公共交通機関の利用推進とモビリティ・マネジメント

公共交通機関の利用推進とモビリティ・マネジメント
平成18年7月
国土交通省総合政策局
交通計画課長
佐々木
良
公共交通の現状
●乗合バス輸送人員
平成5年度
約62億人
→
平成16年度
約43億人 (0.69)
●鉄道輸送人員
平成5年度
約227億人
→
平成16年度
(0.96)
約218億人
→
平成16年度
約389億人(1.11)
※自家用自動車輸送人員
平成5年度
約349億人
1
鉄
道
廃止路線
(平成12年4月以降)
会社名
区間
黒崎駅前∼折尾
延長(km)
廃止日
種別
5.0
12.11.26
軌道
1.1
13.2.1
鉄道
20.4
13.4.1
鉄道
18.0
13.4.1
鉄道
1
西日本鉄道(株)
北九州線
2
小田急電鉄(株)
向ヶ丘遊園モノレール線
向ヶ丘遊園∼向ヶ丘遊園正門
3
のと鉄道(株)
(西日本旅客鉄道(株))
七尾線
4
下北交通(株)
下北∼大畑
5
福島臨海鉄道(株)
宮下∼小名浜埠頭
1.2
13.10.1
鉄道
6
名古屋鉄道(株)
揖斐線
黒野∼本揖斐
5.6
13.10.1
鉄道
7
名古屋鉄道(株)
谷汲線
黒野∼谷汲
11.2
13.10.1
鉄道
8
名古屋鉄道(株)
八百津線
7.3
13.10.1
鉄道
9
名古屋鉄道(株)
竹鼻線
江吉良∼大須
6.7
13.10.1
鉄道
10
長野電鉄(株)
河東線
信州中野∼木島
12.9
14.4.1
鉄道
11
南海電気鉄道(株)
(和歌山県)
和歌山港∼水軒
2.6
14.5.26
鉄道
12
南部縦貫鉄道(株)
野辺地∼七戸
20.9
14.8.1
鉄道
13
新潟臨海鉄道(株)
太郎代線
5.4
14.10.1
鉄道
穴水∼輪島
明智∼八百津
黒山∼太郎代
2
14
京福電気鉄道(株)
永平寺線
6.2
14.10.21
鉄道
15
ドリーム開発(株)
大船∼ドリームランド
5.3
15.9.18
鉄道
16
西日本旅客鉄道(株)
可部線
可部∼三段峡
46.2
15.12.1
鉄道
17
名古屋鉄道(株)
三河線
碧南∼吉良吉田
16.4
16.4.1
鉄道
18
名古屋鉄道(株)
三河線
猿投∼西中金
8.6
16.4.1
鉄道
19
名古屋鉄道(株)
楫斐線
忠節∼黒野
12.7
17.4.1
鉄道
20
のと鉄道(株)
能登線
穴水∼蛸島
61.0
17.4.1
鉄道
21
日立電鉄(株)
日立電鉄線
常北太田∼鮎川
18.1
17.4.1
鉄道
22
名古屋鉄道(株)
岐阜市内線
岐阜駅前∼忠節
3.7
17.4.1
軌道
23
名古屋鉄道(株)
美濃町線
徹明町∼関
18.8
17.4.1
軌道
24
名古屋鉄道(株)
田神線
田神∼競輪場前
1.4
17.4.1
軌道
25
伊豆箱根鉄道(株)
駒ヶ岳鋼索線
駒ヶ岳登り口∼駒ヶ岳山頂
0.7
17.9.1
鉄道
26
北海道ちほく高原鉄道(株)
ふるさと銀河線
140.0
18.4.21
鉄道
合
計
東古寺∼永平寺
池田∼北見
457.4
3
廃止の届出等をしている路線(平成18年6月30日現在)
会社名
区間
廃止予定日
種別
0.8
18.7.1
鉄道
7.4
18.10
軌道
1
屋島登山鉄道(株)
鋼索線
2
桃花台新交通(株)
名鉄小牧線接続
3
神岡鉄道(株)
奥飛騨温泉口∼猪谷
19.9
18.12
鉄道
4
鹿島鉄道(株)
石岡∼鉾田間
27.2
19.3.31
鉄道
5
栗原電鉄(株)
石越∼細倉マインパーク前
25.7
19.3.31
鉄道
6
西日本鉄道(株)
宮地岳線
9.9
19.4.1
鉄道
合
計
屋島登山口∼屋島山上
延長
(km)
西鉄新宮∼津屋崎間
90.9
4
廃止の意向を明確に表明している路線(平成18年6月30日現在)
会社名
区間
1
三木鉄道
厄神∼三木
2
高千穂鉄道
延岡∼高千穂
合
計
延長
(km)
廃止予定日
種別
6.6
H18中に
方針決定
鉄道
50.0
未定
鉄道
