「日本最初の時刻表」 10月5日は時刻表記念日です。これは今から こういんしん 年前の明治27(1894)年10月5日、庚 寅新 117 ししゃ 誌社から日本初の本格的な時刻表『汽車汽船 旅行案内』第1号が発行されたことによります。 この時刻表は、慶應義塾大学の福沢諭吉が イギリスの時刻表を参考に、庚寅新誌社を経 てづかたけまさ 営していた慶應出身の手塚猛昌に提案し発行 されたものといわれています。既に時刻表と しては1枚のものや冊子になったものはありま したが、定期月刊誌で全国を網羅した時刻表 は初めての発行でした。当初は鉄道や汽船の 時刻表のほか紀行文なども載っていました。 今年の4月23日から6月26日にかけて、三 和資料館で開催した第15回館蔵資料展「名 所・旧跡・えとせとら∼館蔵資料にみる観光 地∼」の展示資料に『汽車汽船旅行案内』の 第225号(諸川・小林家文書)がありました。 大 正2(1913)年5月 の発行で同年の6月 号 に な り ま す。 表 紙・ 裏 表 紙 と も に 一面広告になって い て、 一 見 し た だ けでは時刻表とは そうてい 思えない装幀に なっています。B6 判(12.8×18.2 ㎝ ) より少し大きいサ イズで(13.2×19.2㎝ )、246ページ(広告ペー ジを除く)。右開きで漢数字による縦書き表示 となっています。巻頭に付録として路線図 「汽 と 車汽船旅行案内図」が折り畳んで綴じられて いますが現状では切り取られて存在しません。 毎月28日発行で定価10銭とあります。 三和資料館 『歴史小説の第一人者・永井路子』 観に一石を投じた『この世をば』などの作品 で第32回菊池寛賞を、昭和61年には、伝教 大師最澄と桓武天皇を主人公に、 政治と仏教と魂の問題に迫った 『雲と風と』で第22回吉川英治 文学賞を受賞するなど、歴史小 説の第一人者として数々の作品 を発表してきました。平成20年 には永井文学の集大成といえる 『岩倉具視』を刊行、第50回毎 日芸術賞を受賞しています。 丹念な史料の検討に基づき、 歴史における女性の役割に光を当てるなど独 自の歴史観で描かれる永井氏の作品は、文壇 のみならず歴史学界・女性史学界からも高い 評価を受けています。ぜひ、永井路子作品を 手に取って見てください。 古河文学館 秋澤正之 本欄では古河ゆかりの文学や文化人など を紹介していきます。第1回目 は、古河市名誉市民・古河大使 である歴史小説家・永井路子氏 です。 永 井 氏 は、 大 正14年、 東 京 に 生 ま れ、 ほ ど な く 古 河 に 移 り、 古 河 女 子 尋 常 高 等 小 学 校 (現古河第一小学校)、古河高等 女学校(現古河二高)を経て、東 京女子大学国語専攻部を卒業し ました。卒業後は小学館で編集者をしながら 習作に励み、昭和39年、鎌倉幕府の成立を 描いた『炎環』で第52回直木賞を受賞しま す。その後も、昭和57年に、奈良朝を舞台 に日本仏教の本質を問うた『氷輪』で第21 回女流文学賞を、昭和59年、従来の平安朝 広報古河 2011.10.01. 17
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