パブリックコメントの回答

商品類型 No.143「靴・履物 Version1.0(認定基準案)」への意見と回答
No.
1
2
意見箇所
分類 A
「有害化学物
1.認定基準制定 質 の低 減」 を
の目的
含む環境負
荷低減効果
に取り組んで
いる“靴”にエ
コ マ ーク を付
与する
分類 A、C
「エコレザー」
3.用語の定義
の定義
意見内容
革材料の基準値は人に対する影響の低減には取り組んではいるが、革材
料の基準値をクリアしたからといって、環境負荷低減に取り組んでいること
にはならない。「4-1-1.環境に関する共通基準と証明方法」の(1)∼(10)は
「4-1.環境に関する基準証明方法」に該当するが、「4-1-2.材料に関する
基準と証明方法」のA.革材料の(11)∼(16)は「4-1.環境に関する基準証明
方法」には該当せず、「4-2.品質に関する基準と証明方法」に該当する。
本認定基準書の本文中にはここ以外にエコレザーの記述は見られないの
で、エコレザーの定義は必要ないと考える。というのも、現在エコレザーとは
何かについて検討中であるからである。唯一の記載箇所であるエコマーク
下段の標記「エコレザーを使用」は「JSG(仮称)基準適合革を使用」に変更
すればよい。
3
分類 A、B、C
4-1-1.(1)
革材料を使用
する場合の原
皮の種類
製品に使用できる革の種類を、牛革、豚革、羊革、馬革または山羊革であ
って食肉の副産物に限っているが、鹿革、カンガルー革も対象に入れてほ
しい。(意見者2名)
4
分類 A、B、C
4-1-1.(3)
接着剤のホル
ムアルデヒド
基準
「ホルムアルデヒドは、放散速度、発散量または含有量のいずれかが基準
値以下である。」とされてはいかがでしょうか?
放散速度 5μg/(m2・h)以下 試験方法 JIS A 1901
発散量 0.3mg/l以下 試験方法JIS A 1460
補足:0.3mg/l以下はF☆☆☆☆と同レベルとなります。
含有量(現行通り)
1
回 答
エコマークでは、地球環境保全(資源保全、生態系保全など)だけでな
く、人体への影響も広く環境問題の一つであると捉えています。また、
有害物質による人体への影響が少ないものが、結果的には有害物質
の使用量が削減されており、環境への影響も少ないということにつなが
るとも考えられます。ご意見のとおり有害物質に関する基準項目は、
「品質に関する基準」とも重なりますが、エコマークの基準においては
環境負荷の削減という面に重きをおいて、「環境に関する基準」として
設定することとしました。よって、原案どおりとします。
エコレザーという言葉は、ドイツの SG ラベル、エコテックススタンダート
100、EU 靴ラベルなどの基準値を満たした皮革を指して、一般的に認
知されている言葉と考えます。「エコレザー」を有害物質の削減に配慮
した皮革を表現する言葉として「靴・履物」のエコマーク下段の表示に
おいても使用することにより、普及をはかりたいと考えています。なお、
エコマークでは、商品類型 No.101「かばん・スーツケース」の「革製かば
ん」のエコマーク下段の表示においてもエコレザーという言葉を使用し
ています。よって、原案どおりとします。
革材料は、資源の有効利用となる食肉の副産物であることを条件として
おり、原皮を採ることだけを目的とした動物から生産された皮は、対象
外としています。この目的を確実にするために、対象とする動物を一般
に食用に供されることが多く、野生動物のウェイトが相対的に低い種に
限定することが望ましいことから、家畜商法における「家畜」の定義、国
連食糧農業機関(FAO)統計で家畜頭数の上位に挙がっていることな
どを勘案して、原案の 5 種類の動物に限定することとしました。鹿、カン
ガルーは食用にされることもありますが、上述の「一般に食用に供され
ることが多く、野生動物のウェイトが相対的に低い種」であるという世界
的なコンセンサスは現段階では得られていないと考えられるため、エコ
マークを付与して推奨すべきとの結論には至りませんでした。よって、
原案どおりとします。
ご意見に基づき、基準本文、証明方法、付属証明書に発散量の基準
値や試験方法を追記するなど、表記を修正しました。
No.
