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移動体通信等に用いられるアダプティブアレーアンテナに関する技術

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Ⅱ-6.標準技術調査
「移動体通信等に用いられるアダプティブアレーアンテナに関する技術」
Systematization of Adaptive Array Antennas and Related Technologies
キーワード
Key Words
アダプティブアレーアンテナ,要素技術,体系化,樹形図
Adaptive Array Antenna, Essential Technology, Systematization,
Tree Diagram
1.調査の目的
特許庁では、論文、Web ページ等の非特許文献に記載された標準的技術を収集・整理し、標準技
術集として公開している。この標準技術集は、特許審査の際の資料として効率的な審査に貢献するとと
もに、これを公開することにより、出願人または産業界にとっても事前調査の一助となる。
移動体通信等に用いられるアダプティブアレーアンテナ(AAA)は、アンテナ素子、高周波(RF)回路、
信号処理等の広範な技術領域に跨った複雑・高度なシステムであり、論文等の有用な非特許文献が
数多く存在する。そこで、AAA に関する技術の体系的整理を目的として、非特許文献に記載された最
近の技術を収集し、標準技術集を作成した。
なお、本調査は、特許庁からの委託により実施したものである。
2.調査研究成果概要
(1)アダプティブアレーアンテナ(AAA)とは
AAA は、一般的には図 1 に示すように、信号処理によって指向性を適応的に制御し、所望の方向に
主ビーム(最大放射方向を含むビーム)を向けるとともに不要方向にヌル(指向性の不感点)を形成する
機能を備えたアンテナと認識されている。しかしながら、例えばマルチパス1環境において、不要なマル
チパス波間で相殺するような処理を行う場合には、ヌルが形成されな
所望波
干渉波
くとも、それらを抑圧することが可能である。
したがって本調査においては AAA を、ヌルの形成の有無にかかわ
らず、伝搬環境に応じて空間フィルタリング特性を適応的に制御す
ることにより、所望波を補足し、かつ干渉波を抑圧するアンテナとい
う、より広い概念で捉えている。
放射パターン
(2)AAA の構成と動作
AAA は、大きく分けると、複数のアンテナ(素子アンテナ)を規則的
図1 指向性の適応制御
に配列したアンテナ部(アレーアンテナ)、RF 回路部(給
電回路、増幅器等)、信号処理部で構成される。図 2 のア
アンテナ部
・ ・ ・
クティブアレー型2の構成例では、各素子アンテナで受信
校
された各々の信号は、RF 回路部での増幅や周波数変換
RF回路
RF回路部
正
等を経て、信号処理部において適切な重
ビーム形成/
み付けが行われた上で合成され、出力さ
ウェイト制御
信号処理部
空間フィルタリング
れる。この適切な重み付けを行って合成
入力/出力
する信号処理が、ビーム形成/空間フィ
ルタリングを実現する。送信用 AAA では、
図2 AAAの基本的構成例(アクティブアレー型の場合)
1 送信された電波は建物や山などの障害物により反射・回折して複数の異なる経路を伝搬するため、同じ波形の複数の電波が少し時
間がずれて受信点に到達する現象.
2 各素子アンテナにそれぞれ増幅や変換等の能動的な機能を有する素子・回路が接続されている構成.
1
これと逆のプロセスにより、各素子アンテナから電波が放射される。
(3)AAA 関連技術の体系的整理
AAA は、アンテナ部、RF 回路部、信号処理部のそれぞれに性格を異にする要素/関連技術を有す
る。アンテナ部に関しては、アンテナの設置場所や伝搬環境等の条件に応じた素子アンテナの配列の
仕方、形状等が重要である。RF 回路部の構成は、変調方式などのシステム要件に依存し、また、アン
テナ素子数が多くなるにつれて複雑化するため、損失低減、コスト低減等の観点からも重要となる。ア
ンテナ素子に能動素子を付加したアクティブアンテナ、マイクロ波集積回路(MMIC)とアンテナを一体
化させたインテグレーテッドアンテナ(集積化アンテナ)等も、アンテナ部と RF 回路部に跨る重要な技術
である。信号処理部においては、規範(指導原理)やアルゴリズム(計算手順)による分類のほか、アナ
ログ処理を行うのかディジタル処理なのか、また、信号処理の実装手段なども重要な視点である。
AAA の実際の使用に当たっては、素子アンテナの製作誤差や RF 回路の特性のばらつき、使用時
の時間変動などが、ビーム形成/空間フィルタリング特性に影響を及ぼす。したがって、素子系統間の
こうした特性のばらつきを補正するための校正技術が必要となる。さらに、システム全体として見た場合
の AAA の構成や機能といった観点で捉えることも重要である。
以上の観点から、アンテナ、RF・給電回路、信号処理、校正、全体システム構成を大分類項目とし、そ
れぞれをさらに細分化し、図 3 に樹形図として示すように、AAA 関連技術の体系的整理を行った。
なお、個別の技術に関する概要説明等は、標準技術集「移動体通信等に用いられるアダプティブア
レーアンテナに関する技術」として、特許庁の web サイト(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/
hyoujun_gijutsu/arrayantenna/mokuji.htm)で公開されている。
アダプティブアレーアンテナ
関連技術
アンテナ
RF・給電回路
アンテナ素子
線状アンテナ
マイクロストリップアンテナ
スロット型アンテナ
無給電素子
配列
直線アレー
平面アレー
円筒型アレー
コンフォーマルアレー
サブアレー
素子間相互結合の制御
振幅及び位相制御
偏波
偏波制御
偏波共用
成形技術
多層化
一体成形
実装技術
インテグレーテッドアンテナ
高周波デバイス
移相器
周波数変換器
増幅器
減衰器
分配器・合成器
回路構成・方法
アクティブアレー型
パッシブアレー型
素子切換
送信回路構成
受信回路構成
実装技術
集積回路(MMIC)
モジュール等組立て
アンテナとの接続法
信号処理
実装技術
A/D変換・D/A変換・サンプリング
DSP・FPGA・ASIC
最適ビーム形成
(指導原理)
MMSE(Minimum Mean Square Error)
最大SNR法(MSN)
拘束付電力最小化法(CMP)
パワーインバージョン(PI)
CMA(Constant Modulus Algorithm)
最適ビーム形成
(計算手順)
LMS(Least Mean Square)
SMI(Sample Matrix Inversion)
指導原理・アルゴリズムの組合せ
ダイバーシティ効果との組合せ
送信ウエイト決定
その他
ビーム制御の方法・構成
アナログビーム形成
ディジタルビーム形成
サイドローブキャンセラ(SLC)
エレメントスペース構成
ビームスペース構成
ビーム制御の多段処理
時間領域信号処理
周波数領域信号処理
送信ビーム形成
到来方向推定に基づくウェイト制御
チャネル推定とそれに基づくウェイト制御
サブキャリアの利用
校正
アンテナ・RF系の校正
全体システム構成
追尾
干渉抑圧 マルチビーム形成
到来方向推定
送信用アダプティブアレーアンテナ
空間分割多元接続
空間分割多重
アダプティブアレーアンテナを用いたシステム
図 3 AAA 関連技術の樹形図
2
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