乳がん患者さんが選ぶ放射線治療 平成 26 年 4 月より乳がん治療で乳房温存療法を受けられる方に術後放射線治 療の方法を選んでいただけることになりました。 乳房温存療法では術後の放射線治療が必須です。従来は通常分割照射として 1 回 2 グレイで 25 回の照射を行うのが標準的です。この場合は治療期間として 5 週間 (33 日)を要します。 今回診療報酬改訂に伴い 1 回 2.66 グレイと線量を増加させて、回数を少なくし て 16 回の照射で終わる寡分割照射(かぶんかつしょうしゃ)が認められました (1 回線量増加加算の算定) 。これにより治療期間は 3 週間と 1 日(22 日間)と なり、通常分割照射に比べて 11 日間の短縮が可能になりました。 この両者に期待される乳癌再発予防の治療効果と副作用の出方に違いはあり ません。医療費や医療保険との関係で違いがありますが、おおむね寡分割照射 の方が医療費は安く済みます(図1)。 米国放射線腫瘍学会のガイドラインに従えば、この照射法が適用されるのは 以下のような条件に合致する方です。 (1) 診断時年齢が 50 歳以上 (2) がんの大きさが 5cm未満 (3) 化学療法を併用しない (4) 線量分布が良好である(図2) ※断端陽性でブースト照射の必要のない方、リンパ節転移があって鎖骨上 窩照射の必要な方は対象になりません。 当院では世界最新鋭の放射線治療装置(バリアン社 Clinac-iX)と高性能な放 射線治療計画装置(バリアン社エクリプス V11)で良好な線量分布を実現するこ とができます。 他施設で手術を受けた方でも当院での放射線治療を受けていただくことは可 能ですので主治医にご相談下さい。 図1 通常分割照射と寡分割照射の比較 図 2 線量分布の良好な全乳房照射
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