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第8回:グローバルビジネス演習 - 元橋研究室

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21 世紀の2大大国、中国とインド:
日本企業の進出先としてどう考えるか?1
(東大 TMI ケース教材・2011 バージョン)
1.イントロダクション
中国とインドは 21 世紀の世界の2大大国として世界から注目を集めている。しかし、現
状の日本企業の海外投資先としては圧倒的に中国に偏っている。2007 年末の中国に対する
直接投資残高は 378 億ドルであるのに対して、インドに対する金額は 42 億ドルと 10 分の 1
近くの水準となっている。しかし、直近の動向を見ると対インド投資は急速に伸びてきて
いる。インド経済は 2005 年から 9%の経済成長を維持しており、2008 年秋の金融危機の影
響による世界的な景気後退の影響も国内需要が堅調であることから比較的軽微なものにと
どまっている。一方で、中国においては国内の人件費上昇、外資系企業優遇措置の見直し
などの影響によって、投資環境の悪化が見られる。また、これまで中国一辺倒であった投
資リスクを分散させる、いわゆる China+1 の動きが広まっている。国際協力銀行が行った「わ
が国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」
(2008)によると、日本企業の投資先と
しての有望国は、依然として中国がランキングでトップとなっているものの、インド、ロ
シア、ブラジルなどの中国以外の BRICS 諸国に分散してきている。2
それでは日本企業の今後の投資先としてインドはどの程度大きくなるのであろうか?こ
れまでのように基本的には中国に軸足をおいて、インドはあくまで China+1としての対象
国ととらえるという見方が続くのであろうか?中国は長期的には人口が減少することから、
いずれインドは世界一の経済大国になるという見方もある。このような将来性を考えると
これまでの中国投資と同等、あるいはそれをうわまわる投資先として対インド戦略を考え
るべきであるという意見もありうる。
ここでは、これまで長い間、日本企業のグローバル戦略を支えてきた総合商社の立場に
立って、5 年先あるいは 10 年先といった長期的なスパンで見た中国とインドの投資先とし
ての魅力度について検証したい。総合商社は資源、エネルギー、化学、機械、繊維、日用
品からハイテク製品まで、あらゆる分野における企業のグローバル化をサポートする日本
独特のビジネス形態である。戦後の日本経済の復興は輸出の増加によるところが大きいが、
そのプロセスにおいて日本の総合商社は大きな役割を果たしてきた。日本経済のグローバ
ル化の進展とともに、商社の機能は商品貿易のサポートから、海外における資源やエネル
ギー分野を中心とした事業投資に変化してきている。また、海外におけるロジスティクス
事業や成長性の高い企業に対する投資事業の重要性も高まっている。
このような事業を展開する上でも、やはり在外の日本企業との関係でビジネスが成立す
1
このケースは元橋一之(東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻教授)と袁媛(同特任
助教)によって「アジア技術経営プログラム」の教材として開発されたものである。
1
ることが多いので、日系企業の対外進出活動の分野や対象国についてしっかりとした見通
しを立てることが重要である。また、インドはまだまだ日本企業の投資先として新たな国
なので、グローバル化支援といったビジネスチャンスも大きいと考えられる。しかし、そ
のチャンスが現実のものになるかどうかは、実際に日本企業がインドに対してどの程度進
出する可能性があるのかにもよる。このような観点から、日系企業の進出先として、中国
とインドの比較を行い、5 年から 10 年といった長期的なスパンでどのような展開を見せる
のか考えてみたい。
2.日本経済のグローバル化の進展
中国とインドにおける状況について見る前に、まず、これまで日本企業がどのような形
態でグローバル活動を行ってきたか整理する。戦後の日本において見られた高度経済成長
は輸出の増加によるところが大きい。この背景には第2次大戦後に米国主導で形成された
ブレトンウッズ体制によって定められた 1 ドル=360 円の対ドル円レートの固定相場制があ
った。日本の企業はその成長のプロセスにおいて比較的安価で安定的な円レートをベース
に輸出競争力を強化してきた。しかし、この固定相場制は、日本や欧州諸国の台頭によっ
て維持することが困難になった。1971 年には当時のニクソン米国大統領が固定相場制の廃
止を宣言し、変動相場制に移行した(ニクソンショック)
。結果として長期的にみると対ド
ル円レートは大幅な円高ドル安の方向に動いている。
図表1は為替レートの変動と日本の輸出額、海外売上高といったグローバル化指標の関
係を示したものである。大きな円高の動きは輸出額に対してマイナスの影響があることが
読み取れる。例えば、ニクソンショック後は 1970 年代後半に大きく円高の方向に為替レー
トが動いた時期があるが、そのタイミングで輸出額は大きく落ち込んでいる。また、1985
年のいわゆるプラザ合意後の円高の局面では、輸出の伸び率が抑制されている。1990 年以
降は一時的に大幅な円高に振れた時期があったが、おおむね 100 円~120 円の間で推移して
いる。その間の輸出額はじわじわと上昇しきている。
このように為替レートが大きく円高の方向に動くプロセスにおいて、日本の製造業は海
外における生産拠点を整備して、為替リスクを低減させるとともに製品の価格競争力維持
に努めた。この海外直接投資の動きが顕著に表れたのはプラザ合意後の 1980 年代後半以降
である。2000 年には海外売上高が輸出額を上回り、2006 年時点では約 100 兆円(輸出額が
約 80 兆円)に達している。
図表2は、2008 年時点における日本企業の在外子会社数を所在国・開設年別にみたもの
で あ る 。 こ の グ ラ フ を 見 る と 途 上 国 に 対 す る 海 外 進 出 の 動 き は NIES(New Industrial
Economies:新興工業経済地域) 3と ASEAN(Association of South-East Asian Nations:東南ア
ジア諸国連合)4に対する投資から始まった。日本のエレクトロニクス企業や自動車メーカ
3
4
ここでは韓国、台湾及びシンガポールを示す。なお、香港は中国の一部としている。
インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、 ブルネイ、ベトナム、
2
ーは 80 年代後半の円高局面で、これらの地域に対する進出を積極的に行った。その後 1990
年代に入って、対中投資が急増している。これは 90 年代に入って中国が対外開放政策をと
り、積極的に外資の呼び込みを行ったことによる。また、1990 年代後半の海外子会社設立
数が大きく低下しているが、海外進出は国内のマクロ経済環境の影響を大きく受けるから
である。1997 年の大手金融機関の破たんの始まった不況によって、多くの企業が新規の海
