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第1回 RNA 研究若手の会発表要旨 セッション4(25~34): [25] 分裂

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第1回 RNA 研究若手の会発表要旨 セッション4(25~34):
[25] 分裂酵母の減数分裂特異的 mRNA スプライシングに関与する因子の同定
○下関雅浩、下田 親(大阪市大・理・生物)
遺伝子発現の調節は mRNA スプライシングの段階でも起こる。演者らは分裂酵母 Schizosaccharomyces
pombe において減数分裂の進行に依存してスプライシングを受ける遺伝子があることを見つけた。減数第二分
裂に必須の mes1 遺伝子は一つの短いイン トロンで分断されている。イントロン中に終止コドンがあるので機能
を持った Mes1 蛋白質ができるためには、イントロンが正確に除去される必要がある。 mes1 遺伝子は窒素源飢
餓条件で転写される。しかし、その mRNA スプライシングは窒素源飢餓だけでは起こらず、細胞が減数分裂過程
に入ることが必要で ある。mes1 で見られる減数分裂特異的スプライシングに関与するシス因子とトランス因子
の同定を目指して次のような解析を行った。
(1)シス因子の解析
イントロンの 5'スプライス部位と 3'スプライス部位のコンセンサス配列は分裂酵母では、それぞれ GTA と TAG
である。しかし、mes1 では 5'スプ ライス部位は GTT、3'スプライス部位は CAG であり、それぞれコンセンサス配
列から一塩基外れている。そこでコンセンサス配列に一致するように、点突 然変異を導入しスプライシングに対
する影響を調べた。その結果、これらの配列はスプライシングの減数分裂特異性には無関係であることがわか
った。つぎに、 イントロンの配列を構成的にスプライシングされる nda3 の第5イントロンに置き換えた。このキメ
ラ mRNA は減数分裂していない細胞においても構成的な スプライシングを受けたが、そのスプライシング効率
は低かった。3'側のエクソンを無関係な配列に置き換えてもスプライシング制御は変化しなかった。現在 5'側の
エクソンを置き換えたキメラ遺伝子を構築しスプライシングの減数分裂依存性が変化するかどうかを調べている。
(2)トランス因子の解析
mes1 のイントロンが減数分裂過程では効率よくスプライスされることから減数分裂過程においては新たなスプ
ライシング因子が関与する可能性がある。そ こでこのような因子を同定するため、mes1 スプライシングが欠損
した突然変異株の単離を試みた。減数第一分裂前期に必須である mei4 遺伝子は転写因子をコードし、 mes1
のスプライシングに必要であることがわかっている。mei4 の下流でスプライシングに直接的に関与する因子を得
るため、mei4 過剰発現株を親株 として変異体のスクリーニングを行った。まず mes1 の 3'エクソンに lacZ をつな
いだ mes1-lacZ 融合遺伝子を用い、X-gal によるコロニー 呈色で選択を行った。つぎに、得られた候補株の中
から mes1 スプライシングが不能であるが体細胞分裂は正常なものを単離した。これらの変異株の減数分裂 を
調べ、異常を示すものを4株得た。これらの変異株の形質はそれぞれ異なる単一の劣性変異によることが明ら
かとなったので、現在各遺伝子のクローニングを 試みている。
[26] 分裂酵母 Schizosaccharomyces pombe のmRNAスプライシングに必要な遺伝子 prp10+の機能解析
○羽原靖晃、漆山誠一、谷時雄、大島靖美(九大・理・生物・分子遺伝)
mRNA スプライシングは真核生物の遺伝子発現において、必要不可欠な反応である。我々の研究室では新たな
スプライシング因子の同定と機能解析を行う目的 で、分裂酵母 Shizosaccharomyces pombe の温度感受性スプ
ライシング変異株(prp: pre-mRNA processing)の単離と解析を行っている。私はそれらの株のうちのひとつ、
prp10 の原因遺伝子のクローニングを行った。クローニングの結果、 prp10+遺伝子にはイントロンがひとつ存在
し、約 1200 アミノ酸からなる蛋白質をコードしていることが判明した。また、Gap repair 法で変異部位の同定を行
い、prp10-1 が2箇所の点突然変異を持つことを明らかにした。
Prp10 のアミノ酸配列を用いてデータベースで解析した結果、出芽酵母 S. cerevisiae のゲノムおよび線虫 C.