56.6
5
新規開通路線(平成12年4月以降)
会社名
区間
延長
(km)
運輸開始日
種別
1
東京都
国立競技場∼新宿
2.1
12.4.20
鉄道
2
北総開発鉄道(株)
(都市基盤整備公団)
印西牧の原∼印旛日本医大
3.8
12.7.22
鉄道
3
帝都高速度交通営団
南北線
目黒∼溜池山王
5.7
12.9.26
鉄道
4
東京都
三田線
目黒∼白金高輪
2.3
12.9.26
鉄道
5
東京都
三田線
白金高輪∼三田
1.7
12.9.26
鉄道
6
筑豊電気鉄道(株)
(西日本鉄道(株))
黒崎駅前∼熊西
0.6
12.11.26
鉄道
7
東京都
大江戸線
都庁前∼国立競技場
25.7
12.12.12
鉄道
8
名古屋ガイドウェイバス(株)
志段味線
大曽根∼小幡緑地
6.5
13.3.23
軌道
9
埼玉高速鉄道(株)
赤羽岩淵∼浦和美園
14.6
13.3.28
鉄道
10
東京臨海高速鉄道(株)
りんかい線
東京テレポート∼天王洲アイル
2.9
13.3.31
鉄道
11
(株)舞浜リゾートライン
リゾートゲートウェイステーション
∼リゾートゲートウェイステーション
5.0
13.7.27
鉄道
12
神戸市
海岸線
7.9
13.7.7
鉄道
13
芝山鉄道(株)
東成田∼芝山千代田
2.2
14.10.27
鉄道
三宮・花時計∼新長田
6
14
東京臨海高速鉄道(株)
りんかい線
天王洲アイル∼大崎
4.4
14.12.1
鉄道
15
帝都高速度交通営団
半蔵門線
水天宮前∼押上
6.0
15.3.19
鉄道
16
名古屋市
(上飯田連絡線(株))
上飯田線
上飯田∼平安通
0.8
15.3.27
鉄道
17
沖縄都市モノレール(株)
那覇空港∼首里
12.9
15.8.10
軌道
18
名古屋市
名城線
砂田橋∼名古屋大学
4.5
15.12.13
鉄道
19
名古屋市
名城線
名古屋大学∼新端橋
5.6
16.10.6
鉄道
20
名古屋臨海高速鉄道(株)
名古屋∼金城ふ頭
15.2
16.10.6
鉄道
21
京都市
東西線
2.4
16.11.26
鉄道
22
東京モノレール(株)
羽田空港第1ビル
∼羽田空港第2ビル
0.9
16.12.1
鉄道
23
名古屋鉄道(株)
(中部国際空港連絡鉄道(株))
空港線
常滑∼中部国際空港
4.2
17.1.29
鉄道
24
福岡市
七隈線
橋本∼天神南
12.0
17.2.3
鉄道
25
愛知高速交通(株)
東部丘陵線
8.9
17.3.6
軌道
26
首都圏新都市鉄道(株)
つくばエクスプレス
秋葉原∼つくば
58.3
17.8.24
鉄道
合
計
六地蔵∼醍醐
藤が丘∼万博八草
217.1
7
公共交通衰退の原因
• モータリゼーションの進展
• 車中心のライフスタイルへの変化
• 郊外ショッピングセンターの出現と駅前商店街
の衰退
• 交通事業者の努力不足
8
公共交通は必要
• 高齢社会
高齢化率は急激に上昇
(2000年
• 地球温暖化問題
17.3%
→
2040年
33.2%)
CO2総排出量のうち、運輸部門の
排出量は21%、その約9割が自動
車からの排出量
• 地域再生、中心市街地の空洞化 等
上記課題の解決のため公共交通の維持・改
善が必要
9
温室効果ガスの排出抑制・吸収の量の目標
温室効果ガスの排出抑制・吸収の量の目標
1990年
区 分
1.温室効果ガスの排出量
エネルギー起源CO2
産業部門
運輸部門
民生部門
家庭部門
業務その他部門
エネルギー転換部門
代替フロン等3ガス
非エネルギー起源CO2、メタ
ン、N2O
2.森林吸収源対策
3.その他(京都メカニズム)
百万t-CO2
(a)
2003年
百万t-CO2
(b)
1237
1048
476
217
273
129
144
82
50
1339
1188
478
260
366
170
196
86
26
139
125
2010年
部門毎の基
準年比
(b-a)/a
(b/a)
13.4%
