第三回PETボトル入札制度検討会 資料4 プラスチック製容器包装再商品化 優先材料リサイクル事業者に対する 「総合的評価」の実施について 2013.6.21 公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 プラスチック容器事業部 浅川 薫 再商品化義務のある容器包装 1 1.材料リサイクル優先について 産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会 産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会 第13回容器包装リサイクル小委員会 第13回容器包装リサイクル小委員会 (平成11年3月5日)資料 「プラスチック原材料等としての再商品化の重要性に鑑み、プラスチック原材料等として の再商品化方法を、その他の再商品化方法に比べて、一定の基準の下で優先的に取り 扱うこととする」 具体的には入札選定において、材料リサイクルを優先的に落札させること 2 参考(抜粋:P6~P7) PETボトルと「その他」プラは大きく違う! (1)再商品化の考え方 ①以下の観点から、あらゆるプラスチック製容器包装を、一律にプラスチックの原材料として再商品化すること は困難と考えられる。 ○プラスチック製容器包装は、その組成や性質が多種多様にわたること。 ○プラスチック以外の素材とプラスチックの複合素材による容器包装があること。 ○食品残さ等の異物が混入入することが予想されること。 ○仮にプラスチック原材料としての再商品化を行う場合には、一層精度の高い分別作業を行う必要がある。ま た、その上でも異種類の素材や異物の混入は避けられないため、高品質が求められる製品には対応が困難。 ○低品質のプラスチック再商品化製品の場合には、プラスチック製容器包装の分別収集量に見合った多量の 製品需要の確保が困難と見込まれる。 等 ②しかしながら、プラスチックの原材料等としての利用がなるべく望ましいことから、可能な範囲でプラスチックの 原材料等としての再商品化を行うこととする。具体的には、分別収集された発泡スチロール製食品トレーを中心 に、ペレットなどのプラスチック原材料等としての再商品化が行われることが想定される。 特に、異物等の混入がなくきちんと分別収集された発泡スチロール製食品トレーについては、プラスチック原材 料等としての利用が容易であることから、原則、プラスチック原材料等としての再商品化を行うこととする。 (ただし、原材料等としての再商品化能力が分別収集量を下回る場合などが生じた際は、他の再商品化方法を 検討する必要がある。〉 ③プラスチック原材料等としての再商品化が困難なものについては、油化、高炉還元、ガス化により再商品化を 行うこととする。また、コークス炉化学原料化( 仮称〉については、再商品化方法の一つとして位置づけるべく早 急に検討を進める。 これらの再商品化方法については、将来的な技術開発の可能性等を考慮しつつ、可能な限り広範な方法によ る再商品化を積極的に推進すべき。 ④プラスチック原材料等としての再商品化の重要性に鑑み、プラスチック原材料等の再商品化方法を、その他 の再商品化方法(油化、高炉還元他)に比べて、一定の基準の下で優先的に取り扱うこととする。 3 2.その他プラ再商品化事業の推移 [万ton/y] 落札量 能力 120 優先枠50%設定 MR優先の 総合的評価導入 優先基準設定 100 CR MR ・上限価格 設定 ・MR間で、 初めて競 争が発現 80 可能量が伸 びず危機感 MRが初め て50%超え ・材料優先 一保管施設 一事業者に ・入札2次 募集実施 60 40 CR増設 始まる 59% 56% 20 48% 51% MR率=33% 0 H12 H13 H14 H15 H16 H17 53% 54% 52% MRの急拡大 H18 MR/CRとも 落札可能量= 能力×0.9 H19 H20 MR 落札可能量= 能力×0.77 H21 H22 H23 H24 [年度] 4 素材別再商品化費用(委託費)の推移 5 3.優先枠と総合的評価 手法検討会 手法検討会 (中央環境審議会廃棄物部会・リサイクル部会 プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会 および産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会 容器包装リサイクルWGプラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会合同会合) 「プラスチック製容器包装の再商品化手法及び 入札制度の在り方に係る中間取りまとめ」 (平成21年(2009)9 月) ※多様な再商品化手法のバランスを維持しつつ、材料リサイクル手法の効率化と“質”の向上を図る 観点から、材料リサイクルの優先的取扱量に制限を設け、入札時に優先的に取り扱われる資格を 有する事業者を「総合的評価」により評価し、その優劣により、個別事業者の優先量を設定すること が提言された。 