心と体の健康

-心と体の健康-
「心と体の健康」
健康」-- NHKラジオ
NHKラジオ 健康ライフ
健康ライフ --
高田明和
第 1 版
目次
■正しい健康情報の使い方 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 01
【放送日: 年 月 日~ 日】
■脳を元気にする生き方 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 03
【放送日: 年02月12日~16日】
■いきいき脳とこころの健康長寿学 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 05
【放送日:2008年04月21日~25日】
■健康長寿・脳と栄養の医学 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 07
【放送日:2009年03月 ?日~ 日】
■心をいやす生活の仕方と考え方 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 09
【放送日:2009年12月21日~25日】
■言霊(ことだま)と医療 . ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12
【放送日:2010年04月19日~23日】
■心を楽にする作法〔第1日 心が楽になる努力をしよう .〕 14
【放送日:2010年10月18日~22日】
-心と体の健康-
■正しい健康情報の使い方 .【http://j4ef.com/tadasi/】
【放送日: 年 月 日~ 日】
第1日 病気をあまり恐れない .
◇ガンは恐ろしい病気?
有名人でもガンになり、日本人の3分の1はガンで死亡すると言う
統計もあります。 亡くなった人を調べたら3分の1はガンで死亡す
るという結果です。
しかし厚生労働省の発表では、生きている人がガンで死亡する
割合は、
※10万人あたり100人以下(年間データ)
というきわめて少ない結果になっています。
すると残りの99900人はガンで死亡しない、ということになりま
すので、ほとんどの生きている人はガンにかかっても死ななず、過
度に心配する必要もありません。
もちろんガンにならないように生活習慣や食習慣に気をつけるこ
とは大切な事ですが、チョット体調が悪いからと言ってすぐに『ガン
や重い病気』を心配しすぎるのは健康にとって良くないことなのです。
巷には健康情報が氾濫していますが、一つの症状で全ての病気
に当てはまるわけがありません。 誤った健康情報を元に、
・サプリメントや健康食品
・民間療法
など間違った方向にお金と時間を使い健康を損ねてしまっては、本
末転倒です。
◇糖尿病が心配です
最近では40歳以上の3人に1人は、糖尿病かその予備軍といわ
れています。 糖尿病の判断基準は血液中の
『ヘモグロビンA1C(HbA1c ヘモグロビン・エイワンシー)』
の数値が増えると糖尿病の危険があるとされています。 しかしながら糖尿病危険ラインの基準は、学会の基準値なので
す。 人間ドックや健康診断で、
『糖尿病の危険があります!』
といわれても、必ずしも糖尿病になるとは限らないのです。
学会での発表値が病気かどうかの判断基準となっていますが、
数値は何度も見直されそのたびに、
・健康から病気へ
・病気から健康へ
と人間はまったく変化がないのに学会の発表によって、健康になっ
たり病気になったりしているのです。
◇悲観より楽観
健康診断で数値が引っかかると、
「何かの病気になる可能性があります」
などと言われます。
そのことが気になって気を病んでしまうと、健康な人生は送れま
せん。 多少の数値が引っかかっても
「気をつけよう」
くらいの気持ちで前向きに楽観的な心を持ったほうが健康的です。
- 1 -
検査の数値が悪かったからと、美味しいものやお酒を全て断ち、
病気の不安を感じながら生きてゆくとストレスがたまります。
※生きている人10万人のうちガンで死亡するのはたった100人!
病気になったら治療すれば治ります。 病気になることは生きて
いることなのです。 テレビやラジオの健康番組を真に受けすぎず,
楽しい人生を送ってゆきたいものです。
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第2日 健康法に効果があるのか? .
◇脳にいい健康法とは
『脳にいい健康法』という健康法があります。 指を動かすと脳を
刺激して脳の健康に良いとも言われています。 しかし瀬戸内寂聴
さんは、「ピアニストでもぼける人はいる」と言われていて、なるほど
そういうこともあります。
健康法とは、10人の人が試してみて6人の健康に良いことがわ
かったら、
『健康になる方法』
としています。 健康に良く効く?健康法というのは、誰でも効果が
あるというわけではないのです。
また五木 寛之さんが著書のなかで、明治時代の岡田式呼吸法と
いう健康法の話を紹介しています。 しかし呼吸法の提案者が48
歳で亡くなって人々に大変なショックを与えたということです。
このように、健康法を実践したからといって、
・誰でも長生き
・誰でも健康
・誰でも病気知らず
などという事は無いのです。
◇禁煙は大切です?
健康診断でも、病気になったときでも喫煙習慣があると、
『禁煙しましょう』
と言われます。
しかしながら喫煙者でも長生きしている人はいます。
アメリカの話で、医師が喫煙習慣のある100歳のおじいさんに禁
煙するように言ったところ、
『私の主治医は20人くらいいたが全部私より先に亡くなってしまっ
た』
という話があります。
医者が100人いれば100人が、
『禁煙しなければ健康に悪い』
と言いますが、そんなことに関係なく長生きする人は長生きするの
です。
◇自分に合った健康法
趣味のある人はボケないといいます。 欧米の70歳の人を対象
とした調査では、趣味を持っている人が5年後にボケていないのは
60%、何も趣味を持たない人では40%ということで、趣味を持って
いる人の方が統計的にボケないという事がわかっています。
ところが、趣味を持っていても40%の人はボケてしまい、趣味を
持たない人でも40%の人はボケないという事でもあります。
医学的には確率論で良いほうを健康法として採用します。 あく
まで確率論ですので健康法をやっても、個人レベルでは病気になっ
たり亡くなったりすることが十分あるのです。
人が良いと言っている健康法や流行っている健康法など、世の
中には多種多様な健康法があります。 しかし全ての人に効果のあ
る健康法はありません。
人から奨められた健康法やテレビでやっている健康法が合うかも
知れません。 逆に合わないかもしれません。 自分にとって一番やりやすく心地よい健康法が自分に合った健
康法といえますので、その様な健康法を続けるのが健康を維持す
るポイントかも知れません。
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第3日 紫外線を避けすぎない .
◇紫外線は本当に浴びないほうがいい?
紫外線は浴びすぎると良くないというのが常識になっています。
紫外線を浴びすぎると皮膚ガンができやすく、シミやシワができや
すくもなりますので美容の専門科の意見は、
※紫外線は避けたほうが良い!!
という事になっています。 実際に女性は美容に関係することです
ので、紫外線には気を使っています。
顔や手足にシミやシワができるのは、女性にとって大変なことで
紫外線は大敵ですが、あまりに紫外線を避けすぎると、かえって健
康を害することもわかっています。
OECDという機関が行った欧米で発ガン率の調査では、北欧の
国よりもイタリアやスペインなどの太陽の光を良く浴びる地域の方
が、圧倒的にガンの発生率が少ないという事がわかりました。
さらにイギリス国内の調査では、北部より南部の人の方がガンの
発生率が低く、アメリカでの調査では、
・大腸がん
・乳がんその他のガン
・他にも糖尿病
など、紫外線の多い地域の方が発生が少ないこともわかりました。
◇紫外線の効用とは?
紫外線を浴びると体内でビタミンDができます。 食品からビタミ
ンDになる前の物質を採ると、日光(紫外線)を浴びることで体内で
ビタミンDが生成され、ビタミンDには
※がん細胞を抑える
効果があるのです。
-心と体の健康-
日本では、ビタミンDを摂って、ほど良く日光に当たっている人は
※大腸がんになりにくい
という統計結果もあり、ガンの専門科もこの事実は知っています。
◇紫外線は体に悪い!
ところが皮膚科の医師に紫外線のことを聞くと、
『紫外線は体に悪い』
というのが定説になっています。 しかしながらガンの専門医に聞く
と
『紫外線はある程度浴びるほうが良い』
と言います。
真夏の海岸で長い時間【日に焼く】ような焼きすぎは良くありませ
んが、散歩や軽いスポーツなどで神経質に日焼け止めを塗って紫
外線を防ぐよりも、適度に紫外線を浴びたほうがビタミンDが生成さ
れ、ガンにもなりにくいという事なのです。
適度に紫外線を浴びることが健康につながります。
◇ビタミンD食品
太陽の光に当たるとビタミンDができます。 その素になる食品と
して
・きのこ類
・乳製品
があります。
食品中に含まれるビタミンDが肝臓から腎臓へいき、紫外線によっ
て活性化します。 活性化したビタミンDが私たちの健康を守ってく
れるのです。
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第4日 痩せすぎは肥満と同じく危険! .
◇肥満は病気の元
メタボや肥満は糖尿病をはじめ病気になりやすいという事は、い
まや常識になっています。
肥満度を求めるにはBMIの数値が18.5~25までが普通でそ
れ以下では痩せすぎ、それ以上では太りすぎという風になっていま
す。
厚生労働省は長い間BMI値が、22くらいの少し痩せ気味が良い
といっていました。 ところが国立がんセンターの疫学調査では、
※BMI値25~27の人が最も寿命が長いという事がわかりました。
BMI値25~27という数値は肥満体ですが、肥満の程度を言うと
※小太り
という事になり、統計的に見ても小太り程度の肥満の人が長生きす
るという事なのです。
◇痩せ過ぎは危険!?
逆に痩せすぎの場合は寿命が短いのですが、そういう内容の本
を出してもほとんど売れません。 またチョット太り気味が長生きす
るという内容の本も同様に売れません。
- 2 -
これは、 『痩せているほうが健康だ』
という意識がすり込まれていて、いくら小太りが長生きするといって
も太る事に恐怖を抱いてしまうからではないかと思われます。
すなわち【太る=糖尿病】と思われていて、太ることは健康に悪い
こととしか理解されていません。
ところが茨城県の65~75歳の人、10万人強を対象に10年間
行った調査では、糖尿病を発症した人は8千人でした。
糖尿病を発症した人のうち最も多い体型は、
【痩せた人】
という結果でした。 その次に多かった人は太った人で、体重が正
常値の人も糖尿病になっています。
◇脳は甘いもの好き
私たちの脳の唯一のエネルギーは『ブドウ糖』です。 脳は体に
取り入れられるブドウ糖の25%を消費します。
痩せている人の場合、ブドウ糖の摂取量が少ないと、脳に優先
的にブドウ糖が行きますので、体に必要なブドウ糖は不足気味になっ
てしまうのです。
◇痩せた人が糖尿病になりやすいメカニズム
糖尿病の定義は、インスリンが分泌されてもブドウ糖が使えない
状態です。 あまり痩せすぎると脳がブドウ糖を確保するあまり、体
の方が栄養失調気味になり、糖尿病や病気を発症してしまうという
説があります。
太っていないのに太っていると思い込んだり、とことん痩せている
のが美しいという意識が蔓延しています。
ところが社会で活躍している人をみると、ある程度小太りの人も
健康的に活躍されています。 これはストレス社会における脳の活
動の源であるエネルギーの補給は十分に行わないと、脳が耐えら
れないという背景があります。
あまりに太りすぎは良くありませんが、脳に余裕をもってエネルギー
を供給できるような体の環境は持っておきたいものです。
若い女性はスタイルこそ大切で小太りなどもってのほかでしょう
が、女性でも60歳や70歳になったら脳に栄養を与えられるような
生活を送ったほうが統計的にも健康な人生が送れます。
◇この事実を知っておきましょう
小太りの方が健康で長生きすると言う内容の本は、ほとんど売れ
ていません。 ということは正しい情報を知っている人は、ほとんど
いないという現実があります。
・痩せている=健康
・太っている=健康に悪いこと
は、『木を見て森を見ず』かも知れませんね。
第5日 過度なカロリー制限は人の寿命を延ばさない .
