校長室だより

校長室だより
第
4
号
平成 23年 9月 1日
タカサゴユリ(高砂百合)の花
夏休みが始まる頃に、我が家の玄関入口に 1 本だけユリの茎のようなものが伸びているのに気づ
いた。しばらくすると、テッポウユリに似た白い花が3つ咲いた。葉や茎は細く、日当たりの良く
ない玄関口を証明するかのように、栄養の足りなさそうな小ぶりの花だった。もともと庭とはとて
も言えないような玄関スペースに雑草こそどんどん生えてくるのだが、夏場は涸れた地面で細葉の
アオキとトゲの痛いヒイラギが育っているだけの場所である。そこに、弱々しいけれど背丈を伸ば
して自分をアピールしているように咲くこのユリの花が、なぜか気になった。
ユリといえば、清楚で愛らしいササユリや華やかなカサブランカなど、多くの種類があることは
知っているが、どれも人の心に優しく映る存在感のある花である。気にかけていると、我が家で発
見したユリと同種のユリを、夏休みの間にあちらこちらで見かけるようになった。静かな校庭の土
手や通勤途中の道端、人気のない町の公園の隅など、さら地や荒れ地に突然現れ、たくましく自生
するタカサゴユリという花らしい。元々は台湾(タイワン)の植物だが、種子が風に乗って各地に
広がり全国に分布しているということが分かった。花壇で毎日水やりをして育てた花も美しいが、
地面から水分を取り込み、もの静かに咲く花にはたくましさを感じる。
ところで、8月19日の全校出校日に子どもたちに次のような質問をし
てみた。
「夏休みだからこそできることを、何か実行できたかな?」
休みも半ばを過ぎていたのだが、全校で15名ほどしか手があがらず少し
驚いた。突然、尋ねられて答えられなかったのかもしれないが、きっと、
恵田っ子全員が、夏休みならではの体験をその子なりに実行することがで
きたと思う。ひと回り成長した子どもたちの体験話を聞くのが、とても楽
しみである。東北地方の大震災後、『家族の絆』を強く意識するようになっ
た家庭が多いと聞く。しかし何も、家族で特別なことをすることをいって
いるのではない。
宇宙飛行士の山崎直子さんは、第2子の出産を前に、こんなメッセージを出されている。「私の
親は、子どもが好きなことに夢中になることを、陰から支え、励ましてくれた。私も、子どもが
好きなことに夢中になることを、応援してあげられる親になれたらいいなと思っている。」
2学期が始まった。また学校が子どもたちの活気で、溢れかえる。校庭や道路のあちらこちらに
咲いたタカサゴユリの花もいつしか、姿を消しつつある。何だか、夏休みの間、思い思いの場所で
自分の好きなことに夢中になり、のびのびと力いっぱい過ごした子どもたちの姿と重なり、長い休
みが終わった寂しさのようなものを感じているが、いよいよ実りの秋、読書の秋、・・・充実の秋
の到来である。夏休み中に家庭で充電されたエネルギーを、子どもたちは2学期の学習や生活に発
揮してくれることだろう。
正門前にある校訓『自立』の石碑が、きれいなマリーゴールドやハイビスカスの花壇に囲まれて
いる。あのタカサゴユリのように、たくましく自立していく恵田っ子をみんなで支え、励まして、
大きく育ってくれることを楽しみにしている。
(ウラへ)
<保護者の皆様へのお願い>
本校では、昨年に引き続き、子どもたちの学習習慣(学校と家庭)の確立をめざして研究実践を
行っています。各学年とも担任から、国語や算数の学習状況、また昨年から実施している英語タイ
ム(英語ビデオ視聴)について、子どもたちの家庭での様子や励ましの言葉などを、コメントシー
トに書いていただくようご依頼をします。
今学期から、このコメントシートの依頼を継続的に行っていく予定です。ご面倒かと思いますが、
是非とも、子どもたちの学びを高めるためにご協力をお願いいたします。
恵田小学校校長
山
本
知
子