0.4%
19.8%
34.1%
31.8%
36.1%
4.9%
百万t-CO2
(c)
1231
1056
435
250
302
137
165
69
51
123
計+8 .3 %
部門毎の基
基準年総排
準年比
出量比
(c-a)/a
(c/a)
0.8%
-8.6%
15.1%
10.7%
6.0%
15.0%
-16.1%
-0.5%
0.6%
0.1%
-1.2%
-3.9%
(-1.6%)
計-6%
1%=12,370千t
10
運輸部門における二酸化炭素排出量の推移
運輸部門における二酸化炭素排出量の推移
二酸化炭素排出量
2003年度
(百万t-CO2)
300
-3.1%
268
%
+23.6
2010年目標
19.8
%増
260
250
250
217
1997年度以降、運輸部門からの排出量は
抑制傾向を示している。
+4.4%
200
自動車グリーン化税制の効果
・低公害車登録台数は約968万台
(2005年3月末現在)
%
+43.5
自家用乗用車
・モーダルシフト
・物流の効率化
・公共交通機関
利用促進
150
+15.8%
公共交通機関等
•トラックの営自転換の進展
(トラック全体の輸送量に占める営業用
トラックの割合 1997年度→2003年度で
77.2%→85.2%)
-3.3%
100
等が急務
自家用自動車が1990年度比で49.8%増
50
+8.4%
貨物自動車
-12.0%
自家用乗用車からの排出増加要因
•輸送量の増加
•走行距離の増加
0
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
公共交通機関等:バス、タクシー、鉄道、旅客船、内航海運、国内航空
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
11
運輸部門における地球温暖化対策
環境と経済の両立を目指し、自主的取り組み、インセンティブ付与、規制措置、新技術の開発・導入等により推進。
自動車交通対策
自動車単体対策及び
自動車単体対策及び
走行形態の環境配慮化
走行形態の環境配慮化
道路整備
道路整備
交通流対策
交通流対策
従来から進めてきてい
る施策であり、2010年
のCO2排出量算定の
前提
510万t-CO
510万t-CO2 2
(320)
(320)
820万t-CO
2
820万t-CO
2
(※)
(−)
(※)
(−)
・クリーンエネルギー自動車を含む低公害車の
普及促進
・エコドライブの普及促進等
・サルファーフリー燃料、バイオ燃料の導入
渋滞対策等
・渋滞の緩和、解消による自動車走行速度の
向上を通じ、CO2排出を削減
・幹線道路ネットワークの整備、ボトル
ネック対策
運輸部門
運輸部門2,450万t削減
2,450万t削減
(※) トップランナー基準による削減量
については、これまでに実現した分
を含めて 2,100万t-CO2削減
環境負荷の小さい交通体系の構築
物流の効率化
物流の効率化
840万t-CO
840万t-CO2 2
・鉄道、海運の利用促進
・自動車輸送の効率化(トラックの営自転換、大型
化、積載率の向上等)
・国際貨物の陸上輸送距離削減
公共交通機関の
公共交通機関の
利用促進等
利用促進等
280万t-CO2
280万t-CO2
・鉄道等新線の整備
・既存鉄道・バスの利用促進
・通勤交通マネジメント 等
12
単位当たり二酸化炭素排出量の比較(平成14年度)
173
自家用乗用車
55
営業用バス
47
自家用バス
113
航空
鉄道
0
18
50
100
150
200
(g−CO2/人キロ)
注:人間1人を1キロ輸送することによって排出される二酸化炭素の重量を比較した。
13
公共交通利用の推進に関する関係者のパートナーシップの強化
従来の取組み
新たな取組み
公共交通機関の利便性向上に向けた
交通事業者の取組みが中心
企業サイドとの連携等従来にない新しいアプローチ
による公共交通利用推進等の取組みの出現