「プラスチック製容器包装の再商品化手法及び 入札制度の在り方に係る取りまとめ」 (平成22年10月) ※総合的な評価については、基本的な構造は維持しつつも、優先事業者間の取組の差が評 価結果により明確に反映され、優良な事業者の育成につながるよう、取組の有無の評 価から取組内容の程度の評価へ深化する・・・・ ※総合的な評価の結果が相対的に高い優先事業者が、他の優先事業者に対し入札競争 上有利に働く現行の措置については、その反映の程度をより強くする・・・・ 6 3-1.総合的評価と優先枠のマネジメント(入札方法概念) 1,200,000 H25年度 入札方法概念図 ケミカル、および 非優先材料RC 事業者 1,000,000 非優先(一般) 落札可能量 800,000 B枠落札可能量 ア社 600,000 一般枠 400,000 優先枠 200,000 5% 45% B枠(設定) A枠(設定) →競争率1.05 イ社 優先事業者 50% B枠 落札可能量 A枠 落札可能量 ウ社 エ社 ・総合的評価結果 によって、変化 (クラスS1からS10 の10段階で係数が 一定に変化する) ※係数:各事業者の優先落札 可能量におけるA枠への 落札可能量の割合 0 入札対象量 (保管施設申込量) 入札事業者 落札可能量合計 A枠落札可能量 7 4.総合的評価 【中間取りまとめで示された3つの指標】 ①リサイクルの質・用途の高度化 再商品化製品およびその利用製品(フレーク・フラフやペレット、 最終利用製品等)の高度化に資する指標群 ②環境負荷の低減効果等 再商品化工程と再商品化製品の用途、および他工程利用プラスチック の全処理工程(例:固形燃料等の前処理とその利用先)に おける環境負荷の低減等に資する指標群 ③再商品化事業の適正かつ確実な実施 上記①および②以外で、適正な事業運営と情報公開に資する指標群 8 4-1.総合的評価の評価項目(下表はH24版) ※評価の恣意性を排除し、出来るだけ客観的な定量評価を指向 ※取組の有無(H21)→ 取組内容の程度を評価(H24) 分野 得点 リ サ イ ク ル の 質 ・ 用 途 の 高 度 化 低環 減境 効負 果荷 等の 再 確 商 適 実 品 正 な 化 か 実 事 つ 施 業 の 分野 内% 15 20 10 5 0 点 10 15 評価項目 高リ 度サ 化イ ク ル の 質 の 15(予定) 3 0 点 2 0 点 定義 単一素材化 単一素材化(PE,PP,PS,PET)の合計実施量 品質管理手法 社内品質管理体制が確立/実施されていること 塩素濃度% 協会ガイドラインに定義された測定法による再商品化製品中の塩素濃度% 主成分濃度% 協会ガイドラインに定義された測定法による再商品化製品中の主成分濃度% 異物% 再商品化製品中の異物% 臭気評価値 洗浄度に直結する再商品化製品の臭気の定量値 高度な利用 1回/年程度、審査委員会を開き申請用途が「高度利用」として認定された用途に 再商品化製品を利用・販売している量 15 用途の 高度化 50 環境負荷データ把握 各種資源の使用や排出物(排水や汚泥、その他)、および工程の環境負荷を把握 し協会に報告していること 30 他工程利用プラの高度な処理方法 他工程利用プラ(従前の残渣)の処理におけるエネルギー利用効率が自治体焼却 施設より高いこと 20 環境管理手法 ISO14001取得 (類似の公的認定等を含む) 30 使途明示 使途製品名の報告・情報公開を行っていること 20 20 利用先名公表 見学推進活動 利用事業者名の公表ができること 見学会を実施していること 20 情報公開工夫 情報公開等において、独自の工夫をしていること 10 業務改善指示の有無 コンプライアンス確保 実績対象期間内における「措置規定」による「業務改善指示」の有無 - 社内コンプライアンス確保の仕組みが整備されていること 9 4-2.「高度な利用」と外部学識経験者による委員会 ☆「高度な利用」とは、原則として、容リプラ利用製品が新規樹脂材料の 消費抑制につながるものであって、①機能・性能面、②消費者への認知・浸透、 いずれかの面で高度であると認められるものをいう。 <加点評価> 成形品の製造・使用過程での環境配慮がなされていること 【総合的評価委員会/高度な利用審査委員会の位置づけ】 総合的評価委員会(および、「高度な利用審査委員会」)は、手法検討会など 「審議会」の結論を具現化することが求められる機能 よって、中間取りまとめ等の結論・範囲に限定して、技術的な検討を行い 評価方針や評価方法の検討を行う (「高度な利用審査委員会」では、上記に加え審査を行う) ※陳情等を防ぐため、委員名は非公開 10 5.