ミュージカル「 ミュージカル「レ・ミゼラブル」 レ・ミゼラブル」(ヴィクトル・ユゴー (ヴィクトル・ユゴー原作 ヴィクトル・ユゴー原作) 原作)解説 « Les misérables » par Victor Hugo (interprétation en musical) SWHE trompette 植村 哲 師走、歳末助け合いの時期ですね。年の瀬というのは、落語の世界でも、 それこそ「クリスマス・キャロル」のお話でも、洋の東西を問わず人情話 の格好の舞台です。 そういえば、哀れにみすぼらしい8歳の少女だったコゼットを、亡きフ ァンティーヌとの約束を果たすべくジャン・ヴァルジャンが引き受けたの も、1823 年のクリスマスでした。 寒さがしみるこの季節に、心を温めてくれる人間愛とは何かを感動的に 我々に伝えるフランスの文豪ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)(1802-1885)の不 朽の名作、 「レ・ミゼラブル」。ここで物語の世界を訪ね、さらにフランス公演からロンドン の劇場を経て世界で大ブレークしたミュージカルと映画についてもちょっと覗いてみまし ょう!(なおユゴーの解説については、前回定演の「ノートルダム・ド・パリ」を参照。まだ音源倉庫 にあるはず・・・?) 1 「レ・ミゼラブル」:原作、そしてミュージカル(映画) (1) 原作の世界 さてこの「レ・ミゼラブル」、全五巻からなりますが、世に出たのが 1862 年です。この頃ユゴーはナポレオン三世による第二帝政を批判して国外追 放の身にあり、ドーバー海峡に浮かぶイギリス領の島ガーネシー(Guernesey) で各種文学の著作を続けていました。彼がフランスに戻ったのは、1870 年 にナポレオン三世がセダンの戦いでプロイセン軍に敗れ(普仏戦争)第二 帝政が崩壊した後に歓喜の下でようやく帰国します。その後も政治活動に かなり深く関わり、隣国ベルギーでも王位継承の調整に巻き込まれるなど、自身も相変わら ず波乱万丈の人生を続けたわけです。 「レ・ミゼラブル」はユゴーのロマン主義の粋を集めた歴史・社会・思想小説としてあま りにも有名な傑作ですが、そのクライマックスが 1832 年の六月暴動(パリのサン・ドニ通 り(rue Saint-Denis)にバリケードができた)という実在の「体制への反抗」の場であることに見 られるように、理念を追い求める彼の姿が小説世界に色濃く反映されているものと言えるで しょう。 主人公ジャン・ヴァルジャンは、1769 年生まれ、1833 年に亡くなる設定となっています が、まさにフランス革命の熱狂と動乱からナポレオン帝政、抑圧的な復古王政を経て七月革 命後の立憲君主制までの激動の時代に生きたことになります。世の中の価値観が二転三転し、 多くの人々の人生が翻弄された時代。「レ・ミゼラブル」(Les misérables)、「貧しき惨めな者た ち」という標題の通り、ジャン・ヴァルジャンはじめ主要な登場人物は、貧困や虐待、社会 1 からの疎外による絶望の中で苦しんでいます。彼らを救うのは何か、 それは博愛と誠実の心なのかもしれません。回心した後のジャン・ヴ ァルジャンが、過去の罪を認めてせっかく築いた地位を一旦捨てるの も、その後ファンティーヌとの約束を守るため可憐なコゼットを守る ことに全力を尽くすことも。そして、そうすることにより実はジャ ン・ヴァルジャン自身の心が救われていく、こんな構図になっている のが感じ取られるところです。 一方で、ジャヴェール刑事に代表されるジャン・ヴァルジャンに対 峙する登場人物達も、単なる敵役としては描かれていません。彼らも複雑な思いや苦難の人 生を抱えているという面では、ある意味で「レ・ミゼラブル」の仲間なのかもしれません。 人間と人間の生きざまがぶつかり合い、重厚なドラマを紡ぎだしていく、これが「レ・ミゼ ラブル」の真骨頂とも言えるでしょう。 (・・・突然ですが)さてお立ち会い、この作品が日本で紹介されたのは遡ること百年以上 も昔、1902 年から 1903 年(何と、日露戦争の前!)、黒岩涙香(くろいわ るいこう)という作 家・ジャーナリストが「噫無情(ああむじょう)」と題して翻訳を新聞に連載、我が国でも巨 匠ヴィクトオル・ユゴーの名声がパア~っ パア~っと一躍知れ渡ることと相なりました~ (パパん!) パア~っ いやあ、年の瀬なのにメチャ講談調! さて、ここでジャン・ヴァルジャンの名前をしげしげと眺めてみると、あれっ、苗字に「ジ ャン」が入っています。