外投資を抑えたことによる。2000 年に入ると、NIES や ASEAN に対する投資は横ばいで推
移している一方で、対中投資が再び急増している。このように日本企業の対外進出の動き
は、最近では中国一辺倒となっており、China+1 の動きはマクロレベルで見られていない。
図表3は海外売上の業種別シェアを相手国別に見たものである。海外売上が最も大きい
中国においては、電気機械、情報通信機械、輸送機械の割合が高くなっているが、その他
の産業についても比較的バランスよく投資が行われている。つまり、日本の製造業はその
ほとんどの業種において中国における生産・販売活動を行っているということである。
ASEAN は中国と比べると輸送機械の割合が高くなっている。自動車メーカーやその部品メ
ーカーの売上が大きいことによる。NIES については化学・石油石炭関係の割合が高いこと
が特徴的である。最後にインドについてみると海外売上の 90%が輸送機械によるものであ
る。自動車やオートバイなどのメーカー及びその部品業者が進出しているが、逆にそれ以
外の業種においてはまだほとんど手つかずの状態になっていることが分かる。
図表 4 には相手国別在外企業数と総従業員数に関するランキングを示した。トップは中
国であり、4 位の香港とあわせると約 6000 社、130 万人近い従業員数となっている。2 位は
米国で、3 位にタイが入っている。その次にシンガポール、台湾などが続いているが、イン
ドは第 18 位で、企業数としては 262 社、従業員数は6万人強と中国とはかなりの格差があ
る5。China+1 でインドと並んで取り上げられるベトナムは 16 位でインドは上回っているが、
こちらもまだまだ開拓途上の状態であるといえる。
最後に中国とインドに進出している主な企業(東洋経済データにおける従業員数のラン
キング)を図表 5 と図表 6 に示した。中国においては、トヨタ、日産、本田といった自動
車メーカーの現地合弁企業、住友電産、矢崎総業などの自動車部品メーカー、ミツミ電機、
TDK、キャノン、NEC トーキンなどのエレクトロニクスメーカーが並んでいる。一方でイ
ンドについては図表 6 でもみたとおり、スズキ自動車をはじめとした自動車や自動 2 輪メ
ーカーとその部品企業がほとんどとなっている。
3.中国とインド:経済発展の道のり
中国(中華人民共和国)は、1949 年に毛沢東が主導する共産主義国家として建国された。
ミャンマー、ラオス及びカンボジアの 10 カ国で形成される連合体。ただし、シンガポール
は NIES の一部としてここからは除いている。
5 なお、
2008 年 1 月時点の在インド日本大使館の統計によると日系インド進出企業数は 438
社となっている。
3
中国が本格的な経済発展を遂げたのは毛沢東死去の後、この国のリーダーシップをとった
鄧小平が改革開放政策を実施し、貿易や外国からの直接投資が解禁した 1978 年からである。
外資誘致政策は 1992 年の鄧小平の南巡講和6によって加速され、日本企業の対中投資が急激
の伸びたのもこの時期からである。現在では、中国は「世界の工場」といわれ、中国製の
製品なしでは世界中の消費者が生きていけない状況になっている。また、90 年代以降、中
国の経済成長率は 10%前後という高い水準で推移しており、世界的な経済的プレゼンスが
高まっている。ゴールドマンサックスの予想によると、中国の GDP は 2015 年に日本を、
2030 年代半ばには米国を追い抜き、世界一の大国になるとされている。7
一方、インド(インド共和国)は、1947 年にイギリスより独立し、ジャワハルラール・
ネルーを初代首相とする社会民主主義国家として成立した。インドの経済システムは州ご
とに独立した経済システムを有しており、税制や規制制度がきわめて複雑になっている。
対外経済関係については、1980 年の規制緩和によって外資の参入が一部認められたが、中
国と比べてその影響は極めて限定的となっている。道路や電力などのインフラ整備が遅れ
ていることにより、生産拠点としてのハンディキャップが大きいという側面もある。ただ
し最近では、ソフトウェア開発と BPO (Business Process Outsourcing)を中心とする IT サービ
ス産業の急成長はインドの国際的なイメージを大きく変えている。中国が「世界の工場」
であるのに対して、インドは「世界のソフト開発拠点」といってもいい状況となっている。
なお、ゴールドマン・サックスは 2025 年に日本、2040 年には米国の GDP を追い抜くと予
測している。8
図表 7 は中国とインドの一人当たり GDP の推移をみたものである。興味深いことに 1990
年ごろまでは両国の一人当たり GDP はほぼ同じレベルで推移してきている。しかし、1990
年代以降、中国の伸び率がインドを大きく上回り、2006 年時点の両国の一人当たり GDP は
中国が約 2600 ドル、インドが約 1000 ドルと、大きな差が生じている。図表 8 は直接投資
の受け入れ額について両国を比較したものである。中国は 1992 年の「南巡講和」に始まる
対外開放路線によって、直接投資の受け入れ額が急増している。一方インドは段階的に外
資参入に関する規制緩和を打ち出してきているが、まだまだそのレベルは低い。前節で日
系企業の対インド投資が中国と比べて圧倒的に遅れていることを示したが、これはインド
における受け入れ環境が整っていないなど、インドサイドに何らかの問題があることを示
している。一方で中国においては、積極的な外資の受け入れがその経済成長に大きな影響
を与えていることは間違いなく、中国からの輸出額の大半は外資系企業によるものである
といわれている。
このようにインドは経済成長で中国に後れを取っているが、2005 年から 9%の経済成長
鄧小平が 1992 年 1 月から 2 月にかけて武漢、深圳、珠海、上海などの中国南部を視察し、
外資誘致も含めた開放的な経済政策の重要性を再認識し、経済的発展を目標とする改革路
線を進める旨の声明を発表したこと。
7 Goldman Sachs (2007)
8 Goldman Sachs (2007)
6
4
を続けており、今後の成長ポテンシャルも大きい。逆に中国はこれまでの経済成長を重要
視する政策から、沿岸部と内陸部の所得格差を是正する方向に切り替えてきている。これ
まで外資系企業に対して与えてきた税制上の優遇措置を見直したり、人件費の上昇によっ
て、投資先としての魅力度は低下しつつある。
このように China+1 としてのインドをどのように見るべきか、検討をするためには中国
とインドの実態をより正確に把握する必要がある。両国を比較していく上でハーバードビ
ジネススクールの Tarun Khanna(2007)で興味深い質問を読者に投げかけている9。以下そ
のいくつかについてピックアップしてみたい。

なぜ、中国は都市を一夜にして建設できるのに、インドでは 1 本の道路を引くことが
なかなかできないのか?

なぜ、インドにおいては自由選挙が行われているのに、中国においてはそれが禁止さ
れているのか?

なぜ、中国においては巨大企業を作ることはできるのに、世界的に競争力がある民間
企業は数える程度しか存在しないのか?

なぜ、中国人は国外在住の同胞(華僑)が好きなのに、インド人はそうではないか?

なぜ、中国人はインド人を歓迎するのにインド人は中国人を歓迎しないか?