◇痩せているほうがイイ理由
進化度の低い動物は、食事のカロリーを制限したほうが病気にも
なりにくく、長生きするというデータがあります。
これは今から80年ほど前にロックフェラー研究所に居た「ラウス」
というノーベル賞を受賞した人が、
『マウスの食べ物を制限すると長生きでガンにもなりにくい』
という論文を出したところに由ります。
食べ放題にしているグループに比べ、3割から4割程度食事を制
限させているグループは長生きするという結果で、同様にラットで行っ
た実験でも確認されました。
(過去の健康ライフでも飢餓状態の方が長生きするという内容の物
がありました)
◇人間ではどうか?
マウスやラットに比べ人間に近づくような高等動物に同じような実
験をしたところ、
・サルでは結果は五分五分
・チンパンジーのような類人猿では、食事のカロリー制限をしても病
気や長生きに良い結果は出ませんでした。
高等な動物になるほどカロリー制限は健康や長生きに良い影響
を与えない根拠として、脳の大きさがあります。 チンパンジーの脳
は400グラム程度、人間の脳は1400グラム程です。
体に対して脳が大きな生き物ほど、エネルギーを消費します。
カロリー制限をすることによって脳は自身を守ろうとして、まず脳の
エネルギーを確保しようとします。 すると体に本来必要な栄養が不
足して、その結果免疫力も低下し病気にかかりやすくなってしまい
ます。
またマウスやラットなどは、ある程度歳をとってからカロリー制限
しても長生きできません。
人間に当てはめると50歳くらいからカロリー制限をしているのと
同じで、歳をとってからのカロリー制限は寿命を延ばさないというこ
とになります。
人間は環境がよければ長生きできます。 長生きの条件としては、
高齢になってから摂取カロリーが足りていることが大きな要素になっ
てきます。
◇長生きBMI指数
前回の内容で日本人でBMIが25~27程度(小太り程度)の人
が、一番長生きするというデータがありました。
欧米では、25~30程度までは大丈夫だという説もあります。
◇脳という臓器から知る長生きの術
人間の脳の重さは体重の2%程度ほどの物です。 しかし、たっ
た2%の臓器が体全体の25%(4分の1)のカロリーを消費してい
ます。 高等な動物の脳はそれだけエネルギーを必要としているの
です。
そこに無理なカロリー制限をすると自己防衛機能が働き、脳以外
-心と体の健康-
の組織から病気にかかりやすくなってゆきます。 いつも・不安・心
配・元気が無い、などが続くと気が病んで本当の病気にもなります。
一見、『カロリー制限が健康で長生きする!』というウケの良い言
葉は、すぐに本などで取り上げられます。 しかしマウスなど動物実
験のデータと同じ事を、脳が発達した人間に当てはめようとするの
は、乱暴な理論で間違っています。
欧米でも、
『カロリー制限は長生きやガンになりにくいという理論は人には当て
はまらない』
というのが常識になっています。
◇動物と人間の満腹と健康
動物はお腹がいっぱいになるとそれ以上食べ物を与えても食べ
ません。 しかし人間はお腹がいっぱいになっても、おいしそうな物
があると“別腹”に必要以上に食べてしまいます。
- 3 -
■脳を元気にする生き方 .
【http://radiodekenko.seesaa.net/category/2237134-1.html】
【放送日: 年02月12日~16日】
第1日 脳の老化とは .
以前は歳をとると脳細胞は、死んで減ってゆくと考えられてきまし
た。 しかし研究精度が上がった結果、少数ですが100歳を超えて
も健康な人は、脳細胞が減っていない事実がわかりました。
ではどうして歳をとると運動能力や計算能力が落ちてくるのでしょ
うか?
◇脳の老化の原因
脳細胞は、突起(アンテナ)を伸ばして神経のつながりを作ります。
その突起の数は減らず、神経の伝達がうまく行かなくなることで“老
化現象”が現れてきます。
また定年後に一日中家にいる、いわゆる「引きこもり」の状態は
刺激がありませんので、急激に脳や体が老化します。
「見る」「聞く」という役割を果たしていますが、神経は脳内だけでは
なく、手や足など体の隅々までゆきわたっています。 そういった神経突起は解剖してみると白い事から「白質(はくしつ)」
と呼ばれます。 「白質」は3歳くらいでは完成されず、運動能力や
判断力、思考能力は成長過程にあります。
◇ある事件から判明した脳の構造
1990年代後半アメリカ、ミズーリ州の17歳の青年がレイプ殺人
を犯しました。 事件の背景として虐待を受けた事実があり、検察側
は罪を認める代わりに死刑の求刑はしない、という司法取引を持ち
かけました。
しかし青年は罪を認めず裁判になります。 裁判では陪審員も裁
判所も死刑の判決を下しました。 それと同じ時期に、人間の脳は
どのように発達するかがわかってきて、脳(白質)は17歳くらいでは
まだ半分位しか発達せず、25歳前後で完成する事がわかってきま
した。
!ひきこもりはボケの始まり!
人間について言えば、やせている人が一番病気になりやすく、次
に病気になりやすい人が太りすぎの人なのです。
栄養のバランスを考えてBMI25~27程度に保つことが脳への
栄養と健康のバランスがとれる領域です。
『小太り程度が健康長寿だから食べたいだけ食べても良い』
と好きなだけ食べていては間違いなく肥満による病気になってしま
いますので、くれぐれもお間違いなく!!
◇脳の老化を防ぐ
脳の老化を防ぐには、
・体を動かす
・指を使う
・楽しく頭を使う
・人と接する
など活動的な生活習慣が大切です。 また
・くよくよする
・心にショックを受ける
と脳細胞が死滅し始めますので、なるべくそういう状態から早く脱す
ることも重要です。
アルツハイマー病の遺伝要因は3%といわれています。 脳の老
化を防ぐ生活習慣や心がけで、そういった病気になるきっかけを防
ぐことが可能になってきます。
※日ごろの心がけや生き方で脳の老化は防ぐことが出来ます!
※脳の中で記憶の入り口の「海馬」という場所は、80歳や90歳に
なっても増えることがわかっています。
弁護団は脳神経の専門家からの意見書も提出しましたが、罪を
犯した青年の死刑は覆りませんでした。 しかしこのことからアメリ
カの憲法が改正され、
「残忍な死刑執行をしてはいけない」
という条項が入ったようです。
◇50歳がピーク!
神経突起のつながりの部分は年齢とともに衰えて、「とっさの動
作」は遅くなります。 しかし神経突起の白質は、50歳前後でピーク
(完成)を迎え、
・物事をまとめる
・説得する
・統括する
などは若い人より経験を積んだ人の方が能力は高い事実がありま
す。 アメリカでは定年制がなくなり、そういった社会的能力を発揮
する高齢者がたくさんいます。
年齢と共に・記憶力や運動能力は衰えます。 しかし社会的能力
は、「白質」の発達のように50歳前後で完成し、経験で磨きをかけ
ます。 何歳になっても社会貢献が出来る生き方が可能で、人間の
脳は死ぬまでその存在意義が認められます。
脳や体を楽しく使って楽しい人生を送りましょう。
人の脳は完成にも衰えにも時間がかかります。
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第2日 脳の発達と機能の減退 .
昔は人間の脳は3歳で完成して、いわゆる“三つ子の魂百まで”
という諺にもあるように、3歳くらいまでの躾が大切であるといわれ
てきました。
その諺を裏付ける事実として、脳細胞の突起(シナプス)は2歳く
らいがピークになるという研究結果もあります。
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第3日 脳を傷つけない .
脳細胞は、本来あまり死にません。 しかしある条件が加わると
細胞が死んでゆきます。
◇3歳では完成しない!
脳の表面にある大脳皮質には約150億の神経細胞があって、
◇脳細胞が死ぬ原因
脳細胞が死ぬ原因として、
・強いショックを受ける
・いつも心配ごとがある
など心にストレスがかかり続けたときに起こります。
-心と体の健康-
うつ病はその代表例で、副腎皮質からコルチゾールと呼ばれる
ストレスホルモンがいつも分泌されています。
本来コルチゾールはストレスを受けたとき=身の危険を感じた時、
筋肉に栄養を送り・逃げたり・戦ったりする能力を上げるための物質
で、ストレス状態が去れば分泌も終わります。
しかし、いつも心配ごとや、くよくよ考える癖があるとコルチゾール
が常に分泌され、コルチゾールは脳細胞と結合します。
結合すると、最初は脳細胞の働きを抑えますが、その状態が続く
とアポトーシスと呼ばれる脳細胞が死んでゆく状態になります。
◇アルツハイマー
脳細胞が死ぬと、脳が萎縮するアルツハイマーになりやすくなり
ます。 欧米の研究ではうつ病になるとアルツハイマーの発生率は、
5~6倍であると報告されています。
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第4日 言葉は心を変える .
言葉は言霊といわれるように人間の心に影響力を与えるもので
す。 その言葉が脳に与える仕組みが最近わかってきました。
第5日 良い言葉で心を刺激し脳を元気に! .
良い言葉・元気の出る言葉が体に良い影響を与えることがわか
ってきました。 具体的な例をご紹介します。
◇ミラー細胞とは
例えばテレビで人を殴るようなシーンを見て、自分もこぶしを握り
しめるような行動や、お茶をつぐ音を聞いただけで、自分もお茶を
入れているような動きをしてしまう。
これは脳内のミラー細胞の働きで、「見た、聞いた」と同じ運動細
胞を活動させた結果です。
◇禅に学ぶ生き方のコツ
座禅をすると最初は痛く感じますが、慣れてくると痛くなくなります。
この痛みに慣れるという感覚は、
・いやだ
・つらい
・やめたい
という苦痛の思いがあるといつまでも痛みを感じ、逆に我慢して続
けると、痛みは感じなくなるそうです。
◇言葉の理解
私たちが言葉を理解出来るのは、ある特定の音を聞いたとき、そ
れが何を意味するのか?聞くだけではなく、実際の運動細胞にまで
関連付けているミラー細胞があるからだともいえます。
◇うつ病の治療
・薬物療法
うつ病の治療では脳内のセロトニンを増やす薬が処方されます。
・認知療法
うつ病はものの考え方による病であるという考え方で、ものの考
え方を変えて治療するという方法です。
初めて外国語を聞いたときは意味がわかりませんが、学習して
ゆくうちにその言葉の意味やイメージ、行動などが理解できるように
なります。
『Coffee』
英語のわからない人にとっては記号にしか見えませんが、英語
がわかると、この言葉を見てイメージがわいたり、コーヒーが飲みた
くなったりします。
この認知療法は、アーロンペックという精神科医が提唱した方法
で、私たちが
・いやだな
・不快だな
・物事にこだわりすぎる
こういった感情を取り除き、気持ちの切り替えをするという考え方で
す。
◇言葉の影響力
人からほめられたり、元気なことを言われると、ミラー細胞はその
言葉を受け取り元気のでる細胞を刺激します。
逆に人から傷つくような言葉、絶望的な言葉を言われると、関連
した細胞が刺激され、落ち込んだり具合が悪くなったりします。
・良いことを思えば良いことがやってくる
・悪いことを思えば悪いことがやってくる
例えば、「一流大学に入らなければ人生は終わりだ」という物の
考えで大学に落ちると、強いストレスがかかります。
ここで、考えを切り替えて「他にも進む道はたくさんある」というよ
うな考え方ができるようにするというものです。
※脳を傷つけること、うつ病やアルツハイマーになるリスクが高まり
ます。
しかしその原因は私たちの考え方や心がけ次第で、予防も治療
も出来ることがわかります。
いつも良い言葉を聴き、自分でも良い考えを持つと、脳と体に良
い影響を与えます。
また自分の子供や周りの人々に対して、
・良いことを思う
・良い言葉をかける
ことは非常に大切です。
気持ちを前向きに、明るく生きることを心がけて続けてゆくことで
脳を傷つけることが予防できますし、傷ついてもすぐに立ち直ること
が出来ます。
◇役に立つ言葉
※苦しいことは早く飛び込めば早く抜けられる
・どうせやらなければならない事は早くやれば楽になる
先送りせず“苦”に積極的に取り組めば“楽”になる!ということです。
※思うて詮(せん)なきことは思わず
・結論が出ないことは議論しない
この先どうなる?と思っても仕方がない、議論してもどうしようもない
ことは、思ったり議論したりしない。
※もの思わざるは仏のけいこなり
・何も考えないのが仏になる修行
何も考えず“ふっと”思ったことを実行するのが、仏に近づくための
修行で、前からの恨みや悪い思いを持たないように生きる。
※千金の子は市に死せず
・昔の中国では市場で死刑が行われていました。 しかし金持ちの
子は金の力でそれを免れる。 親の七光りや、生まれつきの才能や美ぼうを持った人に対して、自
分を卑下しない、自分はダメだなどと思わない。
※人は長ずるところで失ず
・人は得意なところで失敗する
5本のキリがあったとして、一番先に切れなくなるのは一番よく切れ
るキリである。 という考え方で、小さいころトップにいた人がいつま
でも1番でいることは無く、自分も努力していれば報われるときが来
る、決してあきらめない。
自分自身に、いつも元気の出る言葉、やる気の出る言葉を投げ
かけていると、脳が元気になり、体も元気になります。
良い「言葉」で、良い「人生」、健康ライフをおくりましょう。
----------------アーロンペックの認知療法について
精神科医のアーロンペックの提唱する認知療法は、その正しさが
高く認められ「ラスカー賞」を受賞しています。 「ラスカー賞」を受賞
した人の多くは後に「ノーベル賞」を受賞しています。
-心と体の健康-
■いきいき脳とこころの健康長寿学 .
