0.1以下 1回 1回 水質基準項目で検査を行っています。 ★印は、検出農薬の検出値と目標値の比を算出し、その総和が1以下。 (参考) 水 質 基 準 項 目 の 説 明 番号 項 目 説 明 1 一般細菌 一般細菌は、水や土に生育している細菌のことで、ほとんどが無害な細菌です。清浄な水には少なく、汚濁された水には多い傾向にあるため、水 の汚染状況や飲料水の安全性を判定するための指標となります。 2 大腸菌 赤痢等の水系伝染病の発生を防ぐ目的として、ふん尿に汚染されているかの判定のため行っているのが大腸菌の検査です。大腸菌は塩素があると 死んでしまうため、大腸菌が検出されるとふん便に汚染された可能性が高く、しかも塩素が入っていないことがわかります。 3 カドミウム及びその化合物 カドミウムは、富山県の神通川でイタイイタイ病の原因となった物質として有名です。肝臓、腎臓に蓄積し、急性中毒として嘔吐、めまい、頭痛 など慢性中毒として異常疲労、貧血、骨軟化症などの症状があらわれます。また、メッキや充電池の原料等として使われているため、これらの工 場排水や亜鉛の鉱山排水が汚染源として考えられます。水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。 4 水銀及びその化合物 水銀は、体温計や温度計によく使われていますし、水俣病の原因となった物質としても有名です。体温計や温度計に使われる水銀は、純粋な水銀 で人体に入ってもほとんど排出されます。しかし、水俣病の原因にもなった有機物と反応した水銀は、排出されにくいため蓄積性が高く低濃度で も症状が出ます。症状としては、知覚障害、言語障害等があります。水銀は、一般にも多く使われており、廃棄物処理場や水銀を使用する工場排 水が汚染源として考えられます。水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。 5 セレン及びその化合物 セレンは、あまり馴染みのない金属ですが、半導体の原料として多く使われており、体内に入ると低濃度でも急性中毒として皮膚障害、嘔吐、全 身痙攣など、慢性中毒として皮膚障害、胃腸障害、貧血などの症状があらわれます。汚染源は、鉱山やセレン製品製造所が考えられます。水質基 準値は、毒性得を考慮して設定されています。 6 鉛及びその化合物 鉛は、バッテリーや合金、塗料など多種に使用されています。急性中毒として嘔吐、下痢、血圧降下など、慢性中毒として疲労、痙攣、便秘など の症状があらわれます。また、乳幼児の血中鉛濃度が増すと知能指数の低下に関連するとの報告もあります。水質基準値は、毒性を考慮して設定 されています。 7 ヒ素及びその化合物 ヒ素は、毒性の強い物質で、半導体材料などに利用されています。地質により、地下水で検出されることが多い物質です。急性中毒として嘔吐、 下痢、腹痛など、慢性中毒として、皮膚の角化症、黒皮症、抹消神経炎などの症状があらわれます。また、発がん物質としても知られています。 工場排水や温泉、鉱山排水などが汚染源と考えられます。水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。 8 六価クロム化合物 クロムは、メッキやニクロム線、ステンレス等の材料として多く使われています。金属のクロムは無害ですが、塩素を入れた水道水中で六価クロ ムとなり、強い毒性を持ちます。急性中毒として腸カタル、嘔吐、下痢など、慢性中毒として肝炎などの症状があらわれます。汚染源は、メッキ などクロム使用工場からの排水が考えられます。水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。 9 亜硝酸態窒素 10 シアン化物イオン及び塩化シアン 11 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 窒素肥料や腐植、家庭排水などに含まれる窒素化合物が科学的、微生物学的に酸化、還元を受けて生成します。平成24年に食品安全委員会より 水道水での評価値が新たに示されました。水質基準逐次改正検討会で、評価値に対する浄水での検出状況を整理・検討した結果、平成26年度か ら新たに水質基準となりました。 