連邦参議院 Bundesrat

エヌオンライン ドイツ法シリーズ
Dec. 2008
連邦参議院 Bundesrat
連邦参議院 HP から、エヌオンライン和訳
構造と課題 Struktur und Aufgaben
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_9540/DE/struktur/struktur-node.html?__nnn=true
連邦参議院はドイツ連邦共和国の 5 つの常設国家機関の一つであり、連邦大統領、連邦議会、連邦政府、連
邦憲法裁判所とともに、各州の代表である連邦参議院は連邦の機関である。
各州=ラントは連邦参議院によって連邦の意思決定に参加し、それによって連邦の政治に影響を与える。他方
では、連邦は参議院によって州の政治・行政経験を連邦のために利用し、法令、一般行政規則によって(直接
的に)、また間接的には欧州連合の規定によって、州の領域に影響を及ぼす。
したがって、連邦参議院は州の連邦領域であり、しかし同時にまた連邦の州領域である。連邦と州の管轄の密
接な関係には ―これは例えば米国の場合よりはるかに密接である― そのような「仲介者機能」が特に必要
である。
連邦参議院には守るべき州の利害と同時に考慮すべき国家全体の要求がある。参議院で決定を行う者は「連
邦の利害」を「州の利害」抜きに判断することなく、「州の利害」を「連邦の利害」抜きに判断することのない者で
ある。各州政府が形成する連邦機関、連邦参議院によって連邦法もまた国全体の政治的行動と行動阻止
(Unterlassen)に密接に関わる。連邦州は単に「命令を受けるもの」ではなく、決定にも加わる。
連邦参議院の組織 Organisation des Bundesrats
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_8328/DE/struktur/organisation/organisation-node.html?__nnn=true
連邦参議院の本会議が Plenum と呼ばれ、州政府の構成員から成る。議長は毎年州首相の中から選出され
る。
Präsident und Präsidium
議長と議長団
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_9540/DE/struktur/organisation/praesident/praesident-node.html?__nnn
=true
毎年 11 月 1 日に連邦大統領府において一人の州首相が選ばれる。参議院議長の任務はあまり政治的なもの
ではなく、基本的には本会議の召集、そこで議長を務めること、連邦大統領の代理である。
選出
連邦参議院議長の選出は州の人口によって順番がきまり、この輪番は一番人口の多い州首相から始まる。
1950 年ケーニヒシュタイン/タウヌスで大臣たちが合意してそのように決まった。この規則には、議長職が変動
する議会多数派の関係や政党支配を考慮しなくてよいという利点がある。
Aufgaben 任務
参議院議長の主要任務は参議院の本会議召集と、そこで議長を務めることである。議長は参議院に関わるす
べての問題において法律上ドイツ国を代表する。参議院議長を 2 人の副議長が補佐し、議長の任務遂行にあ
たって助言し、支障のある場合に議長を代理する。
憲法はさらに、参議院議長に特別な任務を課している。「連邦大統領に故障があるとき、または任期満了前に
欠けたときには、連邦参議院議長が連邦大統領の権限を行使する」(憲法 57 条)。
連邦参議院議長はこの代理人としての役割のために、外交儀礼上(表向き)連邦大統領に次ぐ「ナンバー2」と
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みなされる。しかしドイツにおいてこの位置が拘束力をもって固定されることはなく、しばしば、連邦参議院、連
邦議会、連邦政府、連邦憲法裁判所といった国家機関の最高代表者が入れ替わりに、間違いなく国の最高代
表者である連邦大統領に次ぐ外交儀礼上の位置を占める。
Präsidium 議長団
連邦参議院議長は 2 名の副議長とともに議長団を形成する。議長団の任務には例えば、毎年の参議院予算案
の作成、院内の重要問題に関する決定などがある。
本会議
Die Vollversammlung ‒ das Plenum
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78842/DE/struktur/organisation/plenum/plenum-node.html?__nnn=true
連邦参議院は「州政府の国会」である。州政府で表決権を有する者だけが連邦参議院議員となることができる。
個々の州の野党は参議院で直接の質疑応答ができない。