【http://radiodekenko.seesaa.net/category/4987296-1.html】
【放送日:2008年04月21日~25日】
第1日 自分の刺激は感じない .
◇自分の刺激は感じないって?
例えば自分で体をくすぐっても触っている感覚しかありませんが、
人からくすぐられると、とても“くすぐったい”ということがあります。
同じ刺激を与えているのにどうして感じ方が違うのでしょうか?
他にも自分で転んだりしたときの痛みの感じ方と、人から殴られ
たり、ぶたれたりするのでは、痛みの感じ方は違ってきます。
MRIで脳の状態を見てみると ・・・
自分で“くすぐった”場合は、触られている感覚やくすぐったい感覚
が非常に抑えられて感じます。 対して同じ刺激を人から受けた場
合には、強く反応します。
これは運動機能をつかさどる『小脳』が体を動かしたり、わかって
いる刺激=自分で動くという事に対して、
“痛い”とか“くすぐったい”
という感覚を抑える働きがあります。 逆に人から受ける刺激は、自分が主体的に動いていませんので
小脳も働かず、その結果“予測不能”な刺激に対して、その感覚を
強く感じてしまいます。
これは外的な刺激ばかりではなく、言葉で人を傷つけても、
・言った人は忘れても
・言われた人はいつまでも覚えている
という事に当てはまります。
◇小脳の不思議な働き
私たちは本来、
・『小脳』が働くと悩みやイライラが抑制されるという仕組みを持って
います。
心理学者のフロイトは、「ノイローゼの人は運動させれば治る」と
言っていますし、精神科のうつ病の患者の治療では「運動療法」が
取り入れられています。
これは体を動かす(小脳を使う)と、悩み・不安・イライラが自動的
に抑えられるという、小脳の仕組みの働きによるものです。
仏教では、まず草むしりや掃除など体を動かしてから座禅をする
そうです。 まず体を動かして~小脳を働かせ~悩みを取り除いて
から瞑想に入ると、楽に瞑想に入れます。
人間の悩みというのは昔からあったようで、脳が科学的に研究さ
れる前から座禅や瞑想など、悩みや不安を取り除く方法を経験的
に会得していたようです。
私たちが、悩んだり・号泣したりするときは“じっとしています”。 逆に動いているときは、悩みや不安はあまり感じません。
悩みや不安が治まらないときは、とにかく歩くとか運動をすれば、
小脳の働きによって自動的にその様な感情は抑制されます。
・くよくよ考え過ぎず
・いつまでも怒っていないで
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・心配や不安でどうしようもないとき
事なのです。
そんな時は軽い運動をする癖をつけると、心と体の健康にとって
も良いですね!!
これらの方法は簡単ですが効果のある方法です。 1週間続けた
ら、人から好かれるすばらしい人間になれます!!
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第2日 体と心に目を向けて報告する .
こんなに簡単に悩みを解決する方法があったなんて ・・・
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第3日 心と体に大事な呼吸 .
◇心の安定を得る呼吸法
初心者が座禅をするときは、
・自分の息を数えなさい
・呼吸をゆっくりしなさい
・呼吸に意識を集中しなさい
と指導を受けます。 自分の呼吸に意識を集中することで心が安定
し、不安や悩みが消えてゆくのです。
◇四念処(しねんじょ)
どういう事に心(意識)を向けると悩みがなくなるのか?
お釈迦様は4つのことに心を向けなさいと教えました。
1)体
2)感覚
3)心
4)宇宙の法則
お釈迦様をはじめ当時の東洋の修行者は、
・『体に心を向ける』
・『心のあり方を見つめる』
と、悩みが少なくなるという事に気付いていました。
1)体 2)感覚 に心をむける-身念処(しんねんじょ)-
何かいやなことがあったら、
・「右手があります」
・「左手があります」
・「右足があります」
・「左足があります」
と心で言って自分に言い聞かせます。(2回でも3回でもやりましょう)
すると不思議なもので悩みが少なくなってゆくのがわかります。
また体の動きを報告するという方法があります。 たとえば歩いて
るとき、
・「右足が前に出ています」
・「左足が前に出ています」
と心で言って、心を込めて自分に報告します。
※私たちが悩んでいるときには脳の奥の方が活発に活動します。
そこで体を動かすと脳の奥の活動が弱まり、さらに動きながら自
分に報告すると脳の奥の活動は非常に弱まる、という事がわかりま
した。
3)心に意識を向ける-心念処(しんねんじょ)-
私たちは嫉妬したりねたんだりする想いを持つことがよくあります。
・「私はこれから嫉妬します」
・「私はこれから恨みます」
このように自分に報告します。 自分の心の動きを客観的に報告す
ると、人にばれた様な感覚や“ばかばかしく”思えてきてそれ以上、
嫉妬やうらみ、ねたみの感情を持続できなくなります。
いやな感情が起こったら自分に報告するようにしてみると、悩む
事も少なくなってくるのです。 昔から悩みは尽きませんが、昔から
ある悩みの解決法は、脳科学の観点からも理にかなっているという
お釈迦様は「ゆっくりと呼吸すると心の平安を得られる」とお経の
中で言っているそうです。
うつ病になると脳内のセロトニンを増やす薬が処方されますが、
ゆっくりとした呼吸は脳内の二酸化炭素が増えて、セロトニンも非常
に多く分泌されることがわかっています。
◇病気を防ぐ呼吸法
禅宗や天台宗や大乗仏教などで教える
・足先から頭の先までに意識を向ける呼吸法
・お腹の丹田あたりに意識を集中して行う呼吸法
・足の裏から息が入り、足~腰~お腹~胸~頭を通る呼吸法
などどの方法も私たちの精神を安定させるために昔からやってきた
方法であるといえます。
またこれらの方法を日々実践してゆくと、精神が安定すると共に
血圧などにも良い改善があり、その結果として生活習慣病を改善し
たり防いだりしてくれる効果があります。
医学が進んでくると昔から経験的に知っていた呼吸法や心を落
ち着けるさまざまな方法が、実は科学的な根拠があることなのだと
いう事実が解明されてくるのだと思います。
-心と体の健康-
第4日 瞑想と心と体の健康 .
瞑想やリラクゼーション、座禅などが私たちの脳や心にどのよう
な影響を与えるのか? 抑うつ気分の解消にも有効です。
◇瞑想すると脳は ・・・
瞑想と聞くと『無念無想、無我の境地』と考えすぎて、いざ座禅を
して瞑想をやってみると、さまざまな雑念が出てきてやめてしまうの
が普通の人です。
深い瞑想に入った人の脳波を調べてみると、癒しやリラックスし
たときの脳波であるアルファー波が出てくる事は有名な話です。
さらに、瞑想を極めた人の脳波を調べてみると、脳のある部分が
刺激され、『ガンマー波』と呼ばれる普通の人には見られない脳波
を確認することが出来ます。
修道院などで瞑想を極めた人の瞑想状態をMRIで調べてみる
と ・・・
喜びを感じる場所-側坐核 (そくざかく)-が活動していて、深い瞑
想は“楽しい思い”を感じている事がわかりました。 他にも、母親が
赤ちゃんをかわいがる時に活動する場所と同じ場所が活動している
ことがわかりました。
つまり瞑想すると、
・自分や他人に対する愛が深まる
という状態を感じられるようになるという事なのです。
(瞑想の脳の状態とは逆に、うつ病の人は自分や人を愛することが
出来ず、人を避けてしまう傾向にあります。)
◇瞑想する方法とは
禅宗の山田無文という人は、
「一つのことに心を向けていると 、だんだん楽しいだけの状態にな
る」と言っています。
自分の行動や心に意識を向け日々続けることで無理をしないで
瞑想しているのと同じ状態になってゆけます。
具体的な方法は、このシリーズの
『体と心に目を向けて報告する』
で取り上げた方法で ・・・
1)体 2)感覚 に心をむける-身念処(しんねんじょ)-
何かいやなことがあったら、
・「右手があります」
・「左手があります」
・「右足があります」
・「左足があります」
と心で言って自分に言い聞かせます。(2回でも3回でもやりましょう)
すると不思議なもので悩みが少なくなってゆくのがわかります。
また体の動きを報告するという方法があります。 たとえば歩いて
るとき、
・「右足が前に出ています」
- 6 -
・「左足が前に出ています」
と心で言って、心を込めて自分に報告します。
※私たちが悩んでいるときには脳の奥の方が活発に活動します。 そこで体を動かすと脳の奥の活動が弱まり、さらに動きながら自
分に報告すると脳の奥の活動は非常に弱まる、という事がわかりま
した。
3)心に意識を向ける-心念処(しんねんじょ)-
私たちは嫉妬したりねたんだりする想いを持つことがよくあります。
・「私はこれから嫉妬します」
・「私はこれから恨みます」
このように自分に報告します。 自分の心の動きを客観的に報告す
ると、人にばれた様な感覚や“ばかばかしく”思えてきてそれ以上、
嫉妬やうらみ、ねたみの感情を持続できなくなります。
いやな感情が起こったら自分に報告するようにしてみると、悩む
事も少なくなってくるのです。 昔から悩みは尽きませんが、昔から
ある悩みの解決法は、脳科学の観点からも理にかなっているという
事なのです。
これらの方法は簡単ですが効果のある方法です。 1週間続けた
ら、人から好かれるすばらしい人間になれます!!
◇人類が受け継いできた脳の構造
瞑想すると、脳内で母親が赤ちゃんをかわいがる時に活動する
場所と同じ場所が活動していることがわかりました。
私たち人間は、自然にわきあがる喜びを感じるように出来ていま
す。 もし憎んだり傷つけあったりするような行動をとる脳の構造だ
と、とっくに人類は滅亡していることでしょう。
私たちの脳は大切な人を愛するように出来ています。 瞑想とは、
そのことを気付かせてくれる自然で幸せな手段なのです。
********************************************************
第5日 言葉による心と体の癒し方 .