5
6
意見箇所
分類 A、B、C
天 然ゴム、金
4-1-1.(5)
属を使用した
場合はアレル
ギーに関する
情報提供をす
ること
分類 A、B
4-1-1.(8)
分類 C
4-1-1.(7)
製品、包装に
ハロゲン元素
を使用しない
こと
意見内容
天然クレープは、アレルギーの可能性が無いとはいえないが、弊社では、
かれこれ40年近く、本底に天然クレープを使用してきたが、まったくアレル
ギーとしてのお客様からの問い合わせ等はいただいていない。非接触の本
底に天然クレープを使用している場合は、アレルギーに関する事を明示し
なくてもよいのではないか。
「製品及び製品の・・・ポリマ骨格にハロゲン元素を処方構成成分として使
用しないこと。」と規定されているが、これらの項の規定を削除して頂きた
い。又はこれらの規定から「塩化ビニル樹脂」を適用除外として頂きたい。
理由:
・「ポリマ骨格にハロゲン元素を処方構成成分として使用」されるポリマの代
表として塩化ビニル樹脂(以下、塩ビと記載する)が該当するが、塩ビ
は、靴・履物の材料として広く使用されており、特に、靴底においては他
の使用済み塩ビ製品を原料としてリサイクル使用しているケースも多くみ
られる。
・ そもそも、塩ビは、原料の石油依存率が他のプラスチック材料と比べ4
0%と低く(残り60%は塩)、省資源なプラスチック材料である。さらに、製
造時に消費されるエネルギーや排出されるCO2が他のプラスチックに比
べ少なく、LCIから見て優れているばかりでなく、耐久性やリサイクル性
に優れた「環境素材」であると言える。
・ また、嘗て塩ビが原因物質であるかのように疑われた「ダイオキシン問
題」は、「燃やすもの」が原因ではなく、「適切な条件(焼却温度800℃以
上)で焼却を行う」ことによりその発生量を劇的に削減出来ることが証明さ
れ、既に解決済みとなっている。すなわち、焼却施設の技術基準の法制
化により設備や条件の改善がなされたことにより、焼却炉からのダイオキ
シン発生量は、1997 年のピーク時に比べ 2006 年には1/30以下になっ
ており、空気中のダイオキシン濃度も環境基準値の1/10以下になって
いる。
・ こうした変化を受け、2005年には、「商品類型No.118プラスチック製
品」が改定され、条件つきながら塩ビ製品へのエコマークの適用が認め
られ、基準化されるに至っている。その後、商品類型No.118に示され
た基準を前提に、商品類型No.123、No.137、No.138、No.139
等「建築製品」の制改定が行われ、ビニル系床材を初め多くの塩ビ製品
の認定基準が制定されたことはご高承の通りである。
2
回 答
天然ゴムのラテックス蛋白によるラテックスアレルギーは、症状が重くな
る可能性があることから、ラテックスアレルギーに対する注意を促す内
容を表示することとしました。本底でも中敷に近く、着用中にアレルギー
成分が染み出す可能性がある場合は、アレルギーの注意表示は必要
と考えます。但し、アレルギー成分が染み出て人体に長時間触れる可
能性がない場合は、アレルギーを持つ人への情報提供として素材名の
表示のみでも可とする内容に修正しました。
ハロゲン系化合物については、商品類型 No.118「プラスチック製品
Version2」の基準検討時に、ダイオキシン特別措置法の施行などによっ
て、自治体などが使用するごみ焼却炉の性能は向上しており、廃棄物
焼却炉から排出されるダイオキシン類の量は、減少してきているという
見解がありました。一方、エコマークでは、プラスチック材料全般につい
て、リサイクルを進めることが必要であると考えております。高炉還元剤
などとして廃プラスチックを有効利用する際には、前処理でポリ塩化ビ
ニルなどを取り除くか、後処理において塩素ガスを中和するなど、追加
的なプロセスが必要となっており、廃プラスチックの有効利用を促進す
る上では、廃プラスチックの中からハロゲン系化合物を分別することが
望ましいとされました。従って、No.118「プラスチック製品 Version2」の基
準においては、ハロゲン系化合物を使用する場合は、70%以上が回
収され、そのうち70%以上がマテリアルリサイクルされること、あるいは2
0年以上の長期使用されるものに限って認めております。靴・履物につ
いては回収・リサイクルされるもの、及び20年以上使用されるものが想
定できなかったため、使用を認めておりませんでしたが、回収・リサイク
ルの実例が学校などにおいて一部見られることから、No.118「プラスチ
ック製品 Version2」の基準と同様、70%以上が回収され、そのうち7
0%以上がマテリアルリサイクルされる場合に限ってハロゲン系化合物
の使用を認めることとしました。
No.
