2015年2月期 決算説明会【要旨】

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柿安本店
赤塚
保正
(アカツカ
ヤスマサ)
株式会社柿安本店社長
惣菜事業の新ブランド「KAKIYASU DINING +A」を出店
◆売上高・当期純利益で過去最高を更新
2015 年 2 月期の連結売上高は 434 億 73 百万円(前期比 102.2%)となった。2014 年 4 月 9 日に開示した予想
に対しては 97.2%となっており、要因としては、既存店売上高が想定の 101.76%を下回る 100.11%となったことで
ある。また、新規出店が計画の 46 店舗に対して 32 店舗の実績となり、売上未達の要因となった。営業利益は 25
億 18 百万円(同 116.4%)、経常利益は 25 億 58 百万円(同 116.2%)となっており、予想比では営業利益が 94.3%、
経常利益が 95.2%となった。税金等調整前当期純利益は 23 億 16 百万円(同 111.2%)であった。当期純利益は
13 億 12 百万円(同 115%)となり、予想比では 89.1%となった。
売上高については、閉店・改装等による減収があったものの、新店および準既存店(前期オープンの新店)で 20
億 33 百万円の増収、既存店で 34 百万円の増収となっている。経常利益については、準既存店のフル稼働による
増益が 2 億 86 百万円となったほか、工場の生産拡大なども寄与した。特別損失については、当初、10 百万円を
想定していたが、実績は 2 億 42 百万円となっており、店舗の閉鎖・改装・減損による。
直近 4 期の業績推移を見ると、過去最高業績を上げた 2013 年 2 月期と比較して、前期は微減収・減益となった
が、当期は売上高および当期純利益で最高業績を更新した。2016 年 2 月期についても、増収増益を見込んでい
る。
当期の既存店売上高について、3 月は消費税増税前の駆け込み需要で前年比プラスでスタートし、増税後の 4
月はマイナスとなった。5 月に TV 放映などがあったことを含め、上期合計では前期比 101.27%と順調であったが、
個人消費の回復の遅れなどから、下期は 98.81%となり、通期では 100.11%にとどまった。セグメント別では、惣菜
事業が 101.37%、和菓子事業が 100.77%となったが、精肉事業は 99.35%、レストラン事業は 98.96%となった。
◆和菓子事業で 21 店舗の出店を計画
精肉事業については、売上高 151 億 28 百万円(前期比 99.8%)、セグメント利益が 14 億 27 百万円(同 102.6%)
となり、セグメント利益率は 9.44%(同 0.26%増)となった。惣菜事業は、売上高 124 億 60 百万円(同 100%)、セグ
メント利益が 10 億 99 百万円(同 99.7%)となり、セグメント利益率は 8.82%(同 0.03%減)となった。和菓子事業に
ついては、売上高 65 億 62 百万円(同 125.4%)、セグメント利益が 4 億 69 百万円(同 206.9%)となり、セグメント
利益率は 7.15%(同 2.81%増)となった。レストラン事業は、売上高 58 億 2 百万円(同 95.1%)、セグメント利益が 3
億 40 百万円(同 106.5%)となり、セグメント利益率は 5.86%(同 0.62%増)となった。食品事業については、売上高
が 35 億 19 百万円(同 98.5%)、セグメント利益が 4 億 22 百万円(同 121.2%)となり、セグメント利益率は 12%(同
2.24%増)となった。
新規出店は 32 店舗、退店は 16 店舗、改装は 21 店舗となり、期末の店舗数は 338 店舗となった。和菓子事業
では、当初、42 店舗の出店を計画していたが、消費税増税後の消費低迷が長期化した影響で量販店やショッピン
グセンターの新規・改装案件が減少し、優良物件に絞って出店した結果、実績は 29 店舗となっている。期末の店
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舗数は 166 店舗となっており、新たに山形、福島、長野、和歌山、熊本、大分に出店した。
設備投資については、新規出店・改装の計画変更もあり、総額で 9 億 65 百万円(計画比 5 億 69 百万円減)と
なった。内訳は、新規出店が 3 億 19 百万円、改装・美装が 2 億 60 百万円、その他(工場、本部、システム)が 3
億 85 百万円となっている。
2016 年 2 月期の連結売上高は 440 億円(前期比 101.2%)、営業利益は 25 億 80 百万円(同 102.4%)、経常利