構成 Zusammensetzung
全 69 名の連邦参議院議員は同時に州政府の構成員でもある。州政府の誰が参議院に送られるかは州政府
自らが決める。
各州は参議院での表決権数に応じた人数の参議院議員を指名することができる。州政府の残りの構成員は参
議院の代理議員として任命される。同一の権利を認めているので、指名された約 170 名全員が実際には同じ
権限を有する。
表決権の配分 Stimmenverteilung
参議院全体で 69 名の正規議員を擁し、したがって表決権数も 69 である。通例議決に必要な絶対多数は 35 票、
時折必要とされる 3 分の 2 多数は 46 票である。
州によって表決権数が異なる。これは人口数に基づくものとはいえ、決定的なものではない。連邦州自体が
「数える」のである。このように参議院は連邦主義的代表機関と民主主義的代表機関の中間物になっている。
憲法はしかし、いかなる場合でも、大きな州が残りの州を上回ることを避ける。だが間違いなく、小さな州が別
の州を表決権数で凌ぐことも決してない。
永久機関としての参議院 Der Bundesrat als ewiges Organ
「参議院」選挙というものはなく、それゆえ参議院には被選任期がない。憲法上参議院は「永久機関」であり、州
議会選挙に基づき、時折新しくなる。州議会選挙はそれによってつねに連邦政治における意義も有している。
すでに 50 年代に「ヘッセン州でのあなたの選択がボンの連邦参議院の一部に数えられます」と言われた。選挙
民はまず州議会の構成について、そして州政府について決めるのであるが、それと同時に間接的には、誰が
連邦参議院で表決権を得るかが決まる。つまり、州議会の多数派が州政府を決め、自分たちで州政府の中か
ら連邦参議院議員を指名するのである。
参議院はまた、その構成が選挙によって、国民の意思によって決まるので、民主的であるとも認められる。参
議院が行使する国家権力は国民から出たものだからである。
欧州部会 Europakammer
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78414/DE/struktur/organisation/europakammer/europakammer-node.h
tml?__nnn=true
参議院は独自の欧州部会をもつ。欧州連合関連の問題で迅速な対応を要する場合に、欧州部会は参議院本
会議に代わって決議を行うことができる。
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任務 Aufgaben
対外的に法律上の効力を発揮する参議院の決議は基本的に年 12 回まで公開で開かれる本会議によらなけれ
ばならない。
この会議の周期は欧州連合の法令制定計画の審議に効果的に加わる上で通常は十分である。例外的な場合
にはしかし、参議院のより迅速な対応が必要である。このような場合と極秘に審議すべきテーマを扱う場合に
は欧州部会が設けられ、そこでの審議は参議院本会議の審議とみなされる。
旧欧州共同体部会 Vorgängerin EG-Kammer
欧州部会は 1993 年の欧州連合創設後この名称を与えられた。すでに 1988 年参議院規則の改正により、欧州
共同体の計画に対する国内の意思決定過程の範囲内で新たに参議院のものとなった任務に適しうるよう設け
られていた以前の欧州共同体部会とは異なり、欧州部会は憲法(52 条 3a 項)で保証されている。
構成員と投票方法 Mitglieder und Abstimmungsverfahren
各州は欧州部会に参議院議員 1 名または代理議員 1 名を送る。欧州部会は基本的に(極秘の場合を除いて)
公開で審議する。審議には連邦政府の閣僚と受任者?(Beauftragte)および州政府の受任者が出席する。
欧州部会での州の表決権数は参議院本会議でのそれに対応する。州の表決権は統一的にのみ行使され、欠
席者によってのみ失う。投票権があるのは、そのつどの州の欧州部会の議員と代理議員である。部会構成員
の投票は、議長が口頭での審議を不要とみなした場合には、アンケート文書でも行うことができる。
欧州部会の権限が与えられている場合、着想がある、または審議の極秘を守るべきであると言う理由で、大統
領は部会に当該の審議テーマを与える。彼の代理で参議院議長はまた部会議長と協力して欧州連合問題の
ために部会にそのような任務を与える。欧州部会の招集期間は 1 週間である。これはしかし審議の緊急性によ
り短くなることがある。
委員会 Die Ausschüsse
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_451836/DE/struktur/organisation/ausschuesse/ausschuesse-node.html
?__nnn=true