意見箇所
意見内容
回 答
・ 従って、「143案」で塩ビが、忌避される理由は全く見当たらないばかり
か、「143案」の「ハロゲン系樹脂不使用」規定は、既に基準化されてい
る「商品類型No.118プラスチック製品」の規定に矛盾するものであると
言える。
7
同上
同上
8
同上
同上
9
分類 A、B
4-1-1.(10)
分類 C
4-1-1.(8)
最終製造工
場は環境法
規を遵守して
いること
・ 以上の通り、塩ビは優れた「環境素材」であり、耐久性や履き心地が優れ
ることから何十年にも渡って「靴・履物」に広く使用されて来たばかりでな
く、他の使用済み塩ビ製品を原料にした再生材料も靴底等に使用され
て来た歴史がある。係る事実を踏まえ、「ハロゲン系樹脂不使用」規定の
削除又は本規定における塩ビの適用除外をお願い申し上げる。
『ポリマー骨格にハロゲン元素を処方構成成分として使用していないこと』
の再検討を実施するか、リサイクルへの取り組みがなされている場合は例
外として認める等の検討をお願いしたい。
理由:
1.基準には、製品および包装にハロゲン系元素不使用とし塩ビの使用が
不可である。理由としては「焼却炉を傷める」、「サーマルリサイクル時に
脱塩素処理が必要」とされているが、既に塩素腐食問題は解決されてい
る。
2.塩化ビニル樹脂の特性
(1) LCAの観点から環境に非常に優しい樹脂である。
(2) 加工性が良く、リサイクル性に優れている。
(3) 物性、耐久性が高く、長期使用に耐える。
3.塩化ビニル樹脂のリサクルの現状
(1) VECの資料 (農ビ、パイプ、建材等)
(2) 靴の製品リサイクルが試みとして開始されている。
リサイクル塩化ビニル樹脂の使用(農ビ等)
ハロゲン元素不使用の基準は、ダイオキシンの発生に関係していると思う
が、各種の情報によるとダイオキシンの人体に対する影響はそれほど大きく
ないことを聞いている。日本環境協会の方針としてダイオキシンは人体に
影響すると考えているのか?
最終工程工場は、最終的な仕上げ(表底と甲革の接着や箱詰め)をしてい
るだけの工場もある。少なくとも甲革を作成している工場が別地域にあるな
らば、その工場も対象にするべきである。(中国の下請や日本国内での地
方の甲作製工場)
3
同上
同上
「エコマーク事業実施要領」では、申込者およびその商品の製造事
業者(申込者がその商品の製造事業者でない場合)は、関係する
環境保全に関する法規、条例、公害防止協定等を遵守しているこ
とを認定要件としております。環境法規は法令ですので、全ての工
場が当然遵守していて然るべきものですが、最低限、商品の製造事業
者については、特に基準に定めて過去 5 年間の遵守状況を確認するこ
No.
意見箇所
意見内容
10
分類 A
(3)(16)(20)(22)
分類 B
(3)(14)(16)
分類 C
(3)(17)(18)(20)
ホルムアルデ
ヒド、重金属
溶出の基準
ホルムアルデヒド、重金属の溶出試験方法が複数あるのは、問題と思われ
る(基準値も異なる)。A法で基準を満たさないが、B法で基準を満たす場合
等、問題ないのか。
11
分類 A 4-1-2.
(12)
分類 C 4-1-2.