交通事業者
企
業
連 携
低公害車等による
カーシェアリングの利
用推進
通勤交通マネジメント
鉄道の高速化・近代化
バスロケーションシステムの導入等
共通ICカードの導入
行
政
公共交通の利用に関連する
環境マネジメントへの取組み
従業員等への啓発活動
四者のパートナーシップ
による活動を強化
観光施設等と交通事業者
とのタイアップ
(シャトルバス、買物割引等)
利用者
交通事業者・企業等の
取組み(モデル事業等)への支援
公共交通の利用推進等に関
する各種活動の強化
企業、利用者等への啓発活動
全国・各地域に「公共交通利用推進等マネジメント協議会」を設置
公共交通機関の
整備等と連携 14
公共交通利用推進等マネジメント協議会について
人流分野におけるCO2排出削減に向けた取組みの新たな展開
京都議定書の発効 (平成17年2月)
京都議定書目標達成計画の策定(〃4月)
省エネ法改正(平成17年10月)
(企業による公共交通利用推進の努力義務)
公共交通利用推進等マネジメント協議会
(行政(国土交通省・経済産業省)、交通事業者、経済界等から成る協議会を全国・地方に設置)
中央マネジメント協議会
第1回
平成17年3月23日
地方マネジメント協議会
北海道
東北
第2回
第3回
第4回
平成17年7月13日
平成18年2月21日
平成18年5月29日
3回(H17.8.30, H17.1130, H18.4.20)
3回(H.17.5.26, H18.3.14, H18.5.12)
北陸信越
2回(H.17.7.29, H18.5.21)
関東
2回 (H.17.6.14, H18.5.19)
中部
3回 (H.17.6.29, H18.3.10, H18.5.19)
近畿
3回 (H17.7.4, H18.3.7, H18.5.19)
中国
3回 (H.17.5.24, H18.2.21,H18.5.21)
四国
3回 (H17.7.29, H18.3.16, H18.5.21)
九州
3回 (H.17.5.31, H18.2.17, H18.5.16)
沖縄
2回 (H.17.5.30, H18.5.12)
15
○
京都議定書目標達成計画(平成17年4月28日閣議決定)(抄)
第2節 地球温暖化対策及び施策
1.温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対策・施策
(1)温室効果ガスの排出削減対策・施策
① エネルギー起源二酸化炭素
ア.省CO2型の地域・都市構造や社会経済システムの形成
b.省CO2型交通システムのデザイン
○ 公共交通機関の利用促進
鉄道新線、中量軌道システム、LRT等の公共交通機関の整備や、ICカードの導入
等情報化の推進、乗り継ぎ改善、パークアンドライド等によるサービス・利便性の向上
を引き続き図るとともに、シームレスな公共交通の実現に向けた取組を推進する。
また、これらと連携した事業者による通勤交通マネジメント、低公害車等によるカー
シェアリングの実施等の主体的な取組の促進、国民への啓発活動により、旅客交通にお
いて自家用乗用車から鉄道・バス等の公共交通機関への利用転換を促進する。さらに、
このような事業者による主体的な取組を推進するため、全国レベル及び地方レベルにお
いて交通事業者、経済界等から成る協議会を立ち上げ、具体的な取組を進めていく。
16
○
エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律
(平成17年8月10日法律第93号)(抄)
第70条 事業者は、基本方針の定めるところに留意して、その従業員の通勤
における公共交通機関の利用の推進その他の措置を適確に実施することにより、
輸送に係るエネルギーの使用の合理化に資するよう努めなければならない。
17
公共交通機関の利用促進に関する支援事業
自家用自動車の使用を抑制し公共交通機関への転換・利用を促進する先進性、
