フルオレセイン標識 M30サイトデス

フルオレセイン標識 M30サイトデス M30 CytoDEATH, Fluorescein
ヒトサイトケラチン18のカスパーゼ分解産物の検出用、フルオレセイン標識マウスモノクローナル抗体(クローン M30)
Cat No. 2 156 857 250テスト(100μl)
Ver. 6.0
1. 製品の概要
形 状
緑色の溶液(100μl)
抗体はタンパク質の存在で安定化されています。
特 長
利 点
簡便
特 徴
使用しやすい標準的なプロトコール。明瞭な結果に
より、アポトーシス細胞が最も簡単に正常細胞から
判別できます。
ア ポ トー シ ス カスパーゼが切断したサイトケラチン18を検出:カ
を簡単に検出 スパーゼ活性は最も初期のアポトーシスの、マーカ
ーの一つです。
パ ラ フィ ン 包 ルーチン的に固定された組織サンプルに有用。過去
埋組織に有用 に溯る研究が可能です。
経 済 的 で 簡 単 培養細胞への二次試薬が必要ありません。
な取り扱い
抗体のタイプ
クローン M30、マウス IgG2b
特異性
・抗体は細胞骨格タンパク質であるヒトサイトケラチン18(CK18)の、カ
スパーゼに切断されたフォルマリン抵抗性エピトープと結合します。
・M30抗体の免疫反応は、アポトーシス細胞の原形質に限定されます。
・高度に増殖中の細胞の核抗原との、非特異的な交叉反応性が見られ
ます。
2. 背景情報
アポトーシスでのカスパーゼの機能
アポトーシスは、自己を組織的に破壊する、内在性の自殺機構にお
けるプロセスです。それは、細胞内タンパク質の切断を通じて進行し
ます。このプロセスを仲介するプロテアーゼはカスパーゼ(Cysteinyl
-asparatic acid proteases)と呼ばれています。カスパーゼは、様々
なアポトーシス誘導剤により活性化される、前駆酵素として発現しま
す。いったん活性化されると、一つのカスパーゼが、カスパーゼのカ
スケード活性化を開始します。
調 製
モノクローナル抗体(moAb)を得るために、Balb-c-マウス に
CK18関連ペプチドを注射します。
最初の腹腔内注射の8週間後に、Balb-c-マウスの脾臓細胞を P3
-X63-Ag8.635ミエローマ細胞と融合させます。陽性ハイブリドー
マを限界希釈でクローン化します。ハイブリドーマの上澄を、ビオチ
ン標識ペプチドとの反応性によりスクリーニングします。免疫染色に
より、生細胞でもネクローシス細胞でもない培養細胞と反応する抗体
を産生する、ハイブリドーマ細胞株の一つが得られました(No. 30)。
詳細な研究は、moAb が特異的にアポトーシス上皮細胞と反応する
事を示しました。
アポトーシスの検出における技術
サイトケラチン、特にサイトケラチン No. 18はアポトーシスの初期
イベントで影響を受けます。M30サイトデス抗体は正常細胞の CK18
は検出せず、CK18のカスパーゼ特異的切断部位を認識します。それ
ゆえ、M30サイトデスは単一細胞や組織におけるもっとも初期のアポ
トーシスの決定に有用で信頼性のあるツールです。
抗体の精製 抗体は硫安沈殿とその後のイオン交換クロマトグラフィーにより精
製されました。フルオレセインで標識し、ゲルろ過で精製された後、
10 mM リン酸ナトリウム、100 mM NaCl、0.5% BSA(w/v)、0.01%
メチルイソチアゾロン(MIT)
(v/v)、pH 7.0に希釈されました。
3. 操作法と必要な材料
3. 1 細胞の免疫蛍光やフローサイトメトリーの操作法
アプリケーション
・免疫細胞化学
・フローサイトメトリー
・免疫組織化学
・パラフィン包埋組織切片(二次増幅試薬が必要)
・凍結切片
その他の必要な試薬
・PBS(製品番号1 666 789)
・メタノール
・Tween 20(製品番号1 332 465)
・BSA
ワーキング溶液の調製
以下の表には免疫蛍光やフローサイトメトリーに必要な追加のワー
キング溶液が記載されています。
ワーキング溶液
アプリケーションには、抗体ストック溶液をインキュベーションバ
ッファーで1:250に希釈します。
溶 液
組 成
保存 / 安定性
洗浄バッファー 0.1 % の Tween 2-8℃で4週間
20を含む PBS
インキュベーシ 1 % の BSA と 2-8℃で4週間
ョンバッファー 0.1 % の Tween
20を含む PBS
保存 / 安定性
ストック溶液は、2~8℃でラベルの有効期限まで安定です。
注:凍結融解の繰返しは避けてください。
品質管理
抗体は細胞モデル(HeLa 細胞を TNF-α / アクチノマイシン D 処
理)を使用して機能試験されています。
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使 用
洗浄ステップ
抗体ワーキング
溶液の調製
抗体ワーキング溶液の調製
