点検 ( てんけん ) ・ 評価 ( ひょうか )

点検・評価結果
重点施策1
学校と地域が一体となった教育の推進
【主な施策・事業】
○ 学校教育を支える基盤づくり
○ 学校評価の公表と有効的な活用
○ 学校教育の指針等の主体的な啓発
【実施状況】
○ 学校教育を支える基盤づくり
学校教育と社会教育の連携・融合を図りながら、子どもたちが安全・安心して活
動できる拠点づくりやボランティア活動・体験活動を推進し、心豊かでたくましく、
社会性のある子どもたちを育成しました。
○ 学校評価の公表と有効的な活用
学校として目指すべき重点目標を設定し、その達成状況や達成に向けた取組みの
適切さ等を評価することにより、組織的・継続的に学校運営の改善を図っています。
評価の実施・公表により、適切に説明責任を果すとともに、保護者や地域の方たち
から理解と参画を得ながら、学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりが進み
つつあります。
学校評価報告会開催日:平成23年3月11日(5校)、3月15日(4校)
○ 学校教育の指針等の主体的な啓発
全ての幼稚園、小・中学校において、教育目標、経営方針、重点目標、管理運営
等を策定しホームページなどを利用して公表しています。また、学校経営の全体構
想図で各園・学校の特色などをわかりやすく1枚の図に示したグランドデザインも
公表しています。公表により、適切に説明責任を果すとともに、保護者や地域の方
たちから理解と参画を得ながら、学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりが
進みつつあります。
【評価】
「特色ある学校づくり」、
「信頼される学校」など、学校の自主性・自律性に委ね
られた「地域に開かれ、地域から信頼される」学校づくりが求められています。学
校が行っている教育活動等について、中・長期的な視野に立った学校の将来像を描
くとともに、実現に向けて今取り組まなければならない課題等を明確にすることが
必要です。そのためには、日頃の教育活動と学校運営の成果と課題、児童生徒の様
子を公表し、保護者や地域住民等の意見を取り入れながら学校運営の適切な改善に
つなげていく必要があります。
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評価の内容や学校運営の改善状況の判断材料となるアンケート内容や実施方法
の見直しを図るなど検討を行いながら、適切な改善につなげていく必要があります。
【学識経験者意見】
子どもの教育は学校だけで完結するものではありません。家庭及び地域と一体と
なって取り組んでこそ、心豊かでたくましく生きる力を身につけた子どもが育って
いきます。学校・家庭・地域社会がそれぞれの教育の役割を明確にし、情報交換を
しながら連携を密にしなければなりません。そうした取り組みを重ねながら互いの
信頼関係を構築し、深めていく必要があります。そのために、学校からは、ホーム
ページや学校だよりを利用して、教育目標や経営方針、子どもの活動状況、学校評
価などを保護者や地域の方々に公表し、協力を仰いでいるようで敬服しています。
ただ、情報が一方的にならないように配慮していけば、家庭や地域からの信頼は深
まるものと思います。
東温市の各学校・園においては、日頃の営みを大切にしているとのことであり、
教育委員会がそれを支えていると聞きます。その情報が広く市民に届けられ、全市
民参加の教育が展開されることを期待します。
子どもは、学校・家庭・地域が一体となって育てるべきだと、地域のみんなが考
えるようになり、登下校の子どもたちを見守る現在となってきました。学校として
も、地域の特性に基づき、学校のよき伝統を大切にして、社会教育と連携融和を図
りながら、開かれた学校、地域に根ざした、信頼される学校になってくる、と思い
ます。
子どもたちは、明るく無邪気にすくすくと成長しています。中学生もよく挨拶が
できています。時々、
「中学生らしく、すごいなあ。」と感じる場面に出会い、うれ
しく思っています。
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重点施策2
教職員の資質・能力の向上
【主な施策・事業】
○ 教職員の研修、いじめ、不登校等に対応できる指導力の向上
○ 新学習指導要領移行措置の確実な実施と研修の充実
○ 愛媛大学との連携協力
○ 学校事務の共同実施の充実
○ 充て指導主事の配置
【実施状況】
○ 教職員の研修、いじめ、不登校等に対応できる指導力の向上
教職経験に応じた研修や分担校務に応じた研修、現代的な課題に対応する研修や
教科の専門性を高める研修を積極的に実施しました。社会の一員としての意識を高
め、教職員としての自覚を持つとともに、教師としての必要な資質能力の保持を図
るため幅広い知識・技術の習得に努めました。
いじめや不登校等、児童生徒の問題行動の速やかな解決と防止のため、児童生徒
の立場に立った相談活動ができるよう知識やスキルの習得のための研修に努めま
した。
○ 新学習指導要領移行措置の確実な実施と研修の充実
授業時数の増加への対応するため北吉井小学校に非常勤講師を配置しました。
新たに導入される小学校における外国語活動の指導力向上に取り組むなど、新学
習指導要領への円滑な移行を推進しました。
○ 愛媛大学との連携協力
種々の施策のなかで連携協力体制が構築されています。
○ 学校事務の共同実施の充実
東(川内中学校)、西(重信中学校)2つの共同事務室を設けて、事務処理の適
正化の推進、事務職員の資質の向上、個々の学校での安定した事務機能を提供して
きました。
○ 充て指導主事の配置
愛媛県から現職の教諭を充て指導主事として配置し、愛媛県費職員である教職員
に係る事務、研修・研究事業、学校経営に関する指導、学校評価、児童・生徒の教育
や生活に関する相談・指導等々に精力的に当たっています。
【評価】
各種研修の受講者の満足度は高く、対人能力や指導力の向上が見られることから、
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引き続き実施する必要があります。教職員の研修意欲の高揚を図るとともに、教職
員の要望や時代にあった研修内容や実施方法の工夫や見直しが必要です。
