ポートランド市の市民参加システム等について ②

ポートランド市の市民参加システム等について
ポートランド市のネイバーフッド団体の権限等
◎権限
「いかなる近隣団体も、市及びいかなる市の機関に対して、近隣の居住性に関わるいかなる案
件について、行動、政策又は包括的計画を勧告することができる。その案件には土地利用、ゾー
ニング、住宅、地域施設、人的資源、ソーシャル及びリクリエーション的行事、交通量と交通体
制、環境の質、オープンスペース、公園などを含むが、これらに限るものでない。」
(ポートラン
ド市条例(3.96.030B))
ポートランド市の特長的な市民の活動
◎ 自 転 車 交 通 ア ラ イ ア ン ス 」( B T A 、 Bicycle Transportation
Alliance)
交通の手段として自転車を復権させることを目的として、自転車
行事を主催するだけでなく、市や州に交通政策の転換をはたらきか
け、都市計画にも深く関与する。署名活動による市バスへの自転車
運搬ラック設置や、都市計画策定に参加して橋への自転車レーン設
置を実現するなど、数多くの実績を残している。
②
◎義務
会議は行政機関の会議と同様、厳しく公開が義務付けられ、何日以上前に会議開催の案内を出
さねばならなないなど細かいガイドラインを定められている。
(「ネイバーフッド、ディストリク
ト連合、ビジネス街連合の規格(2005 年 7 月 13 日)
◎シティーリペア(City Repair)
地域がネイバーフッド内で、芸術的・環境的・街づくり
的なプロジェクトをつくりだすのを支援する団体。NPO は、
どんなスキルが必要か、行政のどの部署に相談すればいい
かを住民にアドバイスし、必要に応じ外部の職人やボラン
ティアを紹介する。交差点をカラフルに染め上げ、連絡板
からリサイクル品交換、たい肥発酵施設などを設置して市
民空間化する活動などが行われている。
ネイバーフッド・ディストリクト連合事務所
1 位置づけ
各ネイバーフッドの連合組織である、ネイバーフッド・ディストリクト連合(非
営利の法人)の事務所。
職員配置
ポートランド市が資金を提供し、コーディネーター、防犯専門家、市民に情報や
資源について助言するサポートスタッフが配置されている。
→「市職員」がネイバーフッド・ディストリクト連合に雇用され、理事会の指揮
の下で、連合の業務を行っているイメージ。連合が雇用主であるが給与は市から支
払われ、積極的差別是正措置等公務員に法的に求められる要件は遵守される。
まちづくりセンター
位置づけ
札幌市の区の事務所。
1
異なる
2
3 業務
(1) 管理・運営(Administration and Management)
・補助金申請や会計簿記に関してネイバーフッド団体を手伝う。
・ONI や市の会計検査官に説明できるようにすべての会計記録を保管する。
・ネイバーフッド団体のファイルや記録を保管する。
・ディストリクト連合の職員やネイバーフッド団体に事務的な支援を行う。
・ブロックパーティーやその他の適切なネイバーフッドの行事に保証を与える。
(2) 対話(Communication)
・会議資料を印刷して配布する。通知を配布し、ニュースレターを刊行する。
・情報や参考資料を住民に提供する。
・市職員にネイバーフッドの問題について情報を伝える。
・ネイバーフッド団体と産業界の対話をしやすくする。
・ネイバーフッド団体に土地利用の変更や一部のネイバーフッドの住民に影響を
与える活動について知らせる。
・市職員や外部の人とネイバーフッド団体のつなぎ役として活動する。
・新しいネイバーフッドのリーダーに組織の歴史や、活動の継続を引き継ぐ。
(3) 事業・活動(Projects and Activities)
・ネイバーフッドの活動や事業を調整する。
・ボランティアを訓練する。
・ネイバーフッドの長期計画について手助けする。
・ネイバーフッド団体の新設や、活動が低調な団他を支援する。
・委員会や活動、事業を行う職員を派遣する。
・防犯その他のコミュニティー課題解決活動を手助けする。
◎ウォーターシェッド評議会(Watershed Council)
河川の流域ごとに 90 以上の組織がつくられている。N
POだが、州法で半ば公的な役割が与えられ、流域の水
系を総合的に保全する活動を行っている。オレゴン州の
特長は、1997 年に「シャケとウォーターシェッドのため
のオレゴン計画」を制定し、各地に自主的につくられる
NPOの評議会を州が公認し「カムバック・サーモン」
の課題を中心に流域環境保護に取り組む体制を確立した
ことである。
2
似て非
◆市職員という点では同様
だが、雇用主が連合であると
いう点で異なる。
直営まちセンと自主運営
まちセンの折衷のような形
態。
職員配置
市の課長職所長及び非常勤職員を配置。
自主運営まちセンについては、札幌市の委託料で地域のまちづくり協議
会が職員を雇用。
3
業務
(事務分掌)
・地区住民組織の振興及び住民組織のネットワーク化支援
・地区住民福祉活動の支援
・市民集会施設建設に係る相談及び要望等の集約
・戸籍及び住民記録業務等の取次ぎ
・地区に係る要望等の収集
・地区のまちづくりに関する施策等の企画及び推進に係る調整
・地域情報の交流及び市政情報の提供
具体的には・・・
(1) 「まちづくり協議会」の設立、運営支援
町内会、商店街、PTA、地域のボランティア団体などの多様な
活動主体が幅広く参加、連携・協働できる「まちづくり協議会」の設
類似
立、運営を支援。
(2) 地域課題に関する情報収集、提供
まちづくりに関する要望や課題などの収集、相談・調整。
(3)
地域における情報交流の促進
◆地域活動を支援するとい
まちづくりセンターにある「情報交流スペース」等を活用し、町内
う機能はほぼ同様であるが、
会をはじめとする住民の地域活動に有益な情報を提供。
団体自体の事務も本来業務
(4) 地域住民主体のまちづくり活動の支援
としている点では異なる。
地域の住民組織や自主活動団体の連絡調整や、資金、スペース、
情報面など活動しやすい環境づくりを実施。
(5) 諸証明の取り次ぎ
住民票や印鑑証明、戸籍証明の取り次ぎを実施。来所若しくは電
話で申し込む(戸籍のみ来所のみの受付)と翌日以降交付。
参考資料:コミュニティガバナンス(大内田鶴子 著)
、ポートランド市ホームページ、岡部一明教授ホームページ