論文 - 水道技術研究センター

米国における水道産業の民営化
米国水道事業者協会
ピーター・L・クック
第6回水道技術国際シンポジウム
神戸
2003年3月18~19日
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序
文
水道事業の市場
米国では、民間公益事業体が人口の約15%に水道を提供し、人口の5%に下
水道業務を提供している。残りの人口に対しては、地方自治体(市)が所有し
運営する公益事業体(市営または公営公益事業体)が業務を提供している。公
営公益事業体が多いということは、米国内において民営化や、民間との提携が
行われる可能性が大いにあるということである。
衛生および経済規制
水道事業体は、民営、公営を問わず、米国環境保護庁(EPA)が設定し、州
が実施する衛生基準を満たさねばならない。下水道事業体は、EPAが設定し、
州が実施する排出限度および前処理要件を満たさねばならない。
民営事業体は、公益事業委員会(PUC)によって経済面でも規制されている。
PUCは、民営事業体が独占権を行使するのを防止し、民間のガス、電力および
電話会社も取り締まっている。一般に、公営の水道事業体は、PUCに管理され
ない。理論的には顧客/有権者の要求に敏感であるべき市長と市議会が市営事
業体の料金、投資およびサービスを監視するだけである。
後述するように、民営事業体に対する経済的規制と公営事業体に対するそれ
との間に相違があるため、公営の場合の水道料金、下水道料金が安くなり過ぎ、
不十分な投資計画しか行われないという事態が時には生じかねない。これは、
設備投資を含む、上下水道業務の全経費を償うために料金を上げることが市長
や市議会の政治リスクと関連しているからである。
傾
統
向
合
水道産業の民営化に影響を与える因子は多い。市場参入者の変化もその1つ
である。民間水道会社同士が吸収合併して民間水道業界の統合が急速に進み、
米国では大手の民間水道会社の数が顕著に減少している。更に、多くの外国巨
大水道会社が米国の水道会社を買収し、米国の水道業界が正に国際的になって
きている。2002年10月現在、米国の4つの水道会社が外国の親会社の傘下にあ
り、5つ目である米国最大手の民間水道会社アメリカン・ウォーター・ワーク
ス社の、ドイツの巨大公益事業会社RWEによる買収が進められている。
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水道事業の成長
米国の民営水道会社の多くが、公営水道事業体を取得して事業を拡大しよう
と目論んでいたが、米国の大手市営水道事業体は資産を売却しそうにない。し
かし、その多くが、たくさんの業務を民間に委託している。国内外の企業が、
この仕事を受注しようと競っている。入札者の中には、水道会社を所有して運
営している会社もあれば、水道事業体の運営のみを請け負っている会社もある。
水道事業体の運営を委託した場合、多くの場合、PUCは規制的監視を行わない。
契約の条項を通じて運営者を監視するのが地方自治体当局の責務である。もち
ろん、連邦衛生基準が適用され、当事者は、遵守の最高責任者を決定し、契約
書に示さねばならない。
公益事業部門の規制緩和
米国では、民間公益事業部門のかなりの部分で規制緩和に向けて大きな進歩
があった。エネルギー部門の企業スキャンダルがあったため、ここ12ヶ月間、
規制緩和がスローダウンしたものの、スローダウンする前に、連邦および州レ
ベルでガス、電気および電話事業の規制緩和が大きく進歩した。しかし、水道
事業と他の公益事業とではかなり異なるために、水道部門の大幅な規制緩和は
実際的でない。他の公益事業とは異なり、水道事業体は、まさに自然の独占会
社である。にもかかわらず、もっと限られた規模での競争を高め、効率を改善
するための代替的規則が設けられそうである。
EPAの規制
EPAの規制の傾向も水道事業、とりわけ水道事業に顕著な影響を与える。
益々複雑化する浄水施設の運転に一層高度な専門知識が必要となること、また、
必要となる多額の資本投資が地方自治体の財務能力を疲弊させる可能性がある
