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他流試合 - 日本マーケティング協会

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MARKETING HORIZON
February 2015
特集:
他流試合
CONTENTS
イラスト 小田桐 昭
TOP INTERVIEW
外に目を向け、外に学び、良いものを吸収する
そして、強くなる
武蔵川部屋 師匠
武蔵川 光偉
……3
FEATURE
国際社会での雰囲気作りが決め手
国際経済から日本の立ち位置を考える
──
川村 雄介
…… ──
福田 博 ……
12
──
中島 聡 ……
15
──
苅谷 誠一郎
……
18
──
村山 哲治
……
20
──
見山 謙一郎
…… 強くて豊かな地域を創り出す
民産学官協働で「地方の稼ぐ力」を創る
横型同質性からの決別
他流試合とオープンイノベーション
得意を磨き、得意を広める
ブランドのリ・ポジショニングを考える
次世代経営者の人材要件とは
次世代経営者育成のための修羅場体験
「世界」
と向き合う
日本の若者は、本当に内向きなのか?
課題はグローカル
郷に入っては、郷に従え?!
──
11
22
エチエンヌ・バラール
MARKETING EYES
女性マーケターの眼/クリエーターの眼
24
…… ……
26
……
27
BOOKS
『専業主婦になりたい女たち』
『デュアル・ブランド戦略』
特集
他流試合
昨年 12 月の衆議院解散、与党圧勝の中で、2014 年が終わり 2015 年を迎えた。消
費税率再改定に関しては、先延ばしとなったものの、いよいよ「アベノミクス」
「日本
の底力」
が問われる年となったと言える。
賃金の上昇、女性の積極的登用と前向きな姿勢が強い中で、果たして戦うモード
となっているのか。
世の中では、癒しや「ユル」という感性ワードが心地良く語られる。
しかし心地良さを実現するためにコクーニングしていないか。
内側ばかりに目を向けていれば、潮流から取り残されてしまうどころか、
「井の中
の蛙」
、
自らも見失ってしまいかねない。
「他流試合」
多様な価値化を持つものがしのぎを削って切磋琢磨を繰り返す。
そこから、本当の己の立ち位置が明らかとなる。
メガコンペティションの時代、世界で闘える人材をつくるというなら、まずは生
活者と接するマーケターこそが、こうあるべきではないだろうか。
2
MH February 2015
TOP INTERVIEW
外に目を向け、
外に学び、
良いものを吸収する
そして、
強くなる
「他流試合」
の 1 つの例として、相撲の「出稽古」が挙げられる。
出稽古は、自分の実力を向上させたり、相手の力士の実力を知ることなどを目的としてい
る。
そして部屋を越えて外に目を向け、外に学ぶことで、より多くのことが体得できる。こ
の繰り返しが力士を強くしていくのだ。
このことは現在の日本の企業にもあてはまるかもしれない。かつては外から学び、そして
良いものを受け入れ、日本の環境に合わせて昇華していた。しかし今では外から学ぶとい
う積極性が薄れてきていないだろうか。
相撲とビジネスは一見非なるものだが、その共通点は多く学ぶべきことがたくさんある。
今回は武蔵川部屋 師匠 武蔵川 光偉氏(本名 武蔵丸 光洋、第 67 代横綱 武蔵丸)にお話を
伺い、
相撲道を通してビジネスに対する示唆をいただいた。
Interview
武蔵川 光偉 氏 武蔵川部屋 師匠
相撲の美学
本欄で取材をした武蔵川部屋は、1 9 8 0 年 1 1 月
場所中に現役を引退し、以降は出羽海部屋の部屋
付き親方となっていた年寄・1 4 代武蔵川(元横綱・
三重ノ海)が、1 9 8 1 年 8 月に出羽海部屋から分
家独立する形で武蔵川部屋を創設したことに始ま
る。そして、2 0 1 0 年 9 月 3 0 日に1 4 代武蔵川は部
屋の師匠の座を武蔵川部屋の部屋付き親方である
1 8 代藤島(元大関・武双山)へ禅譲した。部屋
継承にあたっては武蔵川と藤島の年寄名跡は交換
せずに、武蔵川部屋から藤島部屋へと部屋の名称
を変更し、1 4 代武蔵川は藤島部屋の部屋付き親
方となった。
今回の本誌のトップインタビュー欄で武蔵川部
その後、藤島部屋の部屋付き親方である1 5 代
屋を取り上げる理由は、相撲道はビジネス道に通
武 蔵 川( 元 横 綱・ 武 蔵 丸 ) が、2 0 1 3 年 4 月 1
ずるものがあるという確信があったからだ。
日に力士 2 人と床山 1 人を連れて藤島部屋から
マーケティングをあくまで勝負のために技術を
分家独立する形で武蔵川部屋を再興するに至る
競う格闘技と喩えるならば、ビジネスは礼に始ま
(Wikipedia より抜粋)
。
り礼に終わる相撲道ともいえるだろう。相撲道に
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は、勝負に勝つことよりも大切なことがある。相
気の中でインタビューは始まった。
撲道とは己の生き方を指し示す道であり、技術だ
けでなく、心技体、とりわけ心の鍛錬を重視し、
── 今号のマーケティングホライズンのテーマ
人々の手本となる人物が必要である。日本の国技
は「他流試合」です。相撲の場合、この他流試合
である大相撲の横綱が、強さだけでなく人格をも
に当てはまるものに「出稽古」がありますが、自
重視するのは、相撲がこのような美学をもってい
分の所属する部屋以外の力士と稽古をつけること
るからであろう。
で、自分の力量を測ったり、苦手としている力士
相撲が持つ美学だけにはとどまらず、長い歴史
の実力を知ることができます。それだけでなく、
や伝統が培ってきた相撲本来が持つ厳格なまでに
自己研鑽を積むという効果も期待できます。
制度化された礼儀や品格を通して、相撲とは何か、
ビジネスにも同じことが当てはまると思いま
力士が追求してやまない相撲道とは何かを垣間見
す。バブル崩壊以降、日本企業はかつての活力を
ることにより、改めて、ビジネス道とは何かとい
徐々に衰微させてきました。それぞれの分野で健
うヒントを見出せるはずだ。
闘している企業もありますが、少なくとも相対的
そこで今回、武蔵川部屋 師匠 武蔵川 光偉氏に
には世界におけるプレゼンスは低下しているとい
お話を伺い、相撲道を通して日本のビジネスにお
う事実があります。大きな潜在力を持ちながらそ
ける示唆をいただいた。
れを発揮できていない。今のグローバル競争とい
う土俵で勝つためには積極的に外に出て行き、競
取材に先立ち朝稽古を見学させていただいた。
争環境を徹底的に知り、そして自分を磨くことが
真冬の早朝のピンと張りつめた空気の中、武蔵川
大事なのではないかと思っています。まさに相撲
部屋の力士達が真剣な面持ちでひとつひとつの動
の出稽古です。
きをすれば、見ている方にも自然と緊張感が走り、
そのように外に目を向け、外から学ぶ必要性に
思わず背筋が伸びる。武蔵川部屋にとっては日
ついて親方からお伺いできればと思います。
常の光景でも、普段見慣れていない者としては異
武蔵川 私は日本に来て2 6 年経ち、その間日本
空間である。思わず筆者は正座をしていた。そう
人を見て感じているのは、考え方が少々内向き
しなければならないような緊張感に包まれた空気
志向であまり外に目を向けていないということで
が、この場にはある。普段見ることはできない力
す。何事もまず身内で話し合ってから行動する傾
士達がぶつかりあう姿は、実に迫力がある。土俵
向があると思います。例えば、相撲で上達したい
がある神聖な雰囲気の中繰り広げられる稽古は、
と願うならば、部屋内だけで稽古していても上手
見ていてとても興味深い。
くはなりません。私は自分を知り、そして相手を
見学を始めてほどなくして、重量感のある足音
知る上では、積極的に外へ稽古に出るべきだと考
と共に武蔵川親方がゆっくりと部屋に入ってき
えています。
た。現役を退いても、元横綱の風格は未だ十分に
外に目を向け、外に学ぶことは自己研鑽につな
健在で、ただならぬ威厳を感じる。筆者の緊張も
親方の稽古付けは端から見ていても厳しいもの
だ。しかし、一人ひとりの力士の名を呼び、適切
に指導をする声はよく通る低い声で、言葉の端に
は温かさを感じさせる。
やがて2 時間ほどの朝稽古が終わると、指導者
の顔から普段の温和な表情になり、和やかな雰囲
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正座を続けた。
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頂点に達し、足の痺れすら忘れて背筋を伸ばして
日本企業がグローバル市場で勝
ち残るためには何が必要なのか。
それは、持てる本来の強みを活
かすことであろう。
外に目を向け、外に学び、そして己の力量を
知ることで、勝つために工夫を凝らし、イノ
ベーションを起こしていくことだ。
TOP INTERVIEW
TOP INTERVIEW
武蔵川 光偉
むさしがわ・みつひで(本名 武蔵丸 光洋、第67代横綱 武蔵丸)
第57代横綱三重ノ海より、平成23年2月の引退に伴い、年寄名跡の譲渡されること
により、弟子で横綱である「武蔵丸」が武蔵川を継承。
現役時代の成績は幕内優勝12回。ハワイ出身で、現在は帰化し「武蔵丸光洋」が
本名。人柄は、温厚で明るく、ユーモアのある性格で、日本を愛し、相撲を愛する。
現役時代は、その迫力ある相撲で、安定感のある突き押しを武器とした。アメフトの
技術を応用したことによるもので、幕内時代は対戦相手を土俵際まで吹っ飛ばす事
もあるほど。時代は貴乃花、若乃花、曙など実力者がひしめく中、14年間で通算連
続勝ち越し55場所(歴代1位)