シアン化物イオンは、青酸とも呼ばれ、毒物としてよくご存知のことと思います。メッキや金銀の精錬、写真工業に使用されます。塩化シアンは シアン化物イオンと塩素が反応してできる物質です。シアンの致死量はシアン化カリウム(青酸カリ)で0.15~0.3gで、血液中のヘモグロビンが 酸素を運ぶ作用を阻害し、窒息により死に至ります。汚染源は、メッキ工場の排水などが考えられます。水質基準値は、毒性を考慮して設定され ています。 硝酸態窒素は、人体に影響を与えませんが、亜硝酸態窒素は血液中のヘモグロビンと反応し、酸素を運べなくするために多量に服用すると窒息状 態になります。硝酸は、亜硝酸と酸素が反応したものです。生後6ヶ月未満の乳児の場合、硝酸態窒素は体内では亜硝酸態窒素へと変化するため合 計した値で評価します。大人の場合、硝酸態窒素が亜硝酸態窒素に変化することはほとんど起こりません。汚染源は、肥料、生活排水、工場排 水、腐敗した動植物などが考えられます。水質基準値は、乳児への毒性を考慮して設定されています。 番号 項 目 12 フッ素及びその化合物 13 ホウ素及びその化合物 14 四塩化炭素 15 1,4-ジオキサン 16 説 明 フッ素を摂取すれば虫歯予防になるとよく言われます。しかし適量を超えると歯の石灰化不全による斑状歯(注)となります。さらに多量に摂取 すると骨軟化症や甲状腺障害などの症状があらわれます。フッ素は土中に多く存在し、地下水では比較的多く含まれています。汚染源としては、 フッ素樹脂等の工場排水、温泉排水等が考えられます。水質基準値は、斑状歯になる量を考慮して設定されています。 (注)歯の表面にしま模様の白濁ができ、症状が進むと歯が着色したり、欠けることもある病気 ホウ素という言葉はあまり耳にしませんが、ホウ酸団子はよくご存知と思います。中毒症状として重くなると血圧低下、ショック症状や呼吸停止 などの症状があらわれます。金属の表面処理等に使われており、これらの工場から排水、火山地帯の地下水や温泉が汚染源として考えられます。 水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。 四塩化炭素は、フロンガスの原料やスプレー等の噴射剤、金属の洗浄剤として使われており、石油などから人工的に作られた有機化学物質で、発 がん性の可能性が高い物質です。工場排水の地下浸透により、地下水を汚染することがあります。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されて います。 1,4-ジオキサンは、非イオン界面活性剤(№43参照)を製造する過程で不純物として発生するため、洗剤などの製品に不純物として含有していま す。発がん性の高い物質です。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 シス-1,2-ジクロロエチレンは、プラスチックの原料として使われている有機化学物質です。1,1-ジクロロエチレン同様に地下水汚染3物質(№15 シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス 参照)が分解した物質の一つで、地下水で多くの検出事例があります。川などでは、すぐ蒸発してしまうためほとんど汚染されていません。発が -1,2-ジクロロエチレン ん性の可能性は低いが、比較的毒性が強く、高濃度では、麻酔作用があります。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 17 ジクロロメタン ジクロロメタンは、地下水汚染3物質(№15参照)やフロンの代替品として使われている有機化学物質です。地下水で検出事例がありますが、川 などでは、すぐ蒸発してしまうためほとんど汚染されていません。発がん性のある可能性が高い物質です。毒性も比較的高く、高濃度では麻酔作 用があります。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 18 テトラクロロエチレン テトラクロロエチレンは、ドライクリーニング洗浄剤、金属や半導体の洗浄剤、フロンの原料として使われている有機化学物質です。