府民のくらしと雇用、営業を守る施策の充実を求める要請書

2009 年
京都府知事
山田
9月16日
啓二様
‘09 府市民総行動実行委員会
代 表
岩橋 祐治
連絡先:京都市中京区壬生仙念町 30-2
ラボール京都 5 階
電話:075-801-2308
FAX:075-812-4149
府民のくらしと雇用、営業を守る施策の充実を求める要請書
貴職の日ごろのご活躍に敬意を表します。
さて、昨年来の経済危機による雇用問題の悪化は一層深刻化してきています。厚生労働省の調
査では、昨年10月から今年9月までの間、
「非正規労働者の雇い止め等の状況」は、23244
8人となっています。京都での有効求人倍率は0.49と一層悪化してきています。
また、内需拡大対策が重要だと言われながら、自動車、電機など、政府による補助金による一
時的な売り上げ増があっても、京都の百貨店売上が11ヶ月連続で減少し、7月には前年同月比
でマイナス11・7%と過去最悪を記録したことに象徴されるように、個人消費の低迷が続いて
います。こうした中、中小企業での仕事と売り上げの減少が深刻化しており、雇用と地域経済対
策の強化がひきつづき求められています。
この間、政府の補正予算による経済対策、雇用対策をはじめとしたさまざまな予算措置がおこ
なわれていますが、これらの新たな予算措置による経済・雇用対策が効果的なものとなるよう、
市民の雇用やくらし、営業を守る自治体の役割はきわめて重要となっています。そのための対策
予算と施策の一層の充実・強化を要請します。
記
1、
経済対策と雇用対策が一体となって有効に機能し、労働者の雇用が保障できるよう、経済
効果の高い経済対策の強化、関係機関との連携やそのための体制強化など、新たに政府補正
予算で新設等されてきた制度が有効なものとなるよう施策を強めること。
(1) 「下請け切り」などで仕事が激減し、廃業に直面している業者に対し、中小貸し工場への
家賃をはじめとする固定費補助や、工場への固定資産税の免除などを行い、廃業を食い止
め、ものづくりの技術・技能の継承を支援すること。また、空き店舗の増加などで固定費
支払いに苦しむ商店街に対し、街路灯の電気代などの固定費を補助すること。特に、太陽
光発電システムを活用した街路灯への転換補助・省エネ電球への交換事業を実施すること。
(2) 経済波及効果と雇用吸収効果の大きい産業、職種への経済対策を強めること。このことに
よって、地域経済の循環を促し、地元中小企業を中心に活性化させ、新たに新設された「緊
急人材育成支援事業(基金訓練、訓練生活支援給付金)
」の活用が雇用に結びつくようにす
ること。さらに、雇用維持のため、引き続き努力すること。
(3)
直近のGDP統計で明らかとなった経済波及効果の裾野の大きい民間住宅の落ち込み
(マイナス9.5%)への対処が必要であり、耐震改修助成制度の改善と予算の大幅な増
額をすること。さらに、住宅改修助成制度を確立すること。
1
(4) 地域での身近な生活・公共事業を掘り起こすこと。
「府民公募型公共事業」が積極的に活用
できるよう適用地域・範囲の拡大をおこなうこと。公的施設の小規模改修などをはじめ、
生活関連の公共投資の前倒し発注を行い、中小零細企業の仕事を増やすようにすること。
2、
子育て世代への支援、子どもの貧困対策を強めること。
(1) 経済・雇用状況の変化に伴って対応が必要な家庭に対して、就学援助制度の周知徹底と予
算確保、さらなる拡充を行うこと。府として市町村に対する就修学保障関連の補助を拡充
すること。
(2) 義務教育での教育費完全無償化、高等教育での漸進的無償化をはかること。当面、教育費
の保護者負担を引き下げること。
(3) 給食費の無償化を実現すること。当面、市町村への給食費の値上げが起こらないよう財政
支援を行うこと。
(4) 学校給食に安心・安全な国産・地場産食材を利用するなど、地産地消をすすめること。
(5) 保育所待機児童の解消のため、市町村と連携して認可保育所の新設増員をすすめること。
(6) 子どもの医療費の無償化をはかること。