、外国出身力士最多優勝回数12回(引退当時。現
在は白鵬が保持)などを記録した。横綱として引退し、武蔵丸の名で5年間年寄を
勤め、その後、年寄振分、年寄大島を経て、現在は師匠である、第14代武蔵川親方
より年寄名跡を引き継ぎ、第15代武蔵川を襲名。先代武蔵川晃偉より「偉」の文
字を頂き、武蔵川光偉と名乗る事になった。
がり、そしてそれを繰り返すことで強くなってい
── 親方自身もハワイから日本へ。まさに外に
出て相撲の世界に入られ、そして6 7 代横綱とい
う頂点を極められたわけですが、故郷から「外に
出る」という覚悟はいかがでしたか。
武蔵川 いろいろ事情はあったのですが、1 0 代
の身で故郷を後にして、遠く日本の地で力士にな
るというのは相当の覚悟が必要でした。しかし、
日本に来てからは、自分で決めた道ですので「勝
ちたい、強くなりたい」という一心でした。自分
の道で一番になりたいという強い気持ちがすべて
に勝りました。
あとは、そのための忍耐強さや我慢強さがあっ
たからだと思います。言葉で言うと簡単になって
しまいますが、相撲には大変永い伝統があり、そ
こで培われた制度や礼儀、そして品格が重んじら
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くのです。外を知ることはとても大切なのです。
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相撲で強くなるためには、稽古
を繰り返し体で土俵の大きさや
技を覚えこみ、無意識に活動で
きる力を養うことが肝要になる。
ビジネスでも、良いアイデアというのは、意
識していないときにやってくることが多い。
見方を変えると無意識のうちに、頭が解決策
を考えているといえる。
ただし、無意識的な活動は意識的な活動なし
にはやってこない。
京セラ㈱の創始者である稲盛和夫氏の言葉に
もあるように「潜在意識にまで透徹する強い
持続した願望をもつ」ことが重要である。相
撲の稽古のように無意識に体が覚えこむほど
徹底して願望を突き詰めることで、人は新し
いことを成し遂げることができるのである。
れます。相撲は日本古来の伝統武道であり神事で
もあります。一番になるという揺るぎない目標は
根底の部分は力士もビジネスマンも変わりがあ
ありましたが、そこに至るための過程も尊重し、
りません。では、土俵でもビジネスでも共通して、
とても大事にしてきました。
勝つためには何が必要か。それは外から学び、相
── まさに相撲は心技一体といえるわけですね。
手を知り、そして自分の力量を測り、自己研鑽を
また、武蔵川部屋のホームページを拝見しますと、
続けることです。
「我慢して努力すれば、人間きっと成功できる」
── なるほど。土俵を市場と考えるといろんな
ということが書かれていますが、これは親方自身
ことがビジネスの世界にも当てはまってきます
の経験に基づいた言葉ということでしょうか。
ね。今日朝稽古を見学させていただきましたが、
武蔵川 私自身、日本に来てからは忍耐・我慢・
これは毎日弛まず行っているのでしょうか。
努力をしてここまで来れたと自負しています。
武蔵川 なぜ毎日朝稽古をする必要があるかとい
辛く厳しい修行の中にこそ、健全な精神が宿り、
いますと、体に徹底して土俵の大きさを覚えこま
毎日の修行に耐える健康な身体を養う事で、人々
せるためです。そして、技を頭ではなく体で覚え
から畏怖され、尊敬される力士が育ちます。そし
させるためです。本場所の土俵上で、次の手を頭
て、その頂点に立つ「横綱」を育てて行く事こそ、
で考えているようでは相手に攻められてしまいま
私達 部屋を持つものの使命だと考えています。
す。ですので体が無意識のうちに動けるように弛
そのために力士を育てる側、育つ力士側の両方
まぬ鍛錬が必要なのです。
に忍耐・我慢・努力は欠かせないことです。
── 出稽古や本場所では同じ相手と何度も対戦
忍耐・我慢・努力というと根性論のようで古臭
することがあると思うのですが、相手のことは相
い印象もあるかもしれませんが、元来、日本人は
当研究されるのですか?
とても勤勉で、常に努力をしています。また、高
武蔵川 私が力士たちにいつも言っているのは、
い道徳観を持ち、相手に対してきちんと敬意を払
相手についての知識は二の次で、まずは、無意識
います。日本の文化に元々備わっており、またそ
に自分の力を出し切るということが最も大切だと
の文化レベルは世界屈指だと思います。
いうことです。
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TOP INTERVIEW
── 無意識の内に全力を出し切る、ですか。奥
力も成長させます。正しくスポーツマンシップを
が深いですね。親方は大きな怪我をすることもな
学ぶことは健全な精神力をも身につけることにな
く現役生活を全うされたと思うのですが、これも
るはずです。
日々の鍛錬のおかげでしょうか。
── 最近はグローバルで活躍する日本人も増え
武蔵川 もちろん怪我をすることはありました
ましたが、勝利を目指してたゆまぬ努力を積み重
が、自分の弱い部分を相手に見せてはいけないと
ね、ルールを守ってフェアプレーに徹してスポー
思っています。たとえ痛くても表情には決して出
ツに取り組む姿勢が、人格の陶冶に貢献すること
しません。怪我をしている部分を使わないような
は彼らの言動を見ても明らかだと言えますね。
別の技にバレないように変えて、いつも通りやる
スポーツマンシップに則った精神はフェアなビ
だけです。
ジネスマンシップをも身につけることにも大いに
プロフェッショナルとして、仕事としてやって
役立つと思います。また、他流試合では、他のと
いる以上は、弱点を見せてはダメだと思います。
ころの良い部分を取り入れることができるという
闘う相手もプロですから、微かな動揺でも悟られ
わけですね。
てしまいます。
武蔵川 その通りです。すべてが勉強なのです。
他流の良いものばかりを全部引っ張ってきて、自
相撲道から学ぶビジネス道
分のものにします。そしてそれをまた別の人に継
承していけばいいわけです。
── 親方はアメリカンフットボールを経験し、
── なるほど。そうすると他流試合の一番の利
それを相撲の技にも応用されました。他のスポー
点は、他の良いところをすべて引っ張ってこれる
ツから相撲への応用性はあるのでしょうか。
ということと、己を知ることができるということ
武蔵川 いろいろなスポーツをやって、それぞれ
でしょうか。
の良いところを見極め引き出すことができれば、
武蔵川 そうですね。何でも勉強の機会だと捉え
きっとその他のスポーツなどにも応用することが
るべきだと思います。そのためにも、積極的に外
できると思います。また、すべてのスポーツにお
に出ていく必要があると思います。ただし、嫌々
いて言えることですが、自主的に判断し、相手の
やってもダメで、やるぞという気持ちが伴ってい
価値を尊重しあうことは、生きていく上での精神
なければなりません。
凛とした空気の中、掛け声と共に朝稽古が始まる。見ている方にも緊張感が伝わり、思わず背筋が伸びる。
武蔵川部屋の朝稽古の見学は可能です。詳しくは右記URLをご参照ください。http://musashigawa.com/
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── 親方も来日以降、言葉の壁などで苦労され
が秀でているだけではダメです。内面としての品
たのではないですか。
格も優れていないといけないのです。これは企業
武蔵川 好きで相撲をやっているので、それに纏
の経営者にも当てはまるかもしれませんね。
わるすべてを苦労だと思っていません。苦労を苦
── 親方は武蔵川部屋の経営者という立場でも
労だと思わずに、楽しくやるという発想に切り替
あるわけですが、部屋の運営を組織運営と置き換
えれば、きっとすべてが上手くいくはずです。
えて、どのような工夫をされていますか。
── もし親方が今現役であるならば、対戦して
武蔵川 私は力士達とのコミュニケーションが密
みたい相手というのはいらっしゃいますか。
であることを常に心がけています。師匠と力士の
武蔵川 白鵬です。力士の目標は最も強い相手と
距離が近いと思えるような部屋の雰囲気を作るこ
相撲をとり、そして勝つことです。大相撲におい
とを意識しています。当然に稽古や礼儀作法は厳
ては、横綱は全ての力士を代表する存在であると
しくしますが、しごきなどは一切ありません。力
同時に、神の依り代であることの証とされていま
士が強くなるためには、師匠と力士の絆といえる
す。その横綱に勝ち、そして自分が横綱となるこ
深い信頼関係がなければ誰もついてきませんか
とが力士たるものの本懐です。
ら。このように絆を大切にしている部屋はたぶん
ちなみに、横綱に降格というものはありません。
他にはないと自負しています。お互いに常に顔を
引退するまで横綱です。ただし、地位が保障され
合わせて、相撲の話に限らず心の内を何でも話せ
る代わりに、横綱は常に品格・力量抜群でなけれ
るようなコミュニケーションを図るようにしてい
ばならず、常に横綱にふさわしい相撲、日頃の行
ます。
動をとらねばなりません。横綱は品格・力量に秀
── すべての根幹はコミュニケーション、とい
でているからこそ横綱でいられるのです。力や技
うことですね。
武蔵川 そうですね。これは最も重要なことだと
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相撲の世界では、
常に『闘う相手』
をセットしている。
その闘う相手との競争に勝つに
は、ただ闇雲に行動していてはいけない。
ビジネスで言えば、自社と闘う相手の競争上
の位置関係を把握した上で、より優位な状況