前向き(ポジティブ)な言葉を自分や他人に言い聞かせることで、
生き方が前向きになってきます。
◇言葉が心に与える影響
人から褒められたりすると元気になりますし、怒られたり、けなさ
れたりすると、へこんでしまいます。 人から意欲をかきたてるような
言葉を受けると、受け止めた方は脳内の意欲をかきたてられる部
分が刺激されます。
このように、“人の想い”が言葉になって相手と共鳴する場合には、
細胞も共鳴しています。 このような細胞は、状態(想い)が鏡に映
し出されたような状態から、『ミラー細胞』とよばれています。
『念ずれば夢は叶う』
という言葉を自分の心に投げかけると、自分の心(脳)の中の『念ず
れば夢は叶う』という部分が刺激されます。 それを続けていると、
非常にやる気が出てきて気分がよくなり、実際に脳にも、やる気と
元気の出る仕組みが備わっていることがわかってきました。
これらのことから、普段から良い言葉を読んだり聞いたりして、自
分自身に言い聞かせると、心と脳に良い影響を与えることが出来ま
す。
◇困ったことは起こらない
何かいやなことや困ったことが起こったときには、「自分には困っ
たことは起こらない」と言い聞かせると気分が落ち着きます。 実際
に困ったことは起こりそうに思いますが、そんなに困ったことは起こ
りません。
私たちの心は心配の方に振れやすいですから、困ったことに心を
とらわれていると、イライラしたり病気になったりしてしまうのです。
◇般若心経の呪文
般若心経の終わりの4分の1は、「呪文を唱えましょう」というもの
で、この呪文を唱えると全ての苦悩は取り除かれ、悟りの心を持っ
ているのだ!という内容になります。
般若心経を唱えたり聞いたりするときに、
・全ての苦悩が取り除かれるありがたいお経
と思って聞くと、ミラー細胞が反応して悩みや苦悩が取り除かれま
す。 私たちの体はそういう仕組みを持っているのです。
また、般若心経を唱えると呼吸がゆっくり長くなり、お経に意識を
集中すると瞑想法の原点と合致しています。 また一生懸命にカラ
オケを歌う時にも同じようなことが起こります。
◇良いことを想えば良いことが起こる
人から褒められたり、元気づけられたりする以外の時でも、「良い
ことを想えば良いことが起こる!」と、自分に言い聞かせるだけで、
心と脳が癒され元気が出てきます。
昔からの瞑想法や宗教の教えなどは、心の悩みを取り除き、より
良い人生を送るために考え出されてきたと言えます。
私たちの心(脳)から悩みや不安を取り除くには、そのような先人
の知恵にこそ答えがあり、実際に脳を調べてみると科学的な根拠に
裏打ちされたものなのです。
-心と体の健康-
- 7 -
■健康長寿・脳と栄養の医学 .
【http://radiodekenko.seesaa.net/category/3302488-1.html】
【放送日:2009年03月 ?日~ 日】
第1日 脳と栄養 .
脳の質量は、全体重のわずか2%に過ぎませんが、必要とする
栄養(エネルギー)は、体全体の25%もあり、筋肉や内臓と比べて
まったく違った器官といえます。
体の健康や栄養に気を使うことも大切ですが、脳の栄養や健康
も考えないと『ぼけ』につながってしまいます。
第2日 脳と甘いもの .
私たちには、脳の栄養=ブドウ糖=甘いもの、という認識があり
ます。 筋肉やその他の臓器はブドウ糖をエネルギーにして、ブドウ
糖が足らない時は、「脂肪」をエネルギーに変えてエネルギー源に
します。
脳が正常に働かなくなると体の健康も維持できなくなりますから
『脳の健康と栄養』
は、私たちが健康で長生きするためには非常に大切なことなのです。
◇甘いものがおいしい理由
脳の活動源はブドウ糖のみですので、脳にとってブドウ糖が不足
した時には、ブドウ糖(甘いもの)が欲しいという信号を出します。 そしてブドウ糖(甘いもの)が補給されれば脳は喜びますので、甘い
ものがおいしいと感じるのです。
甘いものを食べることは、『脳が喜ぶ』ともいえます。
◇脳の進化
人類の祖先が木から地面に下りた時の脳の重さは約400グラム
程度でした。 これはチンパンジーと同じ位です。 その後、600グ
ラム、900グラムと増えてゆき現在は、約1400グラムの重さがあ
ります。
脳がこれだけ発達した原因には、非常に効率良く脳に栄養を取り
入れることができたためと考えられています。
チンパンジーが食べるものは自然の物ですが、人間が食べるも
のは、穀物や肉類を食べやすいように加熱調理して栄養を摂ります。
これを栄養価で比較するとチンパンジーの食品類に比べて、約10
倍もの栄養を人間はとっていることになります。
人間が摂る高い栄養は、ほとんど脳のために使われるともいえる
のです。
◇脳を元気にする方法!
最近流行の脳トレや脳の若返りは、『脳』にエネルギーを充分与
えてやることが必要になります。 充分な栄養を与えた上で脳トレや
脳の若返りなどの脳への刺激(運動)が、脳の“脳力”を維持して高
めることにつながります。
◇人間が太りやすい理由
他の動物に比べて人間は、脳に多くの栄養を必要とするため、脳
以外の器官がエネルギーを消費する効率が良くありません。 つま
り摂ったエネルギーを熱に変えにくく、余分な摂取エネルギーは、脂
肪で蓄えるという特徴があります。
このことから人間は他の動物にくらべて、非常に太りやすい特性
を持っています。 脳の栄養と体の健康を考えて、偏りのないバラン
スのとれた栄養を考えてゆく必要があります。
ところが ・・・
脳の活動に必要とするエネルギー源は、『ブドウ糖』しかありません。
脳は脂肪を分解して取り込むという事はできません。
また甘いものは脳の癒しになりますので、赤ちゃんの足先に針を
刺して採血するときなどは、「砂糖」をなめさせると泣かなくなる、と
いう事があります。
人間だけでなく動物も果物など、甘くなった物を好みます。 甘いもの=ぶどう糖は、脳にとって重要なエネルギーなのです。
第3日 脳と糖尿病 .
甘いものを食べ過ぎると、『糖尿病』になる心配が真っ先に頭に
浮かびます。 脳のエネルギーは甘いもの(ぶどう糖)のみなので、
脳の活動にとっては、甘いものは必要なのです。
◇肥満と甘いもの
『甘いものを食べると肥満になる』という認識がありますが、実は
砂糖を摂って肥満になる、というデータはありません。 肥満は中性
脂肪の摂りすぎなどが原因です。
甘いものをばかりが血糖値を上げる食品ではなく、せんべいや芋
などでも血糖値が上がります。 血糖値を長い間上げ続ける食品が糖尿病にとって良くない食品
とされています。
◇痩せていても糖尿病になるリスク
痩せていても糖尿病になる人は増えています。 実際に健康な人
と糖尿病の人との体重を調べてみると、ほとんど変化は見られませ
ん。
糖尿病は、インスリンの働きが悪くなりブドウ糖を細胞に取り込め
なくなり、血液中のブドウ糖量が多くなる病気です。
◇脳の活動を調べてみると
テレビ番組などで、脳のどの部分が使われているか、MRIで確
認する画像を見ることがありますが、あの活動している部分は、
・脳がぶどう糖を取り入れているか
・脳がぶどう糖を燃やしている(消費している)
という点について見ています。
【倹約遺伝子】
人類の歴史は飢餓の歴史でもあります。 人間は飢餓状態にな
ると、脳が真っ先にブドウ糖を確保しようとする働きがあり、体に入っ
た栄養(ブドウ糖)をインスリンを働きにくくして、ブドウ糖がなるべく
脳に行くような仕組みになっています。 つまり飢餓状態が続くと、インスリンの働きが悪くなってしまうの
です。 このことから、栄養状態が悪くても糖尿病になる危険性があ
ります。
脳が活発に活動しているという事は、『脳がぶどう糖を取り込んで
使っている』という事なのです。
脳を使う仕事をしたり、能力を上げたい、ボケ予防のために脳を
鍛えたいなどの場合には、脳のエネルギー=ぶどう糖を摂ること、
を心がけましょう。
無理に甘いものをガマンして脳を使い続けると、エネルギー不足
から仕事や勉強の効率が悪くなってしまいます。
痩せている人については、太るから甘いものは食べない!という
のではなく、脳の栄養と休息や癒しと糖尿病予防のために太らない
程度に甘いものを食べるという事が大切になってきます。
※太っている人は、食事制限と運動が必要ですので、この限りでは
ありません。
脳を使わないのに甘いものを摂れば太りますが、脳を使う時には、
脳が効率よく働ける量の甘いものの摂取は、むしろ必要なことなの
です。
◇脳と体の健康
脂肪の取りすぎや甘いものも必要以上に摂りすぎると、健康には
良くありません。 逆にダイエットなどで痩せすぎた場合も、脳と体
には良くないことがわかりました。
脳と体にとって良い状態とは、脳に充分な栄養(ブドウ糖)を与え
体は太らない程度の栄養を摂る、というのが健康には良いと言えま
す。
-心と体の健康-
- 8 -
第4日 脳と肉や卵、牛乳 .
肥満の予防には、野菜を多く摂って、肉や卵や牛乳などはなるべ
く摂らないほうが良いと思われていますが、脳の活動や栄養という
視点で見ると少し様子が変わってきます。
第5日 脳とコレステロール .
卵やマヨネーズなどコレステロールを多く含む食品は、なるべく摂
らないほうが良いとされていますが、脳の立場から見たコレステロー
ルは、一般論とは少し様子が違います。
◇牛乳と寿命、うつの関係
ヨーグルトに代表される長寿食品の源の牛乳は、たくさん摂れば
長寿になるという関係があります。
うつには脳内のセロトニンを増やす薬が処方されますが、牛乳や
卵にはセロトニンの原料であるトリプトファンというアミノ酸が含まれ、
セロトニンはこのトリプトファンからしか作り出すことができません。
コレステロールは脳には入ってゆきませんが、形を変えて脳に入っ
てゆき、脳を守る働きをします。
摂食障害の項でも触れましたが、過激なダイエットによって『うつ』
になるのは、トリプトファンが不足することも原因の一つと考えられ
ます。
牛乳は良くないという話もありますが、脳と体の健康を考えた場
合、むしろ積極的に摂りたい食品であるといえます。
◇セロトニンを増やす方法
トリプトファンは、酵素の反応によってセロトニンに変わります。 同じ食事でトリプトファンを摂っても条件によっては、さらにより良く
セロトニンに変えることができます。 その方法は ・・・
・明るいところに出る
・体を動かす
・眠る
・明るいことを考える
などがあります。 食後、外で日光を浴びながら軽い運動をするのも良いですし、無
理をせず前向きに楽しく生きることで、肉や卵や牛乳から摂ったトリ
プトファンがより多くセロトニンに変わり、脳の健康にとって良い状態
を作ります。
◇デザートの効用
食後に甘いもの(ブドウ糖)を食べると脳の中にトリプトファンが入っ
て行きやすくなります。 つまり食後、甘いデザートを摂ることによっ
て脳が安定し、満足感が得られるということになります。
健康的な食事法として ・・・
「腹八分で食後少し甘いデザートで満足感を得る」
というのが、体と脳にとって良い栄養の摂り方といえます。
◇コレステロールの2つの大事な働き
【脳梗塞】
コレステロールを多く摂る人は、脳梗塞が非常に少ないというデー
タがあります。 これはコレステロールの脳細胞を守る働きによるも
のです。
脳梗塞の後に失語症になった人を調べると、血中コレステロール
値が多い人は、少ない人に比べて失語症の症状がひどくない傾向
にあります。
コレステロールを極端に摂らないと、脳梗塞の予防という点から
見て良いことではありません。
【認知症】
コレステロールを多く摂る人は、認知症になりにくいということが
世界的にわかってきました。
一般的にコレステロールを下げる薬を飲んでいると認知症になり
にくい、という事例があります。 一見すると相反する事実ですが、
コレステロールを下げる薬は、脳内ではコレステロールに作用しな
いで脳の炎症を抑える働きをして、脳内のコレステロール値はあま
り変わらないことがわかってきました。
そこで脳とコレステロールの関係を良く調べてみると ・・・
認知症になると脳に老人班という脳細胞が死んでシミが多く見られ
ますが、コレステロールを比較的多く摂っている人の脳には、老人
班が少ないことがわかってきました。
ここで大切なことは、脳梗塞や認知症予防にコレステロールが良
いから!と健康を害するほどコレステロールを摂ったり、極端な健
康志向やダイエットで本来必要なコレステロールを摂らないなど、栄
養のバランスを欠いてはならないという事です。
卵も牛乳も肉も本来健康を保つ上では大切な栄養を含んでいま
す。 中性脂肪やコレステロールばかり摂るような偏った食事は、健
康を害しますが、野菜やサプリメントばかりの偏った食事も健康を
害します。
何事もバランスが大切です!
