Discovering Japan 特集

Discovering Japan
No. 7 | 2012
廃棄物処理とリサイクル
1960 年代、経済成長とともに大量 生産・大量 消 費・
大 量 廃棄の時代を迎えた日本では、ごみの処理が深刻
な問題になった。現在では、廃棄物の量を減らし、か
つ適切に処理することの重要性を多くの国民が理解し
ている。多くの自治体で、ごみは住民によって「可燃
ごみ」
・
「不燃ごみ」
・
「粗大ごみ」に分別され、
古紙やびん・
缶、ペットボトル等は資源として回収されている。
川崎市のメガソーラー発電所。(写真・大河内禎)
例えば、東 京 都の北 清 掃 工 場では、ごみを 800 ℃以
上の高温で燃やすことで、有害なダイオキシン類の発
世 界 有数の火山国である日 本の地熱資源量は、インド
ネシア、米国に次いで世 界第 3 位の規 模を誇る。日 本
で本 格 的 な地 熱 発 電 が始 まったのは 1966 年、岩 手 県
の松 川地熱 発 電 所からである。また、現 在、日 本 最大
の発電量を誇るのは、九 州 電 力 八 丁 原発電所だ。出 力
は合計で 11 万 2,000 キロワットに達し、世界でも最大
級の地熱 発 電 所と言っていいだろう。一方、東 日 本 大
日本最大の発電量を誇る地熱発電所、九州電力八丁原
(はっちょうばる)発電所。(写真・大久保恵造)
生を抑えている。また、焼却炉で発生する熱エネルギー
は、発電や熱供給に有効利用されている。
さらに 2001 年 からは、一 部 家 電 製 品 のリサイクル
が法律によって義務づけられている。洗濯機、テレビ、
エアコン、冷 蔵 庫、パソコンなどは、家 電リサイクル
工場で解体され、レアアースなどの有用な部分を回 収
し、徹底した再資源化がはかられている。
震災と原子 力 発電所事故の影響で大きなダメージを受
けた福島県 福島市の土湯温 泉でも、現 在、温 泉の未利
用分の熱エネルギーを使う地熱発電の導入を計画中だ。
地熱 発 電は、地 域再生のための希望を担う存 在ともな
りつつある。
特集
く
に
省エネルギー
日本は 2 度のオイルショックを経験したことで、産
業 界が徹底的な省エネルギー化をはかり、世界トップ
レベルのエネルギー効 率 を実 現 している。1973 年 と
ねん だい
はっ せい
こう がい もん だい
現在を比べると、日本の経済規模は約 2 倍となってい
ねん だい
1950∼60年代に発生した公害問題や、1970年代の
こく ふく
に ほん
るが、製造業のエネルギー消費はほとんど変化してお
くに
オイルショックを克 服 し、日 本 はエコロジカルな国
せい ちょう
きん ねん
けい ざい せい ちょう
らず、大きく効率化が進んでいるのだ。
かん きょう ほ ぜん
へと成 長 してきた。近 年 では、経 済 成 長 と環 境 保 全
りょう りつ
こく さい てき
み
きょう そう りょく
現在、日本の電 力 供 給の 60%以上をまかなっている
たか
を両立するべく、国際的に見ても競争力の高いエコ・
火 力 発 電 所でも、天 然ガスを燃 料とした「コンバイン
テクノロジーの開発を進めている。
ドサイクル発 電」が一部で導 入され、今まで無 駄にし
かい はつ
すす
ていたエネルギーを再 利 用して発 電することで、大 幅
環境未来都市のひとつ、岩手県釜石市に設置された風力発電所。
(写真・藤田修平)
エコロジカルな都市を目指して
現 在、内 閣 官 房 では「環 境 未 来 都 市 」構 想 として、
再生可能エネルギー
な省エネを実現した。
現在、日本で新たなエネルギーとして注目されてお
ン・ハイブリッド・カー、電気自動車など、エコカーの
り、急速に普及が進んでいるのが、太陽光や風力、地
技術開発が着々と進んでいる。中でも「スマートグリッ
熱、バイオマスなどの自然の力を利用した再生可能エ
ド(次世代電力網)
」を視野に入れたエコカーの開発は、
けた地域が 6 つ選定されている。気仙広域(岩手県大
ネルギーだ。2011 年 度 には、約 1,945 万 キロワット
今後の展開が期待されている。
船渡市・陸前高田市・住田町)
、岩手県釜石市、宮城県
また、運輸部門でも、ハイブリッド・カー、プラグイ
11 の地 域 を選 定 し、環 境、防 災、高 齢 化 対 策 の成 功
事例を創出する試みを進めている。
このうち、2011 年の東日本大震災で大きな被害を受
一方、家 庭での温 暖 化 対策として、省エネ家電の導
岩沼市、宮城県 東 松島市、福島県 南 相馬市、福島県新
入が急速に進んでいる。最 新 技 術を活 用し、センサー
地町の 6 地域だ。いずれも、再生可能エネルギーやス
は神奈川県川崎市で、国内最大級の規模を誇る、2 つ
を用いて快 適な体 感 温 度を保 つことのできるエアコン
マートグリッドの導 入などを通じて、環 境 対 策を軸に
のメガソーラー発電所が運転を開始した。
や、部 屋の明るさに応じて画面の明るさを自動 調 節で
復興を目指している。
の再 生 可 能 エネルギーが導 入 されている。このうち、
太 陽 光 発 電 は約 480 万 キロワットに及 び、2011 年 に
中でも地熱発電は今後有望なエネルギーとされている。
コンバインドサイクル発電で用いられるガスタービン。
(写真・川本聖哉)
きるテレビなども開発されている。