(10)
革材料の染
色堅ろう度基
準
試験方法の ISO11640 では摩擦回数や摩擦荷重の規定がない。重金属の
試験についても同じであるが、「環境対応革開発実用化事業報告書」、p.4
(日本皮革技術協会、平成20年3月31日)などの報告書に掲載されてい
る、具体的な方法を見ないと実際の試験はできない。
12
分類 A
4-1-2.(12)
分類 C
4-1-2.(13)
革材料の重
金属溶出基
準
(鉛・カドミウム・水銀の試験方法について)
2000/53/EC は廃自動車指令(ELV 指令)で、鉛・カドミウム・水銀の含有量
(溶出量ではない)が規定されている。また、その試験方法は一般に蛍光 X
線分析で行う。しかし、【証明方法】では革材料からの重金属の溶出の試験
結果の提出を求めている。すなわち、2000/53/EC は参考文献とはなって
も、試験方法ではない。また、DIN38406は用水・排水中の重金属の分析法
であるので、革からの重金属の溶出量を測定する試験法には当たらない。
(ニッケル・コバルトの試験方法について)
少なくとも DIN38406 は用水・排水中の重金属の分析法であり、革からの重
金属の溶出量を測定する方法ではない。また、ISO105E04 は繊維品の汗
に対する染色堅ろう度試験であり、革からの重金属の溶出試験の方法では
ない。
(総クロム試験方法について)
ISO105E04 は繊維品の汗に対する染色堅ろう度試験であり、革からの重金
属の溶出試験の方法ではない。また、JIS K 6550 は革中のクロム含有量の
分析方法を含むが、この試験方法の測定範囲は 0.1%以上であり、50mg/kg
の測定は出来ない。
4
回 答
とが必要と考えております。現在、エコマークでは、ほぼ全ての商品類
型において最終製造工場をその製品の製造に責任を持つ主たる工場
とみなし、環境法規遵守の確認対象として基準を設定しております。ま
た、法的にも靴の原産地は、表底と甲革の接合をおこなう工場とされて
いることから、最終製造工場が最低限確認の必要な工場と考えられま
す。よって、原案どおりとします。
ホルムアルデヒド、重金属の溶出の基準は、複数の基準値、試験方法
を認めておりますが、いずれも靴に関する公的な基準値が存在しない
ため、他の公的な基準値、試験方法を引用しているものです。ホルムア
ルデヒド、重金属の使用、廃棄時における有害物質による環境負荷と
いう観点においては、一律の基準値を設定するのではなく、ある一定の
安全性を規定した公的な基準をクリアしていることにより担保できるた
め、申込者の便宜も考慮し、複数の基準値、試験方法を認めることとし
ました。よって、原案どおりとします。
ISO11640 は、JIS K6547「革の染色摩擦堅ろう度」の試験方法とは全く
異なる試験機による試験法であり、摩擦回数や摩擦荷重の規定とは異
なります。原則として基準書には試験法の詳細まで記載しておりません
が、国内でも試験ができるところが整いつつあると把握しております。よ
って、原案どおりとします。
(鉛・カドミウム・水銀の試験方法について)
2000/53/EC は廃自動車指令(ELV 指令)は、ご意見のとおり参考資料
として掲載しました。革からの溶出重金属が、このような法令によって大
きく影響されていることを示すことを意図しました。また、革の前処理溶
出ろ(濾)液を DIN38406 法(重金属により細目番号がある)に従い、
AAS、ICP-AES による装置により測定します。なお、試験方法と参考情
報の記載を整理し、修正しました。
(ニッケル・コバルトの試験方法について)
DIN38406 は、前述のとおりです。また、ISO105E04 は前処理の溶出
(人工汗)液として参照するものです。なお、試験方法と参考情報の記
載を整理し、修正しました。
(総クロム試験方法について)
ISO105E04 は、前述のとおりです。また、JIS K 6550 は実際の測定方法
である IULTCS-IUC8 のヨウ素法の部分が同じであるため記載しており
ましたが、JIS K 6550 は削除し、IULTCS-IUC8 を試験方法として記載
することとしました。なお、試験方法と参考情報の記載を整理し、修正し
ました。
No.
13
14
15
16
意見箇所
分類 A
4-1-2.(16)
分類 C
4-1-2.(14)
分類 A
4-1-2.(19)
分類 B
4-1-2.(13)
分類 C
4-1-2.(17)
分類 A
4-1-2.(20)(22)
分類 B
4-1-2.(14)(16)
分類 C
4-1-2.(18)(20)
分類 B
4-1-1.(2)
意見内容
上記のように表4の試験方法は実際の試験方法を記載していない。実際の
試験方法は、「環境対応革開発実用化事業報告書」、p.4(日本皮革技術
協会、平成20年3月31日)などに掲載されている。
回 答
革材料のホル
ムアルデヒド
基準
厚生省令第34号で検出されるのは、遊離ホルムアルデヒド(これは溶出量
を試験するもので、含有量を試験していない)である。従って、革材料のホ
ルムアルデヒドの「含有」は「溶出」とすべきである。
ご意見に基づき、ホルムアルデヒドの「溶出」に訂正しました。
繊維材料のホ
ルムアルデヒ
ド基準
厚生省令第34号で検出されるのは、遊離ホルムアルデヒド(これは溶出量
を試験するもので、含有量を試験していない)である。従って、繊維材料の
ホルムアルデヒドの「含有」は「溶出」とすべきである。
ご意見に基づき、ホルムアルデヒドの「溶出」に訂正しました。
プラスチック
材料、ゴム材
料の重金属
溶出基準
証明方法として、以下の 3 種を記載されていますが、以下の 3 種のうち、ど
の方法で行っても良いのでしょうか?厚生省告示第 370 号の重金属の溶
出試験は、「鉛」しか規定されていませんが、環境庁告示を実施すると、4
種となります。 選択する法令によって実施する項目数が違いますが、いい
のでしょうか?