健康な人では高齢者でも1日1個の卵と1日70グラムの肉は平
均的な日本人にとって妥当な量のコレステロールを摂取できる目安
です。
高脂血症などコレステロールを減らさなければならない人は、医
師と相談してコレステロールを含む食品をとるようにしてください。
甘いものやコレステロールは摂りすぎても、避けすぎても健康に
は良くありません。
何事もバランスを考えてほどほどに摂るのが、健康長寿のため
になります。
- 9 -
-心と体の健康-
■心をいやす生活の仕方と考え方 .【http://j4ef.com/kokoro/】
【放送日:2009年12月21日~25日】
第1日 脳とこころ .
◇脳と心の関係
お釈迦様は、脳と心の関係は“たいまつ”と“炎”のような関係とい
われました。
周りを明るくするためには、たいまつに大きな火が燃えるようにな
らなければならず、たいまつ自体が太くしっかりしていないといけま
せん。
喜びや悲しみなどの感情を起こす仕組みを持っているのが“心”
で、物体にはあまり意味がありません。
最先端の科学で脳を見てみると、脳の断面や脳が活動している
状態を手に取るように見ることができます。
嬉しさ、悲しみ、怒り、などの感情があるときには、脳の特定の部
分が活動します。 しかし、この時の脳の活動が直接“心”の状態を
示している、という訳ではありません。
脳が活動しているというのは、脳細胞がブドウ糖を使っている状
態のことで、果たしてその状態が心(感情)にとってどのような働き
をしているのか?実は良くわかっていません。
◇脳トレの効果について
子供が英語を勉強し続けると、脳の特定の部分の活動が活発に
なります。 やがて英語をマスターすると、いままで英語の勉強で使っ
ていた脳の部分の活動は小さくなり、ものすごく少ないエネルギー
でも英語を上手に話すことが出来るようになります。
ピアノでも同じことが言えます。 ピアノを習いたての人の脳の活
動映像を見ると赤い部分が非常に多いのですが、上手い人になる
と脳はほとんど活動しないにも係わらず、ピアノを上手に弾く事がで
きます。
また、高齢者が何かの『脳トレ』を行うと、子供の英語勉強と同じ
ように始めは活発に、やがてマスターするに連れ脳の活動は少なく
ても“難なく”出来るようになってゆきます。
脳の活動映像を見て、良く働く赤い部分をみると
・発展途上で、まだ上手く出来ない状態
・勉強が進んで、これから省エネになってゆく状態
どちらの状態なのかは判断がつきません。
脳を鍛えて物覚えや語学が出来るようになった!とか、この頃物
忘れが多くなったとか、本人にとっては大きな違いであるにもかか
わらず、脳の映像は同じように映るかもしれません。
ここに本人の心の状態というものが加わって初めて、今の自分が
わかるようになるのです。
◇こころを穏やかに保つには
一般的に、大人が思い出すことの80%はイヤな事だといわれて
います。 人生の経験が長い高齢者ほど多くの嫌な想い出が多く思
い出されます。
脳トレなどで記憶を鍛える場合には、何かを覚える能力を鍛える
ようにして、昔の嫌なことを思い出すようなことには関心を持って
行ってはいけません。
悲しみや憎しみ、辛かったこと、嫌だったことなどの感情で心がいっ
ぱいになってしまうと、脳の健康のためにも良くありません。
感情は自分の心で上手にコントロールする事が心を穏やかにす
るコツなのです。
マイナスな感情が心に浮かんだら、意識的に楽しいことや嬉しい
ことにスイッチを切り替えられる様にしたいものです。
********************************************************
第2日 ストレスと脳 .
◇人によって違うストレス
同じように困った状況になっても、ストレスの感じ方は人それぞれ
です。 ストレスを受け続けると、不眠症や自律神経失調症など心
療内科的な病気にもなりますし、脳の健康にも悪い影響を与えてし
まいます。
なるべくストレスは少ないほうがよいのですが、どうすればストレ
スを感じにくくなるのでしょうか?
◇ストレスと脳のしくみ
心配事や重圧感など、心に負担を感じるような状態の時、脳では
『CRH』というホルモンが出されます。 このホルモンは、ストレスに
対抗する働きのあるもので、CRHは副腎皮質から『コルティゾル』と
呼ばれる副腎皮質ホルモンを分泌させます。
『コルティゾル』の最大の役割は、“血液中のブドウ糖を高める”こ
とで、それによって瞬間的なエネルギーを使うことが出来るようにな
ります。
この働きは、大昔の生活で狩猟や身の危険を感じたときに、逃げ
たり戦ったりする時に必要だったものです。
しかし、現在のストレスは、同じストレスでも大昔のものとは違い
ます。 たいていは、長い時間ストレスは続きますので、その間中ホ
ルモンは分泌され続けます。
すると、ホルモンの働きにより血糖値は上がったままで、やがて
糖尿病になってしまいます。
◇脳と糖尿病、認知症
体型は太っていないのに糖尿病を発症する人がいます。 60歳
から70歳までの12万人の人を対象に10年間追跡調査した結果、
一番糖尿病の多かったのは「痩せ型」の人でした。 次に「太ってい
る人」「普通の体型」という結果になっています。
絶え間なく心に不安や心配、イライラを抱え、ストレスを受け続け
た状態では、脳からホルモンが分泌され続け、血糖値も上がったま
まになってしまいます。
さらにストレスを受けることによって、分泌される副腎皮質ホルモ
ンは脳細胞と結びつくと、しばらくの間脳細胞の働きを抑えて、特に
記憶の部分の働きが悪くなります。
ストレスや精神的なショックが長く続くと糖尿病ばかりでなく、脳細
胞が死滅することにもつながり、認知症も発症してしまうのです。
また、戦争や紛争など極限状態に居ると脳細胞が死んで脳が小
さくなることが確認されています。 実際にベトナム戦争では、3年
間、戦場に居た人の記憶をつかさどる海馬という脳の場所は、半分
にまで小さくなっていました。
◇社会から受けるストレス
ストレスを感じている今の状態がいつまで続くかわからない時に
は、ホルモンが出続け、糖尿病や心筋梗塞や脳梗塞も起こしやすく
なります。
現代社会でストレスを感じている人は、閉塞感が心を支配して、
先の見えない不安、ストレスを感じ続けます。 社会の不安は人々
にも不安を与え、ストレスが続くことにより心や体を病む原因になっ
ています。 社会全体の処方箋はわからないにせよ、自分自信の
対策は出来るはずです。
ストレスが脳や健康に与える影響を知れば、なるべくストレスを避
け改善するような生活習慣や環境になるように改善すると、心が軽
くなったり、不眠症がましになったり、体調が少し良くなったりするか
も知れません。
そうすれば、ストレスから開放される見通しが立ち、それこそがス
トレスから開放される方法なのです。
正しい知識とそれに基づく行動が私たちの心にも安定をもたらせ
てくれます。
-心と体の健康-
第3日 ストレスと体 .
◇ストレスに強くなるには?
ストレスを受け続けるような生活や環境では、糖尿病になったり、
ホルモンが脳細胞を死滅させたりと、健康にも悪いことがわかって
います。 ではどのようにすれば、ストレスを感じない、ストレスに強
くなれるのでしょうか? そもそも、ストレスは今に始まった事ではなく、ずっと昔からありま
した。 原始時代には、常に他の動物から命を狙われる危険な環境
にあり、また戦国時代でも命の危険は常にありました。
しかしその様なストレスの多い環境において、病気になる人もい
れば健康で長生きできた人もいます。
いったいその違いは何なのでしょうか?
ストレスは、先の見えない不安や恐怖などから起こります。 その
ような時でも精神を安定させることができれば、ストレスをコントロー
ルすることができます。
日本では昔から、書道や華道など、体や姿勢を正して心を落ち着
かせる方法が用いられています。
◇意識を集中させる
私たちが立ったり座ったりしている時、無意識に筋肉を使って姿
勢を維持しています。 姿勢を真直ぐにしたような状態では、背筋や
首の筋肉が緊張します。 するとその状態は脳の前頭前野(ぜんとう
ぜんや)を刺激します。
前頭前野は刺激されると、やっていることに気持ちを集中させる
ように働きます。 意識をあることに集中させると他の事は気になら
なくなることは、誰でも経験していると思いますが、心を落ち着かせ
るために行う“姿勢を正す”、“華道や書道”を行う、という行為に意
識を集中させると、不安や心配を感じる事がなくなってきます。
逆に不安や緊張や怒りなどの感情を抑えよう、忘れようとすれば
するほど、脳の不安や緊張を感じる部分を刺激して、逆効果になり
ます。
このような事から、昔の人はストレスから気持ちを落ち着かせ精
神を安定させる方法を知っていました。 現代では、命に係わるよう
な危険な環境にはありませんが、ストレスは相変わらず存在してい
ます。
ストレスを解消するには、日々の生活の中で少しの時間、真直ぐ
に姿勢を正して字を書いたり、お茶を飲んだり、など姿勢を正すこと
と何かをする事に意識を集中させる習慣を身に付けることで、心の
安定が手に入り、ストレスの上手な解消法にもなります。
◇ストレス解消の呼吸法
姿勢を正して何かを行う事と合わせて大切な事に『呼吸』があり
ます。 お釈迦様は「出来るだけゆっくりと呼吸をすれば、心の平安
は得られる」とおっしゃっています。
息を長い間止めていると苦しくなってきて、たまらなくなって呼吸し
- 10 -
だすと、しばらくは早い呼吸になります。
この時の体の変化は、血液中の二酸化炭素が増え、二酸化炭素
が脳の呼吸中枢を刺激して苦しくなります。 呼吸が再開されると
二酸化炭素を体から早く出すために呼吸が早くなります。
血液中の二酸化炭素が増えると脳内では「セロトニン」が多量に
分泌されます。 意識的に呼吸をゆっくりさせると、血中の二酸化炭
素濃度も上がり「セロトニン」の分泌もさかんになり、その結果、気
分が良くなるのです。
第4日 ことばと心 .
