新聞活用によってビジネスの理解力・実践力を向上させる取り組み ~新聞を継続的・多面的に読み、よりよい情報を主体的に選択し、 発信できる生徒の育成を通して~ 新潟県立新潟商業高校 1 学校 の概 要 新 潟 商 業 高 等 学 校( 生 徒 数 1,090 人 )は 世 界 に 目 を 開 い た 商 業 高 校 と し て 明 治 16( 1883)年 に 開 校 し 、今 年 で 132 年 目 を 迎 え る 商 業 高 校 で あ る 。 「 熱・誠・忍 」 で表される、情熱と誠実さと忍耐をもって自己実現をめざすという「葦原精神」 の伝統をもとに勉強・部活動等に励んでい る。 総 合 ビ ジ ネ ス 科 で は 、ビ ジ ネ ス コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 育 成 、情 報 処 理 科 で は IT の ス ペ シ ャ リ ス ト を 目 指 し て い る 。 イ ン タ ー ン シ ッ プ や 電 子 商 取 引 ・ 模 擬 株式会社設立など実践的な授業も特徴である。 国 際 教 養 科 は 、授 業 の 約 4 分 の 1 が 英 語 で 、オ ー ス ト ラ リ ア・ホ ー ム ス テ イ や アメリカン・キャンプ語学研修など特色ある授業を受けることができ る。 ま た 、部 活 動 で は 多 く の 運 動 部 、文 化 部 が 北 信 越 大 会 や 全 国 大 会 等 で 活 躍 し て いる。 2 NI E実 践 のね らい 新 聞 を 活 用 す る こ と に よ り 、ビ ジ ネ ス の 理 解 力・実 践 力 を 向 上 さ せ る 。課 題 の 発 見 と 解 決 に 向 け 、主 体 的・協 働 的 に 学 ぶ 学 習 場 面 を 設 定 し 、そ の う え で 1 人 1 人 の 思 考 力 や 判 断 力 を 高 め る こ と を ね ら い と す る 。生 徒 が あ る テ ー マ を 追 究 す る に は 、「 や っ て み て 、 考 え 、 気 づ く 」 と い う 過 程 を 踏 む こ と が 重 要 で あ り 、 情 報 活 用 の 過 程 で あ る 。新 聞 は 、情 報 そ の も の で あ り 、授 業 内 容 の 理 解 を 深 め 、社 会 の 動 き と 授 業 の 関 連 に 気 づ く と と も に 、最 終 的 に は 進 路 や 生 き 方 の 問 題 へ と 生 徒 の 意 欲 や 興 味・関 心 を 高 め る こ と が で き る 教 材 で あ る 。新 聞 を 活 用 し 、生 徒 の 意 欲や興味・関心を高めるきっかけとしたい。 (1)校内研究テーマ ①ビジネスの理解力向上のために、よりよい情報を選択する力の育成。 ②ビジネスの実践力として選択した情報を課題解決のための提案として発信 する力の育成。 ③ 主 体 的 ・ 協 働 的 な 学 習 場 面 を 設 定 し 、「 気 づ き 」 や 「 発 見 」 を 促 す こ と に よ り、選択や提案のためのより高次の思考力や判断力の育成。 (2)NIEでめざす生徒像 ① 情報を選択できる生徒 (ア)新 聞 ・ イ ン タ ー ネ ッ ト ・ 書 籍 な ど か ら 情 報 を 収 集 、 分 類 ・ 整 理 す る こ とができる。 (イ)課 題 を 設 定 す る こ と が で き る 。 分 類 ・ 整 理 し た ス ク ラ ッ プ な ど の 情 報 から課題を設定することができる。 (ウ)レ ポ ー ト と し て ま と め る こ と が で き る 。 ②ビジネスの理解力を深め、実践力として「新たな提案」ができる生徒 (ア) 「 ビ ジ ネ ス の 理 解 力 」 向 上 と し て 、 実 際 の ビ ジ ネ ス を 理 解 す る 。 実 際 の ビ ジ ネ ス を 理 解 す る た め に 、得 た 情 報 か ら グ ル ー プ で の 話 し 合 い・発表を通して、現状における企業の課題を理解する。 (イ) 「 ビ ジ ネ ス の 実 践 力 」 と し て 、 課 題 を 提 案 と し て 発 信 で き る 。 