ことから、EPA規制の傾向は、民営化を促進させそうである。
健康に対する公衆の関心が高まりつつあること、解析方法が進歩して水に含
まれるより多くの汚染物質を検出できるようになったことから、水道産業に対
する健康基準が益々厳しくなるだろう。また、高齢者、幼児、免疫系に障害を
持つ人々(例えば、AIDS患者、臓器移植を受けた人)など、影響を受けやすい
グループの人々の健康に汚染物質がどのような影響を与えるのかを考慮しなけ
ればならない。
米国では多くの主要な新しい規制が間もなく完成する。病原性微生物/消毒
副生成物(M/DBP)規制は、表流水系システムに影響を与え、その他の規制は、
主として地下水系システムに影響を与えるであろう。このM/DBP規制は、大き
な資本投資を伴う新しい技術(例えば、オゾン処理または膜ろ過)に向かう重
大な論理的規範の転換を招く可能性がある。十分理解されている微生物のリス
クに加え、5年後には保健衛生的調査によってDBPsの健康阻害閾値の初期の兆候
が立証される可能性があり、そうなるとDBPsを更に削減することが必要になる。
その他の規制は、地下水系システムの砒素、ウラン、ラジウム、ラドンなどの
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処理を義務づけることになる。多くの地下水系システムでは、おそらく塩素消
毒以外の処理は行われて来なかった。これらの新しい要件は、いずれも相当な
投資の必要性を意味する。
また規制が益々厳しくなれば、水道事業体は様々な集中処理技術に駆り立て
られる。その集中処理技術とは、オゾン処理、膜ろ過、紫外線照射、混合消毒
剤などである。より厳しくなった新しい基準、特に微生物に関するものを満た
すには、配水系統が最大の脅威に遭遇すると思われる。水道管内部で経年的に
自然に発達する錆びこぶは、細菌の増殖を促進させる。水道管の小さな漏水個
所は避けられず、配水系におけるバルブの開閉その他の操作によって極めて短
時間の圧力変動が生じると、逆サイホン作用によって汚染が引き起こされかね
ない。
配水管によって生じるこの水道水質の劣化に対処するには、より厳しくなっ
た新しい水道水水質基準の要件を満たすまで水質を改善するため蛇口直結また
は給水管入り口集中型のような部分的な家庭処理が必要かも知れない。家庭に
供給される全ての水道水に病原体やその他の重大なな汚染物質が混入していて
はならないが、最高の水質基準を義務づける必要があるのは、おそらく、台所
に供給される飲用および料理用の水だけだとする意見もある。
米国の水道業界の多くの事業体が、家庭で2つの異なる水質の水を使用でき
るようにする、つまり2つの異なる水道水質基準を設けることに消極的である
ものの、コスト面、技術面での制約があるために、我々はこの選択肢を真剣に
検討しなければならないかも知れない。一方の基準は、台所に供給される水道
水に適用するもので、かなり重大な急性あるいは慢性健康被害を招くあらゆる
汚染物質を安全レベルまで除去することを義務付ける。他方の基準は、恒常的
には経口摂取されない家庭内の他の全ての水道水に適用するもので、主として
急性健康被害を招く汚染物質の除去を扱う。急性疾患に対する不安なしに家庭
内の全ての水道水を使用することができる一方で、台所の水道水が持っている
汚染物質の長期間摂取と関連づけられる健康被害を受ける危険性はより小さい。
需要者に高い水質の水道水を供給するためのこの取り組み方は、従来の水道
事業体にとって明らかに新しいものとなるであろう。
その他の傾向
英国では、中央政府が民営化を指令した。しかし、米国では、民営化、また
は民間企業との提携の決定は、連邦政府ではなく、地方自治体レベルでなされ
ている。米国では、水道事業は常に地域の役割であった。このようなことから、
民営化は、地方自治体当局が決めたペースで進めなければならない。理由は後
で述べるが、米国の民営化のペースは、非常に限定的であり、提携の最も一般
的な形は地方自治体所有施設の運営を委託契約するものである。そのような契
