習志野市名木百選めぐり資料 平成 21 年 5 月 9 日 千葉県森林インストラクター会 No65 ダイオウマツ 北アメリカ東南部原産。枝先に密生する暗褐色の葉は3本が束生して垂れ下が り、その長さはマツ類中もっとも長く30センチにも達し、幼木では 40~60 セ ンチにもなります。このように葉が長くて大きい事を讃えて「大王松」の名が。 習志野高校正門腋にある7本がまとまって指定。1977年3月卒業の18期生の卒業 記念樹。 No62 アカガシ・クロマツ 大原神社のアカガシ・クロマツはがっぷりと根本から抱き合い、連理の木を思わせる珍 しい巨木で、一体化した幹周りは 3・40m になります。 No61 タブノキ 海沿いに自生する照葉樹。葉や樹皮には水と混ぜると粘液となる成分が含まれ、 線香の糊料に使われました。樹皮にタンニンを含み、伊豆ではその煎汁で織物 や魚網をとび色に染めるのに利用され、なかでも黄八丈が有名です。 縁結びの神とされる大原神社のタブノキは境内中央に位置し、2本が並ぶ姿から夫婦 (めおと)タブノキと呼ばれ参拝者の目を引き心なごませる木です。 No60 ハリギリ 山地に生える落葉高木。若い枝や幹にはトゲが多く、古い枝ではトゲの跡がい ぼ状になります。材は白く光沢があって美しいので家具材として高価な材の一 つ。若葉は山菜として好まれタラノメに似ておりイヌダラと呼ぶ地方もありま す。長い柄をつけた葉はカエデのような手の平形でゴワゴワと厚く細かい鋸歯 があります。名前の由来は材が桐に似て幹や枝に鋭いトゲがあることからで別 名センノキと呼ぶ地方もあります。 実籾小学校斜面のハリギリは2股にわかれ幹周り 3・42m の巨木で県内最大級の一つ と思われます。 No58 アケボノスギ 中国原産でメタセコイアの別名で親しまれてます。円錐形状の美しい樹形を持 ち鳥の羽に似た葉は互いに向き合って対につき秋には紅葉し枝ごと落下します。 1941 年三木茂博士が和歌山・岐阜両県の地層から化石を発見「メタセコイア」 と命名、絶命したと考えられていました。その後中国四川省長江流域の村、 磨刀渓で昔から「水杉」と呼ばれていた大木が発見され中国の学者によって現 生種として新種記載され化石の木として有名になりました。 習志野偕生園のアケボノスギはグループホームの名前に使われています。以前当地に あった実籾保育所の創設時に並木のように植えられていたものが特養ホーム建設時 に保存のために移植され現在の姿に。 No 57 ソメイヨシノ 江戸後期に染井村でつくられたオオシマザクラとエドヒガンの交配種で「吉野 桜」と名づけられて広まり明治 33 年の雑誌論文で「染井吉野」と命名されたと いわれています。 冬芽の芽鱗、葉柄、花柄に毛が多いのが特徴。接木でしか増えず遺伝組成が同 一のため気象台の標本木となっており、愛される一方クローンでしか増殖でき ない寿命の短い木として語られます。児童公園のソメイヨシノは根張り、枝模様がよ く昔からある桜として地元のシンボルとなっている幹周り 3・04m の巨木です。 No56 ユリノキ アメリカ東部原産の落葉広葉樹で真っ直ぐな幹は軽くて腐りにくく衝撃に耐え る強度を持つことからネイテイブアメリカンはこの材で丸木舟を造ったり馬車 のボデイなどにも用いていました。花の時期は5~6 月で枝先に5~6 センチの チュウリップ形のオレンンジ色の花をつけ、ヨーロッパでは学名に由来する「チ ューリップツリー」の名が広く通用しています。 明治初期に植物学者の伊藤圭介理学博士がアメリカのモーレ博士から贈られた 種子を自宅で育苗し苗木を新宿御苑に植えつけたといわれています。別名のハ ンテンボクは葉の形が半纏に似ていることに由来しています。 泉町 3 丁目街路のユリノキは幹周り 3・22m の巨木で道路拡張の際、地元の熱意によ り残されたものです。 No 52・53・54 アカガシ 山地に自生する照葉樹で老木では樹皮が鱗片状に剥がれます。葉の大きさはカ シ類中最大。葉先は尖り鋸歯はありません。ドングリは受精の翌年秋に成熟し 殻斗は横縞模様です。アカガシの名は材質が赤みを帯びているからで堅く丈夫 なので敷居などの建築材や木刀などに使われます。 誉田神社のアカガシは推定 150 年ともいわれ,No52は株分れした複雑な樹形を、N o53は大きく枝を広げ、No54はご神木として崇められています。 No 44 ポプラ 明治以降に入ってきた南ヨーロッパ原産の落葉樹。属名の Populusからき た「ポプラ」の名で親しまれています。樹幹が狭く直立するほうき状の樹形は ポプラ並木として世界各地で有名です。雄株と雌株があり葉は三角形で葉柄が 扁平なため万遍なく葉に光を浴びる工夫からか、わずかな風でひらひらと揺れ 動きます。花期は3~4 月で高い位置に咲くため気づきにくいのですが雄花は暗 赤色、雌花は黄緑色です。