モデル性、政策性のある取組みを支援(NEDO「民生部門等地球温暖化対
策実証モデル評価事業を活用)
モデル事業
省エネルギー効果の高い実証モデルを設定し、当該モデルの省エネルギー効果及びトラ
ンスファー可能性を評価するためのデータの収集及び解析を行う事業(補助率:1/2
補助金額上限:1億円)
FS事業
構想段階でありシミュレーション調査等を行うことにより、具体の事業化提案を行う事
業(補助率:定額 補助金上限:2千万円)
18
具体的には、地方公共団体、民間団体等複数の実施主体が共同して実施する以下のよ
うな事業に対して支援
●バス事業者、カーシェアリング事業者、商店街の連携によるエコポイントを活用し
た公共交通利用促進事業
●自治体、バス事業者、大学が連携した、自転車シェアリング、BDF燃料を利用し
たデマンドバスの運行、大学構内の駐車場利用抑制による通学におけるマイカー利用
抑制事業
●自治体、バス事業者、企業の連携による、バス系統番号整理、通勤者等住民に対す
るモビリティ・マネジメントの実施、バス利用者への景品付与等による公共交通利用
促進事業
●自治体、企業、バス事業者の連携による共同通勤バスの運行実験とTFPやセミ
ナー等の普及啓発活動を組み合わせた公共交通利用促進事業 等
19
自民党地域公共交通小委員会提言
平成18年6月
メンバー
委
委
員
長
渡辺
喜美
員
赤澤
木村
髙木
葉梨
宮澤
吉田
荒井
岩城
伊達
若林
亮正
隆秀
毅
康弘
洋一
六左エ門
正吾
光英
忠一
正俊
中島
啓雄
事務局長
石崎
北村
土屋
船田
盛山
渡辺
泉
木村
藤野
岳
誠吾
正忠
元
正仁
具能
信也
仁
公孝
石田 真敏
佐藤
勉
中野 正志
三ッ矢 憲生
山本 有二
岩井 國臣
末松 信介
山内 俊夫
20
検討経緯
第1回(平成17年7月28日)
「地域公共交通小委員会の設立趣旨」
「今後の進め方について」
「地域公共交通の現状と課題について」(国土交通省)
第2回(平成17年10月5日)
「地域公共交通の現状、利用促進・再生方策について」(大東文化大学今城教授、東京海洋大
学寺田教授)
第3回(平成17年10月14日)
「地域公共交通の現状、利用促進・再生方策について」(三岐鉄道、神奈川中央交通)
第4回(平成17年10月26日)
「地域公共交通の現状、利用促進・再生方策について」(日本民営鉄道協会、日本バス協会)
第5回(平成17年11月1日)
「地域公共交通の現状、利用促進・再生方策について」(JR北海道、JR四国、JR九州)
第6回(平成17年11月10日)
「欧米の地域公共交通政策について」(中島議員)
「中間とりまとめについて」
21
第7回(平成18年2月8日)
「平成18年度地域公共交通関係予算について」(国土交通省)
「PTPS(公共車両優先システム)について」(警察庁)
第8回(平成18年2月22日)
「新世代交通システムの概要等について」(慶応大学鬼頭講師、トヨタ自動車)
第9回(平成18年3月8日)
「地域公共交通の活性化事例についてヒアリング」(上田電鉄、上毛電鉄)
第10回(平成18年3月29日)
「バスの活性化事例についてヒアリング」(土屋議員、関東バス、名古屋ガイドウェイバス、浜
松市)
第11回(平成18年4月12日)
「路面電車の活性化事例について」(富山市長、広島電鉄)
第12回(平成18年4月26日)
「モビリティマネジメントについて−自動車と公共交通の「かしこい」使い方を考えるための交
通施策−」(東京工業大学藤井教授、京都府)
22
第13回(平成18年5月17日)
「BRT・LRT等の海外事例について」(横浜国立大学中村教授)
「地域公共交通の活性化・欧米の事例から」(中島議員)
第14回(平成18年5月24日)
「熊本電鉄のLRT計画について」(熊本電鉄)
「次世代公共交通システムの導入について」(木村議員)
「四国地域の鉄道等の活性化計画について」(JR四国)
第15回(平成18年6月7日)
「地域公共交通小委員会提言(案)骨子」について