を作り出す必要がある。相手に勝つためには、
対抗できないような戦略を採用する必要があ
るのだ。
現代の相撲は、立合いで変化できる力士の勝
率は高い。同部屋内の相撲の稽古ではお互い
に変化をしない。変化に対応する稽古をして
いない。だからこそ出稽古を繰り返して技量
を体得し、本場所で立会い変化ができるよう
に、体に戦略を覚えこませるのだ。
ビジネスでも同様に闘う相手に勝つためには、
外に目を向け、そして外から学び良いものを
取り入れることで相手に対して優位に立つこ
とができるのだろう。
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MH February 2015
思います。
── 最後に、親方の考える“相撲道”とは一体
何でしょうか。
武蔵川 あまり考えたことはないですが(笑)
、
自分も相手も、己の力を瞬間にすべて出し切る真
剣勝負です。これは相撲特有かもしれませんね。
(インタビュアー : 中島 聡 本誌編集委員)
今回の取材では実に多くの示唆をいただいた。
相撲とビジネス、一見非なるものであるが、その共
通点は多い。外に出ることで自分のポジションを理
解し、そしてより自己を高めるため、徹底して基本
を鍛錬し体得していくことで目標に近づいていく。
「他流試合」、それは外に出て実力を試すことで、己
を知り(自社の技術力や経営水準)、自分の実力を
高める(他の技術力を応用したり、他社の経営手法
の良い部分を学ぶ)ことができるのである。
そのためには明確な目標や目的を持ち、徹底的な鍛
錬を常に繰り返すことが大事なのであろう。
FEATURE
他流試合
本号のテーマは「他流試合」
内側ばかりに目を向けていれば、潮流から取り残されてしまうどころか、
「井の中の蛙」、自らも見失ってしまいかねない。
多様な価値化を持つものがしのぎを削って切磋琢磨を繰り返す。
そこから、本当の己の立ち位置が明らかとなる。
メガコンペティションの時代、世界で闘える人材をつくるというなら、
まずは生活者と接するマーケターこそが、こうあるべきではないだろうか。
FEATURE
global economics
国際社会での雰囲気作りが決め手
国際経済から
日本の立ち位置を考える
他流試合
ちの服はミャンマーで作っています」
日本企業が試みている戦略のひとつが「チャイ
ナ+ 1」だが、私の拙い買い物経験がその実態を
語ってくれる気がした。経済学でいう比較生産費
原理である。中国経済の減速と日中間の外交政治
問題が長引いたことも災いして、少なくとも製造
業に関しては、日本企業のチャイナ+ 1 戦略が進
むことは間違いなさそうだ。
ASEAN は無論、中国ですら物価水準は日本よ
Writer 川村 雄介
り安い。単純な比較生産費原理では日本の勝ち目
はなさそうだ。また、世界経済は見通しの難しい出
来事が次々に発生する。最近非常に悩ましい問題
街中は世界経済の縮図である。
先日、東京の五反
が、原油価格の下落、中国経済の行方、それに欧州
田付近を散歩していたら小奇麗な靴屋さんが目に
経済の混乱である。原油価格の動向は、中東やロシ
留まり、思わず店内に入った。
「ビジネス用の紳士
アの政情から人類の未来エネルギー対応にまで影
靴は置いてありませんか」
と尋ねる私に、愛嬌のあ
響する。中国経済はもはや二桁の成長を持続する
るスタッフが「お二階にどうぞ」と案内してくれ
ことはあり得ない。欧州ではギリシャがまたぞろ
た。20 セットくらいであろうか。なかなかセンス
鬱陶しい状態になっている。これら全てはお互い
の良いデザインの品々である。
「お履きになって
に関連を持ち、かつプラス面もあればマイナス面
ください」
と勧められ試し履きしてみると、実に足
もある。しかも需給関係を中心にした計量的な要
にフィットする。
イタリア製の皮が軟らかいし、仕
素だけではなく、ゲーム理論でも解ききれない人
上げも丁寧でうち履きも心地よい。
「いい値段な
間心理が大きく作用する。ウクライナや中東の情
んだろうね」
「いいえ、
1 万円+消費税です」
驚いた。
勢も経済のかく乱要因になる。ある意味で、日本経
百貨店あたりでブランド物を買ったらこの数倍は
済は嵐に揉まれているのである。
するだろう。
思わず 3 足買ってしまった。
このように、難題山積の中で日本はどういう立
勘定を済ませながら聞いた。
「中国製なのかな」
ち位置をとり、どう進んでいくべきなのだろうか。
スタッフはおうむ返しに
「とんでもない、そんなコ
キーワードは、経済では高付加価値化、地方活性
ストのかかる国ではもうやっていません。うちの
化、ソフト化である。アベノミクスのいわゆる三番
靴はベトナムで作っています」
目の矢の本質だ。外交では複雑怪奇な国際社会を
その 2 ~ 3 日後である。冬季セールを開催中の
見極めながら上手に立ち回ること、地球儀を俯瞰
八重洲地下街の婦人服店に、暖かそうなダウンの
する外交だ。
ロングコートがぶら下がっていた。値札を見て驚
高付加価値化は、日本のお家芸である。コスト
いた。5,900 円。接客中のキュートなスタッフに問
低減と製品機能の高度化の両面が必要だ。ロボッ
い正す。
「ねえ、これヒトケタ間違っていないかな
ト技術を活用し、研究開発を一段と加速させつつ
あ」彼女はお節介なオヤジ客に嫌な顔ひとつせず
事業に結び付けていくのである。為替相場の上げ
「全然正しいですよ」
。これまた娘への成人式プレ
下げにも崩れない底力をつけていきたい。現に日
ゼントに、
と衝動買いしてしまった。
本は、石油危機も最近までの超円高もこれで乗り
勘定を済ませながら聞いた。
「ベトナム製だよ
切ってきた。
ね」スタッフはおうむ返しに「とんでもない、そん
地方活性化のポイントはコンパクトなスマート
なコストのかかる国ではもうやっていません。う
シティを各県に数ヶ所作り、これらをネットワー
MH February 2015
11
diverse values
ク化していくことである。人は集積によって高度
仲良くやっている。経済や民間交流と外交を使い
化し、自然は分散放置によって元気になる。
大学や
分けるべきだが、その際には国際社会での雰囲気
研究拠点を置くことも効果的だろう。
作りが決め手ともなる。日本以外の欧米やアジア
ソフト化とは、日本の知恵や文化をマネタイズ
が、日本はきちんとやっている、むしろ中国や韓
していくことである。特許や著作権などの知的財
国に難があるのではないか、と認識してくれるよ
産権を武器にしていくことはもちろんだが、知恵
うにしたい。そのためには、強気一辺倒は逆効果で
や文化そのものを産業化してしまう発想が大切だ
あるし、卑屈な低姿勢を続けるのはもっとまずい。
と思う。クールジャパンと呼ばれる分野がその典
最も重要な点は「日本は現代史と今現在を真剣、誠
型例である。
地方の活性化においても、エンターテ
実、平和に生きてきたし生きている。大切なのは過
インメント・パークやカジノを含む統合的リゾー
去ではなく、今と未来である」という当然至極の
トの建設、さらには地元の大学にエンタメ学部を
メッセージを、ありとあらゆる機会に訴えていく
設置してグローバルなエンターテイナーの育成を
ことだろう。その意味でも地球儀を俯瞰するスタ
進めることなどがあって良い。日本のカルチャー
ンスを堅持しなければならない。
が世界中で好まれている事実を経済面で活用しな
い手はない。
外交では冷静さとしたたかさが不可欠である。
い。だが、ビジネスや文化交流の世界ではお互いに
川村 雄介 (かわむら ゆうすけ)
大和総研 副理事長。
1977 年東京大学法学部卒。大和証券入社。2000 年長崎大学経済学部、
同経済学研究科教授。2010 年大和総研専務理事。2012 年より現職。財
政制度等審議会委員、
日本証券経済研究所理事・客員研究員、
日本証券業協
会公益委員、
大阪証券取引所社外取締役等を兼務
regional economy
産性の低いサービス産業が多く、地方の疲弊は止
中国、韓国との外交問題は日本人にとっては、不快
感を隠すべくもないというのが本音かもしれな
強くて豊かな地域を創り出す
民産学官協働で
「地方の稼ぐ力」
を創る
まらない。
しかしこの様な縮小均衡の中、地方の生活と経
済には、新しい動きが出始めている。過疎地や地方
都市の買い物難民や公共交通廃止に伴う移動難民
の増大。'50 ~ '60 年代に建設された道路や橋梁
などの社会インフラは、老朽化が進み大規模改修
時期を迎えている。その様な状況に対応するコン
パクトシティ化の是非、また高齢者向けの医療・介
Writer 福田 博
護・福祉や病気予防への対応は喫緊の問題である。
その他にも、再生エネルギーの地産地消化や農業
の六次産業化など地域再生のための多くの課題に
地方で起きている生活と経済の構造変化
直面している。これらの社会的な課題は、ある意味
地方は、少子高齢化や都市への人口流出などで
では、新しい需要でもある。
人口減少が続いている。また長引く経済不況の中
ところが地方は、雇用の流動化も進まず、建設や
で、地域に貢献していた有望な製造業は、安い労働
農業、そして運輸、観光、医療福祉などの産業では
力を求めて海外に工場を移転。
残された産業は、生
深刻な人手不足に陥っている。さらに大きな問題
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FEATURE
他流試合
は、公的サービスや産業は、地域のつながりやしが
都市部のスーパーなどから顧客ニーズを徹底的に
らみの上に成り立っていたが、その基盤である町
聞きだし、物流の鮮度を維持するための新冷凍技
内会や老人会、また地場関連産業などの地縁型コ
術を導入して受注に結びつけ、また外部クリエー
ミュニティが崩れてきているのである。
地方は、大
ターの協力で、特産品のブランド化も行い事業を