益は 25 億 70 百万円(同 100.5%)、当期純利益は 14 億 20 百万円(同 108.2%)を計画している。特別損失の見込
み額は 70 百万円となっており、店舗の閉鎖、設備の入れ替えなどによる。
既存店売上高は、上期で 99.5%、下期で 100.4%、通期で 100%を想定している。精肉事業では、上期、下期、
通期ともに前年比 100%を見込んでいる。惣菜事業では、上期 99.2%、下期 101.3%を予想しており、通期では
100.3%となる見込みである。和菓子事業では、上期 101.1%、下期 100.6%を予想しており、通期では 100.9%とな
る見込みである。レストラン事業では、上期 97.2%、下期 99%を予想しており、通期では 98.1%となる見込みであ
る。
新規出店は 26 店舗を計画しており、このうち 21 店舗は和菓子事業である。退店は 9 店舗、改装は 7 店舗を予
定しており、期末の店舗数は 355 店舗となる見込みである。設備投資は 13 億 13 百万円を計画しており、内訳は、
新規出店が 6 億 25 百万円、改装・美装が 1 億 68 百万円、その他が 5 億 19 百万円となっている。減価償却費は
7 億 23 百万円を見込んでいる。
◆1,000 円のリーズナブルな弁当を開発
当期は、和菓子事業が大幅な増収増益となった。惣菜事業と和菓子事業は、商品開発を怠ると、即座に売上に
影響する。特に和菓子については、目新しさを出すことが難しく、他社と差別化を図るためのハードルが高いが、
積極的に取り組んだ結果、顧客ニーズに合った商品を開発することができた。精肉事業については、食材の高騰
により、業界全体で利益確保が難しい状況にあるが、さまざまな工夫によって増益を達成している。売上面では、
日頃の積み重ねが活性化につながると考えているため、今後は 100 グラム 300~400 円の小間切れ、ハンバーグ
など、日販品の内容・価格を見直していきたい。惣菜事業については、ここ数年、若干のダウントレンドとなってい
るため、鮮度感のある商品づくりによって、強化を図っていく。
2016 年 2 月期は、惣菜事業の強化、精肉事業の活性化、和菓子事業の更なる進化、柿安ブランドの強化、次の
成長への地盤固めに取り組む。惣菜事業は、スタートして 15 年が経過し、売上高全体の約 28%を占める第 2 の
柱となったが、さまざまな点で目新しさが少なくなってきたため、4 月 27 日、ルミネ立川店で新たなコンセプトのブラ
ンド「KAKIYASU DINING +A」を立ち上げる。これまでの「KAKIYASU DINING」に、「ASIAN(アジアン)」、「ADVANCE
(進化)」、「ACCORD(調和)」という 3 つの「A」を加えたブランドであり、「KAKIYASU DINING」(洋惣菜)および「上海
DELI」(中華惣菜)の人気商品とアジア料理を融合させた商品を展開する。一例として、「海老とイカのアジアンサラ
ダ」は、「KAKIYASU DINING」の看板商品である「大海老のマヨネーズソース」を中華食材のイカと組み合わせたス
パイシーなサラダとなっている。
弁当の新商品としては、「黒毛和牛・すき焼重」の試験販売を行っている。当社の惣菜店は、他社と比較して弁
当の売上比率が高い。特に 1,300 円の「牛めし」が売上の多くを占めているが、地方の百貨店では、価格の高い商
品が売れなくなってきているため、1,000 円のリーズナブルな弁当を開発した。出足は好調となっており、1 週間ほ
ど試験販売を行った後、4 月 27 日より、ルミネ立川店で先行販売を開始する。また、5 月 1 日からは、「牛めし」と
の併売を含め、本格的に展開する予定である。
◆和菓子事業で夏商品を強化
精肉事業では、新商品よりも「親しみ」が重要となる。新規出店後、徐々に売上が増加するケースが多く、顧客
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に親しんでもらうまでには、1~2 年の時間を要するが、現在、売上全体の約 35%、利益の半分近くを占めている
部門であり、日頃の努力を重ねることで、盤石な経営体質を確立していきたい。
具体的な取り組みとしては、小間切れやハンバーグなど日販品のブラッシュアップを図る。また、独自のブランド
である「柿安牛」の内容を見直し、他社よりもおいしく、値打ち感のある商品の販売を予定する。「松阪牛」について
は、現在、全国シェアの約 12%を扱っているが、子牛選び、肥育方法、餌や水などの環境にこだわった新ブランド
として、「柿安の松阪牛」を創出したいと考えている。さらに、大型店・旗艦店の改装も進める。前期は 2 店舗で実
施したが、今期は 4 店舗前後を予定しており、併せて商品の品揃え、売り方の工夫に取り組むことで、精肉事業の