抗体ストック溶液をインキュベーションバッファーで1:250に希釈
します。
注:抗体溶液には沈殿があってはいけません。必要なら、溶液を使用
前に高速で遠心します。
抗体ワーキング溶液の調製
抗体ストック溶液をインキュベーションバッファーで1:250に希釈
します。
注:抗体溶液には沈殿があってはいけません。必要なら、溶液を使用
前に高速遠心してください。
プロトコール
サンプル材料の調製
免疫組織化学のプロトコールを始める前に、以下の表に記載されて
いる通りに、パラフィン包埋組織切片を脱パラフィンしてください。
注:この操作法の間、切片を乾燥させてはいけません。
ステップ
アクション
1
PBS で細胞を洗浄します。
2
-15~-25℃で30分間、氷冷の純粋エタノールで固定し
ます。
3
細胞を洗浄バッファーで2回洗浄します。
4
・洗浄バッファーを除去します。
・15~25℃で60分間、100μl の M30サイトデスワーキン
グ溶液でインキュベートします。
5
細胞を洗浄バッファーで2回洗浄します。
6
…を使用する場合: こうします:
ステップ
アクション
1
パラフィン包埋切片をインキュベーター中に37℃でオー
バーナイト静置します。
2
フォルマリン固定、パラフィン包埋組織切片を脱パラフ
ィンします:
・キシロールのコプリンジャーを2個(2-5分)
・エタノールのコプリンジャーを2個(96%、浸漬30回)
・エタノールのコプリンジャーを1個(70%、浸漬30回)
・メタノール /H2O(3%)
のコプリンジャーを1個、15~
2
25℃で10分
3
再蒸留水で10分間リンス。
蛍光顕微鏡
スライド上で細胞を実験します。
フ ロ ー サ イ ト メ ト 細胞を 0.5ml の PBS で希釈し、分
リー
析まで暗所で保存します。
3. 2 免疫組織化学の操作法
3. 2. 1 始める前に
はじめに
以下の操作法は、免疫組織化学での M30サイトデスを使用したア
ポトーシスの検出について記載しています(パラフィン包埋組織)。
他の検出法やサンプル材料を使用する場合、条件を変更し、至適化
する必要があります。
注:フルオレセイン標識 M30サイトデスの蛍光強度は、蛍光顕微鏡
で組織中のアポトーシス細胞を直接観察するには適していません。
シグナルは、POD 標識抗フルオレセイン(TUNEL POD)と、発色
基質である AEC あるいは DAB との組み合わせによる二次標識で増
強されます。
3. 2. 2 免疫組織化学のプロトコール
プロトコール
抗原の回復のために、以下に記述されたプロトコールに正確に従っ
てください。
ステップ
アクション
1
・クエン酸バッファーを750 Wの電子レンジで沸騰する
までインキュベーションします。
・組織切片をスライドラックに静置し、熱したクエン酸
バッファー中に入れます。溶液が沸騰するまで、電子
レンジをオン(750W)にします。
・溶液が沸騰したら、電子レンジの設定を“Keep warm”
(約100W)に変更します。
・この設定で15分間インキュベートします。
注:至適な形態のためには、切片の下に泡ができないよ
うに沸点の少し下に溶液を保つ事をお勧めします。
2
溶液を15~25℃で5分間おき、クールダウンします。
3
PBS 中で3回洗浄し、別の PBS のジャーで2分間インキュ
ベートします。
4
15~25℃で10分間、インキュベーションバッファーで切
片を覆います。
5
インキュベーションバッファーを取り除き、100μl の抗
体ワーキング溶液を湿式のチャンバー内で15~25℃で1時
間加えます。
6
洗浄バッファーでスライドを洗浄します(3個のジャーを
使用し、各ジャーで30回浸漬します)。
7
・調製品を50-100μl の TUNEL POD で覆います。
・湿式のチャンバー内で37℃、30分間インキュベートし
ます。
8
スライドを洗浄バッファーで洗浄します(3個のジャーを
使用し、各ジャーで30回浸漬します)。
9
スライドを用時調製した基質溶液(DAB あるいは AEC)
で、15~25℃で明瞭な色の展開が見えるまで(1-5分)イ
ンキュベーションします。陰性コントロールは、このイ
ンキュベーション時間でいかなる色の展開も観察されて
はいけません。
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再蒸留水中で、数回リンスする事で反応を停止します。
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最後に Harries のヘマトキシリンなどで切片をカウンタ
ー染色(短時間の浸漬)し、切片を封入します(Kaysers の
グリシンゲラチンなど)。
その他の必要な試薬
・TUNEL POD(製品番号1 772 465)
・DAB 基質(製品番号1 718 096)あるいは
・AEC