きな構造変化が起きているが、新しい課題や需要
軌道に乗せた。現在、住人 2,400 人のうち、1 割は
に対応できていない状況である。
新しい仕事に魅力を感じた移住者になっている。
九州の畜産農家は、中国市場を開拓している。物
地域資源を活かした新産業が生まれている
流網の発展により、九州から上海までの海上物流
しかし地方の中には、新しい取り組みにより、新
で 24 時間、空路では約 2 時間もあれば納品が可能
産業を創生する事例が出始めている。
例えば、徳島
となった。安心安全な食品を求める中国富裕層の
県神山町は、難視聴対策の CATV 網を利用して
需要は高く、九州全自治体や大学も協力し牛乳や
IT インフラを整備。過疎地なので高速通信回線を
肉などの輸出が活発化している。中間層が増大し
独占使用できる状況であり、それを売りに NPO や
ている中国市場は、東京や大阪などの大消費地と
行政が中心になって、都市部の IT 企業を誘致。自
比べても、有望な市場である。
然環境の中で、ゆったりと仕事が出来るというこ
これらの事例に共通するのは、地域の各ステー
ともあり IT 企業がサテライトオフィスとして進
クホルダーが、地域衰退の危機感をバネに、地域の
出。従業員満足度も高い。
ビジョンを共有。外部の協力を得ながら自ら顧客
島根県隠岐島の海士町は、町長と有志達が大学
ニーズを掴み、地域資源を活用したオリジナルの
のコミュニティデザイナーの協力を得ながら、地
商品を開発。そして既存流通に依存することなく、
場産業の魚貝類の付加価値化に取り組んだ。まず
苦労しながらも独自に販路を開拓し、継続化のた
MH February 2015
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diverse values
めの顧客満足を追究し始めたことである。民間企
している。それらの企業が価格競争を行ない、地域
業をも超える顧客中心の地域横断組織になってき
全体の収益性を悪化させている。地域は分かち合
ている。
いが基本だが、「地域で、ひとりの落伍者も出さな
い」という行政の姿勢は、過保護であり、度が過ぎ
独自の商品で稼ぎ地域内で循環させる
ている。企業のポートフォリオを見ると、2 割で
世界ブランドのフェラーリやアルマーニ、ボル
稼ぎ、6 割がそこそこ、残り 2 割は赤字が一般的。
ドーワインなどは、欧州の地方都市や農村発の商
その 2 割の赤字事業から撤退し、稼げる事業に経
品である。創業者や地域の協力企業が地域資源を
営資源を集中させる。また地方はサービス産業が
巧みに利用して商品を開発し、地場産業に育てた。
7 割以上で、その生産性は、欧米の約 5 ~ 7 割と低
その中でも、特に輝く商品を世界に送り出し、卓越
すぎる。大切なのは、従業員満足を図りつつ、従業
したブランドに磨き上げ、国内でも海外でも稼げ
員の多能工化を目指すなどして、生産性を向上さ
るビジネスモデルを創りだしている。
欧州は、地方
せ、所得を向上させる事である。
自治が基本であり、国家は財政逼迫だが、地方都市
そして製造業や加工食品業の場合は、生産と消
が豊かなのは、
この戦略によるところが大きい。
費は時間と場所を選ばないので、海外市場を視野
一方、日本の地方は、欧州以上に、観光や農業、漁
に入れ、
「小さいけれど世界一」、
「グローバル・ニッ
業などの自然資源に恵まれている地域が多い。ま
チ・トップ」を目指すことも可能である。サービス
た伝統技術の蓄積もあり、人材もいる。
そして世界
業の場合は、同時性と同場性が特徴であり、地域経
一厳しい消費者もいる。
見方を変えれば、潜在的な
済密度を高め、「地域 No.1」を目指すべきである。
ビジネス資源の宝庫である。ただそれらの地域資
もうひとつ重要なのは民産学官の連携である。
源を充分に活用できていないのである。
高度成長期は、それぞれの役割を果たしていれば
現在、地方は人口減少や産業衰退で、消滅する危
良かったが、現在では、地域全体の知恵を結集しな
機にあると言われている。しかし定住人口が減る
ければ、地域間競争に勝ち残れない時代である。特
なら、交流人口を増やせば良いのである。
産業がな
に、大学は、地域の知財センターであり、課題解決
いなら、地域の市場をもう一度詳細に洞察し、地域
や技術開発のパートナーとして地域の期待度は高
に必要な事業を創り出せば良いのである。需要が
い。これからの地方は、有志をリーダーに、地域の
供給を上回る分野や公的サービスの民営化分野な
住民や NPO、大学や企業、そして自治体が、目的志
どは狙い目である。
向で、また是々非々で相互に連携して、強くて豊か
これまで地方は、中央発の横並び政策に従って
な地域を創り出す取り組みが必要なのである。
いたが、地方にはそれぞれの特徴がある。
その魅力
の本質を炙り出し、期待できる独自の分野に資金
ICT 活用とネットワーク力で個人力向上
と労力を集中させ、顧客にハッピーサプライズを
さらに重要なのは、個人の感性力と能力の強化
提供できる新事業をトコトン考える。そしてその
である。他に依存することなく、自ら「人材」を「人
事業を育て地域に収入を呼び込み、可能な限りお
財」にすべきである。新しい価値の創発は、地域内
金を地域内で循環させ、持続可能で豊かな地域を
外の異質な情報や人財との交流により生まれる。
創ることが地域活性化の基本である。
イノベーションは、新結合なのである。現在は、リ
アルとバーチャルで、地域に様々なタイプの人財
新陳代謝を促し民産学官連携で地域力向上
を呼び込み、地域内外の様々なアイディアと融合
地域力を強化するためには、まず競争環境を創
させ、チャレンジすることが可能な時代である。
りだし、地域企業の新陳代謝を図ることが必要。
本
ICT を活用したクラウドサービスは、低コストで
来、廃業すべき企業でも、様々な支援策により延命
国内外の様々な知恵を収集できる。クラウドソー
14
MH February 2015
FEATURE
他流試合
シングは、問題解決の強力なパートナーになる。
ク
もむき、勇気を出して”実験”することである。例え
ラウドファンディングは、事業資金を集めること
失敗しても、その体験は成功の糧になる。そこから
ができる。
これらは商品開発、業務の効率化、そし
て人財育成や起業の大きな武器になる。
新しい価値を生み出す人々は、仕事が遊び、遊び
が仕事のクリエイティブクラスである。大事なの
は、縦割り型や官僚型発想ではなく、起業家マイン
ドを持ち、内向きな仕事は程ほどにして、現場にお
「地域の稼ぐ力」は生まれる。
福田 博 (ふくだ ひろし)
縄文コミュニケーション㈱ 代表取締役
いわきテレワークセンター㈱ 非常勤役員、
中小企業大学校講師
主な著書・論文「需要を創造するコミュニティ
・ライフスタイル・クリエーション」
('03.11 /情報文化学会採録)
「個客をつかむ ケータイ CRM」共著
('01.9 /日経 BP 企画)
「商品別フィールドマーケティング戦略」共著
(誠文堂新光社)
我々日本人が内向きになったのではないことを祈
ethics
る次第である。
横型同質性からの決別
他流試合と
オープンイノベーション
さて、最近の傾向として、従来の高度成長時代の
「ジャパニーズビジネスマン」に代表される 24 時
間体制の働き方から、一定の時間内に仕事を済ま
せ、他の時間においては様々な事に時間を費やす
働き方に変わってきているように思う。決して悪
いことではない。問題は、その時間をどのように使
うかという事である。休養、自己研鑚、趣味、家族と
Writer 中島 聡
の時間と様々な過ごし方があるであろう。
かつてのお正月と言えば、様々な店舗も店休日
今回のテーマは
「他流試合のススメ」
である。
昨年度の訪日観光客は 1,300 万人程まで伸長し、
個人消費の 1%に匹敵する 2 兆円程度が訪日観光
客の日本での買い物、食事等の支出金額であると
言われている。
海外旅行、目的はいかなるものであっても、海外
旅行においては、異質の文化に触れ、自らの文化と
の相違の中で、何かを感じ取るものである。
今回の
来日観光客増は近隣諸国の経済発展、円安、国の
様々な施策等によるものであろうが、大変喜ばし
いことである。
一方、日本から海外に旅行で訪れる人々の推
移に関しては、様々な要因から漸減傾向である。
2014 年に関しては 1,700 万人を割る所まで減少す
るかもしれない。
この事も円安、また飽和市場にお
いては海外に買い物に行く必要もない、また行き
尽くした等々の理由があるためであろう。決して、
となり、特に単身者の一人住まいの方々は不便を
感じられたご経験がおありだと思う。しかしなが
ら、今は大半の流通業は元旦はともかくとして、
三が日は大きな書き入れ時である。また、全国津々
浦々、24 時間営業のコンビニエンスストアが点
在し、一向に不便を感じることはなくなっている。
人口に比較し、これ程のコンビニエンスストアが
存在する国が他にあるだろうか。またグローバル
化の流れは停滞することなく、容赦無く我々を取
り囲んで行く。そして Web 環境の進展は、情報の
質的・時間的・階層毎の格差を少なくしてくれてい
る。
一言で言えばタイムレス、ボーダレス、ヒエラル
キーレスといった所であろう。便利さの追求が、横
型同質的なコミュニケーションや競争環境をもた
らしているのかもしれない。横型同質的な価値観
や利便性は大変心地良いものであるが、一面では、
MH February 2015
15
diverse values
異なった価値観や異端、異能というものを排斥す
②実力値を知った上で、相手の良い所を努力し
るという動きにならないであろうか。
吸収する。
今年の様々な企業トップの年頭のご挨拶等を
③その上で、自らの力を付けると同時に様々な