また、メンタルヘルス対策に力点を置いた教職員の健康管理対策も重要です。
いじめや不登校等、児童生徒の問題行動の速やかな解決と防止のため、家庭や地
域、関係機関と連携しながら問題解決にあたる体制の充実が必要です。
新学習指導要領の対応については、小学校の外国語活動は、チームティーチング
(TT)を通して教員の指導力が向上しました。
愛媛大学との連携については、種々の施策のなかで有効に活用しています。より
専門性の高い知識・技術の提供を期待します。
学校事務の共同実施については、事務職員未配置校への対応としても効果があり、
続けて検討・推進する必要があります。
充て指導主事の配置は4年目になりますが、学校現場や教職員と教育委員会の協
働体制を実現する役割を果たしており、今後とも継続配置が必要です。
【学識経験者意見】
教職員には専門職として研修が義務づけられています。常に自らの資質・能力の
向上に努めなければなりません。指導力不足を他に転嫁することは許されないこと
です。使命感のある人間性豊かな教師に成長し続けなくてはなりません。子どもは
その後についてくるのです。学校で行う組織だった研修も、やがては個々の教職員
の自主的・主体的な研修へと結びつけなくては、資質・能力の向上にはつながりま
せん。
特に、いじめや不登校などの心の問題を抱えた子どもの対応は、早期発見・迅速
対応のマニュアルだけでなく、関わる教職員の人間力が問われます。特に、教員の
コミュニケーションスキル、カウンセリングスキル、ガイダンススキルを高めてい
く必要があります。そうした点で、東温市教育委員会が愛媛大学と連携協力をする
ことは当を得ています。
また、教職員の研修不足に煩雑な事務処理に追われていることもその要因の一つ
です。学校事務の共同実施の充実に取り組んでいることが、事務職員のマネジメン
トサイクル能力の向上だけでなく、事務処理の簡素化につながらなくてはなりませ
ん。
教師としての必要な資質・能力を身につけるため、様々な研修の機会を設けてお
り、更に研修に参加しやすいような配慮がなされています。
また、愛媛大学との連携により、専門的な知識や技能の提供を受けることができ、
充実した体制が整えられていることを感じます。
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重点施策3
確かな学力の定着と向上
【主な施策・事業】
○ 家庭等学習環境の向上と学ぶ力を育てる基盤づくり
○ 「よりよい学校生活と友達づくり事業」の継続・発展(東温市全域)
○ 小学校外国語活動の指導充実(各小学校)
○ 全国学力・学習状況調査の実施と有効活用
○ 電子黒板等教育機器の有効活用と教材開発
○ 地域素材を活かした小学校社会科副読本の作成
【実施状況】
○ 家庭等学習環境の向上と学ぶ力を育てる基盤づくり
学習・生活習慣の確立を図るため、家庭との連携を深め、確かな学力の定着向上
を進めました。「健康と睡眠アンケート調査」を実施し、子どもの健全な生活習慣
の向上のため本人及び保護者、関係者への啓発を実施しました。
○「よりよい学校生活と友達づくり事業」の継続・発展
平成22年度は、心理検査(QU)を全ての小中学校の全学年に年2回(6月・
11月)実施しました。調査実施後、それぞれの学校において校内研修会を行い、
分析結果を基にして教師があたたかい学級集団の形成と人間関係づくりに取組み
ました。不登校傾向にある児童生徒の早期発見やいじめの発生や学級崩壊の予防に
も大きな効果をあげています。満足度や意欲の高い学級集団の形成は、学力の向上
につながっています。
○ 小学校外国語活動の指導充実
新学習指導要領により新たに導入される小学校における外国語活動に対し、外国
語指導助手(ALT)、日本人外国語活動支援員(JTE)が市内の小学校におい
て英語の授業の補助にあたりました。英語の音声や表現に慣れ親しみながら、コミ
ュニケーショ能力の基礎を養うことができています。外国の言語や文化について、
体験的に理解を深めることができました。
○ 全国学力・学習状況調査の実施と有効活用
本年度の全国学力・学習状況調査は抽出調査となりましたが、希望利用を含め、
全ての学校で実施し、その結果を踏まえ、学校ごとに調査結果を有効に活用するよ
う分析・検討を行い、学習指導に役立てるよう努力しました。
○ 電子黒板等教育機器の有効活用と教材開発
電子黒板の特長(画面が明るく鮮明、拡大して提示できる、画面に書き込みがで
きる等)を活かし、映像や音声などを駆使することによって、児童生徒が集中し、
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楽しんで学習できる授業の改善が図られています。小学校では理科、外国語の授業
で、中学校では主に理科の授業で活用されています。
○ 地域素材を活かした小学校社会科副読本の作成
東温市の歴史や産業、生活の様子等をまとめた小学校3・4年生社会科副読本「わ
たしたちの東温」の一部改訂を行いました。
【評価】
外国語活動においては、学級担任(HRT)、外国語指導助手(ALT)、日本人
外国語活動支援員(JTE)それぞれが児童に効果的にかかわることができ、英語
の音声や表現に慣れ親しみ、コミュニケーショ能力の基礎を養うことができていま
す。また異文化への関心も高まっています。今後、学習内容の高度化や複雑化にと
もない、学習意欲が低下しないよう授業の工夫が必要と思われます。
家庭での学習の習慣付けには保護者の前向きな理解と指導が必要であり、啓発方
法について創意工夫を凝らす必要があります。
心理検査(QU)は、学習のベースとなる落着きと意欲のある学級づくりのため
にも有効でありました。今後は、その方法論を研究する必要があります。
もっとたくさんの先生に電子黒板を授業に活用してもらうため、操作や活用方法
について研修を実施する必要があります。
【学識経験者意見】
学力は家庭と学校の生活環境に大きく作用されます。家庭等での環境整備に、東
温市独自の「健康と睡眠アンケート調査」を実施したり、学校での生活環境に心理
検査(QU)を実施して、子どもたちの現状を把握することは指導改善のよい目当
てができます。学校と家庭が連携して手立てを考えていけば、全国学力・学習状況
調査でその成果が高く評価されている福井県や秋田県のような結果があらわれて