・厚生省告示第 370 号
・ISO8124-3
・環境庁告示第 46 号に定める
カドミウム、鉛、水銀、六価クロムの溶出試験結果
ここでいう強度というのは何を指しているか明確でない。長靴で言えば JIS S
5005 だが、その JIS についても触れられていないし、何をもって強度と言っ
ているのか明記すべきである。 また、自社標準品という言い回しも、何を
持って標準というのかわからない。であれば、特にゴム長靴の場合ですが、
JIS S 5005 の規格に対して 1.5 倍であること等の表現が適当かと思われる。
また、証明方法の「JISなどの等級が1等級以上向上している事を示す試験
結果を提出すること」の1等級の向上の意味がわからない。
ご意見に基づき、基準本文の「厚生省告示第 370 号などの重金属の基
準値」を、「ISO8124-3 などの重金属の基準値」とし、証明方法において
試験結果を提出する場合は、ISO8124-3 または環境庁告示第 46 号に
よるカドミウム、鉛、水銀、六価クロムの溶出試験結果としました。
甲部または底
部の主要材
料が、耐屈曲
性や耐摩耗
性などの強度
において優れ
ている、ある
いは再生材
料等の配合
率が要件を満
たしていること
5
ワーキンググループでの議論において、強度のある部材を使用するこ
とが長持ちさせるための一つの要素であると考えられ、そういった材料
の使用事例が存在するものの、部材の強度と実際の耐用年数との相関
性は、足の形、履き方、手入れ方法によって変動するため、必要な強
度の項目や基準値を一律に設定することは難しいとされました。従いま
して、強度の内容について、基準案においては特に劣化との関連性が
考えられる「耐屈曲性や耐摩耗性など」としておりますが、その他、引張
強さ、引裂強さ、伸びなどについても JIS K 6601「靴甲用人工皮革」、
JIS S 5005「長靴」、その他業界規格などが存在します。強度的に優れ
たものと判断するためには、いずれか一つの強度項目について、そう
いった JIS 規格や業界規格または自社標準品と比較して、少なくとも
1.5 倍以上、あるいは規格に1級、2級…などの等級が定められている
場合は、その等級で1等級以上向上していることが妥当とされました。
また、強度を測定する試験方法としては、JIS L1096「一般織物試験方
法」、JIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」などが存在します。なお、自
No.
