平成 20 年 6 月号 沖縄地方梅雨入りのニュースを聞きながらこの事務所便りを作っています。今年もジメジメジトジト嫌な季 節がやってきました(>_<) 梅雨が明ければいよいよ夏ですね。今年の夏は海に行けるかな? --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 注目を集める「キャリア形成促進助成金」 ◆4月から制度改正 キャリア形成促進助成金制度とは、企業内における 労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その 雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職 業訓練や職業能力評価の実施、またキャリア・コンサ ルティングの機会の確保を行う事業主に対して助成さ れる制度です。 2008 年度4月よりこの制度が改正され、にわかに注 目を集めています。 ◆助成率の引上げと対象者の拡充 今回の改正の主な目的は、職業訓練等を実施する にあたり費用面の負担が大きい中小企業に対する支 援の強化、および職業能力形成機会に恵まれない者 を新たに有期雇用に雇い入れ有期実習型による組合 せ訓練を実施する事業主への支援です。 まず、専門的な訓練への助成率が3分の1から2分 の 1(中小企業)へと引き上げられました。併せて、認 定実習併用職業訓練への助成率も中小企業が3分の 1から2分の1、大企業は4分の1から3分の1へと、そ れぞれ引き上げられました。 対象者も拡充され、短時間等労働者への訓練に対 する助成および認定実習併用職業訓練に対する助成 について、それぞれ、雇用保険被保険者だけでなくこ れから雇用保険者になろうとする者もその範囲となり ました。また、新たな制度として、正社員になるには当 該有期実習型訓練を受講することが適切であり、職業 能力形成機会に恵まれなかった者として、キャリア・コ ンサルタントが認めた者を対象とした有期実習型訓練 に対する助成も実施されることとなりました。 ◆活用のための注意点 上記の助成金制度を活用するためには、様々な条 件を満たしている必要があります。代表的なものとし ては、「雇用保険の適用事業主であること」、「職業能 力開発推進者を選任・届出していること」、「労働組合 等の意見を聴いて計画を作成し労働者に周知してい ること」「過去2年間の労働保険料滞納や過去3年間 の助成金の不正受給がないこと」等があります。 また、「職業能力開発休暇を与える場合は、その期 間中に労働協約または就業規則に定めた賃金を支払 っていること」や「事業主命令による職業訓練について は、通常の賃金を支払っていること」も定められていま す。短時間労働者に対する訓練では「正社員への転 換を行うこと」も条件となります。 訓練内容に関しては、あくまでも労働者個人のキャ リア形成促進に役立つものが対象です。一般的なマ ナー研修や新入社員研修、また OJT で実施するもの 等は対象になりませんので注意が必要です。 未成年者をアルバイトなどで雇う場合の注意点 ◆雇用に関するトラブルに注意! 人材難と言われる昨今、高校生などの年少者や未 成年者のアルバイト等は、貴重な労働力となっていま す。しかし、社会的経験の浅い年少者や未成年者の 雇用はトラブルにつながりやすい危険性もあります。 採用の際や労働に関して、どのようなことに注意し なければならないのでしょうか。 ◆親の許可が必要なのか? ある会社からの質問で、「高校生のアルバイトを採 用するにあたり、履歴書の親権者の署名捺印欄が空 白ですが、何か問題があるでしょうか?」という相談が ありました。 未成年者の雇用についてはまず、労働基準法第 58 条第1項 の「親権者又は後見人は、未成年者に代っ て労働契約を締結してはならない」といった部分が思 い浮かびます。また、賃金についても、未成年者であ っても独立して受け取ることができます。そう考えると、 特に親権者の承認が必要とは考えにくいものです。 しかし、労働基準法第 58 条第2項では、「親権者若 しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者 に不利であると認める場合においては、将来に向って これを解除することができる」とあります。また。民法 第5条第1項では「未成年者が法律行為をするには、 その法定代理人の同意を得なければならない」とあり、 そして第2項では「前項の規定に反する法律行為は、 取り消すことができる」とあります。つまり、親権者(法 定代理人)の同意がない労働契約は、親権者によって 取り消す(結果として、突然アルバイトを辞めてしまい 会社に迷惑がかかる)ことがあり得るのです。したが って、履歴書の親権者の署名捺印は、トラブル防止の ためにも記入してもらい、親権者の同意を得ておいた ほうがよいでしょう。 ◆年齢を証明する書面、身元保証人 また、年少者(18 歳未満)の場合、年齢を証明する 書面(住民票記載事項証明書など)を、事業場に備え 付ける必要があります。また、万一の際のトラブル防 止に備え、身元保証人をつける(できれば複数)ことも 大切です。併せて身元保証人の連絡先も把握してお き、万一の際に連絡できる体制を作っておいたほうが よいでしょう。 ◆その他の注意点 他に注意するポイントとしては、年少者はほとんどの 変形労働時間制(例外あり)や午後 10 時以降の業務 等も禁止されており、注意が必要です。そして、未成 年者の場合、特に注意しなくてはならないのが、飲酒 や喫煙です。飲酒や喫煙が発覚した際にどのような処 置をとるかといったことは、労働契約時に書面および 口頭でしっかり確認しておくことが望ましいでしょう。 査開始以来、最も高い数字とのことです。 ◆「3年以内に辞める!」 これに対し、カシオ計算機が 25 歳の会社員を対象 にインターネット上で行った調査(596 人が回答)で、3 年以内に今いる会社を辞めようと思っている若手会社 員が約4割いることが明らかになりました。「定年まで 辞めない」と回答した人はわずか 12%だったそうです。 調査の仕方や回答者数が異なるため、上記2つの調 査結果を単純に比較することはできないかもしれませ んが、新入社員の意識と数年働いた社員の意識とで は、かなり異なってくるということでしょうか。 あなたの会社の若手社員は、「今の会社に定年ま で!」「3年以内に辞める!」