課題を投資企業への選択などとしてレポートにまとめ、 提案すること ができる。 ③ 主 体 的・協 働 的 な 学 び か ら 、 「気づき」 「 発 見 す る 」こ と に よ っ て 思 考 力 ・ 判断力をより高めることができる生徒 (3)研究の内容 初 年 度 に あ た る 本 年 度 は 、実 践 計 画 の よ う に 、日 経 ス ト ッ ク リ ー グ を は じ め と す る 内 容 に 取 り 組 む 。以 下 の ① ~ ④ ま で の 過 程 を 踏 ま え る 。特 に 日 経 ス ト ッ ク リ ー グ で は 、3 年 次 実 施 で あ る た め 、商 業 に 関 す る 基 礎 的・基 本 的 な 学 習 の 上 に 立 ち 、新 聞 ス ク ラ ッ プ 及 び 作 成 生 徒 が 設 定 し た 投 資 テ ー マ に 基 づ い た レ ポ ート作成によって3年次までに学習した内容の総合化を図らせる。 ①新聞を継続的に読む活動や複数の紙面から情報を得ることができる環境 の整備をする。 N I E に よ り 、全 国 紙 5 紙 及 び 地 方 紙 と し て 新 潟 日 報 を 読 む こ と が で き る 環 境 を 整 備 す る 。新 聞 ス ク ラ ッ プ を 作 成 さ せ 、記 事 の 内 容 に 関 連 づ け を 持たせながら、情報収集させる。 ② 課 題 を 設 定 及 び 情 報 収 集 の 場 面 に 複 数 の 視 点 を 加 え 、よ り 高 次 の 情 報 を 収 集させる。 課 題 を 設 定 す る 場 面 で 新 聞 を 活 用 し 、よ り 社 会 の 動 き に 関 連 し た も の に させる。 「 情 報 収 集 の 方 法 」と し て ス ク ラ ッ プ 指 導 、レ ポ ー ト の 作 成 指 導 を 通 し て 、「 調 べ 方 ・ ま と め 方 」「 報 告 ・ 発 表 の 方 法 」 を 身 に 付 け さ せ る 。「 優 良 企 業 」を 探 す 場 面 で 、最 初 に「 こ れ ま で 学 習 し た 内 容 」か ら 、そ の 次 に「 講 演 会 ① 」及 び「 講 演 会 ② 」か ら 複 数 の 視 点 が あ る こ と を 気 づ か せ る 。優 良 企業を見る立場や視点を整理させ、情報収集の工夫を図る。 ③ 学 習 し て い る 内 容 と の 関 連 付 け を 図 る 。( ビ ジ ネ ス の 理 解 力 ) 1 年 次 「 簿 記 」「 ビ ジ ネ ス 基 礎 」「 情 報 処 理 」 2 年 次 「 財 務 会 計 」「 原 価 計算」 「 ビ ジ ネ ス 情 報 」3 年 次「 総 合 実 践 」 「電子商取引」 「経済活動と法」 などこれまで商業科目で学習している内容との関連づけを図る。 ④ 課 題 を 把 握 し 、 購 入 銘 柄 を 決 定 す る な ど 提 案 と し て 発 表 す る 。( ビ ジ ネ ス の実践力) 生徒が興味や関心のあるテーマを設定しその課題に対して取り組みを 行 っ て い る 企 業 を 探 す 過 程 で 学 習 全 体 を 総 合 化 さ せ る 。そ の 銘 柄 の 組 み 合 わせを日経ストックリーグのポートフォリオとして提案をする。 3 本年 度実 践 の概 要 (1)NIEに関連する職員研修と授業実践 月日 主体 平 成 27 年 商業科 7月 NIE 担 当 7/30-7/31 総 合 実 践 授 業 9月 担当者 10/15 総合実践授業 担当者 11/18 11/25 12/4 NIE 担 当 NIE 担 当 NIE 担 当 平 成 28 年 1/21 総合実践授業 担当者 3月 ビジネス基礎 授業担当者 1 学年 (2)授業実践計画 教科・科目など 商 業「 ビ ジ ネ ス 基 礎 」 おもな活動の内容 新聞記事感想文(夏季休業中の宿題) NIE 全 国 大 会 ( 秋 田 市 ) へ の 職 員 派 遣 総合実践 株式学習:日経ストックリーグ開始 職員研修会及び情報処理科 3 年生向け講演会 