№14 2006.12. 起業アドバイザー便り ルールと規律と企業文化 前回は、諸規程の整備はより慎重に、確実に対処することが肝心とお伝えいたしました。 それは諸規程を明文化することにより、会社規範とするルールを確立しておくことによ る業務運営のスムーズ化を図ること、また企業倫理に基づく企業スタンスを社会に示し、 信頼と良好な企業イメージを確立することなどを目標としています。 起業して多少とも業歴が積み重なり業容が拡大してくれば、当然の如く社内のルールづ くりが必要になります。これは前回の諸規程の整備のように法律的に要求されるものでは なく、企業サイドで自主的に取決めてつくりあげていくことがらです。 過去にこんな経験がありました。 創業7~8年の頃、就業規則の業務時間は朝8:45~夕方5:00としていたとき、 管理職の一人が、毎日夜8時~9時位まで業務をしているので自分たちの部署は朝の出勤 時間を1時間程遅くして欲しいと申し出てきました。私は個々の事情を安易に理解して、 それを許してしまえば他の人もマネるであろうし、全社的に業務内容をもっと厳密に詰め てなるべく夜の作業時間を減らすように自らも率先していきました。もちろん従来も朝早 くから夜遅くまで仕事をする姿勢でしたので、自分が自らの職責を怠り、社長だから、特 別な存在だからと遅い出勤や早退をやっていて、社員に範を示すことができていなければ、 その申し出を認めず、正論を言えなかったと思います。 また、全社員が出社直後に自分たちの職場は自分たちできれいにしようと清掃作業をル ール化いたしました。この作業は現在も継続されていますが、社員が清掃作業をしている 手際の良し悪しの行動や気配りを見て、仕事の出来る人とそうでない人の差はほとんどこ れは比例していると今でも確信しています。ですから、社員の試用期間中の清掃当番はな るべくトイレ清掃を担当させてみたら、社員として必要視される性格、能力、順応性、協 調性がわかると思います。 では、企業文化は誰がつくるのかを考えたとき、初期においての中小企業は全てリーダ ーたる社長がつくるのだと断言いたします。社内外において、社長の自分に厳しく、易き 妥協をせず、業務指示が適格なリーダーの職責たる「読み、踏み、決め」に全精力を傾け て業務に邁進する社長の姿により、はじめて社内に規律が生まれるのです。また、社長の 人格、人生観、社会観を含めたこれらの継続と、さまざまな企業が社会との接触のなかで 生まれる「企業の有様」が企業文化として認識され、それが正しく好ましくあれば社会に 受け入れられるものとなるのです。どんなことによっても、社長という存在が標題のルー ルと規律と企業文化の構成要因の要であることは、まちがいがないことだと思っています。
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