(7) 細菌性髄膜炎に効果のあるヒブワクチンの公費による定期接種化をすみやかにおこなう
こと。また、当面、ヒブワクチンについて乳幼児がいる世帯に周知徹底すること。
3、
安心して医療が受けられるような対策を強めること。
(1) 京都府北部の医師派遣の取り組みをさらに強化・拡大すること。北部医療の基幹病院である与
謝の海病院はじめ、民間医療機関への医師派遣を医師会などの関係機関と連携して、府とし
て責任をもって抜本的に強化すること。
(2) 医学生奨学金予算を拡充すること。
(3) 現在策定中の第 7 次看護師需給見通しを実効あるものとすること。医師・看護師の過労死を
出さないためにすべての時間外労働をなくすようにすること。なお、違法時間外、違法当直
など、労基法違反をただちに一掃すること。同時に、労基法違反の原因となっている医師・
看護師不足を解消するために、増員をすること。そのための保障を京都府として行うこと。
すべての医療機関で、最低でも 7:1 基準の看護師配置が可能となるような助成制度をつくる
こと。
(4) 地域医療再生交付金を活用し、医師派遣基金などを創設し、地域医療の充実のために、すべ
ての地域で、医師・看護師不足の解消や医療機関の連携強化などがすすむように、京都府とし
て独自に地域医療再生施策を実施すること。
(5) 医師不足病院に医師派遣をする場合、派遣先賃金上積み補助を公的・民間問わず活用できるよ
うにすること。
4、新型インフルエンザ対策を強めること。
(1) 秋の再流行に備え、必要な診療材料・機器・防護具・医薬品等の備蓄と流通経路の確立をは
かること。また、感染拡大期には一般医療機関に対しても診断キットや防護具を公費で支給
すること。
(2) 感染拡大により一般医療機関の外来でも対応せざるを得ない事態に備えて、一般患者と疑い
患者を分離できるプレハブ等の設置に経済的保障も含めた支援を行うこと。
(3) 早期の受診・診断・治療により感染の拡大を防ぐため、発熱・疑い例などに関して医療費自
己負担分を公費で保障する制度を創設すること。
2
(4) 安全で有効なワクチンを確保し、国の責任で無償接種できるよう要請すること。
5、高齢者が安心して暮らせる社会をつくるための施策を強めること。
(1) 必要な介護が受けられるような認定をすること。
(2) 特別養護老人ホームの待機者を解消するため施設をつくること。施設利用料は本人の支払能
力に応じて軽減すること
(3) 介護保険料・利用料の負担を軽減すること。
(4) 介護職員処遇改善交付金をすべての施設が申請を行えるように指導と援助を行うこと。また、
福祉職俸給表を基準とした介護職員の最低賃金を設定すること。国の介護職員処遇改善交付
金の対象外となっている職員の賃金改善を行うこと。また、雇用創出に貢献できるよう、
自治体としても積極的な役割を果たすこと。
6、
公契約にかかわって働く人々の中での「ワーキングプア」をなくすため公契約条例の制定
をはじめ、入札制度の改善をはかること。
(1)ILO94 号条約を批准するとともに、公契約法を制定するよう政府に求めること。
(2)公契約条例を制定し、公契約にかかわって働く人々の賃金を時間額1000円以上とす
る最低規制および社会的水準の賃金の支払い、労働条件の改善がはかれるようにすること。
(3)「新しい総合評価入札制度」について、下請けにいたるまでの地元での雇用の確保、賃
金に関して最低生計費を上回るようにすることや二省単価を守るなどの企業のとりく
み、環境へのとりくみや地域貢献などを評価基準とするなど、新制度を通じて、公契約
上のルールを確立すること。
7、 雇用を守り、増やすための施策を強めること。また、政府補正予算で拡充されてきた雇用対策・
雇用保険制度に関して、京都府としても施策の充実をはかること。
(1) 製造業への派遣、日雇派遣、登録型派遣を禁止する労働者派遣法の抜本改正を国に対し
て求めること。また、 企業に対し、雇用を維持・確保し、企業の地域経済への社会的責