elegans のゲノム中に、prp10+遺伝子のホモログと思われる非常によく似た遺伝子が見つかった。ほぼ同時期に、
ヒトのスプライシング因子、 SAP155 がクローニングされ、Prp10 のヒトのホモログが SAP155 であることが判明し
た。Prp10 は種間で高度に保存されており、完全に一致 するアミノ酸だけを数えても 60~90%という非常に高い
相同性を示す。
最近、HeLa 核抽出液を用いた in vitro 系において、SAP155 が U2AF と相互作用していることが示唆された(R.
Reed 私信)。そこで、in vivo における Prp10/SAP155 と U2AF との相互作用を検証するため、U2AF の変異株で
ある prp2 を用いて、prp2 と prp10 の二重 変異株の作成実験を行った。prp2-2 では、二重変異による合成致死
効果が観察され、これら二つのスプライシング因子間の相互作用の存在が示唆された。 prp2+の過剰発現によ
る prp10 変異の抑制、及びマルチコピープラスミドに組み込んだ prp10+遺伝子による prp2 変異の抑制は観察さ
れなかっ た。
[27] 分裂酵母 の mRNA 前駆体スプライシングに関与する prp11+遺伝子のクローニングと解析
○佐伯久美、漆山誠一、谷時雄、大島靖美(九大・理・生物・分子遺伝)
私 は 、 分 裂 酵 母 S. pombe の mRNA 前 駆 体 ス プ ラ イ シ ン グ 反 応 に 欠 陥 を も つ 温 度 感 受 性 変 異 株
prp11(pre-mRNA processing)の原因遺伝子のクローニングと解析を試みている。prp11 は低温温度感受性変異
株(cs-)で、32℃の許容温度では、野性株と 同様に成育し、スプライシングも正常であるが、22℃の非許容温度
では、スプライシングの異常による mRNA 前駆体の蓄積と成育の停止がみられる。興味深 いことに、この株は、
非許容温度において、野性株と比べ細胞が 2~3 倍伸長する細胞周期変異株 cdc (cell division cycle)に見られ
るような表現型を示す。
S. pombe のコスミドライブラリーを用いて、prp11 の非許容温度における成育とスプライシング異常を相補する
コスミドクローン(約 32kb の挿入断片 を持つ)を得た。サブクローニングを行った結果、相補活性を持つ領域を
約 6kb まで狭めることができた。この約 6kb の断片の全塩基配列を SUD 法により 決定したところ、prp11+遺伝
子と推定される 1014 アミノ酸より成る ORF が見いだされた。ホモロジー検索を行った結果、prp11+遺伝子は
rad16+遺伝子の上流に隣接し、ラットの DEAD box RNA helicase としてクローニングされた HEL117 とアミノ酸配
列で 36%の一致を示す蛋白質をコードしていることが判明した。HEL117 は、 DEAD box を含む 7 つの高度に保
存された RNA helicase motif を持ち、N 端には RS(arginine-serine-rich) domain が存在する。また、HEL117 は
RNA splicing factor である SC35 と共局在することが示されている。Prp11p は、HEL117 同様、N末に RS domain
を持つ。興味深いことに、HEL117 と prp11+遺伝子は、spliceosome assembly の初期段階に必要とされる S.