くるものと思います。東温市においも、電子黒板等の教育機器の活用や教材開発を
通して、授業改善を進められ、子ども一人ひとりが大切にされる教育の成果がみた
いものです。地域の教育力が加わればさらに大きな成果が得られるものと思います。
その点で、小学校に導入された外国語教育に、学級担任と外国語指導助手(ALT)
だけでなく、日本人外国語活動支援員(JTE)の協力を得て学習意欲を喚起して
いる事業は、将来を担う子どもたちの必ず支えとなります。外国語教育だけでなく、
他の教科にもそうした事業が展開されることを期待します。
外国語活動を楽しんでいる子どもたちの生き生きとした顔が見えるようです。初
めてのことが多い外国語活動ですが、学級担任だけでなく、指導助手や支援員の協
力を得て授業内容も工夫されていることが伺え、安心しました。電子黒板を使って
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の映像や音声による楽しい授業になっていることでしょう。
心理検査を利用し、落ち着きや意欲のある学級づくりに取り組んでいることは、
きっと成果となって現れてくると思います。
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重点施策4
特別支援教育の推進・充実
【主な施策・事業】
○ 特別支援教育グランドモデル地域としての取組み(東温市全域)
○ 特別支援教育の体制の充実と活動の推進(全幼稚園・小・中学校)
○ 通級指導教室の充実(設置校:川上小学校・南吉井小学校)
○ 幼稚園・学校生活支援員の配置の充実
(重信幼稚園・北吉井幼稚園・川上幼稚園・北吉井小学校・南吉井小学校・拝志
小学校・川上小学校・西谷小学校・重信中学校・川内中学校)
【実施状況】
○ 特別支援教育グランドモデル地域としての取組み
平成22年度も特別支援教育グランドモデル地域の指定を受け、保健・福祉・教
育・医療部門が連携して特別支援教育の充実を図りました。
○ 特別支援教育の体制の充実と活動の推進
「特別支援教育グランドモデル地域推進委員会」を設置し、これまで、それぞれ
で活動していた特別支援教育連携協議会と行政関係機関の調整会(健康推進課・社
会福祉課・学校教育課)を合わせて委員会を開催することにより、各機関の連携が
とりやすくなり、共通理解を図ることができました。
開催日:平成22年5月21日、平成23年3月14日
実施事業として、子どもの健やかな成長を支えるため、「とうおんし相談支援フ
ァイル」“きらり”を作成しました。このファイルは保護者が管理保持し、必要な
情報を必要な場面で記録するもので、保健・福祉・教育・医療・就労など育ちに関
わる人や関係機関をつなぎ、子どもが成長していくなかで相談した内容や大切な記
録を集めて、一貫したサポートを受けるために活用するものです。
今年度、幼稚園・保育所に在籍している全幼児の保護者に相談支援ファイルを配
布し、子育て支援のあらゆる機会に活用してもらうよう啓発しました。
○ 通級指導教室の充実
平成22年度は南吉井小学校教室22人、川上小学校教室27人の児童が通級指
導教室で指導を受け、内、川上小学校教室1人の児童が退級しました。
○ 幼稚園・学校生活支援員の配置の充実
平成22年度は21人の配置を行い、特別に配慮を要する児童・生徒の支援に当
たりました。
配置人数
・幼稚園
5人
・小学校
11
12人
・中学校
4人
【評価】
特別支援教育の体制と活動の推進は続けて充実を図る必要があります。
相談支援ファイル「きらり」を子育て支援のあらゆる機会に活用してもらうよう、
保護者に啓発するとともに、より良いものになるよう検討を重ね、東温市内のすべ
ての子どもたちの健やかな成長に寄与するよう努めます。
通級指導教室の本来の役割は、普通教室での学習が普通に受けられるようにする
ことであり、今後とも関係者が一丸となって支援する必要があります。
生活支援にあっては、個々の個性を深く理解し、担任や学校と密に情報交換を行
いながら適切な支援に心がけており、少しずつではありますが効果を上げています。
支援員のニーズに応じた研修を実施することにより、資質の向上を図っていく必
要があります。
【学識経験者意見】
昨年度に引き続いて、東温市においては、特別支援教育グランドモデル地域の指
定を受け、保健・福祉・教育・医療・就労の関係機関が連携して取り組み、子ども
たちの自立を支援し効果をあげているようでうれしく思います。通級指導教室の充
実や生活支援員の配置の充実など、手厚い支援体制のお陰だと思います。今後とも、
なお一層、特別支援を必要としている子どもたちの正しい理解と一貫したサポート
をお願いします。また、特別支援教育が当該の子どもや家族だけのものにならぬよ
う、広く正しく理解される啓発活動をお願いします。
特別支援教育グランドモデル地域として、平成22年度も取組みができますこと
は、保健・福祉・教育・医療等の関係機関が連携して充実した支援が図れることで、
子どもたちのより良い発達となり、喜ばしいことだと思います。
相談支援については、個々の個性を深く理解して、担任だけでなく、学校全体で
の理解や温かい支援が必要です。
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重点施策5
教員が子ども一人ひとりに向き合える環境づくり
【主な施策・事業】
○ ハートなんでも相談員配置事業の普及と実践
(北吉井小学校・南吉井小学校・川上小学校・重信中学校・川内中学校)
○ スクールカウンセラー活用事業 (拠点校:重信中学校)
○ スクールソーシャルワーカーの配置
(拠点校:重信中学校)
○ 不登校等対策に係る非常勤講師・職員の配置
(北吉井小学校・重信中学校・川内中学校)
○ 司書教諭支援に係る非常勤講師の配置
(川上小学校)
○ 小学校専科指導充実(音楽)に係る非常勤講師の配置
(拝志小学校・上林小学校・東谷小学校・西谷小学校)
○ 小学校専科指導充実(体育)に係る非常勤講師の配置 (南吉井小学校)
○ 新学習指導要領移行対応に係る非常勤講師の配置 (北吉井小学校)
【実施状況】
○ ハートなんでも相談員配置事業の普及と実践
ハートなんでも相談員を北吉井小学校、南吉井小学校、川上小学校、重信中学校、
川内中学校にそれぞれ1人役配置し、5人の平均活動日数は195日です。不登校
