2009 年 6 月 14 日 新人サポート研修会Ⅱ 例会Ⅳ 血液検査研究班 テーマ「CBC 測定原理とデータの読み方 ~こんな検体は注意しよう~」 ・CBC 測定原理について 1.CBC とは CBC (Complete Blood Count)=全血球計数 血液中の有形成分・・・・赤血球、白血球、血小板 量的(数的) 赤血球>血小板>白血球 質的(大きさ・容量) 白血球>赤血球>血小板 2.用手法による血球計数 • マイクロピペットやメランジュールを用い、計算板で算定。 • ビュルケルチュルク式血球計算板 • 改良型 Neubauer 式血球計算板 • 赤血球数・・・ガワーズ液または生理食塩水 • 白血球数・・・チュルク液 • 血小板数・・・1%シュウ酸アンモニウム液 • ヘモグロビン濃度・・・比色法 • • (シアンメトヘモグロビン法、SLS-Hb法など) ヘマトクリット値・・・ミクロヘマトクリット法 3.血球計数機とは • 自動で血球を計数することができる装置。 • 目視法よりもはるかに多数の血球を計数することにより精密性に優れている。 • 単位時間当たりの検体処理能力が優れている。 • 現在では白血球 5 分類、網状赤血球数や髄液測定などが可能な多項目自動血球 分析装置が普及している。 4.CBC 測定原理(血球計数機の測定原理) 電気抵抗法 血球を系統ごとに容積集団として分別 基本的な原理はオームの法則 抵抗の変化を電圧の変化として測定する。 電圧パルスの高さからは通過血球の体積を、電圧パルスの発生回数からは血球数 を定量できる。 光学的測定法 血球を系統ごとに散乱光集団として分別 低角度散乱光(前方散乱光)は細胞の大きさを反映する。 高角度散乱光(側方散乱光)は細胞の内部情報を反映する。 各血球計数機の測定原理概要 ベックマン・コー ルター シスメックス シーメンス アボットジャパン LH780 XE-5000 ADVIA2120i CELL-DYN SAPPHIRE 赤血球 測定 原理 白血球 血小板 電気抵抗法 電気抵抗法 光学的測定法 電気抵抗法/ 光学的測定法 電気抵抗法/ 光学的測定法 光学的測定法 光学的測定法 光学的測定法/ 電気抵抗法 電気抵抗法と光学的測定法の長所、短所 電気抵抗法 長所 短所 光学的測定法 •粒子カウント数が多く再現性 •血小板数で小型赤血球、破砕 に優れている 赤血球、大型血小板等の影響を 受けにくい •サイズ情報(体積)が正確 •血小板数で小型赤血球、破 砕赤血球、大型血小板等の 影響を受けやすい •粒子カウント数が少ないので再 現性が電気抵抗法より劣る。 •サイズ情報(体積)の精度が電 気抵抗法より劣る。 ヘモグロビン濃度 赤血球を溶血させ、試薬でヘモグロビンを変化させて比色定量を行う。 • 国際標準法であるシアンメトグロビン法 人体に有毒であるシアンを使用するため廃液処理が必要。 • 界面活性剤を使用したシアンフリー法 シアンを使用しないため廃液処理が不要 各血球計数機のヘモグロビン濃度測定法 ベックマン・コー ルター シスメックス シーメンス アボットジャパン LH780 XE-5000 ADVIA2120i CELL-DYN SAPPHIRE シアンメトヘモグ ロビン法 SLS-Hb法 アルキルアミン オキサイド法 イミダゾールHb法 測定法 波長 シアンメトヘモグ ロビン変法 525nm 555nm 564nm/546nm 540nm 赤血球指数 赤血球指数は計測される RBC、Hgb、MCV(あるいは Ht)から算出される。 Ht (ヘマトクリット値):相対的赤血球部分体積比(%) MCV:平均赤血球容積(fl) MCH:平均赤血球ヘモグロビン量(pg) MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度(% or g/dl) 血球計数測定に影響をあたえる要因 影響物質 WBC RBC 小赤血球 ― 破砕赤血球 + 有核赤血球 Ht MCV MCHC ― ― ― + ― + ― + + ― + 巨大血小板 + + ― ― ― 溶血 ― ― 凝血(検体凝固) ― ― 赤血球溶血不十分 + ― ― ― + + + ― 高脂血症 + + 高ビリルビン血症 + + クリオグロブリン 白血球著増 PLT + 赤血球凝集 血小板凝集 Hb + + + + ― + + + + + + 検体測定時は各血球のヒストグラムやスキャッターグラムをよく観察することが必要。 また、血球計数機からのエラーメッセージや警告フラッグに注意する。 対処方法 用手法での視算(WBC,PLT)、加温後に測定、希釈測定、コメントを添えるなど
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