意見箇所
17
分類 B
4-1-1.(7)
製品は修理
が可能で、ユ
ーザーの依
頼に応じて修
理を行うこと
18
同上
同上
意見内容
回 答
社標準品とは、お申込者の扱う、お申込製品と同様の製品に現在使用
している標準的な材料を指します。また、4-1-1(6)の基準では、エコマ
ークの認定主旨を記載することとなっており、強度の具体的な内容につ
いてユーザーにわかるように表示することも求められております。よっ
て、上記の主旨がわかるように基準本文を補足しました。
ゴム長靴の成型方法というのは、部品をゴム糊で貼り付けていく方式をとっ
ている。使用環境においては、それほどの時間を経過しなくても、また鋭利
な物の接触等で裂けたり、穴があくなどのトラブルは避けられない。(労働
用がほとんどのため)そのような場合に修理するというのは現実的ではない
し、低価格のものが多いのに新品同様の修理代を出してゴム長靴を修理
する人がいるとはとうてい考えられない。これは一体成形のプラスチック製
の靴についても同様である。修理する方法は、つぎあてをあてるようなやり
方だけである。革靴のグッドイヤー方式のように底が張り替えられるとか、破
れた部分の革を取り替えるといったようなイメージで靴全体をとらえたとしか
思えない基準であり、非常に偏った考え方と言わざるを得ない。従ってこの
基準は革靴のみに適用すべきであり分類B、Cは省くべきものと考える。
修理体制整備のレベルが規定されていないこともあり、戸惑いがある。理由
は以下のとおりである。
1. 一般的に加流ゴムの修理は困難である。
破損の程度により、もちろん不可能ではない。しかし、以下の課題があると
考える。
・技能を必要とするため、原則メーカーへの返却が必要になる。
・外観上において、元に戻すことは不可能である。
・輸送、修理コストが製品価格と同等、もしくは高くなる可能性がある。
2. 環境配慮のゴム製靴の普及に不利になると考える。
弊社に限ったことかもしれないが、補修体制の構築にはかなりの労力とコス
トが発生すると予想する。そのため、他の基準に適合していても、エコマー
クは断念するメーカーが多く出てくるのではないか。
今回の「靴・履物」の基準は、靴を短期間で買い換えるのではなく、良
い品質のものを手入れなどによって長く使用することを推奨し、廃棄物
の削減につなげることが、目的の一つとなっております。修理の基準
は、一体成型の靴の表底の交換など物理的に不可能な修理、あるい
は経年劣化により不可能な修理まで求めるものではありません。ユーザ
ーが修理やアフターサービスを要望した場合に、その相談を受け付け
る窓口があり、可能な範囲で対応できることが主旨です。よって、上記
の主旨が分かるように、分類 A、B の修理体制の基準を合わせて修正し
ました。
ただ、修理の基準があくまでも原則であり、そのレベルが一任されるのな
ら、対応は可能になる。つまり、ごく小さな傷、またはユーザー様では原因
が分からない傷による水漏れの補修に限れば対応が可能である。これは、
現在も個別に対応していることである。この対応が可能であるとの情報提供
も可能と考える。
6
同上
No.
19
20
同上
分類 B
4-1-1.(9)
意見箇所
同上
環境配慮設
計チェックリス
ト
意見内容
分類 B から修理体制整備は削除すべきである。
理由:
1.物理的に修理が不可能な製品構造(総ゴム靴、プラスチック製履物(射
出成形式)等)部材等を全く考慮していない。
2.修理体制を組めるのは、革靴等の高価格商品であり、子供を対象にした
リーズナブルな価格商品は、現状では修理体制を組む事は不可能であ
る。よって、大幅な価格のアップが必要となり、リーズナブルな価格提供
が出来なくなる。特に子供靴の場合は、子供の成長が早く、必要以上の
長期使用ではサイズが合わなくなり、足の健康を害する恐れがある。
3.修理の依頼に応じるとあるが、修理対象となる範囲の規準がなく、どこま
で応じるかが不明確である。
環境配慮設計チェックリストについて、分類Bについては、現状の製品特長
と要求、及び、ポイントが合わないため見直しが必要と考える。
1.チェックリスト No.8 の項目に関し、分類 B については消費者が自ら洗濯
可能な商品も多く、依頼により靴を洗浄するサービスを必要としていない、
本項目は 3 ポイントから1に引き下げ、No.7の項目のポイントを1から 3 に高
くする、あるいは分類 A に付加する。
2.No.9について上記1.と同様に現実性が乏しい。
3.No.2 について接着剤の VOC 低減がねらいとされていることから、接着剤
を使用しないことに対してポイント3を付与する。(分類 A も同様)
4. 長期使用の促進、靴を長持ちさせる正しい履用方法に関する情報提供
を行っていることに対してポイント2を付与する。
5. 分類 A のチェックリストと同様に製品の一部の部材(部品)における再生
材料等の配合率が別表 2 のいずれかの要件をみたしていることに対して 1
部材当たり 2 ポイントを付与する。
6. 出荷時の包装材として、靴の型崩れ防止を目的とする補強芯、紙芯を
使用していないことに 1 ポイント、靴に包装紙を使用していないことに 1 ポイ
ント付与する。
回 答
同上
1 について
No.8 の洗浄サービスについては、今後、可能性のあるものとしてチェッ
クリスト項目に入れておりましたが、家庭で洗浄できるものがかなり開発
されていることから、ご意見のとおり削除いたしました。そのため、No.7
の「洗浄が可能で洗浄方法の情報提供を行っている」については、1 ポ
イントから 3 ポイントとしました。
2 について
No.9の「表底の取り替えなど製品の部位の交換が容易な構造になって
いる」については、分類 B の対象製品では一体成型、加硫製法のもの
が多く、表底の交換が不可能であるものがほとんどであるため、表底の
交換以外にもヒール、ヒールプラグなどの交換が可能な構造になって
いれば加点されることを明記しました。(分類 A も同様)
3 について
甲部と底部の加硫方式による接着で、通常は使用する接着剤を使用し
ない事例があるため、チェックリスト No.2「甲部と底部の接着に使用する
接着剤が水系またはホットメルト接着剤である」に2ポイントとしていると
ころへ、「甲部と底部の接着に接着剤を使用していない」に3ポイントと
する内容を追加しました。(分類 A も同様)
4 について
靴を長持ちさせるための正しい履用方法または手入れを推奨して長期
使用を促す表示をした場合に1ポイント加点する項目を追加しました。
(分類 A も同様)
5 について
7
No.