任を果たすよう、強く求めること。
(2) 国に対に対し、最低賃金を時間額1000円に引き上げるよう求めること。
(3) 京都府としても雇用を増やすこと。上積みされた緊急雇用創出事業に関して、失業者の救
済・支援となるよう、積極的に活用すること。従来の交付金事業による雇用創出の例に
とらわれることなく、新しい事業の創出に努力すること。
(4) 住宅手当緊急特別措置事業での就労支援員については正規職員として配置すること。また、
消費生活専門相談員、母子自立支援員などについても正規職員とするよう必要な措置をとり、
処遇を改善すること。
(5) 中小企業緊急雇用安定助成金について、市内企業に周知徹底し、雇用の維持に必要な場
合、活用されるようにすること。
(6) 緊急人材育成支援事業や住宅手当緊急特別措置事業などの「第二のセーフティネット」
に関しては、制度がいくつかの関係機関にわたることや複雑なことから、府民が迅速か
つ気軽に相談できる窓口を設置すること。
(7) 住宅手当緊急特別措置事業について、生活保護制度より利用しやすい制度がねらいであ
ることから、利用者に柔軟に対応するとともに、就労支援についても積極的、実際的な
対応ができるようにすること。
(8) 住宅手当と対になることが見込まれている生活福祉資金についての利用については、対
3
応する関係機関との連携をはかること。
(9) ハローワーク管轄の緊急人材育成支援事業について、京都府としても相談窓口で紹介で
きるようにするとともに、中小企業等における雇用創出に関しては、ミスマッチがおき
ないよう府内企業への啓発・集約意見集約なども行い、関係機関と連携すること。また、
基金訓練に関して、単純に訓練で終わらないよう、関係する専修・各種学校、教育訓練
企業、NPO法人、社会福祉法人、事業主などが、関係機関と連携をとって雇用に結び
つくようにしていくため、京都府としても積極的な役割を果たすこと。
(10)障害者雇用、高齢者雇用に関して、それぞれの雇用率引き上げのため尽力すること。
8、
生活保護制度の改善などについて、一層のとりくみ強化をはかること。
(1) 老齢加算、母子加算の早急な復活をはかるよう国に求めること。
(2) 生活保護の受給を希望する人に対しては、申請をすみやかに受理すること。安易に、新
らしい制度(住宅手当、生活福祉資金など)にたらいまわしにしないようにすること。
(3) 生活保護行政の実態にあわせた機動性、柔軟性の確保、迅速な給付へ引き続き尽力する
こと。新たな政府補正を受けて、緊急一時宿泊事業を推進しホームレスをつくらないよ
うにするとともに、巡回相談員事業を緊急一時宿泊事業利用者だけに限らず巡回相談す
るよう京都府として措置すること。
(4) 失業者の住居を確保することについては、関係機関との連携を強め、公営住宅の提供を
はじめ、一層の努力を行うこと。また、家賃の引き下げ、一定の条件を満たせば家賃支
払いの猶予や減免などをおこなうこと。
(5) 国に対し、生活保護の国庫負担割合を拡充するよう求めること。
9、天候不順に伴うコメの減収、品質低下が心配されるうえ、生産者米価の暴落が予測されてお
り、府内の農業を守るため、当面次の施策を講じること。
(1) 政府に次のことを緊急要請すること。
① 政府備蓄米の不足分(およそ10万トン)を急ぎ買い入れること。
② ミニマムアクセス米の輸入をやめること。9月下旬に入札が行われたSBS(売買同時契
約)方式の輸入分は、米価が安定するまで、その流通をしばらく停止する措置を講じるこ
と。
③ 生産者米価の暴落が発生した場合は、支援措置を講じること。
④ 日米FTA交渉は行わないこと。
(2)京都府として米価暴落を防ぐための施策を緊急に講じること。また、暴落の場合、農家
への支援、激励措置を講じること。
10、気候変動問題に関して、京都議定書の 6%削減を守り、これらかの中長期にわたって温室効
果ガスを大幅に削減すること。そのため目標として、2020 年には 1990 年比で 30%削減する
など、効果ある対処をすること。
以
4
上