4.中国:共産党による集中体制国家
4-1.対外開放の歴史
改革開放以前の中国は外国との経済交流を社会主義国との間にのみ限定しており、世界
の国々との貿易は大きく制約されていた。しかし、1978 年以降の改革開放政策の実施によ
って貿易が再開され、外国からの直接投資も解禁された。翌年には合弁企業法(中外合資
経営企業法)が制定され、外国からの資金導入、技術移転、輸出促進などの外国企業誘致
への制度的基礎が築かれた。当時の中国政府は限られた資源や外国資本を有効に利用する
とともに、対外開放による国内への衝撃を緩和するために、1980 年に深せん、珠海、汕頭、
廈門の四つの経済特区を設立した。政府は経済特区に外国資本を誘致するためにインフラ
の整備を行い、外国資本に対して減税、免税などの優遇政策を実施した。1984 年には上海、
天津、大連など 14 の沿岸開放都市の開放も行われた。1986 年には外資企業法の実施によっ
て、外国企業の単独投資に対する地域の制限がなくなった。さらに 1988 年の沿岸地区経済
発展戦略の実施により、ほとんどの沿岸地域は沿岸経済開放区に入った。
その後、1992 年の鄧小平による南巡講話を機に市場改革が再加速し、外国資本の導入も
激増した。1995~97 年の間には、中国政府は WTO 加盟に向けて国内市場を開放し、関税
引き下げなどの貿易自由化を行なった。1997 年に起こったアジア通貨危機の後には、加工
組み立て型の製造業の投資が中国に集中するようになった。中国は外資に対する手厚い優
Tarun Khanna (2007)の 7 ページより引用。なお、本書はこれらの問いにこたえるために
記述されたものであるとされている。
9
5
遇政策と安い労働コストを武器に外国資本をひきつけ、「世界の工場」としての地位を確立
した。99 年に西部大開発の計画がスタートし、対外開放は沿岸地域から内陸へ展開される
ようになった。2001 年には WTO 加盟を果たし、2002~2007 年までの 6 年間で直接投資の
受入額は三倍もの急増を見せている。(図表 8)
なお、直接投資に際しての投資方式は外国資本の単独出資(独資企業)、中国企業との共
同出資である合弁企業および合作企業、または中国企業に対する M&A という4つの方法が
中心である。2006 年時点では、中国への直接投資方式として最も多いのは独資企業であり、
直接投資受入額の 72.7%を占めている。また、直接投資の受け入れ元を見ると、香港、バ
ージン諸島を除き、日本、韓国、米国からの直接投資が多い(図表 9)。
2007 年になると、中国政府は、中国企業の競争力を高める「技術立国」への転換と外国
資本に対する投資の選別を行う姿勢を明確にした。2008 年 1 月には外国資本に対する所得
税減免の優遇措置を廃止する新しい企業所得税法10と労働者の待遇を改善する労働契約法
を施行した。現在、中国政府はこれまで多かった単純な加工組み立て型よりも、中国の発
展に貢献するハイテク企業や環境関連企業の誘致を望んでいる。外資優遇策の縮小、人件
費高騰および近年の為替レートの上昇を背景に、外国企業は中国での投資スタンスを変化
させつつある。2007 年以降、日本、米国、ヨーロッパなど先進国の中国への直接投資は減
少する傾向にある。外国企業はリスク分散のためベトナムなどに拠点を設ける動きを早め
ている。例えば、玩具の大手企業であるタカラトミーはコストの増加の影響を受けて金額
ベースで 9 割を占める中国での生産を大幅に縮小し、ベトナム、タイなど中国以外の生産
比率を最大 6 割まで高めるとの方針を明らかにした。一方で、外国資本による中国での研
究開発を奨励する政策は、研究開発拠点の増加を促している。GM やモトローラなどの外国
企業は最近になって相次いで中国での研究開発センターを設立している。
4-2.経済パフォーマンス
中国の実質 GDP 成長率は 2003 年から 2007 年まで 5 年連続で 10%以上の経済成長を維持
し、2007 年の一人当たり名目 GDP は 2500 ドルに達した。しかし、中国経済のけん引役は
投資と輸出であり、国民生活とかかわっている家計消費は下がる傾向にある(図表 10)。貿易
構成は二次産品が中心となっており、そのうち、電気輸送機械の輸出シェアが増える傾向
にある。また、近年の経済過熱によるエネルギー需要の急増によって、一次産品の輸入も
急激に増えた。中国の貿易相手はアメリカ、日本、香港、ドイツ、韓国などである。アメ
リカや香港に対しては輸出超過であるものの、日本、韓国に対しては輸入超過になってい
る。
GDP の半分以上が製造業によって産み出されており、経済の高成長をリードしているの
は第二次産業である。GDP の構成をみると、一次産業、二次産業と三次産業はそれぞれ、
年まで 15%から 2012 年に 25%に上げ、一方国内企業の所得
税は 33%から 2012 年に 25%へ下がり、内外資企業の税率が統一された。
10外資企業の所得税は、2007
6
14%、63%と 23%を占めている。一方、産業別の雇用人口を見ると、GDP の 10%程度しか
産出しない農業に 40%以上の労働人口が従事している。また、二次産業と三次産業の雇用
人口はそれぞれ 25%と 32%を占める。
中国の経済パフォーマンスを考える上で重要なのは、外資系企業と国有企業の役割であ
る。2007 年製造業でみると付加価値額に占める外資系企業の割合は 27%となっており、ま
た内資企業の多くは有限責任会社か株式会社となっているが、その多くが国有企業や地方
政府が経営をコントロールしている。最近では民営企業がシェアを伸ばししているが、2004
年現在でそのシェアは 22.5%に過ぎない。
4-3.人口と教育
中国が 2006 年に実施した人口センサスによると、2005 年末時点の中国の総人口は 13.07
億人であった。この 13 億人のうち 60%が農村戸籍となっている。民族は漢民族が 92%を
占め、公用語は中国語である。識字率は 93%に達している。また、人口の増加を抑制する
ために 1979 年から出産規制(いわゆる「一人っ子政策」
)を行っており、今後深刻な人口
高齢化の問題に直面することが予想される。
すべての中国人は、農村戸籍と都市戸籍に分けられ、生まれてくる子供は母親の戸籍を
継承する。したがって、農村戸籍の女性が都市戸籍の男性と結婚したとしても、生まれた
子供の戸籍は農村戸籍となる。改革開放以降、雇用機会を求めて多くの農民が都市に出稼
ぎに来るようになったが、農村戸籍の保有者は都市戸籍の保有者に比べてさまざまな差別
的な扱いを受けている。例えば、企業で働く場合であっても養老保険、医療保険などの扱
いは戸籍ごとに異なる。
4-4.IT と家電製品
前述した対外開放政策や企業改革の結果として、経済特区や経済開放区に進出した外
資企業あるいは合弁企業だけではなく、その周囲にある国内企業の発展をも促した。成功
した国内企業としては、ハイアール、TCL、レノボ、華為などのエレクトロニクス企業の名
前を挙げることができる(図表 11)。これらの企業は新興市場で地位を確立しただけではな
く、先進国市場での存在感も高めつつある。2003 年、国内の大手電機総合メーカーである
TCL はフランスの電子機器大手トムソンと提携し、世界最大のテレビメーカー「TCL-トム
ソンエレクトロニクス」を設立した。2005 年、パソコンのレノボは米 IBM のパソコン事業
部門の買収を完了し、世界第三位の PC メーカーになった。一方で独自のブランドで世界市
場での存在間を高めている企業もある。2008 年、日本のイーモバイルは華偉技術の携帯端
末の採用を決め、さらに共同で、
「2008 年北海道洞爺湖サミット」で無料モバイル BB を提
供した。
現在中国の携帯電話とパソコンの生産量は世界のトップに立っている。国内の需要と輸
出が携帯電話とパソコンの大量生産を支えている。ただし、中国からの輸出される携帯電
7
話はほとんど外資系のブランド名をつけている。一方、インターネットの使用人口と携帯
電話の台数は 2000 年から急増した。現在では携帯電話の加入者数とインターネットの利用
人口は世界でトップになっている(図表 12)。
4-5.自動車
2007 年の販売台数は約 879 万台で、世界第 2 位であり、生産台数も 888 万台で世界第
3 位になった。経済成長とともに富裕層が拡大して、自家用車も著しく増えた(図表 13)。
しかし、自動車産業は古くから中国政府が保護を打ち出し続けてきたという点で IT などと
は異なる。国内の自動車メーカーは、国内市場でも弱い位置にあるため、合弁企業の市場
シェアが高くなっている。1994 年には国内自動車産業の競争力を高めるため、「自動車工
業産業政策」によって外国の自動車メーカーに対して出資比率および進出件数を規制し、
部品の国産化を義務付けた。さらには新規に進出する外資に対して研究開発拠点の設置な
ども義務づけている。このような保護に置かれているにもかかわらず、中国の自動車産業
はいまだに技術的に遅れている。中国の自動車の三大メーカーの一つである第一汽車は中
国自動車全体の開発センターの傘下にあるにもかかわらず、「自主開発」の乗用車「紅旗」
にクライスラーのエンジン、VW のトランスミッション、アウディ 100 の車体を使用してい
る。ただし、奇瑞や吉利は自主ブランド車を積極的に輸出している。
4-6.日用品・化粧品
改革開放以前は、中国では化粧をするという文化はほとんどみられなかった。しかし