意見箇所
意見内容
回 答
4-1-1(2)で底部または甲部の主要材料に、再生材料または強度に優
れた材料のいずれかを使用する基準がありますが、そこで選択しなか
った部材や製品の一部の部材(部品)に再生材を使用した場合に、分
類 A と同様に加点する項目を追加しました。また、その結果、甲部およ
び底部の主要材料が共に 4-1-1(2)の要件を満たした場合のエコマー
ク下段の表示内容を追加しました。
21
分類 A、B、C
5.商品区分、表
示など(4)
抗菌剤の使
用のないこと
抗菌剤を使用したものは認定できないとあるが、靴としては抗菌防臭機能
の付加は一般的であり 安全性が認められている抗菌剤(SIAA、SEK基
準等)については使用を検討して欲しい。
22
解説
B-8(1)
(「JSGラベルの基準は、「エコレザー」として革に関する有害物質等につい
て一定の基準を満足し、環境への影響が少ないと認められる革材料の基
準である。」について)
JSG基準は、あくまで革から溶出する有害物質等について一定の基準を満
足し、「環境への影響」ではなく「人体への影響」が少ないと認められる革材
料の基準である。「エコレザーとは何か」については現在まだ定義付けがさ
れていないが、皮革製造時において環境負荷項目の排出に配慮して製造
された革素材であると考えられる。これを定量的に評価するにはLCA的な
方法しかないが、B-2(地球温暖化影響物質の排出)で述べられているよう
8
6 について
靴の型崩れ防止を目的とする補強芯、紙芯、包装紙を使用しないこと
は、製品の素材、形状によって可能か不可能かが決まってしまうため、
いずれかを使用しないのではなく、全て使用しないことに対して 1 ポイ
ント加点する項目としました。ただし、革靴は型崩れしやすく、品質保持
上、難しいため分類 A には追加しないこととしました。
エコマークでは、化学物質の使用削減の観点から、原則として必須とさ
れない抗菌剤の使用または抗菌加工をした製品は認定できません。こ
こでいう抗菌剤、抗菌加工は、お申込製品に抗菌機能を付与する目的
のものを指し、抗菌表示の有無を問いません。抗菌以外の目的(防腐、
防カビなど)で添加した薬剤が、副次的に抗菌効果を有する場合や、
素材自体が抗菌機能を有する場合(銅、ヒノキなど)には該当しません
(この場合には、抗菌に関する表示はできません)。ただし、医療(介
護)機関・食品加工機関の現場で業務用として使用される製品につい
ては、所定の安全性評価に関する項目を満たしていれば、使用を認め
ております。また、便器など抗菌加工をしない製品が存在しないとされ
た製品を対象とする一部の商品類型においては、抗菌剤の使用を認
めております。しかしながら、靴・履物については、抗菌加工をしない製
品も製造されているため、一般用途の製品に抗菌加工が必須であると
は考えておりません。よって、エコマーク事業の原則にもとづき、原案ど
おりとします。
JSG 基準もエコマークと同様に、消費者の要望も高い人体への影響が
少ないものが、結果的には環境への影響も少ないということにつながる
との考えのもとに基準値を定めています。環境負荷を総合的に判断す
るために LCA による評価ができれば望ましいですが、現時点では一律
の基準値が設定可能で、かつ環境負荷低減の効果が高いと考えられ
る有害物質について基準を定めております。よって、原案どおりとしま
す。
No.
