インタラクティブな博物館がもつ可能性 A Study on Possibilities of Interactive Museums 1DS04174R 萱田森人 KAYATA Morito 本研究の背景 多くの日本の博物館は、予算削減よる経営難や、魅力不足 のために、 来館者の確保が非常に困難になってしまっている。 け、スタンプを使ったり、自分たちで絵を描いたりして、美 術館内で切符を買って郵送できるようにした。38500 枚もの 絵葉書が送られ、71000 人の人が来館した。 しかし一部には多くの人をひきつける魅力的な博物館も存在 イギリス、シェフィールドのウェストンパークミュージア している。有名作品を数多く集めることが成功の術なのだろ ムには一つとして有名作家の作品は置いていない。しかし、 うか、大英博物館のようにありとあらゆる収蔵物があればい 全7部屋全てにインタラクティブな作品が設置してあり、全 いのだろうか。 ての部屋で楽しみながら学べる仕組みが整っている。 本研究は、成功する要因の一つとして、観客を引き付ける 魅力を持ったインタラクティビティに注目し、従来のただ展 インタラクティブな試み:国内の事例 示する博物館のイメージから脱却し、来館者との対話が行え ここでは九州国立博物館と金沢21世紀美術館を取り上げ る「インタラクティブな博物館」の研究を行う。そしてこの る。九州国立博物館には「あじっぱ」という各国の文化を実 仕組みが持つ可能性を主軸に博物館が抱える問題点や、それ 際にその手で触ったり、遊んだりすることで、学習すること を取り巻いている環境を研究し、日本の博物館の未来の姿、 ができるインタラクティブな施設がある。 現状打開の方法を探ることが本研究のテーマである。 金沢21世紀美術館には数多くのインタラクティブな作品 が設置してある。その代表としては、下図「レアンドロのプ 博物館の役割・目的 博物館は、博物館法に記されている、教養、調査研究、レ ール」は外から見ると水中に人が立っているように見える。 有料の館内に入場すると、このプールに入れる。 クリエーションという3項目を主眼に運営されなければいけ ない。 その中でも特にレクリエーションの分野に注目したい。 これは本研究のなかでメインテーマになっているインタラク ティブな博物館という考えと合致する。 インタラクティブな試み:海外の事例 ヴィクトリア&アルバートミュージアムでは様々な面白い 試みが行われていて、来館者がこの博物館を紹介するために はどういった写真を博物館内で撮って、どのようなコメント を付けるかといったような試みが行われた。 「レアンドロのプール」 現状発生している諸問題 近年導入された独立行政法人化や指定医者管理者制度は、 博物館を経営主義に走らせる傾向があるなどの弊害を抱えて いる。また日本にとっての博物館という存在が、他国とは違 う場合があったり、ボランティアという概念も相違し、他の 国に比べて、博物館の周りの一部の環境は厳しいものとなっ ている。 「ゴーイングラフィック」 結論 多様な種類があるインタラクティブな仕組みだが、それら デンバー美術館では「サージェントとイタリア」という展 を効果的に使うことが出来れば、子供だけではなく、幅広い 示が行われたとき、 来館者の友人にも展示を見に来るように、 世代の人々の興味をひきつけることが可能であり、博物館が 来館者に呼びかけてメッセージを作ってもらうという事を行 来館者に提供する従来の一方通行のものではなく、お互いが った。絵葉書を作ってもらい、展示室にある色鉛筆で色をつ コミュニケーションできる博物館が実現可能である。
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