この苗字、フランス語で Valjean と書きますが、もともとは「Voilà Jean」 (ここにジャンあり)という意味が込められています。作品中ではしばしば世を忍ぶ仮の姿 (名前)を用いることとなるジャン・ヴァルジャンですが、彼の存在そのものが本質を物語 っていることを暗に示している、そんな趣向ですね。実はこの名前、構想段階ではジャン・ トレジャン(Jean Tréjean)だったりしたんですよ(きっと Très bien の Très(「とても」)でしょうね)。 (2) ミュージカル(映画)の世界 さて、一方のミュージカル。ロンドンなりブロードウェーなり、英米の十八番の舞台芸術。 昔からフランスとイギリスは仲が良くないところで、果たしてユゴーのフランス語の大作が 英語べったりのミュージカルに合うのかしら・・・と思われるかもしれません。 いやあ実は、 「レ・ミゼラブル」の最初のミュージカル公演は、1980 年にフランス人のチ ームがフランス語で世に送り出したもの。その音楽監督が、クロード=ミシェル・シェーン ベルク(Claude-Michel Schönberg)iで、今回演奏する曲もこの最初の版以来使われてきているも のです。道理で、音楽の流れがあまり英語のアップダウン調ではなくて、フランス語の歌詞 と相性が良さそう!歌を見てみると、どこかに織り込まれているのが「民衆の歌」(原題は A la volonté du peuple)。精一杯生き、権力に反抗していく名もなき民の決意が時代の雰囲気を雄 弁に物語ります。それぞれの場面で心に響く歌がたくさんありますが、物語での重要性と比 較して案外とエポニーヌの歌(On my own(原題 Mon histoire))が印象的だったりするのは気のせ いでしょうか・・・。 2 さて、そこはどっこいロンドンのミュージカル。ヒットしそうな題材を見逃さない!1985 年に英語版を制作して面目躍如、1990 年代以降、これが全世界的なヒット作品として普及 してきました。何でも、フランス版だとみんなが最初の銀の燭台の話を知っているのでパス されていたそうですが、「イギリスじゃ「レ・ミゼラブル」すらちゃんと発音できない」と いうことで、改訂されているとか・・・。 そして最近になってまたまた出てきたびっくりする発想、これが「じゃあ舞台でヒットし たものを映画にしてみよう!」という考え。 確かに昔からミュージカル仕立ての映画はありますが、やはり途中途中は(本来の映画ら しい)台詞の場面も多くなりがち。しかしトム・ホッパー(Tom Hopper)監督により 2012 年に 作られた映画では、ヒュー・ジャックマン(「X-men」のウルヴァリン!)、アン・ハサウェイ(「タ ークナイト・ライジング」)、ラッセル・クロウ(「グラディエーター」のローマ戦士)という当代き っての俳優陣が、何とミュージカル俳優張りに歌っているじゃありませんか!(歌のオーデ ィションを公平にやったようで、落選した有名俳優・女優もいるみたい・・・。) 3 「レ・ミゼラブル」の物語とミュージカルの名場面! (1) 主な登場人物 ●ジャン・ヴァルジャン(Jean Valjean):物語の主人公。怪力の 脱獄犯。贖罪に目覚め誠実と人間愛を貫く波乱の人生を歩む。 ○ファンティーヌ(Fantine):美しき薄幸の女性。娘のために娼 婦に身をやつし、心身ともに疲れ果て病の床に・・・。 ○コゼット(Cosette):ファンティーヌの娘。ジャン・ヴァルジャ ンに惨めな境遇から救われ、美しい娘に成長する。 ●マリウス(Marius):コゼットに恋する共和政論者の貴族の青年。 六月暴動の渦中に飛び込んでいく。 【2012 年映画のキャスト】 アン・ハサウェイ (Ann Hathaway) アマンダ・シーフリード (Amanda Seyfried) エディ・レッドメイン (Eddie Redmayne) サマンサ・バークス (Samantha Barks) ○エポ二ーヌ(Eponine):テナルディエ家の美しい娘。マリウス に恋するが、コゼットと逆転して悲劇の道へ・・・。 ●ジャヴェール刑事(Javert):ジャン・ヴァルジャンを執拗に追 跡し追い詰める法の信奉者。長年の使命の果てに・・・。 ○テナルディエ夫人(Mme Thénardier):怪しい商売を続けコゼッ トを下僕同然に扱った一家の妻。最後まで付きまとう。 ラッセル・クロウ (Russell Crowe) ヘレナ・ボンハム・カーター (Helena Bonham Carter) コルム・ウィルキンソン (Colm Wilkinson) ●ミリエル司教(Monseigneur Myriel):銀の燭台を盗もうとした ジャン・ヴァルジャンに人間の道を諭す仁徳の人。 