約の受注をめぐる争いが、民間水道会社だけでなく、水道会社を所有せず、施
設運営だけをしている会社の間で熾烈である。
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米国水道産業の経済的特質―資本、経費、価格
水道事業は、他の公益事業部門より資本集約的である。水道事業体は、収益
の1ドルにつき約5ドルの総資産を持っていなければならない。他の公益事業体
は、電力会社で3.08ドル、電話会社で2.94ドル、ガス会社で2.46ドルとずっと少
ない。図Ⅰにこのデータを図示している。このような資本集約性はほとんどの
場合、経済的に施設を重複させることを不可能にし、これが競争者へのかなり
な障壁になっている。
米国の水道産業が他の公益事業と一線を画している特質が他にもある。水道
産業は、他の公益事業とは異なり、需要が横ばいとなる時期を経験しつつある。
米国地質調査所(USGS)のデータによると、取水量(産業用、公共用および
農業用)が1980年までは着実に増加し、それ以降、比較的安定に推移している。
USGSは、この需要の衰退は、効率の向上(節約)によるものだとしている。
公共用水の取水量は、わずかしか増加していない。水道需要が比較的に一定
していて、プラントに巨額の資本投資が必要であるために固定費が上昇したた
めに、他の公益事業に比べて、上下水道事業の経費が着実に増加した。このこ
とが図Ⅱの上部から分かる。上下水道事業を上回っているのは、ごみ収集と
ケーブルテレビだけである。
今後20年間、上下水道の基盤施設への投資は膨大なものになる。この必要投
資額が民営化に強く影響すると思われる。必要な投資のほとんどが、送水およ
び配水に関するものである。老朽化しつつある送配水施設が、水道産業の最も
重大なコスト推進要因である。過去100年間の様々な時期に布設された材質の
異なる水道管が、有用寿命を終えようとしている。1900年以前に設置され管厚
が大きくて寿命の長い管と最近布設され薄い管厚で寿命の短い管との組み合わ
せで、今後20年のうちに一斉に有用寿命を終える結果になる。この一斉取替え
の必要性は、米国の水道業界に、これまで投じた資本をはるかにしのぐ、先例
のない巨額の資本投資を課すことになるであろう。最近の調査で、必要な投資
額の試算が試みられた。
1997年、米国環境保護庁(EPA)は、米国水道業界の総資産価値を1,319億ド
ル(1995年価格)と見積もった。米国水道協会は、最近の調査で、送配水施設
更新だけでも3,600億ドル(1998年価格)以上かかると見積もっている。水道業
界の中には、上下水道を合わせると必要な資本金は1兆ドルに届くと見積もっ
ているところもある。図Ⅲでこれらの見積もりを比較した。
2002年5月、下院予算局は、今後20年間で水道および下水道施設にかかる費
用は、建設投資と借入れおよび公債の利息とを含め、低コスト予測で4,920億ド
ル、高コスト予測で8,200億ドルになると見積もった。EPAは、2002年9月に発
表した調査でこれらの見積もり全てを検討し、今後20年間の水道および下水道
施設投資は、4,850億~8,960億ドルになるだろうと判断した。
図Ⅳから、水道業界が必要とする基盤施設が、送配水施設に集中しているこ
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とがわかる。これを普遍化すれば、100年前は1フィート当たりわずか1~3ドル
で設置できた水道管が、今では1フィート当たり100ドルもかかる。平均して、
送配水コストが基盤施設建設費の半分以上を占め、次いで浄水処理が26%、貯
水が9%、水源が8%になると思われる。これらの割合は、個々の水道システム
によって顕著に異なるであろう。例えば、水源容量が制約されている水道シス
テムは、この分野への投資を増やす必要がある。この巨額な必要資金は多くの
地方自治体の債務能力を超えている。民間水道会社などに事業の機会を与える
ことで資本調達のため提携の機会を求める可能性がある。
民営化
民営化、官民合資会社とは何か?
