宇宙惑星科学入門 第8回 「惑星形成論」

「宇宙惑星探査の新展開」
系外惑星がつくる
新しい惑星形成論
田中秀和 (低温科学研究所)
「新しい惑星形成論」 の内容
・ 惑星形成の概略
・ 惑星形成時間
・ 惑星形成論の課題
・ 研究最前線: 太陽系外惑星
天文学の新領域
「太陽系外惑星」
1995年 太陽系外の惑星発見 「灼熱巨大惑星」
現在までに 900個弱の系外惑星が発見 (地球型から巨大惑星まで)
ペガスス座51番星
系外惑星(地球質量の150倍)
太陽系(内惑星)
水星
0
金星
地球
火星
0.5
1
恒星からの距離(天文単位)
1.5
太陽系の巨大惑星
木星
土星
天王星
海王星
冥王星
惑星形成のシナリオ
(1)
• 星の誕生と星周円盤の形成
分子雲
… 100光年程度の大きさ、太陽質量の10万倍、低温(10K)
原始惑星系円盤の概念図
原始星
… 赤外線で光る星
Tタウリ星
… 恒星+星周円盤
(原始惑星系円盤)
寿命は1千万年程度
上から見た図
• 円盤の中での惑星形成
断面図
惑星形成のシナリオ
• 星の誕生と星周円盤の形成
• 円盤の中での惑星形成
1. 微惑星形成
ダストの沈殿 ⇒ 10kmの天体
2. 微惑星集積過程
原始惑星の形成
3. 巨大衝突 & ガス捕獲
(地球型惑星)
(木星型惑星)
(2)
惑星形成時間を見積る (1)
v
• 惑星成長率
S
断面積: S=πR2
(重力なしの場合)
dM
= ρ微惑星 S v
dt
半径 R
質量 M
微惑星の密度: ρ微惑星
• 惑星成長時間
T成長 = M
dM
dt
M
= ρ
微惑星 S v
惑星形成時間を見積る (2)
v
• 衝突断面積
v’
重力により増大
エネルギー保存の式:
1
m v’2
2
-
GMm
1
m v2
=
R
2
半径 R
質量 M
角運動量保存の式(面積速度一定の式):
m R v’ = m b v
S=
πb2
=
πR2
2GM
(1 +
)
R v2
脱出速度: (2GM / R)1/2
b
惑星形成時間を見積る (3)
• 惑星成長時間:
T成長
2GM -1
(1 + R v2 ) T周期
=
2
2πΣ微惑星R
M
v = 0.1 (2GM / R)1/2 (脱出速度)
vとした場合
= (2GM / R)1/2 (脱出速度) の場合
・地球:
T成長 = 1075年
・木星固体コア: T成長 = 1097年
9年
・海王星:
T成長 = 1011
年
木星型惑星に時間がかかり過ぎる
惑星形成理論の課題
• 惑星形成時間
< ガス円盤寿命(107年)
• 微惑星の形成
・ダスト落下が問題
・天文観測が必要
• 惑星落下問題
ガス円盤に波をたてて落下
惑星形成論の研究最前線
太陽系外惑星
1995年 太陽系外の惑星発見 「灼熱巨大惑星」
ペガスス座51番星
系外惑星(地球質量の150倍)
太陽系(内惑星)
水星
0
金星
地球
火星
0.5
1
恒星からの距離(天文単位)
1.5
太陽系の巨大惑星
木星
土星
天王星
海王星
冥王星
惑星形成論の研究最前線
「系外惑星」
HD222582
現在までに、900個近くの惑星が発見されている
・灼熱惑星
・楕円軌道の惑星
・太陽系に似た惑星
「地球サイズから木星サイズまで」
火星軌道
おおぐま座47番星
・地球のような大気や海をもつ惑星は?
「居住可能惑星」
・惑星形成の統一理論の構築
木星軌道
系外惑星の観測方法
・ドップラー効果法(517個)
恒星は惑星とともに運動 → 光の波長が
1千万分の1程度変化
ドップラー効果による光の変化
・トランジット法(308個)
恒星
惑星による「食」を観測
(惑星専用宇宙望遠鏡 ケプラー、Corot)
・直接撮像
星の明るさ
・重力レンズ法
速度
惑星
時間
時間(日)
系外惑星の観測方法 2
・重力(マイクロ)レンズ法(21個)
惑星重力で光が曲がり増光
・直接撮像(32個)
コロナグラフで恒星を消す
2008年ハッブル望遠鏡や
すばる望遠鏡で発見
惑星形成現場(ガス円盤)を探る
• すばる望遠鏡による円盤観測
• ALMA望遠鏡による高分解観測
• TPF 宇宙望遠鏡(Terrestrial Planet Finder)
による惑星大気観測 生命を見る!
惑星形成現場(ガス円盤)の観測
• すばる望遠鏡(ハワイ)によるガス円盤の観測
• ALMA望遠鏡(チリ)による高空間分解観測
• TPF 宇宙望遠鏡(Terrestrial Planet Finder)
による惑星大気観測: 生命が見える?
(NASAのHPより)