平成二十八年度 富山大学人文学部 推薦入試 小論文 特別入試 配布された試験問題および下書き用紙は、試験終了後、持ち帰ること。 指定された解答用紙以外に−記入した解答は、評価︵採点︶の対象としない。 解答はすべて指定された解答用紙に−記入すること。 氏名を書いてはいけない。 試験開始後に、解答用紙の指定欄に受験番号を算用数字で記入すること。 などがあった場合は、手を挙げて監督者に知らせること。 なお、試験問題に文字などの印刷不鮮明、ページの落丁・乱丁および解答用紙の汚れ 試験開始の合図があってから確認すること。 試験問題は 2枚、解答用紙は 2枚、下書き用紙は 2枚である。 試験開始の合図があるまで、この表紙を聞かないこと。 注意事項 2 1 3 4 5 次の文章は、パスカル﹃パンセ﹄ の断章 ︹訳例︺ とそれに付した ︹解説︺ です。これを読ん で以下の聞いに答えなさい。 ︹訳例︺ ︿私﹀とは何か ある人が窓辺に身を寄せて、道行く人を眺めている。もし私がそこを通りかかったとして、 彼は私を見るために、そこにいると言えるか。否、彼は私のことを取り立てて考えてはいない のだから D それなら、誰かをその美しさのために愛する人は、相手を愛していることになるの か。否、天然痘︵注一︶にかかれば、命は失わなくても美貌は失われるが、そうなれば、彼は もはやその人を愛さないだろうから。 そして、もし私の判断力や記憶力が優れているからあなたが好きだといわれたら、この私は たしかに愛されているのか。否、私は自分を失うことなしに、そんな性質を失うことができる のだから。それでは、この︿私﹀が身体のうちにも魂のうちにもないとしたら、それはどこに あるのか。そして身体にせよ魂にせよ、その性質のためでなくて、どうして愛すること、ができ るのか。変転きわまりない性質が︿私﹀を形作ることなどできはしないのに。そもそもある人 の魂の実質を抽象的に、そこにどんな性質があろうと愛するなどということがあるだろうか。 それは不可能だし、それ以前に不正だろう。だから人が愛されることは決してない、愛される のは性質だけだ。︵:・︶︵パスカル﹃パンセ﹄断章三二三︶ ︹解説︺ ︿私﹀とは何かという問いは、古今の偉大な哲学者にも私探しを行う現代の若者にも共通 する永遠の課題です。パスカルの近くでいえば、自己の描写を自著﹃エセl﹄の主題とじた モラリストのモンテl ニュも、コギト︵﹁我思う、ゆえに我あり﹂︶によって、考える実体と しての︿私﹀を発見し、それを自らの哲学の出発点に据えたデカルトも、この問題に一貫し て強い関心を注ぎ続けました。 その中にあって、この文章の特徴は、︿私﹀を愛との関連において、しかも誰かから愛さ れるという受動的な状況で考察していることです。デカルトのコギトであれば、︿私﹀は認 識の主体です。モンテi ニュの企ては、︿私﹀を見るものと見られるものに分裂させて、観 察と反省を通じて、自己の認識に至ることを目指します。それに対してパスカルは、愛の対 象となる︿私﹀にまなざしを注いで、それが何であるか、それは愛されるだけの価値を備え ているかという聞いを発します。 ご覧のとおり、彼の主張は極端です。こんなことをいわれたら立つ瀬、がありません。何し ろ︿私﹀は身体においても精神においても変幻きわまりない性質の束にすぎず、愛されるだ けの価値がない、いやそれ以前に実体を備えていないというのですから。なるほど誰かを愛 するという立場に立って、愛の対象の変転に目を凝らしているかぎり、そうとしか言いよう がありません。しかし、愛してもらう︿私﹀の立場に身を置いてみると、︿私﹀がどのよう な変化を遂げようとも、愛してもらいたいという欲望だけは一貫しています。どうやら︿私﹀ を︿私﹀としているのは、この愛されたいという欲望らしいのです。︿私﹀は、自分が何で あろうと、どのような状況にあろうと、人格として愛してもらいたい。これは公正の観点か らいえば法外な欲望です。だからこそ、魂の実質があるとして、 そ れ を 抽 象 的 に 愛 す る の が 不正だといわれているのです。 しかし、それなら真善美といった性質を離れて、誰かを愛することは不可能なのでしょう か。パスカルはここでも自らの信仰は隠して、いわば背理法︵注二︶によって議論を進めて U叫劉洲劇材リ川倒倒叫矧引引刷劉叫悶剖引NU剖引1刈剖劉利引斗剖凶寸剖討 います。制 せん。しかし価値の評価に応じて注がれるのではなく、注がれることによって対象の価値を 創出する愛がある。イエス・キリストの人間に対する愛はまさにそのようなものであり、い かなる永続的な価値も奪われている人間をまず愛することを通じて神が人間を愛に誘って 岩波書店、二O一 O年 一部改変︶ ︵塩川徹也﹃発見術としての学問||モンテl 一一ュ、デカルト、 パスカル﹄ いる。これがパスカルの確信でした。 注 ウ イ ル ス に よ っ て 起 こ る 急 性 感 染 症 。 高 い 熱 と 同 時 に ほ っ し ん ︵発疹︶が 出来て、なおったあとにあばたが残る。 以内で述べなさい。 ︿私﹀と愛との関係についてあなたはどう考えますか。 この文章をふまえて、 八O O字 ま せ ん ﹂ と は ど の よ う な 意 味 か 、 二O O字程度でまとめなさい。 傍線﹁もしも愛が願わしい価値に対する応答に尽きるとしたら、 人 を 愛 す る こ と は で き ば矛盾が生じることを示すことによる方法。 背理法・:ある命題が真であることを−証明する際に、 そ の 命 題 が 偽 で あ る と 仮 定 す れ ︵注二天然痘 間 問 g 言 一 ー 一 w m謬琳咽 ( 国 労 | 丑 舜 曽根〉斗〉特〉ト Ema~ 溝 型) > i浬 誹 (〉斗部号事+.>』調1 iI ) 賞 適 畑抑>+ I l涛判) E 持璃 一一ー一一ーー」 ! ; i ! I ' ! I I I I I , I l II I I I I i Ii II I I l 角 草 l II I I 1 II I I 問 I I I Ii I i I i i I I !I I 11 I I I 1 I I r I I Ii I II I I IIII I II J I II II i ! I II I I III i IIlII I IIII I II I I 1 I II! I IIIIII Il II I I iII 600 I 500 I 400 300 200 1 0 0 小論文︶ I I I l ! I I 1 I I I 700 1 「 I I ! I I l斗 II II ~ ITI 1 十 寸 I I I I 1 / 1 1 十 I i ! II I . I 1 I ! i I 特別入試推薦入試 1 ! 1 I r 1 I I ! 答用紙︵二枚中二枚 I B O O i ' 1 ! ︵平成二十八年度富山大学人文学部 I I' I I i It i = 1 1 1 ~ i ! IIi IIIji l II Ii IliI jI II i I I ! I II' 1 III III I l I! I I ; I iII I I 目 、 、 , , , 受験番号 III I I _ 11 (ory 再草(1~ 平l ム湖面支毒揚芋) 1本土)軍事面皐曇止
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