日本の輸出先トップは、付加価値ベースでは米国

OECD/WTO 発表の付加価値を盛り込んだ新指標が世界貿易に対する見方を変える
~日本の輸出先トップは、付加価値ベースでは米国~
本 16 日、OECD と WTO が共同で発表した国際貿易データによると、ビジネスの競争力や輸
出業績は、各国がグローバル・プロダクション・チェーンに組み込まれている度合いや、輸入に
対する開放度と密接に関連しているということが一層明確となりました。OECD が WTO と共同
で取り組む「付加価値貿易イニシアティブ(OECD-WTO Trade in Value-Added Initiative
(TiVA))」は、これまで物やサービスが国境を越える度に、その総フローを計算して貿易収支と
してきたこれまでの計算方法から脱却し、その代わり、輸出される物やサービスの原産国の付
加価値として計算することで、国家間の通商関係の全容を表す試みです。
アンヘル・グリア OECD 事務総長は、パスカル・ラミーWTO 事務局長、カレル・デ=ヒュフ
ト欧州委員会貿易担当委員とともにパリで行われた記者発表において、「各国が世界に向けて輸
出する能力は、その国が外国から輸入することに積極的かどうかにかかっている。OECD が
WTO と共同で実施するイニシアティブによると、国が輸入規制をすればそれだけその国の競争
力にとって悪影響をもたらすことが、これまで以上に明確になったことが窺える。国家間の貿易
交渉は、このような現実を認識して進められることが重要であり、各国には自国企業が国際バリ
ューチェーンで活躍できるよう支援する政策の実施が求められる」と述べた。
今回初の試みである OECD・WTO 共同データベースは、グローバル・バリューチェーンがい
かに他国との貿易関係やビジネスに影響を与えるか新しい視点を提供しています。このうち日本
関連の主な結論としては:

貿易フローを付加価値で測ると、日本の輸出は中国向けよりも米国向けの方が多い。

日本の輸出先国は、輸出総額ベースの計算では中国がトップ( 24%)で米国は第 2 位
(22%)だが、付加価値では、トップが米国(19%)、中国は第 2 位(15%)と順位が逆転
する。輸出総額ベースから付加価値ベースへの差額は、2009 年で対米で 134 億 2130 億米ド
ル増加、対中で 124 億 6290 米ドル減少となる。(その他の国のデータ等詳細は、別添のカ
ントリーノート上の図 1 及び 2 参照)。

付加価値では、対中、対韓貿易黒字は(総額ベースと比べ)ほとんど無くなるが、対米貿易
黒字は総額で見た場合より 60%増加する。これは、アジアへの中間財輸出が米国の最終消
費に行き着くためである。

あらゆる産業部門で、日本の輸出品には、国内原産品が高い割合で含まれている。

サービスは日本の輸出総額における付加価値の 42%を占めており、そのうちの高い割合が国
内のサービス業者からのものである。製造業における輸出額に占めるサービスの割合も大き
く(約 30%)、効率的なサービス投入がモノの分野の競争力にとっても重要であることを示
している。
今回発表する付加価値貿易に関する新指標は、これまで OECD が取り組んできた 58 カ国の産
業及び消費者間の関係を表し世界総生産の 95%を網羅する国際産業連関表から引き出されてい
ます。付加価値貿易のデータベースは OECD 統計内の"International Trade and Balance of
Payments"よりご覧頂けます。 本指標の見方等に関しては、こちらをご覧ください。
◆TiVA に関する映像は、こちらのサイト(http://www.youtube.com/watch?v=RZKX-0SK41U)よ
りご覧いただけます。
その他お問い合せは、[email protected] 、または OECD メディアオフィス (+33-1 45249700, [email protected])で受付けております。