ねらわれた白猫 怪人二十面相と名探偵明智小五郎 アミノ夫人 / 執事 / 明智小五郎 / 小林少年 アミノ夫人の居間。テーブルの台座の上には、キティがおかれている。おだやかな音楽 執事 アミノ夫人 執事 アミノ・執事 小林少年 執事 小林少年 明智 執事 明智 アミノ 明智 執事 明智 執事 小林少年 明智 アミノ夫人、お手紙でございます。 ありがとう。（あける）まあ大変。これは、怪人二十面相からの予告状。今 晩７時、わたしのキティちゃんをぬすみにくるって。 アミノ夫人。ご心配にはおよびません。こんなときは、日本の誇る名探偵、 あの方をお呼びしましょう。 （声をあわせて）明智先生！！ はーい。（明るく。ＣＤプレイヤーと大きなバッグを抱えている。） あなたが、明智先生ですか。 いえ、ぼく小林少年です。先生は後からきます。 （バッグから赤じゅうたんを出し、ＣＤプレイヤーon、ロッキーのテーマ） （バスローブをはおり、ロッキーのテーマにあわせてシャドーボクシングしな がら観客席から登場。赤じゅうたんの上でとまり、ローブをぬぎすて） おまたせしました。名探偵明智小五郎です。 実は、先生。大変なことが・・・。 おっと、説明はご無用。「さらわれた白猫」事件ですね。 失礼な。キティちゃんは、まださらわれていません。 （救急車の音の真似してアミノ夫人と執事の前を横切る） ピーポーパーポー、ピーポーパーポー（低く）ピーポーパーポー 何ですか、それ。 ドップラー効果です。 ですから、なんでそれが。 大船に のったつもりで ドップラー。（大きな声で俳句調） （一同 沈黙） 明智 執事 とはいえ、相手はあの怪人二十面相です。そこで、この明智小五郎 考えました。小林くん、あれを。 はい。（バッグの中からハワイ服のキティを出す） これは先生が作ったにせものです。怪人二十面相といえば、すけべなや つにきまっている。ここにこうして並べておけば、怪人二十面相は きっとこっちのセクシーなほうをぬすんでいくにちがいない。 作戦コード、キティ・ザ・ハワイアン。どうです？ あのお、そういう場合、ふたつともぬすんでいきませんか。 明智 執事 するどいですね、ひつじさん。 しつじです。 小林少年 明智 ところでアミノさん、あなたは実にすばらしい。 ピーポーパーポー、ピーポーパーポー（低く）ピーポーパーポー 執事 明智 また大船ですか。 いえ、愛の告白です。ぼくは、あなたに、ドップラー。 （一同、沈黙） いいかげんおこりますよ。 執事 小林少年 明智 執事 明智 執事 明智 小林少年 アミノ夫人 小林少年 執事 明智 執事 先生は真剣です。アミノ酸といえば、うまみの成分。グルメな先生は、 夫人のお名前にほれこんだんです。 ところで、みなさん、アミノ酸が多くふくまれている食品をご存知ですか。 かつおぶしとか。 さすが、ひつじさん。 しつじです。 小林君、あれを。 はい。（バッグからかつおぶしを取り出す）かつおぶしといえば、ねこの大 好物。これに、ひもをつけて、そろーり、そろーり、ひっぱると・・・。 そろーり、そろーり（キティを動かす） そして、キティを追う怪人二十面相も そろーり、そろーり （先ほどの赤じゅうたんの上へ足をふみいれる） ぎゃあ。ねばあ、ねばあ。 作戦第二弾。コードネーム、必殺怪人ホイホイです。 執事 ねばあ、ねばあ、ねばあ、ねばあ ぎぶ あっぷ。（すたすた、出てくる） こんなのうまくいくわけないじゃないですか。大体なんでキティが動くん です。キティはおきものですよ。お・き・も・の。 なせばなる、なさねばねらぬ何事も。 動きます。おきものだって動きます。世の中、気合と根性さえあれば、 何だって可能です。 んな無茶な。 アミノ 明智 みなさん、大変です。もうすぐ７時。怪人二十面相が予告した時間です。 では、作戦変更。みんなで、かくれて見張りましょう。 小林少年 アミノ夫人 小林少年 明智 （一同、キティの机の後ろにかくれる。） （息を殺した気配。だれかの手がのびて、キティをぬすむ。そのあと、別の 手が出て、キティをさがすが、すでにないので、手を引っ込め、だるまを おく。首をのばした小林少年。） あ、先生、キティがいません。 （みな、立ち上がる） きゃあ。わたしのキティちゃん！！ 先生、かわりにだるまが。 今、何時ですか、しつじさん。 執事 明智 ７時１０分です。 ふふふ、さすがの怪人二十面相も、この明智の前には、手も足もでなかった 明智・小林 明智 執事 明智 執事 明智 アミノ夫人 小林少年 とみえる。（だるまを持ち上げ、見せる。） でも、肝心のキティが、なくなってしまったじゃないですか。 ふ、ふ、ふ。ここにあります。（おもむろに取り出す） ええっ。一体なぜ？ 怪人二十面相がぬすむ前に、私がぬすんでおいたのです。作戦コード、 目には目を、ぬすみにはぬすみを。はっ、はっ、はっ。（高笑い） さすがは、明智先生。すばらしい。本当にありがとうございました。 （キティをだきしめる） （日記風）こうして先生は そのすばらしい頭脳と綿密な作戦で、今日もまた多くの 人を不幸から守ったのでした。一生けんめい勉強して、ぼくも、いつかは明智先生み たいになるぞ！西暦２０ｘｘ年 1 月○日。少年小林 マル。
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