26消安第4541号 平成26年12月16日 日本野菜育苗協会 会長 竹内 勝 殿 農林水産省消費・安全局 植物防疫課長 大友 哲也 スイカ果実汚斑細菌病菌に関する注意喚起について 日頃から我が国の植物検疫に御理解と御協力を頂き、感謝申し上げます。 スイカ果実汚斑細菌病菌( Acidovorax avenae subsp. citrulli )は、スイカ及びメ ロンなどのウリ科作物に感染し、これらの苗や果実に甚大な被害を与えることが知ら れています。 平成26年12月上旬に、国内の育苗施設で栽培中のキュウリ苗のカボチャ台木から本 病の疑似症状が確認されたことから、植物防疫所が遺伝子検定及び細菌学的性状調査 等を行ったところ、陽性と診断されました。このため、当課は、現在、同定中ではあ るものの、本病が発生している可能性が極めて高いと判断したところです。 本病の発生原因については、現時点では、正確に特定できていないものの、発生現 場の状況から、要因の一つとして、中国から輸入された特定のロットのカボチャ種子 に本菌が付着していたことが考えられます。 このため、現在、植物防疫所では、種子販売業者に対し、同定結果が得られるまで の間、本菌の付着の疑いのあるロットの種子について、販売の自粛を要請するととも に、当該ロットの検定を行っているところです。また、本菌の侵入防止の観点から、 念のため、別添の本病の発生地域及び発生の疑いがある地域を原産地とするカボチャ 種子については、当面の間、輸入検疫を強化することとしています。 つきましては、本病の発生防止に万全を期すため、貴職より、下記のとおり、貴協 会員に対して周知方お願いします。 記 1.本病に罹病した疑いのあるカボチャ台木が確認されたことを周知すること。 2.育苗中の苗に、本病の擬似症状を確認した場合や貴協会員の苗の販売相手から、 本病の発生を疑う情報が得られた場合は、速やかに病害虫防除所又は植物防疫所に 連絡すること。 ○農林水産省HP(スイカ果実汚斑細菌病菌関係) http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/info_1.html スイカ果実汚斑細菌病とは 英名:Watermelon Bacterial Fruit Blotch 学名:Acidovorax avenae subsp. citrulli 1.世界における発生地域 インド、タイ、台湾、中華人民共和国、イスラエル、イタリア、トルコ、 ギリシャ、ハンガリー、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アメリカ合衆 国、コスタリカ、ブラジル、オーストラリア、北マリアナ諸島、グアム 2.主な宿主植物 すいか、とうがん及びメロン 3.感染経路 感染種子による幼苗の発病、灌水や接ぎ木による育苗期の二次感染、り 病苗の定植による栽培ほ場でまん延することが知られている。 4.被害状況 感染すると幼苗から果実まで全ての段階で被害を与える。特に、果実に 感染すると、最後には腐敗果となり、ほ場全体に壊滅的な被害を与える。 5.我が国の状況 (1)我が国では、平成10年に山形県で初めて発見され、その後、北海道、 茨城県、長野県、鳥取県、徳島県、熊本県等においても発生したが、い ずれも単年度で終息。 (2)植物防疫法により、発生地域からの宿主植物の種子であって栽培の用 に供するものは、栽培地検査を要求している。 6.防除方法 種子消毒済みの健全種子を用い、育苗期、ほ場での栽培期においては、 登録農薬(銅剤等)を散布し、本病の発生の予防、万が一発生した際の拡 大防止を行う。 また、発病植物体は、周辺株と共に即座にほ場外に持ち出して、地中深 く埋没する等、適切に処分するとともに、発生が確認されたほ場の植物体 は、翌年の感染源になる可能性があることから、植物体残渣も含めて、発 病植物体と同様に適切に処分する。 被害果(表面) 被害果(断面) 別添 スイカ果実汚斑細菌病菌の発生地域及び発生の疑いがある地域 (発生地域) インド、タイ、台湾、中華人民共和国、イスラエル、イタリア、トルコ、ギリシ ャ、ハンガリー、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アメリカ合衆国(ハワイ諸島 を除く。)、コスタリカ、ブラジル、オーストラリア、北マリアナ諸島、グアム (発生が疑われる地域) インドネシア、大韓民国、マレーシア、カナダ、ニカラグア
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