民営化は、地方自治体の資産の民間への売却から様々な官/民合資会社
(P3)の創設まですべてを含む広い意味を持つ言葉である。これらの形の民営
化は全て、民間および公共部門の役割、並びにそれぞれが犯すリスクの再定義
を必要とする。
P
民営化には次のような形態がある。
・ 業務の契約/外部委託
・ 運転および保守業務契約(ConOps)
・ 運転および保守業務契約と融資
・ ターンキー方式
・ 営業権譲渡、または建設、所有、運転&譲渡(BOOT)
・ 共同所有
・ 民間会社による所有、経営
民営化についての地方自治体の見解
米国で民営化の利点および地方自治体が水道事業において果たすべき役割が
議論されている。米国には、ある特定の公共事業、とりわけ水道事業の公営化
の長い歴史がある。議論が続く間に、地方自治体の対応が変化しつつある。
民営化を恐れた地方自治体は、コスト削減のために市議会によって民営化さ
れることがないよう、効率の改善に乗り出した。多くの地方自治体が成功する
と思われるが、他の多くは、何らかの形のP3を検討せざるを得なくなるであろ
う。地方自治体が所有し、経営する水道事業体が水道水の80%以上を供給して
いるため、首長は、民営化のペースを左右することができる地位にいる。従っ
て、地方自治体の対応は非常に重要である。
P
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1990年代の好景気で税収が増加し、首長は、投資不足の水道システムに応急
手当てをすることができた。しかし、これまで我々が経験してきた景気後退や、
足取り遅い景気回復によって政府のあらゆるレベルで税収が減少し、地方自治
体の予算がかなり圧迫された。
首長達は、水道事業のもっと効率のいい代替的運営方法を検討せざるを得な
くなった。最近の調査で、地方自治体は、変革を実行する目的でP3を真剣に検
討していることを表明している。
P
下院の一機関である米国会計検査院(GAO)は、2002年8月に水道施設に関
する報告書を発表した。この調査の一環として、GAOは、水道事業体を調査し、
最近の会計年度において、資金不足が原因で維持管理、小規模な施設改良およ
び/または大規模な施設改善を延期したかどうか尋ねた。報告書では、次のよ
うに報告されている。
「公営水道事業体の方が、民営水道事業体より維持管理業務(推定で
12%に対して31%)および大規模建設事業(26%に対して42%)を延
期する見込みが高い」
「公営水道事業体は、民営水道事業体より三項目(?)全てを延期する見
込みが高い(推定で7%に対して21%)」
官/民提携を決めた地方自治体には、次のような行動パターンが現れた。
・ 大きな地方自治体は、運営契約を好む。
・ 中小規模の地方自治体は、資産を民間の所有者/経営者に売却する
のを好む。
図Ⅴ(?)は、米国の最大手水道会社10社が給水している人口の増加と、委託運
営会社が給水している人口の増加を示している。10社の給水人口増加の一部分
は、統合が進んでいることに起因しているが、少なくとも中小規模の公営水道
事業体の資産取得が増加している。大きな地方自治体の間では、契約運営など
他の形のP3の方が好まれているようである。
P
我々の民営化の経験
民営化の議論を推進したのは、事実ではなく理念的、政治的論争であった。
NAWCは、ハドソン研究所に依頼して、地方自治体が民営化を推し進める理由、
並びに様々な種類の提携の成果について事実を調査した。この調査で、地方自
治体のニーズがそうした提携が期待通りの成果を上げているという結果が得ら
れた。
この調査は、11州の29件の提携(内訳は、資産譲渡が9件、運営管理契約が
14件、貸し出し契約が4件、業務の外注が2件)を対象に行われた。水質基準違
反、資本の制約が最も共通した提携推進要因であった。調査は、これら地方自
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治体のニーズが提携によって首尾よく満たされたとしている。
民営化の利点
調査した施設の41%が、民営化以前には水質基準を満していなかった。民営
化から1年後は、100%が満足していた。
提携によって財政能力を顕著に増やすことができる。調査では、地方自治体
の資金調達が次のように強化されたことを明らかになった。
・ 建設投資で5,500万ドル
・ 営業許可料で3,500万ドル
・ 資産譲渡報酬で5億3,700万ドル
民営化の利点としてよく挙げられるのがサービスの質的向上である。調査で
次のような結果が得られた。
・ 味、臭いが改善する。
・ 低配水圧および断水問題が是正される。
・ いくつかの都市では、需要者の不満が50%減少した。
・ 需要者の不満が増大していない。
・ 需要者がお客様係に電話をかけた際の待ち時間が少なくなった。
大幅な値上げが予測が民営化に当ってよく問題になる。調査で次のことが判
明した。
・ 施設の17%が10%~40%の経費節約を経験した。
・ 調査対象の事業の25%が、残務的建設投資があったために大幅に値
上したが、民営化により料金が安定した。
・ 全てのケースにおいて、P3 の効率的運営によって大幅な値上げが緩
和された。
P