構成と作業方法 Zusammensetzung und Arbeitsweise
議会活動の中心は委員会での作業である。どの議案も、それが連邦政府、連邦議会または州のいずれから
出たかにかかわらず、通例まず委員会で審議される。専門分野に通じた州大臣またはその依頼で働く州省の
職員がその議案を徹底的に吟味する。
構成 Zusammensetzung
各州は各委員会に 1 名の代議員を送り、そこで 1 票の表決権をもつ。参議院には 16 の委員会がある。役割分
担は基本的に連邦大臣の管轄分担領域に対応する。このように連邦政府の専門知識に参議院または州の専
門知識が直接対峙している。
外交委員会および防衛委員会では、州は通例、州首相が代表を務める。それゆえこれらの委員会は「政治的
委員会」と呼べる。
これに対して、例えば経済委員会や財政委員会のような専門委員会に州は所轄大臣を送る。すべての委員会
構成員は専門知識のある省職員を代理人として立てることができる。特に専門委員会では代理人が使われる
ことが多い。しかもかなりの委員会がほとんど、常時「役人キャスト」で開かれている。代理人たちは会議中交
代することができ、それで個々の議題ごとに州のふさわしい専門家を出席させる。例えば、土壌・自然保護・原
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子炉安全委員会には土壌保護、ごみ処理、環境汚染防止などの専門家をというように。
作業方法 Arbeitsweise
決して政治的ではないこれらの委員会では、現場のきわめて精密な作業ほどに華々しい事柄は問題とならな
い。ここでは法案が最後の詳細まで審議される。州はここで連邦の立法と欧州連合の法規を一緒に作り上げ、
チェックし、修正することができる。参議院委員会への良い評価は委員会に結集した専門知識と、州政府が法
執行にあたって市民との近さ、業務との近さを通じて不断に集める経験に根ざしている。
委員会では連邦と州の絶えざる対話が一部行われている。連邦首相と連邦大臣には、本会議と同様、委員会
に出席する権利が〈および連邦参議院の請求に対する義務も〉ある。だから彼らはいつでも出席しなければな
らない。審議では連邦政府の代理人つまり連邦省職員も出席することができる。参議院の委員会では連邦政
府と州政府のそのつどの専門家が向い合って座る。オープンで遠慮のない発言には配慮が必要であり、秘密
事項も話し合われるので、委員会の会議は公開されない。
連邦参議院議員 Die Mitglieder des Bundesrates
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78446/DE/struktur/organisation/mitglieder/mitglieder-node.html?__nnn=
true
連邦参議院議員になれるのは州首相、州大臣およびベルリン・ブレーメン・ハンブルク都市州の市長ならびに
都市州政府大臣だけである。事務次官が州内閣で表決権をもつ場合には、そのような事務次官は参議院にも
属することができる。
二重の役割 Doppelfunktion
参議院の全議員が二重の役割を引き受ける。彼らは州の公務と同時に連邦の公務を果たす。州の政治家で
あり、かつ連邦の政治家である。参議院議員はしたがって広範な政治責任を負っている。彼らは州の政治活動
において連邦政治の影響を無視してはならず、州省で直接連邦政治の結果を感知する。
統一的表決権 Eihheitliche Stimmenabgabe
参議院では州の利益に重きを置くので、各州は表決権を統一的に行使する。個々の議員はそれゆえ自由では
ない。参議院議員の職は「自由委任」(freies Mandat)ではない。参議院議員は一貫した、統一的な、内閣共通
に作られた基本線に沿って行動し、それによって州を代表する。
議員資格の開始と終了 Beginn und Ende der Mitgliedschaft
参議院議員資格は州政府の決定に基づく。州政府を退職するとき、または州政府が解任するとき、議員資格
は終了となる。
Mitgliederlisten
議員名簿 (省略)
常設審議会 Der Ständige Beirat/ 連邦における州の全権代表 die Bevollmächtigten der Länder beim Bund
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78422/DE/struktur/organisation/staendiger-beirat/staendiger-beirat-n
ode.html?__nnn=true
連邦参議院議長団には 16 名の連邦における州の代表からなる常設審議会がある。他の国会の長老会議の
ようにこの委員会は参議院議長と議長団のために助言を行う。