ながら、経済発展に伴った所得水準の向上によって、中国人の美への関心が高まってきた。
中国人女性は白く透き通った美しい肌への憧れを強くもっており、スキンケアへの関心が
高い。そのため、化粧品への消費はスキンケア製品が中心となっている。一方、口紅など
のメイクアップ商品が化粧品消費に占める割合は現在のところ小さい。ただし、これらの
商品の消費量は大きく伸びている。
おしゃれに対する意識が高いのは 20 代、30 代であり、化粧品の中心的な消費者となっ
ている。特に大都市の 20 代、30 代の女性は日本などの先進国の女性と比べてもあまり変わ
らない程度におしゃれに対する関心を持っており、現在では化粧品以外の美容関連の支出
も行われるようになっている。実際、博報堂が 2006 年 9 月に実施した上海の中所得層以上
の女性に対する調査によれば、エステティックサロンを利用している女性が全体の半数以
上を占め、ネイルサロンを利用している女性も全体の 15%を占めている。11
4-7.金融、小売、外食産業
中国の株式市場に対しては、非流通株の存在、会計基準の不明確さ、情報開示が不十
11博報堂
News
2007 年 5 月 15 日
8
分であること、および外国投資家への投資規制の多さなどの問題点が指摘されてきた。し
かし、WTO 加盟後には、非流通株の放出による流通株主の損失を補償する制度の導入、上
場審査の見直し、情報公開の強化、外国投資家に対する規制緩和など段階的な改革が行わ
れている。このような株式市場の改革と経済成長を背景に、2005 年以降中国の株式市場は
好調に転じ、2005 年には 1060 であった上海総合指数が 2007 年には 4176 へと大きく上昇し
た。なお、中国国内では機関投資家は少なく、株式市場への参加者の 90%以上は個人投資
家となっている。
小売業については、2004 年 12 月から独資の参入が認められ、海外の小売企業が積極的
に進出し始めた。2005 年には、大型スーパマーケット売上高の上位 10 社を欧米と台湾の小
売業が占め、トップはフランスのカルフールであった。しかし、この上位 10 社の売上高の
合計は小売総額の 1.3%しか占めておらず、小売業者にとって中国は大きな成長の余地をも
った市場となっている。12
生活水準の向上とともに、大都市の人々の食生活も大きく変化した。それに伴って外
食も広く利用されるようになった。例えば、ヤフーバリューインサイトの北京、上海、広
州の三大都市についてのアンケート調査では、朝食を「ほとんど毎日」外で食べるという
回答が 30%を占めた。昼食でも 30%が「週 5~6 回」外食を利用しており、夕食でも焼く
47%が「週 1~2 回」外食を利用している。なお、同アンケート調査によれば、好きな料理
は「中華料理」がダントツであり、96%を占めている。13
5.インド:民主主義をベースとした分散型国家
5-1.対外開放の歴史
インドにおいて規制緩和政策が開始されたのはインディラ・ガンジーが 1980 年に大統領
に就任してからのことである。規制緩和の嚆矢となったのは自動車部門と電子部門である。
スズキはこのチャンスを利用し、いち早くインド市場に進出し、現地の国営企業マルチ・
ウドヨク社と合弁会社を設立した。しかし、80 年代の初期においては経済自由化政策がま
だ本格化されておらず、乗用車部門では 1982 年にスズキがインドに進出した以外には、外
国資本による乗用車市場の進出が認められなかった。トヨタ、マツダ、三菱、日産は合弁
あるいは技術提携の形でインドの商用車市場に進出したものの、業績が悪く撤退を余儀な
くされた。
また、80 年代の規制緩和政策は、きわめて閉鎖的な経済体制下で行われており、貿易に
関しても規制が非常に厳格であった。関税は高く、輸入数量も制限され、消費財の輸入は
すべて禁止されていた。資本財、原材料、中間財の一部は輸入可能であったが、国内製造
できる財の場合については輸入ライセンスが必要とされた。
12「中国における小売業の現状」
13
MarekZine ニュース
9
80 年代後半になって財政赤字に陥ったインドは、IMF や世界銀行から支援を受け、90 年
代の初期から再建を図る新経済政策を実施した。まず、行われたのは貿易制度改革である。
貿易の自由化を目指し、輸入ライセンスの段階的廃止と関税率の引き下げなどが実施され
た。さらに、業種によって異なるものの一定程度まで海外直接投資が自動的に認可される
ようになり、認可を得るまでの時間も短縮された。この時期になって、ダイムラー・クラ
イスラーや GM、フォードのほか、日本の自動車メーカーのインドへの直接投資も急増した。
同じ時期に、外国の機関投資家が上場企業の株式売買を行えるようになった。
近年は、政府は外資の導入による競争の促進、技術水準の向上を認識し、規制緩和の動
きが加速している。2000 年以降、外国資本に対する規制緩和はさらに進み、大半の業種に
おいて 100%の外資所有が認められた。銀行、通信、不動産など規制の厳しい業種について
も 2005 年から大幅な規制緩和の政策が採用された。これによって外資 100%による不動産
開発が認められ、銀行部門及び通信部門についても外資出資比率の上限が 74%まで引き上
げられた。また、一定の条件が満たされた場合には、インターネット・サービス、通信機
器製造、IT サービス分野においても外国資本による 100%の出資が認められるようになった。
さらに、経済特区の設立も行われた。これらの経済特区は輸出の促進を目的としており、
経済特区の中では多くの分野で外国資本による 100%の出資が認められ、入居企業に対して
は税制面で優遇措置が採られている。2007 年時点で 200 以上の経済特区が政府による認可
されている。しかし認可が決まっているだけで実際の建設がおこなわれている特区は一部
にとどまっており、地元住民の反対によって建設計画が立たないところも多い。
近年インドは急速な経済発展を遂げるようになった。一人当たりの名目 GDP も 1998 年
の 407 ドルから 2007 年の 941 ドルに達した。海外直接投資の受入額も 1998 年には 7.5 億ド
ルであったが、2007 年には 19.3 ドルに増加した(図表 8)。現在、海外直接投資の約半分は
サービス業 (Services sector ,Computer software & hardware, Telecommunications) への投資で
ある。海外直接投資の出資元の国籍を見ると、モーリシャス(インド系の住民が過半数)
が約半分を占め、その他はアメリカ、イギリス、日本、オランダ、シンガポールなどが多
い(図表 14)。
5-2.経済パフォーマンス
インドにおいて経済の高成長をリードしているのはソフトウェア開発とアウトソーシン
グを中心とするサービス部門である。現在、GDP の半分以上がサービスによって産み出さ
れている。また、一次産業と二次産業はそれぞれ 20%と 25%を占めている。その一方で製
造業の発展は遅れている。門倉(2006)はインドの製造業が遅れている理由を 3 つ挙げて
いる。第一の理由は、道路の不備や電力供給の極端な不足などのインフラ不足である。第
二の理由は、貧困層が多かったために国内の需要が弱いことである。また、製造業の国際
競争力が弱く、輸出が難しいことも製造業の発展を遅らせている。そして第三の理由は、
物を作る職人たちが下位のカーストに属していることである。そのために、インドの人々
10
の間ではものづくりが蔑まれる傾向にあった。
なお、インド経済において財閥の役割を理解することは重要である。インドではタタ、
ビルラ、リライアンスの三つ巨大財閥以外に、20 程度の中堅財閥がある。インドの富裕層
の多くはこれらの財閥の経営者である。また、これらの財閥はインドの経済活動の中で重
要な役割を果たしている。例えば、タタ財閥の傘下には約 93 社の企業があり、グループ全
体で 21.5 万人の従業員を抱えている。グループ全体の売上高は、2004 年に GDP の 3%を占
め、178 億ドルに達した(門倉 2006)
。
5-3.人口と教育
インドは現在 11 億人の人口を抱える多民族、多言語の国である。国連は 2030 年には中国
を抜いて総人口が世界最大になると予測している。その一方、インドの 2050 年の人口はピ
ラミッド型を維持していると見られており、経済成長のカギを握る若年労働者の供給が豊
富である点で圧倒的に有利な条件を持っている。準公用語が英語であることもあり、3000
万以上の人口が英語を話せるため、言語の面でも優位性を持つ。また、義務教育や高等教
育における数学教育が徹底しており、数学力も優れている。インドでは毎年 12 万人程度が
大学の工学部を卒業し、そのうちの 7 万人程度の学生がソフトウェア業界に就職する。
インドでは、かつて階級に応じて、職業、身分が世襲される厳格なカースト制度(階層、
身分制度)が存在した。最下位のカーストに属している人々は過酷な労働を課せられた上
に、厳しい差別を受けていた。しかし 1950 年のインド憲法の施行によって、カーストによ
る差別が禁止された。また、政策的に下層カーストに対する様々な優遇策も実施している。
現在でも、カーストによる差別は根強く残っているが、下層カーストに属する人々の発言
力が徐々に強くなっている。
5-4.IT と通信
現在インドは世界最大の IT サービス輸出国である。インドにおける IT 産業発展の中心と