◇ことばが心に与える影響
人から褒められると嬉しく感じ、怒られたり、けなされたりすると腹
が立ちます。
言葉が心に与える影響の例として、医師が薬を出す時に「この薬
は良く効きます」と言うのと、「薬が効くかどうかは良くわかりません」
と言うのとでは効き目にも違いが出てきます。
このような事は「フラシボー(フラシーボ)効果」と言って、言葉によ
る暗示が言葉の力だけで効果がある、というものです。
また呼吸は、腹式呼吸が良いとされていますが、これはお腹で呼
吸すると、副交感神経が刺激され、その刺激が脳に行きます。
最近のことですが、お腹から脳へ行く副交感神経を電気的に刺
激すると【うつ病】が治る、という事も確認されていて、アメリカでは、
電極を体内に埋め込み、副交感神経を刺激する治療も行われてい
ます。
最近のイギリスの研究では、砂糖水などで実際には薬の作用の
無いものを2種類の方法で、不安に悩む患者に与えると興味深い
結果が得られました。
一つ目は「この薬は効きます」と言って与えると80%の人に効果
があり、「この薬は効くかどうかわかりません」と言って与えると30
%の人に効果がありました。
腹式呼吸をゆっくりすることは、腸や内臓、副交感神経が刺激さ
れその結果脳が落ち着ける、という科学的な根拠があったのです。
呼吸のポイントは、姿勢を正して、おへそと肛門の間あたりの“丹
田”を意識して、下腹を出したり引っ込めたりして呼吸します。
実際には薬ではない「ニセ薬」を与えているのですが、『医師から
処方されたもの』と『薬』を飲んでいるという意識の刷り込みが、効
果を果たした、ということになります。
さらに、たねあかしをして「実は砂糖水です」と言います。 そして、
そのあとに「この砂糖水を飲んだほとんどの人がうつ病が良くなって
います」というと4割程度の人のうつ病は治ってしまいます。
禅では数息観(すそくかん)と言って、ゆっくり数えて10回息を吐き、
ゆっくり数えて10回息を吸い込みます。 これを5分ほどすると、本
当に気持ちよくなります
電車の待ち時間や会社や学校の休憩時間、家事の合間など毎
日やってみたい習慣です。
このように信頼できる人からの言葉というものは、時として薬以上
の力を持つことがあります。
◇脳のシステム
痛み止めの薬を、痛い所に塗ると痛みが緩和されます。 またニ
セ薬をそれとは教えずに塗っても、痛みが緩和されます。
この時、脳では喜びを感じる脳の部分が刺激され、痛みが緩和さ
れるような感覚になっているわけですが、
・効く薬の作用と
・塗り薬を塗ったんだ
という作用が脳に働き痛みを和らげる、という結果になります。
また、アメリカで行われた実験ですが、同じ作用の薬でも値段が
高い薬と安い薬では、『高い薬』の方が効果があります。
私たちは『値段が高い=良い物』という意識を持っていますので、
脳はそれに対応した反応を示してしまうのです。
このように、「ことばの力」や「信じ込む意識」は、心理ばかりでなく
実際に脳にも作用をするのです。
◇3つの魔法のことば
もし、不安や心配なことに直面した時には自分で自分に
「大丈夫!うまくゆく!」
と言い聞かせます。
不安を感じるのも脳ですが、不安を解消するのも脳です。
ことばには、言霊(ことだま)と呼ばれる不思議な力が宿っています。
高田先生が心がけている「3つのことば」は、
・困った事は起こらない
-心と体の健康-
・全ては良くなる
・嫌なことは思い出さない
ということです。 このうち最も効果があり多くの人が賛成するものに
『困ったことは起こらない』
があります。
嫌なことや困った事があった時には、即座に『困ったことは起こら
ない』と言うと嫌な感情は即座に消えます。
「嫌なことを忘れよう」、「こんなことは思ってはいけない」と思えば
思うほど深みにはまってゆきます。
そんな時は『困ったことは起こらない』という言霊の力を借りて、
何度も『困ったことは起こらない』と繰り返し言うと不安や心配が消
えてゆきます。
ことあるごとに、3つの言霊をつかって心を癒してください。
- 11 -
第5日 脳の健康と食べ物 .
◇脳と心
脳と心の関係をテレビにたとえると、脳は映像を映し出すテレビ
(ハード)で、心は番組(ソフト)と言い換えることができます。
テレビがちゃんと映るようになるには、電気が必要ですし、部品や
配線もちゃんとしていなければなりません。
脳も脳細胞を結ぶ神経回路と脳細胞がちゃんとしていないと上手
く機能しません。
◇脳に大切な栄養
私たちは、食べ物から栄養を摂っています。 その栄養を分解、
合成して生命の維持を図っているわけですが、『必須アミノ酸』や
『必須脂肪酸』などは、食べ物から摂らないと体内では合成できま
せん。
必須アミノ酸の中でも『トリプトファン』は、脳内で『セロトニン』を作
り出すのに必要な物質で、『セロトニン』が減少すると【うつ病】の原
因にもなってしまいます。
この『トリプトファン』は、『肉や卵』などに多く含まれ、穀物では大
豆にも含まれています。
ダイエットで【うつ病】を発症することがありますが、肉や卵などを
全く食べない生活を送る事で、『トリプトファン』の摂取不足が原因に
なっている場合があります。
◇セロトニンを元気にする方法とは?
『トリプトファン』は、脳内に入ると酵素の働きで『セロトニン』にな
りますが、酵素がより活発に働き『セロトニン』を多く生成させるため
には、
・光を浴びる
・運動する
・心に良い思い、明るい思いを持つ
ことが必要です。
セロトニンは、夜など暗い環境になると『メラトニン』に変化します。
メラトニンが脳で生成されると眠気を感じて休みたくなります。
昼間は太陽の光を浴びて明るい心で良く動き、夜になったら休む、
というのが、健康的で自然な生活パターンなのです。 昼間はいつ
もすっきりしなかったり、夜眠れないというのは、どこかで生体リズ
ムが狂っているのかも知れません。
オフィスワーク中心の仕事をしている場合などは、昼休みなど意
識的に屋外にでてセロトニンを一杯作っておきましょう。 すると夜
になると多くのセロトニンがメラトニンに変わって良く眠れるようにな
ります。
◇DHAを摂るには!
頭が良くなる栄養として有名な『DHA』ですが、これは青魚に多く
含まれています。 しかし最近では肉食中心でほとんど魚を食べな
い人も多くいます。
『DHA』はうつ病を防ぐ効果もあり、魚を多く食べる国では、うつ
病の発症は少ない、という事もわかっています。
ところで肉の栄養には、体内で作り出すことの出来ない必須脂肪
酸の『アラキドン酸』があります。 最近の研究でこの『アラキドン酸』
が、脳内で至福感を起す物質であることが突き止められました。
ステーキやすき焼き、しゃぶしゃぶなどを食べると幸せに感じるの
は、『アラキドン酸』が脳に働きかけているものだと考えられます。
この『DHA』と『アラキドン酸』が50:50で入っている食品に『卵』
があります。 魚をほとんど食べない生活を送っているような場合で
も、健康維持やうつ病予防のために、『DHA』は摂りたい栄養なの
ですが、一日一個の卵を食べると『DHA』と『アラキドン酸』の両方
を摂ることが出来て、脳の健康にとっても良い食生活が送れるので
す。
◇ダイエットと食事
お肉や卵などは【ダイエット】する時は、避ける食品の筆頭に上げ
られる事が多いのですが、コレステロールは実に7割が体内で生成
されています。
食品からコレステロールを摂ると、多く摂りすぎた分はコレステロー
ルの体内生成を抑える働きがあり、バランスを取っています。
もちろん肉や卵の食べすぎは健康に良くありませんが、厚生労働
省が調べたところによると、1日1個の卵の摂取では、
※コレステロール値は上がらない
という調査結果が出ています。
ダイエットをする時に、カロリーや脂肪、コレステロールばかりに
目を奪われ、体と脳に大切な栄養を摂らない生活を送ることは、と
ても危険なことなのです。
◇3つの魔法のことば
日々の生活の中で、健康を維持することと、脳と心にも良い生活
を心がけることが人生の幸せにつながる、ということが今回のシリー
ズでよくわかりました。
もう一度、高田先生の3つのことばを心がけ、健康ライフを送りま
しょう!
・困った事は起こらない。
・全ては良くなる。
・嫌なことは思い出さない。
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-心と体の健康-
■言霊(ことだま)と医療 .【http://j4ef.com/kotodama/】
【放送日:2010年04月19日~23日】
第1日 言霊とは何か? .
◇言霊(ことだま)とは何か?
言霊ははるか昔からある言葉で、キリスト教や仏教の経典にも多
く書かれています。 日本では八百万(やおよろず)の神を信仰してきた
背景から、
「言霊によって幸せになる国」
と様々なところで言われていますし、万葉集には、
「大和の国は言霊の幸を招く国と語り継がれけり」
とも書かれています。
このように言葉に霊が宿る、という考えを持った国は他に無いの
ではないかと思います。
◇般若心経
お釈迦様の教えである仏教の経典は、玄奘三蔵によって中国に
伝えられ
『大般若波羅蜜多経』
という600にも及ぶ経典がつくられました。
この経典すべてを読むには大変なことですが、そのエッセンスを
まとめたものが、
『般若心経』
なのです。
日本人として初めてのノーベル賞を受賞した物理学の湯川秀樹
博士によると、この般若心経は物理学の観点から見ても間違いの
ないものだ!という見解を示しています。
◇お経を唱える
般若心経の終わりの3分の1では、「皆さん呪文を唱えましょう」と
いうお経になっています。
「この呪文は全ての苦を除く」
という言葉のあとに
「掲諦掲諦(ぎゃーてーぎゃーてー)」
というお経が続きます。
このお経は、
「私たちが仏様と同じような清らかな心を持っている、ということが分
かったという事だ」
という意味で、言葉の力によって私たちは幸せになることができる
!ということが解かれているのです。
◇神道では
神道は仏教のように経典など言葉として残っているものは少ない
のですが、江戸時代に黒住宗忠(くろずみむねただ)が開祖となった「黒
住教」があります。
黒住宗忠は末期の重い肺結核になり、あと一週間ほどの命とい
う診断を受けました。
その時、朝日のあたる場所に座らせてもらい光を浴びていると突
然気分が良くなり、笑いたくもなり「笑いに笑い」病気が治ってしまい
ました。
黒住宗忠の教えには
「ありがたい!と唱えなさい」
というものがあり、朝起きた時、顔を洗ったとき、人にあった時、など
全てにおいてありがたい!と唱えると必ず運勢は良くなると言って
います。
◇善人の罪
常日頃、良い行いをしていると、良いことが起こり幸せになれると
普通なら思います。
しかし、その心の中で、自分はダメだと思ったり、悲観的な思いに
とらわれている人は、神の力を受け止められず不幸になってしまい
ます。 口に出す言葉、心で思う言葉、両方とも同じ言葉であり言霊なの
です。 言葉は使い方次第で幸せにも不幸せにもなる力をもってい
るのです。
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第2日 言霊と薬の関係 .
◇言葉が病気に効く!?