ヒュー・ジャックマン (Hugh Jackman) (2) ストーリー まああまりにも有名な物語なので、どこかを調べれば必ず要領よくまとまったものが出て 3 くるわけですが、ミュージカル中の主な名曲がどの場面に関係しているのかを対比してご紹 介します。盛り上げる都合(!)第 2 部の六月暴動部分が分厚いのがよく分かると思います。 1815 年 10 月、ディーニュ(Digne)のミリエル司教の下に、46 歳の大 り、若い二人はヴァルジャンの 男、ジャン・ヴァルジャンが訪れる。彼はたった一つのパンを盗んだ 元へ。しかしすでに臨終の時、 ために 19 年間も服役していた。温かく迎える司教。しかしヴァルジ 和解を遂げ幸福のうちにヴァ ャンは大切な銀食器を盗む。翌朝、憲兵に捕えられた彼を前に、司教 ルジャンは天に召されるので は「銀食器は自分が与えたもの」と言い、さらに大切な銀の燭台も授 あった。 ける。人間不信と憎悪の塊であったヴァルジャンは、司祭の心に打ち のめされ、少年からわずかな金を奪った罪を懺悔し、誠実な人間とし プロローグ て生きることを心から誓う。 囚人の歌 - Overture / Work Song (The 時 が 経 ち 、 1819 年 。 モ ン ト ル イ ユ = シ ュ ル = メ ー ル Chain Gang) (Montreuil-sur-Mer)の市長、マドレーヌ(Madelaine)は業を起こして成功 仮釈放 - On Parole し、善行で知られていた。彼の工場で働く女工、ファンティーヌは、 司教 - Valjean Arrested, Valjean 4年後、娘コゼットを預けるテナルディエ一家の搾取により売春婦に Forgiven (The Bishop) 身を落とし、廃人同様となっていた。彼女に娘を取り戻すことを約束 ヴァルジャンの独白 - What Have I Done? するマドレーヌ。しかし、その道中、ジャヴェール警部から、少年か (Valjean's Soliloquy) ら金を奪った男が誤って裁かれることを聞いた彼は、葛藤の末自らの 第1幕 素性を明かす。彼こそジャン・ヴァルジャン。終身刑の判決を受け、 一日の終わりに - At the End of the Day 監獄へ送られる船中で水兵を助けて自らは海に転落、5 度目の脱獄と 夢破れて - I Dreamed a Dream なる。 ファンティーヌの死 - Come to Me 1823 年のクリスマス・イヴ。ヴァルジャンは、ファンティーヌと (Fantine's Death) の約束を果たすべくテナルディエ家へ赴き、やせ細り搾取されていた 対決 - The Confrontation コゼットを見出す。静かな怒りの中、大金を払いコゼットを引き受け、 幼いコゼット - Castle on a Cloud テナルディエやジャヴェールの追跡を逃れてパリの修道院に身を寄 (Little Cosette) せる。母の記憶がないコゼットはヴァルジャンを父と慕い、ヴァルジ 星よ - Stars ャンも無限の愛情をコゼットに注ぐ。 民衆の歌 - Do You Hear the People Sing? 美しく成長したコゼット。彼女に恋い焦がれる共和派の貴族の子弟、 (The People's Song) マリウス。二人は相思相愛の仲となる。方やいかがわしい商売に身を 心は愛に溢れて - A Heart Full of Love 置きながらもマリウスに思いを寄せるテナルディエ家の娘エポニー ワン・デイ・モア - One Day More ヌ。そんな中、1832 年、ヴァルジャンは突然イギリス移住を決める。 第2幕 恋する若者達の想いと六月暴動の動乱、銃撃戦の中バリケードで抵抗 オン・マイ・オウン - On My Own するマリウスをかばい絶命するエポニーヌ、傷ついたマリウスをパリ 彼を帰して - Bring Him Home の地下下水道を通って助け出すヴァルジャン、そして遂に対峙したも 最後の戦い - The Final Battle ののヴァルジャンの高貴さゆえ彼を見逃し、セーヌ川で自殺するジャ 犠牲者たち - Turning(The Victims) ヴェール。 マリウスとコゼット - 心は愛に溢れて 父と和解し卑賤のヴァルジャンを嫌い、コゼットと結ばれ自らの下 に置くマリウス。