拝見すると、イノベーションという言葉が数多く
他の相手方の強みとの組み合わせにより、新
あったように思う。イノベーションを達成するた
たな機会と独自性を持ったコアコンピタンス
めには、心地良さや、
「ゆるい」
感覚や、横型同質性
を作り出す。
からの決別が必要であるのは言うまでもない。心
しばしば言われることであるが、多忙な人程、数
地よさと傷のなめ合いからは、新たな価値が生ま
分のごく短い時間で相手の力量を値踏みするとい
れる事は無いことを肝に銘じなければならない。
う(人物鑑定)。多忙な中においては、貴重な時間を
最近聞いたのは次のような会話であった。若い、
無駄にすることはできない。少なくとも自らが得
これからが期待されるようなビジネスパーソンの
る何かがなければ、時間を割くことはできない。
会話である。
「上司は馬鹿なほうが良いけど、最終
今考えなければならないのは、他流試合を行う
的にジャッジできないし、責任を取れないから問
場合には相手が他流試合のために時間を割いてく
題だね。
一方厳しい上司だと、指導ばかりされるか
れるか、少なくとも相手先から一定の実力を認め
ら、自分の個性が埋没させられるから嫌だね」
とい
られ、その相手から他流試合をしても良いと思わ
う会話であった。この会話をどのように判断する
れるか、ということである。
かは、背景が分からない中、なんともしがたいので
横型という概念は、同一レベルという事となる
あるが、ある意味では、典型的大企業病、夜郎自大
危険性がある。同一レベルから得る部分も確かに
とも言えるかもしれない。横型の概念は一歩間違
あるが、多くの場合、高いレベルとの他流試合から
えば、個性という心地良い言葉に強く影響を受け、
得られる部分のほうが多いであろう。そのために
「好き勝手に自分のやりたいことしかやらない。自
は何が必要か?ポイントは 2 つの点ではなかろう
らの意に沿わない事柄からは、様々な理由をつけ
か。
て避けて通る」
ことにならないであろうか。
①他流試合に挑ませてもらうには、相手にもメ
前述のように「レス」という言葉が重要なキー
リットをもたらす実力を身につけること。
ワードとなっている現在、
「レス」という言葉は
②相手先との共感(胸を貸す)を得られるコミュ
ある意味では障壁が無くなってきているというこ
ニケーション力を身につけること。
とであり、本来ならば「他流試合」のための障壁が
他流試合に臨み、そして他の人材(企業)から他
無くなってきているということであろう。環境は
流試合を望まれる事、先ずは自分の自力をしっか
「他流試合」を行いやすい状況を作り出していると
りと付ける事、そして常にオープンマインドであ
言っても良い。
ること。
オープンイノベーションとは、元来様々な強み
様々な価値観が求められる現在、コクーニング
を他流試合から、自らの強みとし、複数の強みを複
している時間は無い。まずはしっかりと足元を良
合的に組み合わせる事により、新たな機会を見出
く見て、そして固めて、倫理的なセオリーを付ける
し、新たな独自性を持った強みにより、イノベー
事が必要であろう。
ションを具現化、そして世に問う事であろう。
イノ
今更といった感が無きにしもあらずではある
ベーション実現のためには他流試合は必須のもの
が、
「仁義礼智」
「我慢努力」といったことをしっ
である。
一般的には、他流試合によって得られるこ
かりと考える時である。
とは大まかには次の 3 点であると考えられる。
①相手との比較の中で、自らの現在の実力値を
知る。
16
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中島 聡 (なかしま さとし)
株式会社明治 マーケティング推進本部 マーケティング推進部長
高千穂大学 客員教授
明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 講師
diverse values
branding
得意を磨き、
得意を広める
ブランドの
リ・ポジショニングを考える
●シーブリーズ(資生堂)は 20 代~ 30 代男性が
夏のマリンスポーツ時のデオドランドとして定
着、新たに「NATURAL + AID」というコンセプト
で 10 代女性が日常使いするデオドランドとして
ポジショニングし成長した。(若年男性の夏→女
子高生の日常)
●ハイチオール C(エスエス製薬)は成人男性
の二日酔いを予防・解消する薬として定着、美白効
果があることからシミそばかすの予防薬としての
Writer 苅谷 誠一郎
ポジショニングを行い、大きく売上規模を拡大し
た。(男性の飲酒対策→女性の美白対策)
国内人口の変化、グローバリゼーション、情報化
リ・ポジショニングで大きな成果を挙げたブラ
の進展等、社会や生活者の有り様が変化している。
ンドに共通することは、機能の独自性が明確にな
また、全体的な所得向上が進まず、消費マインドが
るセグメンテーションとポジショニングを行い、
冷え込む中、市場の多くが停滞を余儀なくされてい
さらにブランドを磨き上げ、支持を獲得し、トップ
る。この状況で売上を拡大していくためには、直接
ブランドの地位に育成している。その後、生活者や
的な競合からのシェア奪取か、新たな市場・機会の
競合環境の変化に対応し、基本機能を変えずに、そ
開拓による間接的な競合からの奪取が必要になる。
の特性を活用した新たな用途・シーンを提案する
ただ、その実現の手段として、短期的な効果しか期
ことで、より大きな支持の獲得に成功している。
待できない価格訴求や費用対効果のリスクが大き
い新商品の開発以前に、既存の経営資源であるブラ
リ・ポジショニングとMD政策の変更によるブラ
ンドの活用を検討すべきではないだろうか。それ
ンド再生事例
は、既存市場を対象にした機能、ベネフィット、コ
●無印良品(良品計画)は、西友の PB として、素
ミュニケーション等の改善によるブランド強化に
材の選択、工程の点検、包装の簡略化という基本理
留まらず、ブランドの基本機能を活用した新たな可
念のもとで商品開発を行い、「わけあって安い」の
能性を探り、
その実現を目指すことが必要だ。
キャッチコピーとともに発売され、その簡潔さや
分かりやすさで支持を拡大し、ブランドへのカウ
強みを活かしたリ・ポジショニングの事例
ンターであった商品がブランド化した。様々な環
●ポカリスエット
(大塚製薬)
は、
「水分補給飲料」
境変化に対応し成長を続けているが、近年では安
のコンセプトでスポーツ飲料のトップブランドと
さで売上を求めるのではなく、価格や売上に流さ
なったが、生活者の嗜好や競合の変化により、清涼
れない自分たちのあるべき姿を「無駄のない魅力
飲料市場に主戦場を移行、健康的な清涼飲料として
的な新しい何かを提案する」を方針に商品開発を
ポジショニングされ、売上規模が拡大した。
(アス
行い、再生のひとつの要因となった。(価格、売上
リートの水分補給→体にやさしい飲料)
→価値、顧客満足)
●ウィダー in ゼリー(森永製菓)
は、アスリート
● J.CREW は、通販から始まったアメリカのア
の試合前の栄養補給剤から、ご飯一杯分の栄養を短
パレルブランド。流行にとらわれない、さわやかで
時間で摂食できる商品という提案を行い、
「10 秒メ
ナチュラルなアメリカンカジュアルのベーシック
シ」のキャッチコピーとともに浸透した。
(アスリー
な地位を得た。ただ、変化や刺激が少ないテイスト
トの栄養補給→ビジネスマンの朝食代替)
への支持が失われ、経営危機に陥った。このため、
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FEATURE
他流試合
思い切った改革、商品政策のコンセプトをデザイ
純粋に変化を意味するものであって、必ずしも進
ン&クオリティへ、価格帯も上げ、トレンドを取り
歩を意味することではないらしい。最後まで生き
入れたラグジュアリー路線へと転換した。スタイ
残った生物が進化の形であり、あらゆる生存競争
リッシュで高品質、値段も適正というポジション
の中で最後まで勝ち続けるという結果が進化らし
を獲得し、売上を大きく改善した。
(ベーシック→
い。何やらビジネスの世界に似ているようだ。我々
スタイリッシュ)
が戦う真の場所が顧客のマインドの中であるとす
るならば、我々と我々のブランドが生き残るため
両社とも規模拡大や成功体験等により、イノ
には、顧客の変化に対応するイノベーションを繰
ベーションが出来にくい環境となり、業績の悪化
り返し、その存在する意味と意義が顧客の中に在
を招いた。その改善のため、顧客が志向するもの
り続けられるよう、自らが変化し続けることが必
に単純に迎合するのではなく、顧客志向を踏まえ
要だ。その実現のためには、生存環境と競争相手の
た上で、自分たちが提供したい価値に絞り込んだ
認知と理解、そして己を見極めることが基本にな
ポジショニングを行って復活している。顧客が共
るだろう。孫子曰く、
「彼を知り己を知れば百戦危
感可能なモノやコトを作る創造力や提案力を鍛え
うからず」と…。
る、あるいは、実現可能な仕組みを整えることが重
要のようだ。
変化へ対応し続けるということ
日本では進化という言葉に進歩やグレードアッ
プという意味が含まれるが、生物学での進化は
苅谷 誠一郎 (かりや せいいちろう)
マークス & インデックス 代表
流通業を中心にメーカー、行政など幅広い業界でマーケティングリサーチおよびプ
ランニングを行っている。特に、量販店、生協などのスーパーマーケットの新規出
店および活性化のための調査は、全国で 300 件を超える豊富な経験を有する。
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19