平成元年ま で法令による規制がなかったため、テトラクロロエチレンを使っている工場やクリーニング店の敷地などから漏洩したものが地下に浸透し、地下 水を汚染したものと考えられます。川などではすぐ蒸発してしまうためほとんど汚染されていません。発がん性のある可能性が高い物質で毒性も 比較的高く、頭痛や肝機能障害などの症状がみられます。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 19 トリクロロエチレン テトラクロロエチレンは、ドライクリーニング洗浄剤、金属や半導体の洗浄剤、フロンの原料として使われている有機化学物質と同じ理由で地下 水から多くの検出事例があります。発がん性のある可能性が高い物質で毒性も比較的高く、嘔吐、頭痛などの症状がみられます。水質基準値は、 発がん性を考慮して設定されています。 20 ベンゼン ベンゼンは、合成ゴムや合成繊維の原料として使われている有機化学物質で、ベンゼンを取り扱う工場から漏洩したものが地下に浸透し、地下水 を汚染したものと考えられています。また、ガソリンの燃焼等でも発生します。ベンゼンは高い発がん性があり、水質基準値は、発がん性を考慮 して設定されています。 21 塩素酸 塩素酸は,浄水場で消毒に使う薬品に含まれています。薬品の保存状態などにより塩素酸濃度は異なります。平成19年の水質基準改定(平成20年4 月より)により新たに基準項目に加えられました。水質基準値は,毒性を考慮して設定されています。 22 クロロ酢酸 クロロ酢酸は、トリロメタン(消毒用として入れる塩素と水に含まれる有機物が反応して作られ、水道水中に含まれる発がん性の高い物質。トリ ハロメタンにはクロロホルム、プロモジクロロメタン、ジプロモクロロメタン、プロモホルムの4種類がある。)と同様に水に含まれる有機物で す。毒性が強いとの報告があるため、水質基準値は、毒性を考慮して設定されています。全国で検出事例があることから、平成16年度の水質基準 改正により基準項目に加えられました。 23 クロロホルム クロロホルムは、4種類あるトリハロメタンの一つです。クロロホルムは毒性が強く、中枢神経を抑制するため麻酔剤として使われ、過剰投与で 死に至ることもあります。また、肝臓や腎臓の機能障害を引き起こします。発がん性のある可能性が高い物質です。水質基準値は、発がん性を考 慮して設定されています。 番号 項 目 24 ジクロロ酢酸 25 ジブロモクロロメタン 説 明 ジクロロ酢酸は、トリハロメタンと同様に水に含まれる有機物と塩素が反応してできる物質です。発がん性のある可能性が高い物質です。全国で 多くの検出事例があることから平成16年度の水質基準改正により基準項目に加えられました。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されていま す。 ジブロモクロロメタンは、4種類あるトリハロメタンの一つで、発がん性のある可能性が高い物質です。水質基準値は、発がん性を考慮して設定 されています。 26 臭素酸 臭素酸は、塩素を入れるときに使う塩素剤に不純物として含まれています。発がん性のある可能性が高い物質です。全国で多くの検出事例がある ことから、平成16年度の水質基準改正に基準項目に加えられました。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 27 総トリハロメタン トリロメタンは、消毒用として入れる塩素と水に含まれる有機物が反応して作られ、水道水中に含まれる発がん性の高い物質です。トリハロメタ ンにはクロロホルム、プロモジクロロメタン、ジプロモクロロメタン、プロモホルムの4種類があり、総トリハロメタンは、4種類の量を足した ものです。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 28 トリクロロ酢酸 トリクロロ酢酸は、トリハロメタンと同様に水未含まれる有機物と塩素が反応してできる物質です。医療用や除草剤、防腐剤に使用されていま す。発がん性のある可能性が高く、毒性も強い物質です。全国で多くの検出事例があることから平成16年の水質基準改正により基準項目に加えら れました。