平成 25 年度 林業グループ活動・研究事例集 全林研会長賞 山 形 県 朝日町愛林会 所在地 山形県西村山郡朝日町 設 立 昭和47年6月 会 員 男10人 年 齢 53歳∼ 72歳 平均58歳 主なプロジェクト ◆ 次世代へ町の森林を身近に感じながら林業の大切さを知ってもらう 今まで頑張ってきた人から これから頑張っていただく人へのたすきリレー 1.地域の概要 当会が活動する朝日町は、山形県の中央部に位置し、磐梯・朝日国立公園 の主峰大朝日岳の東縁山麓地域にあります。朝日町の総面積の約 77% を国立 公園や原生林野が占める自然環境の豊かな町です。 (林野面積の内訳:民有 林 6,015m²、国有林 8,385m²) 町の南西部に連なる、東北のアルプスともいわれる朝日連峰は、日本でも まれな原始的景観が残っている地域で、日本で一番面積の広い 「生態系保護 地域」になっており、ブナの原生林などの豊かな自然資源に恵まれておりま す。このように、豊かな自然と澄み切った空気に包まれたブナの森には世界 でも珍しい 「空気神社」が建立され祀られています。 また、気温日較差や寒暖差の大きい気候が、果樹栽培に適した土地でもあ り、なかでも 「りんご」は朝日町の代名詞ともいえる果樹のひとつであり、県 内でも有数の産地になっています。 2.朝日町愛林会の概要 朝日町愛林会は、林業に関する知識と技術の習得、及び経営の改善に努め 1 ると共に、会員相互の連帯意識の向上を図り、あわせて地域林業の発展に寄 与することを目的に、昭和 47 年 6 月に朝日町在住の 15 名の会員で発足しま した。現在は、50 代から 60 代までの 10 名が会員として活動しています。 会員それぞれ本業で忙しい中ですが、林業関係の研修会・各種イベントへ の参加や技術講習開催などを実施しています。 3.事業内容 平成 24 年度は、若い世代の人たちに森林での作業や林業体験を通じて、町 の森林を身近に感じながら、森林の管理や林業について理解してもらうこと を目的に取り組みました。 ① 山形大学農学部の学生と森林環境についてのハイレベルな技術及び意見交換 ② 木材(杉)に親しんでもらおう ③ 森林整備 ④ 技術講習 ⑤ 林業まつりへの参加 4.具体的内容 ① 山形大学農学部の学生と森林環境についてのハイレベルな技術及び意見 交換(平成 24 年 8 月実施 参加学生 10 名) ナラ枯病の予防液の注入 ナラ枯れ病でナラ林が枯れた場合、次世代の林はどうなるのか?プロッ ト調査 ブナの人工林生育調査(40a) 森林でのナラ枯れ予防作業や林業体験を通じて、ふるさとの森林を身近 に感じてもらいながら、森林管理の大切さや林業について理解を深めても らうことができました。また学生たちのプロット調査などの知識や技術と、 会員の蓄積された経験を交換できる場となり、大変有意義な取組みとなり ました。 2 ② 木材(杉)に親しんでもらおう(平成 24 年 11 月実施) 踏み台作成 マイはし作り 朝日町建設総合組合の協力を得なが ら、会員が山から伐り出した原木を製材 し、75 セットの踏み台キットを作成し ました。そのキットは朝日町産業まつり において、もの作り体験として来場者よ り組み立ててもらいました。会員の指導 のもと、共同作業で満足のいく踏み台が 出来上がり、木のぬくもりや道具を使う楽しさを体験してもらうことができ ました。また、気軽に親しんでもらえるようマイはし作りも同時に実施し、 子どもたちにとても喜ばれました。 ③ 森林整備 ボランティアで、町内にある豊龍公園の下刈りを毎年実施しています。 地域の方々の憩いの場として親しんでもらっています。 ④ 技術講習 きのこの菌打ち 町内にある小学校へきのこの菌打ち体験の講師として出向き、子どもたち に実践してもらいながら森林への理解を深めてもらっています。ほとんどの 子どもたちがはじめての体験ですが、慣れてくるととても夢中になって取り 組んでくれます。 3 ⑤ 林業まつりへの参加 会員の情報収集や交流を深めるため、毎年参加をしています。会の活動を 検討する上でも参考にしています。 5.事業成果 各活動を通して、参加した方々が興味を持って楽しんでくれるたことで、 愛林会の存在や活動内容を理解してもらうことができました。 6.今後の抱負 次世代の会員の加入が喫緊の課題ではありますが、新たな林業経営を模索 しながら問題をひとつずつ解決できるように今後も活動を続けていきたいと 思います。 フォレスターネット 2015 4
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