平成 28 年 8 月 17 日 VIAX児童部会 平成 28 年度 第 2 回「基本図書から学ぶ」報告書 1.日 時 平成 28 年 7 月 14 日(木)14:00~16:30 2.場 所 ヴィアックス研修センター(鳩山ビル6階) 3.参 加 者 15 名 4.配布資料 ①『くまの子ウーフ』レビュースリップ参考例 ②『くまの子ウーフ』事前課題まとめ ③『チム・ラビットのぼうけん』レビュースリップ参考例 ④『チム・ラビットのぼうけん』事前課題まとめ ⑤グループワーク用記入用紙 5.内 容 (1)配布資料①・③に基づき、事務局よりレビュースリップの書き方についての解説があった。 (2)4 つの班に分かれ、 『くまの子ウーフ』 (神沢利子作 井上洋介絵 ポプラ社 1969 ) 『チム・ラビッ トのぼうけん』 (アリソン・アトリー作 石井桃子訳 中川宗弥画 童心社 1967)のどのような点が 子どもをひきつけるのか、それぞれの作品について話し合い、発表を行った。以下、各グループ の発表内容である。 『くまの子ウーフ』 <主人公について> ・ ウーフが子どもらしくて親しみやすい <登場人物について> ・ 両親が温かく見守ってくれる安心感 ・ ウーフを見守る両親のやさしさに安心できる ・ お父さんとお母さんがいつもやさしくウーフを見守っている ・ 両親がウーフに寄り添っていて、ウーフが納得できるように導いてくれている ・ 友達のツネタやミミちゃんも実際にいそうで感情移入できる <テーマについて> ・ 子どもたちが身近にもつ疑問を、ウーフが考え、自分なりの結論を出している ・ ウーフの視点で考え、答えを探していくところがよい ・ ウーフの疑問は哲学的で、明快な答えが出ない結末もある ・ ウーフが抱いた疑問について、子どもたちも一緒に考えることができる ・ 色んなことに興味を持ち始める子どもにちょうどよい ・ 生きること、生きていることの喜びや不思議が描かれている <表現について> ・ 「りらるらすいー」など、文章がリズミカルで分かりやすい ・ 「さかなにはなぜしたがない??」など、各話のタイトルが興味をそそる <挿絵について> ・ どこかユーモラスでほのぼのとした絵が親しみやすい ・ 絵が多く読みやすい <その他> ・ 本編前のウーフの自己紹介がよい。本編に入りやすい ・ ウーフや登場人物の発想にユーモアがある 『チム・ラビットのぼうけん』 <主人公について> ・ 好奇心旺盛なチムがかわいく、やんちゃで愛らしい。子どもの気持ちをそのまま体現して いる ・ 好奇心旺盛なチムの行動にハラハラドキドキする ・ かかしを助けたり、赤ちゃんにくつを届けたりと、親切なチムの姿がよい <登場人物について> ・ お母さんが優しい ・ 母親の話し方がやさしくてきれい ・ 怖い目にあってもお母さんが迎えてくれる安心感、両親が包みこんでくれる安心感がある ・ 登場人物たちがチムのことを知っていて、見守られている感じがある ・ チムに好意的な動物もいれば、チム憎たらしいと思う動物もいるところが現実的 ・ いじわるな動物も登場するが、憎めない感じがする <テーマについて> ・ 日々の生活の中で新しいことに出会うことが、楽しい冒険になっている <話の展開について> ・ 行って帰ってくるというくり返しが安心感をくれる ・ 登場人物や行動範囲が、話が進むにつれて広がっていく <表現について> ・ 情景描写が丁寧で風景を想像しやすい <挿絵について> ・ 白黒の絵から色をつける楽しみ、想像する楽しみがある。 <装丁について> ・ 表紙のカラフルな色使いが良い <その他> ・ なぞなぞが面白い ・ はさみやめがね、くつなど、子どもたちにとって身近なものが出てくる ・ 人間にはありふれたメガネなどが動物にとっては新鮮に見えるところが面白い ・ キノコをかさにするなど、子どもがマネしたくなることがたくさん出てくる ・ 自然の厳しさも描かれている。 (3)事務局より、参考図書 2 冊に基づき、優れた幼年童話とはどのようなものかについての解説があ った。 <参考図書> 『幼い子の文学』 (瀬田貞二著 中央公論新社 1980) 『児童文学論』 (リリアン・H・スミス著 岩波書店 1964) (4)A・B 班は『くまの子ウーフ』について、C・D 班は『チム・ラビットのぼうけん』について、各 自が作成した紹介文について、紹介文を書いての感想、紹介文に必要な事項、それぞれの紹介文の よい点について、発表した。 それぞれの紹介文のよい点として、主に次の点があげられた。 ・ どの紹介文も必要な事項は盛り込まれていて、基本的な内容がおさえられている ・ 「一話ずつが短いため、初めての一人読みや読み聞かせにもおすすめです」など、保護者の 方が子どもにすすめてみようかなと思える文章が入っている ・ 挿絵に関すること、文章に関することなど、様々な視点から本の魅力が紹介されている (5) (4)の活動を受けて、各班で紹介文を作成した。完成しなかった班は、後日事務局へ送付した。 以下、各班が作成した紹介文である。 A班『くまの子ウーフ』紹介文 あそぶの大すき、食べることが大すき、そして考えることが大好きなくまの子ウーフ。 「さかなはなぜしたがない」 「ウーフはおしっこでできているのか??」など、毎回子どもながらのユ ーモアな視点で、素朴な疑問を投げかけては自分なりに解決していきます。 また、友達のキツネのツネタちゃんや、うさぎのミミタちゃんも性格は違いますが、子どもらしく て共感が持てます。さらに、優しいウーフのお母さんやお父さんとのやりとりも、読み手の子どもに 安心感を与えます。 絵や会話が多く読みやすいため、小学校低学年におすすめです。また、短い話が9編あるので、読 み聞かせや一人で読み始めたばかりの子どもにも向いています。 この作品は1969年に発売され、半世紀もの間、子どもたちに読まれている楽しい童話です。続 編に『こんにちはウーフ』 『ウーフとツネタとミミちゃんと』があり、ウーフの世界をさらに楽しむこ とができます。 B班『くまの子ウーフ』紹介文 くまの子ウーフは、遊ぶこと、食べることと同じぐらい、考えることが大好きです。 「さかなにはな ぜしたがない」 「ウーフはおしっこでできてるか??」など、日常の生活の中で不思議に思ったことに ついて、両親や友だちと話をしながら思いをめぐらせます。不思議がいっぱいのウーフの様子は、幼 い子どもの姿そのもの。その様子を見守る両親にも包み込むような優しい雰囲気があり、安心して読 み進めることができます。 全部で9つのお話は、続けて読むことで、より物語の世界に入ることができ、ウーフと同じ気持ち で、生きていることの喜びや不思議を感じることができるでしょう。 会話や歌、楽しい擬音が多い文章と、どこかユーモラスなイラストが子どもたちをウーフの世界へ誘 います。 シリーズに『こんにちはウーフ』 『ウーフとツネタとミミちゃんと』があります。 C班『チム・ラビットのぼうけん』紹介文 子うさぎのチム・ラビットは村の草刈り場にある家に住んでいます。好奇心旺盛で、草刈り場で見 つけたはさみを家に持ち帰り、自分の毛を刈ってしまうなど、読んでいる子ども達がどきどきするこ とがたくさん描かれています。毛がなくなったチムは結局風邪をひいてしまいますが、してはいけな いことをしてしまうスリル、そして報いを受けるところまで、子どもたちは一緒に体験することがで きるのです。 そして、チムが家に帰ってくるといつも、お母さんが「おかえりチム」と優しく声をかけて、出迎 えてくれます。いつも見守ってくれている人がいることで、安心してチムは冒険に出発することがで きているのです。 この本は、9話の物語を集めた作品ですが、1話ずつが短いので読みやすく、一人で読み始めたば かりの子でも楽しめるロングセラーの本です。続編に『チム・ラビットのぼうけん』があります。 D班『チム・ラビットぼうけん』紹介文 好奇心旺盛な子うさぎのチム・ラビットは村の草刈り場にある家に、お父さん、お母さんと住んで います。はじめての雷に驚いたり、拾ったハサミで自分の毛を刈って風邪をひいたり、毎日小さな冒 険をしながら楽しく暮らしています。時にはいたずらをして失敗もするけれど、優しいお父さんとお 母さんに見守られて成長する姿は,ハラハラしながらも安心感を与えてくれます。 チムがやんちゃで愛らしく、子どもが実際に思うこと、体験することをそのまま表しているので、 どんどんお話の中に入っていけます。9つの短編集なので、一人で読み始めたばかりの子にもおすす めです。続編に『チム・ラビットのおともだち』があり、こちらは少しだけお兄さんになったチムに 会うことができます。 6.所感 ・ それぞれの作品のどのような点が子どもをひきつけるか、グループで話し合い発表することで、基 本図書のもつ魅力について再確認することができた ・ 紹介文については日常の業務でも書いているが、同じ作品について各々が書いた紹介文を読み比べ てみることで、選択する言葉や紹介したいと思うポイントが人それぞれ違い、とても興味深かった。 今回、時間内にグループでの紹介文を仕上げることができなかったが、限られた文字数の中で、作 品を読んだことのない人にもその魅力をできる限り伝えられるよう、今後も学んでいきたい
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