等で悩みのある児童生徒の相談や学習を見守り、担任教諭等との情報交換を密に行
いながら支援活動を行いました。
○ スクールカウンセラー活用事業
県からの派遣された2名のスクールカウンセラーが重信中学校を拠点校に、重
信・川内中学校において専門的なカウンセリングを68日あたりました。
○ スクールソーシャルワーカーの配置
スクールソーシャルワーカー1名が重信中学校を拠点に、川内中学校及び各小学
校の不登校の児童生徒と保護者の家庭に入って105日の支援・相談を行いました。
○ 不登校等対策に係る非常勤講師・職員の配置
北吉井小学校、重信中学校、川内中学校に配置し、教室に入ることができないな
どの問題を抱える児童生徒の対応にあたりました。
○ 司書教諭支援に係る非常勤講師の配置
川上小学校に、司書教諭支援に係る非常勤講師を配置しました。
○ 小学校専科指導充実に係る非常勤講師の配置
拝志小学校・上林小学校・東谷小学校・西谷小学校に音楽、南吉井小学校には体
育の専科の非常勤講師を配置し指導を行いました。
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○ 新学習指導要領移行対応に係る非常勤講師の配置
北吉井小学校に、新学習指導要領に対応するための非常勤講師を配置しました。
【評価】
学校における相談活動や福祉関係機関等と連携した取組みなどを通じて、児童生
徒が抱える悩みや不安の解決を図るとともに、いつでも気軽に相談できる体制の整
備を進める必要があります。
スクールソーシャルワーカーは、不登校等の問題を抱える児童生徒の家庭に入
り、本人とその保護者の相談相手として献身的な活動を行っています。現在、1名
で東温市内全ての小中学校を担当し、きめ細かな対応が困難になっています。1名
の増員により、重信・川内地区をそれぞれ1名で対応できるような体制をつくる必
要があります。
非常勤講師の配置や特別支援教育に係る専門員や支援員等の活動は効果があり、
今後ともに充実することが大事です。
また、教師が子ども一人ひとりに向き合える環境のひとつとして、落ち着いた学
級づくり、学習に集中できる学校・学級環境づくりを目指すことも大事です。
【学識経験者意見】
問題をもたない子どもはいないのです。本人にとって、それが大きなものなのか
小さなものなのかの違いはあっても、どの子も問題を抱えていることを忘れてはな
りません。そうした意識が強く働く教員は、潜在化している問題を小さなうちに探
り当て、解決してやることができます。本人が解決できずに放置されてきた問題が
顕在化してくると、解決には相当の時間と労力を要します。落ち着いた学級づくり
と、そうした事態に陥らない手立てをしておくことは大切なことです。東温市とし
ては、教職員の負担軽減措置として、スクールカウンセラーの活用やハートなんで
も相談員配置などの事業を展開し、非常勤講師を多数配置し、教員が子どもと向き
合える環境を整えているようで、効果を期待する次第です。子どもの悩みや不安が
解消されるためには、打ち明けられる人が多くいて、打ち明けられやすい場がある
ことが大切です。子どもの悩みや不安、問題を全教職員で共有して、それぞれの立
場で関わる体制づくりをお願いします。
司書教諭や新学習指導要領に対応するための非常勤講師や小規模校への専科の
非常勤講師が配置され、教師が子ども一人ひとりに向き合える体制ができており、
今の子どもたちは幸せだと思います。
ハートなんでも相談員やスクールソーシャルワーカーなど問題をかかえる児童
生徒だけでなく、保護者とも相談できる環境が整いつつあります。
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重点施策6
情操教育の充実と読書活動の推進
【主な施策・事業】
○ 子どものための優れた舞台芸術体験事業(西谷小学校)
○ 地域芸術劇場等公演鑑賞の推進
○ 子ども読書の日事業(全小・中学校)
○ 東温市子ども読書活動推進計画に基づく図書の充実及びコンピュータ管理の推
進(全幼・小・中学校)
【実施状況】
○ 子どものための優れた舞台芸術体験事業
芸術家による表現手法を用いた計画的・継続的なワークショップ等の実技指導を
実施することにより、子どもたちの芸術を愛する心を育て、豊かな情操を養うとと
もに、コミュニケーション能力の育成を図ります。
本年度は、西谷小学校において落語講座(4回)を行いました。アマ・プロの噺
家による落語を聴いたり、なぞかけの作り方について教わったり、児童が小咄や落
語を発表したりしました。落語という伝統的な言語文化に触れるとともに、間の取
り方や気持ちをよりよく伝える表現技法を学ぶことができました。
○ 地域芸術劇場等公演鑑賞の推進
坊っちゃん劇場の公演活動は、東温市から全国へ文化を発信するもので、学校教
育においても情操教育の一環として観劇しています。
少年式の付随事業や小中学校の学校行事として、教師も含め、中学生1,054
人、小学生995人が、ミュージカル「正岡子規」を観劇しました。
○ 子ども読書の日事業
子供読書の日(4月23日)記念事業として、4月17・18日に東温市立図書館
の主催で「子ども読書の日フェスティバル」が開催され、映画やおはなし会、昔の
街角にいた紙芝居屋さんなどに、幼児から児童までの多数の参加がありました。図
書館をより身近な施設として、本に親しむきっかけづくりになりました。
○ 東温市子ども読書活動推進計画に基づく図書の充実及びコンピュータ管理の推
進
東温市子ども読書活動推進計画では、学校図書館の児童・生徒 1 人当たりの図書
数を平成23年度末には38.7冊となるよう数値目標を立てています。平成22
年度においても古い図書の整理や購入などの整備を進めた結果、蔵書数は、小学校
では前年度より2,937冊増加、中学校は2,568冊増加しました。平成22
年度末の学校図書館の児童・生徒 1 人当たりの図書数は、27.3冊となり、前年
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度より2.1冊の増加となりました。
また、全ての小中学校の学校図書館で導入されました図書管理システムにより蔵
書管理の効率化が図られ、貸し出し手続き等がスムーズになりました。
【評価】
各種専門家による芸術表現体験活動は、子どもたちに深い感動を与えるとともに、