しかし翌年、ついにヴァルジャンの人生の真実を知 4 (リプライズ) - Every Day (Marius And Cosette) / A Heart Full of Love (Reprise) ヴァルジャンの告白 - Valjean's Confession エピローグ - Finale (Epilogue) 5 【ここから先はおまけ】最初のフランス語版でどんなになっているか、雰囲気をと思って引っ張り出し てみました。標題を頼りに原題の歌を Youtube で探して聴いてみて下さい。Mon histoire は特に! Le coeur au bonheur (A heart full of love) コゼットとマリウスの熱烈なラブシーン、エポニーヌの悲しみも・・・。登場人物の立場による音楽の違いもポイント! MARIUS: (マリウス) Le coeur au bonheur, le coeur aux chimères, COSETTE: 幸福の心、空想 Non, c'est vrai. の心 J'ai peur de la mettre en colère. いいえ、真よ 彼女を怒らせないだろうか Mon Dieu! Pardon! ああ、許したまえ! Je ne sais même pas votre nom, 貴方の名さえ知らない Chère mademoiselle. 愛しき女よ Je suis fou! Qu'elle est belle! 大好きだ!美しい! MARIUS: Le coeur au bonheur, ÉPONINE: Non, il n'était pas pour moi, COSETTE: (コゼット) (コゼット) (マリウス) 幸福の心 (エポニーヌ) 彼は私のものではなかっ た Le coeur au bonheur, dites-moi qui vous êtes.幸福の心、貴方は MARIUS ET COSETTE: どなたがおっしゃって Le coeur plein de toi, MARIUS: ÉPONINE: マリウス・ポンメルシー Je n'ai rien à regretter, MARIUS: 私はコゼット Je savais au premier regard, MARIUS: COSETTE: コゼット、何と言ったら Au premier soir, MARIUS Mon coeur tremble, Comme le mien! MARIUS: Le coeur en extase, LES DEUX: L'espace d'une nuit, ÉPONINE: 何も言わないで! (コゼット) 最初の晩から (マリウス) (エポニーヌ) Il ne me dira jamais 彼は私には決して言わない Ces mots-là. そんな言葉を 胸の高まりが止まらない J'espérais. (コゼット) (マリウス) 待ち望んでいた 私も同じ! (マリウス) 恍惚の心 (二人) ÉPONINE: (エポニーヌ) Pas à moi, 私じゃない Pas à moi. 私じゃない COSETTE: (コゼット) J'attendais. 夜のとばり MARIUS ET COSETTE: MARIUS: (マリウス) 一目見たときから分かった (コゼット) MARIUS: COSETTE: 後悔なんかしないわ (マリウス) Cosette, je ne trouve pas les mots; Ne dites rien! (エポニーヌ) (コゼット) Et moi, Cosette. COSETTE: あなたで心はいっぱい (マリウス) Je m'appelle Marius Pontmercy. COSETTE: (マリウスとコゼット) (マリウス) 待っていたの (マリウスとコゼット) Et c'est plus doux qu'un rêve, 夢よりも甘く Fleur au jardin du paradis; 天の庭の花よ Plus qu'un rêve, 夢よりも Cosette, Cosette! コゼット、コゼット! Toi et moi. あなたと私 COSETTE: ÉPONINE: (コゼット) Êtes-vous le prince que j'attendais?貴方が私の王子様なの? MARIUS: C'est un rêve? Son coeur (マリウス) これは夢か? 6 (エポニーヌ) 彼の心は Au bonheur, 幸せに満ちて Qui ne battra pas, でもときめかない Pas pour moi. 私のためには MON HISTOIRE (On my own) エポニーヌの力強く切ない独白曲、愛のバラードとして実はミュージカル中で最も愛されている曲。