演題「優良企業の見つけ方」 講 師:日 本 経 済 新 聞 社 新 潟 支 社 長 大 久 保 潤 様 企業の活動について理解を深める(1) NIE ネ ッ ト ワ ー ク 部 会 ( 上 越 市 立 春 日 中 学 校 ) NIE ネ ッ ト ワ ー ク 部 会 ( 三 条 市 立 三 条 小 学 校 ) NIE ネ ッ ト ワ ー ク 部 会 ( 新 潟 県 立 江 南 高 等 特 別 支 援 学校) 情報処理科 3 年生向け講演会 演題「優良企業の見つけ方」 講 師 : NPO 法 人 エ イ プ ロ シ ス 証券カウンセラー 赤峰 信 様 企業の活動について理解を深める(2) ビジネス基礎担当者 「 ビ ジ ネ ス 情 報 の 入 手 の し か た 」「 ビ ジ ネ ス 情 報 を活用する方法」にて新聞活用 朝学習「日報抄」書き写し 朝学習 読売ワークシート通信 対 象 生 徒 1年 総合ビジネス科 205 名 内 容 4 月 学 習 ガ イ ダ ン ス「 新 聞 ス ク ラ ッ プ 」 7 月~9 月 新聞記事感想文 1年総合ビジネス科205名 夏季休業中の課題とした。 3 月 新聞による情報収集 第 2 章 ビジネスとコミュニケーシ ョン 第4節 1 学年 商業「総合実践」 同 上 ビジネス情報を活用する 方法 朝学習「日報抄」書き写し 朝学習 読売ワークシート通信 3年 情報処理科 82 名 6月 日報抄書き写し 7 月~9 月 新聞記事感想文 9 月 ~ 12 月 日 経 ス ト ッ ク リ ー グ 企業調査及び株式学習 平 成 27 年 度 よ り 新 潟 県 新 聞 活 用 教 育 ( N I E ) の 指 定 を 受 け 、 今 年 度 は 商 業 科 目 を 中 心 に 新 聞 を 活 用 し た 。 3 年 次 「 総 合 実 践 」( 情 報 処 理 科 ) に て 「 株 式 投 資 」、1 年 次「 ビ ジ ネ ス 基 礎 」 ( 総 合 ビ ジ ネ ス 科 )に お い て 学 習 ガ イ ダ ン ス「 新 聞 ス ク ラ ッ プ 作 成 」 及 び 「 新 聞 記 事 感 想 文 」 に 挑 戦 し 、「 ビ ジ ネ ス 情 報 の 入 手 の し かた」を指導した。 9 月 よ り 新 聞 提 供 が 開 始 さ れ 、情 報 処 理 科 に お い て 、日 経 ス ト ッ ク リ ー グ に 取 り 組 ん だ 。そ の 際 、日 本 経 済 新 聞( 紙 面 及 び 電 子 版 )の み だ け で な く 、多 く の 新 聞 に 触 れ る こ と に よ っ て 、1 つ の 事 柄 を い く つ も の 紙 面 か ら 比 較 し 、検 討 で き る 環 境 を 作 っ た 。投 資 し た い 企 業 を 選 ぶ 際 の テ ー マ 設 定 に 、記 事 及 び 記 事 の 関 連 性 に 気 づ く よ う キ ー ワ ー ド を 拾 い 出 し 、生 徒 個 人 で つ な が り を 考 え ら れ る よ う ス ク ラ ッ プ 用 紙 を 工 夫 し た 。そ れ を 持 ち 寄りグループではメージマップを作成させた。 ま た 、日 頃 か ら 興 味 や 関 心 の あ る も の の 他 に 、進 路 に 関 する内容も自由に選択させた。 (新聞を読み、テーマを検討する生徒) 新 聞 ス ク ラ ッ プ:少 子 高 齢 化 と ロ ボ ッ ト を テ ー マ に 関 連 づ け を し た 生 徒 作 品 と イ メ ー ジ マ ッ プ 。 ( 3 ) 日 経 ス ト ッ ク リ ー グ に お け る 指 導 の 計 画 ( 全 14 回 ) 回 各時間の目標 学習活動 1 9/4( 金 ) 3・4 限 ・新聞記事を読む。 ・新聞スクラップ作成 ・新聞スクラップを作成する。 (記事の関連性を考慮) 2 3 9/8( 火 ) 3・4 限 ・投資する企業を探す (調べた情報をもとに) 9/15( 火 ) 3・4 限 ・投資したい企業の選択 (スクラップや収集した情報から) ①事実や原因②解決の方法③②に取り組 んでいる企業④その取り組み等。 ・新聞記事を読む。 ・新聞スクラップを作成する。 ・企業に関する情報を集める。 ・イ ン タ ー ネ ッ ト か ら 、株 価 情 報 、損 益 の 状 況 、企 業 情 報 、財 務 状 況 等 を 調 べ 、売 上 高・ 営業利益・経常利益等の資料を作成する。 ・それぞれがイメージマップ作成する。 ・イ メ ー ジ マ ッ プ な ど を も と に 班 ご と に チ ー ムテーマ及び投資企業を決定するために 意見交換をする。 ・投 資 し た い 企 業 の 売 上 高 、営 業 利 益 、経 常 利益、利益、1 株利益を調べる。 4 9/17( 木 ) 5・6 限 ・チームテーマ及び投資企 業の決定 ・企業情報を得る 5 10/1 (木 ) 5・6 限 ・配布されたレポートフォーマットの確認。 ・レポート作成の準備 10/6(火 )3・4 限 ・資 料 を 読 み 、ス ク リ ー ニ ン グ の 方 法 を 確 認 ・スクリーニングの方法確 す る 。※ ス ク リ ー ニ ン グ:投 資 し た い 企 業 を 抽 出 する作業のこと。 認 10/13(火 ) 3・4 限 ・スクリーニングを実施する。 ・スクリーニングの実施 班 ご と の 意 見 交 換 か ら 、 第 1 段 階 は 30 社 程 度 、 第 2 段 階 は 20 社 程 度 に 絞 る 。 6 7 8 9 10/15(木 )5・ 6 限 ・優良企業の視点を学ぶ。 (実践例1) 経済新聞の基礎理解 講演「優良企業の見つけ方」 日本経済新聞社新潟支局長 大久保潤 10/22(木 )5 限 ・講演会の振り返り ・調べた企業の再評価 ・講演会の振り返りを行う。 ・生 徒 が 考 え た 投 資 し た い「 優 良 企 業 」と 講 演 会 の 内 容 を 踏 ま え 、ス ク リ ー ニ ン グ の 観 点を再度検討する。 10 10/29(木 )6 限 ・投資企業の決定 11 11/10(火 ) ・レポート作成 様 ・スクリーニングを再度実施する。 ・投資企業の決定をする。 ・ こ れ ま で の 情 報 か ら 、 以 下 1~ 6 に つ い て レポートを作成する。 1 暮らしや社会の変化と経済の関係 2 投資テーマの決定 3 ポートフォリオの作成 4 投資家へのアピール 5 日経ストックリーグを通して学んだこと 6 参考文献 12 11/12(木 )中 間 発 表 の 実 施 13 11/19(木 )レ ポ ー ト 作 成 ・中間発表の実施。班ごとに発表 ・ 11 の 学 習 内 容 と 同 じ 14 1/21(木 )5・6 限 ・優良企業の視点を学ぶ。 (実践例2) 株式投資に関する講演 講演「優良企業の見つけ方」 講 師 : NPO 法 人 エ イ プ ロ シ ス 証券カウンセラー 赤峰 信 様 企業の活動について理解を深める(2) (4)実践例1 ①日 時 平 成 27 年 10 月 15 日 ( 木 ) 第 5 校 時 及 び 第 6 校 時 ②対 象 情 報 処 理 科 3 年 6 組 ・ 7 組 80 人 ( 男 子 45 人 女 子 35 人 ) ③実施科目 総合実践(株式投資) ④内 容 日 経 ス ト ッ ク リ ー グ( 投 資 企 業 決 定 の た め の 優 良 企 業 の 視 点 形 成 ) ⑤本講演の目標 生 徒 に 高 校 生 と い う 視 点 の ほ か に 、消 費 者 や 今 後 の 労 働 者 な ど の 視 点 を 提 示 し 、 複 眼 的 に 新 聞 を 読 む 方 法 を 理 解 さ せ る 。講 師 よ り 新 聞 社 の 立 場 か ら の お 話 の 他 に 消 費 者 や 労 働 者 の 視 点 を 加 え て 頂 き 、生 徒 に 投 資 し た い 企 業 を 選 択 さ せ る 際 の 情 報収集の方法を理解させる。 ⑥講演会ワークシート感想より ※優良企業を選ぶ基準についての感想が多くあげられた。 消 費 者 の 立 場 に な っ て ,今 必 要 と し て い る も の 、こ れ か ら 必 要 とされているものを考えるといいと思う。 C S R 1を 考 え て い る か 。 