楽しみながらコミュニケーション能力の育成を図ることができました。今後も、芸
術表現手法を用いた実技指導等により、児童生徒が自ら発表をしたり作品を作り上
げることを通してコミュニケーション能力を育成していきます。
地域文化の発信であるミュージカル劇の観劇は、地方都市においてはなかなか体
験できないものであり、小中学校での取組みはもとより、幼児に適したミュージカ
ル劇には幼稚園児の感動の機会として積極的に活用していきます。
学校で行っている「朝の読書」は、集中力や想像力を育て、心を豊かにしていく
活動として効果が上がっています。今後も継続して実施していきます。
図書購入予算の増額に努め、質・量両面での蔵書の充実を図ります。
【学識経験者意見】
人と人の関わりが希薄になっているといわれている昨今、それに伴って情操も乏
しいものになっています。坊っちゃん劇場の観劇や落語の観演を通して、子どもた
ちが芸術家の優れた表現に触れたり、本物を見聞きすることは、ただ、感動するだ
けでなく、情操を豊かにしてくれます。情操が豊かになれば、使うことばが相手を
思いやるものに変わってきます。
東温市内の各学校においては、日々の教育活動のなかに読書を取り入れ、情操教
育を推し進めているとのことであり、強く関心をもって見守っています。さらに、
教育委員会が図書の充実だけでなく、コンピュータ管理など、各学校・園と一体と
なった取り組みを進めており、子どもの人間形成によい成果があらわれてくると確
信しています。
プロの芸術的表現を観劇・体験した子どもたちの感動は深くすばらしいものと思
います。心揺さぶられ心に残り、情操豊かな子どもに育つことでしょう。年に一度
は美しい芸術に触れさせたい、と思います。
学校に美しい花を咲かせるのも同じことで、花の側を通り過ぎていた子どもが、
そっと眺めたり、鼻を近づけ香りをかぐ子どもになります。美しいものは子どもの
心をやさしくします。
読書も同じで、心を育てます。朝の読書や子供読書の日の事業はすばらしい取組
みと思います。小説家の椋鳩十は、「お母さんの声は金の鈴」と言って読み聞かせ
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を勧めています。一日10分でいいから、お母さんとひざをつき合わせ、温もりを
感じながら読み聞かせをしてもらったことは心の宝となるでしょう。親子10分の
読書を特に低学年の児童に勧めます。
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重点施策7
豊かな自然体験学習の充実と環境教育の推進
【主な施策・事業】
○ 「森のようちえん」推進事業(北吉井幼稚園)
○ 緑の少年団事業(上林小学校・西谷小学校)
○ キッズISO支援事業(全小学校)
○ 自然エネルギー教室の推進
【実施状況】
○ 「森のようちえん」推進事業
愛媛県の事業により、北吉井幼稚園において、森林をテーマにした体験活動を実
施しました。地域の自然・鎮守の森の中での昆虫観察や遊びを通して、子どもたち
に生命や森林を大切にする態度を育むことができました。
○ 緑の少年団事業
西谷小学校の「西谷緑の少年隊」と上林小学校の「上林ささゆり少年隊」が緑の
少年団事業に取り組んでいます。
植林や枝打ち・ツル伐りなどの森を育てる活動や花つくり、サツマイモなどの野
菜作り、ひまわりの栽培と種からの油絞りなど実践的な体験を通した学習活動を定
期的に行っています。
西谷緑の少年隊は、今年7月に開催された愛媛県緑の少年団活動発表会において、
森や緑を守り育てる活動を発表し、最優秀賞を受賞しました。
○ キッズISO支援事業・ 自然エネルギー教室の推進
平成22年7月1日に開催された「とうおん子ども科学&環境会議」では、市内
の小学校5年生・教員320人が参加し、環境教育活動の実践発表等を行いました。
【評価】
森のようちえんは、地域の方々の協力を得ながら、園児だけではなく、保護者も
巻き込んで自然の中で遊ぶ楽しさを体験できています。
緑の少年団活動を通して生きる力と環境意識の醸成が図られています。今後とも、
児童の入れ替わりに関わらず団体としての活動の継続が必要です。
種々の教科や総合的学習などで環境教育の実施や児童による実践活動が定着し
ており、続けて取り組むことが望まれます。
【学識経験者意見】
人間形成に自然と触れ合うことは大変意義深いものがあります。幸い、自然豊か
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な東温市は教材や人材にこと欠くことはなく、環境にも恵まれたところです。体験
を通して学んだことは必ず生きる力となってあらわれてくると確信しています。緑
の少年団事業やキッズISO支援事業、さらに本年度から新たに加わった「森のよ
うちえん」事業を通して、総合的な学習が、保護者や地域の方々、あるいは大学や
専門機関の方々の協力を得て、展開がされることに期待をしています。自然と切り
離して考えられない環境についても、自然エネルギー教室を開催するなど、子ども
の未来に関する学びになっており、関心の深まりと態度化が進められたものと思い
ます。
「森のようちえん」は、すばらしい事業であり、県の事業がはずれても継続して
取り組んで欲しいものです。
西谷小学校の「緑の少年隊」は、地域の後押しのもと、20年以上も続けられて
いる活動で大きな成果をあげています。
「とうおん子ども科学&環境会議」にはもっと大勢の人たち、特に大人に参加し
てもらいたい事業です。子どもたちの成長の様子をみてもらうとともに、生きた環
境教育になると思います。他の市町に自慢できる東温市の取組みです。
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重点施策8
幼稚園・小・中学校の連携強化
【主な施策・事業】
○ 幼稚園・小・中学校への幼児・児童・生徒の引継ぎを前提とした長期的展望のも
との連携体制の構築
【実施状況】
○ 幼稚園・小・中学校への幼児・児童・生徒の引継ぎを前提とした長期的展望のも
との連携体制の構築
幼児期から小学校、中学校と必然的に成長していくそれぞれの個性を持つ子ども
たちの学習と生育のためには、入園・卒園と小学校入学・卒業と中学校入学など環
境が大きく変わる節目の引継ぎが大事と考えています。