要点としては、民営化すれば資本が手に入り、水質基準への対応が改善され、
サービスが向上し、値上げが緩和される。
民営化へと駆り立てる多くの要因がある。その多くは、水道事業体の必要収
益を増大させている。それには以下が含まれる。
・ より厳しい水質規制
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・ 一部の公営水道事業体が抱える水質基準対応上の問題
・ 巨額の施設更新経費と、滞貨的必要建設投資
・ 地方自治体の水道事業以外(例えば、道路、学校など)の資本需要
が加速している。
・ 地方自治体の資本市場が全ての資本需要を満たすのに必要な資本を
生み出せない。
この資金需要の増加は、政府の財政援助の減少によって激化している。連邦
政府の下水道施設補助金が、事実上廃止され、州が水道および下水道事業に回
転ローンを提供しているが、補助金喪失の埋め合わせにはなっていない。州お
よび地域の予算が逼迫し、頻繁に経営赤字が発生しているために、この州政府
の資金援助機構は信頼に値しない。
これらの制約の中にあって、以下の点で水道事業体に対する一般の要求が
益々高まっている。
・ 運営効率を改善し、料金値上げを抑制して欲しい。
・ サービスの質および信頼性を改善して欲しい。
・ 経済発展に伴うニーズを満たして欲しい。
民間部門は、新しい豊富な資金源を利用できるようにするなど、多くの解決
策を提供することができる。そうなれば、地方自治体の資金および債務能力を
他の需要にまわすことができる。また民間部門は、しっかりした技術的および
運営上の専門知識を持ち、効率化の経験を持っている。民営化すれば、常に水
質基準が遵守され、運営面でかなり経費を節減することができる。
民営化への障害と成功するための重要な要素
米国の場合、民営化するのに次のように多くの障害がある。
・ 州法および規制
・ 仕事または賃金外給付を失うことを恐れる地方自治体労働組合によ
る反対
・ 資産の売却による経営支配権の喪失という政治的リスク
・ 多くの小さな地方自治体の場合、民営化を管理するための専門知識
の不足
・ 職を失うことになる地方自治体の管理職の抵抗
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・ 地方自治体には民営化擁護論者がいないこと
民営化を成功させるには、多くの重要な条件が揃っていなければならない。
・ 資産を売却する場合でも、業務委託する場合でも、公開完全競争入
札を行うことが不可欠である。
・ 消費者の要求を満たす最善策に焦点を置いて入札結果の分析を行わ
ねばならない。
・ 第三者による信頼性の高い入札比較分析が重要である。
・ 料金に影響を与える公共部門と民間部門との税金の差を考慮に入れ
て公正な比較を行う。
・ 全ての契約条項を契約書にはっきり明記すること。
・ 地方自治体は、業績を入念に監視しなければならない。業績が好調
でなければ、民営化は促進されない。
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図Ⅰ-プラントの収益に対する
資本集約度
全ての水道
(1995年)
1995年)
$5.09
NAWC水道
NAWC水道
(1996年)
1996年)
$4.38
総プラント収益比
$3.45
$3.08
電力(1996
年)
電力(1996年)
純プラント収益比
$1.93
通信
(1996年)
1996年)
$2.94
$1.57
$2.46
天然ガス
(1995年)
1995年)
$1.39
$0.00 $1.00 $2.00 $3.00 $4.00 $5.00 $6.00
出典:ビーチャー政策研究会社
図ⅡⅠ‐消費者物価指数
(1928年から
1984年=
年=100
100)
)
1928年から1984
ごみ収集
250.0
ケーブルテレビ
200.0
水道/下水保守
150.0
地域電話サービス
100.0
全項目
電力
50.0
1996
1998
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1970
0.0
1972
天然ガス
州間電話サービス
出典:ビーチャー政策研究会社
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図Ⅲ‐20年間の水道事業の必要資本
$1,000.0
20年間の水道および
下水道事業の見積必
要資本総額
同上:AWWAによる再
計算(1998年価格)
$360.0
20年間の予想必要
投資額(EPA、
1995年価格)
$138.4
地方自治体水道事業
体の流動資産(EPA
、1995年価格)
$131.9
$100
$200
$300 $400 $500
$600 $700
$800 $900 $1,000
単位:10億ドル
出典:ビーチャー政策研究会社
図Ⅳ‐20年間でインフラに必要な
費用の内訳
浄水処理
(362億ドル、
26%)
送配水(772億
ドル、56%)
その他
(19億ドル、
1%)
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貯水
(121億ドル、
水源
9%)
(110億ドル、
8%)
出典:ビーチャー政策研究所