評価結果(全体) H24年度 総合的評価分野得点 リサイクルの質・用途の高度化 100 S1クラス A枠率:66.66% S2クラス A枠率:60.55% S3クラス A枠率:54.44% S4クラス A枠率:48.33% 環境負荷の低減効果等 S5クラス A枠率:42.22% S6クラス A枠率:36.11% 再商品化事業の適正かつ確実な実施 S7クラス A枠率:30.00% S8クラス A枠率:23.89% S9クラス A枠率:17.78% S10クラス A枠率:11.66% 90 80 70 60 得 点 50 40 30 20 10 0 11 ) ) ( 1 30% ( 2 60% 単一素材化 品質管理手法 塩素濃度% 主成分濃度% 高度な利用 環境負荷データ把握 他工程利用プラ の高度な処理方法 環境管理手法 使途明示 利用先名公表 見学推進活動 情報公開工夫 業務改善指示の有無 総合 0 0% 1.5 % 40% % 3.5 100% C V 値 50% 2.5 70% 平 均 得 点 率 H23年度CV値% H22年度CV値% H23平均% H22平均% 90% 3 80% 20% 10% 0.5 12 5-1.評価結果例(クラス別の特徴) 「品質管理手法」は6ヶ月の自社工程のデータを分析し、改善に繋げることを要求 「環境負荷データの把握」は、ISO14001やエコアクション21等に準ずる実測定項目 ※評価後の面談等で改善されるケースが多い ※上位と下位が明確に分かれる評価結果 H23平均 H22平均 「品質管理手法」平均得点 「環境負荷データの把握」平均得点 S1 S2 S3 S1 S2 S3 ク ラ ス S4 ク ラ ス S5 S6 H23平均 H22平均 S4 S5 S6 S7 S8 S7 S8 S9 S9 0 0 1 2 3 4 5 平均点 6 7 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 平均点 13 6.「優先基準」の達成状況 推移 ※すでに95%以上の事業者が「優先」! 1.40 100.0 残留塩素濃度 1.20 95.0 主 成 分 % 1.00 優先 基準 90.0 塩 素 分 % 0.80 85.0 0.60 80.0 0.40 優先 基準 0.20 0.00 H20 H21 H22 H23 H24 主成分 75.0 70.0 H20 H21 H22 H23 H24 14 9.まとめ (1)総合的評価の深化 ・取組の有無→取組の程度・内容の評価へ ・評価内容の改善(「高度な利用」など) ・新たな評価指標の導入(再商品化製品中の異物%など) (・審議会(手法検討会)結論の範囲での取組) (2)総合的評価実施の効果 ・価格競争だけではなく、相対的に質が高い事業者が有利となる 入札制度の改善に寄与 (・総合的評価の得点による再事の序列化) ・再商品化製品中の残留塩素%低減など、品質向上を加速 ・再事における品質管理・環境マネジメントなどの導入を促進 ・利用製品の販売市場への影響(高度な利用) ・新たな選別設備導入など、事業者のコスト上昇が懸念される (3)今後の課題 ・優先基準を含め、多数の事業者が満点に近くなってきた評価指標 ・優先、総合的評価、優先枠、A/B枠等、複雑な入札制度 ・総合的評価は審議会(手法検討会)の議決事項であり、総合的評価委員会での 大きな改変はできない ・次期法改正との関係 15 10.「総合的評価」の導入 (1)導入目的の明確化 ・今何が問題で、何を改善するために導入するのか? ・その目的は、「継続的な改善」によって達成される性質の事項なのか? (静的問題 ー 動的問題) (2)導入によるメリット/デメリットを冷静に評価すること ・総合的評価を組み入れた仕組みは「入札制度」といえるのか? ・より高いパフォーマンスを求めることが本当に必要か? ・評価実施による事業者のコストアップと効果は? (3)その他 ・必ず達成しなければならない「基準適用」とより高いパフォーマンスを求め、 序列化すること(総合的評価など)は異なる ・評価は出来る限り、恣意性を避け客観的・定量的な評価とすべき ・複雑で説明が難しい仕組みは避けるべき(シンプルな制度が望ましい) ・「その他プラ」 と異なり、本来単一素材であるPETボトルにおいて、 明確に序列化しうる評価基準は存在するのか? 環境保全とアカウンタビリティを確保したうえで、競争力がある再生処理事業者 16 ご静聴、ありがとうございました 「プラスチック製容器包装の再商品化に係る総合的評価レビュー」 当協会HP、以下のURLからDL戴けます。 http://www.jcpra.or.jp/00oshirase/news_release_124.html 17
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