活性化につなげていく。
和菓子事業については、4 月 20 日現在で 160 店舗となっており、目標としている 200 店舗体制に向け、今期も
30 店舗前後を出店したいと考えている。また、旗艦店の見直しも行う。一例として、群馬県の伊勢崎店は、月商 15
百万円の優秀店だが、今年に入って「口福堂だんご」の併設店に改装した。今後も既存店の見直しを進め、1 店舗
当たりの売上の底上げを図っていきたい。
商品開発については、夏商品を強化する。前期に開発した「ぶどう大福」に加え、5 月から「完熟バナナ大福」を
販売する予定である。また、更なる上質化に向け、抹茶の和菓子(おはぎ、団子、どら焼、わらび餅)を展開する。
以上の取り組みにより、早期にセグメント利益率 10%を達成したいと考えている。
柿安ブランドの強化については、5 月 1 日からイタリア・ミラノで開催される食の博覧会「ミラノ万博」において、和
牛をテーマとしたレストランを出店する。和牛のメニュー(すき焼、ステーキ)が世界の人々に受け入れられるかどう
かを検証することが目的のひとつであり、20~30 代の職人 8 名を派遣することで、将来の海外出店に向けた環境
づくりを行っていきたい。
次の成長への地盤固めとしては、技術力の向上を図る。現在、正社員の約 4 割が技術職であり、前期には、精
肉の加工技術のスキルアップに向けて、「柿安アカデミー」を立ち上げた。さらに、レストランや惣菜の料理人を対
象とした集合研修、また、接客サービスのスキルアップを図る「おもてなしの心コンテスト」も実施している。次世代
のリーダーの育成については、2014 年秋から月に 3 回、東京・名古屋・大阪で「社長塾」を開催している。営業の幹
部は多くが 40 代であり、10 年後、20 年後の経営の一端を担う人材であるため、自店や他社の繁盛店を視察し、も
のの見方や考え方を現場で伝達している。
2016 年 2 月期は、「口福堂」の積極的な出店とセグメント利益の向上、惣菜事業の改善によって、過去最高の業
績を目指す。特に、純利益にこだわり、将来的には自社株買いなども視野に入れ、ROE の向上を図っていく。
◆質
疑
応
答◆
和菓子の開発・製造における強みを教えてほしい。
商品開発のチームは、社長、営業担当、工場長及び職人でもある商品開発担当の 4 名で構成されており、社長
の発想からスタートする。常に、日本人が大好きな食材は何かを考えており、今回、夏の食材であるバナナの味、
香り、形を和菓子にした「完熟バナナ大福」を開発した。以前は、他の和菓子店で売れているものを研究し、見様
見真似で商品を開発していたが、和菓子業界全体が低迷する中、技術力や発想力を生かして他社と異なる商品
を開発する必要があると判断した。
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今期の設備投資計画を見ると、1 店舗当たりの投資額が倍増しているが、この理由を教えてほしい。
和菓子と比較して投資額の大きい精肉、惣菜、レストランで出店を計画している。特に、レストランについては、
東京・銀座に松阪牛のブランド発信を目的とした高級料亭を 1 店舗展開しているが、この店舗が好調に推移してい
るため、更なる高級店を銀座に出店し、「柿安の松阪牛」を提供したいと考えている。
食材価格が高止まりする中、どのように利益を確保していくか。
新商品の開発、既存商品のブラッシュアップにより、食材価格の高騰を吸収していく。
和菓子事業について、売上の高い商品、夏の新商品のマスコミ対策を教えてほしい。
全体の 65~70%がおはぎと団子である。新商品のマスコミ対策としては、日比谷の当社レストランを会場として
発表会を行う予定である。
2015 年 2 月期は、閉店が想定を上回っているが、この理由を伺いたい。
売上高の伸びが見込めない店舗を閉鎖した。出店精度は向上しているため、今後、大きく退店数が増えること
はないと考えている。
「口福堂」の出店計画について、達成確度を教えてほしい。
計画の 21 店舗のうち、すでに 20 店舗が決定しており、足元の状況を見ながら、30 店舗前後の出店を目指す。
惣菜事業の新ブランドについて、出店計画を教えてほしい。
まず 1 店舗を出店し、状況が良ければ、秋に 2 号店を出店したいと考えている。
(平成 27 年 4 月 20 日・東京)
*当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。
http://www.kakiyasuhonten.co.jp/ir/
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本稿は公益社団法人日本証券アナリスト協会のホームページに掲載された会社説明会要旨を同協会の許可を得て転載しております。