連邦参議院と連邦政府の連絡機関 Verbindungsorgan zwischen Bundesrat und Bundesregierung
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常設審議会はさらに、重要な情報・調整任務を負わなければならず、特に参議院と連邦政府との結びつきを維
持することに努める。
常設審議会は週一度定期的に開かれる。それはたいてい連邦政府の閣議後ほとんど時間を置かずに開会さ
れる。連邦政府の代表者 1 名がこの審議会に出席し、連邦政府の審議と決定について報告する。他方、その
代表者を通じて連邦政府は立法問題に対する参議院の意見を早く知り、連邦政府自らの目標と意見のために
働きかけることができる。
連邦における州の代表部 Die Vertretungen der Länder beim Bund
各州はベルリンに連邦における代表部を設ける。その任務には州利益の代表一般、および連邦の立法の観察
とそれへの働きかけ、他の州政府、外国の大使館や団体への接触促進などが含まれる。州代表はさらに展示
会その他の文化行事を通して州のショーウインドーの役割を果たす。
全権代表 Die Bevollmächtigten
州代表部の長に立つのは連邦における州の全権代表である。全権代表は通例州の大臣または次官のポスト
にある者で、いわば州の大使である。
連邦参議院の任務 Aufgaben des Bundesrates
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_9544/DE/struktur/aufgaben/aufgaben-node.html?__nnn=true
憲法は第 50 条で連邦参議院の主要任務を次のように規定している。
「諸州は連邦参議院を通じて連邦の立法および行政ならびに欧州連合の事務に関与する。」
連邦の立法への.関与 Mitwirkung an der Gesetzgebung des Bundes
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_9542/DE/struktur/aufgaben/gesetzgebung/gesetzgebung-node.html?__n
nn=true
特に重要なのは立法手続への参議院の関与である。参議院が関わることなしに一つの連邦法も成立しない。
しかも、多くの法令は参議院が明示的に同意する場合にのみ効力を発する。
法案提出権と決議 Gesetzesinitiativen und Entschließungen
連邦参議院は連邦議会、連邦政府とならんで立法において法案権を有する。参議院が議決した法案はまず連
邦政府に送られる。連邦政府はそれに対して 6 週間以内に(特別の場合には 3 週間または 9 週間以内に)態
度表明を行う。その後、法案はさらに連邦議会に送られる。
法案権の政治的補足として議会向け決議のやり方がますます講じられている。これは一般に、問題への注意
を喚起する、または問題に対する参議院の見解を表明するために連邦政府に向けた要求と解される。
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第 1 ラウンド : 態度表明 Erster Durchgang : Stellungnahme
連邦政府の法案に関して参議院はいわゆる第 1 ラウンドにおいて連邦議会の前に意見を述べる権利をもつ。6
週間(特別な場合には 3 週間または 9 週間)以内に法案に対して態度を表明する。
連邦政府は参議院の意見に対してさらに自らの所見を説明する。法案はそれから参議院の所見(賛否の態度
表明、反対意見およびそれに対する連邦政府の所見)を付して連邦議会に送られる。
Zweiter Durchgang : Einspruch oder Zustimmung 第 2 ラウンド : 異議または同意
連邦議会が可決した場合、法案は(再び)参議院に送られる。このいわゆる第 2 ラウンドでは参議院の行為の可
能性は、法律成立に参議院の同意が必要かどうかによる。同意を要する法案に関して参議院には 3 つの選択
肢がある。法案に同意するか、同意を拒否するか、または調整委員会の招集を要求するかである。
同意を必要とせず、異議のある法案の場合、参議院はまず調整委員会を招集するかどうかを決めなければな
らない。参議院が法案に対して異議を提出しないうちに調整手続を終えなければならないからである。
欧州問題での協力 Mitwirkung in Europäischen Angelegenheiten
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78898/DE/struktur/aufgaben/mitwirkung-eu/mitwirkung-eu-node.html?
