5年生の授業実践 第2章 小学校 5・6年生向け 原子力発電の 未来 ●授業のねらい ①現在の日本のエネルギー環境を知る。 ②原子力発電の現状と今後について知る。 ③日本のエネルギー環境の今後の発展に興味をもつ。 ●授業の準備 ①パソコンにつながったプロジェクタ (必要な資料を取り込んでおく) ②電力会社発行のパンフレット・資料 (発電方法別の割合のグラフ・発電所の写真があればよい) ③鉄腕アトムに関するもの(ビデオ・音楽テープ・漫画など) ④ウランのペレットの模型 ●熱中させる ポイント プロジェクタでパソコンの画面を投影し、視覚に訴えると子 どもは熱中する。また、子どもたちが常識的にもっている考 えをくつがえすことにより、熱中度が増す。 原子力発電について学ばせたい時の導入として最適な授業である。 授 業 の 進 め 方 ・ ・ ・ この授業のあと、原子力発電所見学、原子力発電について調べるとい 第1時限 った活動が考えられる。 また、水力発電、火力発電などの発電方法のまとめも授業できる。 34 ◆◆ ◆◆ ◆◆ 1. 子どもへの 指示 1時限め(1) いろいろな発電方法 ◆◆ ◆◆ みんなの使っている電気はどうやってつくられているか 知っていますか。○○発電を思いつくだけ書きなさい。 1 列指名で聞いていく。火力発電、水力発電、 原子力発電、ソーラー発電などの答えが予想 ここで子どもは熱中する される。 海に面した火力発電所や原子力発電 所、ダムのある水力発電所などの写真 は、とてもきれいである。 その際、画面に発電所の様子を投影する。 (拡大コピーで写真を見せてもよい) 画面を見せながら、次の説明をする。 観光地にもなっているダムの写真な どを見せると、子どもの視線は画面に 釘づけとなる。 火力発電所(関西電力パンフレット) ●水力発電所(関西電力パンフレット) ●原子力発電所(関西電力パンフレット) <説明> 私たちが使う電気は主に3つの方法で発電されています。1つめは水の力 を利用する水力発電、2つめは石油や石炭、天然ガスなどを燃やす火力発電、 そして、3つめが原子力を利用する原子力発電です。 ◆◆ ◆◆ ◆◆ 2. 子どもへの 問いかけ 1時限め(2) 鉄腕アトム ◆◆ ◆◆ この原子力エネルギーを「平和のために利用できたら」 と考えた若者がいました。どんなことに利用しようとし たと思いますか。 1 2、3人に聞いてみる。すぐには答えが出てこないので、次のように 尋ねる。 35 子どもへの 問いかけ 2 その若者は、原子力で動くロボット「アトム」を考え出 しました。だれですか。 「あーわかった」という声があがる。 <説明> ここで子どもは熱中する アトムの体に搭載されている原 子力でアトムが活躍するシーンを 見せると子どもたちの目が輝く。 手塚治虫さんです。原子力を平和利用したのが原 子力発電です。 「鉄腕アトム」に関するもの(ビデオ、漫画など) を見せる。 また、「鉄腕アトム」の曲をかけ ると、みんな授業に集中してくる。 ◆◆ ◆◆ ◆◆ 3. 1時限め(3) ◆◆ ◆◆ 原子力発電の特徴 ●2000年度発電電力量実績(関西電力パンフレット表紙) <説明> 関西でつくられる電力の * うち51%が原子力発電によ ってつくられたものです。 残りの37%が火力、12%が 水力発電です。(資料を提 示する) <*日本全体では35%が 原子力発電でつくられてい ます(2001年度)> 子どもへの 問いかけ 3 原子力発電の燃料となるものはウランです。小指の先ほ どの大きさのウランからできる電気で、4人家族がどの くらいの期間生活できると思いますか。 <説明> ここで子どもは熱中する 実物大の模型を見せながら質問 半年は生活ができます。少しの燃料でたくさんの 電気をつくることができるのが原子力発電の特徴で す。 するとリアリティがあって、子ど もたちにはわかりやすくなる。 また、家族半年分の電力をまかなうのに必要な石 油や水の量などを調べさせてもよい。 36 ◆◆ ◆◆ ◆◆ 4. 子どもへの 問いかけ 1時限め(4) 4 原子力発電の可能性 ◆◆ ◆◆ これから100年後の地球で、今と同じように発電を続け るために必要な燃料があるのは、火力発電、水力発電、 原子力発電の燃料のうちどれですか。 水力と原子力に手をあげる子どもたちが多い。 <説明> エネルギー資源の可採年数(採掘できる年数)は、石油約40年、天然ガス 約60年、石炭約230年、ウラン約60年です。 子どもへの 問いかけ 5 では、自然の力を利用した発電方法すべてを合わせると、 全体のどれくらいの電気がまかなえるでしょうか。 それらすべてを合わせても全体の3%ぐらいだ とされていることを伝える。 ここで子どもは熱中する <説明> しかし、日本の技術者はこれから先1000年以上 子どもたちの表情がくもる。将来 も発電ができる技術を開発するため、ある発電方 が明るいものではないからだ。そこ 法に夢を託しています。 で、子どもたちに夢と希望を与える ような次の「問いかけ」をする。 子どもへの 問いかけ 6 これから1000年経っても発電ができると期待されてい るのは、どんな発電方法でしょうか。 <説明> 最も期待されているのが原子力発電です。ウランをプルトニウムにして燃 料を増やし、それを使うと1000年以上の発電が可能になります。 画面にアトムを投影する。 <説明> かつて原子力の平和利用に夢をたくした若者がいました。その若者は、原 子力で動くロボット「アトム」を考え出しました。 それと同じように、これから先1000年以上も使える発電技術を開発するた めに、日本の技術者は原子力に夢を託し、日々研究を続けています。 きみたちも将来の自分たちの生活を守るために、何かできることを見つけ てがんばってほしいです。 37
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