第16回(平成18年6月13日)
「地域公共交通小委員会提言(案)」について
23
1.交通機関相互の連携、乗継の円滑化
これまでの地域公共交通は、利用の減少に伴う縮小・廃止・再生策等に関して、それぞれ
の事業者個々の問題として処理されがちであったが、今後は地域の総合的なまちづくり、交
通計画の一環として、交通事業者と地域の自治体・住民が協働して、移動の起点から終点ま
でシームレス(継ぎ目なし)で使いやすい交通システムを創る視点、既存の道路・交通関係
資産を有効活用する視点が肝要である。
そのため、交通結節点における乗継円滑化のための設備改善(同一ホーム乗換、乗換距離
短縮)、高齢者・身障者・ベビーカーにも配慮したバリアフリー・ユニバーサルデザイン、
駐車・駐輪場設置(Park and Ride、Bike and Ride)、路面電車と鉄道との直通運転、基幹
的交通手段(鉄軌道・幹線バス)とフィーダー(支線バス、乗合タクシー、自転車道、歩道
など)システムの構築、接続ダイヤの改善などを推進すべきである。
併せて、ICT、衛星技術など最新の科学技術を応用して、路線案内・運行情報表示、交通機
関相互の情報共有化・総合運行管理システム化、共通カード・共通運賃化などを指向すべき
である。
*ユニバーサルデザイン:障害者に使いやすいバリアフリーの概念をさらに拡大し、高齢者・障害者・乳幼児を問わず、
言語の違いにも配慮した設計・デザイン。
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2.
各交通機関の活性化・再生、新しい交通システム
各交通機関においても、新しい技術やノウハウを取り入れ、利用者本位の速くて確実で便利で快
適、かつコストが安く環境にも優しい交通機関へと脱皮しなければならない。そのためには、次の
ような施策が求められる。
鉄道・・・複線化、行き違い設備設置、短絡線建設、電化、重軌条化、新駅設置、駅舎改良、省エネ・ICT化新
車投入等による高速化、運行本数増と快適さの向上、新幹線から在来線に直通するフリーゲージトレイン(軌間
可変電車)導入。
軌道・路面電車・・・低床・バリアフリー・省エネ設計の新車(LRV、Light Rail Vehicle)投入、ユニバー
サルデザイン、屋根付きの快適な停留所、優先信号による高速・定時性確保、等の機能を備えたライトレール=
LRT(Light Rail Transit)化。
バス・タクシー・・・路線バス等専用・優先レーン、PTPS(公共車両優先システム)、屋根付きの快適な停留
所、高速・定時・高頻度サービス、清潔・快適・低床ノンステップ・広幅ドア車両、時間のかからない運賃収受
システム、運行情報表示・運行管理等の情報システムを備えた新しい快速バスシステムBRT(Bus Rapid Transit)
によるバスの復権。乗合タクシー、デマンドバス・タクシーなど新しい中・小人数輸送システム。
*バスの利用者減、特に鉄道を廃止しバスに転換した場合、利用客が50%以上減少する例が多い。これは在来方式のバスが定時・高
速・快適なサービスに欠けるためであろう。
*バスの総走行時間のうち、交差点停止20%、乗降23%、道路混雑5%で実走行時間は52%(ロサンゼルス郡交通局調べ)。
*BRT化によりラスベガスでは所要時分47%減、乗客30%増。
新世代交通システム・・・ガイドウェイ、ICT技術を利用した自動運転・ソフト連結運転(非接触連結、数両
編成で走行)、軌道・道路併用車両、温暖化対策、コストダウンのための様々な技術を応用したシステム。
公共交通の再生・経営改善・・・地域における公共交通維持のため、鉄軌道の上下分離方式(線路等基礎施
設の公的部門による建設・保守と民営による運行)、交通結節点・駐車駐輪場整備、公営交通事業の民営化・業務
委託、高齢社員の再雇用、低利融資、欧米並みの維持方策の検討、生活交通対策への早期取組みの促進などの公
的支援、再生支援。
25
3.