花の後には綿毛つきの種子を大量につけ風に運ばれ ていきます。中央公園のポプラはグランドを囲む 12 本が指定され樹高 22・8mのも のは百選中 2 番目に高い木です。 (資料作成 遠坂 弘) 「ヒマラヤスギ」 常緑高木 スギの名前がついているがマツの仲間。 ヒマラヤ西部~アフガニスタンが原産。ヒマラヤから北アフリカにかけて4種が分布 レバノンスギもその一種。 世界三大庭園樹の一つ(ナンヨウスギ、コウヤマキ) 球果はウッディローズ(木のバラ)と呼ばれ大変美しい。 「クスノキ」 常緑高木 木全体に芳香があり新枝の葉のわきに円錐花序を出して黄白色の小さい花をつける。 庭、公園などに植栽され神社や寺などに大木がある。 枝、葉から樟脳をとる。 「アメリカスズカケノキ」落葉高木 別名 セイヨウボタンノキ アメリカスズカケノキ スズカケノキ 集合果 葉の切れこみ 1個 浅く3~5裂 3~5 個 深く5~7裂 モミジバスズカケノキ(2~3個、深3-5裂)と併せて総称をプラタナスと呼ぶ。 別名 「ヒポクラテスの木」。 東京小石川植物園に三種類あり。Cf セイヨウトチノキ= マロニエ・ウマグリ 「カラスザンショウ」落葉高木 カラスが種子を食べるとの説あり。 サンショウほど利用価値なし。 老木に棘跡。 昔、材をヤマキリと詠んで桐の代用品として下駄などを作った。 「アオギリ」落葉高木 別名 アオノキ 葉が桐に似て樹皮が青い。 枝先に大型の円錐花序。 花のように見るのはガク片 g で花弁はない。 種子が心皮につく。公園樹、街路樹。 「桐」 落葉高木 由来: 成長が早く「切れば」またすぐに芽をだし成長がよくなる。木目が美しい ので「木理」から。 重さはコナラ、ケヤキの三分の一だが適度の強度があり割れがすくない。 軟らかい。 水を吸っても膨張せず熱を伝えない。音響性能が抜群。 箪笥、貴重品箱、下駄、琴、琵琶。 習志野の森のこれまで、これから 習志野の森の歴史−旧陸軍とのつながり− 習志野の歴史は、旧陸軍と深いつながりがあり、市内のあちこちにその跡を見ることができます。 習志野の森は旧第 2 騎兵旅団(16 連隊)や陸軍習志野学校があった場所で、戦後は千葉大学腐敗 研究所などを経て、現在は大規模な国家公務員住宅になっています。 公務員住宅の建設をめぐっては、当初5階建て住宅が敷地一杯に建ち、ほとんど森が消失する 内容に地域住民から反対が相次ぎ、住民署名やみどりの会の粘り強い活動などを経て高層8階建 てに設計を変更し、12,000 ㎡は市に譲渡して公園に、住宅敷地の一部 2000 ㎡も環境緑地として 公園と一体利用することで決着し、現在の森が残りました。 「習志野の森」の呼び名は、地域住民が愛着を込めてつけたもので、今ではすっかり市民権を 得ています。 豊かな生き物たち−自然体験に格好の条件− 習志野の森には、長く放置されてきたことが幸いし奇跡的に多くの自然が残されています。当会 の生き物調査では、植物 176 種、昆虫 136 種、くも 36 種、鳥類 22 種を数え、その後の多くの生き物 が発見されています。特に関東タンポポは、市内数箇所でしか見られない貴重なものです。 また、建物跡地などが独特の環境を形成し、森林(常緑、落葉)、原っぱ、石ころ広場など多様な 環境がコンパクトに収まっており、環境学習、自然体験にはもってこいの場所です。 現在の利用・管理は 市の財政事情の悪化から市への移管が進まず、現在も国有地(公務員住宅用地)のままです。そ のため、習志野の森に市民が入れるのは、みどりの会主催に年 4 回の開放日と毎月第2土曜日(森 の手入れ)のみです。 開放日には、桜の花見(4 月)、クワの実食べ放題(6 月)、夏休みの宿題探し(8 月)、森のお茶会 (11 月)などの恒例行事に多くの方が訪れ、それぞれのスタイルで森を楽しんでいます。 市の公園化は遅々として進みませんが、その間に毒ガス調査が行われ、森の安全性が確認され ました。また防犯意識の高まりから、国や市が除草、危険物の除去などに積極的に取り組むように なり、公園的な様相を見せ初めています。 習志野の森で遊ぼう−子供も大人も− 習志野の森には、子供たちが走り回る姿が一番似合います。木登りや虫取りが自由にできる空間 は都市部では貴重なもので、ぜひ次の世代に残したい景色です。もちろん大人にもとっても、たず ねる度に新しい発見のある楽しい場所です。 当面公園としての利用は難しくても、緑地として管理しながら、学校、子ども会などの団体利用、 地域行事への開放などは可能です。それらを実現するためにも、習志野の森を思い切り楽しんで ください。そして習志野の森のすばらしさを少しでも多くの皆さんに伝えてください。 (みどりの会) 木登り スズメバチの巣 虫取り 生け花体験
© Copyright 2024 Paperzz