・PBS(製品番号1 666 789)
・Tween 20(製品番号1 332 465)
・BSA
・Harries マトキシリン
・Kaysers グリセリンゲラチン
・クエン酸
・NaOH、1 N
ワーキング溶液の調製
以下の表には免疫組織化学に必要な追加のワーキング溶液が記載さ
れています。
溶 液
組 成
保存安定性
洗浄バッファー 0.1 % の Tween 2-8℃で4週間
20を含む PBS
インキュベーシ 1 % の BSA と 2-8℃で4週間
ョンバッファー 0.1 % の Tween
20を含む PBS
クエン酸バッフ 2 g/l の ク エ ン 2-8℃で4週間
ァー
酸、pH 6、1 N
NaOH で調製
使 用
洗浄ステップ
抗体ワーキング
溶液の調製やブ
ロッキングステ
ップ
抗原の回復
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4. 結 果
免疫組織化学
アポトーシス細胞は原形質の内側に広範囲に染色されます。顆粒構
造が、アポトーシスの後期相に観察されます。
CK18の保存されたアポトーシス断片の染色が、血管内部に観察さ
れる事があります。
マクロファージはそのアポトーシス細胞やアポトーシス小体の貧食
作用により、陽性染色を見せる事があります。
核の染色が観察された場合、これはアポトーシスに関連せず、高度
に増殖している組織に時々見られます(培養細胞では決して観察され
ません)。 この非特異的な染色を減少させるために、抗体を十分希
釈して使用してください。
5. 2 参考文献
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Keratin 18 and Reorganization of Intermediate Filaments during Epithelial
Cell Apoptosis. J. Cell Bio l., 138, 1379-1394.
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cytokeratin 18 epitope exposed during early apoptosis. J. Patholog y, 5,
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P., Oh, J., and Henderson, D.(2001). Antitumor Synergy of CV787,
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7 Roy, H. K., Karoski, W. J., Ratashak, A., Smyrk, T. C. (2001).
Chemoprevention of intestinal tumorigenesis by nabumetone: induction of
apoptosis and Bcl-2 downregulation. British Journal of Cancer Vol. 84, No.
10, 1412-1416, May 1, 2001.
フローサイトメトリー
以下の図は、フルオレセイン標識 M30サイトデスで染色後の、正
常およびアポトーシス HeLa 細胞分析の典型的なヒストグラムを示し
ています。
図:HeLa 細胞は、10 ng/ml の TNF- αと5μg/ml のアクチノマイシン D で、
37℃で3時間処理され、アポトーシスが誘導された。処理の後、細胞は
3.2.2の操作法に従い、フルオレセイン標識 M30サイトデスで染色された。
点線 = 正常細胞のヒストグラム
実線 = アポトーシス細胞のヒストグラム
マーカー M1で分析された細胞がアポトーシス細胞である。
5. 付 記
5. 1 トラブルシューティングの表
問 題
非特異的染色(核の
染色)
ラベリングインデッ
クスが高すぎる
バックグランドが高
すぎる
シグナルが無いか弱い
原因の可能性
抗体濃度が高すぎる
推 奨
濃度を下げる。
抗体濃度が高すぎる
濃度を下げる。
洗浄ステップが短すぎる PBS/Tween 20 を 各
5 分間、2 回行う。
不適切なインキュベー インキュベーション
ション時間と温度
時間が適切か確認す
る。 す べ て の 試 薬 が
使用前に適切な温度
になっているか確認
する。
サイトケラチン 18 の 特定のサンプル中の、
発現が弱いか無い
サイトケラチン 18 の
発 現のコントロールと
して、CHEMICON よ
り供 給 されて いる 抗
サイトケラチン No.18
(MAB3404)を使用す
る事が可能である。
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