地域・まちづくりとの連携、自家用自動車から公共交通機関利用へ
「マイカー本位のまちづくり」から「人間本位のまちづくり」への考え方の下、公共交通、
自転車、歩行者、身障者、ベビーカーに配慮した「まちづくり」が求められる。
自家用車通勤から公共交通利用への転換促進(モビリティマネジメント)、人口減少・高
齢化に備えてスプロール(外延)化した都市構造からコンパクトで中心市街地機能の充実し
た都市構造への変革、人に優しい中心市街地のトランジットモール(公共交通機関以外の車
の乗入れを制限した街区)化、地域の規模や機能に応じて適切な交通手段を組合せた新しい
ビジネスモデルの構築など、社会的には必要であるが企業としての採算は成り立たない部分
への国・地方の適切な関与・支援と交通事業者の自助努力が望まれる。
そのためには、国、自治体、地域住民、NPO、交通事業者のコンセンサスに基づく、地域住
民にとって便利で利用しやすい総合的な公共交通システムづくりが必要であり、地域におけ
る協議会の設置など総合的な交通計画を樹立し推進する仕組みが求められる。
国は、地域交通活性化に積極的に取組む自治体と協働して総合的な交通計画策定を行なう
とともに、公共交通システムの総合的な体系化、先進的な取組事例のデータベース化などに
より検討を支援することが望まれる。
4.
安全・安心・防災
安全・安心は交通事業者にとっても利用者にとっても必須の要件である。事業者側にお
ける安全・安心意識の徹底とともに運転・保安設備強化、災害復旧・大規模施設取替等へ
の国の適切な指導と支援が求められる。
26
5.行財政・税制上の措置
地域の公共交通の活性化・再生は高齢者・児童生徒など交通弱者への地域の足として重
要であるだけでなく、自動車の利用者にとっても交通渋滞の緩和、交通事故の減少、温室効
果ガスの減少など様々なメリットがあおり、準公共財としての性格を有する公共交通機関の
整備のための財政、税制上の措置を充実・強化することが望まれる。検討中の道路特定財源
の見直しに際しては、公共交通維持・活性化、人間本位の道路・街路づくりのため特段の配
慮を期待したい。
また、地方独自の課税、地方債の起債・特にLRT整備の起債対象化、PFI方式、PPP方式な
どによる公共交通整備、JR三島の経営安定基金対策も検討すべきである。
さらに、新しい交通システム等導入のための調査、技術開発、各種規制の見直しなどを積
極的に推進する行財政上の措置が求められる。
*準公共財:消費における排除不可能性と非競合性という性質をもつ財は純粋公共財と呼ばれる。国防、外交などが典型で
市場に任せておけば供給されない。公共交通機関は排除可能ではあるが空いていれば誰でも利用できる(非競合性)
ので市場に任せると供給不足となる準公共財の性質を有する。
*PFI:Private Finance Initiative、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力、技術を活用して行な
う仕組み。
*PPP:Public Private Partnership、公的施設の建設、サービスの提供を公民共同して行うことにより、施設の有効活用や
民間ノウハウを公にも応用しようとするもの。
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富山港線LRT化事業に対する支援
○北陸新幹線整備と富山駅周辺における鉄道の高架化の機会を捉え、JR富山港線
(全長8km)をLRT化し、併せて新駅の設置、運行ダイヤの増発などのサービ
スレベルの向上を図ることにより、富山市北部地域と富山駅を結ぶ利便性の高い都
市内公共交通機関として再生する。 (平成18年4月29日開業)
1.事業概要
○総事業費:約58億円
○事業期間:平成17年度
○事業主体:富山市:路面電車走行空間の道路整備(約8億円)
富山ライトレール㈱:軌道、電気・信号、車両基地等の整備、車両の購
入(約50億円)
○路 線 長:約7.6km【軌道区間約1.1km(新設)、鉄道区間約6.5km】
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2.支援概要
幹線鉄道等活性化事業
(事業費:約20百万円 国費約4百万円)
○バスとの乗継円滑化
連続立体交差事業負担金 約33億円
○JR線をLRT化するために必要な施設の整備
(低床式車両、電気・信号設備、停留場の切下げ等)
LRTシステム整備費補助
(事業費:約7億円 国費:約1.7億円)
○低床式車両(LRV)の導入
○新駅の整備
○制振レールの導入
○ICカードシステム
(新駅)犬島新町
(新駅)粟島
路面電車走行空間改築事業
(事業費:約8億円 国費:約4億円)
