当クリニックでのVAIVT施行患者における 血流量・R.I.・P.I.の評価検討

VAIVTにおけるAVFでの
F.V.・R.I.・P.I.の評価検討
池田バスキュラーアクセス
透析 内科クリニック
谷口英治、岩下廉史、川原田貴士、上野庸介、
安田 透、池田 潔
背景
VAIVT前後での超音波検査による
F.V.(Flow Volume;血流量)
R.I.(Resistance Index;抵抗係数)
の有用性
(第15回 日本アクセス研究会総会:東京)
P.I.(Pulsatility Index;拍動係数)
R.I.より大きく動く指標である
胎児血流の評価・頸動脈エコー等に用いられる
AVFにおける過去の報告
慢性血液透析
用バスキュラーアク
セスの作製およ
び修復に関す
るガイドライン
F.V.
500 以下
(ml/min)
R.I.
-
P.I.
-
村上氏 春口氏:VA超
ら:腎と 音波テキスト201
透析20 1.3第1版
03
-
300~350 以下
0.6 以上 0.7~0.8 以上
-
-
当クリニックの
指標
500~700以下
0.6~0.7 以上
-
(P.I.が指標にされた文献は存在しない)
R.I.・ P.I.の計算式
R.I.=PSV-EDV/PSV P.I.=PSV-EDV/TAMV
PSV:収縮期最大速度
EDV:拡張期最大速度
TAMV:平均血流速度
TAMV
PSV
EDV
目的
AVF症例のVAIVT施行の指標として、P.I.が
F.V.とR.I.に追加されることで、VAIVT時期の判
断基準の精度を上げることになり得るか、また
その基準値に関する検討を行った。
対象
期間:平成23年9月~平成24年6月(10ヵ月)
症例数
AVF:157例
男:女
85:72
平均年齢
64.6歳
平均PTAの回数
2.0回
方法
#1 アクセストラブルにて紹介された患者に対して
全例超音波検査を施行。
#2 PTA施行と判断された患者は、術後に再度
F.V.・R.I.・P.I. をそれぞれ3回測定し、平均値を算出。
#3 測定した前値がPTAの指標となるか、改善度が
今後の経過観察の指標となるかを検討した。
使用機器:LOGIQe(GE)
7.75MHzプローブ使用
(携帯可能のため検査室および
OPE室への移動が簡便。血流関係
の計測ソフトが搭載済み)
シャント肢上腕動脈
パルスドップラにて計測
VAIVT前のF.V.とR.I.
n=157
1
y = 2.006x-0.168
R² = 0.3533
0.9
91.1% (143症例)
0.8
0.7
0.6
R.I. 0.5
8.9% (14症例)
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
500 700
1000
1500
2000
F.V.(ml/min)
2500
3000
3500
VAIVT前のR.I.とP.I.
R.I.
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
92.4% (145症例)
y = 0.5963x0.3158
R² = 0.8097
7.6% (12症例)
0
0.5
1
1.5
1.6
2
2.5
P.I.
3
n=157
3.5
4
4.5
5
VAIVT前のF.V.とP.I.
6
5.5
5
4.5
4
3.5
P.I. 3
2.5
2
1.6
1.5
1.01
0.5
0
n=157
y = 36.665x-0.494
R² = 0.3758
94.3% (148症例)
5.7% (9症例)
0
500
500 700
1000
1500
2000
F.V.(ml/min)
2500
3000
3500
狭窄部位別 F.V. R.I. P.I.の平均値
狭窄部位
前腕
(n=129)
F.V.(ml/min) 515(1350~50)
上腕(鎖骨下含)
(n=28)
951(3200~320)
R.I.
0.72(0.5~0.89) 0.63(0.41~0.79)
P.I.
1.94(0.79~4.7) 1.27(0.7~2.25)
結果
#1 AVFにおいてF.V. 500~700ml/min・ R.I.0.6~0.7
を基準に考えると、P.I.は1.0~1.6が指標になると考
えられた。
#2 AVFにおいて狭窄部が前腕と上腕(鎖骨下含)で
は、F.V.・R.I.・P.I.の平均値に有意差が生じた。
基準値
慢性血液透析 村上氏
春口氏:VA超 当クリニックの
用バスキュラーアク ら:腎と透 音波テキスト201 指標
セスの作製およ
析2003 1.3第1版
び修復に関す
るガイドライン
F.V.
500 以下
(ml/min)
-
300~350 以下 500~700 以下
0.7~0.8 以上 0.6~0.7 以上
R.I.
-
0.6 以上
P.I.
-
-
-
1.0~1.6 以上
考察
#1 AVFにおけるVAIVT症例においても、P.I.が
F.V.やR.I.と同様に有効な指標となり得る。
#2 超音波検査による機能評価が有効な指標と成り
得なかった症例は、run off veinからの分枝が影響し
ている為と考えられた。
#3 P.I.を判断基準に追加することで、 VAIVT施行
の判断の精度が改善し得る。
結語
AVF症例のVAIVT施行の指標として、P.I.が
F.V.とR.I.に追加されることで、VAIVT時期の判
断基準の精度を上げることになり得る。
F.V.
P.I.
R.I.