なっている分野はソフトウェア産業である。その中でも Infosys、Wipro、TCS(Tata Consulting
Service)は3大オフショア開発企業とされており、従業員規模でみると日本や欧米の IT サー
ビス企業と比べても遜色ない規模となっている(図表 11)。インド政府がソフトウェア育成
政策を発表したことも手伝って、ソフトウェア産業の総収入は毎年 30%の伸びを示してい
る。主な輸出先は、北米(60%)、欧州(25%)、日本(6%未満)となっている。これまでは日本
への輸出は少なかったものの、最近では中国沿岸部の人件費高騰などの影響もあり、日立
や富士通などの日系企業がインド企業へのアウトソーシングのシフトを進めている。
ただし、ソフトウェア産業は製造業とは異なり、雇用吸収力にも限界がある。2005 年度
時点での IT 産業全体(ソフトウェア、ハードウェア、BPO)の雇用者数は雇用総数の 4.15
億人のうち 100 万人程度しかない。
また、携帯電話加入者数は 2007 年に 2 億人を突破し、中国、米国に続いて世界第 3 位と
11
なった。携帯電話サービスについては、地場の主要企業が国内市場の 80%以上を占めてい
る。インドの通信機器製造業は、自らの研究拠点を持っていないものの、先進国の多国籍
企業が所有する技術水準に達している。これは国営研究機関であるテレマティック開発セ
ンターによる開発がインドにおける通信機器の発達に大きく貢献したことによるものであ
る。
5-5.自動車
経済の発展とともに、特にデリー、ムンバイ等の大都会では新富裕層が急増し、生活
スタイルが変化しつつある。例えば、自動車、家庭用電化製品の需要の急増が見られる。
このような変化を受けて、自動車、家電市場では外資系企業と地場企業が競り合っている。
例えば、インドの自動車部門には外資系企業が進出し、インドでもっとも激しい競争が展
開されている。マルチ・スズキの自動車市場でのシェアは 90 年代 8 割程度から 2004 年の 5
割程度に下がった。近年、低価格車の競争がさらに激化しており、2009 年 4 月からタタ・
モーターズは最初の 10 万台については 10 万ルピー(マルチ・スズキの低価格車の半分の
価格)で国民車「ナノ」の販売を始めた。このところ、インドの自動車市場は低価格車を
中心に拡大しているものの、日系の自動車メーカーは低価格車市場を避け、インド市場に
おいては高価格帯のセダンに力を入れる傾向にある。例えば、ホンダは「シビック」「アコ
ード」、トヨタは「カローラ」を生産販売している(図表 15)。
5-6.日用品・化粧品
生活水準の向上とともに、女性たちが化粧品に費やす金額も増えている。インドの化
粧品市場では美白用品の売上が圧倒的に多い。これは、歴史的に身分制度が厳格であった
インドにおいて、身分の高い層に色の白い人が多く、身分の低い層に色の黒い人が多いと
いう傾向があったことが関係している。インドの人々の間で肌の色が少しでも白い方がよ
り「上流階級」に近くなれるという強い固定観念があることが、美白用品の売上の高さに
つながっている。その一方で、経済水準がまだ高まっていないこともあって、基礎化粧品
の売上は低く、口紅の所持率も低い。
5-7.金融、小売業、外食産業
インドは国際金融界から有力なエマージング・マーケットの一つであるとの評価を受け、
1993 年以降外国直接投資、外国証券投資ともに顕著な増大を見せている。2008 年時点では
インドに営業拠点を持つ外国機関投資家の数は 823 にのぼっている。ナショナル証券取引
所(NSE)の取引量は世界第三位である(図表 16)。
インドは世界でもっとも小売店密度の高い国である。インドにおいて小売業は GDP の 10%
を占めるインド最大の産業であり、雇用者数も全雇用者数の 6~7%を占め、農業についで
二番目に大きい産業である。しかし、小売業については、単一ブランド専門店を除き、外
12
資の参入を規制している。
外食産業ではマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどがインドに進出している。
豚肉を食べないイスラム教徒や牛肉を食べないヒンズー教徒、そして全国民の 30%以上を
占めているベジタリアンなど、食事に関するさまざまなタブーがあるため、インドに進出
する外資の外食産業はさまざまな工夫をしなくてはならない。例えば、インドのマクドナ
ルドはベジタリアン向けに野菜コロッケのハンバーガーを販売している。
6.中国とインド:長期的な投資先としてどう考えるか?
6-1.コストファクター
図表 17 はアジアの主要都市におけるコスト比較を行ったものである。まず賃金につい
てみると職種やレベルによっても異なるが、インドの各都市は上海や北京と比較して低く
なっている。ただし、大連や広州と比較するとそのレベルは同等レベルであり、両国とも
広い国土を有していることから地域によって賃金率も大きく異なることに注意することが
必要である。
なお、インドにおいて一般事業会社の「撤退」「解雇」は、州政府の許可が必要とされ、
許可の取得は実際にはほぼ不可能といわれている。また失業保険制度、年金制度はほとん
ど整備されておらず、労働争議も頻発しており、ストライキ件数はアジア諸国の中でも圧
倒的に多い。一方で、中国においても労働法が改正され、労働者の権利強化の方向に動い
ていることから、総合的な労働コストは上昇傾向にあるといっていい。
インドへの直接投資に対する最も大きな阻害要因はインフラの未整備と言われている。
特に電力と交通システムの不備は非常に深刻な問題になっている。インドに進出する日系
企業のほとんどは安定な電力を確保するため、コストをかけて自家発電機を導入している。
一方インドはアジアの中で交通渋滞が最もひどい国であり、路面状況も悪いため、輸送中
に製品が大きなダメージを受けることもある。ただし、最近になってインフラの整備が始
まりつつある。例えば、全長 15 万キロメートルに及ぶ全国高速道路計画を実施している。
一方中国においては、北部地域において深刻な水不足が懸念されているものの、全体的に
インフラに対する状況は恵まれている。
税制面では直接税・間接税を総合的に考えるとほぼ同等の水準にあるといえる。ただし、
両国とも経済特区を設けて外資系企業に対する税制の減免措置を講じており、この点につ
いても考慮にいれる必要がある。中国においては 1980 年代から経済特区を設けて積極的な
外資導入を行ってきたが、2008 年 1 月に外資企業に対する税制優遇措置の廃止を決定した。
一方で、インドにおいては、経済特区制度を導入したのが 2000 年と比較的最近であり、現
在 200 以上の地区が指定されており、今後も積極的に拡大する方向にある。ただし、この
ような経済特区の拡大は国土の乱開発にあたるということで、開発反対に関する住民運動
が起きていることにも留意する必要がある。最近では、タタ社は、西ベンガル州の工場で、
2008 年 10 月から世界最安自動車「ナノ」の生産ラインを稼働させる計画で、工場はほぼ完
13
成していた。しかし、工場の建設のために貧しい農家が強制退去させられたとして活動家
らが反対運動を行い、最終的にはタタ社は別の場所に工場を移転させるということが起き
た。中国においても少し性格は異なるものの、工場団地に関する同様のリスクは存在する。
例えば、上海市郊外の有利な立地を売り物に外資企業を中心に誘致した上海嘉定工業区で、
入居したばかりの日本企業10社が都市計画を理由に立ち退きを命じられるという事件が
起きた。これは、上海市の第 11 次五カ年計画に基づく都市計画で、嘉定区の新都市を同市
の重点地域とすることが決定したことによるとのことである。
6-2.マーケットファクター
中国は 13 億人、インドは 11 億人と両国を合わせると世界の人口の半分程度を占め、両国
とも巨大な市場としての魅力が大きい。ただし、一人当たりの GDP は中国が 2500 ドル、
インドは 1000 ドルと先進諸国と比べるとまだ 10 分の 1 のレベルにある。
両国とも所得格差が大きく、その差は拡大傾向にある。中国においては改革開放の主要
な柱である対外開放は沿岸部から始まり、恩恵は沿岸地域に限定されている。沿岸と内陸
の地域格差と農民と都市住民の格差が拡大している。これは農村と都市部において人口の
移動が自由になっていないことから、沿岸地域における経済発展のメリットが内陸部に広
がらないからである。しかしながら、沿岸部だけを見ても数億人規模の人口を有し、北京
周辺、上海周辺、広州周辺といった中核都市の周辺地域だけで見ても大きなマーケットと
なりうる。
MGI(2006)は中国の都市部世帯に対する統計調査データを用いて、中国における中所得
階層の台頭に関する分析を行っている。可処分所得 4 万円元以上の世帯をアッパー中所得
階層、2.5 万元~4 万元の世帯を下位中所得階層とすると、2005 年時点でアッパー中所得階
層世帯かその上のクラスの割合は全世帯の 10%、下位中所得階層世帯の割合は 12.6%とな
っている。10 年前はそれぞれの割合が 1.5%と 5.7%であり、ここ 10 年で中所得階層世帯の
割合が急上昇している(図表 18)。MGI の分析によると 10 年後には UMC 世帯かそれ以上
の割合は 3 割程度まで上昇すると予想しており、世界的に見て巨大な可処分所得層が生ま
れることになる。