涙が出てきます。 (エポニーヌ) Comme deux géants qui s'aiment まるで恋する二人の巨人 またたった一人 S'allongent à nos pieds 足元から伸びて Sans une ami, sans rien à faire 友達もすることもなく Et vont se mirer dans la Seine セーヌに姿を映す Je suis pas pressée de retrouver 急がずともまた知るの 私、作り話が上手なの ÉPONINE: Je suis toute seule encore une fois Ma solitude et ma misère 孤独とみじめさを Je sais bien que j'ai tout inventé J'attends que vienne le soir 夜が来るのを待つわ Je sais bien qu'il n'est jamais à mes côtés 絶対ならないのも知ってる Pour l'évoquer dans ma mémoire 想い出に彼が現れるのを Et pourtant, je continue à croire Qu'avec lui, j'écris mon histoire Je marche seule et chaque nuit 毎晩独りで歩くの Les rues de la ville m'appartiennent 私の住む街の通りを でも、やっぱり信じてる 彼と一緒にお話を綴るの を Toutes mes pensées s'envolent vers lui 私の想いは彼の元へ Oui, je l'aime ああ、彼が好き Et je mets ma vie dans la sienne 私の生活を彼に重ねて Mais, comme les nuits sont courtes! でも夜は何て短いの! Paris dort; dans le noir パリは眠る、闇の中に Au matin, il a repris sa route 夜明けに彼は戻っていく Je peux m'inventer mon histoire 私は私のお話を作るの Et le monde, そして世界は、 Redevenu le même また元通りに 私のお話 Mon histoire それは夢の始まり C'est un rêve qui commence Dans les pages 本のページの中に D'un conte de mon enfance 子供の頃のおとぎ話の A perdu ses couleurs その色を失う Et l'arc-en-ciel son diadème 虹のディアデムも Oui, je l'aime ああ、彼が好き Mais je suis seule au monde でも私は独りぼっち 一生影を背負うの Les yeux fermés 目を閉じると Toute ma vie j'ai attendu une ombre Mon prince enfin m'enlace 私の王子様が抱いてくれる Mon histoire 私のお話 Et je prie pour que jamais そして祈るの、永遠に Est une coquille vide それは空っぽの貝殻 Son étreinte ne se défasse 彼の香りが消えないことを Un rêve plein de douceur 甘さに満ちた夢 Dont je n'ai jamais eu ma part それは決してやってこない 彼と一緒なら Avec lui Je ne suis plus la même 私はもう今までと違う Et l'aime, oui je l'aime J'aime la pluie 雨なんかへっちゃら Oui je l'aime Et quand on se promène 一緒に散策するの Toute seule dans mon histoire 彼が好き、ええ彼が好き そう彼が好き 独り私のお話の中で 二人の影は Nos deux ombres LE GRAND JOUR (One day more) 歌い手が交錯するイメージ(特に後半は同時に何人も歌う)が湧くでしょう! VALJEAN: (ヴァルジャン) Le grand jour, その日が来る、 Une autre vie, une autre destinée, 別の人生、別の運命、 Délivrés d'avoir à fuir à perpétuité. 