どちらの考え方が多いで しょうか? ◆上司とのコミュニケーション また、日本能率協会が新入社員を対象に行った意 識調査(1,334 人が回答)では、「上司との人間関係構 築のために有効だと思うこと」(複数回答)という問い に対して、上位から「飲み会への参加」(89%)、「社員 旅行」(70%)、「運動会」(50%)という結果が出たそう です。社員旅行や運動会を行う企業は以前と比べると 少なくなっていると思いますが、社内コミュニケーショ ンを図るために、これらを復活させる動きも一部の企 業であるようです。 問題噴出の「後期高齢者医療制度」 ◆低所得なのに保険料増!? 後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に関するマス コミ報道が跡を絶ちません。 厚生労働省は当初、「低所得者は保険料負担が軽く なる」と説明してきましたが、国民健康保険(国保)から 移行した低所得の夫婦世帯の多くで、保険料負担が 増えている可能性が高いことが明らかになりました。 これまで同省は、全国の市町村の8割が採用してい る算定方式を用いた試算により、同制度の保険料は 国保のときよりも減ると説明していましたが、この算定 方式が適用されるのは国保の加入者数で見ると5割 に満たないことから、試算方法を見直すほか、市区町 村ごとの実態調査を実施するようです。 若手社員はどんなことを考えているのか? ◆「今の会社に定年まで!」 社会経済生産性本部が今年入社した新入社員を対 象に行った意識調査(約 2,700 人が回答)で、「今の会 社に一生勤めようと思っている」と回答した人が5割近 く(47.1%)もいたそうです。この数字は 1990 年の調 ◆1万 2,000 人に新保険証が届かない 保険証の問題も深刻です。厚生労働省は、新たな 保険証が届いていない高齢者が5月1日の時点で約1 万 2,000 人いることを発表しました。 転居の届出をしていないために行方がわからなくな っている人も多いそうで、同省では、未着の場合には 引き続き古い保険証や免許証で医療が受けられるよ うに医療機関に要請するとしていますが、すべての保 険証が届くのはまだまだ先のことのようです。 ◆障害者が事実上「強制加入」 寝たきりなどの理由から障害者と認定された人が後 期高齢者医療制度に加入しないと医療費補助を打ち 切る措置をとっている自治体があることもわかってい ます。この措置をとっているのは 10 道県(北海道、青 森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島、福岡) で、任意とされているはずの障害者の加入が「事実上 強制となっている」との批判が起きつつあるようです。 ◆保険料は7年後に4割増! 厚生労働省は、本人負担の保険料が7年後には約4 割も増えると試算しています。現役世代の負担が大き くならないよう、高齢者の負担割合を引き上げるのが その理由であり、2008 年度は年額 6 万 1,000 円の保 険料が 2015 年度には約 39%増の 8 万 5,000 円にな ると見込まれています。 今国会に提出されている主な労働関係改正法案 ◆中小企業にも障害者雇用納付金を義務化 障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用 促進法)の一部を改正する法律案が提出されていま す。 主な内容は、現在は障害者の雇用者数が法定雇用 率(1.8%)に満たない従業員「301 人以上」企業に課さ れている納付金の支払義務を、順次「201 人以上」、 「101 人以上」の企業へも拡大するという内容です。ま た、障害者雇用義務の対象となる労働者に、週の労働 時間が 20 時間以上 30 時間未満の「短時間労働者」も 追加されることとされています。 この法案が可決されれば、2009 年4月1日の施行 予定です。ただし、納付金支払義務が課される企業の 拡大については、「201人以上」へは2010年7月、「101 人以上」へは 2015 年7月とされています。 ◆労働基準法の改正案 月の時間外労働が一定の時間を超えた場合に、高 い割増賃金率を適用することなどを内容とする労働基 準法の一部改正案も国会で審議中です。主な内容は 以下の通りです。 ・月の時間外労働時間が 45 時間を超え 80 時間まで の場合の割増賃金率については、2割5分以上の 率で労使協定で定める率とする(努力義務)。 ・月の時間外労働時間が 80 時間を超えた場合の割増 賃金については、5割増とする。 6月の税務と労務の手続[提出先・納付先] 10 日 ○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局 または銀行] ○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に 採用した労働者がいる場合> [公共職業安定所] ○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に 一括有期事業を開始している場合> [労働基準監督署] 30 日 ○ 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第 1 期分 >[郵便局または銀行] ○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行] ○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険 事務所] ○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告 書の提出[公共職業安定所] ~編集後記~ 最近はお蔭様で、色んなところから助成金に関するご質問を頂くようになりました。そういう時によく思うのです が、制度を知っている人と知らない人で差が出てしまうような現在の行政のPR活動には疑問を感じざるを得ませ ん。助成金、社会保険制度等は生活にとても密接している部分でもありますので、もっと利用者の事を考えて周知や 改正に取り組んで欲しいものです。 飲食店、美容院、歯科医院等の開業支 援なら専門家ネットワークにお任せ下 さい(相互リンク募集中)
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