cerevisiae の PRP5 とも高いホモロジーがあるが、PRP5 は RS domain を持っていない。今後は、Prp11p に見ら
れた RS domain がどのような役割をしているのか調べていく予定である。
[28] 分裂酵母 S. pombe の mRNA 核外輸送に関与する ptr6+遺伝子の解析
○渋谷利治、谷時雄、大島靖美(九大・理・生物・分子遺伝)
我々は mRNA 核外輸送に関与する因子の同定とそれらの機能を解析する目的で、分裂酵母 S. pombe を用い
て、制限温度下で mRNA の核への蓄積を示す 7 株の ptr (polyA+ RNA transport) 変異株を分離した。今回、こ
れらのうちの 1 株 ptr6 について、その変異を相補する遺伝子のクローニングを行ったので報告する。
ptr6+遺伝子はイントロンを一つ持ち、393 アミノ酸からなる蛋白質をコードしていた。データベースを用いた相
同性検索から、Ptr6p は出芽酵母 S. cerevisiae の yTAF67 およびヒトの hTAFII55 と有意な相同性 (~30%)を示
すことがわかった。TAFs (TBP-associated factors)は TBP (TATA-binding protein)と相互作用し、さまざまな遺伝
子の転写調節を行う転写因子の一つである。ptr6 では野性株と比べ TFIID 遺伝子の転写産物量が増加してお
り、また GFP との融合蛋白を用いた解析により Ptr6p が核に存在することが示されたことから、Ptr6p は yTAF67
および hTAFII55 の分裂酵母における相同因子である可能性が高いと思われた。今後、ptr6 において mRNA が
核に蓄積する原因を検討 し、転写と mRNA 核外輸送との関連性を調べる予定である。
[29] バクテリアの低分子 RNA
○牛田千里、松田貴意、安藤候平、武藤あきら(弘前大学・理学部・生物学科)
原核生物、真核生物を問わず細胞内には tRNA、rRNA 以外にも多くの低分子 RNA が発現している。現在報告
されているところでは、原核生物で 15 種 類前後、真核生物に至っては実に 50 種類以上に上る。これら低分子
RNA の機能に関しては理解の進んでいるものもあれば、全くわかっていないものもある。 RNA が転写や翻訳に
限らず細胞で起こる様々な現象に関与して活躍していることは明らかであり、細胞を分子レベルで理解するため
には、DNA やタンパク質 と同様に、RNA についても総合的に把握することが必要であろう。
われわれは最小の生物として知られるマイコプラズマの1種、M. capricolum を材料に、低分子 RNA の単離を
試みた。その結果、M. capricolum には tRNA、rRNA 以外に少なくとも6種類の低分子 RNA が存在することがわ
かった。それぞれを MCS1-MCS6 RNA と名付け、これまでに報告されている他の低分子 RNA と塩基配列を比較
したところ、MCS 1、5、6 RNA は大腸菌の 4.5S RNA、RNase P RNA、10Sa RNA とそれぞれ相同な RNA であっ
たのに対し、MCS2、3 RNA に相同な RNA は見つからず、新たに発見された RNA であった。意外なことに、MCS4
RNA は真核生物の U6 snRNA と類似した塩基配列をもつことがわかった。われわれはマイコプラズマに存在する
これらの低分子 RNA は他のバクテリアにも普遍的に存在すると考 え、機能未知ではあるが特に興味深い構造
をもつ MCS4 RNA と MCS6 RNA について機能解析を進めることにした。 現在 MCS4 RNA については、これが
当初の予想に反して M. capricolum にのみ存在する RNA であること、細胞内で複合体を形成し、結合タンパク質
の一つにグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ が含まれることなどが明らかになっている。ま た
MCS6 RNA については、この RNA と相同な大腸菌や枯草菌 10Sa RNA(tmRNA)に実験系を移し、解析を進めて
いる。近年 G-F. Tu ら(1995 年)や K. C. Keiler ら(1996 年) により 10Sa RNA が trans-translation 機構を通して
タンパク質の分解に関与していることが示唆された。われわれは 10Sa RNA による trans-translation 機構を in
vitro でより詳細に調べている。
[30] 大腸菌 tmRNA(10Sa RNA)とリボソームの相互作用
○只木敏雅(弘前大学・理学部・生物学科)
tmRNA(10Sa RNA)は、真正細菌に存在する低分子 RNA である。tmRNA の 5’端及び 3’端の配列は、tRNA