病気になったときに病院に行ったり、往診を受けたりするだけで
症状が和らぐことがあります。 お医者さんの診察を受けるまでは、
あれこれと自分の病気のことについて悩み考えていたのに、先生の
『大丈夫ですよ』
という言葉を聞いたとたんに楽になる、という事もよくある話です。
『医の倫理』で有名な「ウイリアム・オスラー」先生の興味深い話
があります。 オスラー先生が病室に入ってくると、患者はみんな治っ
たような気になり、また先生が与えた薬は、他のどの先生が与えた
薬よりよく効く、という噂がありました。
◇プラシーボ(placebo)
体調が悪いので病院に行って診てもらってもどこも悪くなく、原因
がはっきりしないことがあります。
そのような患者さんを集め、
一人には「あと2~3日で良くなります」といって、薬のように見え
るビタミン剤のような物(偽薬)を与えます。
もう一人には「あと2~3日で良くなります」といって、何も与えま
せん。 さらに、もう一人には偽薬を「効くかどうかわからない」と言っ
て与えます。
すると、医師から「良くなります」という言葉とともに薬をもらった人
は、偽薬にも関わらず70%が良くなった、という結果になりました。
同じ薬を飲んでも「効くかどうかわからない」という人は、40%程
度に効果がありました。
このことから、
・医師の言葉による効果
を認めることができます。
◇医師の言葉の力
病院であまり説明が受けられない場合と、十分な説明を受けられ
る場合では、安心感は大きく違ってきます。
手術をした患者さんを2つのグループに分け、一方は術後の経過
や薬の効果などの十分な説明をして、もう一方は説明をしないまま
治療を進めます。
この2つのグループで痛み止めの量を比べると、詳しく説明した
方が痛み止めの量は少ない、ことが分かりました。
この場合は、偽薬ではなく本物の薬を使っているわけですが、こ
の場合も十分な説明という『言葉』を使うことによって、薬の効果が
高まった、ということが分かります。
またこの場合に大切なことは、医師からの言葉である、ということ
です。 患者の立場で医師の言葉を聞くと、『先生(医者)が言って
いるから本当のこと』という無意識の信頼があります。 信頼のおける人からの言葉というのは、薬以上の『言霊』という力
を持つものなのかもしれません。
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第3日 言葉が脳に与える影響 .
◇言葉が脳に作用する?
私たちは映画などを見ると、無意識に体が動くことがあります。
これは脳が見ている人と同じような行動をする、という働きによるも
のです。
サルの実験では、腕を動かす時に働く脳の場所は、同じ動作を
見ているだけで働いていることがわかっています。
自分の行動と同じ行動を見ただけで働く神経構造を、
「ミラーニューロン」
と言い、私たちの脳には、鏡のような神経構造の働きがあるといえ
ます。
他にも、人が酸っぱいものを食べたり、くすぐられていたり、など
自分に起こっていないことでも、見ただけで同じような感覚になるこ
とがあり、脳内では自分が感じる場合と同じ場所が活動しているの
です。
脳には真似をする神経細胞があり、言葉による影響も受けます。
「これを飲めば良くなります」
とか
「元気になりますよ」
などと言われると、言葉の「ミラーニューロン」が働いて気分が良くな
るドーパミンが分泌されます。
◇ベータエンドルフィン
脳には「ベータエンドルフィン」という痛みを感じなくする物質を自
ら分泌させる作用があります。 医師などから「これは痛み止めです」
と言われただけで、脳内では「ベータエンドルフィン」が分泌されま
す。
- 13 -
-心と体の健康-
他にも体をぶつけたりすると、【痛い!】と叫んでしまいますが、こ
の【痛い!】と叫ぶことにより少し痛みが和らぐ作用があります。
(しかし、さらに激しい痛みの時には言葉は出ません。)
また失敗した時などには、「あ~あ、どうしてあんなことをしたんだ
ろう」と思わず言ってしまうことがありますが、これも言葉に出すこと
で、気分を落ち着ける作用があるからなのです。
◇言葉の大切な使い方
言葉は思っているだけよりも、『言葉』として口に出したほうが私
たちの健康や精神に影響を与えます。
心が安らいだりするような言葉は、意識して口に出すことで、脳内
物質の分泌がさかんになりますし、心も穏やかになります。
できるだけ楽しい言葉や嬉しくなる言葉、笑いなどは、脳の「ミラー
ニューロン」の働きにより、連鎖的に人から人に伝わります。
逆に、負の思いを言葉に出すと同じように伝わっていきますので
注意が必要です。
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第4日 うつ病の薬と言葉の関係 .
◇うつ病の薬物療法
うつ病にかかる人は、増加していると言われています。 うつ病と
して医師の診療を受けている人は100万人を超えていますし、その
前段階の軽度な人を含めると数百万人とも言われています。
うつ病の薬物療法として「抗うつ薬」が使われていますが、中には
薬が効かなくて次々と新しい薬を処方されるケースもあります。
さらに、うつ病は良くなっても再発しやすい病気ですので、そのよ
うな場合には薬の効果に疑念が持たれています。 同じ薬を使って
いても、診断して処方する医師の先生によって効果が違っているこ
とは、論文にまとめられています。
そのような論文を多く集めて全体の平均値を検証するには、「メタ
解析」という手法が取られます。
アメリカのコネティカット大学の教授が、一流雑誌に掲載されてい
る38の研究結果を検証したところ、
・薬が効いている人は60%
・残りの40%の人はプラシボー(偽薬効果)
ということがわかりました。 この結果を発表したところ、医師や製薬
会社から「患者が動揺する」とクレームがつき大議論が起こりました。
アメリカでは、食品医薬品局に薬の効果を報告する義務がありま
す。 そこで、うつ病薬の効果を調査してみると、
・薬の効果が無いというのが60%
・プラシボー効果が30%
・薬の効果が認められたのは15%
というデータが得られました。
◇抗うつ薬の効果を上げる方法とは
抗うつ薬を飲んで効果が出やすい人は、重度のうつ病の人たち
でした。 軽いうつ病から中程度のうつ病の患者さんは、薬とプラシ
ボー効果の半分ずつの効果が認められています。
ここで大切なことは、抗うつ薬は全く効果の無いものと誤解してし
まうことです。
信頼のおける医師から、一定の効果の確かめられている抗うつ
薬を処方された時点で、
『薬+プラシボー』
のダブル効果が得られるのです。 この段階で、
「どうせうつ病の薬は効かない」
と思って治療を進めるのか、それとも
「この薬をのんだら良くなる」
と思って治療に当たるのでは、同じ薬を使っても結果は大きく違って
くる、という事を認識することが大切なのです。
うつ病は言葉の力、言霊の力を上手に利用すれば、よくなる確率
をぐんと引き上げることができるのです。
医師も患者も言霊の力を知って治療に当たることが、うつ病の治
療にとって大切な事なのです。
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第5日 言葉を医療に活かす .
◇薬の効果と言葉の効果
うつ病の治療には、医師によって同じ薬を使っていても治療成果
に違いがあるということは、前回の内容にもありました。
どんな病気でも『この薬を飲んだら100%治る』というものがあれ
ば良いのですが、実際には飲んでみないと効果が分からず、薬が
効かない時には、次から次へと違う薬が処方されてしまうことも多々
あります。
薬には、
・病気に効く作用
とともに
・めまいなどの副作用
が伴います。
患者が薬にばかり頼ってしまうと、医師も何か薬を処方しなけれ
ばならず、薬漬けになる危険性があるのです。
うつ病などでは、言葉(プラシボー)の力による治療成果も多くの
臨床データで確かめられていますから、それを使わない手はありま
せん。
◇3つの言葉
病気の時や、日常において使うと良い「3つの言葉、言霊」があり
ます。
・困ったことは起こらない
・全ては良くなる
・嫌なことは思い出さない
これらの言葉を繰り返し、自分に言い聞かせるように言いましょう。
これから先のことを考える時に、私たちは心配したり悪い方に考
え勝ちになります。 しかしほとんどが実際にはそのような事は起こ
らず杞憂におわっています。
また、高齢者になると想い出や思い出す事の80%は【嫌な事】で
あり、さらに高齢者になると思い出すこと全てが【嫌な事】になってし
まう、というデータがあります。
今までの人生で、失敗したことや恨みつらみなど、自分に関係し
た事は強く記憶に残っています。
◇心を操るテクニック
日常のいろいろな場面で、昔の事を思い出すことはあります。
そのような時に、嫌な事が出てきたら即座に考えないようにして、楽
しかった想い出や、他の楽しいことや興味のあることに意識を変え
ます。
・嫌なことは思い出さない
という『マイルール』を心に持って生活していると、自然に気分も良く
なります。
宮本武蔵の言葉に 「我、事において後悔せず」というものがあり
ます。 また、ウイリアムオスラーという名医も「全ての罪や失敗か
ら縁を切りなさい」と言っています。
他にも、黒住教の黒住宗忠は、
「自分を責めたり批判をすると天の力をもらえなくなります」
「良い行いをしても批判したり責めたりする思いは善人の罪である」
と言っています。
剣の達人でも、世界的な名医でも、宗教者でも失敗することはあ
ります。 怨みツラミ、自分はダメなんだという思いは、そのまま言
霊の力となって自分に帰ってきます。
負の考えがあると、脳内では不安症やうつになりやすい状態にな
り、やがて本当の病気にもなってゆきます。
長年の癖で、そのような考え方を変えるというのは大変ですが、
少なくとも自分に関係した悪い思い出は思い出さないようにしましょ
う。
そして、悪い思いが出てきたら、
・困ったことは起こらない
・全ては良くなる
・嫌なことは思い出さない
をいつも繰り返し、言霊の力を健康長寿に役立てた幸せな人生を
送ってゆきましょう。
-心と体の健康-
■心を楽にする作法.【http://j4ef.com/kokoro/01.html】
【放送日:2010年10月18日~22日】
第1日 心が楽になる努力をしよう ◇幸せになりたい!
私たちは「幸せになりたい」「楽になりたい」と一生懸命勉強したり、
残業や休日出勤などをして努力します。 しかし、幸せになるはず
のための努力が苦しみになって本末転倒に陥っている場合が往々
にしてあります。
そのような時には、幸せに、楽に、楽しく人生を送る、という事を
考える時期に来ているのかもしれません。
◇座右の銘
堀口大學(ほりぐち だいがく)という詩人の座右の銘にした言葉が堀
口大學の詩に中にあります。
暮らしは分が大事です
気楽が何より薬です
そねむ心は自分より以外のものは傷つけぬ
詩人である堀口大學自身が他人をうらやんで苦しんでいたという
のも驚きですが、人をうらやんで苦しむのは自分自身だという事を
座右の銘としていた事に感銘をうけます。
どうしようもないことで他人と自分を比べても、「自分の分」でしか
人生は送れません。 それよりも、そんなことに心を囚われず気楽
に生きたいと願い、なによりも気楽が心をおちつかせ薬になります。
◇一生懸命が過ぎると
日本は資源もなく国土も小さいので、勤勉に努力して世界一の製
品を作り発展してきました。 しかし、努力を続けすぎたり忙しすぎ
たりすると、心が負担に耐えられなくなることがあります。
世の中が平和になっても、競争社会にいると自分のダメなところ
を責めたりさえしてしまいます。
競争に勝って、人より上に、金持ちになることが人生の目的なの
でしょうか?
◇人生の目的とは
いい暮らしをして社会的にも認められるような人間になることが
幸せな人生だと思っている人もいます。 しかし、誰もがそのように
なれるのでもありませんし、それで必ず幸せを感じられるわけでも
ありません。
大切なのは「自分の心が楽になる」ことなのではないでしょうか。
人をうらやむという心を持たなければ、気が楽になり苦しむこともあ
りません。 第一そのような事を思っても苦しむのは、自分なので何
の得にもなりません。
お金や地位があり外見からは立派に見える人でも、その人の心
が苦しければ幸せな人生といえません。
「気持ちが楽になる」
ということを目標として人生を送ることが、一番大切ではないでしょう
か。
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◇足るを知る
人間の欲望にはキリがありません。 欲しいものを手に入れたら、
さらにもっと!もっと!と欲しがり、業績が伸び悩むと、もっと!もっ
と!と頑張り、それが向上心につながり、経済的に豊かになること
が目的になっています。
しかし、自分にちょうど良いスケールという量があります。
欲しいものはあるけれど、今のままでも気持ちが楽に生きてゆけ
る、という状態の方が、人をうらやんだり、ねたんだりする心は、生
まれません。
お金や地位を得るのが人生の目的ではなく、分相応に生きてそ
の中で幸せを求めてゆくのが、本来の人間のあり方なのではない
でしょうか。
そのことこそ「心が楽になる」秘訣なのかもしれません。
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第2日 気が楽になる技術 .