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 29 ブロモジクロロメタン ブロモジクロロメタンは、4種類あるトリハロメタンの一つです。ジブロモクロロメタン(№24参照)と同様に発がん性があります。水質基準値 は、発がん性を考慮して設定されています。 30 ブロモホルム ブロホルムは、4種類あるトリハロメタンの一つです。ジブロモクロロメタン(№24参照)と同様に発がん性があります。水質基準値は、発がん性 を考慮して設定されています。 31 ホルムアルデヒド ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質として知られています。トリハロメタンと同様に水に含まれる有機物と塩素が反応してでき る物質です。発がん性のある可能性が高い物質で、呼吸困難、めまい、嘔吐などの症状があらわれます。全国でお起きの検出事例があることか ら、平成16年の水質基準改正により基準項目に加えられました。水質基準値は、発がん性を考慮して設定されています。 32 亜鉛及びその化合物 亜鉛は、人間にとって必須な元素で、体重70kgの男性で1.4~2.3g体内に保有しており、1日平均すると13㎎を摂取しています。欠乏すると味覚 障害や食欲減退などを起こします。水道水に多量に含まれると白く濁り、お茶の味を悪くすることがありますが、毒性はほとんどありません。水 質基準値は、白色にならない量として設定されています。*㎎は1,000分の1gのことです。 33 アルミニウム及びその化合物 アルミニウムは、アルツハイマー病の原因物質とも言われていますが、確認はされていません。水道水に多量に含まれると白色を着けます。アル ミニウムは急速ろ過に使われる薬品の主原料です。この薬品に含まれるアルミニウムは、水に溶けないため濁り成分と一緒に除去され、水道水に はほとんど影響を与えません。全国で多くの検出事例があることから平成16年の水質基準改正により基準項目に加えられました。水質基準は、水 が白色にならない量として設定されています。 34 鉄及びその化合物 鉄は人間にとって必須な元素で、成人で約4.5gを体内に保有しており、1日必要摂取量は約10㎎です。水道水に多量に含まれると赤色を着けま す。水道水中の鉄は、水道管から溶け出したものがほとんどで、特に古い給水管には、鉄製で内面にコーティングを施していないものもあり、し ばらく使わなかった後の水が赤茶色に濁ったりすることがあります。水質基準値は、水道水が赤色にならない量として設定されています。 35 銅及びその化合物 銅は人間にとって必須な元素で、1日必要摂取量は約10㎎です。水道水に多量に含まれると青い色を着けます。緑青は毒性が強いと言われています が、銅は人に対する毒性は強くありません。水質基準値は、水道水が青色にならない量として設定されています。 36 ナトリウム及びその化合物 ナトリウムは人間にとって必須な元素で、主に食塩(塩化ナトリウム)から摂取しています。食塩を過剰に摂取するとけいれん、筋硬直、肺浮腫 などの症状があらわれます。水に溶けるとナトリウムイオンになります。水質基準値は、塩辛さを感じない量として設定されています。 37 マンガン及びその化合物 マンガンは、人間にとって必須な元素で、成人で200㎎を体内に保有しており、1日4㎎程度を摂取しています。水道水中に含まれると黒い色を着け ます。多量に長期間摂取すると慢性中毒として不眠、感情障害など、急性中毒として神経症状、全身倦怠感などの症状があらわれます。水質基準 値は、水道水が黒くならない量として設定されています。 番号 項 目 38 塩化物イオン 39 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 説 明 塩化物イオンは塩の成分で、消毒用に入れられる塩素とは異なります。(塩化ナトリウムは塩化物イオンとナトリウムイオンで構成されていま す。)塩は人間にとって必須なものですが、水道水中に多量に含まれると塩辛さを与えます。水質基準値は、塩辛さを感じない量として設定され ています。 