__nnn=true
進行する欧州統合とともに連邦参議院の欧州連合問題での協力は意義を増す。参議院の権利はすべての EU
法案に対する意見表明の可能性、州の利害に関わる可能性についての広範な情報請求から、評議会への代
表派遣にまで及ぶ。
憲法第 23 条 2 項は「欧州連合の事務については連邦議会および連邦参議院を通じて州が協力する」と規定し
ている。この協力は外交問題への立法機関の一般的関与を超えて、この過程において特に連邦参議院に積
極的な役割を負わせるものである。
一方で、欧州連合への国家主権の移譲により、連邦議会と連邦参議院が経験する国内での権限喪失はそれ
によって相殺されるべきである。他方では、欧州統合問題はもはや従来のような外交問題として扱うことはでき
ず、それはむしろ国内の権利と内政の構成要素なのである。
欧州連合の事項に関する連邦と州の協力については以下の法令に規定されている。
・ ドイツ憲法 第 23 条 2、4-7 項
・ EU 事務における連邦と州の協力に関する法律(EUZBLG)
・ EUZBLG 法施行上の EU 事務における連邦と州の協力に関する連邦政府と州政府の協定
連邦政府の報告義務 Unterrichtungspflicht der Bundesregierung
初めに連邦政府の包括的で早期の報告義務がある。この報告とは州の関心をひくあらゆる計画であり、欧州
連合およびドイツの常駐代表部の文書・報告書・通知、また連邦政府の欧州連合諸機関に対する発議と意見
表明に関する文書や情報を含む。
参議院には年に約 18000 件のそのような文書が入ってくる。そのうち 900 件のみがいわゆる審議可能と見込ま
れる。そのうちさらに約 160 件が連邦参議院の委員会と本会議で審議される。
国内の意思形成への参議院の関与 Beteiligung des Bundesrates an der innerstaatlichen Willensbildung
純粋な報告のほかに、参議院は、州の利害が関わる限りにおいて、ドイツが交渉する立場の確立にも積極的
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に関与しなければならない。ただし、参議院が国内的措置に協力した場合か、州が国内的に権限を有する場
合に限る。
参議院は連邦の立法に広く協力するので、欧州問題への関与も欠かすことがない。参議院の態度表明は対応
する連邦の国内規則があるか、州に権限があるかによって重要性が異なる。
連邦の専権事項に関する場合であっても、州の利害が関わるときには、連邦政府は意思形成における参議院
の見解を考慮する。このことはつまり、そのような見解が参議院の述べた論拠と根本的に取り組んだ結果であ
ることに他ならない。
州の立法権限、州の官庁設立、またはその行政手続が中心的問題となっているときは、参議院の見解は決定
的に尊重されなければならない。これは、そうした見解が連邦の意思形成において決定的なものであることは
疑わしいからである。
対外代表への参議院の関与 Beteiligung des Bundesrates an der Vertretung nach außen
議会または委員会の審議を主導するのは連邦政府である。連邦政府は要求に応じて州の代表者を審議に加
える。ただし、連邦参議院がしかるべき国内措置に協力する場合、州が国内的に権限を有する場合、もしくは
州の利害に関わる場合に限る。学校教育、文化または放送分野における州の専属的立法権限が中心的問題
となるような場合、審議の主導権は連邦参議院が指名した州の代表者に移譲される。
連邦行政への関与 Mitwirkung an der Verwaltung des Bundes