◇気が楽になるメカニズム
高齢になれば免疫力や抵抗力が衰え、若いころは何でもなかっ
たようなことで様々な不調や病気になります。
当たり前といえば当たり前のことなのですが、このことを日常生
活に照らし合わせて考えると、当てはまることが、多々あることに気
づかされます。
若いころには嫌な事などがあっても頑張れたり、すぐに忘れられ
たり、などという事が簡単にできました。
若いうちには脳の中で不安や心配をコントロールできる機能が十
分働いているため、少しくらいの不安や心配は乗り切れたのです。
これは、若いうちには、脳の中で不安や心配をコントロールできる
機能が十分働いているためなのです。
しかし高齢になってくると、この機能が衰え不安を抑える事ができ
にくくなります。 高齢になると体の免疫力や抵抗力が衰えるととも
に、“心の抵抗力”も衰えてくるのです。
◇脳の衰えに勝つ
健康長寿のためには、心身ともに健康でなければなりません。 しかし体の健康や免疫力を向上させる努力をしても、“心の抵抗力”、
“心の免疫力”を強くする努力を同時にしないと幸せとは言えません。
長生きして、しかも心が幸せであるためには、日ごろから『備え』
をしておく必要があります。
私たちの思いや行動は、意志の力が支配しています。 不安な事
や嫌な事など、それを打ち消す意志の力が強ければ乗り越えられ
ますが、歳をとるとその力が衰え、どんどん気が滅入るような事や
気力の衰えを感じることが多くなります。
これは不安や心配を抑える脳の仕組みの衰えによるものなので
すが、心の持ち方を変えると能力の衰えをカバーすることができま
す。
◇気を楽にする技術とは?
心の持ち方も意志の力を使えば簡単に良い方向に変えることが
できます。 欲張ったり、ねたんだり、強い競争心や不安を感じたら、
それを打消し心に与えるマイナスの要素を極力取り除くように努力
します。
これを習慣づけ続けてゆくと、衰えた脳の機能を補い心の健康を
守ることができるのです。
若いころは気にも留めなかった事が、歳をとると気になって仕方
がなくなります。
脳の生理現象として、歳をとると心の抵抗力が衰える、という事を
自覚しておけば普段の生活の中で意志の力を使い、心を明るい方
向に向け続けることもできるようになってきます。
それを続けてゆけばゆくほど、心の抵抗力が増し、気を楽にする
ことも簡単にできるようになるのです。
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第3日 ブッダの三法印(さんぽういん)に学ぶ .
三法印とはお釈迦様が見つけられた三つの世の中の仕組み、法
則を表したものです。
◇諸行無常
一つめは、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」で、世の中はむなしいこと、
のようにとらえられますが、仏教では物にはいろいろな言い方があ
り、その一つに色(しき)という呼び方があります。
この色(しき)とは、「色即是空(しきそくぜくう)」のことで、物というものは
空(くう)であり、物には動きがあります。
動いているという事に着目すれば、常に動いている行(ぎょう)の状
態であり、「諸行無常」とは、全ての物は絶え間なく変わっている、と
いう事を表しています。
物質は絶え間なく変化し続けているといことは、物理学において
も証明されていて、物事の真理であるとされています。
◇諸法無我
二つ目は、「諸法無我(しょほうむが)」で、全てのものは因縁の法則
が働き、原因があり結果もあります。
世の中には無我の法則があり、善悪を超えた法則によって物事
が動いているととらえます。
良いことをすれば、良いことが返ってきて、悪いことをすれば悪い
ことが返ってくると、いうよりも、もっと絶対的な法則が働いている、
という考え方です。
不幸や病気に遭うと、自分が悪いことをしたのではないか? 先
祖の供養が足りないからではないか?などと思いがちですが、現世
はそんなことなど関係なく、成るように成ってゆく規則によって動い
ているものなのです。
善い行いをして見返りを求めたり、悪いことが起こるたびに原因
を求めるような事に思いをはせるのは、意味のないことなのです。
-心と体の健康-
道徳的には、良いこと、善い行い、という考え方は嘘ではなく必要
なことです。 しかし、悪いことや過去の事を悔やむことは全くなく、
世の中はもっと大きな規則である「諸法無我」で動いているので、
あるがままを受け入れ、無我の心で生きてゆけば、苦しみのない生
き方ができるのかもしれません。
◇涅槃寂静
三つ目は、「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」で、これはお釈迦様が見
つけられた一番大きな法則で、常に変化する世の中において唯一
変化しないのは、私たちの心の奥にある「本当の心」で、罪や悪な
どは一切ない、清らかな心のことです。
罪悪感や罪の意識を感じたときにも、「本当の心」は救いをもたら
してくれ、「私たちの本当の心は清らかで罪が無い」という事を理解
すれば、心が楽になります
過ぎ去った事を悔いてもどうしようもありません。
諸行無常で常に物質は生まれかわり、過去から自分も生まれ変
わりつづけています。 世の中は人間の考える因縁では計り知れな
い、諸法無我の大きな法則で動いています。
私たちは涅槃寂静である、心の奥にある本当の心の存在を知る
事で、苦しみから救われ、心を楽にすることができるのです。
********************************************************
第4日 考えることが苦しみをもたらす .
◇四聖諦(ししょうたい)とは
お釈迦様は「三法印」という法則の他に、どのように行動すれば
よいか?という事も解いておられます。
それは、4つの聖なるあきらめ=四聖諦(ししょうたい)というものです。
「あきらめ」と聞くとすぐにあきらめる、という意味にとらえられがちで
すが、四聖諦とは聖なる生き方の取り決めということです。
- 15 -
欲望を滅する必要がある、という教えです。
私たちの中に欲望や苦しみの思いが出てくるというのは、そうい
う事を考えたり、思い出すからで、逆に考えずに思い出さない工夫
が必要です。
盤珪禅師(ばんけいぜんじ)は、「記憶こそ苦の元なり」と言っています。
一日の中で、歯を磨く時間や、電車に乗っている時間など自分で
決めた「考えない時間」を作ります。 考えない時間の間は、何も思
い出さず、何も考えず、ただただ歯を磨いたり、電車に乗り続けます。
そういう事を習慣づけ、考えない時間を長くすることによって、心
が落着き心の苦しみから解放されるのです
私たちは根拠の無いことで心を苦しませています。 自分の考え
方を変えるだけで苦しんでいる心を救うことができるのです。
お釈迦様は、「私たちの心以外に私たちを楽にする物は無い」と
言っています。 日常生活の中に「何も考えない時間」を習慣化して
増やしてゆき、心のセルフケアの術を身に着けたいものです。
********************************************************
第5日 心の苦しみは、心でしか癒せない .
◇なぜ苦しみがあるのか?
私たちが苦しみを感じる事はよくあります。 苦しいと感じるのは
心なのですが、脳と心の関係を考えると、脳は神経回路のようなも
ので、脳で苦しみを感じないような薬や考え方を取り入れれば、心
の苦しみを解放することができます。
以前の「言霊の医療」の中で「うつ病と言葉の関係」にもありまし
たように、うつ病などでは薬の効果だけではなく言葉、言霊の力が
苦しみを取り除くということがわかっています。
うつ病や引きこもりは最近増えてきていますが、欧米ではうつ病
などの病気は「心が楽になりたい!」と悲鳴を上げている状態であ
ると捉えています。
◇苦諦(くたい)
生きている限り欲望を持ち続け、老いて病に伏し、愛する人との
別れなければならないなど、この世の中は苦に満ちているという事
から絶対に逃れられない、ということを認識しなければなりません。
◇ブッダの教えを活かす
うつ病が回復しても、何かの拍子に再発してしまうこともあります。
心が楽にならない人は、過去のことをいつまでも思いだし、くよくよし
た気持ちになっています。
過ぎ去った事を変える事はできないのに加え、過去にそういうこ
とをした自分に耐えられない事に苦しんでいます。
◇集諦(じったい)
私たちの欲しいという欲望がこの苦しみの元になっています。
もし、苦しみに耐えられるなら【欲しい】という欲望を持ち続けてもい
いのですが、その苦しみに耐えられないような場合には、できるだ
け欲望を持たないことが楽になる道です。
こんな時にはブッダの教えが役に立ちます。 罪と罰の問題は別
にして、過去の自分は他人のようなもので、現在の自分は過去の
自分とは関係がなく、これは宇宙を貫く法則であると言っています。
この考えに基づき、過去の失敗などは自分がやったことでは無い
という風に考え、いつまでも気にしないことが大切なのです。
若い頃は、苦しみにも耐える体力や能力がありますが、歳をとる
につれ力は衰えてきます。 達磨大師も「求むる有るは皆苦なり」と
言っています。
歳をとるほどに欲を持たず“分”を守ることが幸せにつながります。
四聖諦(ししょうたい)の4つめに、「道諦(どうたい)」という教えがありま
す。 心を苦しめるようなすべての教えや指導、思想は間違いであ
るとされ、心を苦しめるような全ての考えは、誤りであるとされてい
ます。
一番大切なのは、自分の心を楽にすることだ!という風に考える
と、周りからの意見や世間の目などに惑わされず楽に生きることが
できるのです。
◇滅諦(めったい)
滅諦(めったい)は欲を減らし、心の苦しみから逃れるには、諦めや
◇生きる上で大切な事
自分の心こそ大切にしなければなりません。 ブッダは、自分の
心を燈明のようにして生きてゆきなさい、心が傷つかず、心を苦しめ
ないような生き方が生きる上の憲法として生きて行きなさい、と言っ
ています。
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高田 明和(たかだ あきかず)
1935年静岡県生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学院終了。
医学博士。ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を歴
任後、2001年に浜松医科大学名誉教授に就任。専門は、血液生理
学、大脳生理学。著書は「定年後はいきいき脳を鍛えよう」等多数。
最近はテレビ・ラジオ・講演等でも活躍中。
【職歴・経歴】
1935年静岡県清水市に生まれる
1961年慶応大学医学部卒業、維持免許授受
1966年慶応大学医学部大学院修了、医学博士
同年米国ニューヨーク州立ロズエル・パーク記念研究所に留学
1972年ニューヨーク州立大学助教授
1975年浜松医科大学第二生理学教授
2001年浜松医科大学を退官、名誉教授
同年株式会社精糖工業会顧問
2003年昭和女子大学客員教授就任現在に至る。
2007年にはNHKラジオ深夜便「悟りを求めてー次郎長と鉄舟」を講
話。テレビの人気番組「おもいっきりテレビ」」出演など、多方面に活
躍中。
【その他の公職・活動】
2000年6月第15回国際線溶学会会長「砂糖を科学する会」代表、財
団法人食肉消費センター委員会幹事。2000年〜2004年アジアパシ
フィック血栓止血学会会長、名誉理事長。2007年1月NPO法人ブレ
インヘルス協会理事。
【著書】
『脳の栄養失調』『魂をゆさぶる禅の名言』『ボケない人になる23の
方法』『運勢をひらく「般若心経」の処方箋』『心が奮い立つ「禅の名
言」』『一日十分の座禅入門』など多数。
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【第1版】 2011年02月01日