diverse values
education
次世代経営者の人材要件とは
次世代経営者育成のための
修羅場体験
社内重要ポストを歴任することに加え、これか
らは卓越したコミュニケーションスキルが必須。
異質の文化に対する理解と、様々な価値観を持つ
相手との粘り強い交渉力。こうした柔軟な受容性
と適応力を持つ人間力が求められます。
4)マーケットの先見予測力
One to One マーケティングの時代、マーケット
は細分化されており、様々なマーケットを観察す
る好奇心や観察力、先見予測力がブルーオーシャ
Writer 村山 哲治
ンを発見することにもつながります。
5)グローバルビジネスへの適応力
最近では社内の公用語を英語にする会社が出始
日本経済は長きにわたるデフレで「失われた 20
めています。国内需要が頭打ちする中で、海外市場
年」と言われ停滞が続いています。
しかし、こうし
に目を向けその可能性を探るのは次期経営者の役
た膠着した経済環境から脱却し、これからの外部
目です。社内の人材登用も、少子化の流れから海外
環境変化に適応できる経営へと舵を切りアクセル
の人材の受け入れも既に直近の課題です。
を踏み込む時期に来ています。こうした重要な局
6)社内事業の再構築力
面を託される次世代の経営層は企業の中で育って
経営革新を行うときに大ナタを振らなければな
いるのでしょうか。
らないのが、社内事業の再構築です。不採算部門の
これまでの経営が内向きであったのに対して、
整理や統合、事業拡大に伴う M&A など社内の伝
今後は環境変化に適応し外に向けた攻めの取り組
統や先例にとらわれない事業の再構築力が必要で
みが望まれます。そのためには次世代経営者とな
す。
るべく人材要件として、次の 6 つの資質が求めら
れています。
こうした資質とは、ビジネススキルとはやや異
なり、その人が持っている価値観や観念に関わる
1)創造力
ものが多いため、OJT や OFF-JT の教育体系で
これまでの自社の習慣や業界の常識にとらわれ
賄うことは難しいと思われます。そこでこうした
ているのでは、先細りになることは明確。
例えばこ
自社の風土や習慣の枠から離れて実施される、異
れまで国内家電は日本メーカーの独壇場でした
業種経営者研修への参加が教育効果として大きく
が、扇風機や掃除機はダイソンや iRobot(ルンバ)
、
期待できます。では社内の常識の枠を超え、イノ
レイコップに、調理家電ではフィリップス
(ノンフ
ベーションマインドや行動力に役立つ他流試合に
ライヤー)など次々と海外メーカーがユニークな
よる異業種交流研修とはどのようなものなので
商品で日本メーカーの牙城を崩し始めています。
しょうか。
2)決断力
以前より諸外国から日本は意思決定が遅いと言
<研修の特徴>
われてきました。これからのグローバルビジネス
・社内ではなくアウェイの環境で、他社の経営者か
ではもちろんのこと、国内マーケットで勝ち残る
ら仕事の進め方や考え方などの刺激を受け、新
ためにも経営者の強いトップダウンの決断力が求
しい視点を養うことができる。
められます。
・研修におけるディスカッションや演習課題の取
3)人間力
り組みを通し互いに切磋琢磨することで、問題
20
MH February 2015
FEATURE
他流試合
解決の仕方、プレゼンテーション、事業戦略の構
ケースもあります。研修と研修の合間にもレポー
築に新たな切り口やヒントを得る。
トや職場実践などの課題があり、参加者はそれぞ
・研修を通じ経営者の人脈が構築される。
れ会社の代表でもあるため他社経営者の手前、手
を抜くことが許されない、まさに修羅場の体験と
<研修内容>
なることがひとつのポイントです。
研修内容は実施する教育団体によってさまざま
こうした体験を乗り越えることでマインドの変
だが、おおよそ次のようなテーマで講師による解
革や参加者同士の強い人脈構築も出来るという効
説と参加者同士のディスカッション、分析検討演
果を得られるのです。
習などが実施される。
いずれにしても期待効果が大きい反面、研修時
・現在の経営環境、
グローバルビジネスの分析
間と参加費用も大きいため、受講経験が社内で実
・マーケティング事例研究
践できる環境作りが整っていることや、研修のコ
・イノベーション戦略
ンテンツが新しく、自社の方向性と合っているこ
・海外事業戦略
となど、参加前の確認も必要でしょう。
・社内マネジメント など
以前バブルのころ、こうした研修に「タウン
ウォッチング」という街に出て、トレンドやマー
こうした異業種混合の研修は若手から経営者
ケットの動きを肌で体験するというものが行われ
向けまで様々な階層でプログラムが用意されて
ていました。
いますが、経営層向けでは 1 つのテーマが2~3
私はこの修羅場に、そうした体験型マーケット
日の研修で行われ、全カリキュラムが終了するま
分析があってもよいのではと思います。例えば
で数ヶ月から 1 年という長いスパンで実施される
クールジャパンといわれるアニメやアイドル産業
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21
diverse values
の視察や体験を AKB の握手会に行って、お酒や
だけに、修羅場体験を通じて時代のニーズも掴ん
車を所有しなくなった若者がどこで何に消費をし
で欲しいものです。
ているのか実態を見てみるのも面白いでしょう。
また政府が観光立国を目指している中で、海外
から見た日本の観光産業を分析したり、あと 5 年
後となった東京オリンピックにおける周辺産業の
ビジネス分析など、他流試合における今後の日本
を占う演習素材には事欠かない時代になってきた
young generation
「世界」
と向き合う
日本の若者は、
本当に内向きなのか?
村山 哲治 (むらやま てつじ)
東京ドアーズ / 人間力教育センター代表
人材教育会社で営業マンを経験したのち、教育コンサルタントとして独立。
1998 年社員教育と Web 制作・コンサルティングを行う東京ドアーズを設立し、
大手企業をはじめ有名 EC サイトの構築を行い Web コンサルタントとして全国
で講演活動も行う。
のバングラデシュ進出のコンサルタントをしてい
る私のところには、必然的に開発途上国に興味を
持つ学生が集まって来る。こうした縁から、現在バ
ングラデシュをフィールドに活動する適十塾と、
インドをフィールドに活動する SIBP というふた
つの学生団体の指導、監修に当たっているが、今回
のコラム執筆にあたり、この二つの学生団体を中
心に海外留学経験のある学生 2 名、現在留学中の
学生 2 名、これから留学する学生 2 名の計 6 名に
Writer 見山 謙一郎
インタビュー調査を行なった。ここでは、彼らの生
の声を紹介していきたいと思う。
「日本の若者は内向き思考」と言われて久しい
<インタビュー調査を行なった学生>
が、それは本当なのだろうか?
1.海外留学経験のある学生 2 名(男女各 1 名)
確かに、日本から海外への留学者数は 2004 年の
渡邉 真洋・立教大学⇒デンマークの大学
82,945 人をピークに減り続けているとは言うもの
畔柳 衿花・立教大学⇒ワシントン大学(米国)
の、2011 年の留学生数 57,501 人はバブル景気の
2.現在留学中の学生 2 名(男女各 1 名)
1986 年(14,297 人)から 1991 年(32,609 人)と比べ
那口 誠・早稲田大学⇒ダルエスサラーム大学
ると遥かに多い。我々のようなバブル世代やそれ
(タンザニア)
以前の世代の大人たちが、今の若者を一括りにし
田村 真由香・早稲田大学⇒コロンビア大学(米国)
て内向き思考云々と言うのは如何なものかという
3.これから留学する学生 2 名(男女各 1 名)
気もする。
ちなみに、海外への留学生が減少してい
篠塚 大樹・慶應義塾大学⇒メルボルン大学(豪州)
る要因としては、就職活動の影響や、米国への留学
稲葉 圭・立教大学⇒米国の大学
生の減少、中国、韓国の勢いに押されている等々、
様々な要因が取り沙汰されているが、これらは少
留学を「漠然」と考える
なからず大人たちの責任によるところもある。
まず、彼らの家庭環境を聞いてみた。
とは言え、こんなご時勢でも、海外に留学する若
「父の仕事の都合で、ロンドンで中学生時代を過
者は数多いる。
大学で教鞭をとりながら、日本企業
ごした(畔柳)」
22
MH February 2015
FEATURE
他流試合
に行っている場合じゃないと気
づいた(畔柳)」
「身近に留学経験のある先輩が
いて、具体的なアドバイスをくれ
たことが大きい(稲葉)」
「留学の動機が見えなくなった
とき、友人から「アフリカに行っ
ちゃえ」と言われて、途上国に関
心があり活動していた自分の動
機と留学とが繋がった(那口)」
「周りが留学していたことや、
平成 26 年 3 月 文部科学省集計資料
英 語 が 話 せ な い 自 分 を「 や ば
い!」と思った(渡邉)」
「幼少期をタイ、
インドで過ごした
(田村)
」
意外にも、「漠然」とした考えが「決意」に変わっ
「父や祖父に海外勤務経験があったことから、幼
た瞬間は、外圧的なものが多かった。何かを実際に
少期から海外の話題に接していた
(稲葉)
」
「体験」したり、自分でも出来ると「実感」したとき
このように、海外を身近に感じる家庭環境に
に、「漠然」とした留学が「自分ごと」として捉えら
育った学生もいたが、
両親に海外経験がなくても、
れるようになったということなのだろう。
「海外経験のない両親が留学をけしかけてきた
(那口)
」
「覚悟」を決める
「両親と一緒に美術館や博物館に行ったことや、
では、彼らは、どのように留学先(国)を選んだの
本を通じて海外に興味を持った
(篠塚)
」
だろうか?