はっきりとした決まりはありませんが、一般的に硬度が水1リットル中に含まれる量が100㎎までのものを軟水、それ以上のものを硬水といいま す。硬度が高いと石鹸の洗浄効果を低下させたり、下痢を起こしやすくなったりします。水質基準値は、洗浄効果を低下させない量として設定さ れています。 40 蒸発残留物 蒸発残留物は、水道水を蒸発させた後に残る塩などの量のことで、カルシウムやマグネシウムなど水道水中に溶けているものが多いほど多くなり ます。水質基準値は、水道水の味を悪くしない量として設定されています。 41 陰イオン界面活性剤 陰イオン界面活性剤は、合成洗剤の主な成分で、水道水にある程度含まれると使用時に泡が発生するようになります。水質基準値は、泡が発生し ない量として設定されています。 42 ジェオスミン ジェオスミンは、カビ臭物質の一つです。水質基準値は、一般の人がカビ臭を感じない量として設定されています。 43 2-メチルイソボルネオール 44 非イオン界面活性剤 45 フェノール類 2-メチルイソボルネオールは、ジェオスミンと同様にカビ臭物質の一つです。水質基準値は、一般の人がカビ臭を感じない量として設定されてい ます。 非イオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤と同様に合成洗剤の主要な成分で、水道水にある程度含まれると泡が発生するようになります。全国 での検出事例が多いことから、平成16年の水質基準改正により基準項目となりました。水質基準値は、泡が発生しない量として設定されていま す。 フェノール類は、消毒剤や防腐剤、合成樹脂原料として使われています。多量に摂取すると消化器系粘膜の炎症、嘔吐などの症状があらわれま す。発がん性のある可能性が高い物質です。塩素と反応すると強い刺激臭がします。水質基準値は、塩素と反応してにおいが発生しない量として 設定されています。 46 有機物(全有機炭素〔TOC〕の量) 有機物は従来、過マンガン酸カリウム消費量として評価していましたが、有機物の量を正確に把握できないことから、平成16年の水質機銃改正に より、全有機炭素(TOC)の量に変更されました。水質基準値は、水道水の味を悪くしない量として設定されています。 47 pH値 pH値は、水の酸性、アルカリ性を0~14で数値化したもので、中性の7より低いほど酸性が強く、高いほどアルカリ性が強いことを表していま す。水質基準値は、水道水が弱酸性から弱アルカリ性である値として5.8~8.6と設定されています。 48 味 水は基本的には無味ですが、鉄等が含まれることにより味がします。不純物が多量に入ると塩辛さや渋み等を感じます。水質基準値は、「異常な 味がしないこと」と定められています。 49 臭気 臭気は、水道水の臭いのことです。水道水は塩素を入れるため塩素臭があります。カビ臭物質や油が混入すると水道水から塩素臭以外のにおいが します。塩素臭以外のにおいを異常なにおいとし、水質基準は、「異常なにおいがしないこと」と定められています。 50 色度 水は基本的には無色ですが、鉄等が含まれることにより色を着けます。色度は色の度合いを数値化したもので、水質喜寿内は、肉眼でほとんど色 が感じられない値として「5度」が設定され値ます。 51 濁度 水は、基本的に透明ですが、鉄等が含まれることで濁りを生じることがあります。濁度は、濁りの度合いを数値化したもので、水質基準値は、肉 眼でほとんんど濁りが感じられない値として「2度」が設定されています。 水 質 管 理 目 標 設 定 項 目 の 説 明 番号 項 目 説 明 1 アンチモン及びその化合物 アンチモンは、半導体材料や鉛、スズなどの合金として使われています。毒性は強く、急性中毒として嘔吐、下痢、皮膚炎など慢性中毒として心臓、 肝臓、腎臓障害などの症状があらわれます。アンチモン使用工場からの排水が汚染源と考えられます。目標値は毒性を考慮して設定されています。 2 ウラン及びその化合物 ウランは、原子力発電所の燃料として使われている放射性元素です。ごく微量ですが岩石や海水中にも広く分布しています。毒性が大変強く、腎臓に 蓄積し腎臓障害の症状があらわれます。目標値は、毒性を考慮して設定されています。 3 ニッケル及びその化合物 ニッケルは、ステンレスやメッキの原料として使われています。