小学校では、音楽会など学校行事に幼稚園(保育所)の幼児を招き、一緒に歌を
歌ったり、ゲームをしながら小学校の雰囲気を知ってもらい、小学校生活へのスム
ーズな移行ができるよう工夫をしています。
また、中学校では、保護者に対する説明会や小学校6年生を対象にした部活動の
見学・体験により、中学校入学に向けての目的意識をもたせるとともに、中学校に
対する不安を解消させ、スムーズに中学校生活に適応できるようにしています。
さらに、5月下旬には新中学校1年生の授業参観を行い、中学校担当教師と小学
校の元担任教師の情報交換を実施しています。小中の連携を強め、中1ギャップを
解消し、生徒一人ひとりが問題を抱えることなく中学校生活が送れるよう支援して
います。
【評価】
家庭・幼稚園・小・中学校の間の引き継ぎについては、全職員が関わっていく体制
の維持が肝要であり、施設間の情報交換についても機会をとらえて深めていく必要
があります。
【学識経験者意見】
先の指導要領の改定のおり、その柱の一つとして、発達に即した指導のあり方が
取りあげられています。異校種間の教育と子どもの発達の理解不足が、小一・中一
ギャップを生んでいると考えられるからです。この解消は異校種間の情報交換だけ
で埋められるものではありません。互いをよく知る人的な交流が必要です。教師間、
保護者間、そして子どもどうしの交流です。それがなされなければ理解は深まりま
せん。東温市の各学校・園においも、その取り組みを改善し、学校生活をスムーズ
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に適応させようとする配慮が伺えますが、さらなる改善を進めることをお願いしま
す。
家庭・幼稚園・小学校・中学校への節目の引継ぎは充分にお願いしたい、と思い
ます。書類上の引継ぎだけにならないよう、一日体験入学で進学への不安を取り除
く工夫をしています。
幼稚園から小学校への引継ぎは行われていますが、必要に応じて保育所への気配
りも大事ではないでしょうか。
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重点施策9
安全・安心な学校づくりの推進
【主な施策・事業】
○ 施設耐震化事業の推進
○ いじめ対策ネットワーク研究事業(重信中学校・北吉井小学校・南吉井小学校・
拝志小学校・上林小学校)
○ 緊急地震通報システムの運用
○ 登下校通知システムの利用促進
○ 不審者情報提供システムの有効活用
○ 自転車盗難防止等少年健全育成の推進
○ 地域見守り隊活動の推進
○ 救急救命講習の充実
【実施状況】
○ 施設耐震化事業の推進
平成22年度には,拝志小学校北校舎、重信中学校南校舎東棟(管理棟)・南校
舎西棟・渡り廊下棟、川内中学校北校舎東棟・北校舎西棟・図書館棟、西谷小学校
本館の耐震化工事を実施し、そのうち、拝志小学校北校舎、重信中学校南校舎西棟
の工事が完了しました。学校・幼稚園の耐震化率は、66.04%となりました。
○ いじめ対策ネットワーク研究事業
東温市では、「よりよい学校生活と友達づくり事業」などにより、いじめ問題・
不登校の解消に努めてきたが、いじめや不登校の減少があったものの、その減少は
わずかでした。そのため、これまで以上に、いじめの未然防止、早期発見・早期解
決を図るため、「いじめを生まない学校づくりに向けた総合的な取組み」を行いま
した。 ・心理検査(QU)を活用した実態把握と対応 ・
「教職員研修会」や「い
じめ・不登校等対策ネットワーク向上研修会」の実施
・リーフレット作成・配
布 ・中学校1年生の授業参観及び情報交換等の小・中学校の連携
行いました。
不登校児童生徒数
いじめ認知件数
(年間30日以上欠席)
平成20年度
32人
平成20年度
43件
平成21年度
27
平成21年度
23
平成22年度
19
平成22年度
15
22
等の取組みを
○ 緊急地震通報システムの運用
緊急地震通報システムは、市内の全ての学校に導入されており、強度の地震発生
情報が出た場合に、地震発生時刻を予め全教室に知らせることができ、迅速かつ的
確な行動ができます。
また、防災教育や定期的に実施した防災訓練(避難訓練)により、防災意識を高
めました。
○ 登下校通知システムの利用促進
登下校通知システムは、児童が登校した時刻と下校する時刻を保護者等の携帯電
話に通知し、保護者等が家庭や職場にいながら、児童の行動の様子が把握できるも
のです。
平成22年度の平均加入状況は、1,928人中440人で22.8%です。通学
距離が近かったり、下校の形態により不安がない場合などで利用しない方もおられ
ますが、児童自身の防犯意識の向上と親と子の話題になったり心の絆を深めること
にも資するため、公費予算と一部の保護者負担で運用しています
○ 不審者情報提供システムの有効活用
不審者情報提供システムの平成22年度通知件数は7件で、登録者951人に情
報提供を行い、児童の安全確保を図っています。
○ 地域見守り隊活動の推進
地域見守り隊は、保護者、老人クラブ・民生児童委員など約780人で構成され、
登下校時の見守り活動や交通安全指導などの活動を行っていただいており、事件や
犯罪の抑止力となっています。
学校においては、日々の登下校時の見守り活動、青パトによる巡回を実施してい
ます。
○ 救急救命講習の充実
救急救命講習は、児童・生徒が生命にかかわる事態に陥った際に、迅速かつ適切
に医療機関につなぐため、幼・小・中の教職員を対象に定期的に行っており、平成2
2年度は14人が普通救命講習Ⅱを受講しました。心肺蘇生法、止血法に加え、自
動体外式除細動器(AED)の使用法についても受講しました。
【評価】
学校施設の耐震化は全国レベルの重要課題であることから、少しでも早く耐震化
100%を達成できるよう財政事情を考慮しながら前倒しでの執行を心がけてい
きます。
「よりよい学校生活と友達づくり事業」「いじめ対策ネットワーク研究事業」な
どの取組みにより、いじめの認知件数や不登校児童生徒数は減少し、成果は上がっ
ています。研修会等による教職員や教育相談関係者の知識の向上と関係者の連携が
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図られました。これらの取組みを継続・発展させることにより、さらにいじめ・不