様の構造に組むことができ、その 3’端にアラニンを 結合することができる。最近、tmRNA は、タグペプチド合成
に関与し、tRNA と mRNA の 2 つの機能をすることが示唆された(trans- translation 仮説)。
この仮説を明らかにするために、アラニンを結合できない tmRNA(mutant tmRNA)を作製し、リボソーム結合特
性を調べた。wild type tmRNA は、70S リボソームに結合していたが、一方、mutant tmRNA は、70S リボソームに
は全く結合していなかった。この mutant tmRNA は、poly(U)依存の cell-free タンパク質合成系においてタグペプ
チド特異的アミノ酸(アラニン)の取り込みが見られなかった。更 に、tmRNA のポリソームへの結合を調べたとこ
ろポリソームには、全く結合していなかった。
tmRNA がリボソームに結合するためにはアラニル化が必要であり、trans-translation 過程がポリソーム上では
なく、70S モノソーム上で起こることを意味している。これらの結果は、trans-translation 仮説を強く支持するもの
である。
[31] 大腸菌 ρ 非依存性転写終結シグナルによる mRNA 3'末端形成機構の解析
○安倍裕順、稲垣さえ、饗場弘二(名大・理)
大腸菌 ρ 非依存性転写終結シグナルは、mRNA 3'末端に多く見られる GC ステムループ構造と U クラスター
をもつ RNA シグナルである。この RNA シグナルを含む DNA 領域は in vivo、in vitro において高い転写終結活性
をもつことが示されているため、in vivo における mRNA 3'末端は転写終結によって形成されると一般には考えら
れている。
大腸菌 crp の下流に位置する crp ρ 非依存性転写終結シグナル(crp t)は典型的な ρ 非依存性転写終結シ
グナルの一つであり、in vivo において crp t を含む DNA 断片では高い転写終結効率を示す。我々は crp を含む
上流域がある場合、crp t の転写終結効率がおよそ 30%まで低下することを発見した。このような転写終結効率
低下にも関わらず、mRNA 3'末端は U クラスターにマッピングされた。さらに、シグナルの下流からのプロセシン
グを阻害するようなステム構造をシグナル下流に挿入すると mRNA 3'末端が下流にシフトすることを見いだした。
以上の観察結果は、上流域がある時、転写は crp t で終結せず、シグナルを越えて伸長し、プロセシングによっ
て mRNA 3'末端が形成されることを表している。また、上流域の crp が翻訳されていることに注目し、crp のアン
バー変異を作成した。その結果、上記のような転 写終結効率の低下、mRNA 3'末端のシフトが見られなくなった。
以上の結果から、上流 crp の翻訳位置に依存して終結機能の低下が引き起こされている、と考えられる。
[32] crp 変異体における Trans-translation の解析
○稲田利文、安倍裕順、原田浩、河崎宗万、饗場弘二 (名大・理)
Trans-translation は、10Sa RNA が tRNA と mRNA のキメラ分子として翻訳中のリボソームに割り込み、10Sa
RNA を mRNA として翻訳を行う現象である。合成中のタンパク質の末端には 10Sa RNA にコードされた特定のペ
プチドが付加され、これがタンパク質分解の特別な標識(タグ)として機能する。また、タグをカルボキシ末端に融
合したタンパ ク質において、カルボキシ末端 AA を DD に置換した場合に、in vivo で安定化することも知られて
いる。
我々は crp 変異遺伝子の解析中に、10Sa RNA により発現が低下する変異を発見した。この crp 変異体は、crp
遺伝子の翻訳終止コドン直前でのフレームシフト変異により、翻訳終止コドンが 69 アミノ酸下流に移行していた。
in vivo における Trans-translation の産物を同定する目的で、10Sa RNA 内のコード領域のカルボキシ末端 AA
を、分解耐性である DD に置換した ssrA 遺伝子変異体(ssrADD)を構築した。この ssrADD 変異遺伝 子と crp 変
異遺伝子を保持する細胞について、10SaRNA のコードするペプチドに対する抗体を用いたウエスタン分析を行う
ことにより、Trans- translation の産物を同定することに成功した。この系を用い、Trans-translation に必要な
mRNA 側の条件を解析中である。
[33] 枯草菌 RNase III による scRNA 前駆体のプロセシング
○中村幸治、小黒明広、山根國男(筑波大・生物科学)
枯草菌における SRP RNA 相同因子である small cytoplasmic RNA (scRNA)は 354 ヌクレオチドからなる前駆体
