H20.3.24 ガソリンが25.1円安くなると ガソリンスタンドはどうなるの?

売 り切
れ
ガス欠
ガソリンが25.1円安くなると
ガソリンスタンドはどうなるの?
滞
給油待ち渋
2008/3/24
西条市建設部
ガソリンス
タンドの
資金繰り が
灯油にも影響が
租税特別措置法などの期限切れにより、4月から揮発油
税(ガソリン税)などの暫定税率が無くなることでガソリン価
格が安くなると、どんなことが起きるでしょう。
○ガソリン価格はどうなるの?
ガソリンの場合、揮発油税と地方道路譲与税が課税されていて、1リットル当りの
本則税率は28.7円、暫定税率は53.8円となっています。そのため、本則税率に
戻ると1リットル当り25.1円、これに消費税を加えた26 .355円値下がりするこ
とが想定されます。
○4月からの値下げを期待し、3月中の給油控え、買い控えが起こると
3月中の給油を控えた自動車が、4月に入ったとたんに給油のためにガソリンスタ
ンドに殺到するとどうなるでしょう。
現象-1
現象-2
現象-3
現象-4
普通の日の10倍の給油量が発生し、給油待ちの
車の行列
10倍の給油量
多くのガソリンスタンドが売り切れに
売り切れ
タンクローリーの確保が出来ず、ガソリンの補充もままならない
給油出来ない自動車は燃料切れで、いざという時に車を使えない
燃料切れ
特に、営業車や救急車、消防車など緊急車両への影響は深刻
現象-5 税率が戻る際には同じ事が繰り返されるおそれが
仮定と試算結果(その1)
仮定-1 平常時のガソリン販売量は約2Kリットル
「平成16年商業統計調査」に、ガソリンスタンドの年間販売額などのデータがあります。愛媛
県では15,224,557万円、事業所数1,064、西条市では、1,119,719万円、事業所数85箇所です。
ガソリンスタンドはガソリン以外に軽油や灯油、カー用品の販売や車検なども行っています
から、販売額の半分がガソリンの販売によるものだと仮定し、当時のガソリン単価をリッター
当り105円としてガソリンの販売量を試算してみます。
(愛媛県)15,224,557万円÷2÷105円=72.50万Kリットル 1事業所当たり 681Kリットル
(西条市) 1,119,719万円÷2÷105円= 5.33万Kリットル 1事業所当たり 627Kリットル
1週間で1日だけ休業するとすれば年間営業日数は313日、1事業所当たりの一日の売上
量は約2Kリットルとなります。
約2Kリットル
仮定-2 県内乗用車が30リットル給油するのに必要なガソリンの量は約20Kリットル
愛媛県内には普通乗用車が421,839台、軽四乗用車が270,261台、西条市にはそれぞれ、
34,867台、23,969台登録されています。これらの車が30リットルづつ給油すると、愛媛県全体
では20,763Kリットル、1事業所当たりでは19.5Kリットル、西条市で見ると1,765Kリットル、1事
Kリットル
業所当たり20.8Kリットルのガソリンが必要となります。
Kリットル
仮定と試算結果(その2)
結果-1 通常の10倍の需要
このように、全ての乗用車が30リットルづつ給油すると、その販売総量は通常の日の10日
分(2Kリットルに対して約20Kリットル)に匹敵することがわかります。
結果-2 売り切れ
また、ガソリンスタンドの地下タンクには限りがあります。多くのスタンドは10Kリットル入りの
地下タンクを、燃料の種類別に1~2基程度しか持っていませんから、1事業所当たり約20K
リットルの需要に対応出来ず「売り切れ」になる可能性があります。
需要に対応出来ず「売り切れ」
結果-3 給油待ち渋滞、時間切れ
20Kリットルのタンクをフルに使い、1台当たり30リットルの給油作業と会計などの処理を2分
間で終えれたとすれば、
20,000リットル÷30リットル=667台
667台×2分間=1,333分間 ← 約22時間
例え、給油設備が2式あったとしても半分の約11時間を必要とします。
朝8時開店で休み無く給油し続けて19時までかかることとなり、 給油待ちの車の行列が出来
るのは必須です。
仮定と試算結果(その3)
結果-4 開店休業状態
通常の需要に対応する程度のタンクローリーしか確保されていないことから、ガソリンスタン
ドは卸業者からの配送待ちとなり、開店休業状態となるおそれが。
結果-5 灯油にも影響が
増えたガソリン需要の運搬にタンクローリー車が専用されてしまうと、暫定税率の影響を受
けない(価格が変わらない)灯油の仕入れや販売にも影響が出かねない。
結果-6 ガソリンスタンドの資金繰りが苦しくなる
3月期に販売した燃料の支払いを、30日後の4月末に行うガソリンスタンドの場合、4月期の
売上金で3月期の支払いを行うこととなり、3月、4月が同量の販売量だと仮定すると、4月期
の売上額は3月期の支払額より暫定税率の差額分だけ不足することになります。その額は、
2,000リットル×26日×25.1円×1.05=1,370,460円
となり、2Kリットルを販売する平均的なガソリンスタンドでも137万円の資金が必要になります。
実際には、3月期は買い控えにより販売量が減り、4月期に販売量が増えれば、ここまでの
資金不足は生じはしませんが、ガソリンスタンドの資金繰りに何らかの影響が出ることは確か
です。
仮定と試算結果(その4)
参考-1 以上の試算は乗用車の事しか考慮されていないので、影響はもっと大きく・・・
以上の試算には乗用車の数や乗用車の給油のことしか考慮していないため、主に営業に
使われている「大型貨物」「小型貨物」「軽貨物」や「二輪」などは含まれていません。
そのため、試算で得られた結果よりも影響が大きくなることが考えられ、営業車への影響は
死活問題にも・・・。
代表的な車種についての台数は以下のとおりです。
車種
西条市
小計
普通乗用車
軽四乗用車
大型貨物
34,867
23,969
2,650
58,836
小型貨物
軽貨物
小型二輪
自動車
原動機付
自転車
3,737 16,551
1,063
10,891
93,728
11,954
93,728
22,938
合計
平成19年4月1日現在
試算にはこの乗用車分
しか考慮していません
仮定と試算結果(その5)
参考-2 タンクローリー車の容量
市内のガソリンスタンドに配達に来ているタンクローリー車は、
大型車で14Kリットル、セミトレーラータイプで20Kリットル積みです。
道路が狭いなどの制約から、セミトレーラータイプを使えない
ガソリンスタンドでは14Kリットル積みの大型車を使うことになる
ので、20Kリットルの補充には2往復が必要となり、タンクローリー車
の手配は困難を極めることが想定されます。
参考-3 ガソリンスタンドの例
ガソリンスタンドの例として、フジグラン横のガソリンスタンド
「DM Gas」の場合、地下タンクの容量は第1石油類(レギュラー
ガソリン、ハイオクガソリン)の合計が40Kリットル、第2石油類(軽
油、灯油)の合計が20Kリットルです。
レギュラーとハイオクガソリンを加えて40Kリットルありますが、
はたしてどれだけの対応が可能でしょうか・・・。