登校の解消を図っていく必要があります。
緊急地震通報システムについて、児童生徒はもちろんのこと、教職員にも啓発す
る必要があります。また、通報システムを使っての訓練を実施し、強度の地震が発
生した場合、迅速かつ適切な避難ができるように備える必要があります。
登下校通知システムは加入率が低いものの、本システムの継続は欠かせないもの
ですので、更に加入の促進を行うとともに、家族や地域ぐるみの防犯意識の向上を
図る必要があります。
不審者情報提供システムは、迅速性と正確性が求められるため、市民が不審者に
遭遇してから教育委員会に情報が届くまでの時間の短縮が大事です。児童から保護
者へ、家庭から学校へ知らせるまでの時間を短縮することについて機会をとらえて
啓発に努める必要があります。
地域見守り隊は、現在の活動を維持するとともに、子どもたちとの日頃のあいさ
つなどでコミュニケーションを図り、非常時の際には見守り隊員に通報しやすい環
境づくりにも心がけていきます。
AEDは、緊急時に現場に居合わせた教職員全てが正しく使用できるよう救命救
急講習とともに使用法の講習を継続して受講するよう努めます。一人でも多くの教
職員が受講できるように、実施日を増やしたり、講習会の開催時間を放課後にする
などの工夫が必要です。
また、定期的な部品の交換などのメンテナンスにも留意する必要があります。
【学識経験者意見】
子どもの命を預かる幼稚園・小・中学校が安全・安心な場であることは必要不可
欠なことです。そのための施設設備の改善・充実が着々と進められていること、ま
た、防犯対策としての登下校通知システムや不審者情報提供システム、地域見守り
隊などの組織体制づくりと有効的な活用、さらには、本年度から新型インフルエン
ザ等への対応や自転車盗難防止等少年健全育成などを加えて、多様多岐にわたるき
め細やかな取り組みがなされていることに感服しています。特に、新しく加わった
いじめ対策ネットワーク研究事業は、子どもたちにとって最も切実な問題です。平
成20年度からの不登校児童生徒数の推移や、いじめ認知件数の推移をみてみると、
研究成果が顕著にあらわれているようですが、今後とも、対策に手を緩めぬようお
願いしたいものです。
学校施設の耐震化100%を達成できるよう努力されていることに感謝します。
緊急地震通報システムを使った避難訓練を定期的に行い、災害発生時には落ち着い
た行動がとれるようにしておきたいものです。
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いじめの件数や不登校児童生徒数が年々減少しています。これまでの取組みの成
果があったものと思います。できれば、ゼロを目指し、これまで以上に、いじめの
未然防止、早期発見・早期解決に努めてください。
不審者から自分自身を守るための防犯教育にも力を入れてください。
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重点施策10
食育の充実
【主な施策・事業】
○ 学校給食を通した食育・地産地消の推進
○ 栄養教諭による食育指導の推進
【実施状況】
○ 学校給食を通した食育・地産地消の推進
給食の安心・安全の取り組みを保護者をはじめ市民に広報し、家庭での食育の取
り組みを支援しました。
給食センターの見学・試食の受け入れを極力行い、給食センターの様々な取り組
みの広報に努めました。
学校PTA代表を中心とした8人の委員で給食食材と納入業者を決定する「物資
購入小委員会」を定期的に開催しました。
地産地消の取組みとして、季節の地場産食材(旬の野菜)を使う献立を積極的に
組むとともに、さくら市場給食部会との打ち合わせを毎月行い、地場産農産物の供
給拡大を図りました。
毎月19日の「食育の日」や6月の「食育月間」、1月24日から30日までの
「学校給食週間」には特に地場産食材を使った郷土料理を取り入れた献立をつくり
ました。
学校で野菜生産農家の方や調理員のお話を聞き、一緒に給食を食べる交流給食会
を行うなど食育の取り組みに努めました。
○ 栄養教諭による食育指導の推進
食に関する指導の要である栄養教諭2名(川上小学校、南吉井小学校)を配置し、
学級や学校の訪問指導を行いました。
学校主催の給食試食会に参加して、望ましい食習慣の定着など保護者を対象に指
導と講演を行いました。
学校給食センターからは教職員用に「食育だより」を毎月配布して、給食指導目
標の周知、献立委員会の概要を報告して「食育」の一体的推進を行いました。
小学校4年生の児童と保護者、中学校1年生の生徒を対象に、朝食・夕食・食事
環境についての「食生活調査」を継続実施しました。
【評価】
「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践するこ
とができる人間を育てる「食育」を学校給食で実施することは、心身と人格の形成
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期にある子どもたちにとって重要なことです。特に、地場産食材を使って目に見え
る、安心・安全な給食を提供する地産地消の取り組みが強く求められています。
地産地消の取組みは、気温や天候に左右される出荷量に柔軟に対応することによ
り、地場産農産物の納入拡大が進み、学校給食の県内産食材使用率は、50.8%
で県下1位となりました。(県平均は、35.4%)
給食食材の選定に、学校PTA代表を中心とした8人の委員で食材と納入業者を
決定する「物資購入小委員会」を設置して価格だけでなく質と加工品については原
材料の産地までも考慮できる方式に変更しました。これにより、東北大震災以降の
食材選定に大変役立ちました。
給食センターの見学と試食会の受け入れを行い、16回、322人の方に給食セ
ンターの取り組みを説明し、安心・安全な給食を周知することができました。
学校においては、栄養教諭の学級訪問指導や9回実施した給食試食会の他に、生
産農家の方や調理員との交流給食を合わせて10回開催しました。夏休みには、親
子料理教室を引き続き開催し調理をする楽しさ、大変さに触れる機会を持ちました。
参加は、30組、59人でした。
各学校・園の給食担当で構成する献立委員会を2カ月毎に開催して、献立に対す
る要望や意見交換をするとともに、2学期から開始した残食調査の分析結果を栄養