単純に儲けているだけでなく、社会的責任を守っているかとい うことも視野に入れたい。 会社の売上や利益より、社員や安全性に視点をおきたい。 企 業 が 金 儲 け し た か っ た ら ,安 全 性 や 環 境 へ の 責 任 を 果 た す ことが重要という話もあり、とても納得できた。 実際に行ってみる。 正規社員が、非正規社員より多い。 環境への配慮がある。 新事業展開が見込める。 新聞を読みながら情報収集する生徒 CSR〖 corporate social responsibility 〗 企 業 の 社 会 的 責 任 。企 業 の 責 任 を ,従 来 か ら の 経済的・法的責任に加えて,企業に対して利害関係のあるステークホルダーにまで広げた 考え方。企業活動をする中で、自社の利益だけでなく、社会全体に与える影響や企業が行 うべき社会貢献にも配慮した行動を選ぶという企業のあり方を意味する語。企業の社会的 責任においては、消費者や投資家、社会の構成員全体といったステークホルダー(利害関 係者)との関係が重視される。企業の社会的責任に基づく活動は、慈善事業とは異なり、 あ く ま で 企 業 活 動 の 中 で 行 わ れ る 。 http://www.weblio.jp/content/CSR 1 利 潤 を 求 め る だ け で な く 、人 を 取 り 巻 く 環 境 に 悪 影 響 を 与 え な い よ う に 配 慮 し 、売 上 高 の 水 増 し な ど の 不 正 行 為 を 行 わ ず 、公 正 な 方 法 に よ っ て 商 売 を 行 う C S R( 企 業の社会的責任)をしっかり果たしている。 新聞に書いてあることを鵜呑みにしない。 消費者の目線で「いい会社」と自分が働く上で「いい会社」 経常利益や売上高営業利益率などの視点 その会社だけでなく、ライバル会社にも視点をおき、比較する。 (5)実践例2 ①日 時 平 成 28 年 1 月 21 日 ( 木 ) 第5校時及び第6校時 ②対 象 情 報 処 理 科 3 年 6 組 ・ 7 組 80 人 ( 男 子 45 人 女 子 35 人 ) ③実施科目 総合実践 演題「優良企業の見つけ方」 講 師 : NPO 法 人 エ イ プ ロ シ ス 証券カウンセラー 赤峰 信 様 ④本講演の目標 生 徒 は 、10 月 15 日 に 日 経 新 聞 大 久 保 潤 新 潟 支 社 長 の 講 演 か ら 、売 上 高 や 経 常 利 益 と い っ た 情 報 の ほ か に 、消 費 者 や 今 後 の 労 働 者 と し て の 視 点 が 加 わ り 、C S R( 企 業 の 社 会 的 責 任 )に つ い て 理 解 し た 。そ の 続 編 と し て 更 に 証 券 取 引 所 の 立 場 で 優 良 企 業 の 視 点 を 加 え 、複 眼 的 に 新 聞 を 読 む 方 法 を 理 解 さ せ た い 。新 聞 社 の 立 場 と は 違 う 内 容 と な る と 想 定 さ れ る 。前 回 と 違 う 内 容 に 生 徒 が「 投 資 し た い 企 業 を 選 択 さ せ る 際 の 視 点 」に 揺 れ が 生 じ 、前 回 と 今 回 で の 違 い を 踏 ま え 、理 由 を 明 ら か に さ せ た う え で 、さ ら に そ の 選 択 に つ い て 働 き か け る 。上 記 の 内 容 を ふ ま えた情報収集の方法を理解させる。 ⑤講演の感想 ・株式を上場しているか、していないかは大した違いではないと思っていましたが、 上場していることは情報公開の義務づけがあり、上場企業は社会的責任を果たして いることを初めて知りました。 ・簿記で営業利益や経常利益についてなんとなく知っていた気でいたのですが、今回 の講演を聞いて会社の財政状態を理解することができるのを知りました。 ・前 回 の 講 演 で は CSR に つ い て 学 び ま し た が 、財 務 の 話 が 少 な か っ た の で 今 回 と て も 新鮮でした。1つの企業を調べると、その企業の問題点や経済状況がよくわかるこ とを学びました。 ・前回の講演で学んだことに加え、さらに企業の見方・調べ方について知ることがで きた。企業を調べるツールとして、会社のホームページや新聞で情報を得ることは 知っていいたが、四季報や業界地図は今回初めて分かった。 4 成果 ( 1 )新 聞 を 継 続 的 に 読 む 活 動 や 複 数 の 紙 面 か ら 情 報 を 得 る こ と が で き る 環 境 の 整備をすることができた。 クラスに全国紙5紙及び地方紙として新潟日報を継続的に読むことがで きる環境を整備した。新聞スクラップの作成などに活用できた。 ( 2 )課 題 を 設 定 及 び 情 報 収 集 の 場 面 に 複 数 の 視 点 を 加 え 、よ り 高 次 の 情 報 を 収 集するよう務めさせた。 課題を設定する場面で新聞を活用し、より社会の動きに関連したテーマ を設定させることができた。 「 優 良 企 業 」を 探 す 場 面 で 、最 初 に「 こ れ ま で 学習した内容」から、次に講演会①において「消費者」や「労働者」等複 数の視点を提示することができた。更に企業の社会貢献等を理解し、講演 会②では「簿記」や「会計」の内容である売上高・営業利益等から企業を 再度評価する機会に恵まれ、幅広く情報を収集することができた。 ( 3 ) 学 習 し て い る 内 容 と の 関 連 付 け を 図 る 。( ビ ジ ネ ス の 理 解 力 ) 1年次及び2年次に学習した「簿記」や「会計」の内容である売上高・ 経常利益・営業利益等から企業を比較・検討させた。これまでの学習内容 を株式投資において活用でき、学習内容の総合化を図る場面を設けること ができた。また、社会的な事柄(少子高齢化・環境問題・東京オリンピッ ク等)から、企業の活動を具体的に理解させることができた。新聞記事か らタイムリーな話題をテーマとして設定することができ、教科での学習の 幅を広げることができた。 ( 4 ) 課 題 を 把 握 し 、 購 入 銘 柄 を 決 定 す る な ど 提 案 と し て 発 表 す る 。( ビ ジ ネ ス の実践力)各グループがテーマとして選んだ課題に、現実に取り組んでい る企業を組み合わせたポートフォリオを、理由とともにレポートにまとめ 提案として発表することができた。 5 課題 ~2年次研究に向けて~ ・継 続 し て 新 聞 を 活 用 し 、商 業 科 目 の 学 習 内 容 を 身 近 な 問 題 と し て 関 心 を 持 た せ たい。小論文対策や記述問題に関する基礎となると考えている。 ・「 優 良 企 業 」 の 視 点 を 高 次 に な る よ う 講 演 会 を 通 し て 「 揺 さ ぶ り 」 を か け た 。 こ れ ま で 学 習 し た 内 容( 既 知 の 事 実 )と 講 演 会 か ら 、社 会 貢 献 の よ う に 未 知 の 内 容 や 意 味 が は っ き り し な か っ た こ と に 意 味 が 加 わ り 、更 な る 思 考・判 断 の 場 と な っ た 。「 ビ ジ ネ ス の 理 解 力 ・ 実 践 力 」 と し て の こ の 面 の 検 討 を 進 め た い 。 ・考 察 や 討 論 の 効 果 的 な 指 導 を 検 討 し 、繰 り 返 し 指 導 し た い 。3 ~ 5 人 の グ ル ー プ 活 動 に よ り 、テ ー マ 設 定 や 調 べ 学 習 を 効 果 的 に 実 施 で き た 。積 極 的 に 話 し 合 っていたが、内容的に高次の思考に至るには更なる工夫が必要である。 ・新 聞 紙 面 と 新 聞 電 子 版 の 効 果 的 な 組 み 合 わ せ も 検 討 し た い 。今 回 の 実 践 で テ ー マ 設 定 ま で は 、紙 面 で 検 討 さ せ た ほ う が よ い と 感 じ た 。し か し 、テ ー マ が 設 定 されたあとは電子版やインターネットのほうが必要な資料やデータを取得し や す い 。 ICT の 活 用 と と も に 次 年 度 の 課 題 と し た い 。
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