「マンガ偉人伝で、世の中には色々な人がいると
「行ったことがない国(米国)を選んだ(畔柳)」
知った
(渡邉)
」
「未知の世界(タンザニア)に飛び込みたかった。
など、様々な情報に触れる中で、海外に関心を持
皆と同じことはしたくなかった(那口)」
つようになった学生もいた。
今の時代「海外」は日
「日本人が少なく、イメージの湧かない国(デン
常生活の中に普通に溶け込んでいる。要はそれを、
マーク)で 1 人挑戦したかった(渡邉)」
自分の興味・関心と結びつけられるか否かの違い
このように、未知の世界に飛び込みチャレンジ
なのだろう。
いずれにしても、
日常生活の中で、
「漠
したかった、と答えた学生がいた一方、
然」と留学を意識するようになったと答えた学生
「世界経済の中心(米国)で幼少期から興味が
が多かったことが印象的だった。
「漠然」と留学を
あった国際関係学、開発経済学を学びたかった(田
考えるだけの学生なら、相当数いるはずだ。
この点
村)
」
では、
彼らは普通の学生と変わらない。
「宗教や民族の違いに関心があり、多様性のある
環境(米国)で過ごしたかった(稲葉)」
留学を
「自分ごと」
として捉える
「議員インターンで政治に興味を持ち、
「義務投
次に、留学を「決意」したきっかけについて聞い
票制度(豪州)」に興味を持った(篠塚)」
てみた。
など、興味のある分野を極める為にはどこがよ
「バングラデシュに行き、アジアでの日本の存在
いか、という視点から留学先を決めた学生もいた。
感を知るとともに、伝えたいことが英語で伝えら
れないもどかしさを感じ、単位のためだけに大学
未知の世界に飛び込む“チャレンジ精神”と、関
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diverse values
心のある分野を極めたいという“知への探究心”
「海外で働くことがハードルではなく、ひとつの
は、その厳しさや現実と向き合う「覚悟」を決める
選択肢になればよい(篠塚)」
という点で共通している。
この「覚悟」がなければ、
「どんどん海外に出て、国籍に囚われず個人とし
漠然と考えていることが「決意」や「行動」に変化す
てチャレンジングな道を選択したい(渡邉)」
ることはない。
それ故、
このように、彼らの中には「海外(外向き)」と「日
「勉強量の多さに圧倒されたけど、今では自分の
本(内向き)」という線引きは存在せず、当たり前の
限界に挑戦できる生活が楽しい
(田村)
」
ように「世界」がある。
「様々なことにチャレンジできる環境が刺激的
で嬉しい
(那口)
」
「日本の若者は内向き思考」と憂う前に、こうし
など、
「覚悟」を決めた若者は、自分自身で決め
た学生の生の声に耳を傾け、「我々大人たちはど
たチャレンジを今、
満喫している。
うなのか?」、「我々は未来を担う若者たちに、ど
んな体験の場や環境を提供できるのか?」という
当たり前のように存在する
「世界」
と向き合う
ことを自問自答してみる必要性を強く感じた。
最後に、今後の働き方や生き方について聞いて
「日本の若者は、本当に内向きなのか?」この議
みた。
論は、若者ではなく、今の日本社会全体に向けられ
「海外で生活したいという気持ちは当たり前に
ているような気がする。
ある(畔柳)
」
「海外の大学院に進学したのち、インドで貧困問
題解決を目指して尽力したい
(田村)
」
「どの国で働くかはわからないが、最終的には日
本に自分の経験を還元したい
(稲葉)
」
見山 謙一郎 (みやま けんいちろう)
本誌編集委員
株式会社フィールド・デザイン・ネットワークス 代表取締役
次世代人財塾・適十塾 塾長、
多摩大学経営情報学部 非常勤講師
品を現地市場に合わせて展開することはマーケッ
market
ターの鉄則だった。この発想に基づいて、アメリカ
課題はグローカル
郷に入っては、
郷に従え ?!
食文化の象徴であるマクドナルドでさえ世界中で
売られている定番のビックマックと共に日本人消
費者のテイストに合わせて「テリヤキバーガー」
、
「月見バーガー」なども売り出していた。また、最
近日本にも注目されているオランダの家電メー
カー、フィリップス・エレクトロニクス・ジャパン
Writer エチエンヌ・バラール
は欧米で売られているヌードルメーカーを日本仕
様に販売するのにパスタだけではなくて、うどん、
そば、ラーメンなどを作るための使用変更やレシ
「郷に入っては、郷に従え」
。
日本市場に根付くの
ピを追加した。
に、この格言は長年、海外ブランドの成功の鍵だっ
このルールを守らなかった外資系の企業がいく
た。日本に限らず、その国の市場と消費者トレンド
つか痛い目に遭ったことも周知の通りだ。たとえ
を観察し、その特徴を良く理解してから自社の製
ば、大型店舗の香水専門店として世界中で発展し
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FEATURE
他流試合
ているフランスのセフォラ社が 1999 年に上陸を
ファッション性と価格でライバルと差を付けてい
挑んだが、この現地適合化ルールを守らなかった
るけれども、安価を維持するのに品質にこだわり
せいか、日本の女性消費者のコスメ文化をあまり
を見せない。その場で買った服をワンシーズンだ
にも無視したせいか、膨大な投資をした挙げ句、2
け楽しんで、次のシーズンにまた違うアイテムを
年足らずで後退せざるを得なかった。日本人女性
買ってもらえばいいのだ。
は欧米の女性より香水ではなくスキンケアを重視
この独自の販売戦略はどの国の ZARA 店舗に
していたからだ。同じく日本のスーパー流通に革
行っても同じで、迷うお客さんや、おなじみのモノ
命を起こそうと自信満々で進出していた仏カル
を探しているお客さんには向いていない。しかも、
フール社も、台湾や韓国などで成功したのにもか
ZARA の接客戦略も今までの日本のアパレル店に
かわらず、日本市場の特徴をうまく掴めず数年で
はあり得ないほどクールだ。出入り自由かのよう
日本から去ってしまった。
に ZARA の店舗に入っても店員から一声もかけ
グローバル企業にとって、自分のイメージや企
られない。陳列されている服や棚を数分間自由に
業理念を保ちながら、現地(ローカル)市場をどこ
うろうろしても、店員からは一切何も言われない。
まで尊重するべきかは永遠の課題である。
他のアパレル店ならば、お店に入った時点で客が
一方、興味深いことに、本国のビジネス・モデル
店員に常に観察され、もしくは余計なアドバイス
を全く変えずにそれでも日本で成功している外
などを提供される。こういう態度がお節介だと思
資系企業が最近目立っているのだ。思い浮かべる
う客にとっては ZARA が一番楽だと評価してい
例はスペインのアパレル大手 ZARA とスウェー
るが、日本の販売員教育と遙かに違う接客スタイ
デンの組み立て家具専門会社 IKEA。ファスト・
ルだ。でも、この「甘えんぼの日本消費者に優しく
ファッションの代名詞にもなっている ZARA が
ない ZARA」は、それでも「お客様が神様だ」の国で
マドリッド、パリ、ロンドン、東京、北京などの商業
成功しているのだ。それこそ他流試合の勝者だ。
一等地に豪華な店舗を設けて、そこでスペイン本
ZARA の接客スタイルと似ているもう一つの
社でデザイン且つ製造したアイテムを目まぐるし
ヨーロッパブランドは言うまでもなく IKEA だ。
いペースで世界中の店舗の棚に並べている。
日本では、購入した家具をお客さん自身が組み立
企画の段階で決められた製造点数を完売して
てなければいけないというのは前代未聞だった。
も、在庫が切れたら、そのアイテムを二度と作らな
さらに、IKEA の店舗に初めて足を運ぶ客が驚く
いと戦略的に決めている ZARA 流のやり方だ。お
ことは、ショールームで選んだ商品などを、自分で
店で気に入った服に出会ったら、即決で買わない
倉庫に入って自分でカートに積んで精算場まで運
と、もう二度と買うチャンスがないだろうと消費
んで、車に乗せなければいけない。この手間のかか
者たちの心理に働きかけ、安価につられて、ついつ
る買い方がバブル崩壊前ならば日本消費者に絶対
いその場で買ってしまう。
あり得なかっただろうが、デフレ・スパイラルに落
同業者のユニクロは違う戦略を選び、大量生産
ち込んだ時代には、丈夫で安い家具さえ買えるな
によって商品の品質と安価を確保している分、
らば、ワガママを言えない。そうやって IKEA は日
ファッション性に重きを置かない。でもユニクロ
本消費者のマインドを変えた。「郷に入って、郷を
ブランドのベーシックなスタイルをいつでも、ど
従わせた」だ。
の店舗でもほぼ確実に手に入れることが出来る
という安心感が消費者に働き、ブランド力を高め
た。逆に ZARA には「定番の」服、色、ジャンルと
かが全くない。その時のトレンド、その場での人
気カラー、形、柄などに絞り込んでいる ZARA は
エチエンヌ・バラール (Etienne Barral)
ジャーナリスト。1964 年フランス・パリ生まれ。1986 年に雑誌の特派員とし
て来日。以来東京に在住、日仏の雑誌で日本文化についての多くの連載などを
手がける。
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MARKETING
EYES
女性マーケター
の眼
女子力は永遠に不滅です!
平井美英子
㈱日本経済社
クリエーター
の眼
「仮面舞踏会」への招待状
水野直子
㈱読売広告社
山登りを始めて、
早6年。山頂だと10歳は若返る
(?)