教諭の給食指導やおいしい給食作りに活かすことができました。
【学識経験者意見】
豊かな国になったはずなのに、食に関しては偏ったり、欠食があったり、放棄さ
れる食料が多かったりと、食に対する関心や理解が決して豊かであるとはいえない
のが我が国の現状です。食は心身ともに健全な人格形成に大きな影響を与えます。
だから、食育は決してこどもや学校だけが対象ではないのです。子どもに食を提供
する責務のある保護者もその対象です。安全・安心な地域の食材を使うのも、献立
表を各家庭に配布するのも、そうした観点に基づくものです。家庭と学校の食を仲
立ちしている栄養教諭や学校給食センターの方々のご努力に感謝しなくてはなり
ません。今後なお一層、地域の生産者の方々の協力を得て、家庭と学校が子どもの
食を通して強く結びつくことを期待しております。
子どもが学校から帰るとすぐに「今日の給食はおいしかった。お母さんあんなん
作って。」と言うので、給食だよりをみたり、給食センターに電話して作り方を教
えてもらって作ってみたんよ、という話を聞きました。学校PTAを中心とした献
立委員会や栄養士の努力の賜物と言えるでしょう。
また、安心・安全な給食を提供する地産地消の取組みは、学校給食の県内産食材
使用率が県下1位となって現れています。
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重点施策11
健康な体づくりの推進
【主な施策・事業】
○ 風しん・麻しん予防・フッ素洗口の推進
○ 愛媛大学医学部との連携による健康推進
○ スキー教室の実施
【実施状況】
○ 麻しん・風しん予防
国の麻しん対策により、麻しん(はしか)・風しん予防接種の第1期・第2期に
加えて、平成20年度から平成24年度までの5年間に限り、第3期(中学校1年
生相当の年齢)
・第4期(高校3年生相当の年齢)の予防接種が実施され、県でも、
麻しん排除及び麻しんのまん延防止策として、予防接種率95%以上を目指した取
組みが行われました。
東温市においても、東温市医師会、市健康推進課と連携し、広報等で予防接種の
周知を行うとともに、麻しん・風しん第3期未接種者へ再度通知を発送するなど、
接種の勧奨を行いました。
対象生徒数
322人
接種済生徒数228人(接種率70.8%)(平成23年2月末現在)
○ フッ素洗口の推進
平成21年度に引続き実施している、東谷小学校、西谷小学校、拝志小学校、南
吉井小学校の4校に加え、上林小学校が新たにフッ素洗口を実施しました。(南吉
井小学校と上林小学校は県費事業)
フッ素洗口を希望した児童956人(実施校5校全児童の99.6%)が実施し
ました。
○ 愛媛大学医学部との連携による健康推進
昨年度実施した子どもの健康と睡眠アンケートでは、回収率の高さや事後の個別
健康相談の希望が多数あったことなどから、健康と睡眠に対する意識が高まったと
いえます。今年度は、本事業のまとめとして、アンケート集計・分析の報告や講演
会を開催しました。
○ スキー教室の実施
スキーを通して、健全な心身の育成を図ることを目的に、市内の小学校6年生を
対象にしたスキー教室を実施しました。本年度は、290人が自然の中で体を動か
すことの楽しさを体験しました。
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【評価】
麻しん・風しん第3期の接種率が昨年度と比べ、8.5ポイント低下しています。
全国平均の接種率は、87.3%、愛媛県88.9%(平成23年3月末)となっ
ており、関係機関と連携をとりながら、引き続き未接種者及びその保護者に対して
積極的な接種の勧奨に努めます。
市内のフッ素洗口実施校が5校となり、実施校率は71.4%となりました。県
内の小学校のフッ素洗口実施校率は、22年度末で31.4%となっています。歯
みがきや食生活習慣などに加えて、フッ素洗口を継続して実施することはむし歯予
防対策として有効であることから、市内の全小学校で実施するように努めます。
フッ素洗口を実施するにあたり、保護者に対して、学校歯科医等による説明会で
フッ素洗口のやり方や効果・安全性について、またフッ素洗口に反対する意見があ
ることも紹介・説明を行うようにしています。説明会や保健だよりを利用し、フッ
素洗口についての資料や成果等について周知するとともに、安全管理に努めます。
希望健康と睡眠アンケート調査をきっかけに、子どもの健康と睡眠に関しての保
護者、関係者の問題意識が高まりました。今後は、健全な生活習慣の向上に向けて
の本人及び保護者、関係者への啓発や見守り指導のスキルアップが必要です。
スキーは自然のなかで体力づくりと楽しさが体験できるスポーツです。今後も児
童の安全対策に注意し、継続して実施していきます。
【学識経験者意見】
昨年度に引き続き、医師会と関係機関の協力も得て、風しん・麻しん予防接種の
勧奨やフッ素洗口の推進事業が重点施策として取りあげられ、フッ素洗口について
は実施校の増加がみられ、さらなる進展を期待しています。また、風しん・麻しん
予防接種の勧奨は医師会等や関係機関の協力も必要であり、連携協力のあり方を再
考する必要があるかもしれません。また、昨年度実施した「健康と睡眠のアンケー
ト」事業に関しては、学校と家庭だけに子どもの生活改善に取り組ませるのではな
く、教育委員会が愛媛大学医学部の協力を得て、専門的な立場から講演をいただき、
啓発活動に努めたことは大変意義深いものです。地元や近隣市町村の教育資源は大
いに活用していく必要があります。
その点からしても、スキー教室の実施等、子どもたちがスポーツを楽しむ機会を
是非、身近な施設を活用して増やしてもらいたいものです。
麻しん・風しん予防接種率が低いのが気になります。保護者への啓発に努めてく
ださい。
フッ素洗口は、正しい歯みがき習慣とともに効果があるようです。学校歯科医に
よる歯みがき指導に力を入れてください。歯の健康は、体の健康に関係しているよ
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うです。子どもの頃から正しい歯みがき習慣を身につけて、80歳で20本の自分
の歯が保てるようにしたいものです。
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