意見箇所
意見内容
回 答
(「革材料の染色堅ろう度や臭気は、直接的に有害物質の使用・排出を検
査する項目ではないが、長期使用につながる製品の耐久性、使用時の不
快感に対する配慮という点で有用であり、B‐9あるいはD‐9(その他の環境
項目)にも関係する基準項目として認定基準を策定した。」について)
D-9(その他の環境項目)は、表1「商品ライフステージ環境負荷項目選
定表」において、「他の項目に合わせて検討された項目」としておりま
す。よって、原案どおりとします。
に、判断が難しいところである。
23
24
解説
解説
B-8(1)
B-8(1)
D-9(その他の環境項目)は、3ページの表1「商品ライフステージ環境負荷
項目選定表」には選定されていない。
(「革製品における必須の製造工程である“なめし工程”において、三価クロ
ムが使用されており、強アルカリ剤や強酸化剤による処理や1000℃以下で
の有酸素焼却の際には、三価クロムが六価クロムに変換される可能性があ
る点に配慮し、六価クロムが溶出されないことを検査するとともに、三価を含
めた総クロム量によってリスク管理を行うこととした。」について)
「三価を含めた総クロム量によってリスク管理を行う」とあるが、リスク管理を
行うのであれば重金属の含有量を管理しないのは矛盾するのではないか。
もともと、3価クロムは有害性が実証されていない。リスク管理の名の下に総
クロム量を規制することにより、3価クロムが有害であるかの印象を与え、い
わゆる風評被害を起こす原因ともなるのではないかと危惧する。
25
解説
E-8
「廃棄物の焼却処理時に有害物質が排出されないこと」とあり、プラスチック
材料のみを規定している。しかし、革靴を考えるなら、革素材についても言
及すべきである。クロム鞣し革は焼却時に有害な6価クロムを発生すること
は既知の事実である(7ページの6行目にも記載されている)。従って、この
項目をクリアする皮革素材は非クロム鞣し革である。また、有害物質として
重金属の含有量の基準も必要である。
以上のことは最終的な理想的な目標であり、現段階でこの目標を満足す
る材料を製造しようとすると高コストになり、市場で受け入れられない。そこ
で、第一段階として現在提案されているような基準を考えているのであれ
ば、妥協するしかないと考えられる。
意見総数:25 / 意見者数:11名
9
革材料の重金属については、商品類型 No.101「かばん・スーツケース」
の検討時に鉛・カドミウム・水銀・ニッケル・コバルト・六価クロムの 6 物質
に加え、総クロムについても溶出基準値を設定しました。革製品におけ
る必須の製造工程である“なめし工程”では、三価クロムが使用されて
いますが、革製品中の三価クロムは極めて安定していると考えられま
す。ただし強アルカリ剤や強酸化剤による処理や空気中での中低温焼
却の際には、六価クロムに変換される可能性がある点に配慮し、JSG ラ
ベルでは六価クロムが溶出されないことを検査しています。クロムに関
しては、六価クロムのみの検査でも十分という意見も出されましたが、国
際的には三価を含めた総クロム量でリスク管理を行う方向にあるとの意
見もあり、結論として、重金属は総クロムを含めた 7 物質に基準を設置
することとしました。三価クロムがほとんど無害であり、革から六価クロム
が溶出しない革まで風評被害を起こす原因とならないよう配慮しまし
た。クロム革から溶出される全クロムが多い場合には異常反応(酸化処
理など)により六価クロムへの変換がありえることから、全クロムの基準
値が決められた経緯があります。よって、原案どおりとします。
2001 年 4 月 1 日に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で 800℃以
上の焼却のできない施設などの簡易焼却炉は使用禁止となりました。
解説に記載のとおり 1000℃以下での有酸素焼却の際には 3 価クロムが
6 価クロムに変換される可能性がありますが、最近では、1700℃近くの
高温溶融炉が推奨され、六価クロムの発生を最小限に抑制し、従来か
らの法定燃焼炉においても六価クロムを規制値以下にするためにバグ
フィルターなどで洗浄されています。また、エコマークの基準策定にお
いても、認定品を市場に普及させていくために、完全無欠の基準を目
指すのではなく、環境負荷低減効果の高い項目に絞り込んだ基準を
策定しております。よって、原案どおりとします。