永遠の逃亡にさすらう Mais au jour du jugement ultime, しかし最後の裁きの日、 Chaque homme doit révéler ses crimes 人はその罪を明かす Au grand jour. その日に MARIUS: C'est comme la foudre que l'on m'assène.我が身を砕く稲妻のように ÉPONINE: Demain seule dans mon histoire, MARIUS ET COSETTE: Vais-je te perdre à tout jamais? (マリウス) Demain, je ne la verrai plus, 明日はもう彼女に会えない Mon sang se glace dans mes veines. わが血は血管で凍てつく 旋律の役割分担が極めて重要! ÉPONINE Un grand jour perdu sans le voir. MARIUS ET COSETTE: VALJEAN: Le grand jour, (ヴァルジャン) Quand ma vie commence à peine. Demain je ne te verrai plus, 明日はただ私のお話の中に (マリウスとコゼット) 貴方を永遠に失うのか? (エポニーヌ) 彼に会わず失うその日 (マリウスとコゼット) 人生がようやく始まる時 その日が来る、 ÉPONINE: MARIUS ET COSETTE: (エポニーヌ) (マリウスとコゼット) Un peu plus seule chaque soir, 明日はもう貴方に会えない、 7 (エポニーヌ) 毎晩独りで (マリウスとコゼット) MARIUS ET COSETTE: 誠実を誓います Et je jure d'être fidèle. (エポニーヌ) ÉPONINE: JAVERT: ついに決戦の日の幕が開く Le grand jour se lève enfin (マリウス) Comment faire? Ai-je bien le droit?どうしよう?選べるのか? ENJOLRAS: (オンジョルラス) Et les droits de l'homme s'écrivent. (マリウスとコゼット) Mon sang se glace dans mes veines. (オンジョルラス) ENJOLRAS: その日が来る MARIUS ET COSETTE: 兄弟に従って戦うべきか? Ou suivre mes frères au combat? (ヴァルジャン) Demain seule dans mon histoire, (マリウス) MARIUS: 僕はそこに、お前のそばに ÉPONINE: 明日、バリケードへ Demain sur la barricade. (マリウス) Demain je ne te verrai plus, (オンジョルラス) ENJOLRAS: MARIUS: MARIUS ET COSETTE: 彼女の下へ行くべきか? Dois-je aller là où elle va? 民衆の意思により Le grand jour. (マリウス) MARIUS: À la volonté du peuple. VALJEAN: 決戦の日は明日だ Le grand jour est pour demain, 新しき世を築く Ma place est là, auprès de toi. (オンジョルラス) ENJOLRAS: 偉大なる希望により D'un nouveau monde à construire. MARIUS: 頭の中で彼を思い浮かべる Je l'évoque dans ma mémoire. Par l'espérance magnifique (エポニーヌ) 明日はただ私のお話の中に (マリウスとコゼット) わが血は血管で凍てつく (ジャヴェール) Avec les héros du peuple, 民衆の英雄とともに Avec ces nouveaux stratèges; この騒動者とともに Instruit de leurs petits secrets, その小さな秘密を暴くため Je refermerai le piège. 罠を仕掛けよう THÉNARDIERS: 人権が刻まれるのだ 明日はもう貴方に会えない (テナルディエ) Y vont au casse-pipe, on attend que ça fume; 戦場だ、火煙が上がれ Après qu'y s'étripent on leur ôte les plumes.