TPPと日本 YR 第一章 初めに 第一節 テーマ設定の理由 第二節研究

TPPと日本
YR
第一章 初めに
第一節 テーマ設定の理由
政権交代があったがその前後でTPP加盟という考えは一致しており、TPP交渉参
加を急ぎ、反対意見を抑えて、交渉に参加することになり、反映されなかった反対意見
に目を向け、日本人にとって本当にプラスかを考えるためにこのテーマに設定した。
第二節研究のねらい
TPP交渉参加国と日本、交渉不参加国の特徴を比べ、日本にとってプラスかどうか
を考える。また、非関税障壁の撤廃によって及ぼしうる日本人の安全面への影響を考え
る。
第二章研究の展開
第一節『環太平洋と日本』
① TPPの移り変わり
2006:シンガポール ニュージーランド チリ ブルネイ (以上 4 か国で開始)
2010:アメリカ オーストラリア ペルー ベトナム マレーシア (交渉参加)
2012:メキシコ カナダ (交渉参加)
② 『TPP不参加→鎖国の真偽』
上のような命題を出されると日
図1
本の関税率が高いという印象を受
けるが、他国と比べると日本の平
均関税率は本当に高いのだろうか。
(図1)より、日本の平均関税
率は韓国よりも低い。それどころ
か、農産物に限定しても韓国やE
Uよりもはるかに低い。
また、日本は当然のことながら、WTOに加盟しており、またEPA/FTAにつ
いても積極的である。
以上のことから、TPP不参加の状態の日本は閉鎖的とは言い難く、むしろ開放
的であるといえる。そのため、
『TPP不参加→鎖国』は偽。
③ GDP比較
(図2)より、TPP交渉参加国のGDPの総和に占めるアメリカのGDPの割
合は 60%、次いで日本が 25%弱、カナダが 10%弱となり、TPP交渉参加国のG
DPの総和に占める残り 9 ヵ国のGDPの和の割合は 10%でしかない。TPP交
渉参加国のGDPの総和に占めるアメリカと日本のGDP和の割合が 83%である
ため、TPPはアジアの成長を取り込むためのものではなく、日米FTAとしての
役割が大きい。
図2
国名
GDP*1
順位
*2(%)
アメリカ
15684.75
1
60.283
日本
5963.97
3
22.924
カナダ
1819.08
11
6.992
オーストラリア
1541.80
12
5.926
メキシコ
1177.12
14
4.525
マレーシア
303.53
35
1.167
シンガポール
276.52
36
1.063
チリ
268.18
38
1.031
ペルー
199.00
50
0.765
ニュージーランド
169.68
56
0.652
ベトナム
138.07
58
0.531
ブルネイ
16.63
113
0.064
26016.53
‐
‐
計
*1 単位:10 億USドル
*2 TPP交渉参加国のGDPの総和に占める各国のGDPの割合
*
IMF‐World Economic
Outlook
Database(2013 年 4 月版)を基に表を
作成。また、TPP交渉参加国のGDPの総和に占める各国のGDPの割合を
算出。
④ 外需依存度
(図3)には、カナダ・メキシコ 図3
は含まれていないが、(図3)の 10
ヵ国を比較しても、TPP 交渉参加国
の多くは GDP に占める輸出の割合
が高く、国内市場が小さいという事
が自明だ。外需依存度が日本より小
さい国はアメリカしかないため、日
本が輸出できる国はアメリカだけで
*カナダ・メキシコは除く
ある。ここから日本の市場を取り込
もうとしている事がわかる。
また、特異な通商国家である。シンガポールを除くすべての国が、一次産品輸出
国であり、マレーシア、ベトナム、チリなど、低賃金の労働力を武器にできる発展
途上国も多い。しかし、日本だけが工業製品輸出国であり、他の参加国から労働力
や農産品の輸入を期待されている。
外需依存度の高い小国と一次産品輸出国で構成された日本以外の TPP 交渉参加
国を相手に「聖域」を作り、日本に有利なルールを作るという事は不可能である。
第二節 『安全性と日本』
*TPP で議論される議論*
①物品市場アクセス
⑧知的財産
⑮投資
②原産地規制
⑨競争政策
⑯環境
③貿易円滑化
⑩越境サービス貿易
⑰労働
④衛生植物検疫
⑪商用関係者の移動
⑱制度的事項
⑤貿易の技術的障害
⑫金融サービス
⑲紛争解決
⑥貿易救済
⑬電気通信サービス
⑳競争
⑦政府調達
⑭電子商取引
○分野横断的事項
Ⅰ食品の安全性
【②④⑯より】
1)遺伝子組み換え
米など
表示義務なし
輸出を増やしたい
日
V.S.
表示義務あり
安全性重視
⇒参加国間での統一ルール
⇒遺伝子組み換えの表示義務がなくなる可能性大
2)食品添加物
米など
約 1600 種類使える
日
V.S.
約 653 種類使える
⇒日本で使用が認められていない食品添加物の使用が認められる可能性大
Ⅱ医療の安全性
1) 混合診療
ex:歯科
=健康保険制度+自由診療
⇒患者の貧富の差によって医療にも差がつく
⇒「医療は平等であるべき」
2) ジェネリック薬
=特許権がきれていれば、新薬と同じ成分の薬を別の会社が作ってもよい
→新薬よりも値段低→医療費低→財政負担軽
米など
5 年間
TPP を機に
V.S.
日
8 年間
12 年間
⇒保健期間の延長
⇒ジェネリック薬が作りにくい=コスト大
3) 国民皆保険制度
⇒日本独自⇒撤廃の可能性あり
4) 病院
⇒資本力のある外国の病院が入り、小さな病院がつぶれる可能性あり
第 3 章 まとめ
第 1 節 まとめ
反対意見に目を向け、交渉では出来る限り、反対意見を反映していただきたい。TPP
に加盟することで私たちの安全性など直接影響を与えることが予測されるので、私たち
1 人 1 人がそのようなことを考え、知る必要がある。本当に日本経済、日本国民に有益な
ものかどうか様々な面から各々考えるべきだ。
第2節
『TPP 亡国論』 中野剛志(集英社 2011)
『危険な食品』 山田博士(宝島社 2012)
『そうだったのか!池上彰の学べるニュース第 7 弾』 池上彰(海竜社
『世界の名目GDP(USドル)ランキング』
ecodb.net/ranking/imf-ngdpa.html
2012)