どしゃぶりの雨の日、私はその招待状を持って鶯谷のキネ
という不思議な現象の元、「可愛い!」「山ガール!」 とお
マ倶楽部に赴いた。大正ロマンのオペラハウスを再現した
だてられ、
気をよくして続けている。上って下りるだけとい
という、元キャバレーの空間。新郎新婦ともに大学院時代
うシンプルさも自分に向いているようだ。
の友人の結婚式があったのだ。中に入ると、
1つの仮面が
確かに山ガールは増えている。最新アウトドアファッ
手渡された。きめ細やかな白いレースだが、
プラスチックのよ
ションに身を包んだ若い女子グループは、何とも華やか
うに軽く固く、
不思議な素材の仮面だ。聞くと3Dスキャンで、
で微笑ましく羨ましい。しかし、これが標高2000メート
1つ1つデザインを変えて作られたものだという。
ルを超えた辺りから様相は異なってくる。そこで幅をきか
そこで待っていたのは、舞台会場へと導いてくれる豚鼻
せているのは、ガールではなく、登山歴ウン十年の、山
の案内人と、お酒を注いでくれる猫娘たち。今まで体験した
女、山婆たちだ。身体の弛み、お尻の重さは隠せない
ことのない結婚式が開演した。薄暗くランプの光が美しく漂
ものの、脚力は衰えることなく、
ぐいぐいと私を抜き去っ
う舞台会場。仮面をつけた200人ほどの観客たち。オーケ
ていく様は、逞しく雄々しい。
ストラが奏でる妖艶なメロディ。優雅に舞う男女のバレエの
が、この山婆たちも最近少し変わってきたように見え
踊り子。
る。服装がイマドキっぽく可愛くなっている!お金に余裕
そこへ、舞台の袖の階段から新郎が新婦をエスコートしな
があるので装備にもこだわっている!そして、何より、たく
がら登場。曲に合わせ、ゆったりと華やかにワルツを踊る2
さんの山爺たちを引き連れてきている!白髪のおじさま達
人。2人を祝福するギターの歌い手や、日本舞踊の踊り子
に囲まれて、楽しそうに山を登る姿は、紛れもなく山ガー
たち。ケーキの代わりに入刀される巨大な骨つきの肉。ラス
ルだ!少女だ!山婆などと言った自分を反省することしか
トは全員で、見よう見まねでワルツを踊った…。
り…。
新郎は言った。「結婚式をやろうと考えたとき、自分たち
いつの時代も、いくつになっても女子は女子。女子
でゼロから創ろうと思ったけど、何故かやる気が起きませんで
いるところに男子あり。それが、
ファッションや道具の購
した。でも、今がんばっているアーティストや表現者たちが、
買、旅行機会の増加に繋がっているのだから、市場に
自分たちの作品を人々にお披露目できる場と考えたとき、こ
与える影響も絶大だ。
の結婚式をやる意味を見いだせました。そして、仮面をつけ
超高齢化が益々進む中、資金力のあるご婦人達に
た方が、皆さん恥ずかしがらずに、より話しかけやすくなると
は、
どんどん女子力を高め経済効果を発揮して欲しい。
考えました。私たちのこの仮面舞踏会が、皆さんの新しい
そして、そんな女子に選ばれるステキな紳士を目指して、
出会いの場になればと思ってます。」
男子力にも磨きをかけて欲しい。
谷中という下町に生き、人々の輪に生き、生かされている
新郎新婦。
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もうすぐ2014年の山シーズンも終了。自称山ガー
私が、広告をつくる意味とはなんだろうか? 誰のために、
ル
(本当は山婆かも)は、また今週末も頂上を目指しま
何のために、創っているのだろうか?また、
もう一度そんなこ
す。
とを考えて、今日も会社で終電を逃す。
ひらい・みえこ
株式会社日本経済社
コミュニケーションプランニング局 マーケティング第2部
マーケティング、プランニングを担当
みずの・なおこ
株式会社読売広告社
クリエイティブ局 アートディレクター/プランナー
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BOOKS
Editor's
Choice
Professor's
Choice
『専業主婦になりたい女たち』
『デュアル・ブランド戦略』
NB and/or PB
白河桃子 著、ポプラ新書
矢作敏行 編著、有斐閣
不透明感の強い経済環境である。そうした中で、新
小売業者はPB(プライベートブランド)開発を活発化
たな枠組みの中での女性の活用と、登用が声高に叫
させ、国内におけるPBの市場規模は3兆円に達したと
ばれている。声高に叫ばれるという事は、今の日本の
される。本書は、PBが消費者の生活に定着し、PB市場
スキームがそのようにはなっていない事の顕れでもあ
る。
未婚女子の約3割が専業主婦になりだがっている
と著者は説く。広がる専業主婦願望の実態と、専業
主婦という安定した「憧れの職業」
「フツウの幸せ」が
危険なものであることを様々な事例とデータにて実証
している。そして「いつかは専業主婦願望」の正体は
「いつかは養ってくれる男性が現れる」ことを信じてい
る事であると喝破している。
一度正社員を結婚や出産子育てで辞めてしまうと、
その後正社員として再就職できる人は4人に1人とい
とそれをめぐる企業の動向に強い関心が集まる中でのタ
イムリーな好著である。著者は、自社のNB(ナショナル
ブランド)に対する打撃になるにも関わらず、小売業者か
らPBを製造受託し、NBと並行してPBを製造する「デュ
アル・ブランド戦略」をとる消費財メーカーが増えつつあ
る現状を指摘する。こうした状況において、NBとPB間
における競争だけではなく、いかに両者を共存させていく
のかということが、特にメーカー側にとっては経営上の重
要課題となっている。
本書の内容は、欧米と国内のPBの歴史、
メーカーの
う。また、女性の就業率が上がったと言われているも
デュアル・ブランド戦略の実態、PB商品開発の新動向
のの、実態は65%の女性が非正規で働き、日本の既
から大きく構成されている。従来、PB戦略は小売業視
婚女性の年収はほぼ90万円から100万円に集中し
点から論じられることが多かったが、本書の最大の特色
ているという。明らかに大きなマリッジオポテュニティコ
は、小売業視点に加え、NB・PBを製造するメーカー視
ストが発生している現実を直視する必要があろう。働
点からブランド間競争に言及している点にある。実態把
き続ける事の重要性というものがクローズアップされて
握がほとんどされていなかったメーカーのPBへの対応戦
くる。
右肩上がりではない時代、
「養ってくれる男性」の
登場を待つ事ほど危険な事はないのかもしれない。単
なる幻想(現実逃避の青い鳥症候群)
を望むのではな
く、広い視野、また様々な考え方やデータを元に、自律
的な選択を行う必要があるのであろう。今の時代、一
部の人々を除いて男性も女性も「バリキャリ」から「ゆ
るキャリ」へと価値観の変化があるのは疑い得ないも
のであろう。
価値観の変化は唐突に生まれるものではない。
略が、聞き取り調査等をもとにした豊富な事例とともに丁
寧に紹介されており、デュアル・ブランド戦略の多様なパ
ターンを知る上で大変興味深い内容となっている。
著者は、NBとPBの共存可能性はブランド・ポジショ
ニングの調整にあるとし、共存のためにメーカーがとるべ
き戦略の方向性を提案する。また、PB製造受託はメー
カーにとって必ずしもマイナスではなく、小売業者との取
引安定化に加え、PBの供給がNBの開発力を向上させ
ることなど、いくつかのプラス効果があることを示す。
様々な環境要因から変化が生まれるものである。女性
小売業視点においても、PB開発の発展過程ととも
の働き方についても、大きな価値観の変化を持って考
に、先行研究から得られた知見もわかりやすく整理されて
える時が来ているようである。
おり、研究者にとってはPBに関わる研究テーマの参考
また、男性も、もっとしっかりと地に足を着けて幻想
として、実務家にとっては今後の意思決定の参考として
から目覚める時が訪れたのであろう。
是非手にとっていただきたい一冊である。
(株式会社明治 中島 聡)
(鹿児島国際大学 経済学部 講師 兼子良久)
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広告掲載会社
「マーケティングホライズン」編集委員
編集委員長
片平秀貴丸の内ブランドフォーラム
第一三共ヘルスケア㈱表4
編集委員(五十音順)
花王㈱表2
GMOリサーチ㈱ 表3
㈱インテージ
9
㈱テレビ朝日
12
㈱北海道新聞社
17
㈱東急エージェンシー
19
㈱電通
21
子安大輔㈱カゲン
松風里栄子㈱インターリテラシー
ツノダフミコ㈱ウエーブプラネット
中島聡㈱明治
中塚千恵東京ガス㈱
本荘修二本荘事務所
見山謙一郎㈱フィールド・デザイン・ネットワークス
吉田けえな㈱RBK
吉田就彦㈱ヒットコンテンツ研究所
エチエンヌ・バラールジャーナリスト
編集後記
今回は、他流試合という
に捉え嘆いてみても何も変わる事はない。先ずは、少
ものを様々な角度から考
し離れた所から俯瞰し、自らの立ち位置を冷静に見極
える号であった。
める必要があるだろう。何が足りないのか、何が強い
本年 1 月 8 日に日本銀
のか、そして自らの強みに他の何を組み合わせるのが
行が公表した「生活意識
良いのか。そのためには、他の人や企業の胸を借りるの
に関するアンケート調査」
が、最も近道なのではなかろうか。
(第 60 回)によると、景況
世阿弥の言葉に次のような言葉がある。「上手は下
感 に 関 し て は、2014 年 6
手の手本、下手は上手の手本」(第三問答条々)。全ての
月と 2014 年 12 月との比較の中では、15 ポイント程
ものに手本は存在すると同時に、慢心を戒める言葉で
の悪化となっている。また、1 年後の予想においても
ある。あらゆる所にイノベーションの種はある。決して
10 ポイント程悪化している。自らの収入、勤務先や自
慢心する事なく、辛抱、努力して研鑚してゆけば、いま
ら経営している店舗、商店街や繁華街の混み具合等か
の環境を決して恐れることはないのかもしれない。そ
らの意識である。まさに、生活者の実感からの数値と言
うすれば、高度成長の頃とは異なった次元での「坂の上
えよう。
の雲」が掴めるかもしれない。
日本が置かれた状況、自らが置かれた状況を悲観的
(中島 聡)
マーケティングホライズン 2号/ NO.679
2015年3月1日発行©
発行者:都丸幸弘 発行所:公益社団法人日本マーケティング協会 〒106 -0032東京都港区六本木3 -5 -27六本木YAMADAビル 9 F
TEL.03 -5575 -2101 FAX.03 -5575 -0626 http://www.jma-jp.org
定価:1部200円(送料別)
(購読料は会員費に含まれています) 印刷所:大日本印刷㈱
表紙ロゴ/柳沢光二 表紙デザイン・本文編集/松熊慎一郎
無断複写・転載を禁ず。
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