○走行路面・路盤の整備
○停留場の整備
(新駅)インテック本社前
JR北 陸 本 線
(新駅)富山駅北
軌道新設(1.1km)
(新駅)奥田中学校前
富山駅
鉄道区間の廃止
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富山港線LRT化事業に関連した取組み
○JR富山港線のLRT化と併せて、運行ダイヤの増発等の利便性向上や市民参加
による支援体制の推進のための取組が行われている。
1.開業による利便性の向上
●運行本数
132本/日(←38本/日)( )内は、JR富山港線時
●始終発
富山駅北 5:57−23:15(←5:47−21:32)
岩瀬浜
5:30−22:42(←6:11−21:56)
●運行間隔
朝ラッシュ時
10分ヘッド(←30分ヘッド)
昼間・夕ラッシュ時 15分ヘッド(←ほぼ60分ヘッド)
早朝・夜間
30分ヘッド(←ほぼ60分ヘッド)
●運賃
普通運賃 大人200円、小人100円 均一制運賃
(←大人140∼200円 対キロ制運賃)
※新たに時間割引運賃やICカードの導入も行う。
●バスとの乗継円滑化
岩瀬浜駅において、同一レベルでの乗継ぎを実現
(幹線鉄道等活性化事業により支援)
ノンステップバス
LRT
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2.市民参加による支援体制の推進等
●電停内ベンチの記念寄付の募集
ベンチに寄付者の氏名や企業名及び記念メッセージを刻んだ金属プレートを設置
●電停内広告の募集
電停内に地域のシンボルや伝統等を紹介するスペースを設け、スポンサーのロゴ社名を掲載
●新電停の名称の募集(ネーミングライツ)
新たに設置する電停の命名権を販売
●富山港線路面電車事業助成基金の創設
施設の維持・修繕・改良などの費用を支援するための基金を創設し、市民や事業所等からの
寄付を募集
3.利用状況
総乗客数:20万4百人(4/29(開業日)∼5/31)
一日平均:6073人(
〃
)
(参考)旧JR富山港線の利用者
平成17年10月 平日:2266人 休日:1045人
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BRT (Bus Rapid Transit)(ブラジル・クリチバ)
1974年
南北交通軸整備
1980年
東西交通軸整備、全市域料金均一化
1992年
3重連接バス(270人乗り)導入
チューブ型停留所
○ターミナルの停留所(20カ所)では停留所の入り口で運賃支払い
→乗降時間短縮
○バリアフリー(プラットホームとバスの乗降口が同じ高さ)
○路線数
235
○1日当たり利用者数
171万3千人
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藤沢西北部地域における新しいバスシステムの導入
◆導入路線:「湘南台駅西口」∼「慶応大学」∼「獺郷・宮原・打戻地区循環バス」
◆ツインライナー導入台数:4台(平成16年度2台、平成17年度2台)
◆ふじみ号導入台数:2台
◆運行方法:ツインライナーは急行運転、ふじみ号・通常バスは各停運行
【運行路線イメージ】
自宅の近く:
フィーダー(支線)バス
32人乗り
129人乗り
=:ツインライナー
―:ふじみ号
… 通常バス
通常バス路線:通常バス&ツインライナー
PTPS(公共車両優先システム)を強化
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シームレスな交通機関の概要
ガイドウェイバス
IMTS
デュアルモードビークル
(Intelligent Multimode Transit System)
(DMV)
○ 専用道はコンピューターの自動
制御により無人で自動運転・隊列
走行を実施
○ 通常のバス車両を利用した新交
通システム
○ 車両の前後輪付近に取り付け
た案内装置の誘導で専用軌道を走
行
○ 通常のバスとして専用軌道以外
の道路も走行可能
○ 2001年3月に初の実用路線とし
て名古屋市にガイドウェイバス志段
味線が開業
○ 一般道路は通常のバスと同様
に有人でのマニュアル単独走行を
実施
○ 道路から鉄道への乗入れを可
能とする特殊な構造の車輪を備え、
「モードインターチェンジ」という走
行モード変換装置を介して、道路か
ら線路内に進入
○ 2005年の愛・地球博会場内で
期間限定ではあるが、初の営業運
転を実施
○ 線路内は鉄道用の車輪により
走行するが、道路用後部タイヤが
線路に接し駆動する仕組み
○ JR北海道が試験運転中
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