殺しの後を踏んだくれ TOUS: Amis, c'est l'heure, Demain arrive. (全員) 友よ、時だ、明日が来る VALJEAN: Le grand jour VALJEAN: Le grand jour. その日が来る (ヴァルジャン) その日が来る、 MARIUS ET COSETTE: Demain je ne te verrai plus, JAVERT: (ヴァルジャン) (マリウスとコゼット) 明日はもう貴方に会えない (ジャヴェール) Leur émeute en culottes courtes, 平民どもの蜂起 Je la suivrai dans leurs rangs; その列を追いかけよう ÉPONINE: Demain tout seule dans le noir. (エポニーヌ) 明日は闇にただ独り Je les pousserai sans qu'ils s'en doutent 怪しまれず扇動して À s'éclabousser de leur sang. その血飛沫をまき散らす MARIUS ET COSETTE: (マリウスとコゼット) C'est comme la foudre que l'on m'assène. 我が身を砕く稲妻の如く VALJEAN: Le grand jour, THÉNARDIERS: (ヴァルジャン) その日が来る、 JAVERT: (テナルディエ) Y vont au casse-pipe, on attend que ça fume; 戦場だ、火煙が上がれ (ジャヴェール) Leur émeute en culottes courtes, 平民どもの蜂起 Je la suivrai dans leurs rangs; その列を追いかけよう Je les tousserai sans qu'ils s'en doutent... 怪しまれず急き立てて Quand y z'ont du plomb dans l'aile, nous on les plume:手傷負いから Demain c'est le jugement dernier. 明日は最後の審判だ 踏んだくれ Un bijou ici, un petit sou en face. ここに宝石、目の前に THÉNARDIERS: 小金 Y a plus qu'à attendre l'ouverture de la chasse.ドンパチが始まるのを Quand y z'ont du plomb dans l'aile, nous on les plume. :手傷負いから 踏んだくれ 待つばかり ÉTUDIANTS: (テナルディエ) Y vont au casse-pipe, on attend que ça fume; 戦場だ、火煙が上がれ (学生達) VALJEAN: (ヴァルジャン) Le grand jour patriotique, 愛国の日が来る Demain, nous partons sans regret; 明日、悔いなく発とう Le progrès reprend sa marche; 進歩が前進に応える Demain c'est le jugement dernier. 明日が最後の審判だ Combattant de l'avenir, 未来のために戦い Resurgi de son linceul その屍から立つ TOUS: 8 (全員) Demain, nous saurons si Dieu vient 明日、神の御心を知る Annoncer enfin son retour. その降臨を告げるのかを C'est enfin, ついに来た C'est demain le grand jour! 明日はその日だ! 彼はフランス・ブルターニュ地方の生まれですが、元々はハンガリーのユダヤ人家系です。苗字はドイ ツ語起源で、オーストリア=ハンガリー二重帝国の名残を感じますね。そう、あの高名なオーストリア の作曲家(第二次大戦中にアメリカに亡命した)のアーノルト・ショーンベルク(Arnold Schönberg)の弟 の孫です。フランスの題材を作品に積極的に作ってきて、ミュージカルの音楽監督としてロンドンや NY に進出していきました。有名な「ミス・サイゴン」も手掛けています。 i 9
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