大量に摂取するとめまい、嘔吐、急性胃腸炎などの症状があらわれます。工場排水や ニッケルメッキからの溶出が汚染源として考えられます。目標値は、毒性を考慮して設定されています。 4 5 削除 1,2-ジクロロエタン 削除 1,2-ジクロロエタンは、塩化ビニルの原料として使われている有機化学物質です。過去、地下水で検出事例が多くあったため、水質基準項目の一つで したが、近年、水道水からの検出事例がほとんどなくなったことから、水質基準項目からはずされ、水質管理目標設定項目になりました。発がん性の 可能性が高い物質です。目標値は、発がん性を考慮して設定されています。 6 削除 削除 7 削除 削除 8 トルエン トルエンは、シンナー、接着剤、塗料の原料として多く使われている有機化学物質です。急性中毒として中枢神経への影響、疲労、頭痛、めまいな ど、慢性中毒として運動失調、平衡障害、言語障害などの症状があらわれます。発がん性の可能性は低く、目標値は、毒性を考慮して設定されていま す。 9 フタル酸ジ(2・エチルへキシル) フタル酸ジ(2・エチルへキシル)は、プラスチックに柔軟性を持たせるために使われている有機化学物質です。環境ホルモンとして疑われていま す。目標値は、環境ホルモンとしての疑いを考慮して設定されています。 10 亜塩素酸 11 削除 12 二酸化塩素 13 ジクロロアセト二トリル 14 抱水クロラール これらの物質は、消毒剤として、二酸化塩素を使った場合に問題となる物質です。 二酸化塩素は、塩素に代わる消毒剤として研究が進められています。塩素は量が多くなるとカルキ臭を感じるようになり、水の味を悪くします。二酸 化塩素の消毒性能は塩素に比べると若干劣るものの、量が多くてもカルキ臭を感じることがなく、有機物として反応してトリハロメタンをつくらない 消毒剤です。しかし、薬品の取扱いが難しく、製品をつくる過程でどうしても有害な成分が混入してしまうため、ほとんどの浄水場で使用されていま せん。 ジクロロアセト二トリルは、トリハロメタンと同様に水に含まれる有機物と塩素が反応してできる物質で、毒性が高いとの報告があります。目標値 は、毒性を考慮して設定されています。 抱水クロラールは、トリハロメタンと同様に水に含まれる有機物と塩素が反応してできる物質で、毒性が高いとの報告があります。目標値は、毒性を 考慮して設定されています。 15 農薬類 殺虫剤や除草剤などさまざまな用途に多くの種類の農薬が使われています。一般に販売されている薬剤には、何種類課の農薬が混合されたものもあり ます。農薬は種類が多く、毒性などがそれぞれに異なるため、物質の特定や評価が困難です。 16 残留塩素 水道水に入れる塩素の残量のことです。残留塩素は法令により0.1㎎/㍑以上確保することが義務付けられていますが、上限は決まっていません。残留 塩素が多いと水道水にカルキ臭を与え、水も味を悪くします。目標値は水道水をおいしく保つために定められました。 17 カルシウム・マグネシウム等(硬度) 硬度は水質基準で石鹸の洗浄効果を損なわないために300㎎/㍑と定められていますが、硬度が高いとおいしく感じない人がいるため、おいしい水研究 会が提言した硬度の量10~100㎎/㍑が目標値として設定されています。 18 マンガン及びその化合物 マンガンの水質基準値は、水道水に黒い色を着けることを考慮して定められていますが、より質の高い水道水の供給を目指すため、基準値の1/5が目 標値として設定されています。 19 遊離炭素 水道水中炭酸のことで、適度に含まれることにより、水に清涼感を与えますが、多量に含まれると刺激が強くなります。水道水をおいしく保つために おいしい水研究会が提言するおいしい水の条件が目標値として設定されています。 20 1,1,1-トリクロロエタン 1,1,1-トリクロロエタンは、ドライクリーニング洗浄剤、金属の洗浄剤として使われる有機化学物質です。テトラクロロエチレン(水質基準項目№18 参照)と同じ理由により地下水で多くの検出事例があります。発がん性、毒性も低いのですが、水道水に甘いにおいを与えるため水質基準項目でし た。近年、検出事例が少ないため、平成16年の水質基準改正により水質基準からはずされ、水質管理目標設定項目になりました。