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78906/DE/struktur/aufgaben/verwaltung/verwaltung-node.html?__nnn=t
rue
参議院の連邦行政への参加は基本的に、特定の命令および行政規則に同意を与えなければならないことに
ある。
命令 Rechtsverordnung
例えば道路交通令のような命令は、一般に法律の執行に結びついた法であり、連邦政府または個々の連邦省
によって公布される。たいていは、それには連邦参議院の同意が必要とされる。つまり、参議院も同じく命令の
内容決定に参加する権利がある。
実際上、同意は一定の変更に従ってしか与えられないことが多い。命令は参議院によって要求された変更が
行われる場合にのみ効力を発する。調整委員会を招集することはできない。
参議院にはさらに命令に関して独自の動議権(Antragsrecht)がある。参議院は、参議院の同意が必要となる、
命令公布のための議案を連邦政府に提出することができる。
一般行政規則 Allgemeine Verwaltungsvorschriften
命令と同様に、多くの一般行政規則はそれが州の権限に関係する場合、例えば州が連邦法を州自身の事項と
して、または委任事項として執行する場合には、参議院の同意を必要とする。参議院の同意を得て、例えば道
路交通違反「戒告金一覧表」や運転免許停止「ポイント一覧表」が公布される。
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その他の任務 Weitere Aufgaben
http://www.bundesrat.de/cln_090/nn_78914/DE/struktur/aufgaben/weitere-aufgaben/weitere-aufgaben-nod
e.html?__nnn=true
連邦の立法や行政への参加のほかに連邦参議院は対外的・国内的危機的状況の場合の特別な参加権を有
する。さらにいくつかの任命権と指名権を負わなければならない。
裁判官選出、任命権、指名権 Richterwahl, Ernennungs- und Nominierungsrechte
参議院の任務には連邦憲法裁判所の裁判権の半数の選出が含まれる。さらに多くの場合、公務員職、監査役
会、諮問委員会、専門委員会その他の委員会への参加権が認められている。
連邦検事総長および連邦検事の任命は連邦参議院の同意なしには行われない。指名権はしかしまた財政計
画委員会、「ドイチェ・ヴェレ」〈国際放送〉と国内ラジオ放送のラジオ委員会、遠距離通信と郵便の規制諮問委
員会にも関わる。
非常事態における連邦参議院の役割 Rolle des Bundesrates im Ausnahmezustand
連邦法は危機の場合の施設と対処法についても規定している。そのさい参議院に特別な意味がある。
内的緊急事態−自然災害または州の存立もしくは自由で民主的な基本秩序に差し迫った危険―の場合、参議
院は特に管理権と防衛権をもつ。参議院はもはやその必要がないと考えたとき、連邦政府による軍隊または
警察の投入を終了することを要求できる。
外的緊急事態の場合に、参議院の同意があるとき、防衛事態を確認することができる。そのさい拡大された連
邦の立法権限ゆえに参議院の参加権も増強され、参議院は防衛事態の終了に関して決議することを連邦議
会に要求することができ、連邦議会と協力して防衛事態の終了を宣言できる。
連邦議会が防衛事態においてもはや議決を行えない、または適時に行えない場合のために、連邦議会と連邦
参議院の代わりに行動する委員会、合同委員会がすでに平時に設けられている。
この委員会の構成員全 48 名のうち 16 名が参議院に所属する。
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