として転写され、その後、5'末端側の 37 ヌクレオチドと 3'末端側の 46 ヌクレオチドが切断され、 271 ヌクレオチド
の成熟体 scRNA となる。しかし、 このプロセシングを行う酵素は同定されていなかった。scRNA 前駆体は、その
両末端が 26 bp にわたって塩基対合を行い、ステム構造を形成していると予測されおり、5'および 3'末端の切断
部位はこのステム構造の中に存在している。大腸菌の RNase III は 16S rRNA や 23S rRNA の前駆体などのプ
ロセシング酵素で、ステム構造などの二本鎖 RNA を特異的に認識して切断することが知られている。枯草菌に
おいて、大腸菌 RNase III と同様の活性を持つ酵素として Bs-RNase III が精製されている。しかし、この遺伝子は
まだ単離されていなかった。scRNA 前駆体の二次構造が RNase III の基質の二次構造と相同性が高いことから、
scRNA 前駆体のプロセシングに Bs-RNase III が関与していると考えられた。
in vitro で転写した scRNA 前駆体(354 ヌクレオチド)を、精製した Bs-RNase III で処理し、その 5'及び 3'末端を
プライマー伸長法で決定したところ、その 5'末端側の切断点は scRNA 前駆体の 5'末端と一致したが、3'末端 側
は scRNA 前駆体の 3'末端より 4 ヌクレオチド下流で切断されていることが分かった。この枯草菌 RNase III によ
る scRNA 前駆体の切断パターンは、大腸菌 RNase III において報告されている典型的な切断パターンと一致し
ていた。我々は先に、枯草菌の SRP レセプター a-サブユニット(SR a)相同遺伝子 srb とオペロンを形成してい
る遺伝子(rnc)が、大腸菌 RNase III と 36. 0%の相同性を持つことを明らかにしている。Rnc(266 アミノ酸)の C 末
端に 6 つのヒスチジン・タグを付けた Rnc-6xHis を精製し、in vitro で scRNA 前駆体のプロセシングを行わせた。
その結果、Bs-RNase III に比べ活性は低いものの、Rnc-6xHis によっても同様に scRNA 前駆体のプロセシング
が行われることが示された。さらに、C 末端側 30 アミ ノ酸を欠損している変異 Rnc を発現する枯草菌変異体で
は、scRNA の前駆体から成熟体へのプロセシングが阻害されていることが分かった。 これらのことより、rnc は
Bs-RNase III をコードしており、枯草菌 scRNA 前駆体のプロセシングを行っていることと考えられる。
[34] プラナリアにおける DEAD box 遺伝子の単離と発現解析
○柴田典人 1・梅園良彦 2・織井秀文 1・阿形清和 1・渡辺憲二 1
(1 姫工大・理・生命、2 神戸大・理・生物)
本研究ではプラナリアにおける幹細胞、あるいは前駆細胞のマーカーの単離を目的に実験を行った。我々は
まず DEAD box family 遺伝子に着目した。DEAD box family 遺伝子は多くの生物で、RNA に結合し ATP 依存性
のへリカーゼ活性を持つことが知られている。特に、この family に属するショウジョウバエの vasa タンパク質は
胚の極顆粒に局在し、生殖細胞の分化に重要な役割を果たしている。また、そのホモログタンパク質がカエルで
は生殖顆粒で、マウスでは 精細胞の chromatide body で発現している。 さらに、他の DEAD box 遺伝子である
PL10 も精細胞で発現しており、これらは、生殖細胞という全能性細胞の形成に DEAD box family 遺伝子が深く
関与していることを示唆している。プラナリアのもつ高い再生能力は、幹細胞によって支えられていると考えられ
ているが、その唯一の特徴は chromatide body という、生殖顆粒に似た構造を持っていることにある。そこで今
回、プラナリア DEAD box 遺伝子を単離し、それが、幹細胞のマーカーとなるかどうかを調べた。PCR 法により無
性プラナリア頭部再生断片から 14 種類の DEAD box 遺伝子断片を得、それらと他の生物の DEAD box 遺伝子
で系統樹を作製したところ、2 種類(PRH20、31)が vasa、PL10 と同じ系統になり、11 種が RNA splicing 関連遺伝
子群に、1 種(PRH4=PH 169)が新規のものとして類別された。PRH20、31、PH169 について無性プラナリアで発
現を解析したところ PH169 は神経系で、PRH20 は 予定精巣領域で強く発現していた。さらに、有性プラナリアで
は PRH20、31 が生殖系列に特異的に発現しているのが明らかとなったので、それらのパター ンについて論述し
たい。
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