目標値は、水道水に においがしない量として設定されています。 21 メチル-t-ブチルエーテル(MTBE) MTBEと呼ばれ、ガソリンの添加剤として使われます。最近、地下水から一過的に高濃度で検出されることがあります。目標値は、味やにおいに影 響を与えることを考慮して設定されています。 22 過マンガン酸カリウム消費量(有機物) おいしい水研究会が提言したおいしい水の要件では、有機物は過マンガン酸カリウム消費量で評価されています。そのため、水質管理目標設定項目 は、過マンガン酸カリウム消費量が採用されています。 23 臭気強度(TON) 臭気強度とはにおいの強さを数値化したものです。カビ臭やフェノール類など水質基準や水質管理目標設定横目には、においに関する項目が多くあり ます。目標値は、おいしい水研究会が提言するおいしい水の条件の「臭気強度3以下」が採用されています。 24 蒸発残留物 蒸発残留物の詳細については、水質基準項目№39をご参照ください。水道水をおいしく保つために目標値としておいしい水研究会が提言するおいしい 水の要件の値が設定されています。 25 濁度 濁度の水質基準値は、水道水が肉眼でほとんど濁りを感じないことを考慮して定められていますが(水質基準№50参照)、より質の高い水道水の供給 を目指すため基準値の1/2が目標値として設定されています。 26 pH値 給水管には一部材質が鉛や鉄のものがありますが、水道水が酸性だとこの鉛や鉄が水道水中に溶け出しやすくなります。水道水を弱アルカリ性にする ことにより、鉛や鉄を溶け出しにくくすることができます。目標値は、弱アルカリ性である値が設定されています。 27 腐食性(ランゲリア指数) 腐食性とは、物を溶かす力のことで、この度合いをpH値等のデータから数値化したものがランゲリア指数です。腐食性を小さくする目的でランゲリ ア指数の目標値が設定されています。 28 従属栄養細菌 従属栄養細菌は、有機栄養物を比較的低濃度に含む培地を用いて低温で長時間培養し、集落を形成する全ての細菌を算出することで測定します。その ため、生育に有機物を必要とする多様な細菌を検出することができます。 29 1,1-ジクロロエチレン 30 アルミニウム及びその化合物 全国での検出地点及び検出濃度が低いことから、基準項目より管理目標設定項目に変更された項目。揮発性有機塩素化合物で、塩化ビニリデン、家庭 用ラップ、食品包装用の原料に使用されている。人への健康影響は肝臓、腎臓の障害である。 水道では、原水の状況により濁質を除去するためにポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウムを凝集剤として使用している。適正な浄水処理 を行えば、水道水に残留するアルミニウムはごく微量であるが、着色等の観点から基準値よりも厳しい数値が目標値(基準値ではアルミニウムの量に 関して、0.2mg/L以下)として設定されている。 ○ 独自の項目 番号 項 目 1 クリプトスポリジウム 2 ダイオキシン類 説 明 クリプトスポリジウムは、牛や豚等の寄生する微生物で、人間の口から入ると激しい下痢症状を起こし、エイズ患者等の免疫力の落 ちている人はまれに死に至ることもあります。この微生物は、消毒として使用される塩素でも死にませんが、浄水場の通常のろ過処 理でほとんどが除去できるため、水源で大量に発生しない限り影響はありません。 農薬や廃棄物処理施設から原水に流入したり、農薬やパルプ工場、化学工場などの排水が浄水場で消毒に用いる塩素と反応して生成 します。毒性が強く分解されにくい化合物で、発がん性があるものも少なくありません。ダイオキシン類は、水に溶けにくく、水中で はそのほとんどが浮遊物質に吸着して存在しています。 このため、水道においては凝集沈殿やろ過等の通常の浄水処理により濁りとともに除去されると考えられています。しかしながら、ダ イオキシン類に対する住民の関心は高く、水道事業者としても水道水中のダイオキシン類の実態を把握することが期待されているこ とから検査を実施しています。
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