インドで脚光を浴びている IT サービス産業は雇用吸収力が小さく、経済成長の恩典はや
はり一部のエリート層で享受される状態となっている。しかし、インドにおいても経済成
長とともに世帯ごとの可処分所得は上昇傾向にある。2001 年には中所得階層(年間 90000
ルピー以上)の割合が 28%まで上昇してきており、このあたりの階層であればタタ自動車
がこの 4 月から販売を開始する NANO(10 万ルピー車)の顧客ターゲットになるといわれ
ている(図表 19)。このようにインドにおいても、所得水準の向上に伴って、自動車や家電
製品をはじめとした耐久消費財の他、日用品関係、外食サービスなどの幅広い業種でビジ
ネスチャンスが拡大すると考えられる。
14
6-3.総合的なビジネス環境の比較
スイスのビジネススクールである IMD は毎年 World Competitiveness Yearbook として世界
各国の競争力ランキングを公表している。2008 年版によると 55 カ国中、中国は 17 位、イ
ンドは 29 位にランクされている。図表 20 は、中国、インドと日本に関する項目別指標を
まとめたものである。
まず、ビジネス部門において、両国とも賃金の低さから労働市場については上位に位置
している。その一歩で金融やコーポレートガバナンスの面で中国が特に遅れている。イン
ドについては、コーポレートガバナンスについて上位にランクされていることは注目に値
する。一方でインフラ部門において、インドの順位は低い。道路・鉄道などの基礎インフ
ラのみならず、科学、教育といったソフトなインフラについても中国よりも劣っている。
最後に政府部門の内容についてみると、インドにおいては機関体制(金融機関、公的部
門の透明性)のランクが低くなっており、中国においては法制度(規制等)のランクが下
がっている。発展途上国におけるビジネスに関して、政府との関係は重要なファクターと
なる。中国においては中央政府が主導的な役割を果たしているが、個々の投資案件につい
ての実施上の権限は省政府や市政府レベルに落とされていることが多い。インドにおいて
は中国以上に地方分権が進んでおり、各州の政府や政策の影響を強く受ける。このように
投資先の選定にあたっては、地方政府の政策やひいては長期的にみた政治システムの安定
性などについて総合的に判断することが必要である。
日本語参考文献
絵所秀紀(2008)『離陸したインド経済』ミネルヴァ書房
門倉貴文 (2006)『インド経済の実力』
日本経済新聞社
金堅敏(2007)「成長する中国の電子情報企業」
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/china-research/topics/2006/no-29.html
「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」2008 年度海外直接投資アンケート
調査結果(第 20 回)2008 年 11 月 25 日
博報堂 News 2007 年 5 月 15 日
http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2007/20070515.pdf
「中国における小売業の現状」
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa/1903chinakenkyuukai_10.pdf
MarekZine ニュース
http://markezine.jp/article/detail/1518
15
英文参考文献
MGI(2006), The value of China’s emerging middle class, The McKinsey Quarterly, 2006 Special
Edition
Goldman Sachs (2007), India’s rising growth potential, Global Economics Paper NO.152
http://www.usindiafriendship.net/viewpoints1/Indias_Rising_Growth_Potential.pdf
Tarun Khanna (2007), Billions of Entrepreneurs: How China and India are reshaping
their futures and yours, Harvard Business School Press
16
図表1:対ドル円レートと輸出・海外売上高の推移
120
350
300
100
250
80
200
60
150
40
100
20
50
0
0
輸出額(兆円)
海外売上高(兆円)
対ドル円レート(右軸)
(出典)『海外事業活動基本調査』(経済産業省)
、『貿易統計』(財務省)などを加工
図表2:所在国別・開設年別の企業数の状況
700
600
500
400
300
200
100
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
0
China(+HK)
NIES
ASEAN
US+Europe
(出典)『海外進出企業データベース 2008』(東洋経済新報社)を加工
17
図表3:国別・業種別に見た海外売上の状況
0%
20%
40%
60%
80%
100%
中国
ASEAN
NIES3
インド
米国
ヨーロッパ
食品・繊維
化学・石油石炭
鉄鋼・非鉄
一般機械
電気機械
情報通信機械
輸送機械
精密機械
その他製造業
(出典)『海外事業活動基本調査(平成 19 年調査)』(経済産業省)を加工
図表 4:国別在外企業数と総従業員数(ランキング順位)
国名
中国
米国
タイ
香港
シンガポール
台湾
イギリス
マレーシア
韓国
インドネシア
ドイツ
フィリピン
オーストラリア
フランス
オランダ
ベトナム
カナダ
インド
ブラジル
企業数
4882
3287
1584
1139
992
900
799
761
715
660
628
421
408
374
359
333
265
262
262
従業員数
1137463
464821
500555
144051
48833
90659
95229
151246
70829
240384
54979
194799
38748
32126
13320
146244
30625
62862
62957
(出典)『海外進出企業データベース 2008』(東洋経済新報社)を加工
18
図表 5:中国における主要日系企業
現地企業名
東風汽車(有)
康師傳控股(有)
青島三美電機(有)
厦門TDK(有)
珠海三美電機(有)
惠州住潤電装(有)
天津一汽豊田汽車(有)
汕頭経済特区矢崎汽車部件(有)
NEC東金電子(厦門)(有)
友利電電子(深せん)(有)
日本電産(東莞)(有)
煙台矢崎汽車配件(有)
富士能(天津)光学(有)
東莞華強三洋馬達(有)
広州本田汽車(有)
佳能珠海(有)
上海先鋒電声器材(有)
上海美亜精密機電(有)
佳能(中山)事務機(有)
和林電子(深せん)(有)
業種
自動車・部品
食料品
電気・電子機器
電気・電子機器
電気・電子機器
電気・電子機器
自動車・部品
電気・電子機器
電気・電子機器
電気・電子機器
電気・電子機器
電気・電子機器
精密機器
電気・電子機器
自動車・部品
精密機器
電気・電子機器
電気・電子機器
精密機器
電気・電子機器
事業内容
乗用車,商用車の製造・販売〔日産(中国)投資(有)50%〕
即席麺,菓子,飲料の製造
電気・通信機器部品の製造・販売
電子部品の製造〔TDKのうち86.9%は関係会社を通じて出資〕
電気・通信機器部品の製造・販売
四輪車・二輪車向けワイヤーハーネスの製造・販売
自動車の製造〔TMCI10%〕
自動車用ワイヤーハーネスの製造
電子部品の製造・販売〔NEC TOKIN Singapore 17.4%〕
無線関連機器の製造〔Uniden Hong Kong,Ltd.100%〕
パソコン周辺機器用DCモーター,ファン,精密モーター用部品の製
造
自動車用ワイヤーハーネスの製造〔YCIC26.2% YNA6.4%〕
光学製品の製造
マイクロモーター,フロッピーディスクドライブ,DSC等の製造・販売
四輪車の製造・販売〔HMCI10%〕
カメラ,事務機の製造・販売
スピーカー等の製造・販売
小径ボールベアリング,ファンモーターの製造
レーザービームプリンタの製造
コネクタの製造・販売
(出典)『海外進出企業データベース 2008』(東洋経済新報社)を加工
19
従業員数 日本出資会社
40015
日産自動車
32631
サンヨー食品
10533
ミツミ電機
9899
TDK
9782
ミツミ電機
9756
住友電装
9543
トヨタ自動車
9149
矢崎総業
8851
NECトーキン
7736
ユニデン
7222
日本電産
7013
矢崎総業
7000
フジノン
6500
三洋精密
6500
ホンダ
6435
キヤノン
6008
東北パイオニア
5931
ミネベア
5866
キヤノン
5759
SMK
創業年
2003
1999
1992
1994
1991
1995
2002
1990
1995
1993
2002
2001
1995
1995
1999
1990
1993
1994
2001
1996
図表 6:インドにおける主要日系企業
現地企業名
Maruti Suzuki Ludia Ltd.
