小売業における電子商取引(BtoC)

小売業における電子商取引(BtoC)
茨城県技術士会情報技術支援プロジェクト
電子商取引として、先月は製造業を中心に紹介した。今回は小売業でインターネットを
便ったオンライン販売や仮想モールを紹介する。
1.商品を購入するには
購入、まずはオンライン購入を体験してみる。ヤフーのオークションや楽天市場が有名で
あるが、消費者の立場から体験してみるとその長所が理解できる。
試しにパソコンを購入するとしよう。対象をノートパソコンにするとしてもメーカ別に
多いところでは数千台が出品されている。参加するためには、
(1)最初にパスワードを設定する。
(2)購入希望のカテゴリに入室する。
(3)希望商品を探し、応札する。
出品期間が終了すれば、応札の結果の連絡が来る。落札した場合は、
(4)出展者からの送金の案内が来る。
(5)送金が確認されれば、商品が届く。
(6)出品者、購入者の双方がお互いの評価をおこなう。
以上で取引は終了する。出展者や落札者の評価、販売された商品の評価はオークションに
参加の有無に関係なく、全ての参加者が閲覧できる。
ここは電子的なお店(仮想モール)であり、BtoC の形で情報を提供して商品を販売し
ているのである。
2.商品を出品するには
出品には、
(1)出品するものを設定する
写真を撮る、展示期間を決める
商品価格(希望販売価格かオークションか)を設定する
(2)出品手続きをする。
出品には、図 1 の標準パターンが準備されており、これに従って客観的な表現で、購入
希望者が注目するような商品の案内をする。
例えば、出展の終了は夜間に設定されることが多い。サラリーマンは退勤後に自宅から
応札するからである。また写真は掲載枚数が限定されるので、焦点の合った鮮明なものを
掲載する。性能や仕様は説明文を記載するが、製造メーカの商品紹介にリンクすると一層
充実する。
オンライン販売は、個人や専門店を問わず、商品の種類も多く、気軽に応札や出展がで
きる長所がある。以上は自社のホームページをもつことなく、商取引をおこなう方法であ
るが、ここには多数の個人や企業が参加している。
3.自社のホームページから販売
前述のオンライン販売を提供するヤフ一等の場合、商品案内に写真は 3 枚以内とか、出
展期間等が限定されている。商品に型式等の共通性があればよいが、そうでない場合は自
社で独自にホームページを作成し、販売する方法もある。
パソコンのオンライン販売の代表例を示す。複数の仕様入力欄があり、購入希望者は各々
の仕様を選択すると、仕様に見合う価格がすぐに提示される。購入者は予算と仕様を比較
しながら、個々に見合う仕様を設定し、購人の申し込みをする。
4.安全に取引するには
商取引で重要なことは、決済の方法である。オークションやオンライン販売の購入者に
は出展者からメールで支払方法の連絡が来るが、それに対し個々に振り込む方法、または
自己の口座からネットバンキングで振込等が選択できる。最近のセキュリティは技術的に
は高度になっているが、とかく善人は騙され易い。その為、仲介者に一定額を支払うこと
により、危険を回避する手段も用意されているが、リスク管理は必要である。
5.電子商取引の立上げ方と進め方
経営者の電子商取引に対する方向性が要求される。簡単なものは、前述のネットオーク
ションのようなものでよいが、本格的には自社固有のホームページを持ち、積極的に活用
したい。技術的な課題は専門家に対応させるとして、次のステップで進める。
(1)目的、ターゲットを明確にする。
販売手段、対象者の特定選定など。
(2)企画書を作成し、全体を俯瞰する。
販売品の選定。サーバは札内設置かホスティングか。管理体制など。
(3)見積や製作外注先の選定をする。
(4)運用体制と担当者の業務を設定する。
スタート時/定常時の体制。販売地域が全国に広がる 24 時間体制。無店舗販売体
制への対応、セキュリティの確保など。
(5)検索エンジンヘの登録と PR をする。
基本的に、ネットで小売業を営む取引のコツは、現実の商店と変わりがないが特に
(1)直接販売で得られる利益は購入者の利益になるように反映させる。
(2)輸送コストを最少にする。
(3)問合わせには迅速、丁寧な対応をする。
これらのことがリピート客を増加させる。
経営者はオンライン販売を始めるに際し、人まかせにせず方針を策定しなければならな
い。
技術的なことはコンサルタントや専門技術者と相談すればよい。要は取組むに際し長期
的な視点から判断して欲しい。
(社)日本技術士会茨城県技術士会
情報技術支援プロジェクト
頗羅墮(はらだ) 彰
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