Motherson Sumi Systems,Ltd.
Shriram Pistons & Rings Ltd.
Toyota Kirloskar Motor Pvt.Ltd.
Tata Yazaki Autocomp Ltd.
Kansai Nerolac Paints Ltd.
Yamaha Motor India Pvt.Ltd.
Munjal Showa Ltd.
Toyo Engineering India Ltd.
Igarashi Motors India Ltd.
Ucal Fuel Systems Ltd.
Swaraj Mazda Ltd.
Sumi Motherson Innovative
Engineering Ltd.
Yokogawa India Ltd.
業種
自動車・部品
電気・電子機器
機械
自動車・部品
電気・電子機器
化学・医薬
自動車・部品
自動車・部品
建設・工事業
自動車・部品
自動車・部品
自動車・部品
事業内容
従業員数 日本出資会社
創業年
四輪車の製造・販売
6776
スズキ
1983
自動車用ワイヤーハーネスの製造・販売
5945
住友電装
1984
ピストンリング,ピストンピン,ピストン,エンジンバルブの製造・販売
4111
リケン
1963
自動車及び同部品の製造・販売
2528
トヨタ自動車
1999
自動車用ワイヤーハーネスの製造・販売
2526
矢崎総業
1999
塗料の製造・販売
2040
関西ペイント
1920
二輪車の製造・販売
1810
ヤマハ発動機
1995
二輪車・四輪車用部品の製造・販売
1709
ショーワ
1985
各種産業設備の企画・設計・機器調達・建設・運転指導
1647 東洋エンジニアリング 1976
車載用小型モーターの製造・販売
1500 五十嵐電機製作所 1993
四輪車用気化器,燃料ポンプの製造・販売
1250
ミクニ
1990
自動車の製造・販売
1135
住友商事
1985
コネクタ等自動車用ワイヤーハーネス部品の製造・販売,金型の製
917
住友電装
1997
電気・電子機器
造・販売
電気・電子機器
工業計器の製造・販売及び計測器の販売
912
横河電機
1987
電装品,電動ファン,ベンチレータ,マグネト,ワイパーモーター等の
903
デンソー
1985
DENSO India Ltd.
自動車・部品
製造・販売
JNS Instruments Ltd.
自動車・部品
二輪車・四輪車用計器類の製造・販売
897
日本精機
1998
Rane Brake Linings Ltd.
自動車・部品
ブレーキ摩擦材の製造
818
日清紡
1964
Sona Koyo Steering Systems Ltd.
自動車・部品
自動車用ステアリングの製造・販売
813
ジェイテクト
1984
Napino Auto & Electronics Ltd. 電気・電子機器卸売 電装製品の販売
796
新電元工業
1991
Accelerated Freeze Drying Co.,Ltd.
食料品
フリーズドライ製品の製造・販売
790
日清食品
1980
(出典)『海外進出企業データベース 2008』(東洋経済新報社)を加工
20
図表 7:中国とインドの一人当たり GDP(ドル)
(出典)United Nations Statistics Division を加工
図表 8:中国とインドの FDI 受入額(10 億ドル)
160
140
120
100
80
60
40
20
0
1990 1995 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
中国
(出典):ADB
インド
Key Indicators 2008 を加工
21
図表 9:中国の国別直接投資受入額(億ドル)
250 200 150 100 50 0 2000
韓国
2001
日本
2002
2003
2004
シンガポール
米国
2005
台湾
2006
イギリス
(出典)『中国統計年鑑』
(2008)を加工
図表 10:中国の実質 GDP 成長率の需要項目別寄与度の推移
(出典)通商白書(2008)を加工
22
2007
2008
ドイツ
図表 11:2007 年中国のエレクトロニクス企業
(出典)各種資料を加工
図表 12:中国と日本におけるインターネットと携帯の利用状況
23
500
450
中国インターネッ
ト人口数(百万
人)
中国携帯電話契
約数(百万件)
400
350
300
日本携帯電話契
約数(百万件)
250
200
日本インターネッ
ト人口数(百万
人)
インド携帯電話契
約数(百万件)
150
100
50
0
(出典)『中国統計年鑑』
(2007)、『インターネット白書』(2005)、『総務省情報通信データ
ベース』を加工
図表 13:人口上位 10 カ国乗用車保有台数(万台)
(出典)『インドとロシアの乗用車市場』(三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング)を加工
24
図表 14 2000-2010 年インドの国別直接投資受入額(万ドル)
インド
モーリシャス
シンガポール
米国
英国
オランダ
日本
キプロス
ドイツ
フランス
アラブ首長国連邦
49751
11164
8864
6123
4942
4204
4036
2847
1773
1728
(出典)FDI in India statistics, Department of industrial policy &promotion, ministry of commerce
and industry,India を加工
図表 15:インドの乗用車市場
会社名
マルティ・スズキ
タタ・モーターズ
現代自動車
マヒンドラ&マヒンドラ
GM
ホンダ・シェル・カーズ
トヨタ・キルロスカール
フォード
市場シェア
46.5%
14.6%
13.5%
6.5%
4.0%
3.7%
2.5%
1.7%
(出典)『日本経済新聞』
(2007.10.15)を加工
図表 16:取引数でみた世界証券市場ランキング
25
Nasdaq
New York
NSE
Shanghai
BSE
Korea
Taiwan
Shenzhen
Deutsche Borse
London/Euronet
2002
1
2
3
5
7
4
6
8
9
12
2003
1
2
3
4
5
7
6
8
9
11
2004
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(出典)絵所(2008)
26
2005
2
1
3
6
5
4
8
7
9
10
2006
1
2
3
4
6
5
8
7
9
10
図表 17 アジアの主要都市におけるコスト比較
比較項目
賃金
製造業
ワーカー(一般工職) (月額)
エンジニア(中堅技術者) (月額)
中間管理職(課長クラス) (月額)
法定最低賃金
輸送
コンテナ輸送(40ftコンテナ)
レギュラーガソリン価格(1リットル)
軽油価格(1リットル)
為替
現地通貨対ドルレート(1ドル)
税制
法人所得税(%)
個人所得税(%)(最高税率)
付加価値税(%)
調査実施時期
チェンナイ(イン ニューデリー(イ バンガロール(イ ムンバイ(イン シンガポール(シ
ホーチミン(ベト
バンコク(タイ) ハノイ(ベトナム)
ソウル(韓国)
ド)
ンド)
ンド)
ド)
ンガポール)
ナム)
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
米ドル
166.8
196.2
208.4
155.4
966.9
230.6
104
99.7
1,219.50
356.9
462.9
539.4
336.7
1,997.30
540.2
287.1
293.3
1,675.20
790.8
1,116.10
1,144.40
833.4
3,357.00
1,341.50
822.3
669.3
2,436.60
86.65/月
3.77/日
3.65/時
97/月
80.0/月
なし
6.27/日
74.7/月
74.7/月
~95.94/月
~3.94/日
29.23/日(8時
1,950.68
750
1,011.2
1,736.9
100~
650
1,081.36~
970~3,370
400~1,200
~4,950.68
~2,190
~3,446.3
~4,104.2
1,800
~1,500
2534.19
1.1
0.8
0.98
0.72
1.1
0.8
1.07
0.81
広州(中国)
上海(中国)
大連(中国)
北京(中国)
米ドル
227.4
508.8
985.2
米ドル
302.2
633.2
1,100.40
米ドル
379.1
700.7
1,199.20
125.97/月
140.6/月
650~2,025
565~2,150
米ドル
215.3
419.5
763.3
102.53/月~
87.89/月
110.00~
1,950.02
117.2/月
100~3,200
1.2869~1.3301
1.1
0.914
0.914
1.66
0.89~1.039
0.97
0.9
0.98
0.9456
0.87
0.828
0.828
1.47
0.93
0.95
0.98
0.97
1米ドル=1.3886
1米ドル=45.62 1米ドル=45.62 1米ドル=45.62 1米ドル=45.62ル
1米ドル=32.874 1米ドル=17,941 1米ドル=17,941 1米ドル= 1米ドル=6.8271 1米ドル=6.8271 1米ドル=6.8271 1米ドル=6.8271
シンガポール・ド
ルピー
ルピー
ルピー
ピー
バーツ
ドン
ドン
1,125.00ウォン
人民元
人民元
人民元
人民元
ル
30%
30%
30%
30%
17%
30%
25%
25%
10%~22%
25%
25%
25%
25%
国税:35%
30%
30%
30%
30%
20%
37%
35%
35%
45%
45%
45%
45%
地方税:住民
税、国税額の
12.5%
10%
17%
17%
17%
17%
12.5%
12.5%
12.5%
7%
7%
0%、5%、10% 0%、5%、10% (VAT)(標準税 (VAT)(標準税 (VAT)(標準税 (VAT)(標準税 (VAT)(標準税
(VAT)(標準税 (VAT)(標準税 (VAT)(標準税 (VAT)(標準税
(標準税率)
(標準税率)
率)
率)
率)
率)
率)
率)
率)
率)
率)
2010年1月
2010年1月
2010年1月
2010年2月
2010年1月
2010年1月
2010年1月
2010年2月
2010年1月
2010年1月
2010年2月
2010年1月
2010年1月
(出典)ジェトロ
27
図表 18:中国の所得別世帯構成比
(出典)『The value of China’s emerging middle class』,
The McKinsey Quarterly, 2006 Special Edition を加工
図表 19:インドの所得別世帯構成比
イ ンドの所得別世代構成比
高所得層
(180,001ルピー
~)
上位中所得層
(135,001~
180,000ルピー)
中所得層
(90,001~
135,000ルピー)
下位中所得層
(45,001~
90,000ルピー)
低所得層(~
45,000ルピー)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1985
1995
2001
(出典)『通商白書』(2007)を加工
28
図表 20:競争力指標
日本
中国
インド
国内経済
(GDP、消費、投資、貯蓄)
7
2
12
貿易
(国際収支)
39
4
31
国際投資
(対内・外直接投資、証券投資)
32
23
19
雇用
(雇用、失業率)
18
1
13
46
35
33
公的金融
(公的部門債務、外貨準備等)
53
1
31
財政政策
(税率等)
28
23
9
機関体制
(金融政策、公的部門の透明性)
21
14
28
法制度
(規制等)
24
35
32
社会体制
(裁判、政治リスク、所得格差等)
ビジネス部門
51
33
44
生産性、効率性
31
10
33
労働市場
(賃金水準、労働者の量・質等)
19
9
5
金融
(銀行・株式市場の効率性)
15
39
23
経営慣習
(コーポレートガバンナンス)
28
50
29
30
35
11
基礎インフラ
(国土面積、人口、道路、鉄道)
18
16
40
テクノロジー
(IT投資等)
16
32
41
科学
(R&D支出等)
2
10
29
福祉・環境
9
49
51
教育
22
42
54
総合
22
17
29
実態経済部門
物価
(CPI、賃料)
政府部門
方向性
(国民性、構造改革の必要性)
インフラ部門
(出典)『World Competitiveness Yearbook 2008』IMD を加工
29
付図表:中国とインドの政治・経済両面における主な出来事
インド
ボンベイ証券取引所(ムンバイ証券取引所)
独立
規制緩和政策 自動車を中心
民生用電子機器やソフトウェア部門での近代化をと規制緩
経済再建、外資に対する規制緩和
輸入ライセンスの段階的廃止と関税率の引き下げ
外資流入に対する規制緩和
為替取引の自由化
商業銀行の制度改革
利子率規制緩和
NSE (National stock exchange of India) を設立
外国機関投資家の上場企業の株式売買を許可
2重為替レート廃止
年
1875
1947
1949
1959
1966
1976
1978
1979
1980
1981
1982
1984
1985
1986
1989
1990
建国
食糧不足による1500万人餓死
文化大革命開始
文化大革命終了
経済開放、対内直接投資積極的導入
「一人っ子政策」開始
経済特区の設置を決定(深せん、珠海、shangtou,xiamen)
第一次金融改革
「世代生産請負責任制」が開始
農業改革開始(農家経営請負制度の導入)
沿岸部主要都市を外資に開放、経済技術開発区の建設
国有う企業の所有と経営を分離することを目的とする請負経営責任制を
天安門事件
上海取引所開設
1991
1992
鄧小平南巡講話 経済の改革開放及び経済成長加速政策を支持
「社会主義市場経済」路線の確定
1993
国有企業の株式会社化の開始
国立証券取引所 (NSE) 開設
1994
WTO加盟
1995
利子率完全自由化、銀行の不良債権の処理
1997
対外証券投資規制の自由化開始
1999
対内直接投資積極的導入
銀行、保険、通信、民間航空を除くすべての分野で外資
の過半数株式主要が認められている。大半の業種におい
て100%の外資所有を許可
中国
第二次金融改革
為替制度改革実施 (人民元の公式レートの50%切り下げ、変動相場
性に移行
国際収支黒字の定着
商業銀行法の施行
外国銀行人民元取引開始(上海の浦東地域に限定)
7月 香港返還
9月 国有企業の株式制度の本格導入
10月 関税率引き下げ(4800品目を対象に平均23%~17%)
3月 私営企業を公認
11月 西部開発を決定
12月 マカオ返還
2000
2001
2003
3月 2008年北京オリンピック開催決定
12月WTO加盟
外国機関投資家の上場企業の株式売買を許可
経済特区を設立
外資100%の不動産開発を認可。
銀行部門及び通信部門にの外資出資比率の上限が74%
まで引き上げられた。
外国投資許可手続きも相当簡素化された。
2005
2006
(出典)各種資料による作成
30
対外証券投資規制の自由化開始
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